JPH0849117A - 六チタン酸ナトリウム複合繊維およびその製造方法 - Google Patents

六チタン酸ナトリウム複合繊維およびその製造方法

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JPH0849117A
JPH0849117A JP6181128A JP18112894A JPH0849117A JP H0849117 A JPH0849117 A JP H0849117A JP 6181128 A JP6181128 A JP 6181128A JP 18112894 A JP18112894 A JP 18112894A JP H0849117 A JPH0849117 A JP H0849117A
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sodium
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Isamu Kobayashi
勇 小林
Kenji Azuma
健司 東
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 補強繊維等として有用な六チタン酸ナトリウ
ム繊維の特性の改良。 【構成】 この繊維は、六チタン酸ナトリウム結晶にチ
タニア結晶が分散析出した複合結晶相を有する多結晶繊
維である。TiO2 ,Na2 O,およびK2 Oを含む出
発原料組成物を加熱溶融する工程、溶融物を冷却して得
た繊維塊(五チタン酸四ナトリウム繊維を含む)を湿式
解繊処理し、更に酸水溶液でNaイオンの一部を溶出し
た水和チタン酸ナトリウム繊維(Na含有量1%以上,
8.5%未満)を得る工程、および結晶構造を変換する
焼成処理(900〜1200℃)を経て製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動部材,強化プラス
チックの補強材,樹脂塗料充填材等として有用な、耐摩
耗性,補強性,耐熱性等に優れた、六チタン酸ナトリウ
ム結晶−チタニア結晶からなる複合繊維、およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】六チタン酸ナトリウム結晶(Na2 Ti
6 13) の繊維は、耐摩耗性,耐熱性,断熱性,強度等
に優れた合成無機化合物繊維であり、近時はアスベスト
繊維代替品として、多方面の工学的応用が試みられてい
る。六チタン酸ナトリウム繊維は、酸化チタン(TiO
2 )または加熱により酸化チタンとなるチタン化合物
と、酸化ナトリウム(Na2 O)または加熱により酸化
ナトリウムとなるナトリウム化合物との混合物を出発原
料として製造される。その工業的製造法の一つである溶
融法によれば、出発原料をTiO2 /Na2Oのモル比
が約3となるように調製して加熱溶融し、溶融生成物を
冷却して三チタン酸ナトリウム繊維を含む繊維塊を得た
後、繊維塊を湿式解繊処理し、解繊された繊維を酸水溶
液で処理して繊維からNaイオンを溶出することによ
り、六チタン酸ナトリウム相当の化学組成をもつ水和チ
タン酸ナトリウムに組成変換し、ついでその水和チタン
酸ナトリウム繊維を焼成処理して結晶構造を変換する工
程を経て、目的とする六チタン酸ナトリウム繊維を得て
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記六チタン酸ナトリ
ウム繊維の製造工程では、出発原料の加熱溶融処理に約
1300℃もの高温を必要とするため、溶解装置の腐食
損傷によるメインテナンスの負担が大きく、また溶融物
を冷却して得られた繊維塊の解繊処理が困難(繊維同士
が強く固結している)であるため、得られる繊維の形状
・サイズの均質性に乏しく、かつ収率も低いという欠点
がある。本発明者等は、溶融法による六チタン酸ナトリ
ウム繊維の製造工程および繊維特性の改良を目的とする
研究過程において、出発原料の組成配合の調整により、
加熱溶融および解繊工程での困難を解消し得ると共に、
繊維の組成変換のための酸処理工程および結晶構造変換
のための焼成処理工程の工夫により、六チタン酸ナトリ
ウム結晶にチタニア結晶が分散析出した多結晶繊維が得
られ、このものは六チタン酸ナトリウム単相繊維を凌ぐ
優れた特性を有することを見出した。本発明はこの知見
に基づいて完成されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の六チタン酸ナト
リウム複合繊維は、六チタン酸ナトリウム結晶〔Na 2
Ti6 13〕にチタニア結晶〔TiO2 〕が分散析出し
た複合相を有する多結晶繊維であることを特徴としてい
る。上記複合相を有する本発明の六チタン酸ナトリウム
複合繊維の製造方法は、TiO2 または加熱によりTi
2 を生成するチタン化合物と、Na2 Oまたは加熱に
よりNa2 Oを生成するナトリウム化合物とを、TiO
2 /Na2 Oのモル比が1.5〜2.5となる割合に混
合すると共に、これにK2 Oまたは加熱によるK2 Oを
生成するカリウム化合物を、K2 O/Na2 Oのモル比
が0.05〜0.2となる割合に配合した混合物を加熱
溶融し、加熱溶融生成物を冷却して繊維状の五チタン酸
四ナトリウム結晶を含む繊維塊を得、上記繊維塊を水中
に浸漬して、五チタン酸四ナトリウムの多結晶繊維に解
繊し、更に酸水溶液で、繊維中のナトリウム量が、8.
