JPH10258587A - 銀塩オフセット印刷原版の製造方法及び銀塩オフセット印刷原版 - Google Patents

銀塩オフセット印刷原版の製造方法及び銀塩オフセット印刷原版

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JPH10258587A
JPH10258587A JP6655397A JP6655397A JPH10258587A JP H10258587 A JPH10258587 A JP H10258587A JP 6655397 A JP6655397 A JP 6655397A JP 6655397 A JP6655397 A JP 6655397A JP H10258587 A JPH10258587 A JP H10258587A
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treatment
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silver halide
aluminum
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JP6655397A
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Jun Yamada
旬 山田
Takenobu Yoshiki
武宣 吉城
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】陽極酸化したアルミニウムを支持体としたモノ
シートタイプの拡散転写方式銀塩印刷版において、耐刷
性に優れたオフセット印刷版を提供すること。 【解決手段】陽極酸化処理の前に酸性処理液で処理した
後陽極酸化したアルミニウム支持体に直接ハロゲン化銀
感光層を設けた銀塩オフセット印刷原版の製造方法。ハ
ロゲン化銀感光層中の銀イオンを利用して物理現像核を
形成させる銀塩オフセット印刷原版の製造方法。酸性処
理液による化学変成層が陽極酸化膜表面に存在するアル
ミニウム支持体を使用する銀塩オフセット印刷原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷版に
関するものであり、特に、銀塩拡散転写法による銀塩オ
フセット印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般印刷の分野ではアルミニウム
板を支持体とし、その上にジアゾ感光性組成物、アジド
感光性組成物或はフォトポリマー感光性組成物を薄層状
に塗布した、いわゆるPS版がオフセット印刷版として
広く使用されている。PS版は露光後、非画像部を溶出
除去し、非画像部にアルミニウムの陽極酸化面を利用
し、保水性、耐刷性等の印刷性能は優れているものの、
光感度が低く、レーザーダイレクト製版等には大出力の
光源が必要であるばかりか、画像のシャープネスも悪
く、フィルムによる密着焼きしか使用できない問題があ
った。最近、電子写真感光層をアルミニウム支持体の上
に設け、トナー画像を現像後、トナーをレジストとして
非画像部を溶解除去する電子写真方式OPC印刷版も実
用に供されるようになった。この印刷版は光感度も高
く、非画像部にアルミニウムの陽極酸化面を利用し、保
水性、耐刷性等の印刷性能も優れ、新聞用のレーザーダ
イレクト製版に実用され始めているが、電子写真方式で
あるため、コロナ帯電が必要で、密着焼きにおける実用
化が困難で有るばかりでなく、帯電の保持時間に制限が
あって、一般印刷等の高級印刷におけるレーザーダイレ
クト製版は困難であった。
【0003】一方、軽印刷の分野では光感度に優れた、
電子写真方式酸化亜鉛印刷版、銀塩拡散転写法を用いた
銀塩印刷版も実用化されているが、支持体に紙或はフィ
ルムを使用し、しかも非画像部にそのまま親水化した感
光層を使用する為、保水性に劣り、また耐刷性にも制限
があった。
【0004】銀塩拡散転写法(DTR法)を用いた銀塩
平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン
・ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ・ロット
及びエディス・ワイデ著、「フォトグラフィック・シル
バー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第
