JPH0920517A - チタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末およびその製造方法 - Google Patents
チタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末およびその製造方法Info
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- JPH0920517A JPH0920517A JP16743695A JP16743695A JPH0920517A JP H0920517 A JPH0920517 A JP H0920517A JP 16743695 A JP16743695 A JP 16743695A JP 16743695 A JP16743695 A JP 16743695A JP H0920517 A JPH0920517 A JP H0920517A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 自動車用ブレーキパッドの摩擦材の基材成分
等として有用な、耐熱性,耐摩耗性等にすぐれたチタン
酸アルカリ金属複合化合物を提供する。 【構成】 この複合化合物は、M2 Tin O2n+1〔Mは
アルカリ金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸アルカ
リ金属に、αアルミナ(Al2 O3 ),M2 O・mAl
2 O3 で示されるβアルミナ〔Mは前記と同義,mは5
〜11〕,およびMx Alx Ti8-x O16〔Mは前記と
同義,xは0.5〜3〕で示されるホランダイト構造プ
リデライトであるアルミニウム化合物の1種ないし2種
以上が分散した混相構成を有する。TiO2 等のチタン
化合物、M2 O等のアルカリ金属化合物、およびAl2
O 3 を所定の比率に配合した混合物を焼成処理(900
〜1300℃)することにより製造される。
等として有用な、耐熱性,耐摩耗性等にすぐれたチタン
酸アルカリ金属複合化合物を提供する。 【構成】 この複合化合物は、M2 Tin O2n+1〔Mは
アルカリ金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸アルカ
リ金属に、αアルミナ(Al2 O3 ),M2 O・mAl
2 O3 で示されるβアルミナ〔Mは前記と同義,mは5
〜11〕,およびMx Alx Ti8-x O16〔Mは前記と
同義,xは0.5〜3〕で示されるホランダイト構造プ
リデライトであるアルミニウム化合物の1種ないし2種
以上が分散した混相構成を有する。TiO2 等のチタン
化合物、M2 O等のアルカリ金属化合物、およびAl2
O 3 を所定の比率に配合した混合物を焼成処理(900
〜1300℃)することにより製造される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦材の構成材料等と
して有用な、チタン酸アルカリ金属とアルミニウム化合
物等からなるチタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末お
よびその製造方法に関する。
して有用な、チタン酸アルカリ金属とアルミニウム化合
物等からなるチタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式:M2 Tin O2n+1〔式中,Mは
アルカリ金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸アルカ
リ金属、例えば三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O
7 )、四チタン酸カリウム(K2 Ti4 O9 )、六チタ
ン酸カリウム(K2 Ti6 O13)等の結晶質繊維は、耐
熱性, 耐摩耗性, 強度等にすぐれた合成無機化合物であ
り、アスベスト代替材として各種分野での工学的応用が
期待され、例えば自動車用ブレーキパッド等の摩擦材の
基材成分、あるいは強化プラスチック製品の強化材等と
してその実用化が試みられている。チタン酸アルカリ金
属の代表的な合成法の一つである焼成法によれば、二酸
化チタン〔TiO2 〕または加熱によりTiO2 を生成
するチタン化合物と、酸化アルカリ金属〔M2 O〕(M
はアルカリ金属)または加熱によりM2 Oを生成するア
ルカリ金属化合物とを所定比率に配合し、焼成処理する
