JP3678888B2 - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

平版印刷版の製版方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の製版方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57−158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48−30562号、同51−15765号、特開昭51−111103号、同52−150105号などの各公報に詳しく記載されている。
【0004】
本発明が対象とする、アルミニウム板を支持体とした銀錯塩拡散転写法を利用したモノシートタイプの平版印刷版(以降、アルミニウム平版印刷版と称す)は、特開昭57−118244号、同57−158844号、同63−260491号、特開平3−116151号、同4−282295号、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
【0005】
前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成に成っている。この平版印刷版の一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュ・オフ:ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程から成っている。
【0006】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0007】
露出した銀画像部及び非画像部には、その保護のためにアラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸等の保護コロイドを含有する仕上げ液が塗布される。所謂、ガム引きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液やフィニッシャーとも称され、銀画像部を親油性にする化合物(以降、親油化剤と称す)を含有することも一般的である。
【0008】
前記アルミニウム平版印刷版の製版方法における課題の一つとして、水洗液が白濁するという問題がある。この白濁は現像液中に溶出した銀イオンまたは銀錯塩が水洗液に持ち込まれることによって生じるということが分かった。本発明が対象とするアルミニウム平版印刷版は、従来のハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核を有する平版印刷版に比べ、物理現像核にトラップされる銀錯塩の効率が低下している。そのため、現像液中に銀イオンまたは銀錯塩が多量に溶出し、水洗液中への持込みが多くなっている。
【0009】
水洗処理は前述したように、ハロゲン化銀乳剤層を剥離して除去する工程であり、アルミ支持体から剥離されて水洗液中に溶解または分散したゼラチンや化学現像された銀等は濾過フィルターによって水洗液から回収され、濾過フィルターを通過した水洗液は循環して再利用されるのが一般的である。しかしながら、銀イオンまたは銀錯体は濾過フィルターで回収することができず、水洗液の白濁を生じさせていた。また更に、銀を含有した処理液の廃棄については環境上の問題があり、対策が望まれていた。
【0010】
前記アルミニウム平版印刷版の製版方法における別の課題として、印刷開始時の銀画像部のインキ受理性が低いという問題、及び耐刷性が不十分であるという問題がある。上記インキ受理性の問題については、仕上げ液に親油化剤を含有させることが、特開平4−306660号、同平7−77805号公報等に開示されている。また現像液に親油化剤を含有させることも上記特許公報に記載されている。また、米国特許第4,567,131号公報には、仕上げ処理でタンパク質分解酵素と親油化剤を作用させることが開示されている。
【0011】
上記方法によって、インキ受理性はある程度改良されたが、印刷条件の変更、例えば印刷機やインキの種類等の変更によっては、インキ受理性は不十分な場合があり、常に安定した高いインキ受理性は得られるまでには至ってない。従って、更なる改良が望まれている。また、耐刷性の問題については、所望する性能が得られておらず、改良が望まれている。また、従来の製版方法は、製版してから印刷するまでの経時(置き版)によって、インキ受理性が低下するという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、水洗液の白濁を防止し、環境的に問題のない製版方法を提供することにある。他の目的は安定的に高いインキ受理性及び耐刷性が優れたアルミニウム平版印刷版の製版方法を提供することにある。さらに他の目的は、製版してから印刷するまでの経時よるインキ受理性の低下を抑制した製版方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、アルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する平版印刷材料に、露光後少なくとも現像液、水洗液、及び仕上げ液の順で処理を施す製版方法において、前記水洗液がメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有することを特徴とする平版印刷版の製版方法によって達成された。
【0014】
メルカプト基またはチオン基を有する化合物が水洗液中の銀イオンまたは銀錯体に配位することによって、濾過フィルターでの捕獲回収を可能にしているものと考えられる。
【0015】
また、前記メルカプト基またはチオン基を有する化合物を水洗液中に含有させることによって、銀画像部のインキ受理性及び耐刷性が向上することは予想外の発見であった。前記したようにメルカプト基またはチオン基を有する化合物は銀画像部の親油化剤として知られているが、アルミニウム平版印刷版の製版工程において、水洗液にこれらの親油化剤を含有させることは、従来技術から全く予想外の試みであった。
【0016】