101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0005】その中に述べられているように、DTR法
を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々に
したツーシートタイプ、或はそれらを一枚の支持体上に
設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツー
シートタイプの平版印刷版については、特開昭57−1
58844号公報に詳しく記載されている。また、モノ
シートタイプについては、特公昭48−30562号、
同51−15765号、特開昭51−111103号、
同52−150105号等の各公報に詳しく記載されて
いる。いずれも軽印刷を対象に開発され、耐刷性には制
限があった。
【0006】アルミニウムを支持体とした銀塩方式の平
版印刷版としては特開昭57−118244号、同57
−158844号、同63−260491号、特開平3
−116151号等の各公報に詳しく記載されている。
例えば、特開昭63−260491号公報では粗面化及
び陽極酸化したアルミニウム支持体の上にカレーレー法
により調製した銀ゾルをゼラチンに分散した物理現像核
液を塗布して、物理現像核層を形成させ、その上にハロ
ゲン化銀感光層を設けた銀塩印刷版が記載されている。
この印刷版は現像主薬及びハロゲン化銀溶剤の存在下で
現像により未露光ハロゲン化銀が可溶性銀錯体に変換さ
れ、下層の物理現像核層に拡散し銀像を形成し、露光ハ
ロゲン化銀は化学現像されて感光層に残り、その後感光
層全体を溶解除去して銀像を残すことによって、印刷版
とされる。従って、アルミニウムの陽極酸化面が利用で
き、保水性には優れているが、親水性ポリマーに分散さ
れた粒子状の物理現像核の塗布が必要で、2層構成とな
る。支持体によって銀像が析出してもアルミニウム表面
への接着性に乏しい場合があり、安定性に欠ける問題が
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアルミニウム
を支持体とした銀塩オフセット印刷版において、アルミ
ニウムの表面処理方法を改良し、銀像の接着性の向上、
画像の再現性向上を図ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題に
ついて鋭意検討した。その結果、アルミニウム支持体の
陽極酸化処理の前に酸性処理液でデスマット処理後、陽
極酸化した支持体面に直接ハロゲン化銀乳剤を塗布する
ことにより、物理現像核を塗布することなく、耐刷性と
画像再現性に優れた印刷版が得られることを見いだし
た。
【0009】即ち、本発明は酸性処理液による処理に次
いで、或いは水洗を介して、陽極酸化処理したアルミニ
ウム支持体面に直接ハロゲン化銀感光層を設けることを
特徴とする銀塩オフセット印刷原版の製造方法である。
また、本発明はアルミニウム支持体上に塗布したハロゲ
ン化銀乳剤中の銀イオンを利用して物理現像核を形成さ
せることを特徴とする銀塩オフセット印刷原版の製造方
法である。さらに酸性処理液による変成層が陽極酸化膜
表面に存在するアルミニウム支持体上にハロゲン化銀乳
剤層を設けたことを特徴とする銀塩オフセット印刷原版
である。さらに上記酸性処理液が硝酸を含有する処理液
であることを特徴とする銀塩オフセット印刷原版であ
る。
【0010】次に、本発明の銀塩オフセット印刷原版及
びその製造方法について詳しく説明する。
【0011】本発明の支持体に使用するアルミニウム板
としては純アルミニウム及び各種の金属、例えば、珪
素、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、マンガン、クロム、
チタン等を少量含むアルミニウム合金板が適当である。
アルミニウムに含まれる微量の不純物金属或は任意に添
加された少量の金属は電解により得られる砂目のピット
の大きさ、形状、分布に大きな影響を与え、さらにはア
ルミニウム板の強度にも大きな影響を与える。
【0012】上記アルミニウム板はオフセット印刷版用
の支持体とするため、感光層を塗布する前に表面処理が
施される。表面処理では一般に脱脂、粗面化、デスマッ
ト、陽極酸化の各処理が行われ、アルミニウムのコイル
を用いて連続的に処理される。各処理の後には必要に応
じて水洗が加えられ、乾燥して支持体とされる。その処
理速度には特に制限はない。