5重量%未満,1重量%以上となるまでNaイオンを溶
出した後、温度900〜1250℃で焼成処理すること
を特徴としている。
【0005】
【作用】本発明の複合繊維は、六チタン酸ナトリウム結
晶にチタニア結晶が分散析出した複合結晶相を有する。
チタニア結晶はルチル相(R相)、もしくはアナターゼ
相(A相)として析出するが、いずれも六チタン酸ナト
リウム結晶に比べて高融点および高硬度を有する〔六チ
タン酸ナトリウム結晶:融点約1300℃,モース硬度
約3〜4、R型チタニア結晶:融点約1800℃,モー
ス硬度約7〜7.5,A型チタニア結晶:約1000℃でR
型に転位,モース硬度約5.5 〜6〕。本発明の六チタン
酸ナトリウム複合繊維は、チタニア結晶の分散析出によ
る混相効果として、六チタン酸ナトリウム単相繊維に比
べて耐摩耗性や耐熱性が高く、かつ改良された剪断強度
等を有する。
【0006】本発明の製造方法は、出発原料におけるT
iO2 /Na2 O(モル比)を1.5〜2.5の範囲に
調節したことにより、出発原料の加熱溶融処理を、約1
150℃以下の比較的低い温度域で達成することができ
る。また、出発原料にカリウム化合物を配合した効果と
して、加熱溶融物を冷却した繊維塊中の初生相繊維であ
る五チタン酸四ナトリウム繊維(Na4 Ti5 12)の
生成効率が高められる。すなわち、カリウム化合物の配
合を省略した出発原料を使用する場合は、その加熱溶融
物を冷却して得られる繊維塊中に、三チタン酸ナトリウ
ム(Na2 Ti3 7 )や五チタン酸八ナトリウム繊維
(Na8 Ti 5 14)等の異相が生成するため、初生相
として必要な五チタン酸四ナトリウム繊維の生成効率の
低下を免れない。これらの異相の生成は、カリウム化合
物の配合により抑制防止される。このことは、最終目的
製品である六チタン酸ナトリウム複合繊維の収率を高め
ることを可能にする。カリウム化合物の配合による上記
効果の発現機構は未だ明らかではないが、カリウム化合
物の存在により、チタン酸カリウム結晶〔おそらく二チ
タン酸カリウム「K2 Ti2 5 」であり,その結晶構
造はTiO5 三角両錐体の連鎖が積層した層間にKイオ
ンが配位した層状構造〕が生成し、これが核となってこ
れと類似する層状構造の五チタン酸四ナトリウム結晶の
成長が促されるものと考えられる。なお、上記チタン酸
カリウム結晶は繊維塊中には殆ど残留しない。これは、
その結晶が層状構造で、層間のKイオンの移動が容易で
あることによるものと推定される。従って、チタン酸カ
リウム結晶が生成することにより五チタン酸四ナトリウ
ム繊維の生成効率が低下することはない。
【0007】更に、上記五チタン酸四ナトリウム繊維を
含む繊維塊の解繊処理も容易に達成される。これは、五
チタン酸四ナトリウム繊維の結晶構造が、水和反応の活
発なチタン酸カリウム結晶と類似の層状構造であるから
であり、解繊処理後の酸水溶液を使用して行う脱ナトリ
ウム処理を効率よく達成し得るのも、その結晶構造が、
NaイオンやKイオンの移動が容易な層状構造であるこ
とによるものと考えられる。
【0008】焼成処理(繊維の結晶構造変換)工程で、
六チタン酸ナトリウム結晶と共に、チタニア結晶を生成
するのは、焼成処理に先行するナトリウム溶出処理工程
で、五チタン酸四ナトリウム繊維(Na4 Ti5 12
を、ナトリウム含有量が8.5重量%より低い水和チタ
ン酸ナトリウム繊維に組成変換していることによる。す
なわち、繊維の組成を「TiO2 /Na2 O」のモル比
で表すと、ナトリウム量が8.5重量%である場合の水
和チタン酸ナトリウム繊維のTiO2 /Na2O(モル
比)は6であり、これを焼成処理して得られる最終繊維
は六チタン酸ナトリウム結晶単相繊維であって、チタニ
ア結晶の析出はなく、これに対し、ナトリウム量が8.