ことにより製造される。その原料混合物の配合比率や焼
結処理温度等により、焼成反応生成物として、化学組成
や結晶構造の異なる種々のチタン酸アルカリ金属が得ら
れる。
アルカリ金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸アルカ
リ金属、例えば三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O
7 )、四チタン酸カリウム(K2 Ti4 O9 )、六チタ
ン酸カリウム(K2 Ti6 O13)等の結晶質繊維は、耐
熱性, 耐摩耗性, 強度等にすぐれた合成無機化合物であ
り、アスベスト代替材として各種分野での工学的応用が
期待され、例えば自動車用ブレーキパッド等の摩擦材の
基材成分、あるいは強化プラスチック製品の強化材等と
してその実用化が試みられている。チタン酸アルカリ金
属の代表的な合成法の一つである焼成法によれば、二酸
化チタン〔TiO2 〕または加熱によりTiO2 を生成
するチタン化合物と、酸化アルカリ金属〔M2 O〕(M
はアルカリ金属)または加熱によりM2 Oを生成するア
ルカリ金属化合物とを所定比率に配合し、焼成処理する
ことにより製造される。その原料混合物の配合比率や焼
結処理温度等により、焼成反応生成物として、化学組成
や結晶構造の異なる種々のチタン酸アルカリ金属が得ら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、チタン
酸アルカリ金属の合成法およびその物性の改良に関する
研究過程において、原料混合物に一定量のアルミナを配
合することにより、焼成反応で生成するチタン酸アルカ
リ金属は、アスベスト繊維のような人体に有害とされて
いる針状の結晶成長が抑制されること、またその反応生
成物は、チタン酸アルカリ金属中に、αアルミナ,βア
ルミナ,あるいはホランダイト構造プリデライト等のア
ルミニウム化合物が分散析出した混相を呈する複合化合
物である複合効果として、チタン酸アルカリ金属単相化
合物と異なる材料特性を有し、例えば自動車用ブレーキ
パッド等の摩擦材構成成分として有用であることを見出
した。本発明はこの知見に基づいてなされたものであ
る。
酸アルカリ金属の合成法およびその物性の改良に関する
研究過程において、原料混合物に一定量のアルミナを配
合することにより、焼成反応で生成するチタン酸アルカ
リ金属は、アスベスト繊維のような人体に有害とされて
いる針状の結晶成長が抑制されること、またその反応生
成物は、チタン酸アルカリ金属中に、αアルミナ,βア
ルミナ,あるいはホランダイト構造プリデライト等のア
ルミニウム化合物が分散析出した混相を呈する複合化合
物である複合効果として、チタン酸アルカリ金属単相化
合物と異なる材料特性を有し、例えば自動車用ブレーキ
パッド等の摩擦材構成成分として有用であることを見出
した。本発明はこの知見に基づいてなされたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のチタン酸アルカ
リ金属系複合化合物粉末は、M2 Tin O2n+1〔式中,
Mはアルカリ金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸ア
ルカリ金属に、αアルミナ(Al2 O3 )、M2 O・m
Al2 O3 で示されるβアルミナ〔式中,Mは前記と同
義,mは5〜11〕、およびMx Alx Ti 8-x O
16〔式中,Mは前記と同義,xは0.5〜3〕で示され
るホランダイト構造プリデライトであるアルミニウム化
合物の1種ないし2種以上が分散した混相化合物である
ことを特徴としている。本発明のチタン酸アルカリ金属
系複合化合物粉末は、TiO2 または加熱によりTiO
2 を生成するチタン化合物と、M2 O(Mは前記と同
義)または加熱によりM2 Oを生成するアルカリ金属化
合物とを、TiO 2 / M 2 O のモル比が3〜6となる割合
に配合すると共に、その総量の1〜10重量%に相当す
る量のAl 2 O3 を加えて均一に混合し、温度900〜
1300℃で焼成処理する工程により製造される。
リ金属系複合化合物粉末は、M2 Tin O2n+1〔式中,
Mはアルカリ金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸ア
ルカリ金属に、αアルミナ(Al2 O3 )、M2 O・m
Al2 O3 で示されるβアルミナ〔式中,Mは前記と同
