JP3522474B2 - 平版印刷版のスターター液及び印刷方法 - Google Patents

平版印刷版のスターター液及び印刷方法

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JP3522474B2
JP3522474B2 JP231997A JP231997A JP3522474B2 JP 3522474 B2 JP3522474 B2 JP 3522474B2 JP 231997 A JP231997 A JP 231997A JP 231997 A JP231997 A JP 231997A JP 3522474 B2 JP3522474 B2 JP 3522474B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像銀をインキ受
理性として利用する平版印刷版の印刷開始時に用いるス
ターター液及びそれを用いた印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銀錯塩拡散転写法(DTR法)によって
得られる転写銀画像を直ちにインキ受理性として利用す
ることができる平版印刷版は既に知られている。その1
つのタイプは、支持体(例えば、ポリエチレン樹脂を被
覆した紙ベース、ポリエチレンテレフタレートベース
等)上に少なくともハロゲン化銀乳剤層及び物理現像核
層をこの順に有する平版印刷版であり、例えば米国特許
第3721559号、同第3490905号、同第33
85701号、同第3814603号、同第34543
98号、同第3764323号、同第3099209
号、特公昭44−27242号、同48−30562
号、特開昭53−9603号、同53−21602号、
同54−103104号、同56−9750号公報等に
記載されている。
【0003】上記平版印刷版はゼラチンをバインダーと
する乳剤層の表面に物理現像核を有し、露光された乳剤
層中のハロゲン化銀結晶は、DTR現像により化学現像
を生起し黒色の銀となり、ゼラチンを主体とする親水性
の非画像部を形成する。一方、未露光のハロゲン化銀結
晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀塩錯体となって表面
の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を
生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画像部
を形成する。
【0004】ここで、銀画像部はインキ受理性として、
非画像部のゼラチン表面はインキ反発性として印刷に供
される。ゼラチン表面はそれ自体親水性ではあるが保水
性に関しては十分と言えるものではなかった。
【0005】もう1つのタイプは、粗面化及び陽極酸化
されたアルミニウム支持体に担持された物理現像核の上
にハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版(以降、アル
ミ平版印刷版と称す)が知られており、例えば特開平5
−216236号、同平6−81194号公報等に記載
されている。この平版印刷版は露光、現像処理後、ハロ
ゲン化銀乳剤層をウォッシュオフ(水洗除去)して、金
属銀膜からなる画像部とアルミ陽極酸化表面からなる非
画像部が現れる。
【0006】上記2つの平版印刷版は構成及び製版方法
は異なるが、画像銀をインキ受理性にする点に於いては
共通するものである。これらの平版印刷版は、親油性の
インキを受理する画像部分と親水性で水を受理する非画
像部分とから構成される。従って、通常の平版印刷は水
(給湿液)とインキの両方を版面に供給し、画像部分は
着色性のインキを、非画像部分は水を選択的に受け入
れ、該画像上のインキを例えば紙などの基質に転写させ
ることによってなされる。
【0007】良好な印刷物を得るためには、画像部分と
非画像部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大き
いことが要求される。このため、物理現像銀で形成され
た画像部のインキ受理性を高める目的で、メルカプト基
もしくはチオン基を有する化合物を版面上の銀画像に作
用させることが知られている(例えば特公昭48−29
723号、特開昭58−127928号等に記載)。
【0008】一方、印刷開始時の非画像部のインキ付着
による汚れを防止するために、印刷版の版面を濡らして
おき、印刷時に給湿液を受け付けやすくすることも不可
欠である。特に、前者の平版印刷版(ゼラチン皮膜が非
画像部を形成するタイプ)は、非画像部の保水性が充分
ではなく、印刷開始時に版面が湿潤していることが重要
である。
【0009】従って、前者の平版印刷版は、印刷開始直
前にスターター液として、コロイダルシリカ等の無機微
粒子を含有する処理液を版面に塗布していた。また、該
スターター液には画像部のインキ受理性を向上させるた
めに、メルカプト基もしくはチオン基を有する化合物を
含有させていた。
【0010】本発明において、スターター液とは上述し
たように、印刷開始直前に印刷版の版面に塗布される処
理液である。このスターター液の使用時期は、印刷版を
印刷機に装着(版掛け)してから印刷を開始するまでの
間に使用するのが一般的である。要するに、印刷を開始
する時に版面が水で濡れている状態に保つことができる
ように使用される。
【0011】一方、後者のアルミ平版印刷版は、非画像
部がアルミの陽極酸化表面で形成されているため、保水
性能は高く、上述のスターター液は用いられていなかっ
た。
【0012】しかしながら、アルミニウム平版印刷版に
おいて、印刷開始時のより高いインキ受理性及び非画像
部の保水性を実現するためには、従来の方法では不十分
であった。アルミ平版印刷版は、製版処理時の水洗工程
での乳剤層除去の善し悪しが印刷性、とりわけ印刷開始
時のインキ受理性及び保水性に影響を及ぼすため、水洗
条件(水洗液の疲労、温度等)の変動に起因する初期印
刷性のバラツキがあった。即ち、乳剤層の水洗除去(ウ
ォッシュ・オフ)不良は、銀画像部及び非画像部にゼラ
チンかすが付着し、銀画像部のインキ受理性及び非画像
部の地よごれ(保水性不良)を生じさせる。
【0013】また、前者の平版印刷版についても、銀画
像部のインキ受理性を増大させるためにメルカプト基も
しくはチオン基を有する化合物を含有させることが行わ
れているが、印刷条件(印刷機、インキの種類)によっ
