JP3790407B2 - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の製版方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57−158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48−30562号、同51−15765号、特開昭51−111103号、同52−150105号などの各公報に詳しく記載されている。
【0004】
アルミニウム板を支持体とした銀錯塩拡散転写法を利用したモノシートタイプの平版印刷版(以降、アルミニウム平版印刷版と称す)は、特開昭57−118244号、同57−158844号、同63−260491号、特開平3−116151号、同4−282295号、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
【0005】
前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を設けた構成に成っている。今日、この平版印刷版の実際に行われている一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュ・オフ:ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程から成っている。
【0006】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0007】
露出した銀画像部及び非画像部には、その保護のためにデキストリン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリスチレンスルホン酸等のポリマーを含有する仕上げ液、所謂、ガム引きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液やフィニッシャーとも称され、銀画像部を親油性にする化合物(以降、親油化剤と称す)を含有することも一般的である。
【0008】
前記アルミニウム平版印刷版の製版方法における課題として、印刷開始時の銀画像部のインキ受理性が低いという問題、及び耐刷性が不十分であるという問題がある。このインキ受理性、耐刷力の問題については、親油化剤を用いることが知られている。たとえば仕上げ液に親油化剤を含有させることが特開平4−306660号、同平7−77805号公報等に開示されており、特開平5−303206号公報には親油化剤とアラビアゴムからなる仕上げ液が記載されている。また米国特許第4,567,131号公報には、仕上げ処理でタンパク質分解酵素と親油化剤を作用させることが開示されている。
【0009】
更には水洗液に親油化剤を含有し、仕上げ液にアラビアゴムを含有することが特開平10−133381号公報に記載されている。
【0010】
上記方法によって、インキ受理性、耐刷力はある程度改良されたが、印刷条件の変更、例えば印刷機やインキの種類等の変更によっては、インキ受理性は不十分な場合があり、常に安定した高いインキ受理性は得られるまでには至ってない。従って、更なる改良が望まれている。
【0011】
また従来の製版方法は、製版してから印刷するまでの経時(置き版)や印刷の途中で印刷機を一端停機した後に再印刷すると、非画像部に汚れが発生し易いという問題がある。この汚れは陽極酸化アルミニウム表面が空気中で酸化されることに起因していると考えられ、所謂酸化汚れと呼ばれている。しかし、この汚れを改良しようとすれば、一般的にはインキ受理性が悪くなり、従ってインキ受理性と耐刷力に優れ、しかも非画像部の汚れを両立して良くすることは非常に困難な問題である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インキ受理性、耐刷力に優れ、しかも非画像部の汚れが改良されたアルミニウム平版印刷版の製版方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、親油化剤を含有しアラビアゴムを含有しない水洗液を用いてハロゲン化銀乳剤層を除去した後、加熱手段を用いて版面を乾燥し、次いでアラビアゴム含有仕上げ液を適用することにより基本的に達成された。
【0014】
本発明は、アルミニウム支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷材料を露光後、製版用プロセッサーを用いて銀錯塩拡散転写現像し、少なくともハロゲン化銀乳剤層を水洗処理工程で除去し、その後仕上げ処理工程、乾燥工程を経てアルミニウム支持体上にインキ受理性の銀画像を坦持させることからなる製版方法において、該水洗処理工程に用いる水洗液が親油化剤を含有しアラビアゴムを含有しない水洗液であり、該仕上げ処理工程に用いる仕上げ液が少なくともアラビアゴムを含有する仕上げ液であって、該水洗処理工程と該仕上げ処理工程の間に加熱手段を用いて乾燥する工程を有することを特徴とする製版方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる親油化剤は公知の化合物が用いられるが、好ましくはメルカプト基またはチオン基を有する化合物であり、例えば特公昭48−29723号、特開昭58−127928号、特開平10−133381号公報等に記載されているものが好ましく用いられる。特にメルカプト基またはチオン基を有する5ないし6員環の含窒素複素環化合物が挙げられる。
【0016】
5ないし6員環の具体的な例としては、イミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。
【0017】
係る化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明において、上記の親油化剤をアルミニウム支持体上の銀画像に作用させる処理液(以下単に、親油化剤含有液という)には、現像処理の後の処理液、例えばハロゲン化銀乳剤層を除去する水洗液、あるいはハロゲン化銀乳剤層の除去処理後の露出された銀画像に作用させる親油化剤の処理液として適用することが好ましい。
【0019】
親油化剤としてのメルカプト基またはチオン基を有する化合物のこれらの処理液への含有量は、0.01〜10g/リットル程度が適当である。
【0020】
上記メルカプト基またはチオン基を有する化合物はアルカリ溶液には溶解するが、中性から弱酸性では殆ど溶解しないため、有機溶剤、アミン化合物(例えばアミノアルコール)、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等の溶解助剤を用いて添加することができる。さらにpHを4〜8、好ましくは4.5〜7の範囲に緩衝させる緩衝剤、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれらの混合物を含有することができる。またデキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸等のポリマーを含有することができる。また界面活性剤、キレート剤、防腐剤等を含有させてもよい。
【0021】