義,mは5〜11〕、およびMx Alx Ti 8-x O
16〔式中,Mは前記と同義,xは0.5〜3〕で示され
るホランダイト構造プリデライトであるアルミニウム化
合物の1種ないし2種以上が分散した混相化合物である
ことを特徴としている。本発明のチタン酸アルカリ金属
系複合化合物粉末は、TiO2 または加熱によりTiO
2 を生成するチタン化合物と、M2 O(Mは前記と同
義)または加熱によりM2 Oを生成するアルカリ金属化
合物とを、TiO 2 / M 2 O のモル比が3〜6となる割合
に配合すると共に、その総量の1〜10重量%に相当す
る量のAl 2 O3 を加えて均一に混合し、温度900〜
1300℃で焼成処理する工程により製造される。
【0005】
【作用】本発明の複合化合物粉末は、チタン酸アルカリ
金属に、αアルミナ,βアルミナ,プリデライト等のア
ルミニウム化合物が混在していることによる複合的特性
として、例えばこれを自動車用ブレーキパッド等の摩擦
材の基材成分とすることにより、摩擦材に改良された高
摩擦係数が付与される。本発明の複合化合物は、原料粉
末の組成配合および焼成処理温度条件により、αアルミ
ナ(Al2 O3 ),βアルミナ(M2 O・mAl
2 O3 ),またはホランダイト構造プリデライト(Mx
Alx Ti8-x O16)等のアルミニウム化合物と共に、
チタニア(TiO2 )が混在した複合化合物として収得
される。
金属に、αアルミナ,βアルミナ,プリデライト等のア
ルミニウム化合物が混在していることによる複合的特性
として、例えばこれを自動車用ブレーキパッド等の摩擦
材の基材成分とすることにより、摩擦材に改良された高
摩擦係数が付与される。本発明の複合化合物は、原料粉
末の組成配合および焼成処理温度条件により、αアルミ
ナ(Al2 O3 ),βアルミナ(M2 O・mAl
2 O3 ),またはホランダイト構造プリデライト(Mx
Alx Ti8-x O16)等のアルミニウム化合物と共に、
チタニア(TiO2 )が混在した複合化合物として収得
される。
【0006】本発明のチタン酸アルカリ金属系複合化合
物を製造するための焼成原料を構成する、TiO2 また
は加熱によりTiO2 を生成するチタン化合物は、精製
アナターゼ粉末,精製ルチル粉末,ハロゲン化物,硫酸
塩,硝酸塩,水和物等であり、M2 Oまたは加熱により
M2 Oを生成するアルカリ金属化合物は、Na,K,R
b,Li等の酸化物,炭酸塩,硫酸塩,硝酸塩,ハロゲ
ン化物,水酸化物等が使用される。チタン化合物とアル
カリ金属化物との配合割合は、TiO 2 / M 2 O のモル比
が3〜6となるように調整される。配合割合を3以上と
しているのは、それより低い値では、上記チタン酸アル
カリ金属の生成に必要なTiO2 量が不足するからであ
り、配合割合の上限を6とするのは、それを越えると、
TiO2 の未反応残留量の増加により、焼成反応生成物
として収得される複合化合物の材料特性の低下をきた
し、摩擦材の基材成分等としての適性が損なわれるから
である。
物を製造するための焼成原料を構成する、TiO2 また
は加熱によりTiO2 を生成するチタン化合物は、精製
アナターゼ粉末,精製ルチル粉末,ハロゲン化物,硫酸
塩,硝酸塩,水和物等であり、M2 Oまたは加熱により
M2 Oを生成するアルカリ金属化合物は、Na,K,R
b,Li等の酸化物,炭酸塩,硫酸塩,硝酸塩,ハロゲ
ン化物,水酸化物等が使用される。チタン化合物とアル
カリ金属化物との配合割合は、TiO 2 / M 2 O のモル比
が3〜6となるように調整される。配合割合を3以上と
しているのは、それより低い値では、上記チタン酸アル
カリ金属の生成に必要なTiO2 量が不足するからであ
り、配合割合の上限を6とするのは、それを越えると、
TiO2 の未反応残留量の増加により、焼成反応生成物
として収得される複合化合物の材料特性の低下をきた
し、摩擦材の基材成分等としての適性が損なわれるから
である。
【0007】原料混合物におけるアルミナの配合量は、
上記チタン化合物とアルカリ金属化合物の総量に対し、
その1〜10重量%に相当する範囲内に調整される。1
重量%を下限としたのは、それに満たない量では、焼成
反応生成物中に占めるアルミニウム化合物の生成量が不
足し、複合化合物としたことによる材料特性効果が得ら
れないからであり、他方10%を上限としたのは、それ
を越えると、アルミニウム化合物の特性のみが顕著化
し、チタン酸アルカリ金属の材料特性が弱められ、この
場合も複合化合物の混相構成としての材料特性改善効果