5重量%未満(TiO2 /Na2 O(モル比)>6)と
なるまで溶出処理した繊維では、六チタン酸ナトリウム
結晶組成に対してTi分が余剰となり、このため焼成処
理過程で六チタン酸ナトリウム結晶の他に、余剰のTi
分がチタニア結晶として析出するのである。本発明の複
合繊維を構成する六チタン酸ナトリウム結晶とチタニア
結晶との量比は、ナトリウム溶出工程におけるNaイオ
ンの溶出量(従って水和チタン酸ナトリウム繊維のナト
リウム含有量)の制御により任意の量比に調整される。
【0009】次に本発明の複合繊維の製造方法について
工程順に説明する。 〔出発原料の調製〕出発原料は、Na2 Oまたは加熱に
よりNa2 Oを生成するナトリウム化合物(例えば,炭
酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム,水酸化ナトリウム
等)と、TiO2 または加熱によりTiO2 を生成する
チタン化合物(例えば、精製アナターゼ, 酸化チタン水
和物, 天然ルチル鉱石等) を、TiO 2 / Na2 O (モル
比)が約1.5〜2.5となる割合に混合し、これにK
2 Oまたは加熱によりK2 Oを生成するカリウム化合物
(例えば,炭酸カリウム,炭酸水素カリウム,水酸化カ
リウム等)を、 K2 O/ Na 2 O (モル比)が0.05〜
0.2となる割合に配合することにより調製される。Ti
O 2 / Na2 O (モル比)を1.5〜2.5とし、かつ K
2 O/ Na 2 O (モル比)を0.05〜0.2の範囲とし
ているのは、加熱溶融生成物の冷却凝固工程で初生相繊
維(五チタン酸四ナトリウム結晶繊維)を効率よく生成
させるためであり、 K2 O/ Na 2 O (モル比)が0.0
5より低い値では、カリウム分の配合効果(繊維塊の解
繊容易化,脱ナトリウムの促進)が不足し、他方0.2
を越えると、チタン酸カリウム結晶が生成して目的とす
る繊維の収率が低下する。また、この組成範囲における
出発原料の加熱溶融処理は、約1150℃を越えない比
較的低い温度域で達成することができる。
【0010】〔加熱溶融処理〕出発原料の加熱溶融処理
は、融点以上の温度域(約1000℃以上)に適当時間
(概ね、0.5〜4Hr)加熱保持することにより達成
される。加熱温度は原料の配合組成比により異なるが、
本発明の配合組成範囲では、約1150℃を越える高温
加熱は必要としない。
【0011】〔冷却凝固処理〕加熱溶融生成物を、適当
な容器(例えば,銅製ベセル)に移し冷却凝固すること
により、初生相として繊維状の五チタン酸四ナトリウム
結晶が束状に集合した繊維塊を得る。
【0012】〔解繊処理〕上記繊維塊を解繊処理に付し
て、五チタン酸四ナトリウム結晶繊維同士の結合を解
き、多結晶繊維として回収する。解繊処理は、水を処理
液とし、繊維塊を適当時間浸漬保持することにより行わ
れる。繊維塊を水中に浸漬すると、活発な水和反応を生
じ、その水和反応による膨潤・劈開作用により五チタン
酸四ナトリウム結晶繊維の解繊は効率よく達成される。
解繊処理において緩和な攪拌流を施してもよいが、繊維
同士の結合を強制的に分離するための剪断力を作用させ
るような強い攪拌流を加えることを必要としない。解繊
に要する浸漬時間は、概ね2〜12時間程度である。解
繊処理に強い攪拌作用の付加を必要としないことは、解
繊工程での繊維の折損等を防止し、高アスペクト比を有
