JP3763705B2 - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版の製版方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3763705B2
JP3763705B2 JP19267199A JP19267199A JP3763705B2 JP 3763705 B2 JP3763705 B2 JP 3763705B2 JP 19267199 A JP19267199 A JP 19267199A JP 19267199 A JP19267199 A JP 19267199A JP 3763705 B2 JP3763705 B2 JP 3763705B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
printing plate
silver
developer
mercapto
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19267199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001022077A (ja
JP2001022077A5 (ja
Inventor
敏郎 近藤
肇 藤岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP19267199A priority Critical patent/JP3763705B2/ja
Priority to US09/425,057 priority patent/US6162575A/en
Priority to DE19951770A priority patent/DE19951770A1/de
Publication of JP2001022077A publication Critical patent/JP2001022077A/ja
Publication of JP2001022077A5 publication Critical patent/JP2001022077A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3763705B2 publication Critical patent/JP3763705B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用したアルミニウム平版印刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57−158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48−30562号、同51−15765号、特開昭51−111103号、同52−150105号などの各公報に詳しく記載されている。
【0004】
本発明が対象とするアルミニウム板を支持体とする、銀錯塩拡散転写法を利用したモノシートタイプの平版印刷版(以降、アルミニウム平版印刷版と称す)は、特開昭57−118244号、同57−158844号、同63−260491号、特開平3−116151号、同4−282295号、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
【0005】
前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成になっている。この平版印刷版の一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュオフ:ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程からなっている。
【0006】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0007】
露出した銀画像部及び非画像部には、その保護のためにアラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸等の保護コロイドを含有する仕上げ液が塗布される。所謂、ガム引きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液やフィニッシング液とも称され、銀画像部を親油性にする化合物(例えば、メルカプト基またチオン基を有する含窒素複素環化合物)を含有することも一般的である。
【0008】
かかるアルミニウム平版印刷版の製版処理は、依然として種々の問題を有している。特に、現像条件(現像温度、現像時間、現像液の成分やpH等)の変化に対してラチチュードが狭い、すなわち現像安定性に劣るという問題がある。具体的には、現像時間が短いとハイライトの網点が再現されにくく、現像時間が長いと細線が再現されにくいという問題がある。この再現性とは、平版印刷版の版面にはハイライトの網点や細線の銀画像が形成されるが、印刷に供するレベルの画像強度を持たないということである。従って、ランニング処理(同じ現像液で繰り返し処理する)等によって現像液の活性度が低下する場合や、環境の温度変化によって現像液の温度が低下する場合に対応できるように、予め現像時間は長めに余裕を持たせて設定されるが、上記したように細線の再現性の低下を招くことがしばしば生じた。
【0009】
また、他の課題として、印刷開始時のインキ脱理性が悪いという問題がある。オフセット輪転印刷機の分野では、紙切れを防ぐため、印刷の立ち上がり時には湿し水によるエッチングを省略することが多く、版全面にインキを付けてから湿し水を送り、非画像部のインキを脱離するという印刷方法が用いられている。このような印刷において、非画像部のインキ脱離速度の遅れは印刷効率を著しく低下させる。
【0010】