【0013】アルミニウムは一般に活性な金属であり、
空気中では表面に自然に1nm程度の酸化膜が形成され
ている。これらの極薄い酸化膜は上記処理で除去され、
アルミニウム本来の金属表面が現れるが、処理後は各処
理液に特有の表面変成物質の皮膜で覆われる。このよう
な表面皮膜の存在については高橋、永山等の研究(金属
表面技術vol.36、p.96(1985))、或いは菅沼、松木等の
研究(表面技術vol.41、p.1049(1990))があり、その化
学組成や、厚みが確かめられている。即ち、脱脂、電解
エッチ、デスマット等、陽極酸化の前処理としての化学
処理或いは電気化学処理ではアルミニウムの表面に数n
m〜数十nmの表面変成層が形成されている。これを陽
極酸化処理する場合には、陽極酸化処理直前の処理の変
成層が残留し、この変成層と本来のアルミニウムの界面
から陽極酸化が開始され、変成層を表面に乗せたまま酸
化膜が成長する。このような変成層を有する陽極酸化膜
についてはアルミ電解コンデンサーの分野では深く研究
され、断面構造が公表されている。
【0014】即ち、陽極酸化の前処理として同様の工程
を経て製造されるオフセット印刷版用アルミニウム支持
体の場合にも陽極酸化膜は最終工程である陽極酸化で形
成される酸化膜がそのまま最表面に露出するわけではな
く、陽極酸化直前の処理により形成された変成層が酸化
膜の表面に存在している。これらの変成層の性質は感光
層を塗布する場合に大きな影響を与えると予想される
が、既存のPS版や、OPC印刷版では、通常、感光層
は有機溶剤系の塗工で形成されるので、これらの変成層
の影響が現れることはほとんどない。しかし、銀塩印刷
版では感光層は水系の塗工で形成されるためその影響は
大きく現れ、現像銀の析出量やその接着性即ち耐刷性に
大きな差になって現れる。本発明では陽極酸化前のデス
マット処理等の化学処理は酸性処理液が好ましく、特に
硝酸を含む処理液が好ましい。
【0015】次に処理工程の順に支持体の製造方法を説
明する。脱脂処理はアルミニウム表面の圧延時の油或は
空気との接触により生成する酸化膜等を除去し、清浄な
アルミニウム板の表面を露出させて、以降の工程がムラ
なく処理できるように施される。脱脂処理の方法として
は、例えばトリクロロエチレン、パークロロエチレン、
等による溶剤脱脂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、ピロ燐酸
四ナトリウム、石鹸等、或はこれらの混合物によるアル
カリ脱脂、界面活性剤、ケロシン、トリエタノールアミ
ン、水酸化ナトリウム等を組合せたエマルジョン脱脂、
さらに上記の化学脱脂では取れない汚染を除く仕上げ脱
脂と呼ばれる電解脱脂、等の方法がある。叉超音波洗浄
も有効である。
【0016】次に粗面化処理が行われる。粗面化処理は
表面に凹凸を与えるものであり、直接的にはアンカー効
果により感光層の接着性向上に寄与するが、さらにオフ
セット印刷版においては、耐刷性、保水性、印刷画質等
の印刷の基本性能に影響を与えるので、現在ではこれら
の性能を向上させるため各種の方法が実用化されてい
る。即ち、ブラシグレイニング、ボールグレイニング、
液体ホーニング等の機械的粗面化方法、塩酸或は硝酸等
による化学的エッチングによる化学的粗面化方法、或は
これらの酸による電気化学的エッチングによる電解粗面
化方法、或はこれらを組合せて粗面化する方法が知られ
ている。
【0017】これらの中で電解粗面化方法は他の方法に
比較して電解液組成及び電解条件によって、砂目の形状
及び表面粗さを微妙に調整する事が可能であって、近年
では粗面化方法の中心となっている。例えば、ブラシグ
レイニングと電解粗面化(特開昭53-123204号公報記
載)、化学エッチングと電解粗面化(特開昭60-208294
号公報記載)、液体ホーニングと電解粗面化(特開昭60
-18390号公報記載)等の組合せが知られている。電解粗
面化方法は本発明の銀塩オフセット印刷版支持体の粗面
化方法としては好ましい方法である。電解粗面化法で
は、アルミニウム表面にピットが形成され、電解時の電
流密度、液濃度、液組成、液温度等によってピットの大
きさ、深さ、ピットの分布状態を変えることが出来る。
表面の形状は一般に粗さ計により表されるが、その大き
さは中心線平均粗さ;Raの値で0.3〜1.0μが適当
である。
【0018】一般に電解粗面化方法では、塩酸叉は硝酸
を主体とする電解液を使用し、直流或は交流電流(単相
