JP3739228B2 - 平版印刷版用仕上げ液 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の仕上げ液に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、平版印刷の分野において、アルミニウム板を支持体とした平版印刷版は、感光性樹脂を用いたPS版(プレセンシタイズド版)をはじめ各種印刷版が知られている。例えば、特開平7−20629号、同平7−271029号に記載のサーマルプレート、特開平7−314934号、同平8−48018号に記載のレーザーアブレーションを利用した平版印刷版、及び特開平5−265216号、同平5−313206号、同平7−56345号、同平9−6005号に記載の銀錯塩拡散転写方式を利用した銀塩印刷版等が知られている。本発明は銀塩印刷版を対象とするものである。
【0003】
これらの印刷版は、主に樹脂層または物理現像銀で形成された画像部とアルミニウムの陽極酸化層で形成された非画像部によって構成されており、画像部がインキを選択的に受付け、非画像部が選択的に水を受け付けることによって印刷がなされる。従って、画像部と非画像部の親油性と親水性の差が大きいことが必要である。これらの平版印刷版は現像後、非画像部であるアルミニウム表面を露出させるために樹脂層またはハロゲン化銀乳剤層が除去され、その後仕上げ液が塗布される。
【0004】
銀塩印刷版は、高感度、高感色性と高い解像力、高いシャープネスを持った画像を形成することが可能であり、光による画像形成方法としては非常に有利な方法である。しかし金属銀によってなる銀画像部は、感光性樹脂によって形成されたPS版等の画像部に比べ、親油性が低い。従って、銀塩印刷版はPS版等に比べ、製版処理工程での高い親水性の付与は、画像部の親油性の低下を顕著に招く。従って、現像液は言うまでもなく、仕上げ液の機能もその両者間で大きく異なる。即ち、銀塩印刷版の処理液は、非画像部の親水性と画像部の親油性をバランスよく高めることが要求される。
【0005】
上記理由から、印刷時の非画像部のインキ汚れは、仕上げ液の性能によって大きく左右される。
【0006】
本発明が対象とする銀塩印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成になっており、一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュオフ:ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程からなっている。
【0007】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0008】
水洗処理後、版面の保護及び非画像部の親水性向上のため、通常、アラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸等の保護コロイドを含有する仕上げ液が塗布される。所謂、ガム引きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液やフィニッシング液とも称され、銀画像部を親油性にする化合物(例えば、メルカプト基またチオン基を有する含窒素複素環化合物)を含有することも一般的である。しかしながら、従来の仕上げ液では、印刷中に停機、再印刷を繰り返しているうちにインキ汚れが発生するという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、停機、再印刷を繰り返した時に発生するインキ汚れを改良したアルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の仕上げ液を提供することである。特に、非画像部の汚れを印刷後も持続的に防止した仕上げ液を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、仕上げ液にリン酸イオンを0.25モル/リットル以上含有させることによって達成された。
【0011】
アルミニウム板を支持体とする銀塩印刷版の仕上げ液にリン酸ナトリウムを含有することが、特開平7−287398号、同7−287399号公報に記載されている。しかしながら、同号公報に用いられる量では全く効果がなかった。
【0012】
本発明者は、一旦停機した後の再印刷時の汚れ発生メカニズムについて、次のように推測している。特開平7−287398号、同7−287399号公報等に記載のあるようなこれまでの仕上げ液では、一旦印刷を行うと印刷版に塗布されていた仕上げ液中の版面親水化保護剤のほとんどは洗い流されてしまい、版面に残らない。従って印刷版上の非画像部には給湿液の成分以外は、むき出しの陽極酸化アルミの表面が現れる。一般に銀塩印刷版の陽極酸化被膜は封孔処理(陽極酸化皮膜の微細孔を封鎖する)をされておらず、そのためむき出しの陽極酸化アルミ表面は空気中で腐食を受けやすい。特に印刷機上は高温高湿の状態になっているために、陽極酸化膜が容易に破壊されてアルミの腐食が起こり、そこからアルミニウムイオンが発生する。アルミニウムイオンは有機物、特にカルボキシル基を持つ有機物と容易に反応し、親油性のサイトを形成、そこが汚れの起点となる。
【0013】
このような腐食を防止するためには、陽極酸化膜を厚くすることが一つの方法として上げられる。5g/平米以上陽極酸化膜を付けると効果はあるものの、陽極酸化膜の厚みを増すことはアルミベース製造時に多大な電力消費を伴い、経済的にコストがかかりすぎる。またあまりに陽極酸化膜を厚くすると表面に欠陥が生じやすく、このような背景にあって、陽極酸化膜の比較的薄いアルミニウム支持体を用いた平版印刷版に本発明は好適であり、特に陽極酸化膜が3.5g/平米以下、さらには3g/平米以下の場合に高い効果を発現する。
【0014】
