JP3102789B1 - 板状8チタン酸カリウム及びその製造方法 - Google Patents
板状8チタン酸カリウム及びその製造方法Info
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Abstract
を得る。 【解決手段】 チタン酸カリウムマグネシウムまたはチ
タン酸カリウムリチウムなどを酸処理することにより得
られる板状チタン酸を、水酸化カリウム溶液中に浸漬
し、その後焼成することにより、平均長径1〜100μ
m、平均アスペクト比3〜100の板状8チタン酸カリ
ウムを製造することを特徴としている。
Description
リウム及びその製造方法に関するものである。
ン酸カリウム(K2O・8TiO2)は、通常、繊維状の
化合物として得られ、優れた結晶強度と高い断熱性を有
することから、摩擦調整剤や樹脂等の強化剤として広く
使用されている。
は繊維形状を有しているため嵩高く、流動性に劣り、製
造時において供給路の壁に付着して、供給路を閉塞させ
るといった問題点を有している。また、樹脂強化剤とし
ては、ねじれ方向に加わる力に対する補強性能が十分で
ないという欠点を有している。また、摩擦剤用途におい
ては、摩擦面における高い効果を確保するため板状のも
のが要望されている。
状に結晶成長する性質があるため、これまでに板状の8
チタン酸カリウムは得られていなかった。本発明の目的
は、板状の8チタン酸カリウム及びその製造方法を提供
することにある。
カリウムは、平均長径1〜100μm、平均アスペクト
比〔平均長径/平均短径(厚み)〕3〜100を有する
ことを特徴としている。
法は、板状チタン酸を水酸化カリウム溶液中に浸漬した
後、焼成することを特徴としている。板状チタン酸とし
ては、例えば、チタン酸カリウムマグネシウムまたはチ
タン酸カリウムリチウムの板状物を酸処理して得られる
ものを用いることができる。本発明の製造方法におい
て、焼成温度は400〜650℃であることが好まし
く、500〜600℃であることがさらに好ましい。
は、平均長径1〜100μm、好ましくは3〜30μ
m、平均アスペクト比3〜100、好ましくは5〜20
の板状物である。ここで、平均長径は、いわゆる平均粒
子径を意味しており、例えばレーザー回折式粒度分布測
定装置によりメジアン径として測定される値である。ま
た、アスペクト比は、平均短径(厚み)に対する平均長
径の比(平均長径/平均短径)をいう。平均アスペクト
比は、走査型電子顕微鏡で平均短径(厚み)を測定し、
上記平均長径との比率を算出することにより求めること
ができる。この場合一般に、走査型電子顕微鏡の視野内
で厚みを確認できるもの20個程度について測定し、平
均短径の平均値を求める。
法は、板状チタン酸を水酸化カリウム溶液中に浸漬し、
カリウムイオンをインターカーレートした後、焼成する
ことを特徴としている。板状チタン酸は、酸処理により
層間の陽イオンをデインターカーレートすることができ
る化合物を用い、これを酸処理することにより得ること
ができる。このような化合物としては、板状チタン酸カ
リウムマグネシウム及び板状チタン酸カリウムリチウム
等が挙げられる。これらの化合物は、例えば特開平5−
221795号公報に開示された方法に従って製造する
ことができる。
タン源とカリウム源とマグネシウム源を混合し、フラッ
クスを添加し、十分混合した後、1000〜1100℃
で1〜8時間焼成することにより得ることができる。
合物より任意に選択でき、具体的には、酸化チタン、ル
チル鉱石、水酸化チタンウエットケーキ、含水チタニア
を例示できる。
ウムを生じる化合物より選択することができ、具体例と
しては、酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウ
ム、硝酸カリウム等が例示できる。中でも炭酸カリウム
が好ましい。マグネシウム源としては、水酸化マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム、フッ化マグネシウム等を例示
できる。
混合割合としては、Ti:K:Mg=4:2:1(モル
比)の割合を基本とするが、各々5%程度であれば変化
させても支障ない。前記割合を大きく外れると、板状で
ない副生物であるK2MgTi7O16の析出を生じること
があり、好ましくない。
化カリウム、モリブデン酸カリウム、タングステン酸カ
リウムを例示でき、中でも塩化カリウムが好ましい。フ
