JPH10279924A - 非石綿系ブレーキ用摩擦材 - Google Patents

非石綿系ブレーキ用摩擦材

Info

Publication number
JPH10279924A
JPH10279924A JP9052097A JP9052097A JPH10279924A JP H10279924 A JPH10279924 A JP H10279924A JP 9052097 A JP9052097 A JP 9052097A JP 9052097 A JP9052097 A JP 9052097A JP H10279924 A JPH10279924 A JP H10279924A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkali metal
friction material
compound
titanium compound
composite titanium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9052097A
Other languages
English (en)
Inventor
Isamu Kobayashi
勇 小林
Kenji Azuma
健司 東
Masafumi Yasuda
雅文 安田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP9052097A priority Critical patent/JPH10279924A/ja
Publication of JPH10279924A publication Critical patent/JPH10279924A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】自動車のブレーキ装置等に使用される摩擦材の
摩擦摩耗特性の改良。 【解決手段】結合剤である熱硬化性樹脂に繊維基材,充
填材等を配合した混合物を結着成形してなる摩擦材であ
って、チタニア(TiO2 ) ,トンネル型結晶構造のチタン
酸アルカリ金属化合物(M2 Tin O 2n+1) 〔TiO 2 / M 2
O モル比≧6〕 ,またはペロブスカイト型結晶構造のチ
タン酸アルカリ土類金属(RTIO 3 ) の2種ないし3種の
結晶が分散混在した球状粒子(チタニアおよびチタン酸
アルカリ金属の結晶はアスペクト比の大きい柱状結晶形
態を有している)からなる粉末が配合されている。粉末
粒径は、約10〜100μmであり、配合量は3〜50
体積%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車,鉄道車
両,航空機,産業機械類等の制動装置におけるブレーキ
ライニング,ディスクパッド,クラッチフェーシング等
の摺動面を構成する摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】上記制動装置の摩擦材は、樹脂結合剤
(フェノール樹脂,エポキシ樹脂等)を結合成分とし、
繊維基材,充填材等を配合した混合物を加熱・加圧下に
結着成形することにより製造される。従来より繊維基材
としてアスベストを配合した摩擦材が使用されてきた。
しかし、摩擦面の高温化に伴う摩耗損傷や、摩擦係数の
急激な低下・フェード現象を生じ易く、またアスベスト
の発がん性の問題も指摘されている。近時、アスベスト
代替品として、六チタン酸アルカリ金属(M2 Ti 6
13)や八チタン酸アルカリ金属(M2 Ti8 17
〔M: アルカリ金属〕等のトンネル型結晶構造を有する
チタン化合物粉末を配合した非石綿系摩擦材の実用化が
試みられている。そのチタン化合物として、繊維形状の
粉末に代えて球状粒子からなる粉末を、非石綿系の繊維
基材と共に配合した摩擦材も提案されている。
【0003】本出願人は、既出願において、複数種のチ
タン化合物を含有する非石綿系摩擦材を提供した(特開
平8-337660号公報)。これは、チタニア(TiO2 ),
トンネル型結晶構造のチタン酸アルカリ金属化合物(M
2 Tin 2n+1)〔Mは,K,Na,Li,Sr等のア
ルカリ金属〕,ペロブスカイト型結晶構造のチタン酸ア
ルカリ土類金属化合物(RTiO3 )〔Rは,Ca,B
a,Mg,Sr等のアルカリ土類金属〕の2種ないし3
種の結晶粒が分散混在した混相構成を有する球状粒子か
らなる複合チタン化合物粉末を、非石綿系繊維基材と共
に配合した摩擦材である。その複合チタン化合物粉末
は、チタン酸化物(TiO2 ),アルカリ金属酸化物
(M2 O),アルカリ土類金属酸化物(RO)を、目的
とする複合チタン化合物の結晶相構成に応じて配合した