更に、非画像部に係わる問題として、指紋汚れがある。これは、印刷版の取扱い時に版面の非画像部に付着した指紋が、印刷時にインキを付着させて汚すという問題である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理において、現像ラチチュードを改良し、常に安定した印刷性能が得られる製版方法を提供することにある。本発明の他の目的は、非画像部のインキ脱離性及び指紋汚れを改良することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版を露光後少なくとも現像液を用いて現像処理する製版方法において、該現像液がアルカリ土類金属とそのキレート剤を含有することを特徴とする平版印刷版の製版方法によって達成された。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、現像液にアルカリ土類金属を含有させる。本発明に用いられるアルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウムが挙げられる。現像液にアルカリ土類金属を添加する場合、以下のような化合物として添加してもよい。例えば、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、沃化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、塩素酸バリウム、過塩素酸バリウム、臭化バリウム、臭素酸バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、チオ硫酸バリウム、亜硝酸バリウム、塩化ベリリウム等、臭化ベリリウム、沃化ベリリウム、硝酸ベリリウム、塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム等である。これらの化合物は、アルカリ土類金属として現像液中に1〜100ミリモル/リットル、好ましくは2〜100ミリモル/リットル、より好ましくは3〜80ミリモル/リットルの濃度で含有させる。上記アルカリ土類金属の中でも、特にカルシウムが好ましく用いられる。
【0014】
本発明は、前記アルカリ土類金属と金属キレート剤を併用する。これによって、広い現像ラチチュードが得られる。金属キレート剤としては、クエン酸や酒石酸のようなオキシカルボン酸、アミノポリカルボン酸、ポリリン酸、モノホスホノ(モノ,ジ,トリ)カルボン酸、2個以上のホスホン酸基を有する化合物等が挙げられる。これらの金属キレート剤は、アルカリ土類金属に対して、モル比で0.1〜50、好ましくは0.2〜20の範囲で用いる。
【0015】
本発明において、カルシウムとそのキレート剤を用いるのが好ましい。キレート剤としては、アミノポリカルボン酸、モノホスホノ(モノ,ジ,トリ)カルボン酸、2個以上のホスホン酸基を有する化合物が好ましい。
【0016】
アミノポリカルボン酸及びその塩としては、エチレンジアミン四酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N’,N’−三酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸トリナトリウム塩、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチルエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、メチルグリシン三酢酸等が挙げられる。
【0017】
モノホスホノ(モノ,ジ,トリ)カルボン酸及びその塩としては、1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エタン−1−カルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エタン−1,2−ジカルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−プロパン−1−カルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、1−ホスホノ−エタン−2−カルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホノ−エタン−2−カルボン酸、2−ホスホノ−ペンタン−2,5−ジカルボン酸、2−メチル−4−ホスホノ−ブタン−1,4−カルボン酸、2−ホスホノ−ブタン−1,4−ジカルボン酸カリウム塩、2,3−ジメチル−2−ホスホノ−ブタン−1,4−ジカルボン酸,1−ホスホノ−プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、2−ホスホノ−ブタン−2,3,4−トリカルボン酸等が挙げられる。
【0018】
2個以上のホスホン酸基を有する化合物としては、下記の化合物が挙げられる。
【0019】
【化1】
Figure 0003763705
【0020】
【化2】
Figure 0003763705
【0021】
【化3】
Figure 0003763705
【0022】
【化4】
Figure 0003763705
【0023】
【化5】
Figure 0003763705
【0024】
【化6】
Figure 0003763705
【0025】
【化7】
Figure 0003763705
【0026】
【化8】
Figure 0003763705
【0027】
【化9】
Figure 0003763705
【0028】
【化10】
Figure 0003763705
【0029】
【化11】
Figure 0003763705
【0030】
【化12】
Figure 0003763705
【0031】
【化13】
Figure 0003763705
【0032】
【化14】
Figure 0003763705
【0033】
【化15】
Figure 0003763705
【0034】
【化16】
Figure 0003763705
【0035】
【化17】
Figure 0003763705
【0036】
【化18】
Figure 0003763705
【0037】
【化19】
Figure 0003763705
【0038】
【化20】
Figure 0003763705
【0039】
上記キレート剤の中でも、特に、カルシウムに対するキレート安定度定数が5〜10.5の範囲が好ましく、5〜10の範囲がより好ましい。
【0040】
本発明に用いられる現像液には、現像主薬、例えばハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸およびその誘導体、1−フェニル−3ピラゾリジノン及びその誘導体等の3−ピラゾリジノン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、キレート剤、例えばエチレンジアミン4酢酸、アニオン性ゼラチン凝集剤、例えばポリスチレンスルホン酸と無水マレイン酸共重合体、及び以下に示すようなハロゲン化銀溶剤等の添加剤を含有させることができる。
【0041】
ハロゲン化銀溶剤としては、例えばチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等のチオ硫酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウムのようなヨウ化物、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、メソイオン性化合物、チオエーテル類等が挙げられる。
【0042】
これらのハロゲン化銀溶剤の中でも、チオ硫酸塩、アルカノールアミン、メソイオン性化合物及びチオエーテル化合物が好ましい。チオ硫酸塩の添加量は、現像液1リットル当たり4〜50g、好ましくは5〜40g程度である。
