JP2002196499A - 銀塩オフセット印刷原版 - Google Patents

銀塩オフセット印刷原版

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JP2002196499A
JP2002196499A JP2000395692A JP2000395692A JP2002196499A JP 2002196499 A JP2002196499 A JP 2002196499A JP 2000395692 A JP2000395692 A JP 2000395692A JP 2000395692 A JP2000395692 A JP 2000395692A JP 2002196499 A JP2002196499 A JP 2002196499A
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JP2000395692A
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Jun Yamada
旬 山田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルミニウム支持体の表面処理方法を改良し
て、銀画像の接着性の向上と塗布故障の軽減を図るとと
もに、細線画像の再現性向上を図り、細線の耐刷性と現
像ラチチュードに優れた銀塩オフセット印刷原版を提供
する。 【解決手段】陽極酸化後の後処理においてマイナス帯電
性の物理現像核形成物質を含む後処理液を幅方向に均一
なスリットノズルにより吐出させて後処理したアルミニ
ウム支持体に銀塩感光層を設けたことを特徴とする銀塩
オフセット印刷原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷版に
関するものであり、特にアルミニウムを支持体に用いた
銀塩拡散転写法による銀塩オフセット印刷原版に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】銀塩拡散転写法(DTR法)を用いた銀
塩平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンド
ン・ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ・ロッ
ト及びエディス・ワイデ著、「フォトグラフィック・シ
ルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、
第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されてい
る。 その中に述べられているように、DTR法を用い
た平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツ
ーシートタイプ、或はそれらを一枚のレジンコート紙、
或いはフィルム上に設けたモノシートタイプの二方式が
知られているが、いずれも軽印刷を対象に開発され、耐
刷性には制限があった。
【0003】アルミニウムを支持体とした銀塩方式の平
版印刷版としては特開昭57−118244号、同57
−158844号、同63−260491号、特開平3
−116151号等の各公報に詳しく記載されている。
【0004】前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化さ
れ陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を
塗布し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた2回
塗布構成になっている。この平版印刷版の一般的な製版
方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュオ
フ:ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程か
らなっている。
【0005】詳細には、現像処理によって物理現像核上
に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロ
ゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金
属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時
に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部とし
て露出する。
【0006】露出した銀画像部及び非画像部には、その
保護のためにアラビアゴム、デキストリン、カルボキシ
メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸等の保護コ
ロイドを含有する仕上げ液が塗布される。所謂、ガム引
きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液
やフィニッシング液とも称され、銀画像部を親油性にす
る化合物(例えば、メルカプト基またチオン基を有する
含窒素複素環化合物)を含有する。
【0007】前記アルミニウム平版印刷版の支持体は一
般に不活性で物理現像活性に乏しく、銀塩感光層を塗布
しただけでは十分な銀画像が形成できず、物理現像核の
塗布をしなければならず、2回塗布構成となるばかりで
なく、物理現像核の接着性に劣り、100μm 程度以下
の細線画像が印刷物に忠実に再現されないという問題が
あった。このような問題に対して、特開平6−3012
12号、特開平7−56343号、特開平7−6429
1号、特開平7−110578号公報等に記載されてい
るようなアルミニウム支持体製造の段階で物理現像核を
形成する方法も提案されている。しかしいずれも安定性
にかけ、或いは設備が複雑になり、いまだ実用化されて
いない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアルミニウム
支持体の表面処理方法を改良して物理現像核を付与し、
塗布故障を軽減し、さらに、画像の転写銀量を増大さ
せ、接着性の向上を図るとともに、細線画像の再現性向
上を図り、細線の耐刷性と現像ラチチュードに優れた銀
塩オフセット印刷原版を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の発明によって達成された。即ち、陽極酸化後の後処
理において、マイナス帯電性の物理現像核形成物質を含
む後処理液を幅方向に均一な開口を持つスリットノズル
より吐出させて後処理したアルミニウム支持体に銀塩感
光層を設けたことを特徴とする銀塩オフセット印刷原版
である。さらに好ましくは、前記後処理液に有機酸もし
くはそのアルカリ金属塩、または無機酸のアルカリ金属
塩を含有させることである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の銀塩オフセット印刷原版では支持体表面の物理
現像活性を向上させ、現像処理によって形成される銀画
像の接着性を改良するため、アルミニウム支持体の製造
段階の陽極酸化処理の後処理液にマイナス帯電性の物理
現像核形成物質を含有させて処理する。
【0011】次に、本発明のアルミニウム支持体の製造
方法とこれを利用した銀塩オフセット印刷原版について
詳しく説明する。
【0012】本発明の支持体のアルミニウム板には純ア
ルミニウム及び各種の金属、例えば、珪素、マグネシウ
ム、鉄、銅、亜鉛、マンガン、クロム、チタン等を少量
含むアルミニウム合金板が使用される。
【0013】上記アルミニウム板はオフセット印刷版用
の支持体とするため、感光層を塗布する前に表面処理が
施される。表面処理では一般に脱脂、粗面化、デスマッ
ト、陽極酸化、後処理の各処理が行われる。これらの処
理は通常アルミニウムのコイルを用いて連続的に行わ
れ、各処理の後には必要に応じて水洗が加えられ、乾燥
して支持体とされ、その処理速度には特に制限はない。
【0014】このようなアルミコイルを用いた電解処理
を含む連続処理では直接電解槽に浸漬する領域以外にも
電解処理に印加された電界の影響がその前後の処理工程
に現れる。特に直流で処理する陽極酸化処理では、陽極
酸化前ではアルミ板に陰極、陽極酸化後ではアルミ板に
陽極の影響が漏れ電位として観測される。このような漏
れ電位はその前後の処理における処理液に含まれる帯電
性物質の付着に何らかの影響を与えるものと考えられ
る。このような連続処理の特性を利用し、本発明では、
陽極酸化以後の工程でマイナス帯電性の物理現像核形成
化合物を処理液に添加し、アルミニウム表面処理の工程
の中で、銀塩拡散転写印刷版に必要な物理現像核を表面
に形成させる。これら物理現像核形成物質の処理液中で
の帯電極性は液中に設けられた導電性電極を使用し、そ
の陰極或いは陽極のどちらに析出するかによって容易に
判別することができる。
【0015】次に処理工程の順に支持体の製造方法を説
明する。脱脂処理はアルミニウム表面の圧延時の油或は
空気との接触により生成する酸化膜等を除去し、清浄な
アルミニウム板の表面を露出させて、以降の工程がムラ
なく処理できるように施される。脱脂処理の方法として
は、例えばトリクロロエチレン、パークロロエチレン、
等による溶剤脱脂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、ピロ燐酸
四ナトリウム、石鹸等、或はこれらの混合物によるアル
カリ脱脂、界面活性剤、ケロシン、トリエタノールアミ