混合物(加熱によりこれらの酸化物を生成する化合物の
混合物でもよい)を造粒処理し、適当な粒径を有する造
粒粉を形成して焼成処理することにより製造される粉末
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記複合チタン化合物
粉末を構成するチタニア(TiO2 ),チタン酸アルカ
リ金属化合物(M2 Tin 2n+1),チタン酸アルカリ
土類金属化合物(RTiO3 )のそれぞれは、良好な耐
熱性,耐摩耗性,補強性等を有するチタン化合物であ
り、これらの結晶相の混相粒子からなる粉末は、球状粒
子であることによる良好な分散性により、摩擦材の均質
性を高めると共に、その混相効果として、摩擦材に改良
された摩擦摩耗特性を付与する。本発明は、上記複合チ
タン化合物粉末の球状粒子を構成する結晶の形状を制御
することにより、摩擦摩耗特性の改善効果をより高く発
揮させることを可能とした非石綿系ブレーキ用摩擦材を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の非石綿系ブレー
キ用摩擦材は、熱硬化性樹脂を結合剤とし、繊維基材,
充填材等を配合した混合物を結着成形してなる非石綿系
ブレーキ用摩擦材において、次の複合チタン化合物粉末
〜のいずれか一種を含有することを特徴としてい
る。複合チタン化合物粉末は、チタニア結晶,トンネル
型構造のチタン酸アルカリ金属結晶,ペロブスカイト型
構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物の結晶を構成相
とし、チタニアおよびトンネル型チタン酸アルカリ金属
化合物は、アスペクト比の大きい柱状結晶形状を有して
いる。 柱状結晶形状を有するチタニアおよびトンネル型結晶
構造のチタン酸アルカリ金属化合物(M2 Ti
n 2n+1)〔M: アルカリ金属,TiO 2 / M 2 O モル
比: 6〜8〕が分散混在した球状粒子からなる粉末(以
下「複合チタン化合物粉末A」) 柱状結晶形状を有するチタニアと、ペロブスカイト型
結晶構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO
3 )〔R: アルカリ土類金属〕が分散混在した球状粒子
からなる粉末(以下「複合チタン化合物B」) 柱状結晶形状を有するチタニアおよびトンネル型結晶
構造のチタン酸アルカリ金属化合物(M2 Ti
n 2n+1)〔M: アルカリ金属,TiO 2 / M 2 O モル
比: 6〜8〕と、ペロブスカイト型結晶構造のチタン酸
アルカリ土類金属化合物(RTiO3 )〔R: アルカリ
土類金属〕が分散混在した球状粒子からなる粉末(以下
「複合チタン化合物C」)。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の摩擦材に配合される複合
チタン化合物粉末は、摩擦係数の向上および対面損傷性
の点から、複合チタン化合物Aでは、チタニア/トンネ
ル型結晶構造チタン酸アルカリ金属化合物の量比(モル
比)が、(0.1〜20)/1である混相構成を有する
球状粒子、複合チタン化合物Bでは、チタニア/ペロブ
スカイト型結晶構造チタン酸アルカリ土類金属の量比
(モル比)が、(0.1〜20)/1である混相構成を
有する球状粒子、複合チタン化合物Cでは、チタニア/
トンネル型結晶構造チタン酸アルカリ金属化合物/ペロ
ブスカイト型結晶構造チタン酸アルカリ土類金属化合物
の量比(モル比)が、(0.1〜20)/1/(0.2
〜40)である混相構成を有する球状粒子からなるも
の、がそれぞれ好適に使用される。
【0007】複合チタン化合物粉末の球状粒子内の柱状
結晶(チタニア結晶,トンネル型結晶構造チタン酸アル
カリ金属化合物)は、その結晶形状効果を十分ならしめ
るために、アスペクト比(長さ/断面径の比)が約3〜
10のものが好ましい。複合チタン化合物粉末の粒径
は、平均粒径約10〜100μmのものが適当である。
10μmより微細な粒径では、粒子の凝集を生じ易く樹
脂中への均一分散が困難となり、他方100μmを超え
る粗大粒子では、摩擦材対面損傷性の低下傾向を生じ
る。複合チタン化合物粉末の配合割合は、約3〜50体
積%の範囲が適当である。約3体積%より少ないと、配
合効果が少なく、他方50体積%を越えると、摩擦・摩
耗特性の改善効果が飽和し、それ以上に増量する利益が
ないからである。
【0008】本発明の摩擦材の構成成分である上記複合
チタン化合物粉末は、その製造法として焼成法が適用さ
れ、チタン酸化物(TiO2 ),アルカリ金属酸化物
(M2O),アルカリ土類金属酸化物(RO)を、目的