【0043】
アルカノールアミンとしては、例えば2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、N,N−エチル−2、2’−イミノジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。添加量は現像液1リットル当り1〜100g、好ましくは10〜100gである。
【0044】
メソイオン性化合物としては、特開平4−328559号、同平9−160248号、同平9−171257号公報で開示されているものが挙げられる。メソイオン性化合物の添加量は種々の条件により異なるが、現像液1リットル当り0.1g〜10gであり、好ましくは0.1g〜5gの範囲である。
【0045】
チオエーテル化合物は、USP5,200,294号公報、特願平9−89444号明細書に記載されているものが挙げられる。チオエーテル化合物の添加量は、現像液1リットル当り0.01g〜20gであり、好ましくは0.1g〜10gの範囲である。
【0046】
上記ハロゲン化銀溶剤の中でも、特にチオ硫酸塩とアルカノールアミンを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0047】
現像液には、更に銀画像部を親油性にする化合物(親油化剤)を含有させるのが好ましい。親油化剤としては、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、105、106ページに記載されている化合物が挙げられる。例えばメルカプト基またはチオン基を有する化合物、4級アンモニウム化合物等があり、本発明においてはメルカプト基またはチオン基を有する化合物が好ましく用いられる。特に好ましくは、メルカプト基またはチオン基を有する含窒素複素環化合物であり、特公昭48−29723号、特開昭58−127928号に記載されている。以下にその具体例を挙げるが、これらに限定されることはない。
【0048】
2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミダゾール、1−エチル−2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジエチル−ベンゾイミダゾリン−2−チオン、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2,2´−ジメルカプト−1,1´−デカメチレン−ジイミダゾリン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−メルカプトナフトチアゾール、3−エチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、2−メルカプト−5−ニトロピリジン、1−メチル−キノリン−2(1H)−チオン、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン、1,5−ジメルカプト−3,7−ジフェニル−S−トリアゾリノ〔1,2−a〕−S−トリアゾリン等が挙げられる。
【0049】
上記親油化剤の現像液への添加量は、0.01〜10g/リットル程度が好ましい。
【0050】
現像液のpHは通常10〜14、好ましくは12〜14である。現像液の温度は、20〜30℃程度で、現像時間は6〜20秒程度である。
【0051】
本発明において、現像処理に続いて水洗処理が施される。水洗液にはpHを4〜8、好ましくは4.5〜7の範囲に緩衝させる緩衝剤、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれらの混合物を含有することができる。また、防腐剤を含有させてもよい。水洗液中には更にタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、細菌プロティナーゼ)や、前記した親油化剤を含有させることができる。
【0052】
現像処理と水洗処理の間に、現像の進行を停止させる中和安定化処理を施してもよく、中和液に前記親油化剤を含有させてもよい。
【0053】
上記水洗液はアルミニウム支持体上のハロゲン化銀乳剤層を完全に除去するために用いるもので、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付ける方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで乳剤層を剥離する方法が一般的に用いられている。
【0054】
アルミニウム平版印刷版において、ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去は、銀画像部及びアルミニウム表面自身で構成する非画像部を完全に露出させるために極めて重要な工程である。とりわけ、インキを受容する銀画像部は強い親油性が必要であり、ゼラチン等の親油性を阻害する物質は完全に排除する必要がある。
【0055】
水洗処理によって露出した銀画像部及び非画像部は、各々の親油性及び親水性を高めるため、及び版面の保護のために、仕上げ液による処理が施される。本発明において、仕上げ液には、非画像部の陽極酸化層の保護及び親水性向上のために、アラビヤガム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール等の保護コロイドを含有することが好ましい。また、画像部の親油性を更に向上させるために、上記親油化剤を含有することが好ましい。更に上記酵素を含有することができる。
【0056】
本発明が対象とする平版印刷版は、アルミニウム支持体上に物理現像核及びハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
【0057】
ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0058】
本発明の平版印刷版の乳剤層には、必要に応じてアニオン、カチオン、ベタイン、ノニオン系の各種界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、消泡剤等の塗布助剤、エチレンジアミンテトラアセテート等のキレート剤、ハイドロキノン、ポリヒドロキシベンゼン類、3−ピラゾリジノン類等の現像主薬を含有させてもよい。
【0059】
本発明に用いられるアルミニウム支持体は粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、好ましくは米国特許第5,427,889号公報に記載されているものが用いられる。
【0060】