或は3相)を流して電解される。電解粗面化処理では連
続的に移動するアルミニウム板帯に大電流を供給する必
要がある為その給電法に工夫が凝らされ、直接アルミニ
ウム板に給電端子を接触する直接給電法、或いは、直接
アルミニウム板に給電端子を接触することなく、対電極
との間の電解液を介して、例えば単相交流電流の場合に
は処理槽を2つに分けて、その両方の電極の間に電源を
接続し、3相交流の場合にはその3相の各端子を3つの
槽に分けて接続し、電解液を供給して通電する、いわゆ
る間接給電法(金属表面技術 Vol.30,No.10,1979,P541
〜P546)も採用できる。
【0019】電解粗面化処理に使用する電流としては単
相或は3相の商業用交流或はこれらを含めた10〜300Hz
の範囲内の正弦波、サイリスター等により交流の波形の
一部がカットされた波形の電流、正負の電流比が等しく
ない非対称形、対称形正弦波、及び非正弦波、対称形非
正弦波などが使用出来る。
【0020】アルミニウム板に供給される電力は電解液
の組成、温度、電極間距離等により変わるが、印刷版と
して適切な砂目を得るためには、一般に、電圧では1〜
60V、処理面における電流密度では5〜60A/dm2
電気量では50〜4000クーロンの範囲で使われる。又電
解液の温度は0〜60℃、電極とアルミニウム板との距
離は1〜10cmの範囲が好ましい。
【0021】電解液としては硝酸或はその塩、塩酸或は
その塩、或はそれらの1種或は2種以上の混合物の水溶
液が使用出来る。さらに必要に応じて硫酸、燐酸、クロ
ム酸、ほう酸、有機酸、或はそれらの塩、硝酸塩、塩化
物、アンモニウム塩、アミン類、界面活性剤、その他の
腐食促進剤、腐食抑制剤、安定化剤等を加えて使用して
もよい。
【0022】電解液の濃度としては上記の酸類の濃度が
0.1〜10重量%であり、電解液中のアルミニウムイ
オンの濃度を0〜10g/リットル範囲に維持したもの
が好ましい。電解粗面化処理では電解の進行により、ア
ルミニウムがとけ込み、酸類が消費されるので、電解液
の組成が所定の設定範囲をはずれないように、電解液の
一部を廃棄しながら、酸類を補給する、電解液の液管理
のための補充装置の設置が好ましい。
【0023】次にデスマット処理を行う。上記のように
して電解粗面化処理されたアルミニウム板帯は充分に水
洗されるが、その表面には通常スマットが付着して、水
洗のみでは取れず、ピットを塞いでいる。そのスマット
を除去するため、デスマット処理が施される。デスマッ
ト処理ではスマットが溶解し、ピット面が現われる。そ
の溶解量は前記電解液による処理条件によって異なる
が、0.1〜1g/m2が適当である。
【0024】デスマット処理には、脱脂処理に使用され
る水酸化ナトリウム等アルカリ剤、或いは燐酸、硫酸、
硝酸、過塩素酸等の酸、或いはそれらの混合物が使用で
きるが、それぞれスマット除去能力に違いがあり、処理
液の種類或いはその濃度或いは処理温度によってその除
去能力を調整して使用される。デスマット処理が強すぎ
る場合には粗面化の工程で形成された凹凸を溶解して平
坦化させ、また弱すぎる場合にはスマットが残留するの
で好ましくない。残留したスマットは陽極酸化処理後も
そのまま残り、感光層塗布後にカブリとなったり、現像
銀の剥離を生じたりする恐れがある。
【0025】本発明においては陽極酸化直前の処理は酸
性処理液によるデスマット処理が好ましく、特に硝酸を
含有する酸性処理液が物理現像核の形成能力が高く好ま
しく、現像された画像銀の接着性もよく、従って耐刷力
の大きい印刷版をつくることができる。酸性処理液でス
マットが除去し難い場合は例えばアルカリでデスマット
後さらに酸性処理液で処理するような2段階処理によ
り、アルカリによるデスマットの影響の残らないデスマ
ット処理にすることができる。
【0026】粗面化され、デスマットされたアルミニウ
ム板帯には、次に陽極酸化処理が施される。刷版用支持
体の陽極酸化処理としては通常多孔性酸化膜を形成さ
せ、表面硬度を著しく向上させるとともに保水性を確保
する。電解液としては硫酸、蓚酸、クロム酸、燐酸等或
はこれらの混合物を電解液とするのが好ましく、生成酸
化膜の溶解性が低い酸が好ましい。前記変成層は陽極酸
化の進行に伴って電解の起こっているマイクロポア部で
は溶解して消失するが、電解が進行しないセル部分の表
面には残留している。即ち、マイクロポア内には前処理
の影響は残らないが、陽極酸化の後工程で前記デスマッ
ト処理液と同じ処理液で後処理する場合にはこれらの処