とする複合チタン化合物の結晶構成に応じて配合した混
合物(加熱によりこれらの酸化物を生成する化合物の混
合物でもよい)の造粒粉を出発原料とし、焼成処理(一
次焼成処理),アルカリ金属イオン溶出処理、および溶
出処理物の焼成処理(二次焼成)の工程を経由して得ら
れるものが好適に使用される。
【0009】出発原料を調製するためのチタン化合物
は、精製アナターゼ,精製ルチル、あるいはTiの塩化
物,弗化物等のハロゲン化合物,硫酸塩,硝酸塩,水和
物等である。アルカリ金属化合物は、K,Na,Li,
Rb等の酸化物,炭酸塩等であり、このほか水酸化物,
ハロゲン化物,硝酸塩等が挙げられる。アルカリ土類金
属化合物は、Ca,Ba,Mg,Sr等の酸化物,炭酸
塩,硝酸塩,ハロゲン化物,水酸化物等が使用される。
これらの化合物は、均質な混相球状粒子を形成するため
に、サブミクロンオーダの微細粉末(例えば,0.2〜
0.5μm)であるのが好ましい。その混合粉末をスプ
レードライヤー(湿式噴霧乾燥処理)で適当な粒径(好
ましくは,10〜100μm)の造粒粉を形成する。こ
れを一次焼成,溶出処理,および二次焼成に付し、二次
焼成物に振動ふるい等の軽度の解砕処理を加えることに
より、出発原料の造粒粉の球形態とその粒径にほぼ等し
い粒径の球状粒子からなる複合チタン化合物粉末が得ら
れる。
【0010】次に上記複合チタン化合物粉末A〜Cのそ
れぞれの製造について説明する。
【複合チタン化合物Aの製造】
〔出発原料および一次焼成処理〕出発原料はチタン化合
物とアルカリ金属化合物とを、TiO 2 / M 2 O (モル
比)が2〜4となる割合に配合して調製される。一次焼
成(処理温度: 700〜1200℃)により、下記反応
を生じ、 M2 O+nTiO2 →M2 Tin 2n+1 …〔1〕 〔式中,n=2〜4 〕 その反応生成物として、層状構造チタン酸アルカリ金属
化合物(M2 Tin 2n +1)〔TiO 2 / M 2 O モル比:
2〜4〕を得る。層状結晶構造チタン酸アルカリ金属化
合物は、二チタン酸アルカリ金属(M2 Ti2 5 ),
三チタン酸アルカリ金属(M2 Ti3 7 ),四チタン
酸アルカリ金属(M2 Ti4 9 )等である。
【0011】〔アルカリ金属イオン溶出処理〕一次焼成
物を溶出処理液〔水,温水,または酸水溶液,例えば,
0.01〜1 %硫酸水溶液,0.01 〜1 %塩酸,0.1〜2 %の酢
酸水溶液等〕に浸漬し、層状構造チタン酸アルカリ金属
化合物(M2 Tin 2n+1)からアルカリ金属イオンの
一部を溶出し、水和チタン酸アルカリ金属化合物
((M,H)2 Tin 2n+1)〔TiO 2 / M 2 O モル比
>6〕に組成変換する。目的とする複合チタン化合物粉
末Aを構成する結晶相(チタニア/トンネル型構造チタ
ン酸アルカリ金属化合物)の量比は、上記水和チタン酸
アルカリ金属化合物((M,H)2 Tin 2n+1)の組
成(TiO 2 / M 2 O モル比)により決定される。水和チ
タン酸アルカリ金属化合物を所望の組成とするためのア
ルカリ金属イオンの溶出量は、処理液量,処理液の種
類,攪拌の有無,処理時間等により制御される。
【0012】〔二次焼成処理〕溶出処理物の二次焼成処
理(700〜1300℃)により、水和チタン酸アルカ
リ金属化合物((M,H)2 Tin 2n+1)から、トン
ネル型構造チタン酸アルカリ金属化合物が生成すると共
に、余剰のTiO2 成分がチタニア結晶として析出し、
複合チタン化合物Aを得る。
【0013】
【複合チタン化合物Bの製造】
〔出発原料および一次焼成処理〕チタン化合物,アルカ
リ金属化合物,およびアルカリ土類金属化合物の混合物
を出発原料とする。配合量比は、目的とする複合チタン
化合物Bを構成する結晶相(チタニア/ペロブスカイト
型構造チタン酸アルカリ土類金属化合物)の量比に応じ
て調整される。一次焼成処理(温度: 700〜1200
℃)により、下式〔1〕の反応による層状構造チタン酸
アルカリ金属化合物(M2 Tin 2n+1)〔TiO 2 / M
2 O モル比: 2〜4〕、および下式〔2〕の反応による
ペロブスカイト型構造のチタン酸アルカリ土類金属化合
物(RTiO3 )を生成する。層状構造チタン酸アルカ
リ金属化合物の生成反応〔1〕は、前記複合チタン化合
物Aの製造工程の一次焼成反応と同じである。 M2 O+nTiO2 →M2 Tin 2n+1…〔1〕 TiO2 + RO → RTiO3 …〔2〕
【0014】〔アルカリ金属イオン溶出処理〕一次焼成
物(層状構造チタン酸アルカリ金属化合物とペロブスカ
イト型構造チタン酸アルカリ土類金属化合物の混合物)
を液中に浸漬し、層状構造チタン酸アルカリ金属化合物