本発明で用いられる物理現像核層の物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることもできる。これらの詳細及び製法については、例えば、特公昭48−30562号、特開昭48−55402号、同53−21602号、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0061】
本発明において、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に、特開平3−116151号公報記載の水膨潤性中間層、同平4−282295号公報に記載の疎水性重合体ビーズを含有する中間層を設けてもよい。
【0062】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
実施例1
幅1030mm、厚み0.24mmのA1050タイプアルミニウム板帯を13m/minの処理速度で移動させ、60℃、4%水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸漬した後、水洗し、30℃の1.5%の塩酸と2%の酢酸を満たした間接給電方式の電解槽に浸漬し、電源より40A/dm2、50Hzの単相交流電流を30秒間流して、交流電解粗面化し、水洗し、その後70℃、6%硝酸水溶液に10秒間浸漬してデスマットし、水洗し、乾燥した。さらに25℃、20%硫酸中に通し、陽極酸化し、陽極酸化膜量が2.1g/m2、中心線平均粗さ(Ra)が0.5μmのアルミニウム支持体を作成した。
【0063】
次に上記アルミニウム支持体に物理現像核として硫化パラジウム核液を塗布し、その後乾燥した。
【0064】
ハロゲン化銀乳剤の調製は、保護コロイドとしてアルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせた塩ヨウ臭化銀乳剤(AgBr15モル%、AgI0.3モル%)を調製した。その後、この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。さらにこの乳剤に硫黄金増感を施した後、安定剤を添加し、化21の増感色素を銀1g当たり1.3mg用いて分光増感した。
【0065】
【化21】
Figure 0003763705
【0066】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加えて塗布液を作成した。この乳剤層塗布液を前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2g/m2、ゼラチン量が3g/m2 になるように塗布乾燥して平版印刷材料試料を得た。
【0067】
上記平版印刷材料を633nmの赤色LDレーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用プロセッサー(デュポン社製SLT−85N自動現像機)で処理して平版印刷版を作成した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(22℃で浸漬現像)、水洗処理工程(35℃の水洗液を10秒間シャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層をウオッシュオフする)、仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成されている。
【0068】
下記に示す6種類の現像液を用いて、浸漬時間を変化させて処理した。
Figure 0003763705
【0069】
<現像液B>
上記現像液Aに硫酸カルシウム(カルシウムが7ミリモルになる量)と、キレート剤としてエチレンジアミン4酢酸を7ミリモル添加した。
【0070】
<現像液C>
上記現像液Aに硫酸カルシウム(カルシウムが7ミリモルになる量)と、キレート剤としてアミノトリ(メチレンホスホン酸)5Na塩を7ミリモル添加した。
【0071】
<現像液D>
上記現像液Aに硫酸カルシウム(カルシウムが7ミリモルになる量)と、キレート剤としてジヒドロキシエチルエチレンジアミン2酢酸を9ミリモル添加した。
【0072】
<現像液E>
上記現像液Aに硫酸カルシウム(カルシウムが7ミリモルになる量)と、キレート剤としてトリエチレンテトラミン6酢酸を6ミリモル添加した。
【0073】
用いた水洗液及び仕上げ液の組成を下記に示す。
<水洗液>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
モノエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸カリウム 40g
タンパク質分解酵素 1g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.0に調整した。
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
【0074】
Figure 0003763705
【0075】
上記の現像液A〜Fを用いて製版された印刷版について、細線画像の印刷物への再現性を評価した。印刷版に50μm及び100μm幅の細線を形成させ、それらの細線が印刷物に再現された程度で評価した。印刷は、印刷機ハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ(株)社製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて行った。その結果を表1に示す。表1には、印刷物に再現された細線の内、細い細線を記載した。従って、細線幅の小さい方が優れていることを示す。
【0076】
同時に、インキ脱離性及び指紋汚れを評価した。インキ脱離性は、オフセット輪転印刷機に印刷版を装着し、版面にインキを乗せた後、湿し水を送り、非画像部のインキ汚れが取れるまでの枚数でインキ脱離性を評価した。その結果を表1に示す。枚数が少ないほど優れていることを示す。
【0077】
指紋汚れは、版面の非画像部に強制的に指を押し当てて指紋を付けた後、1日放置した印刷版を、印刷機ハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ(株)社製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い、指紋汚れのを評価した。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0003763705
表中、[−]は、いずれの細線も再現できなかったことを表す。
【0079】
上記結果から明らかなように、現像液にカルシウム(アルカリ土類金属)とそのキレート剤を含有させた本発明は、現像ラチチュード、インキ脱離性及び指紋汚れが大幅に改良される。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、現像ラチチュード、インキ脱離性及び指紋汚れが大幅に改良される。