ン、水酸化ナトリウム等を組合せたエマルジョン脱脂、
さらに上記の化学脱脂では取れない汚染を除く仕上げ脱
脂と呼ばれる電解脱脂、等の方法がある。
【0016】次に粗面化処理が行われる。粗面化処理は
表面に凹凸を与えるものであり、直接的にはアンカー効
果により感光層の接着性向上に寄与するが、さらにオフ
セット印刷版においては、耐刷性、保水性、印刷画質等
の印刷の基本性能に影響を与えるので、現在ではこれら
の性能を向上させるため各種の方法が実用化されてい
る。即ち、ブラシグレイニング、ボールグレイニング、
液体ホーニング等の機械的粗面化方法、塩酸或は硝酸等
による化学的エッチングによる化学的粗面化方法、或は
これらの酸による電気化学的エッチングによる電解粗面
化方法、或はこれらを組合せて粗面化する方法が知られ
ている。
【0017】電解粗面化法では、塩酸又は硝酸を主体と
する電解液を使用し、直流或は交流電流(単相或は3
相)を流して電解される。アルミニウム表面にピットが
形成され、電解時の電流密度、液濃度、液組成、液温度
等によってピットの大きさ、深さ、ピットの分布状態を
変えることが出来る。表面の形状は一般に陽極酸化後に
表面粗さ計により評価されるが、その大きさは中心線平
均粗さ;Raの値で0.4 〜0.8μが適当である。
【0018】アルミニウム板に供給される電力は電解液
の組成、温度、電極間距離等により変わるが、印刷版と
して適切な砂目を得るためには、一般に、電圧では1〜
60V、処理面における電流密度では5〜60A/dm2
電気量では50〜4000クーロンの範囲で使われる。又電
解液の温度は0〜60℃、電極とアルミニウム板との距
離は1〜10cmの範囲が好ましい。
【0019】電解粗面化に使用する交流電流としては単
相或いは3相の商業用交流或いはこれらを含めた10〜
100Hzの範囲内の正弦波、サイリスター等により交
流の一部がカットされた波形の電流、正負の電流比が等
しくない非対称、対称形正弦波、及び非正弦波、対称形
非正弦波などが使用できる。
【0020】電解液の濃度としては上記の酸類の濃度が
0.1〜10重量%であり、電解液中のアルミニウムイ
オンの濃度を0〜10g/リットル範囲に維持したもの
が好ましい。電解粗面化処理では電解の進行により、ア
ルミニウムがとけ込み、酸類が消費されるので、電解液
の組成が所定の設定範囲をはずれないように、電解液の
一部を廃棄しながら、酸類を補給する、電解液の液管理
のための補充装置の設置が好ましい。
【0021】次にデスマット処理を行う。デスマット処
理ではスマットが溶解し、ピット面が現われる。デスマ
ット処理には、水酸化ナトリウム等アルカリ剤、或いは
燐酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等の酸、或いはそれらの混
合物が使用できるが、それぞれスマット除去能力に違い
があり、処理液の種類或いはその濃度或いは処理温度に
よってその除去能力を調整して使用される。デスマット
処理が強すぎる場合には粗面化の工程で形成された凹凸
を溶解して平坦化させるだけでなく、粗面化液に添加し
た上記金属イオンをすべて溶出し、また弱すぎる場合に
はスマットが残留し、支持体表面が黒く着色するので好
ましくない。その溶解量は前記電解液による処理条件に
よって異なるが、0.05〜1g/m2が適当である。
【0022】粗面化され、デスマットされたアルミニウ
ム板帯には、次に陽極酸化処理が施される。アルミニウ
ムは一般に活性な金属であり、空気中では自然に1〜数
nm程度の酸化膜が形成されるが、そのままでは耐アル
カリ性は低く、従って陽極酸化膜を形成させて耐アルカ
リ性の向上を図る。オフセット印刷版用支持体では、表
面の保水性と感光層の接着性向上を図るため酸化膜とし
ては多孔性の陽極酸化膜が形成される。酸化膜の厚さは
大きい程、耐アルカリ性は大きくなるが、厚くするに従
って電力コストが上がるばかりか、印刷汚れも大きくな
るので、好ましくは、その厚みは重量で3g/m2以下で
使用される。
【0023】電解液としては生成酸化膜の溶解性が低い
酸が好ましく、硫酸、蓚酸、クロム酸、燐酸等或はこれ
らの混合物が使用できるが、生産性を考慮すると硫酸を
電解液とするのが特に好ましい。陽極酸化に際して生成
する陽極酸化膜のマイクロポアの大きさは上記酸の種類
によって変化し、通常0.01〜0.1μmである。
【0024】陽極酸化膜は陽極にのみ生成するので、電
流は通常直流電流が使用される。陽極酸化の条件として
は、硫酸の場合、液濃度1〜40%、電流密度0.1〜
10A/dm2、電圧5〜30Vの範囲で使用され、電流
は直接給電法或いは間接給電法により供給される。陽極
酸化膜の厚みは電流密度と時間により変えられ、印刷版
の耐刷グレードによって適宜調整される。温度は陽極酸
化膜の硬度に影響を与え、低温の方が硬度は高くなる
が、可撓性に劣るため、通常は常温付近の温度で陽極酸