(M2 Tin 2n+1)からアルカリ金属イオンの全量を
溶出し、これを水和チタン酸化合物(H2 Ti
n 2n+1)に組成変換する。チタン酸アルカリ土類金属
化合物(RTiO3 )の組成変化はなく、そのまま残留
する。溶出処理は、水,温水,または酸水溶液(例え
ば,0.01〜1 %硫酸水溶液,0.01 〜1 %塩酸,0.1〜2 %
の酢酸水溶液等)を使用して行うことがでる。
【0015】〔二次焼成処理〕溶出処理物(水和チタン
酸化合物とペロブスカイト型構造チタン酸アルカリ土類
金属の混合物)に二次焼成(温度: 900〜1300
℃)を施し、水和チタン酸化合物からチタニア結晶を析
出生成する。ペロブスカイト型構造のチタン酸アルカリ
土類金属(RTiO3 )の構造変化はなく、そのままで
ある。二次焼成物として、チタニア(TiO2 )とペロ
ブスカイト(RTiO3 )の混相を有する複合化合物B
を得る。
【0016】
【複合チタン化合物Cの製造】
〔出発原料および一次焼成処理〕チタン化合物,アルカ
リ金属化合物,およびアルカリ土類金属化合物の混合物
を出発原料とする。配合量比は、目的とする複合チタン
化合物を構成する結晶相の量比に対応して調整される。
一次焼成処理は、前記複合チタン化合物Bの製造工程の
一次焼成と同様の条件下に行われ、前記反応式〔1〕に
よる層状構造チタン酸アルカリ金属化合物(M 2 Tin
2n+1)と、反応式〔2〕によるペロブスカイト型構造
のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO3 )を生
成する。
【0017】〔アルカリ金属イオン溶出処理〕一次焼成
物(層状構造チタン酸アルカリ金属化合物とペロブスカ
イト型構造チタン酸アルカリ土類金属化合物の混合物)
の溶出処理は、前記複合チタン化合物Aの製造工程にお
ける溶出処理と同様の処理条件で行い、層状構造チタン
酸アルカリ金属化合物(M2 Tin 2n+1)〔TiO 2 /
M 2 O モル比: 2〜4〕を、水和チタン酸アルカリ金属
化合物((M,H)2 Tin 2n+1)〔TiO 2 / M 2 O
モル比>6〕に組成変換する。目的とする複合チタン化
合物粉末Cにおける、チタニア/トンネル型構造チタン
酸アルカリ金属化合物の量比は、水和チタン酸アルカリ
金属化合物((M,H)2 Tin 2n+1)の組成〔TiO
2 / M 2 O モル比〕により決定される。ペロブスカイト
型構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RTi
3 )は、組成変化を受けずそのままであり、複合チタ
ン化合物Cに占めるその量比(モル比)は、溶出処理物
中のそれと同じである。
【0018】〔二次焼成処理〕溶出処理物(水和チタン
酸アルカリ金属化合物とペロブスカイト型構造チタン酸
アルカリ土類金属化合物の混合物)を二次焼成処理(9
00〜1300℃)に付す。水和チタン酸アルカリ金属
化合物((M,H)2 Tin 2n+1)から、トンネル型
チタン酸アルカリ金属(M2 Tin 2n+1)〔n=6〜
8〕を生成し、余剰のTiO2 はチタニア結晶として析
出する。焼成処理条件とその生成物は、前記複合チタン
化合物Aの製造工程の二次焼成と同じである。ペロブス
カイト型構造のチタン酸アルカリ土類金属(RTi
3 )の構造変化はなく、そのまま存在する。この二次
焼成処理により、目的とする3種の混相化合物である複
合チタン化合物Cを得る。
【0019】本発明の摩擦材の原料組成物は、上記複合
チタン化合物粉末が配合される点を除いて、従来一般の
非石綿系摩擦材と異ならず、その製造工程にも特別の条
件ないし制限は課せられない。結合成分は、例えばフェ
ノール樹脂,エポキシ樹脂,シリコーン樹脂等の熱硬化
性樹脂、またはその変性樹脂(カシュー油変性,乾性変
性,ゴム変性等)が適宜使用される。繊維基材は、ポリ
アミド繊維,アラミド繊維,フェノール繊維等の有機繊
維,セラミック繊維,ガラス繊維,合成無機化合物繊維
(チタン酸カリウム繊維等)の無機繊維,スチール繊
維,非鉄金属繊維(黄銅,銅,アルミニウム等)の金属
繊維等であり、その1種ないし2種以上が適宜配合され
る。繊維基材は、所望により、分散性や樹脂結合剤との
結着性を高めるための表面処理として、シラン系カップ
リング剤またはチタネート系カップリング剤によるカッ
プリング処理を常法に従って施したものが使用される。
【0020】充填剤は、例えば,加硫もしくは未加硫の
天然・合成ゴム粉末,カシュー樹脂粉粒,レジンダス
ト,ゴムダスト等の有機物粉末,黒鉛,二硫化モリブデ
ン,三硫化アンチモン,硫酸バリウム,炭酸カルシウム