理液がマイクロポアの内部まで進入するのとは大きく異
なる。陽極酸化に際して生成する陽極酸化膜のマイクロ
ポアの大きさは上記酸の種類によって変化し、マイクロ
ポアの密度は陽極酸化に際し印加される電圧によって変
化する。マイクロポアの大きさは通常0.01〜0.1
μmである。
【0027】陽極酸化膜は陽極にのみ生成するので、電
流は通常直流電流が使用される。陽極酸化の条件として
は、液濃度1〜40%、電流密度0.1〜10A/dm
2 、電圧10〜100Vの範囲で使用され、電流は直接
給電法或いは間接給電法により供給される。陽極酸化膜
の厚みは電流密度と時間により変えられ、印刷版の耐刷
グレードによって適宜調整されるが、0.1〜3μm で
充分である。温度は陽極酸化膜の硬度に影響を与え、低
温の方が硬度は高くなるが、可撓性に劣るため、通常は
常温付近の温度で陽極酸化される。
【0028】次に本発明では陽極酸化後、物理現像核を
塗布することなく、直接ハロゲン化銀乳剤を塗布する。
【0029】従来、DTR法において用いられる物理現
像核としては、銀、金、白金、パラジウム、銅、カドミ
ウム、鉛、コバルト、ニッケル等の重金属またはその硫
化物、セレン化物、対応する金属イオンを還元した金属
コロイド分散物を挙げることができ、陽極酸化後の支持
体にこれらの核を塗布して物理現像核とする。これに対
して、本発明では、ハロゲン化銀乳剤塗布時、乳剤中に
存在する銀イオンが酸化膜上の変成層に還元され、銀化
合物として物理現像核の作用を発現する。本発明ではハ
ロゲン化銀乳剤中の銀イオン濃度は10-5〜10-8モル
/l、で十分である。
【0030】本発明では物理現像核は陽極酸化膜のセル
上に形成されるので、マイクロポアがつぶれることはな
く、酸化膜本来の保水性を阻害することはない。外部の
陽極酸化膜表面に形成された物理現像核が多くても本発
明の効果が妨げられることはないが、多量に形成される
場合には印刷時に汚れを生ずる恐れがあるので、銀イオ
ンの量は適宜調整する必要がある。
【0031】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀の
種類としては一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化
銀、塩臭化銀、塩ヨウ化銀、ヨウ臭化銀、塩臭ヨウ化銀
等から選択される。また乳剤のタイプとしてはネガ型、
ポジ型のいずれでもよく、また感光性ハロゲン化銀と難
溶化した非感光性ハロゲン化銀乳剤を用いた特開昭54
−48544号公報に記載の特殊なタイプであってもよ
い。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感
或はスペクトル増感することができる。また必要に応じ
て、ハレーション防止等画像シャープネス向上の目的で
オーバー層を設けてもよい。
【0032】感光性ハロゲン化銀乳剤は通常の方法によ
って製造された塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、
塩ヨウ化銀、ヨウ臭化銀、塩臭ヨウ化銀乳剤等のいずれ
でもよいが、該ハロゲン化銀乳剤には貴金属増感、硫黄
増感、還元増感及びこれらを組み合わせた増感等、各種
の化学増感を施すことができ、更には必要に応じて増感
色素、例えばシアニン、メロシアニン、等の色素を用い
て分光増感する事ができる。さらに公知の方法によりカ
ブリ防止剤、安定剤、界面活性剤のような添加剤を含有
してもよい。感光性ハロゲン化銀乳剤の詳細及びその製
法については、特開昭49−55402号公報等の記載
事項が参照できる。
【0033】感光性ハロゲン化銀乳剤の保護コロイドと
して、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ゼラチ
ン誘導体、グラフト化ゼラチン等の各種ゼラチンを用い
ることができる他、ポリビニルピロリドン、各種でんぷ
ん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアゴ
ム、ヒドロキシエチルセルロース等の親水性高分子化合
物を含有することができる。
【0034】DTR方式によるアルミニウム平版印刷版
では、次に述べる手順で銀像が形成される。像様露光さ
れた感光性ハロゲン化銀乳剤層は、現像主薬及びハロゲ
ン化銀溶剤の存在下で未露光ハロゲン化銀は可溶性銀錯
体に変換され、露光ハロゲン化銀は化学現像される。未