が減殺されるからである。
上記チタン化合物とアルカリ金属化合物の総量に対し、
その1〜10重量%に相当する範囲内に調整される。1
重量%を下限としたのは、それに満たない量では、焼成
反応生成物中に占めるアルミニウム化合物の生成量が不
足し、複合化合物としたことによる材料特性効果が得ら
れないからであり、他方10%を上限としたのは、それ
を越えると、アルミニウム化合物の特性のみが顕著化
し、チタン酸アルカリ金属の材料特性が弱められ、この
場合も複合化合物の混相構成としての材料特性改善効果
が減殺されるからである。
【0008】焼成処理は、900〜1300℃の温度範
囲において行われる。900℃を下限とするのは、チタ
ン酸アルカリ金属の合成反応を効率よく行わせるためで
あり、1300℃を上限とするのは、それを越えると、
生成したチタン酸アルカリ金属が溶融し、得られる複合
化合物の品質が損なわれるからである。
囲において行われる。900℃を下限とするのは、チタ
ン酸アルカリ金属の合成反応を効率よく行わせるためで
あり、1300℃を上限とするのは、それを越えると、
生成したチタン酸アルカリ金属が溶融し、得られる複合
化合物の品質が損なわれるからである。
【0009】焼成反応生成物である複合化合物中のチタ
ン酸アルカリ金属の結晶相は、原料の調製に使用したア
ルカリ金属化合物の材種および焼成処理温度により制御
される。例えば、アルカリ金属化合物としてカリウム化
合物(炭酸カリウム等)を使用し、TiO 2 / M 2 O のモ
ル比を約5.8〜6.2に調整した原料の焼成処理にお
いては、六チタン酸カリウム(K2 Ti6 O13)が生成
し、そのモル比を約3.8〜4.2に調整して行う焼成
処理では、四チタン酸カリウム(K2 Ti4 O 9 )が生
成する。また、ナトリウム化合物(炭酸ナトリウム等)
を使用し、TiO 2 / M 2 O のモル比を約2.8〜3.2
の範囲に調整して焼成処理する場合は、チタン酸アルカ
リ金属として、三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O
7 )を含む複合化合物が得られる。
ン酸アルカリ金属の結晶相は、原料の調製に使用したア
ルカリ金属化合物の材種および焼成処理温度により制御
される。例えば、アルカリ金属化合物としてカリウム化
合物(炭酸カリウム等)を使用し、TiO 2 / M 2 O のモ
ル比を約5.8〜6.2に調整した原料の焼成処理にお
いては、六チタン酸カリウム(K2 Ti6 O13)が生成
し、そのモル比を約3.8〜4.2に調整して行う焼成
処理では、四チタン酸カリウム(K2 Ti4 O 9 )が生
成する。また、ナトリウム化合物(炭酸ナトリウム等)
を使用し、TiO 2 / M 2 O のモル比を約2.8〜3.2
の範囲に調整して焼成処理する場合は、チタン酸アルカ
リ金属として、三チタン酸ナトリウム(Na2 Ti3 O
7 )を含む複合化合物が得られる。
【0010】複合化合物の混相構成は、焼成処理温度に
より変化する。処理温度を高めるに伴って、βアルミナ
(M2 O・mAl2 O3 )の生成が助長され、また生成
したβアルミナとアルミナ(Al2 O3 ),チタニア
(TiO2 )との反応が進み、ホランダイト構造プリデ
ライト(Mx Alx Ti8-x O16)の生成量が多くな
る。例えば、TiO 2 / M 2 O (モル比)を約5.8〜
6.2とし、アルミナ量を約1〜10重量%に調整した
原料粉末の焼成処理において、約950℃以下の低温度
域で焼成処理する場合は、六チタン酸アルカリ金属にα
アルミナが混在した複合化合物が得られ、約950℃を
越え、1200℃より低い温度域での焼成処理では、β
アルミナないしプリデライトが生成し、これにαアルミ
ナ,チタニア等が付随した混相構成となり、更に約12
00℃以上の高温処理を行う場合は、プリデライトのみ
混在した複合化合物が得られる。
より変化する。処理温度を高めるに伴って、βアルミナ
(M2 O・mAl2 O3 )の生成が助長され、また生成
したβアルミナとアルミナ(Al2 O3 ),チタニア
(TiO2 )との反応が進み、ホランダイト構造プリデ
ライト(Mx Alx Ti8-x O16)の生成量が多くな
る。例えば、TiO 2 / M 2 O (モル比)を約5.8〜
6.2とし、アルミナ量を約1〜10重量%に調整した
原料粉末の焼成処理において、約950℃以下の低温度
域で焼成処理する場合は、六チタン酸アルカリ金属にα
アルミナが混在した複合化合物が得られ、約950℃を