前記メルカプト基またはチオン基を有する化合物は水洗液の他に、更に現像液及び/または仕上げ液に含有させることによって、著しくインキ受理性及び耐刷性が向上した。
【0017】
また、更にタンパク質分解酵素を仕上げ液に含有させるこによって、インキ受理性が安定的に向上し、製版してから印刷するまでの経時によるインキ受理性の低下を抑制する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるメルカプト基またはチオン基を有する化合物としては、特公昭48−29723号、特開昭58−127928号に記載されているものが好ましく用いられる。特にメルカプト基またはチオン基を有する含窒素複素環化合物が好ましく、下記の化1に示される一般式を有するものが挙げられる。
【0019】
【化1】
Figure 0003678888
【0020】
(式中のR1、R3は炭素数3以上、好ましくは3〜12のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基で、R2は水素、アルキル基、アルケニル 基、アラルキル基またはアリール基を表す。m、nは1以上の整数を表すが、R2が炭素数3以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基 の場合は、nは0であってもよい。Zは、式中のN、Cと共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残りの原子団を示す。)
【0021】
5ないし6員環の具体的な例としては、イミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。また、カルボキシ基、スルホ基等の水溶性基は有しない方が好ましい。
【0022】
係る化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物は、水洗液に含有することによって、水洗液の白濁を防止し、銀の回収を可能し、同時にインキ受理性及び耐刷性をを向上させる。水洗液中へのメルカプト基またはチオン基を有する化合物の含有量は、0.01〜10g/リットル程度が適当である。
【0024】
インキ受理性及び耐刷性を更に向上させるために、前記メルカプト基またはチオン基を有する化合物を更に、現像液及び/または仕上げ液に含有させる。好ましくは、現像液、水洗液及び仕上げ液の3つの処理液に含有させることである。更に、メルカプト基またはチオン基を有する化合物を平版印刷材料に含有することもできる。
【0025】
現像液及び仕上げ液中へのメルカプト基またはチオン基を有する化合物の含有量は、0.01〜10g/リットル程度が適当である。
【0026】
上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物はアルカリ溶液には溶解するが、中性から弱酸性の水洗液に溶解しないため、有機溶剤、アミン化合物(例えばアミノアルコール)、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等の溶解助剤を用いて添加することができる。
【0027】
本発明において、タンパク質分解酵素を仕上げ液に含有させることが好ましい。本発明に用いられるタンパク質分解酵素(以降、酵素と称す)は、ゼラチンなどのタンパク質を加水分解できる植物性または動物性酵素で公知のものが用いられる。例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、細菌プロティナーゼ(例えば、長瀬産業(株)製のビオプラーゼ)等が挙げられる。この中でも特に、トリプシン、パパイン、フィシン、細菌プロティナーゼが好ましい。水洗液中及び/または仕上げ液中への酵素の含有量は、0.5〜50g/リットル程度が適当である。
【0028】
本発明において、水洗液には上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物の他に、pHを4〜8、好ましくは4.5〜7の範囲に緩衝させる緩衝剤、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれらの混合物を含有することができる。また、防腐剤を含有させてもよい。
【0029】
上記水洗液はアルミニウム支持体上のハロゲン化銀乳剤層を完全に除去するために用いるもので、通常、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付ける方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで乳剤層を剥離する方法が採用されている。アルミニウム支持体上から剥離された乳剤層は水洗液中に溶解または分散されて、一旦水洗液を貯溜するタンクに戻され、系外に配置された濾過フィルターを通して循環されることによって、フィルターに回収される。
【0030】
アルミニウム平版印刷版において、ハロゲン化銀乳剤層の水洗除去は、銀画像部及びアルミニウム表面自身で構成する非画像部を完全に露出させるために極めて重要な工程である。とりわけ、インキを受容する銀画像部は強い親油性が必要であり、ゼラチン等の親油性を阻害する物質は完全に排除する必要がある。
【0031】
本発明に用いられる現像液には、上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物の他に、現像主薬、例えばポリヒドロキシベンゼン類、3-ピラゾリジノン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、メソイオン性化合物等の添加剤を含ませることができる。現像液のpHは通常10〜14、好ましくは12〜14である。
【0032】
現像処理及び水洗処理によって露出した銀画像部及び非画像部は、各々の親油性及び親水性を高めるため、及び版面の保護のために、仕上げ液による処理が施される。本発明において、仕上げ液には上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物及びタンパク質分解酵素の他に、非画像部の陽極酸化層の保護及び親水性向上のために、アラビヤガム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール等の保護コロイドを含有することが好ましい。