露光部の可溶性銀錯体は物理現像核層へ拡散し、物理現
像核の存在下で銀像を形成する。本発明では変成層上に
還元された感光層中の銀イオンが物理現像核となる。銀
画像形成後、ハロゲン化銀感光層を除去し平版印刷版と
して利用される。
【0035】本発明で用いられる現像液には、アルカリ
性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化
合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘凋剤、例え
ばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば
臭化カリウム、色調剤、例えば1−フェニル−5−メル
カプトテトラゾール、現像変成剤、例えばポリオキシア
ルキレン化合物等の添加剤を含ませることができる。本
発明に用いられる現像主薬としてはポリヒドロキシベン
ゼン類、3−ピラゾリジノンが好ましく、これらの主薬
は版材構成層中に含むいわゆる主薬内蔵型の形態で用い
られてもよい。
【0036】ハロゲン化銀感光層を除去するためのウォ
ッシュオフは温度20〜40℃程度の流水で洗い流すこ
とにより行なうことができる。また、ウォッシュオフ
後、版面保護のため必要に応じてアラビアゴム等の版面
保護剤を塗布してもよい。
【0037】
【実施例】本発明の銀塩オフセット印刷版を実施例によ
りさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって制限
されるものではない。
【0038】実施例1 幅300mm、厚み0.2mmのA1050タイプアルミニ
ウム板帯を1.3m/minの処理速度で移動させ、50
℃、4%水酸化ナトリウム水溶液に30秒間浸漬した
後、水洗し、20℃の1.5%塩酸を満たした間接給電
方式の電解槽に浸漬し、電源より20A/dm2、50
Hzの単相交流電流を60秒間流して、交流電解粗面化
し、水洗し、その後60℃、6%硝酸水溶液に30秒間
浸漬してデスマットし、水洗し、その後25℃、20%
硫酸中に60秒間通して5A/dm2の直流電流で陽極
酸化し、水洗し、その後乾燥して、オフセット印刷版用
アルミニウム支持体を得た。
【0039】このようにして得られたアルミニウム支持
体に、オルソ増感された塩化銀ゼラチン乳剤を銀量が
1.5g/m2、ゼラチン量が1.0g/m2になるよう
に塗布し、乾燥してハロゲン化銀感光層を設け、銀塩オ
フセット印刷原版を得た。この時ハロゲン化銀乳剤中の
銀イオン濃度は10-7モル/lであった。
【0040】比較例1 実施例1のデスマット処理を20℃の2%水酸化ナトリ
ウム水溶液で15秒間行った以外実施例1と同様にし
て、銀塩オフセット印刷原版を得た。
【0041】比較例2 実施例1においてデスマット処理を行わず、陽極酸化処
理し、実施例1と同様のハロゲン化銀乳剤を塗布して、
銀塩オフセット印刷原版を得た。
【0042】次に上記実施例1と比較例1及び2の印刷
原版にそれぞれタングステンランプを光源とし、標準解
像力テストチャート(USAF)を密着露光し、下記現
像液(1)で20℃、30秒間現像し、現像後温水中で
洗浄して、残留被膜を除去し、銀塩オフセット印刷版を
得た。このようにして得た印刷版のベタ部の現像銀量を
測定したところ実施例1では1.5g/m2、比較例1
では0.5g/m2、比較例2では0.8g/m2であっ
た。本発明の実施例1の印刷版は物理現像核を塗布しな
いで製造したにもかかわらず、これに匹敵する現像銀量
を示した。
【0043】 現像液(1) 亜硫酸ナトリウム 50g/l ハイドロキノン 12g/l フェニドンB 6g/l 水酸化ナトリウム 12g/l チオ硫酸ナトリウム 10g/l 臭化カリウム 1.0g/l pH13.0 フェニドンB=4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドン
【0044】このようにして得られた印刷版をそれぞれ
幅8cmの短冊状に切り、オフセット印刷機の版胴に同
時に並べて掛けて、耐刷性を比較したところ、本発明の
印刷版は地汚れも発生することなく、現像銀の接着性に
優れ、5万枚の耐刷性があることが判った。これに対し
比較例1は100枚で画像がすべて欠落し、また、比較
例2では徐々に印刷画像が薄くなり、耐刷性は低いもの
であった。
【0045】実施例2 実施例1においてデスマット処理を20℃、2%水酸化