従って本発明者らは陽極酸化膜厚を増やすことなく本目的を達成するために鋭意検討した結果、仕上げ液にリン酸イオンを0.25モル/リットル以上含有させることによって本目的は達成された。
【0015】
リン酸イオンは陽極酸化膜を溶解しつつ水に不溶性のリン酸アルミニウムの親水化保護層を形成する。このリン酸アルミニウムが印刷後も給湿液に洗い流されることなく版面に残存し、版面を親水化保護する。従って印刷停機後の再印刷でも汚れの発生を抑えられると考えられる。このような反応は多量のリン酸イオンが存在しないと有効に発現しない。仕上げ液にこの機能を持たせるためには、0.25モル/リットル以上のリン酸イオンが必要であり、従来用いられていた添加量では全く効果がなかった。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明において、リン酸イオンの供給源としてリン酸塩を用いることができる。リン酸塩として、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、コバルト、ニッケル、等の塩が挙げられる。中でも、リン酸アンモニウムが汚れに極めて高い効果を示す。これは、リン酸アンモニウムがリン酸アルミの形成に有利に働くためと考えられる。またリン酸をそのまま用い、アルカリで所定のPHに調整しても良い。
【0018】
本発明の仕上げ液には、リン酸イオンのカウンターカチオンとして、アミン類を用いることができる。例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、N−メチルエタノールアミン等のアルカノールアミン、ピペラジン、モルホリン等の環状アミンを挙げることができる。
【0019】
リン酸塩の添加量は、仕上げ液1リットル当たりリン酸イオンとして0.25〜2モル、好ましくは0.3〜1モルである。
【0020】
仕上げ液には、更にグリセリン、ポリグリセロールまたはエチレンオキシ基を5〜11個有するポリエチレングリコールを含有することが好ましい。前記ポリエチレングリコールはより好ましくは7〜10個のエチレンオキシ基を有するものである。これらの化合物は、画像部のインキ受理性を阻害せずにリン酸イオンの効果を発現することができ、更に、輪転印刷機を用いた印刷時のインキ脱離性に優れていることが分かった。また版面上の画像、非画像部のコントラストを上げ画像部の視認性を上げる。これらの化合物は2種以上を併用しても良い。これらの化合物の添加量は、合計で仕上げ液1リットル当たり、10〜400gで、好ましくは20〜200gである。
【0021】
前記ポリグリセロールはグリセリン単位を2〜30個有するものが好ましく、特に3〜10個有するものが好ましい。
【0022】
本発明の仕上げ液には、更に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、プロピレンオキシ基とエチレンオキシ基を有するアミン化合物、プロピレンオキシ基とエチレンオキシ基を有する脂肪酸アミド化合物及びプロピレンオキシ基とエチレンオキシ基を有する4級アンモニウム化合物の中かの少なくとも1つの化合物を含有させるのが好ましい。具体的な化合物の例は特願平9−348816号に記載がある。
【0023】
本発明の仕上げ液においては、リン酸イオンの効果を最大限に発揮するため、クエン酸等の多量のオキシカルボン酸との併用は好ましくない。従ってこれらオキシカルボン酸の量はモルにしてリン酸イオンの1/2以下、さらに好ましくは1/10以下の量にする事が好ましい。
【0024】
本発明の仕上げ液には、前記化合物の他にアラビヤガム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール等の保護コロイド、またはそれらの混合物を含有することができる。また、防腐剤を含有させてもよい。仕上げ液には更にタンパク質分解酵素を含有させても良い。
【0025】
本発明の仕上げ液は、銀画像部を親油性にする化合物(親油化剤)を含有させることが好ましい。親油化剤としては、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、105、106ページに記載されている化合物が挙げられる。例えばメルカプト基またはチオン基を有する化合物、4級アンモニウム化合物等があり、本発明においてはメルカプト基またはチオン基を有する化合物が好ましく用いられる。特に好ましくは、メルカプト基またはチオン基を有する含窒素複素環化合物であり、特公昭48−29723号、特開昭58−127928号に記載されている。以下にその具体例を挙げるが、これらに限定されることはない。
【0026】
2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミダゾール、1−エチル−2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジエチル−ベンゾイミダゾリン−2−チオン、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2,2´−ジメルカプト−1,1´−デカメチレン−ジイミダゾリン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−メルカプトナフトチアゾール、3−エチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、2−メルカプト−5−ニトロピリジン、1−メチル−キノリン−2(1H)−チオン、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン、1,5−ジメルカプト−3,7−ジフェニル−S−トリアゾリノ〔1,2−a〕−S−トリアゾリン等が挙げられる。
【0027】