ラックスの添加割合としては、前記原料とのモル比(原
料:フラックス)で、3:1〜3:15、好ましくは
3:3.5〜3:10の割合とするのがよい。フラック
スの添加量は少ない程経済的に有利であるが、少なすぎ
ると板状結晶が崩れるため好ましくない。
により行うことができるが、量産する際には、調製した
原料を煉瓦状、円柱状等の形状の成形体にプレス成形し
た上、トンネルキルンを用いて行うのが好ましい。
1〜24時間保持することにより行うのが好ましい。昇
温、降温速度は特に制限はないが、通常、3〜7℃/分
とするのが好ましい。焼成温度が高い程、大型の板状物
が得られるが、1100℃を超えると溶融により形状が
損なわれるので一般に好ましくない。また、保持時間が
長い程、粒子形状を大型化することができる。
を用いて粗粉砕、微粉砕を行った後、水中に分散させ5
〜10%程度のスラリーとして撹拌することにより湿式
解砕を行うことができる。さらに、必要に応じて分級、
ろ過、乾燥して板状のチタン酸カリウムマグネシウムを
得る。板状のチタン酸カリウムマグネシウムは、平均長
径3〜30μm程度の比較的小型の本発明の板状8チタ
ン酸カリウムの原料として好適である。
法としては、例えば、チタン源とカリウム源とリチウム
源を混合し、フラックスを添加し、十分混合した後、8
25〜1150℃で1〜12時間保持する方法が例示で
きる。
は、前記のチタン酸カリウムマグネシウムの製造に用い
られるものと同様のものを使用することができる。リチ
ウム源としては、加熱により酸化リチウムを生成し得る
化合物より適宜選択することができ、例えば、炭酸リチ
ウム、硝酸リチウム等を例示できる。
割合としては、Ti:K:Li=1.73:0.8:
0.27(モル比)の割合を基本とするが、それぞれ5
%程度であれば変化させても支障ない。また、フラック
スの添加割合は、原料1に対して1〜4(モル比)の割
合で使用するのがよい。フラックスの量が少なすぎると
生成物が板状にならず、またフラックスの量が多すぎる
と経済的に不利であるため、それぞれ好ましくない。
シウムの製造と同様の手段により行うことができるが、
焼成温度は825〜1150℃の間とし、1〜24時間
保持することにより行うことが好ましい。
ン酸カリウムマグネシウムの製造と同様の手段により行
うことができる。チタン酸カリウムリチウムは、平均長
径10〜100μm程度の比較的大型の本発明の板状8
チタン酸カリウムの原料として好適である。
カレーションに用いる酸としては硫酸、硝酸、塩酸等の
鉱酸が例示できる。酸処理は、これらの酸の1モル/リ
ットル(1N)程度の水溶液中で層間の陽イオンが略完
全に溶出されるまで撹拌することにより行うのが好まし
い。撹拌は通常5時間〜8時間程度かけて行うのがよ
い。
ウムイオンインターカレーション工程に供する。カリウ
ムイオンのインターカレーションは、前記で得られた板
状チタン酸を1〜30%程度、好ましくは5〜20%程
度のスラリーとし、スラリー中にpHが12〜13とな
るよう1モル/リットル(1N)の水酸化カリウムを添
加し、そのまま撹拌を続けることにより行うことができ
る。撹拌は5〜10時間程度行うのが好ましい。
チタン酸カリウムの副生が多くなるため好ましくなく、
pHが12以下では酸化チタンの副生が多くなるため好
ましくない。
了後、ろ過、水洗、乾燥した後、500〜600℃で焼
成することにより、板状8チタン酸カリウムを得ること
ができる。焼成は、電気炉、マッフル炉、ロータリーキ
ルン等のトンネルキルン、ロータリングキルン等により
行うことができる。
分が残存し、また、焼成温度が600℃を超えると生成
物に酸化チタン、6チタン酸カリウムの副生が増えるた
め好ましくない。
カリウムは、その形状及び結晶系に由来する性質を除く
他、繊維状8チタン酸カリウムと同様の物理的性質を有
しており、繊維状8チタン酸カリウムと同様に安定で無
毒の化合物である。
強度といった機械的強度を向上させる効果を有する点に
おいても繊維状8チタン酸カリウムと同様であるが、板
状物であるため、高い表面平滑性、摺動特性の実現やね
じれ方向に加わる力に対する強度の確保、アイゾット衝
撃強度の向上に一層顕著な効果が期待できる。さらに、
ブレーキ用摩擦剤としても一層顕著な効果が期待でき
る。
明する。 (実施例1) 1.板状チタン酸カリウムマグネシウム(K0.8Mg0.4
Ti1.6O4)の合成 アナターゼ酸化チタン粉末13kg、炭酸カリウム6.