ナトリウム水溶液で15秒間、処理し、水洗し、その後
40℃、6%硝酸水溶液で15秒間の2段階処理とした
以外実施例1と同様にして銀塩オフセット印刷原版を得
た。
【0046】このようにして得られた印刷原版に画像露
光し、下記(2)の現像液で20℃、30秒間現像し、
現像後温水中で洗浄して、残留被膜を除去し、銀塩オフ
セット印刷版を得た。このようにして得た印刷版のベタ
部の現像銀量を測定したところ1.3g/m2であっ
た。印刷版評価の結果地汚れも発生することなく、5万
枚の印刷をすることができた。
【0047】 現像液(2) 亜硫酸ナトリウム 50g/l ハイドロキノン 12g/l フェニドンB 12g/l 水酸化ナトリウム 2g/l チオ硫酸ナトリウム 10g/l 2−メチルアミノエタノール 40cc/l 臭化カリウム 0.5g/l pH11.4
【0048】実施例3 幅300mm、厚み0.24mmのA1050タイプアルミ
ニウム板帯を1.3m/min の処理速度で移動させ、50
℃、4%苛性ソーダ水溶液に30秒間浸漬した後、水洗
し、20℃の2.0%硝酸を満たした間接給電方式の電
解槽に浸漬し、電源より40A/dm2 、50Hzの単
相交流電流を45秒間各電極端子に流して、交流電解粗
面化し、さらに40℃の3%硝酸と7%燐酸の混合水溶
液に30秒間浸漬してデスマットし、その後25℃、2
5%硫酸中に1分間通して5A/dm2 の直流電流で陽
極酸化し、水洗し、その後乾燥して、オフセット印刷版
用アルミニウム支持体を得た。
【0049】実施例4 実施例3においてデスマット処理を50℃の10%燐酸
で30秒間処理した以外実施例3と同様にしてオフセッ
ト印刷版用アルミニウム支持体を得た。
【0050】実施例5 実施例3において陽極酸化処理を5%燐酸と15%硫酸
の混合液で60秒間行う以外は実施例3と同様にしてオ
フセット印刷版用アルミニウム支持体を得た。
【0051】実施例6 実施例3において陽極酸化処理を4%蓚酸溶液中、1A
/dm2の直流電流で5分間処理する以外は実施例3と
同様にしてオフセット印刷版用アルミニウム支持体を得
た。
【0052】実施例3〜6の支持体に実施例1のハロゲ
ン化銀乳剤の銀イオン濃度を10-6モル/lとした感光
層を塗布し、銀塩印刷原版を製造し、現像して印刷版と
した。それぞれ現像銀量を測定したところ、物理現像核
を塗布していないにもかかわらず、実施例3では1.3
g/m2、実施例4では1.0g/m2、実施例5では
1.5g/m2、実施例6では1.3g/m2の現像銀量
を示した。印刷版評価の結果いずれも地汚れを発生する
ことなく、5万枚以上の耐刷性を示し、画像再現性にも
優れた銀塩印刷版であることが判った。
【0053】
【発明の効果】陽極酸化したアルミニウムを支持体とし
たDTR方式銀塩印刷原版において、陽極酸化前に酸性
処理液にてデスマット処理した後陽極酸化処理したアル
ミニウム支持体を使用することにより、ハロゲン化銀乳
剤中の銀イオンを変成層上に還元して物理現像核を形成
させることができ、物理現像核塗布を省略した、耐刷性
に優れたDTR方式銀塩印刷原版得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性処理液による処理に次いで、或いは
    水洗処理を介して、陽極酸化処理したアルミニウム支持
    体面にハロゲン化銀乳剤層を設けることを特徴とする銀
    塩オフセット印刷原版の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸性処理液が硝酸を含有する処理液であ
    る請求項1記載の銀塩オフセット印刷原版の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウム支持体上に塗布したハロゲ
    ン化銀乳剤中の銀イオンを利用して物理現像核を形成さ
    せることを特徴とする銀塩オフセット印刷原版の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 酸性処理液による化学変成層が陽極酸化
    膜表面に存在するアルミニウム支持体にハロゲン化銀乳
    剤層を設けたことを特徴とする銀塩オフセット印刷原
    版。
  5. 【請求項5】 酸性処理液が硝酸を含有する処理液であ
    る請求項4記載の銀塩オフセット印刷原版。
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