Claims (1)

  1. 陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版を露光後少なくとも現像液を用いて現像処理する製版方法において、該現像液がアルカリ土類金属とそのキレート剤を含有することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
JP19267199A 1998-10-27 1999-07-07 平版印刷版の製版方法 Expired - Fee Related JP3763705B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19267199A JP3763705B2 (ja) 1999-07-07 1999-07-07 平版印刷版の製版方法
US09/425,057 US6162575A (en) 1998-10-27 1999-10-22 Process for making lithographic printing plate
DE19951770A DE19951770A1 (de) 1998-10-27 1999-10-27 Verfahren zur Herstellung lithographischer Druckplatten

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19267199A JP3763705B2 (ja) 1999-07-07 1999-07-07 平版印刷版の製版方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2001022077A JP2001022077A (ja) 2001-01-26
JP2001022077A5 JP2001022077A5 (ja) 2004-09-02
JP3763705B2 true JP3763705B2 (ja) 2006-04-05

Family

ID=16295118

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19267199A Expired - Fee Related JP3763705B2 (ja) 1998-10-27 1999-07-07 平版印刷版の製版方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3763705B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2869123A4 (en) * 2012-06-29 2016-03-09 Eastman Kodak Co DEVELOPMENT SOLUTION COMPOSITION FOR LITHOGRAPHIC PRINTING PLATE PRECURSOR AND METHOD FOR MANUFACTURING LITHOGRAPHIC PRINTING PLATE

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001022077A (ja) 2001-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6162575A (en) Process for making lithographic printing plate
US5910391A (en) Process for making lithographic printing plate with water wash containing mercapto compound
JP3763705B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2002107953A (ja) 平版印刷版の現像処理方法
JP3626025B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2006267340A (ja) 平版印刷版の現像処理方法
JP2003167349A (ja) 平版印刷版の現像処理方法
JP3739228B2 (ja) 平版印刷版用仕上げ液
JP2001281841A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP3368154B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP3518719B2 (ja) 平版印刷版用仕上げ液及び製版方法
JP3778768B2 (ja) 平版印刷版用仕上げ液
JP2000284487A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2000206697A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2000284488A (ja) アルミニウム平版印刷材料
JP2000199961A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2000162763A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP3710271B2 (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2009241303A (ja) 平版印刷版の処理方法
JPH11338166A (ja) 平版印刷版の現像処理方法
JP2000162776A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP2006284710A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP3480663B2 (ja) 平版印刷版及び製版方法
JP2000162786A (ja) 平版印刷版の製版方法
JP3778749B2 (ja) 平版印刷版用仕上げ液

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050401

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20051129

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20060110

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20060117

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees