JP2006267340A - 平版印刷版の現像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版上に現像液を塗布する現像処理方法において、硬調で且つインキ汚れに良好な平版印刷版の現像処理方法を提供する。
【解決手段】陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版上に現像液を塗布する現像処理方法において、ピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドを含有する現像液を用いて現像することを特徴とする平版印刷版の現像処理方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルミニウム板を支持体とする、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の現像処理方法に関するものである。
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57−158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48−30562号、特公昭51−15765号、特開昭51−111103号、特開昭52−150105号などの各公報に詳しく記載されている。
本発明が対象とするアルミニウム板を支持体とする、銀錯塩拡散転写法を利用したモノシートタイプの平版印刷版(以降、アルミニウム平版印刷版と称す)は、特開昭57−118244号、特開昭57−158844号、特開昭63−260491号、特開平3−116151号、特開平4−282295号、米国特許第4,567,131号、米国特許第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成になっている。この平版印刷版の一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュオフ:ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程からなっている。
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
露出した銀画像部及び非画像部には、その保護のためにアラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸等の保護コロイドを含有する仕上げ液が塗布される。所謂、ガム引きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液やフィニッシング液とも称され、銀画像部を親油性にする化合物(例えば、メルカプト基またチオン基を有する含窒素複素環化合物)を含有することも一般的である。
上記アルミニウム平版印刷版の現像処理装置としては、多量の現像液を槽中に貯留し、その槽中に平版印刷版を挿入する現像処理装置(以下浸漬現像方式と称す)が従来から知られている。このような浸漬型の処理装置においては、感光材料の処理に伴う処理疲労、あるいは大気中の炭酸ガスや酸素による経時疲労等により現像液が劣化するため、現像液に補充液を補充することにより劣化を回復させている。このため、処理開始時の処理液の成分と、その後も補充をしながら処理をした場合の処理液の成分とは異なることになり、均一な処理を継続して行なうことは不可能である。また、このような浸漬型の処理装置は、処理液の使用量および廃液量が多くランニングコストが高く、また、装置のメンテナンス性が悪いという問題もある。
このような問題点を解消するための感光材料処理装置として、例えば、特開昭62−237455号公報、実開平6−8956号公報、特開平6−27677号公報、特開2001−174970号公報及び特開2001−312036号公報に記載されているように、感光材料を現像液中に浸漬するかわりに、感光材料の処理に必要なだけの現像液を感光材料の感光面に塗布して処理を行なう塗布方式の現像処理装置が知られている。塗布方式の現像処理装置を用いる利点は、使用する現像液量が少ないこと、また現像液の循環使用が無く、常に一定の現像液組成で現像できることである。
しかし塗布方式の現像処理を用いた場合、現像液を薄層塗布することによる弊害、即ち銀塩拡散転写法による現像処理時における溶解物理現像と化学現像の進行速度の安定性に欠けるという弊害を有する。具体的にはアルミニウム平版印刷版の現像は、非画像部分のハロゲン化銀粒子は露光されることにより化学現像によってハロゲン化銀乳剤層中で速やかに金属銀に還元されゼラチン膜と共に水洗工程で除去される必要があり、また画像部分のハロゲン化銀粒子は溶解物理現像によって物理現像核上に金属銀画像が形成される必要がある。前記浸漬型の処理装置においては溶解物理現像と化学現像の進行速度は比較的安定しているが、塗布方式の現像処理においては、処理条件によっては安定化させることが困難な場合があった。したがって所望する溶解物理現像と化学現像の進行速度と実際の進行速度との間に差が生じた場合、得られる画像の調子が軟調化し、画像の再現性を悪化させた。更には非画像部にまで金属銀が転写し、印刷時にインキ汚れを招く場合があった。
銀塩拡散転写法を利用した平版印刷版に用いる現像液としては、例えば特開平7−271040号公報には画像の階調を硬調化する目的でニトロベンゾイミダゾール類を用いた現像液が、またインキ汚れを改善する目的で例えば特開平7−128860号、特開平7−281442号、特開平11−295889号公報等に記載される現像液が知られているが、これら現像液は硬膜されたゼラチン膜を非画像部として利用する平版印刷版の問題点を改善するものである。アルミニウム支持体を用いた平版印刷版の塗布方式の現像処理に用いる現像液としては特開2002−082442号公報(特許文献1)には印刷特性を改善する現像液が、また特開2003−107715号公報(特許文献2)にはベタイン系界面活性剤を用いる現像液、特開2003−167349号公報(特許文献3)にはアミノ酸を用いた現像液等が知られている。一方、特開2000−275857号公報(特許文献4)にはピリジン−N−オキシド化合物もしくはその縮合体の存在下で銀塩拡散転写法を利用する平版印刷版の処理方法が開示されているが、塗布方式の現像処理に関する記載はされていない。
特開2002−082442号公報 特開2003−107715号公報 特開2003−167349号公報 特開2000−275857号公報
本発明の課題は、陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版上に現像液を塗布する現像処理方法に於いて、非画像部の銀転写及び調子の軟調化を引き起こさず、硬調で且つインキ汚れに対して良好な平版印刷版の現像処理方法を提供することにある。
本発明の上記課題は、陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版上に現像液を塗布する現像処理方法において、ピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドを含有する現像液で現像処理することにより達成された。
本発明で使用されるピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドを現像液中に含有することで硬調且つインキ汚れに対して良好な平版印刷版を得ることができる。
本発明の現像液に用いるピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドにおいて、ピリジン核にメルカプト基が置換する位置は、ピリジン核のオルト位、メタ位、パラ位の何れであっても良いが、好ましくはオルト位である。またピリジン核は他の置換基を有しても良い。
本発明の現像液に用いられるピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドの添加量は好適には0.1〜10g/リットルである。さらに好ましくは0.5〜5g/リットルである。
本発明において現像液のpHは11.0から14.0で使用できるが、安定した印刷品質を得るために好ましくはpH12.5〜13.5が良い。pH調整剤としてはアルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物が利用できる。
本発明において、現像液には、現像抑制剤を組み合わせて用いるのが好ましい。現像抑制剤としては、メルカプト基もしくはチオン基を有する含窒素複素環化合物、ベンゾトリアゾールもしくはその誘導体、または臭化物等がある。
ベンゾトリアゾールもしくはその誘導体としては5−メチルベンゾトリアゾール、5−クロルベンゾトリアゾール等が挙げられ、臭化物としては臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム等が挙げられる。
前記メルカプト基もしくはチオン基を有する含窒素複素環化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール等のイミダゾール化合物、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−メルカプトナフトチアゾール等のチアゾール化合物、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のオキサゾール化合物、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール化合物、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール等のチアジアゾール化合物、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール化合物、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール等のテトラゾール化合物、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等のトリアジン化合物が挙げられるがこれらに限定はされない。
上記現像抑制剤の現像液への添加量は、0.01〜10g/リットル程度が好ましい。好適には0.1〜5g/リットルである。
本発明に用いられる現像液には、現像主薬、例えばハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類やアスコルビン酸およびその誘導体、1−フェニル−3ピラゾリジノン及びその誘導体等の3−ピラゾリジノン類を含有することができる。
これら現像主薬は十分な現像性を発現出来る添加量であれば特に限定されないが、好ましくは1〜50g/リットル、更に好ましくは3〜30g/リットルが良い。
その他、本発明で用いられる現像液には粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、キレート剤、例えばエチレンジアミン4酢酸、アミノトリメチレンホスホン酸、現像変性剤、例えばグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類、アニオン性ゼラチン凝集剤、例えばポリスチレンスルホン酸と無水マレイン酸共重合体、金属塩、例えば硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム及び以下に示すようなハロゲン化銀溶剤等の添加剤を含有させることができる。
ハロゲン化銀溶剤としては、例えばチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等のチオ硫酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウムのようなヨウ化物、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルの様な環状イミド類、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミンの様なアルカノールアミン、ジアミン、メソイオン性化合物、チオエーテル類、グリシン等のアミノ酸類が挙げられる。
本発明のピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドを含有する現像液に於いては、これらのハロゲン化銀溶剤の中でもチオ硫酸塩と亜硫酸塩を併用して利用する事が好ましい。チオ硫酸塩の添加量は、現像液1リットル当たり5〜50g、好ましくは10〜30g程度である。亜硫酸塩の添加量は80〜150g、好ましくは100〜120gである。