する繊維サイズの揃った五チタン酸四ナトリウム多結晶
繊維の回収を可能とする。
【0013】〔ナトリウム溶出処理〕解繊処理された五
チタン酸四ナトリウム多結晶繊維を脱ナトリウム処理に
付してナトリウムの一部を溶出させ、ナトリウム含有量
が8.5重量%未満で、1重量%以上である水和チタン
酸ナトリウム多結晶繊維(57≧TiO2 /Na2 Oモ
ル比>6)を得る。繊維中のナトリウム量を8.5重量
%より低くするのは、その後の焼成処理で六チタン酸ナ
トリウム結晶と共に、チタニア結晶を析出させるためで
あり、他方ナトリウム量の下限を1重量%としたのは、
ナトリウム量がそれより少なくなると、焼成工程で六チ
タン酸ナトリウム結晶が析出しないか、その析出が困難
となるからである。上記脱ナトリウム処理は、水または
熱水を使用して行うこともできるが、効率よく処理を達
成するために、酸水溶液、例えば0.01〜1%の塩
酸、0.01〜1%の硫酸水溶液、0.1〜2%の酢酸
水溶液等が好適に使用される。その処理効率を高めるた
めに、所望によりプロペラまたはミキサー等による緩和
な攪拌流が加えられる。Naイオンの溶出量は、処理液
の種類とその使用量、処理時間、攪拌の有無等により調
節することができる。
【0014】〔焼成処理〕上記ナトリウム溶出処理を施
された繊維(水和チタン酸ナトリウム多結晶繊維)は、
化学組成的には、六チタン酸ナトリウム結晶とチタニア
結晶との混相に相当する組成を有しているが、結晶構造
は、先駆体である五チタン酸四ナトリウム結晶の層状構
造の名残りをとどめている。焼成処理は、これを六チタ
ン酸ナトリウム結晶とチタニア結晶に構造変換する処理
である。焼成処理は、900〜1250℃の温度域に加
熱保持することにより達成される。処理温度の下限を9
00℃とするのは、それより低い温度では、得られる複
合繊維の結晶性が悪く、化学的に不安定であるからであ
り、1250℃を上限とするのは、六チタン酸ナトリウ
ム結晶の溶融を防止するためである。焼成処理を低温側
(約970℃以下)で行う場合のチタニア結晶はアナタ
ーゼ相として析出し、高温度側(約1050℃以上)で
はルチル相として析出する。中間の温度域(約1000
℃前後)ではアナターゼ相とルチル相の両相が生成す
る。なお、焼成処理による結晶構造の変換反応は、上記
温度域に数分間保持することにより達成されるが、処理
時間は結晶粒の焼結とそれによる繊維強度とも関係する
ので、繊維強度を高める点から数時間(例えば1〜5H
r)の処理を行うのが望ましい。
【0015】上記工程を経て得られる本発明の六チタン
酸ナトリウム複合繊維は、高アスペクト比を有し、かつ
ウィスカ等の極微細単結晶繊維と異なる多結晶繊維形態
を有する。その繊維サイズは、直径約10〜60μm,
長さ約80〜400μm,アスペクト比約2〜10であ
り、摩擦材・摺動部材等の基材繊維、塗料充填材等とし
て好適である。その複合繊維の六チタン酸ナトリウム結
晶とチタニア結晶との量比は、ナトリウム溶出工程にお
けるNaイオンの溶出量の制御により、目的とする繊維
の用途や要求特性に応じた高低任意の量比に調整するこ
とができる。
【0016】
【実施例】
〔1〕出発原料の調製 精製アナターゼ粉末(純度:99%)88.3g、炭酸
ナトリウム粉末(純度:99%)61.7g、および炭
酸カリウム粉末(純度:99%)8.0gを均一に混合
(TiO 2 / Na2 O =1.9, K2 O/ Na 2 O =0.