越え、1200℃より低い温度域での焼成処理では、β
アルミナないしプリデライトが生成し、これにαアルミ
ナ,チタニア等が付随した混相構成となり、更に約12
00℃以上の高温処理を行う場合は、プリデライトのみ
混在した複合化合物が得られる。
【0011】なお、原料粉末混合物は、均一に混合した
乾粉をそのまま焼成処理に付され、または適量の水(粉
末重量の約1〜3倍量)を加えてスラリーとし、湿式噴
霧乾燥機(スプレードライヤー)で乾燥し、造粒粉(例
えば平均粒径40μm)として焼成処理に付される。造
粒粉を使用する場合は、焼成処理後、生成物を振動ふる
いで処理して、もとの造粒粉とほぼ同じ粒度を有する複
合化合物の粉末が収得される。その粉末の各粒子は、チ
タン酸アルカリ金属とアルミニウム化合物等からなる混
相構造を有している。
乾粉をそのまま焼成処理に付され、または適量の水(粉
末重量の約1〜3倍量)を加えてスラリーとし、湿式噴
霧乾燥機(スプレードライヤー)で乾燥し、造粒粉(例
えば平均粒径40μm)として焼成処理に付される。造
粒粉を使用する場合は、焼成処理後、生成物を振動ふる
いで処理して、もとの造粒粉とほぼ同じ粒度を有する複
合化合物の粉末が収得される。その粉末の各粒子は、チ
タン酸アルカリ金属とアルミニウム化合物等からなる混
相構造を有している。
【0012】
【実施例】酸化チタン(精製アナターゼ)粉末とアルカ
リ金属化合物の粉末、およびアルミナ(Al2 O3 )粉
末を配合して原料粉末混合物とし、これに2倍量(重量
比)の水を加えてスラリーを調製した後、湿式噴霧乾燥
機(スプレードライヤー)で処理し、乾燥物として造粒
粉(平均粒径約40μm)を得る。乾燥物をアルミナる
つぼに入れ、電気炉で焼成処理(温度:900〜130
0℃,処理時間:2Hr)する。焼成処理の後、焼成反
応生成物を振動ふるいにかける。得られた粉末は、造粒
粉とほぼ同じ粒径を有する顆粒粉末である。
リ金属化合物の粉末、およびアルミナ(Al2 O3 )粉
末を配合して原料粉末混合物とし、これに2倍量(重量
比)の水を加えてスラリーを調製した後、湿式噴霧乾燥
機(スプレードライヤー)で処理し、乾燥物として造粒
粉(平均粒径約40μm)を得る。乾燥物をアルミナる
つぼに入れ、電気炉で焼成処理(温度:900〜130
0℃,処理時間:2Hr)する。焼成処理の後、焼成反
応生成物を振動ふるいにかける。得られた粉末は、造粒
粉とほぼ同じ粒径を有する顆粒粉末である。
【0013】表1に原料粉末混合物の配合組成比、およ
び焼成処理により得られた複合化合物の混相構成(化合
物の種類および相対量比)を示す。 (実施例1の原料配合) アルカリ金属化合物:炭酸カリウム(K2 CO3 ) TiO 2 / M 2 O (モル比):6 アルミナ配合量:3重量% (実施例2の原料配合) アルカリ金属化合物:炭酸カリウム(K2 CO3 ) TiO 2 / M 2 O (モル比):4 アルミナ配合量:2重量% (実施例3の原料配合) アルカリ金属化合物:炭酸ナトリウム(Na2 CO3 ) TiO 2 / M 2 O (モル比):3 アルミナ配合量:2重量%
び焼成処理により得られた複合化合物の混相構成(化合
物の種類および相対量比)を示す。 (実施例1の原料配合) アルカリ金属化合物:炭酸カリウム(K2 CO3 ) TiO 2 / M 2 O (モル比):6 アルミナ配合量:3重量% (実施例2の原料配合) アルカリ金属化合物:炭酸カリウム(K2 CO3 ) TiO 2 / M 2 O (モル比):4 アルミナ配合量:2重量% (実施例3の原料配合) アルカリ金属化合物:炭酸ナトリウム(Na2 CO3 ) TiO 2 / M 2 O (モル比):3 アルミナ配合量:2重量%
【0014】
【表1】
【0015】実施例1で得られた複化合物は、チタン酸
アルカリ金属化合物として六チタン酸カリウム(K2 T
i6 O13)が生成し、これにαアルミナ,βアルミナ,
プリデライト等のアルミニウム化合物やチタニア等が混
在した混相を有している。その混相構成は焼成処理温度
により異なっている。比較的低温域の焼成処理(No.11
)で得られる複合化合物は、六チタン酸カリウムとα
アルミナからなる混相構成を有し、焼成処理温度を高め
ると、βアルミナやプリデライト等が生成し、処理温度
が高くなるに従ってβアルミナ量が減少すると共にプリ
デライト量が増加していく(No.12 〜14)。更に処理温
度を高めると、αアルミナ,βアルミナ,チタニア等が
消失し、プリデライトのみが六チタン酸カリウムと共存
した複合構成を有する複化合物(No.15 )が得られてい
る。
アルカリ金属化合物として六チタン酸カリウム(K2 T
i6 O13)が生成し、これにαアルミナ,βアルミナ,
プリデライト等のアルミニウム化合物やチタニア等が混
在した混相を有している。その混相構成は焼成処理温度
により異なっている。比較的低温域の焼成処理(No.11
)で得られる複合化合物は、六チタン酸カリウムとα
アルミナからなる混相構成を有し、焼成処理温度を高め
ると、βアルミナやプリデライト等が生成し、処理温度
が高くなるに従ってβアルミナ量が減少すると共にプリ
デライト量が増加していく(No.12 〜14)。更に処理温
度を高めると、αアルミナ,βアルミナ,チタニア等が
消失し、プリデライトのみが六チタン酸カリウムと共存
した複合構成を有する複化合物(No.15 )が得られてい
る。
【0016】実施例2では四チタン酸カリウム(K2 T
i4 O9 )、実施例3では三チタン酸ナトリウム(Na
2 Ti3 O7 )が、それぞれチタン酸アルカリ金属とし
て生成し、これにβアルミナ,αアルミナ,プリデライ
ト等のアルミニウム化合物や、チタニア等が混在した混
相構成を有している。その混相構成は、上記実施例1に
おけるそれと同様に焼成処理温度により変化し、比較的
低い処理温度では、αアルミナ量が比較的多く、処理温
度を高めると、βアルミナ,プリデライトが生成し、さ
らに温度を高くするに伴い、βアルミナは減少し、プリ
デライトが増量することが分かる。
i4 O9 )、実施例3では三チタン酸ナトリウム(Na
2 Ti3 O7 )が、それぞれチタン酸アルカリ金属とし
て生成し、これにβアルミナ,αアルミナ,プリデライ
ト等のアルミニウム化合物や、チタニア等が混在した混
相構成を有している。その混相構成は、上記実施例1に
おけるそれと同様に焼成処理温度により変化し、比較的
低い処理温度では、αアルミナ量が比較的多く、処理温
度を高めると、βアルミナ,プリデライトが生成し、さ
らに温度を高くするに伴い、βアルミナは減少し、プリ
デライトが増量することが分かる。
【0017】
(自動車ブレーキ・ディスク・パッドの製作および摩擦
特性の評価) (1)ディスク・パッドの製作 表2に示す組成物A,BおよびCを調製し、常法に従っ
て予備成形(加圧力:15MPa,時間:1分)、およ
び金型による結着成形(加圧力:15MPa,温度:1
70℃,時間:5分)を行い、離型後、熱処理(180
℃に3Hr保持)し、ついで研摩加工を施して供試ディ
スク・パッドA,BおよびCを得る。表中、「基材欄」
のS1 は、前記実施例欄のNo.13 の複合化合物粉末、S
2 は、同No.14 の複合化合物粉末であり、S3 は六チタ
ン酸カリウム単相粉末(平均粒径40μm)である。
特性の評価) (1)ディスク・パッドの製作 表2に示す組成物A,BおよびCを調製し、常法に従っ
て予備成形(加圧力:15MPa,時間:1分)、およ
び金型による結着成形(加圧力:15MPa,温度:1
70℃,時間:5分)を行い、離型後、熱処理(180
℃に3Hr保持)し、ついで研摩加工を施して供試ディ
スク・パッドA,BおよびCを得る。表中、「基材欄」
のS1 は、前記実施例欄のNo.13 の複合化合物粉末、S
2 は、同No.14 の複合化合物粉末であり、S3 は六チタ
ン酸カリウム単相粉末(平均粒径40μm)である。
【0018】(2)摩擦試験 各供試ディスク・パッドについて、JASO C 406「乗用車
ブレーキ装置ダイナモメータ試験方法」に準拠した第2
効力試験を行い、表3に示す結果を得た。 制動初速度…50km/h,100km/h 減速度…0.3G 表3に示したように、本発明の複合粉末を基材成分とし
て製造されたディスク・パッドAおよびBは、チタン酸
アルカリ金属単相粉末を基材としたディスク・パッドC
を凌ぐ高い摩擦係数μを安定に維持している。
ブレーキ装置ダイナモメータ試験方法」に準拠した第2
効力試験を行い、表3に示す結果を得た。 制動初速度…50km/h,100km/h 減速度…0.3G 表3に示したように、本発明の複合粉末を基材成分とし
て製造されたディスク・パッドAおよびBは、チタン酸
アルカリ金属単相粉末を基材としたディスク・パッドC
を凌ぐ高い摩擦係数μを安定に維持している。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】本発明のチタン酸アルカリ金属系複合化
合物粉末は、チタン酸アルカリ金属と、βアルミナやプ