本発明で用いられる現像液塗布装置に関しては、特に限定はされないが、好適には特開2001−174970号のダイ内部にマニホールドとスリットを有するスロットダイを用いた塗布現像装置が用いられる。
本発明の現像処理方法において、現像処理時間(現像液を塗布してから次の処理工程で現像が停止するまでの時間)は制限されるものではないが、好ましくは5〜30秒間、より好ましくは8〜15秒間である。また現像液が塗布された平版印刷版上の版面温度は好ましくは10〜35℃、より好ましくは20〜30℃が良い。これらの現像時間、現像温度は現像時の環境条件や印刷品質に合わせて適宜決定することができる。
本発明の現像液の塗布量は平版印刷版1平方メートル当たり50ml以上、好ましくは70ml以上である。前述したように本発明の課題である調子の軟調化及び画像再現性における問題は、塗布方式の現像処理において特に顕著に現れるものである。故に塗布方式の現像処理においても現像液の塗布量が多くなるに伴い、浸漬現像を用いた場合の化学現像と溶解物理現像の進行速度に近づけることができ、上記問題は軽減されていくが、これでは現像液の使用量が多くなり、無駄である。本発明は、本発明の現像液を利用することで現像液の塗布量を増加させずとも、本発明の課題を改善するに到ったものである。従って、平版印刷版上に塗布される現像液量の上限は、多くとも200ml程度であり、これ以上の塗布量は余剰分となるため、実用上の意味は無い。
本発明において、現像処理に続いて水洗処理が施される。水洗液にはpHを4〜10、好ましくは4.5〜8の範囲に緩衝させる緩衝剤、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれらの混合物を含有することができる。また、防腐剤を含有させてもよい。水洗液中には更にタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、細菌プロティナーゼ)や、特公昭48―29723号及び特開昭58−127928号に記載されている親油化剤を含有させることができる。
現像処理と水洗処理の間に、現像の進行を停止させる中和安定化処理を施してもよく、中和液に前記親油化剤を含有させてもよい。
上記水洗液はアルミニウム支持体上のハロゲン化銀乳剤層を完全に除去するために用いられる。ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去は、銀画像部及びアルミニウム表面自身で構成する非画像部を完全に露出させるために極めて重要な工程である。とりわけ、インキを受容する銀画像部は強い親油性が必要であり、ゼラチン等の親油性を阻害する物質は完全に排除する必要がある。具体的には例えば、25〜45℃の水洗液をジェット方式で吹き付ける方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで乳剤層を剥離する方法が一般的に用いられるが、特開平3−116151号、特開平4−318553号に記載されている剥離シートの様なものを用いて乳剤層を除去することもできる。
水洗処理によって露出した銀画像部及び非画像部は、各々の親油性及び親水性を高めるため、及び版面の保護のために、仕上げ液による処理が施される。本発明において、仕上げ液には、非画像部の陽極酸化層の保護及び親水性向上のために、アラビヤガム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール等の保護コロイドを含有することが好ましい。また、画像部の親油性を更に向上させるために、上記親油化剤を含有することが好ましい。更に上記酵素を含有することができる。
本発明が対象とする平版印刷版は、アルミニウム支持体上に物理現像核及びハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作製する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
本発明の平版印刷版の乳剤層には、必要に応じてアニオン、カチオン、ベタイン、ノニオン系の各種界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、消泡剤等の塗布助剤、エチレンジアミンテトラアセテート等のキレート剤、ハイドロキノン、ポリヒドロキシベンゼン類、3−ピラゾリジノン類等の現像主薬を含有させてもよい。
本発明に用いられるアルミニウム支持体は、粗面化され、陽極酸化されたアルミニウム板であり、特開昭63−260491号、米国特許第5,427,889号公報に記載された方法、または一般に知られているPS版用のアルミニウム支持体の製造方法等によって作ることができる。
本発明で用いられる物理現像核層の物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることもできる。これらの詳細及び製法については、例えば、特公昭48−30562号、特開昭48−55402号、特開昭53−21602号、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
本発明において、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に、特開平3−116151号公報記載の水膨潤性中間層、特開平4−282295号公報に記載の疎水性重合体ビーズを含有する中間層を設けてもよい。
以下に本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、記載中の%は特に断りのない限り質量%を表す。
厚さ0.30mmのアルミニウム版(A1050タイプ)を、10%リン酸水溶液中に浸漬した後、2g/Lの水酸化ナトリウム水溶液中で脱脂処理した。次に、4g/Lの塩酸及び4g/Lの硼酸を含有する水溶液中で、35℃、40秒間電解粗面化した。電解粗面化には、25V、35A/dm2、50Hzの単層交流電流を用いた。次にアルミニウム版を30%硫酸水溶液で60℃、120秒間デスマット処理を行い、更に20%硫酸水溶液中で陽極酸化を行った。得られた支持体の陽極酸化アルミニウム量は2.4g/m2であった。