1)。 〔2〕加熱溶融および溶融生成物の冷却凝固処理 出発原料を白金ルツボに入れ、加熱炉内で、温度110
0℃に1時間加熱保持することにより溶融反応を達成す
る。溶融生成物を銅皿に流し込み、そのまま冷却・凝固
させて、繊維塊を得る。
【0017】〔3〕湿式解繊およびナトリウム溶出処理 繊維塊(120g)を水(12L)に浸漬し一夜放置す
る。繊維塊は水和反応に伴う膨潤・劈開により、容易に
解繊を達成する。ついで、工業用硫酸(62.5%)を
添加する。溶出促進のため、処理液に緩和な攪拌を施
し、3時間を要して溶出処理を完結した後、処理液から
繊維を回収する。 〔5〕焼成処理 回収した繊維を脱水・乾燥し、焼成処理(処理時間2H
r)する。
【0018】表1は、上記工程における処理条件および
最終繊維の結晶相等を示している。表中、「ナトリウム
溶出処理液」欄の数値(%)は、工業用硫酸の添加量
(対固形分重量比)であり、「最終繊維」欄の「6T
N」は、六チタン酸ナトリウム結晶、「R」はルチル相
チタニア結晶、「A」はアナターゼ相チタニア結晶を表
している。脱ナトリウム処理でNaイオンの溶出量を調
節することにより、六チタン酸ナトリウム結晶とチタニ
ア結晶とからなる複合繊維が得られ、そのチタニア結晶
は、焼成温度によりルチル相やアナターゼ相として生成
していることがわかる。なお、最終繊維の繊維サイズ
(走査型電子顕微鏡による)は、平均繊維径25μm,
平均繊維長150μm,アスペクト比6であった。
【0019】
【表1】
【0020】
【参考例】
−デイスクパツドとその摩擦特性− (1)デイスクパツドの製作 下記組成物を予備成形(加圧力:15MPa,温度:常
温,時間:1分間)の後、金型に充填して結着成形(加
圧力:15MPa、温度:170℃,時間:5分間)
し、離型後、熱処理(180℃で3時間保持)を施し、
ついで研磨加工を加えて供試パツドA,B,C,Dを得
る。 基材繊維 30重量部 結合剤(フエノール樹脂) 20重量部 摩擦調整剤(硫酸バリウム) 50重量部供試パツドA: 基材繊維として、前記実施例欄、表1の
No.1(発明例)の六チタン酸ナトリウム複合繊維を使
用。供試パツドB: 基材繊維として、前記実施例欄、表1の
No.3(発明例)の六チタン酸ナトリウム複合繊維を使
用。供試パツドC: 基材繊維として、前記実施例欄、表1の
No.6(比較例)の六チタン酸ナトリウム単相繊維を使
用。供試パツドD: 基材繊維としてアスベスト繊維(6クラ
ス)を使用。
【0021】(2)摩擦摩耗試験 各供試パツドから試験片を切出し、JIS D4411
「自動車用ブレーキライニング」の規定に準拠した定速
式摩擦摩耗試験(デイスク摩擦面;FC25ねずみ鋳
鉄、面圧:980kPa、摩擦速度:7m/S )を行つ
て摩耗率(cm3/N・m)および摩擦係数(μ)を測
定し、図1および図2に示す結果を得た。本発明の六チ
タン酸ナトリウム複合繊維を使用した供試パッドAおよ
びBは、供試パツドC(六チタン酸カリウム単相繊維使
用)やD(アスベスト繊維使用)に比べ低温域から高温
域に亘つて高い摩擦係数を有し(図1)、かつ高い摩耗
抵抗性を有している(図2)。
【0022】
【発明の効果】本発明の複合繊維は、六チタン酸ナトリ
ウム結晶にチタニア結晶が分散混在した複合結晶相を有
する効果として、六チタン酸ナトリウム単相繊維に比べ
て、硬度、耐摩耗性、剪断強度等にすぐれている。従っ
て、これを例えば自動車等の制動装置を構成する摺動部
材の基材繊維として適用する場合は、改良された摩擦摩
耗特性を得ることができる。また、耐熱・耐摩耗塗料の
充填剤、強化プラスチツクの補強繊維、耐火・断熱材等
の用途において、六チタン酸カリウム単相繊維に代え本
発明の複合繊維を使用することにより、その材料特性を
更に高めることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】定速式摩擦摩耗試験によるデイスクパツドの摩
擦係数測定結果を示すグラフである。
【図2】定速式摩擦摩耗試験によるデイスクパツドの摩
耗率測定結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六チタン酸ナトリウム結晶にチタニア結
    晶が分散析出した複合相を有する多結晶繊維であること
    を特徴とする六チタン酸ナトリウム複合繊維。
  2. 【請求項2】 TiO2 または加熱によりTiO2 を生
    成するチタン化合物と、Na2 Oまたは加熱によりNa
    2 Oを生成するナトリウム化合物とを、TiO2 /Na
    2 Oのモル比が1.5〜2.5となる割合に混合すると
    共に、これにK2 Oまたは加熱によるK2 Oを生成する
    カリウム化合物を、K2 O/Na2 Oのモル比が0.0
    5〜0.2となる割合に配合した混合物を加熱溶融し、 加熱溶融生成物を冷却して繊維状の五チタン酸四ナトリ
    ウム結晶を含む繊維塊を得、 上記繊維塊を水中に浸漬して五チタン酸四ナトリウムの
    多結晶繊維に解繊し、更に酸水溶液で、繊維中のナトリ
    ウム量が、8.5重量%未満,1重量%以上となるまで
    Naイオンを溶出した後、 温度900〜1250℃で焼成処理することを特徴とす
    る請求項1に記載の六チタン酸ナトリウム複合繊維の製
    造方法。
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