仕上げ液への親油化剤の添加量は、0.01〜10g/リットル程度が適当である。上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物はアルカリ溶液には溶解するが、中性から弱酸性の仕上げ液には溶解しないため、有機溶剤、アミン化合物(例えばアミノアルコール)、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等の溶解助剤を用いて添加することができる。
【0028】
銀塩印刷版の製版に用いられる現像液には、現像主薬、例えばポリヒドロキシベンゼン類、3−ピラゾリジノン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、メソイオン性化合物等の添加剤を含ませることができる。上記親油化剤を含有させてもよい。現像液のpHは通常10〜14、好ましくは12〜14である。
【0029】
銀塩印刷版の製版に用いられる水洗液には、pHを4〜8、好ましくは4.5〜7の範囲に緩衝させる緩衝剤、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれらの混合物を含有することができる。また、防腐剤を含有させてもよい。水洗液中には更に上記タンパク質分解酵素及び親油化剤を含有させることが好ましい。
【0030】
上記水洗液はアルミニウム支持体上のハロゲン化銀乳剤層を完全に除去するために用いるもので、通常、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付ける方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで乳剤層を剥離する方法が採用されている。また、水洗工程は、水洗液を循環させて再利用するクローズドタイプが一般に用いられている。
【0031】
銀塩印刷版は、前記したようにアルミニウム支持体上に物理現像核及びハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
【0032】
ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0033】
本発明の平版印刷版の乳剤層には、必要に応じてアニオン、カチオン、ベタイン、ノニオン系の各種界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、消泡剤等の塗布助剤、エチレンジアミンテトラアセテート等のキレート剤、ハイドロキノン、ポリヒドロキシベンゼン類、3−ピラゾリジノン類等の現像主薬を含有させてもよい。
【0034】
本発明に用いられるアルミニウム支持体は粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、好ましくは米国特許第5,427,889号公報に記載されているものが用いられる。
【0035】
本発明で用いられる物理現像核層の物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることもできる。これらの詳細及び製法については、例えば、特公昭48−30562号、特開昭48−55402号、同53−21602号、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0036】
本発明において、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に、特開平3−116151号公報記載の水膨潤性中間層、同平4−282295号公報に記載の疎水性重合体ビーズを含有する中間層を設けてもよい。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は米国特許第5,427,889号公報に記載の方法に従って、平均直径約5μmのプラート上に直径0.03〜0.30μmのピットを100μm2当たり約5,600個有し、かつこれらのピットの平均直径が0.08μmである厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。このアルミ板は粗面化処理後に陽極酸化したものであり、平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。陽極酸化膜量は2.1g/平米であった。
【0038】
このアルミニウム支持体に硫化パラジウム核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に含まれる核量は3mg/m2であった。
【0039】
ハロゲン化銀乳剤の調製は、保護コロイドとしてアルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせた臭化銀15モル%、ヨウ化銀0.4モル%の塩ヨウ臭化銀乳剤を調製した。その後、この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。さらにこの乳剤に硫黄金増感を施した後、安定剤を添加し、赤色領域に分光感度を持つ増感色素を銀1g当たり3mg用いて分光増感した。
【0040】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加えて塗布液を作成した。この乳剤層塗布液を前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2g/m2、ゼラチン量が2.5g/m2になるように塗布乾燥して平版印刷材料試料を得た。
【0041】