化される。
【0025】本発明では陽極酸化後、後処理を施す。本
発明では、陽極酸化と後処理の間に水洗処理するのが好
ましい。本発明において、陽極酸化、水洗、後処理はオ
ンラインで連続して行う。
【0026】本発明の後処理ではマイナス帯電性の物理
現像核形成物質、例えば銀やパラジウム、亜鉛等の水溶
性塩とチオ硫酸ソーダ、或いは硫化ソーダ等の硫化物を
混合した金属硫化物を添加した処理液を使用する。その
含有量は0.001〜1重量%の範囲で十分である。後
処理は粗面化、陽極酸化された感光層塗布側表面のみに
実施する方が好ましく、陽極酸化された表面に一定量均
一に広げて処理する。本発明のこのような後処理には幅
方向に均一な開口を持つスリットノズルを使用し、処理
液を均一に吐出させ、処理液を一定量坦持させて処理す
る。従来、後処理は浸漬処理やシャワー処理が多く、多
量の処理液を循環使用し、そのため前工程からの処理液
の混入、蓄積があり、後処理液の変質、等の問題があっ
た。シャワーノズル等幅方向に不連続な穴から処理液を
吐出させるとそのピッチに相当する処理ムラとなりやす
く、又、浸漬して処理すると、裏面まで処理され、感光
層塗布後捲き合わせた場合、裏面の影響が出る恐れがあ
った。本発明のスリットノズルより一定量の処理液を吐
出させ、坦持させて後処理する場合、常時少量の新液で
処理することになり、物理現像核形成物質の凝集、沈殿
等、処理液を変質させることなく、表面のみ幅方向に均
一な処理をすることができる。スリットの間隙、スリッ
トノズルとアルミニウム板との間隔には特に制限はない
が、いずれも0.1〜1mm程度が普通であり、吐出
量、処理速度により適宜調整される。スリットノズルの
精度が高ければ、それだけ少量の液量で均一な処理が可
能になる。吐出量は処理速度、アルミの幅によって変わ
るが、表面に坦持させる液量としては5〜200ml/m2
が適当である。
【0027】本発明の後処理に用いられる幅方向に均一
な開口を持つスリットノズルについて、図面を用いて詳
しく説明する。図1は、上記スリットノズルの一実施例
の斜視図である。塗布の分野では、スロットダイやエク
ストルージョンダイとも呼ばれている。例えば、特開平
6−47332号、同平7−256187号、同平10
−290946号公報等にも記載されている。図1は、
スロットダイの斜視図である。スロットダイ1は、その
内部にマニホールド9とスリット10を有する。処理液
の供給口8はマニホールド9と連結している。
【0028】処理液供給口8から流入した処理液は、マ
ニホールド9で処理液を一旦幅方向に充満させた後、ス
リット10に供給する作用を行なう結果、スリット10
からの流出流量を幅方向に均一化させることが可能とな
る。処理液供給口8は通常スロットダイ1の幅方向の中
心に1箇所設けることでよいが、スロットダイの幅方向
の複数箇所に設けてもよい。マニホールド9の断面形状
は、図1では円形となっているが、これに限らず任意の
形状でよい。例えば半円形、楕円形、または矩形であっ
てもよい。またマニホールドの断面積はスロットダイの
幅方向に亘り一定であっても、または供給口8(幅方向
のほぼ中央に設けた場合)を中心として左右方向に端部
に向かって断面積を漸減させてもよい。スリット10の
間隙は、0.1〜1mm程度が適当である。
【0029】図1には便宜上図示しないが、スロットダ
イ1のマニホールド9及びスリット10の塗布幅方向両
端部は、処理液が流出しないようにスペーサー等を挿入
して封鎖されている。この場合、処理しようとするアル
ミニウム板の幅方向長さに対しスリットの幅方向有効長
さが同じか多少大きくなるようにスペーサー等を挿入し
て封鎖する。
【0030】図2は、マイナス帯電性の物理現像核形成
物質を含有する後処理液をスロットダイで、陽極酸化さ
れたアルミニウム板の表面に塗布する工程の概略側面図
である。アルミニウム板2は、図示していないが、前述
したように脱脂処理、水洗処理、粗面化処理、水洗処
理、デスマット処理、水洗処理、陽極酸化処理、及び水
洗処理が施されて、図2に示す後処理工程に入ってく
る。アルミニウム板2は、搬送ローラ4、5、6及び7
で矢印の方向に搬送され、スロットダイ1で後処理液が
塗布される。搬送ローラ4は、前工程の水洗処理でアル
ミニウム板に付着した水洗液の絞りローラとしての役目
も兼ねる。後処理液が塗布された後、図示していない
が、水洗工程に入り、ここで後処理液が塗布されたアル
ミニウム板表面が水洗される。後処理液が塗布された後
の水洗は、後述するように本発明において重要な工程で
ある。後処理液が塗布されてから水洗処理工程に至るま
での時間は、2秒以上が好ましい。上限は生産効率の面
から適宜設定される。
【0031】スロットダイ1に対向する位置にバックア
ップローラ3を有する。バックアップローラ3は、アル
ミニウム板2とスロットダイ1の間隔を幅方向にわたっ
て均一に維持する働きをする。スロットダイ1とアルミ
ニウム板2の間隔は、0.1〜1mm程度が適当であ
る。
【0032】本発明において、後処理液には必要に応じ
て添加剤を加えることができる。特に、コハク酸、クエ
ン酸等の有機酸もしくはそれらのアルカリ金属塩、また
は珪酸、スズ酸、タングステン酸、燐酸等の無機酸のア
ルカリ金属塩を添加するのが好ましい。他に、各種の界
面活性剤を添加することができる。添加剤は上記物理現
像核の分散安定性を改良し、さらに核の付着速度をコン
トロールして、処理ムラを軽減する効果を有する。pH
はアルミニウム表面を溶かさないpH3〜11の範囲が
適当であり、特にpH3〜7の酸性側が好ましい。処理
液の温度には特に制限はないが、高温では酸化膜が変成
するので、常温付近が好ましい。
【0033】本発明において、後処理液を塗布した後、
少なくともその表面を水洗処理するのが好ましい。本発
明の後処理による物理現像核付与は従来の塗布による物
理現像核付与に較べ、処方中の不活性成分、過剰成分が
水洗で洗い流されて、表面に残留せず、感光層塗布に際
して、核液塗布に起因する点故障、塗布スジ等塗布故障
を排除できる。
【0034】本発明が対象とする平版印刷版は、アルミ
ニウム支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有する。必要に
応じてハロゲン化銀乳剤層を塗布する前に、物理現像核
層を塗布してもよい。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用い
られる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭
化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩
化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。ま
た乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよ
い。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感
あるいはスペクトル増感することができる。
【0035】ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとし
てはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成す
る際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカ
リ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。
また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチ
ン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。ま
た、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブ
ミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキ
シエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有さ
せることができる。用いられる親水性コロイドとして
は、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤
を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0036】本発明の平版印刷版の乳剤層には、必要に
応じてアニオン、カチオン、ベタイン、ノニオン系の各
種界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘
剤、消泡剤等の塗布助剤、エチレンジアミンテトラアセ
テート等のキレート剤、ハイドロキノン、ポリヒドロキ
シベンゼン類、3−ピラゾリジノン類等の現像主薬を含
有させてもよい。
【0037】本発明の印刷原版の製版において、現像処
理時間(現像液に浸漬してから次の処理工程で現像が停
止するまでの時間)は制限されるものではなく、例えば
20秒間もしくはそれより短い浸漬現像の後に、さらに
3〜30秒間程度の現像を進行させてもよい。
【0038】本発明においては陽極酸化膜の溶解を抑制
する意味から、一般的には現像液のpHは低い方が好ま
しく、現像温度は低い方が好ましく、また現像処理時間
は短い方が好ましい。具体的には、現像液のpHは通常
10〜14であるが、印刷特性を考慮して、pH12.