【0033】
本発明が対象とする平版印刷版は、アルミニウム支持体上に物理現像核及びハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
【0034】
ハロゲン化銀乳剤層は前記メルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有することができる。ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0035】
本発明に用いられるアルミニウム支持体は粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、好ましくは米国特許第5,427,889号公報に記載されているものが用いられる。
【0036】
本発明で用いられる物理現像核層の物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることもできる。これらの詳細及び製法については、例えば、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0037】
本発明において、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に、特開平3−116151号公報記載の水膨潤性中間層を設けてもよい。
【0038】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
【0039】
実施例1
アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は米国特許第5,427,889号公報に記載の方法に従って、平均直径約5μmのプラトー上に直径0.03〜0.30μmのピットを100μm2当たり約5,600個有し、かつこれらのピットの平均直径が0.08μmである厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。このアルミ板は粗面化処理後に陽極酸化したものであり、平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。
【0040】
このアルミニウム支持体にカレー・リー(Carey Lea)法により作成された銀ゾルからなる物理現像核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に含まれる銀量は、3mg/m2であった。
【0041】
ハロゲン化銀乳剤として、保護コロイドとして、アルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当り0.006mmolドープさせた塩ヨウ臭化銀乳剤(AgBr20モル%、AgI0.4モル%)を作成した。更に、この乳剤に硫黄金増感を施し、化2の増感色素を銀1g当り3mg用いて分光増感した。
【0042】
【化2】
Figure 0003678888
【0043】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加え、前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2g/m2になるように塗布、乾 燥して平版印刷材料を得た。
【0044】
上記平版印刷材料を633nmの赤色LDレーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用プロセッサー(デュポン社製SLT−N自動現像機)で処理して平版印刷版を作成した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(21℃、30秒間浸漬)、水洗処理工程(33℃の水洗液を10秒間勢いよくシャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層を剥離する)、仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成されている。
【0045】
水洗工程は水洗液を30リットル貯溜するタンクと、タンクからポンプを介して平版印刷材料に供給し乳剤層を剥離除去するユニットと、タンクから系外に配置された濾過フィルターを通して水洗水を循環させるユニットで構成されている。濾過フィルターは円筒型の5μmのフィルターを用いた。
【0046】
下記に示す現像液、水洗液及び仕上げ液を用いて100m2処理した時の水洗液の白濁の状態を観察した。
【0047】
<現像液A>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
モノメチルエタノールアミン 6g
無水チオ硫酸ナトリウム 6g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g
ポリエチレングリコール(平均分子量400) 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは13.0に調整した。
【0048】
<水洗液A>
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸カリウム 40g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.0に調整した。
【0049】
<水洗液B>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸カリウム 40g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.0に調整した。
【0050】
<仕上げ液A>
アラビアゴム 10g
第1燐酸ナトリウム 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pH6.0に調整した。