次いで支持体を脱イオン水で洗い、炭酸水素ナトリウムの水溶液で処理し、水洗、乾燥した。
この様にして得られたアルミニウム支持体に硫化パラジウム核液を塗布し、乾燥した。物理現像核層に含まれる核量は0.7mg/m2であった。
次いで、中間層としてポリメチルメタクリレートビーズを1平方メートル当たり0.5g含有するように分散液で塗布した。
ハロゲン化銀乳剤の調製は、平均分子量10万のアルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.25μmの、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせた、沃化銀0.4モル%の塩ヨウ化銀乳剤を調製した。その後、この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。さらにこの乳剤に硫黄金増感を施した後、安定剤を添加し、青色増感性の増感色素を銀1g当たり3mg用いて青色領域に分光増感した。
このようにして作製したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加えて塗布液を作製した。この乳剤層塗布液を前記物理現像核及び中間層が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2g/m2、ゼラチン量が2.0g/m2になるように塗布乾燥して平版印刷材料を得た。
上記平版印刷材料を青色半導体レーザーを搭載した走査型露光装置で画像出力し、次に製版用プロセッサー(三菱製紙P−α880RFW自動塗布現像機)で処理して平版印刷版を作製した。製版用プロセッサーは、スロットダイ塗布装置を用いた現像処理工程(平版印刷版1平方メートル当たりの現像液塗布量80ml、現像が塗布された平版印刷版の版面温度は25℃、現像液が塗布されてから次工程で現像が停止するまでの現像時間は12秒間)、水洗処理工程(33℃の水洗液を10秒間シャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層をウオッシュオフする)、仕上げ処理工程(20℃、ローラー塗布)及び乾燥工程から構成されている。
用いた現像液を下記に示す。
〈現像液A〉
水酸化ナトリウム 33g
無水亜硫酸ナトリウム 120g
硫酸アルミニウム 15g
チオ硫酸ナトリウム(5水塩) 18g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.75g
臭化カリウム 1.5g
グリセリン 20g
ハイドロキノン 25g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 5g
脱イオン水で1000mlとする。
pH(25℃)=13.0
〈現像液B〉
現像液Bとして上記現像液Aに2−メルカプトピリジン−N−オキシドを1.0g/リットル添加した。
〈現像液C〉
現像液Cとして上記現像液Aに化1の化合物を1.0g/リットル添加した。
Figure 2006267340
〈現像液D〉
現像液Dとして上記現像液Aに化2の化合物を1.0g/リットル添加した。
Figure 2006267340
〈現像液E〉
現像液Eとして上記現像液Aに化3の化合物を1.0g/リットル添加した。
Figure 2006267340
〈現像液F〉
現像液Fとして上記現像液Aに化4の化合物を1.0g/リットル添加した。
Figure 2006267340
〈現像液G〉
現像液Gとして上記現像液Aに化5の化合物を1.0g/リットル添加した。
Figure 2006267340
用いた水洗液及び仕上げ液の組成を下記に示す。
〈水洗液〉
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 20g
重亜硫酸カリウム 6g
アミノトリメチレンホスホン酸 20g
タンパク質分解酵素 1g
水を加えて全量を1000mlに調整する。pHは7.2に調整した。
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
〈仕上げ液〉
燐酸 100g
N−メチルエタノールアミン 30g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
ポリプロピレングリコールアルキルエーテル 90g
硝酸ソーダ 20g
アラビアゴム 50g
エチレンジアミン4酢酸 0.5g
タンパク質分解酵素 1g
脱イオン水で1000mlとする。
pHは5.4に調整した。
試験1
上記方法にて得られたアルミニウム平版印刷版を印刷機ハイデルベルグQM−46(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ化学工業(株)製のVALUES−G紅)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い、5万枚印刷時のインキ汚れの状態を評価した。又、写真性に関しては20ミクロンのネガポジラインの画像再現性及び非画像部の銀析出の有無を以下の基準で評価した。
インキ汚れ
○:インキ汚れ無し。
×:インキ汚れ有り。
非画像部銀析出
○:目視で銀析出無し。
×:銀析出により非画像部の変色有り。
20ミクロン画像再現性
○:ネガポジ再現良好。
×:ポジラインの太り及びネガラインの再現不良。
評価結果を表1に示す。
Figure 2006267340
上記結果より明らかなように本発明により硬調で且つインキ汚れに良好な平版印刷版を得ることができた。

Claims (1)

  1. 陽極酸化されたアルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版上に現像液を塗布する現像処理方法において、ピリジン核にメルカプト基が置換したメルカプトピリジン−N−オキシドを含有する現像液を用いて現像することを特徴とする平版印刷版の現像処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010537238A (ja) * 2007-08-23 2010-12-02 イーストマン コダック カンパニー 親水性ポリマーを含む現像液による平版印刷版の処理

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