等の無機物粉末,銅,アルミニウム,亜鉛,鉄等の金属
粉末,アルミナ,シリカ,酸化クロム,酸化銅,酸化チ
タン,酸化鉄,ジルコン等の酸化物粉末等であり、これ
らの1種なしい2種以上の粉末が、所望により摩擦調整
剤として適量配合される。この他、防錆剤,潤滑剤,研
削剤等が必要に応じて適量添加されることも、通常の摩
擦材におけるそれと異ならない。
【0021】原料組成物は、冷間加圧成形等による予備
成形を施された後、加熱・加圧下の結着成形(加圧力:
約10〜40MPa, 温度: 約150 〜200 ℃)に付され、結
着成形の後、型から取り出され、必要に応じて熱処理
(温度: 約150 〜200 ℃, 保持時間: 約1 〜12Hr)が
施され、ついで機械加工,研磨加工が加えられて目的と
する摩擦材に仕上げられる。
【0022】
【実施例】
(1)原料組成物の調製 表1参照。チタン化合物粉末欄の各記号(G1〜G6, H1〜
H3)は下記のとおりである。各粉末は、球状粒子(平均
粒径約40μm) からなる粉末である。粉末G1〜G6は、球
状粒子を構成するチタニア結晶, チタン酸アルカリ金属
結晶が柱状結晶(アスペクト比約5 〜7)を呈し、粉末H1
〜H3は、粒子を構成する各結晶相がアスペクト比の小さ
い粒形状を有する粉末である(後記参考例参照)。 G1 :複合チタン化合物 A G2 :複合チタン化合物 B G3 :複合チタン化合物 B G4 :複合チタン化合物 B G5 :複合チタン化合物 C G6 :複合チタン化合物 C H1 :従来の複合チタン化合物(結晶相は粉末G1と同じ) H2 :従来の複合チタン化合物(結晶相は粉末G2と同じ) H3 :従来の複合チタン化合物(結晶相は粉末G5と同じ)
【0023】(2)摩擦材の成形 原料組成物を予備成形(加圧力: 15MPa,温度: 常
温,時間: 1分間)の後、金型による結着成形(加圧
力: 15MPa,温度: 170 ℃,加圧保持時間:5分
間)に付し、成形後、脱型して乾燥炉で熱処理(180 ℃
に3時間保持) する。その後、所定寸法に切断し、研磨
加工を加えて供試摩擦材( ディスクパッド)を得る。
【0024】(3)摩擦試験 各供試摩擦材について、JASO C 406「乗用車ブレーキ装
置ダイナモメータ試験方法」による摩擦性能試験を行
う。第2効力試験結果を表1の下欄に示す。「対面損傷
性」は、試験後の相手材(材種: FC 250)の摩耗損傷の
程度を肉眼観察により対比したものである(○: 軽微、
△: やや多い、×: 顕著 )。 (試験条件) 制動初速度: 50Km / h, 100Km / h。 減速度 : 0.6G
【0025】
【表1】
【0026】発明例No.1〜6 (複合チタン化合物粉末A
〜C 含有)を、比較例No.11 〜13(複合チタン化合物
粉末H1〜H3含有)と対比すると、発明例は、摩擦係数が
高く、かつその高摩擦係数に拘らず、対面損傷性も良好
であり、比較例に比し、改良された摩擦特性を有してい
る。
【0027】
【参考例】(複合チタン化合物粉末の製造) 〔出発原料の調製〕チタン化合物として精製アナターゼ
粉末,アルカリ土類金属化合物として炭酸塩粉末,アル
カリ金属化合物として炭酸塩粉末を所定の量比に配合
し、水(粉末合計重量の約2倍量)を添加してスラリー
としたうえ、スプレードライヤーで造粒粉(平均粒径:
40μm)を形成する。 〔一次焼成処理〕造粒粉をアルミナるつぼに入れ、電気
炉で焼成処理(1000℃×2 Hr) 。 〔アルカリ金属溶出処理〕水(被処理物の約100 倍,重
量)に硫酸を添加して調製した硫酸水溶液を処理液と
し、一次焼成物を浸漬しプロペラ攪拌下、1 〜2 Hrを要
してアルカリ金属イオンを溶出。 〔二次焼成処理〕溶出処理物を脱水乾燥後、アルミナる
つぼに入れ、電気炉で焼成処理(1100℃×2 Hr)。焼成
物を振動ふるいで解砕し、複合チタン化合物粉末 G1 〜
6 〔G1: 複合チタン化合物粉末A, G2 〜G4: 複合チタン
化合物B, G5 〜G6: 複合チタン化合C 〕を得る(平均粒
径: 40μm)。
【0028】比較例として、原料組成物および造粒処理
条件を上記のそれと同一とし、従来法による一回の焼成
処理(1100℃×2 Hr)を行って、混相構成の球状粒子か
らなる複合チタン化合物粉末 H1 〜H3を得る(H1: 球状
粒子の構成結晶相は粉末G1と同じ,H2: 粉末G2と同じ,
H3: 粉末G5と同じ)を得る。比較例の粉末 H1 〜H3の球
状粒子を構成する各結晶相はアスペクト比の小さい粒形
状を呈し、粉末 G1 〜G6の球状粒子は、チタニアおよび
チタン酸アルカリ金属化合物の結晶が柱状結晶形状を有