06kg、水酸化マグネシウム2.46kg、塩化カリ
ウム8.48kg、水3リットルをヘンシェルミキサー
を用いて十分に混合した後、19.6MPa(200k
gf/cm2)の圧力にて加圧プレスし、1個約3kg程
度の煉瓦状の成形物とした。
り焼成した。焼成は、5℃/分の割合で1050℃まで
昇温し、3時間保持した後、5℃/分の割合で室温まで
降温することにより行った。
いて粗粉砕した後、ピンミルを用いて数mm以下に微粉
砕し、次いでこのものを水に分散させ10%のスラリー
溶液とし、プロペラ羽根で1時間撹拌し、湿式解砕を行
った。次いでスラリー液を150メッシュ(目開き10
0μm)のフルイに通し、分級を行った。フルイ上の粉
体は再度湿式解砕を行い分級を行った。遠心濾過後、乾
燥して、板状チタン酸カリウムマグネシウム(K0.8M
g0.4Ti1.6O4、平均長径4.6μm、平均アスペク
ト比約10)15.46kgを得た。なお、形状は走査
型電子顕微鏡(SEM)観察により確認し、同定はX線
回折法及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジ
アン径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した。
(K0.8Mg0.4Ti1.6O4)の全量を、70%硫酸1
5.68kgを水293.52リットルに溶解させた溶
液に分散させ、5%スラリーとした。撹拌羽根により約
5時間撹拌を続けた後、ろ過、水洗、乾燥して、板状の
チタン酸(H2Ti2O5)11.97kgを得た。な
お、形状はSEM観察により確認し、同定はX線回折法
及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジアン
径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した。
インターカレーション 前工程で得られた板状チタン酸の全量を、85%水酸化
カリウム7.41kgを水112.29リットルに溶解
させた溶液に分散させ、10%スラリーとした。撹拌羽
根により約5時間撹拌を続けた後、ろ過、水洗、110
℃2時間乾燥した。
成し、板状8チタン酸カリウム(平均長径4.2μm、
平均アスペクト比約10)13.36kgを得た。な
お、形状はSEM観察により確認し、同定はX線回折法
及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジアン
径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定し、平均短
径はSEM観察で測定した。図1は、得られた板状8チ
タン酸カリウムのSEM写真である。
クト比約10のチタン酸カリウムリチウム(K0. 8Li
0.27Ti1.73O4)を原料として用いた以外は、上記実
施例1と同様にして、板状8チタン酸カリウムを製造し
た。得られた板状8チタン酸カリウムの平均長径は9.
4μmであり、平均アスペクト比は約10であった。な
お、形状はSEM観察により確認し、同定はX線回折法
及び蛍光X線分析により行った。平均長径(メジアン
径)はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定し、平均短
径はSEM観察で測定した。図2は、得られた板状8チ
タン酸カリウムのSEM写真である。
ウムの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)。
ウムの走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)。
Claims (4)
- 【請求項1】 平均長径1〜100μm、平均アスペク
ト比〔平均長径/平均短径(厚み)〕3〜100の板状
8チタン酸カリウム。 - 【請求項2】 板状チタン酸を水酸化カリウム溶液中に
浸漬した後、焼成することを特徴とする板状8チタン酸
カリウムの製造方法。 - 【請求項3】 板状チタン酸が、チタン酸カリウムマグ
ネシウムまたはチタン酸カリウムリチウムの板状物を酸
処理して得られるものであることを特徴とする請求項2
に記載の板状8チタン酸カリウムの製造方法。 - 【請求項4】 焼成温度が400〜650℃であること
を特徴とする請求項2または3に記載の板状8チタン酸
カリウムの製造方法。
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