これらの親油化剤含有液には、実質的にアラビアゴムを含有しない。通常、アラビアゴムは仕上げ液より前工程の処理液には使用されないが、上記の親油化剤含有液にアラビアゴムを含有していると、この親油化剤の銀画像への吸着を阻害することが判明した。従って親油化剤含有液にはアラビアゴムを含有しないことが好ましいのであるが、少量たとえば親油化剤の効果を著しく損なわない範囲たとえば処理液の0.5重量%以下程度であれば含有していてもよい。
【0022】
これらの親油化剤含有液が適用された平版印刷材料は、引き続き乾燥工程が施される。本発明の特徴はこの乾燥工程を設けることであり、この乾燥工程により親油化剤を版面の銀画像に安定、強固に吸着させるものである。しかし乾燥工程は版面を完全に乾燥してしまう必要はない。要するに、引き続くアラビアゴム含有液を適用したときに、版面の親油化剤の液と混ざり合って前述のアラビアゴムと親油化剤を含有する処理液を適用したときと同じような溶液状態にならないようにすることが重要なことである。従って版面に存在する親油化剤含有液の溶媒の約半量以上が蒸発した半乾燥状態であっても親油化剤が銀画像に十分に吸着しているので次のアラビアゴム含有液の適用は可能である。好ましくは版面に存在する親油化剤含有液の約70容量%以上が蒸発した状態でアラビアゴム含有液を適用することができる。
【0023】
乾燥工程は、自然乾燥により上述した乾燥状態にすることでもよいが、製版プロッセサーで製版する関係上、ヒーター等の加熱手段で乾燥することが好ましい。乾燥は、約30℃〜約60℃の加熱温度で、数秒から数十秒の加熱時間、場合によっては1分以上の加熱時間であってもよい。
【0024】
乾燥もしくは半乾燥状態の版面には、引き続いて、少なくともアラビアゴムを含有する処理液(以下単に、アラビアゴム含有液という)が適用される。アラビアゴムは処理液中に約1〜約20重量%程度含有すると十分である。アラビアゴムの種類は公知のものがいずれも使用できる。
【0025】
本発明のアラビアゴム含有液には、前の工程までで親油化剤が十分に作用しているが、さらに親油化剤を補強する目的で、前記したような親油化剤を含有することが出来る。アラビアゴム含有液に含有する親油化剤の量は、0.01〜10g/リットル程度である。これらの親油化剤は有機溶剤、アミン化合物(例えばアミノアルコール)、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等の溶解助剤を用いて添加することができる。またアラビヤゴムの他に、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール等のポリマーを含有することができる。さらにpHを4〜8、好ましくは4.5〜7の範囲に緩衝させる緩衝剤、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれらの混合物を含有することができる。また界面活性剤、キレート剤、防腐剤等を含有させてもよい。
【0026】
本発明のアラビアゴム含有液、さらに前記の親油化剤含有液には、タンパク質分解酵素を含有させることが好ましい。本発明に用いられるタンパク質分解酵素(以降、酵素と称す)は、ゼラチンなどのタンパク質を加水分解できる植物性または動物性酵素で公知のものが用いられる。例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、細菌プロティナーゼ(例えば、長瀬産業(株)製のビオプラーゼ)等が挙げられる。この中でも特に、トリプシン、パパイン、フィシン、細菌プロティナーゼが好ましい。親油化剤含有液及び/またはアラビアゴム含有液中への酵素の含有量は、0.5〜50g/リットル程度が適当である。
【0027】
本発明の親油化剤を含有する水洗液はアルミニウム支持体上のハロゲン化銀乳剤層を完全に除去するために用いるもので、通常、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付ける方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで乳剤層を剥離する方法が採用される。アルミニウム支持体上から剥離された乳剤層は水洗液中に溶解または分散されて、一旦水洗液を貯溜するタンクに戻され、系外に配置された濾過フィルターを通して循環されることによって、フィルターに回収される。
【0029】
本発明に用いられる現像液には、現像主薬、例えばポリヒドロキシベンゼン類、3-ピラゾリジノン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、前述したメルカプト基またはチオン基を有する化合物、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、メソイオン性化合物等の添加剤を含ませることができる。現像液のpHは通常10〜14、好ましくは12〜14である。
【0030】
現像処理は現像槽に浸漬して現像する従来方式の他、前記特願平11−324971号、同平11−324972号で提案したような現像液塗布方式であってもよい。
【0031】
本発明のアルミニウム平版印刷版は、一般的にはアルミニウム支持体上に物理現像核及びハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
【0032】
ハロゲン化銀乳剤層は前記メルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有することができる。ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0033】
本発明に用いられるアルミニウム支持体は粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、例えば米国特許第5,427,889号公報に記載されているものが用いられる。
【0034】
本発明で用いられる物理現像核層の物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。物理現像核は使用しなくても物理現像できることが知られており、必ずしも使用する必要はない。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用いることもできる。これらの詳細及び製法については、例えば、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0035】
本発明において、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に、特開平3−116151号、同平4−282295号、同平8−234437号等に記載の中間層を設けてもよい。
【0036】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
【0037】
実施例1
アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は公知の方法に従って処理した厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。このアルミ板はであった。
【0038】
粗面化処理後に陽極酸化処理した平均粗さ(Ra)0.5〜0.6μmのアルミニウム支持体上に硫化パラジウムの物理現像核液を3mg/m2となるように塗布し、その後乾燥した。
【0039】