上記平版印刷材料を633nmの赤色LDレーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用プロセッサー(デュポン社製SLT−85N自動現像機)で処理して平版印刷版を作成した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(21℃、15秒間浸漬)、水洗処理工程(35℃の水洗液を10秒間シャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層をウオッシュオフする)、仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成されている。水洗処理工程は、貯留タンクに貯留された30リットルの水洗液をポンプで循環させて、平版印刷版にシャワー噴射した後、濾過フィルターで濾過して貯留タンクに回収し再使用するクローズドタイプになっている。
【0042】
用いた現像液、水洗液及び仕上げ液の組成は次の通りである。
<現像液>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 6g
チオ硫酸ナトリウム(5水塩) 8g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g
脱イオン水で1000mlとする。
pH(25℃)=13.4
【0043】
<水洗液>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
リン酸二水素カリウム 40g
タンパク質分解酵素 1g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.0に調整した。
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
【0044】
<仕上げ液A>
アラビアゴム 10g
リン酸 0.5g
硝酸ナトリウム 20g
ポリエチレングリコール#400 100g
2-メルカプト-5-nヘプチルオキサジアゾール 0.5g
脱イオン水で1000mlとする。
水酸化ナトリウムにてpHは6.5に調整した。
【0045】
<仕上げ液B>
仕上げ液Aにリン酸二水素ナトリウムを20g(0.17モル/リットル)加えた。
<仕上げ液C>
仕上げ液Aにリン酸二水素ナトリウムを40g(0.33モル/リットル)加えた。
<仕上げ液D>
仕上げ液Aにリン酸二水素ナトリウムを60g(0.50モル/リットル)加えた。
<仕上げ液E>
仕上げ液Aにリン酸二水素カリウムを20g(0.18モル/リットル)加えた。
<仕上げ液F>
仕上げ液Aにリン酸二水素カリウムを40g(0.35モル/リットル)加えた。
<仕上げ液G>
仕上げ液Aにリン酸二水素アンモニウムを20g(0.17モル/リットル)加えた。
<仕上げ液H>
仕上げ液Aにリン酸二水素アンモニウムを40g(0.33モル/リットル)加えた。
<仕上げ液I>
仕上げ液Aにトリエタノールアミンを30g、リン酸を30g(0.33モル/リットル)加えた。
<仕上げ液J>
仕上げ液Bにトリエタノールアミンを15g、リン酸を15g(合計のリン酸イオン0.33モル/リットル) 加えた。
<仕上げ液K>
仕上げ液Eにトリエタノールアミンを15g、リン酸を15g (合計のリン酸イオン0.33モル/リットル) 加えた。
<仕上げ液L>
仕上げ液Aにモノエタノールアミンを20g、リン酸を30g (リン酸イオン0.33モル/リットル) 加えた。
<仕上げ液M>
仕上げ液AにN−メチルエタノールアミンを20g、リン酸を30g (リン酸イオン0.33モル/リットル) 加えた。
<仕上げ液N>
仕上げ液Aに2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールアミン10gをリン酸を30g (リン酸イオン0.33モル/リットル) 加えた。
<仕上げ液O>
仕上げ液Aにクエン酸を30g加えた。
なお仕上げ液B〜Nはそれぞれ硫酸及び水酸化ナトリウムを用いてphを6.5に調整した。
【0046】
上記記載の方法で作成された平版印刷版を、印刷機スプリント26(小森コーポレーション社製オフセット印刷機の商標)、インキ(東洋インキ(株)社製のTOYOハイエコー紅MZ)及び給湿液(日研化学研究所(株)社製のアストロマーク3)を使用して印刷した。印刷は100枚印刷後版を印刷機に装着したまま停機をし、何時間後に印刷したときに汚れが発生するかで評価した。時間が長いほど良好な印刷版である。なお5時間以上たっても汚れが発生しない場合は汚れの発生はないものと見なした。
【0047】
評価の結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003739228
【0049】
表1の結果から明らかなように、仕上げ液にリン酸イオンを0.25モル/リットル以上含有させることによって、停機、再印刷を繰り返した時に発生するインキ汚れを改良したアルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の仕上げ液を提供することが可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、アルミニウム板を支持体とする平版印刷版の製版処理時に、リン酸イオンを0.25モル/リットル以上含有する仕上げ液を適用することによって、停機、再印刷を繰り返した時に発生するインキ汚れを改良したアルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の仕上げ液を提供することが可能である。

Claims (1)

  1. 粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写を利用した平版印刷版を露光後、少なくとも現像処理、水洗処理(ウォッシュオフ)、仕上げ処理の工程の順に処理される製版方法に用いる仕上げ液であって、該仕上げ液1リットル当たりリン酸イオンを0.25モル以上含有することを特徴とする仕上げ液。
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