している(アスペクト比約5〜7)。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明の摩擦材は、本発明の摩擦材は、
複合チタン化合物粉末の配合効果による改良された摩擦
摩耗特性を有する。本発明の摩擦材は自動車,車両,航
空機,各種産業機械類の制動装置を構成するブレーキラ
イニング,ディスクパッド,クラッチフェーシング等と
して有用であり、制動装置の小型化・軽量化等への対応
を可能とし制動機能の向上・安定化、耐久性の改善等に
寄与するものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂を結合剤とし、基材繊維,
    充填材等を配合した混合物を結着成形してなる非石綿系
    ブレーキ用摩擦材において、 柱状結晶形状を有するチタニアおよびトンネル型結晶構
    造のチタン酸アルカリ金属化合物(M2 Tin 2n+1
    〔M: アルカリ金属,TiO 2 / M 2 O モル比:6〜8〕
    が分散混在した球状粒子からなる複合チタン化合物粉末
    を含有することを特徴とする摩擦材。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂を結合剤とし、基材繊維,
    充填材等を配合した混合物を結着成形してなる非石綿系
    ブレーキ用摩擦材において、 柱状結晶形状を有するすチタニアと、ぺロブスカイト型
    結晶構造のチタン酸アルカリ土類金属化合物(RTiO
    3 )〔R: アルカリ土類金属〕が分散混在した球状粒子
    からなる複合チタン化合物粉末を含有することを特徴と
    する非石綿系摩擦材。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂を結合剤とし、基材繊維,
    充填材等を配合した混合物を結着成形してなる非石綿系
    ブレーキ用摩擦材において、 柱状結晶形状を有するチタニアおよびトンネル型結晶構
    造のチタン酸アルカリ金属化合物(M2 Tin 2n+1
    〔M: アルカリ金属,TiO 2 / M 2 O モル比:6〜8〕
    と、ペロブスカイト型結晶構造のチタン酸アルカリ土類
    金属化合物(RTiO3 )〔R: アルカリ土類金属〕が
    分散混在した球状粒子からなる複合チタン化合物粉末を
    含有することを特徴とする非石綿系摩擦材。
  4. 【請求項4】柱状結晶のアスペクト比は3〜10である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1
    項に記載の非石綿系摩擦材。
  5. 【請求項5】 複合チタン化合物粉末は、平均粒径10
    〜100μmの球状粒子であることを特徴とする請求項
    1ないし請求項4のいずれか1項に記載の非石綿系摩擦
    材。
JP9052097A 1997-04-09 1997-04-09 非石綿系ブレーキ用摩擦材 Pending JPH10279924A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9052097A JPH10279924A (ja) 1997-04-09 1997-04-09 非石綿系ブレーキ用摩擦材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9052097A JPH10279924A (ja) 1997-04-09 1997-04-09 非石綿系ブレーキ用摩擦材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10279924A true JPH10279924A (ja) 1998-10-20

Family

ID=14000734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9052097A Pending JPH10279924A (ja) 1997-04-09 1997-04-09 非石綿系ブレーキ用摩擦材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10279924A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000066497A1 (fr) * 1999-04-28 2000-11-09 Otsuka Chemical Co., Ltd. Procede de preparation d'octatitanate de potassium en particules
EP1070751A4 (en) * 1999-02-09 2001-08-22 Otsuka Chemical Co Ltd FRICTION MATERIAL
WO2003004551A1 (en) * 2001-07-02 2003-01-16 Prizmalite Industries, Inc. Friction pads and disks and compositions and methods for producing same
WO2014185307A1 (ja) * 2013-05-15 2014-11-20 大塚化学株式会社 摩擦材及びドラムブレーキ用摩擦材

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1070751A4 (en) * 1999-02-09 2001-08-22 Otsuka Chemical Co Ltd FRICTION MATERIAL
US6432187B1 (en) 1999-02-09 2002-08-13 Otsuka Chemical Co., Ltd. Friction material
KR100401956B1 (ko) * 1999-02-09 2003-10-17 오츠카 가가쿠 홀딩스 가부시키가이샤 마찰재
WO2000066497A1 (fr) * 1999-04-28 2000-11-09 Otsuka Chemical Co., Ltd. Procede de preparation d'octatitanate de potassium en particules
WO2003004551A1 (en) * 2001-07-02 2003-01-16 Prizmalite Industries, Inc. Friction pads and disks and compositions and methods for producing same
US6579920B2 (en) * 2001-07-02 2003-06-17 Prizmalite Friction pads and disks and compositions and methods for producing same
WO2014185307A1 (ja) * 2013-05-15 2014-11-20 大塚化学株式会社 摩擦材及びドラムブレーキ用摩擦材
JP2014224175A (ja) * 2013-05-15 2014-12-04 大塚化学株式会社 摩擦材及びドラムブレーキ用摩擦材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1440940B1 (en) Lepidocrocite type lithium potassium titanate, method for preparation thereof, and friction material
KR101205075B1 (ko) 비정질 복합 티탄산 알칼리 금속 조성물 및 마찰재
EP0834469B1 (en) Powder of titanium compounds
JP5535509B2 (ja) 摩擦材
US5962551A (en) Powder of titanium compounds
JPH10279924A (ja) 非石綿系ブレーキ用摩擦材
JP3537066B2 (ja) 複合チタン化合物粉末およびその製造方法
JP3229777B2 (ja) 摩擦材
JP2000178536A (ja) 摩擦材
JP3292973B2 (ja) 摩擦材
JP4144817B2 (ja) 六チタン酸カリウム単結晶繊維の製造方法
JP2000178026A (ja) 複合チタン化合物粉末およびその製造方法
JP3603978B2 (ja) 非石綿系摩擦材
JPH1046137A (ja) 摩擦材
JPH11246678A (ja) 摩擦材
JPH10139894A (ja) 耐フェード性にすぐれたブレーキ用摩擦材
KR100229289B1 (ko) 티탄화합물분말
JPH10287424A (ja) 複合チタン化合物の製造方法
JPH0853553A (ja) 摩擦材
JP3467577B2 (ja) チタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末およびその製造方法
JP2000264692A (ja) 摩擦材
JP6730045B2 (ja) 摩擦材用α−アルミナ粒子及びα−アルミナ粒子の製造方法
JPH11116697A (ja) 非石綿系摩擦材
JPH0912735A (ja) 摩擦材
JPH11116698A (ja) 非石綿系摩擦材