ハロゲン化銀乳剤として、保護コロイドとして、アルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当り0.006mmolドープさせた塩ヨウ臭化銀乳剤(AgBr5モル%、AgI0.4モル%)を作成した。更に、この乳剤に硫黄金増感を施し、赤感性の増感色素を銀1g当り3mg用いて分光増感した。
【0040】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加え、前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体上に銀量が2g/m2になるように塗布、乾 燥して平版印刷材料を得た。
【0041】
上記平版印刷材料を633nmの赤色LDレーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用プロセッサーで処理して平版印刷版を作成した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(21℃、30秒間浸漬)、水洗処理工程(33℃の水洗液を10秒間勢いよくシャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層を剥離する)、仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成されている。水洗処理と仕上げ処理の間には乾燥手段は無く、その間の時間は約7秒間であり、版面に残存する水洗液は実質的に減少しない。
【0042】
水洗工程は水洗液を30リットル貯溜するタンクと、タンクからポンプを介して平版印刷材料に供給し乳剤層を剥離除去するユニットと、タンクから系外に配置された濾過フィルターを通して水洗水を循環させるユニットで構成されている。
【0043】
下記に示す現像液、水洗液及び仕上げ液を用いた。
【0044】
<現像液A>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
モノメチルエタノールアミン 6g
無水チオ硫酸ナトリウム 6g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g
ポリエチレングリコール(平均分子量400) 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは13.0に調整した。
【0045】
<水洗液A(親油化剤含有液)>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸カリウム 40g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.0に調整した。
【0046】
<仕上げ液A>
アラビアゴム 50g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
トリエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸ナトリウム 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pH6.0に調整した。
【0047】
<仕上げ液B>
界面活性剤
ポリエチレングリコール3000
第1燐酸ナトリウム 10g
硝酸カリウム
クエン酸
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
水酸化ナトリウム
水を加えて全量を1000ccに調整する。pHは6.0に調整した。
(仕上げ液Bは特開平7−287399号公報の実施例1に準じた)
【0048】
<仕上げ液C>
アラビアゴム 50g
トリエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸ナトリウム 10g
水を加えて全量を1000ccに調整する。pH6.0に調整した。
【0049】
上記記載の方法で作成された平版印刷版について、製版直後および1日大気中に放置した後に、経験的に得られた比較的インキ受理性の悪い印刷条件、即ち印刷機ハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)、インキ(大日本インキ株製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い、印刷開始時のインキ受理性(インキ乗り)および非画像部の汚れを評価した。インキ受理性は印刷開始後、画像の濃度の変化の起きなくなる迄の枚数で評価し、汚れは全く汚れない(A)、僅かに汚れる(B)、著しく汚れる(C)の3段階で評価した。
【0050】
一方、製版用プロッセサーの水洗処理と仕上げ処理の間に加熱手段を設け、版面に存在する水洗液がほぼ完全に蒸発するように60℃で加熱処理した。その結果を表1に示す。それぞれの仕上げ液の上段は製版直後、下段は1日経時後の結果である。
【0051】
また実施例1の水洗液A(親油化剤含有液)から2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾールを除いた水洗液Bと仕上げ液Aを用いて製版した結果を比較例4として同じく表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の結果から、親油化剤を銀画像に適用し、乾燥してからアラビアゴム含有液を適用すると、インキ受理性に優れ、しかも非画像部の汚れの無い、すぐれたアルミニウム平版印刷版が得られることが分かる。
【0054】
実施例2
実施例1に用いた現像液Aに、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾールを0.5g加えた以外、実施例1に従った。すべての試験で実施例1よりインキ受理性が少しだけ同レベルで良くなったが、非画像部は実施例1と同じ結果であった。
【0055】
実施例3
実施例1の仕上げ液A、BおよびCにタンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を2g加えた仕上げ液を作成した以外は実施例1に従った。すべての試験で実施例1よりインキ受理性が少しだけ同レベルで良くなったが、非画像部は実施例1と同じ結果であった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、高いインキ受理性及び非画像部の汚れの無い優れたアルミニウム平版印刷版を得ることができる。
Claims (1)
- アルミニウム支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷材料を露光後、製版用プロセッサーを用いて銀錯塩拡散転写現像し、少なくともハロゲン化銀乳剤層を水洗処理工程で除去し、その後仕上げ処理工程、乾燥工程を経てアルミニウム支持体上にインキ受理性の銀画像を坦持させることからなる製版方法において、該水洗処理工程に用いる水洗液が親油化剤を含有しアラビアゴムを含有しない水洗液であり、該仕上げ処理工程に用いる仕上げ液が少なくともアラビアゴムを含有する仕上げ液であって、該水洗処理工程と該仕上げ処理工程の間に加熱手段を用いて乾燥する工程を有することを特徴とする製版方法。
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