リデライト等のアルミニウム化合物等からなる混相粉末
として、チタン酸アルカリ金属の単相粉末では得られな
い複合的特性により、例えば自動車等の制動装置を構成
する摩擦材の基材成分として適用して、改良された摩擦
特性を得ることができる。また、その複合化合物粉末
は、微細針状形態をもつアスベスト繊維と異なって環境
汚染・健康上の懸念がなく、安全性にすぐれている。本
発明の複合化合物粉末は、このほかプラスチック補強
材,塗料充填材,断熱材,耐熱材等として有用である。
合物粉末は、チタン酸アルカリ金属と、βアルミナやプ
リデライト等のアルミニウム化合物等からなる混相粉末
として、チタン酸アルカリ金属の単相粉末では得られな
い複合的特性により、例えば自動車等の制動装置を構成
する摩擦材の基材成分として適用して、改良された摩擦
特性を得ることができる。また、その複合化合物粉末
は、微細針状形態をもつアスベスト繊維と異なって環境
汚染・健康上の懸念がなく、安全性にすぐれている。本
発明の複合化合物粉末は、このほかプラスチック補強
材,塗料充填材,断熱材,耐熱材等として有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 M2 Tin O2n+1〔式中,Mはアルカリ
金属,nは3〜6〕で示されるチタン酸アルカリ金属
に、αアルミナ(Al2 O3 )、M2 O・mAl2 O3
で示されるβアルミナ〔式中,Mは前記と同義,mは5
〜11〕、およびMx Alx Ti8-x O16〔式中,Mは
前記と同義,xは0.5〜3〕で示されるホランダイト
構造プリデライトであるアルミニウム化合物の1種ない
し2種以上が分散した混相化合物であることを特徴とす
るチタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末。 - 【請求項2】 TiO2 または加熱によりTiO2 を生
成するチタン化合物と、M2 O(但し、Mはアルカリ金
属)または加熱によりM2 Oを生成するアルカリ金属化
合物とを、TiO 2 / M 2 O のモル比が3〜6となる割合
に配合すると共に、その総量の1〜10重量%に相当す
る量のAl2 O3 を加えて均一に混合し、温度900〜
1300℃で焼成処理することを特徴とする請求項1に
記載のチタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16743695A JPH0920517A (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | チタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16743695A JPH0920517A (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | チタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0920517A true JPH0920517A (ja) | 1997-01-21 |
Family
ID=15849680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16743695A Pending JPH0920517A (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | チタン酸アルカリ金属系複合化合物粉末およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0920517A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140002665A (ko) * | 2010-12-09 | 2014-01-08 | 로베르트 보쉬 게엠베하 | 티탄산 나트륨계 나트륨 이온 전도체 |
-
1995
- 1995-07-03 JP JP16743695A patent/JPH0920517A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140002665A (ko) * | 2010-12-09 | 2014-01-08 | 로베르트 보쉬 게엠베하 | 티탄산 나트륨계 나트륨 이온 전도체 |
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