5以上、とくに12.7〜13.7の範囲が好ましく、
現像液の温度は15〜30℃程度が好ましく、現像処理
時間は5〜30秒程度が好ましい。
【0039】本発明に用いられる現像液には、現像主
薬、例えばハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン
類やアスコルビン酸およびその誘導体、1−フェニル−
3ピラゾリジノン及びその誘導体等の3−ピラゾリジノ
ン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化
ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あ
るいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウ
ム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブ
リ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポ
リオキシアルキレン化合物、キレート剤、例えばエチレ
ンジアミン4酢酸、アニオン性ゼラチン凝集剤、例えば
ポリスチレンスルホン酸と無水マレイン酸共重合体、及
び以下に示すようなハロゲン化銀溶剤等の添加剤を含有
させることができる。
【0040】ハロゲン化銀溶剤としては、例えばチオ硫
酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等のチオ硫酸塩、亜硫
酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、
ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウムのようなヨウ化物、
2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのよ
うな環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、メ
ソイオン性化合物、チオエーテル類等が挙げられる。
【0041】これらのハロゲン化銀溶剤の中でも、チオ
硫酸塩、アルカノールアミン、メソイオン性化合物及び
チオエーテル化合物が好ましい。チオ硫酸塩の添加量
は、現像液1リットル当たり4〜50g、好ましくは5
〜40g程度である。
【0042】アルカノールアミンとしては、例えば2−
(2−アミノエチルアミノ)エタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソ
プロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブ
タノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−ア
ミノプロパノール、N,N−エチル−2、2’−イミノ
ジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミ
ノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。添
加量は現像液1リットル当り1〜100g、好ましくは
10〜100gである。
【0043】メソイオン性化合物としては、特開平4−
328559号、同平9−160248号、同平9−1
71257号公報で開示されているものが挙げられる。
メソイオン性化合物の添加量は種々の条件により異なる
が、現像液1リットル当り0.1g〜10gであり、好
ましくは0.1g〜5gの範囲である。
【0044】チオエーテル化合物は、USP5,20
0,294号公報、特願平9−89444号明細書に記
載されているものが挙げられる。チオエーテル化合物の
添加量は、現像液1リットル当り0.01g〜20gで
あり、好ましくは0.1g〜10gの範囲である。
【0045】上記ハロゲン化銀溶剤の中でも、特にチオ
硫酸塩とアルカノールアミンを組み合わせて用いるのが
好ましい。
【0046】現像液には、更に銀画像部を親油性にする
化合物(親油化剤)を含有させるのが好ましい。親油化
剤としては、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨ
ーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディ
ス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハラ
イド・ディヒュージョン・プロセシズ」、105、10
6ページに記載されている化合物が挙げられる。例えば
メルカプト基またはチオン基を有する化合物、4級アン
モニウム化合物等があり、本発明においてはメルカプト
基またはチオン基を有する化合物が好ましく用いられ
る。特に好ましくは、メルカプト基またはチオン基を有
する含窒素複素環化合物であり、特公昭48−2972
3号、特開昭58−127928号に記載されている。
以下にその具体例を挙げるが、これらに限定されること
はない。
【0047】2−メルカプト−4−フェニルイミダゾー
ル、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−
メルカプト−ベンズイミダゾール、1−エチル−2−メ
ルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−
ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジエチル−ベン
ゾイミダゾリン−2−チオン、1,3−ジベンジル−イ
ミダゾリジン−2−チオン、2,2´−ジメルカプト−
1,1´−デカメチレン−ジイミダゾリン、2−メルカ
プト−4−フェニルチアゾール、2−メルカプト−ベン
ゾチアゾール、2−メルカプトナフトチアゾール、3−
エチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル
−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−
4,5−ジフェニルオキサゾール、2−メルカプトベン
ゾオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−
2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5
−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデ
シル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5
−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト
−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリア
ゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシ
ル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−
フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプ
ト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−
メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2
−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2
−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジア
ゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4
−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−
テトラゾール、2−メルカプト−5−ニトロピリジン、
1−メチル−キノリン−2(1H)−チオン、3−メル
カプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−
メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メル
カプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジ
ン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,
3,5−トリアジン、1,5−ジメルカプト−3,7−
ジフェニル−S−トリアゾリノ〔1,2−a〕−S−ト
リアゾリン等が挙げられる。
【0048】水洗処理によって露出した銀画像部及び非
画像部は、各々の親油性及び親水性を高めるため、及び
版面の保護のために、仕上げ液による処理が施される。
本発明において、仕上げ液には、非画像部の陽極酸化層
の保護及び親水性向上のために、アラビヤガム、デキス
トリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレ
ングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリ
ビニルアルコール等の保護コロイドを含有することが好
ましい。また、画像部の親油性を更に向上させるため
に、上記親油化剤を含有することが好ましい。更に上記
酵素を含有することができる。
【0049】
【実施例】本発明の銀塩オフセット印刷版を実施例によ
りさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって制限
されるものではない。
【0050】実施例1〜4 幅1030mm、厚み0.24mmのA1050タイプ
アルミニウム板帯を13m/minの処理速度で移動さ
せ、60℃、4%水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸
漬した後、水洗し、1.5%の塩酸と2%の酢酸30℃
の処理液を満たした電解槽に浸漬し、電源より40A/
dm2、50Hzの単相交流電流を30秒間流して、交
流電解粗面化し、水洗し、その後50℃、10%燐酸を
含む水溶液に20秒間浸漬してデスマットし、水洗し、
さらに25℃、20%硫酸中に通し間接給電方式により
2g/m2の陽極酸化膜を形成し、水洗し、次に塩化パ
ラジウムとチオ硫酸ソーダを混合して製造した各濃度の
硫化パラジウム含有液をpH4に調整した後、幅方向に
設置された開口0.3mmのスリットノズル(ノズル先
端とアルミニウム板帯との間隙は0.5mm)より処理
液を100ml/m 2の割合で吐出(吐出量:約136
0ml/min)させ表面に10秒間坦持させて後処理
し、水洗し、乾燥し、実施例1〜4のオフセット印刷版
用アルミニウム支持体を得た。このようにして得たアル
ミニウム支持体表面のパラジウム付着量を測定し、表1
に示す。
【0051】比較例1 前記実施例の後処理を省いた以外まったく同様にして、
後処理しない比較例1のオフセット印刷版用アミニウム
支持体を得た。
【0052】ハロゲン化銀乳剤の調製は、保護コロイド
としてアルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブ
ルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイ
リジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当たり0.00
6ミリモルドープさせた臭化銀15モル%、ヨウ化銀
0.4モル%の塩ヨウ臭化銀乳剤を調製した。その後、
この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。さらに
この乳剤に硫黄金増感を施した後、安定剤を添加し、赤
色領域の増感色素を銀1g当たり3mg用いて分光増感
した。
【0053】このようにして作成したハロゲン化銀乳剤
に界面活性剤を加えて塗布液を作成した。この乳剤層塗
布液を前記実施例1〜4及び比較例1のアルミニウム支
持体上に銀量が2g/m2、ゼラチン量が2.5g/m2
なるように塗布乾燥して銀塩オフセット印刷原版を得
た。
【0054】比較例2 次に比較例1で得られたアルミニウム支持体に硫化パラ
ジウム核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に
含まれるパラジウム量は3mg/m2であった。さらに、
上記乳剤層塗布液を比較例1と同様に塗布し、銀塩オフ
セット印刷原版を得た。
【0055】上記印刷原版を633nmの赤色LDレー
ザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用プロ
セッサー(デュポン社製SLT−85N自動現像機)で
処理してオフセット印刷版を作成した。製版用プロセッ
サーは、現像処理工程(22℃)、水洗処理工程(35
℃の水洗液をシャワー噴射しながらスクラブローラで乳
剤層をウオッシュオフする)、仕上げ処理工程(21
℃、)及び乾燥工程から構成されている。現像液及び水
洗液及び仕上げ液には下記の組成のものを使用し、処理
速度を変えて現像時間を調整し、現像ラチチュードを評
価した。
【0056】 <現像液> 水酸化ナトリウム 25g ポリスチレンスルホン酸と無水マレイン酸共重合体 (平均分子量50万) 10g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 2g 無水亜硫酸ナトリウム 100g モノメチルエタノールアミン 50g 2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g チオ硫酸ナトリウム(5水塩) 8g ハイドロキノン 15g 1−フェニル−3ピラゾリジノン 3g 脱イオン水で1000mlとする。 pH(25℃)=13.1 22ミリモル アミノトリ(メチレンホスホン酸) 10g 水酸化ナトリウム 5g 脱イオン水で1000mlとする。 pH(25℃)=13.1
【0057】 <水洗液> 2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g モノエタノールアミン 13g 重亜硫酸ナトリウム 10g 第1燐酸カリウム 40g タンパク質分解酵素 1g 水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.