【0051】
上記処理の結果、水洗液にメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有しない水洗液Aは白濁していたが、メルカプト基またはチオン基をを有する化合物(2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール)を含有する水洗液Bは全く白濁していなかった。
【0052】
また、上記記載の方法で作成された平版印刷版について、経験的に得られた比較的インキ受理性の悪い印刷条件、即ち印刷機ハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ株製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い、印刷開始時のインキ受理性(インキ乗り)を評価した。インキ受理性は印刷開始後、画像の濃度の変化の起きなくなる迄の枚数で評価した。
【0053】
その結果、水洗液Aを用いて処理した平版印刷版は50枚印刷してもインキは乗らなかったが、本発明の水洗液Bで処理した平版印刷版は印刷開始から27枚でインキが安定的に乗った。
【0054】
実施例2
前記水洗液Bの2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾールの代わりに、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾールを添加した水洗液C、及び3−ペンチルベンゾオキサゾリン−2−チオンを添加した水洗液Dを各々作成して、実施例1と同様に試験した。その結果、水洗液C及びDの白濁は全くなかった。また、インキ受理性も水洗液Bと同様の結果が得られた。
【0055】
実施例3
実施例1に用いた現像液、水洗液、仕上げ液及び下記に示す現像液及び仕上げ液を用いて、実施例1に従って処理した。
<現像液B>
前記現像液Aに、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾールを0.5g加えた。
【0056】
<仕上げ液B>
前記仕上げ液Aに、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾールを1gと、トリエタノールアミンを26g加えた。
【0057】
上記記載の方法で作成された平版印刷版について、実施例1の方法に準じてインキ受理性を評価した。また、耐刷力を以下の方法で評価した。
【0058】
耐刷力は上記印刷方法に準じて印刷し、微小網点画像部の欠落が生じ印刷が不可能となったときの印刷枚数で次の評価基準で評価した。
◎:10万枚以上
○:5万〜10万枚
△:1万〜5万枚
×:1万枚以下
【0059】
インキ受理性と耐刷力の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0003678888
【0061】
上記結果から明らかなように、本発明は水洗液と、更に現像液及び/または仕上げ液にメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有させることによって、従来の処理に比べ、インキ受理性及び耐刷性が向上する。
【0062】
実施例4
実施例3の水洗液Bの代わりに実施例2の水洗液C及びDを用いて試験したが、実施例3と同様な結果が得られた。
【0063】
実施例5
前記仕上げ液Aにタンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を2g加えた仕上げ液Cを作成した。現像液A、水洗液B及び仕上げ液Cを用いて処理した。その結果、インキ受理性は15枚であった。耐刷力は10万枚程度であった。
【0064】
実施例6
前記仕上げ液CのビオプラーゼAL−15の代わりにトリプシンを用いる以外は、実施例5と同様に試験した。その結果、実施例5と同様の結果が得られた。
【0065】
実施例7
現像液B、水洗液B及び仕上げ液Cを用いて処理した。その結果、インキ受理性は9枚であり、耐刷力は10万枚でも問題なかった。
【0066】
比較例1
比較例として、次のような処理をした。
仕上げ液BにビオプラーゼAL−15を2g加えた仕上げ液Dを作成した。現像液A、水洗液A及び仕上げ液Dを用いて処理した。その結果、インキ受理性は25枚であり、耐刷力は5万枚程度であった。
【0067】
実施例8
上記実施例5、7及び比較例1で製版された平版印刷版を1週間放置した後、インキ受理性を評価した。その結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0003678888
【0069】
上記結果から本発明は、製版後の平版印刷版の経時によるインキ受理性の低下を抑制することができる。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、水洗液の白濁が防止でき、また環境的に問題のない製版方法を提供できる。また更に、安定的に高いインキ受理性及び高い耐刷力が得られる。更に、製版後の経時(置き版)によるインキ受理性の低下を防止できる。

Claims (3)

  1. アルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する平版印刷材料に、露光後少なくとも現像液、ハロゲン化銀乳剤層を除去するための水洗液、及び仕上げ液の順で処理を施す製版方法において、前記水洗液がメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
  2. 請求項1に記載の製版方法において、更に、現像液及び/または仕上げ液がメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
  3. 請求項1または2に記載の製版方法において、更に、仕上げ液がタンパク質分解酵素を含有することを特徴とする平版印刷版の製版方法。
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