0に調整した。タンパク質分解酵素として、ビオプラー
ゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)
製)を用いた。
【0058】 <仕上げ液> 燐酸 0.5g モノエタノールアミン 5.0g 2-メルカフ゜ト-5-nヘフ゜チルオキサシ゛アソ゛ール 0.5g ポリグリセロール(6量体) 50g 脱イオン水で1000mlとする。pHは7.2に調整
した。
【0059】このようにして得た実施例1〜4及び比較
例1及び2の印刷版のベタ部の画像銀量を測定し、表1
にまとめて示す。
【0060】
【表1】
【0061】このようにして得られた銀塩オフセット印
刷版を印刷機ハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オ
フセット印刷機の商標)に同時に掛けて、インキ(大日
本インキ( 株)社製のニューチャンピオン墨H)及び
市販のPS版用給湿液を用いて耐刷性を比較した。比較
例1の印刷版は画像銀量が少なく、印刷できず、また比
較例2の印刷版は現像時間12秒の製版で細線の版飛び
が発生し、現像ラチチュードの狭い印刷版であった。こ
れに対して、本発明の後処理液に物理現像核形成物質を
含有させて後処理したアルミニウム支持体で作製した印
刷原版を製版した実施例1〜4の印刷版は、画像銀量も
多く、いずれも30秒以上の現像でも版飛びすることな
く現像ラチチュードの広い印刷版であることが確認でき
た。さらに、ベタ部の点故障を比較例2と比較したとこ
ろ、実施例1〜4では著しく少ないことが判った。
【0062】比較例3 実施例2においてスリットノズルの代わりに2cmピッ
チのシャワーノズルを使用して後処理し、実施例2と同
様にして銀塩印刷原版を製造し、評価したところシャワ
ーノズルのピッチに相当するスジムラが網点画像部に発
生した。
【0063】比較例4 実施例2においてスリットノズルの代わりに処理槽全体
に処理液を満たして浸漬処理により後処理し、比較例4
のオフセット印刷アルミニウム支持体を得た。処理後、
後処理液を観察したところ小さな凝集が見られ、処理液
が変質していた。このようにして得た支持体を実施例2
と同様にして、評価したところ表裏両面に処理液の影響
によると見られる黒斑点が発生した。
【0064】実施例5〜8 実施例3の後処理液にさらに添加剤をそれぞれ0.1重
量%加えて後処理し、実施例5〜8のオフセット印刷版
用アルミニウム支持体を得た。このようにして得たアル
ミニウム支持体のパラジウム付着量を測定し、表2に示
す。
【0065】このようにして得たアルミニウム支持体に
実施例1と同様にして銀塩感光層を塗布し、印刷原版を
得、実施例1と同様にして製版し、実施例5〜8の印刷
版のベタ部の画像銀量を測定し、表2にまとめて示す。
さらにベタ部のムラを添加剤を加えなかった実施例1〜
4と比較したところ、添加剤を加えた実施例5〜8はパ
ラジウム付着量も多く、点故障も皆無、かつ均一で、転
写銀量もやや多かった。
【0066】
【表2】
【0067】実施例3と同様にして印刷評価したとこ
ろ、本発明の後処理液に更に有機酸もしくはそのアルカ
リ金属塩、または無機酸の金属塩を含有させて後処理し
たアルミニウム支持体を使用した実施例5〜8の印刷版
は、更に画像銀量も多く、いずれも30秒以上の現像で
も版飛びすることなく細線画像の現像ラチチュードの広
い印刷版であることが確認できた。
【0068】
【発明の効果】陽極酸化処理の漏れ電位を利用し、マイ
ナス帯電性の物理現像核形成物質を含有させた後処理液
をスリットノズルで塗布して後処理したアルミニウム支
持体を使用することにより、点故障、塗布スジ等塗布故
障が減少し、かつ現像ラチチュードの広い、細線の耐刷
性に優れたDTR方式の印刷版を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スリットノズルの一実施態様であるスロットダ
イの斜視図
【図2】後処理工程のの概略側面図
【符号の説明】
1 スロットダイ 2 アルミニウム板 3 バックアップローラ 9 マニホールド 10 スリット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化後の後処理において、マイナス
    帯電性の物理現像核形成物質を含む後処理液を幅方向に
    均一なスリットノズルより吐出させて後処理したアルミ
    ニウム支持体に銀塩感光層を設けたことを特徴とする銀
    塩オフセット印刷原版。
  2. 【請求項2】 前記後処理液が、更に有機酸もしくはそ
    のアルカリ金属塩、または無機酸のアルカリ金属塩を含
    有する請求項1に記載の銀塩オフセット印刷原版。
  3. 【請求項3】 前記後処理を施されたアルミニウム板
    を、更に水洗処理したアルミニウム支持体を用いた請求
    項1または2に記載の銀塩オフセット印刷原版。
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