ては、まだ充分ではなく、安定したインキ受理性が得ら
れていなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版に
おいて、印刷開始時の銀画像部のインキ受理性及び非画
像部の保水性が大幅に向上するスターター液を提供する
ことである。特に、アルミ平版印刷版において、高度に
安定したインキ受理性と保水性を向上させることであ
る。本発明の第2の目的は、ゼラチン層(乳剤層)の上
に銀画像を形成する平版印刷版の印刷開始時のインキ受
理性を、保水性を低下させずに向上させることである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版のスタ
ーター液に於いて、該スターター液に酵素を含有させる
ことによって達成された。
【0016】本発明において、スターター液とは前述し
たように、印刷開始直前に印刷版の版面を水で濡らした
状態にせしめるための処理液である。このスターター液
の使用時期は、印刷版を印刷機に装着(版掛け)してか
ら印刷を開始するまでの間、あるいは、版掛けする直前
である。通常、印刷機に印刷版を装着してから使用され
る。
【0017】本発明のスターター液は、画像銀をインキ
受理性として利用する平版印刷版に用いることによっ
て、印刷開始時点から良好な印刷物が得られる。特に、
アルミ平版印刷版に対して、印刷開始時の銀画像部のイ
ンキ受理性及び非画像部の保水性(インキ汚れの防止)
の顕著な向上が図られる。
【0018】アルミ平版印刷版の製版処理は、露光後、
現像、水洗、仕上げ処理が施される。通常、現像、水
洗、仕上げ処理は1つの処理装置の中で、連続的に行わ
れ、乾燥工程を経て製版が完了する。この中で、水洗処
理は、物理現像核に析出した物理現像銀によって形成さ
れた銀画像部と、非画像部を形成するアルミ表面を露出
させるために、ハロゲン化銀乳剤層を除去せしめるため
の重要な工程である。ハロゲン化銀乳剤層はゼラチンを
主体にして、各種添加剤を含有している。特にゼラチン
が銀画像部上及びアルミ表面(非画像部)に残留するこ
とは、銀画像部の疎水性を著しく阻害し、インキ受理性
を低下させ、そして非画像部の地よごれの原因となる。
従って水洗処理で乳剤層を充分に除去することが重要で
ある。
【0019】しかしながら、ランニング処理によって、
水洗液中のゼラチンの含有量が増加したり、スクラブロ
ーラが劣化したり、また水洗液温度が変動したりするこ
とによって、乳剤層の除去が充分に行われないことがし
ばしば起こった。
【0020】また、製版処理した印刷版の置き版時(製
版から印刷までの刷版の保管)の取扱によって版面に汚
れが生じる場合があり、それがインキ受理性及び保水性
を低下させていた。
【0021】従って、本発明は上記問題を解決するため
に、アルミ平版印刷版において、印刷開始時にスタータ
ー液を使用することを提案するものである。そして、該
スターター液には、版面上のゼラチン等による汚れを効
率よく除去するために、酵素を含有させるというもので
ある。また、上記スターター液は、ゼラチン皮膜を非画
像部とする前者の平版印刷版においても、印刷開始時の
インキ受理性向上の効果があることが判明した。
【0022】アルミニウム平版印刷版において、仕上げ
液で銀画像にタンパク質分解酵素と銀画像を疎水性にす
る化合物を作用させて、インキ受理性を向上させること
は、米国特許第4,567,131号公報、特開平5−
265216号公報等に記載されている。これによっ
て、インキ受理性はある程度改良されるのの、前述の水
洗条件の悪化に加え、置き版時の条件(保管期間、温
度、湿度等)や印刷条件等があいまって、所望のインキ
受理性が得られるまでに至っていなかった。ましてや保
水性の改良には効果がなかった。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスターター液に用いられる酵素としては、タン
パク質分解酵素、油脂分解酵素等が好ましく、特にタン
パク質分解酵素が好ましい。タンパク質分解酵素として
は、ゼラチンなどのタンパク質を加水分解できる植物性
または動物性酵素で、公知のものが用いられる。例え
ば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシ
ン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レ
ニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、細菌プロティナー
ゼ(例えば、長瀬産業(株)製のビオプラーゼ)等が挙
げられる。この中でも特に、トリプシン、パパイン、フ
ィシン、細菌プロティナーゼが好ましい。油脂分解酵素
としてはリパーゼが挙げられる。スターター液への酵素
の含有量は、0.1〜50g/リットル程度、好ましく
は0.3〜30g/リットル程度である。
【0024】本発明のスターター液には、更に画像銀を
疎水性にする化合物としてメルカプト基もしくはチオン
基を有する化合物を含有することが好ましく、特公昭4
8−29723号、特開昭58−127928号等に記
載されているものが好ましい。特に含窒素複素環化合物
が好ましい。これによって、銀画像部のインキ受理性が
一段と向上する。
【0025】上記メルカプト基もしくはチオン基を有す
る含窒素複素環化合物の代表例として、次の化1に示さ
れる一般式を有するものが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】(式中のR1、R3は炭素数3以上、好まし
くは3〜12のアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基またはアリール基で、R2は水素、アルキル基、アル
ケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。m、
nは1以上の整数を表すが、R2が炭素数3以上のアル
キル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基
の場合は、nは0であってもよい。Zは、式中のN、C
と共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残り
の原子団を示す。)
【0028】5ないし6員環の具体的な例としては、イ
ミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、
オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾー
ル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ト
リアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成
した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮
合したものであってもよい。また、カルボキシ基、スル
ホ基等の水溶性基は有しない方が好ましい。
【0029】係る化合物の具体例としては、2−メルカ
プト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1
−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル
−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾ
リジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチ
アゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオ
ン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2
−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−
ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェ
ニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカ
プト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−ト
リアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4
−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5
−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプ
ト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリ
アゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4
−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル
−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル
−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−
1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5
−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メル
カプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト
−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカ
プト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト
−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−
アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−
トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0030】上記メルカプト基もしくはチオン基を有す
る化合物の使用量は、スターター液1リットル当り0.
01〜10gであるが、好ましくは0.02〜5gの範
囲で添加する。
【0031】本発明のスタータ液は、プレートクリーナ
ーとしての機能を併せ持つことが好ましい。即ち、印刷
中に汚れが生じた場合や印刷後の刷版を保管する場合
に、版面のインキを除去する機能を付与するということ
である。この機能を付与するために、各種溶剤、例えば
アルキルベンゼン、またはプロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキ
シレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンアルキルエーテル等のグリコール類、またはノニ
オン性界面活性剤を含有させることが好ましい。
【0032】また、アルミニウム平版印刷版に対して
は、プレートプリザーバーとしての機能を併せ持つこと
が好ましい。即ち、一度印刷に供した印刷版を保管し再
度印刷に使用できるように、版面を保護するために、ア
ラビヤガム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、ポ
リスチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース、
ポリビニルアルコール等のポリマーを含有することが好
ましい。
【0033】本発明のスターター液には、上記の化合物
以外にも一般に用いられている保恒剤、保存剤等を混合
することができる。例えば、イミノ二酢酸、エチレンジ
アミン四酢酸等のキレート剤も混合することができる。
【0034】更に、該スターター液の防錆性を向上させ
るために、りん酸またはりん酸塩とアミン化合物を含有
することができる。
【0035】また、ゼラチン皮膜を非画像部とする前者
の平版印刷版に、本発明のスターター液を適用する場合
は、更にコロイダルシリカ等の無機微粒子を含有させる
ことが好ましい。これによって、非画像部の保水性が向
上する。
【0036】本発明のスターター液は、金属銀画像部を
インキ受理性として利用する平版印刷版に適用される。
該平版印刷版としては、前記したように2つのタイプに
大別される。1つのタイプは、ポリエチレン樹脂を被覆
した紙ベースやポリエチレンテレフタレートフィルムベ
ースに、ハレーション防止層を兼ねた下塗層、ハロゲン
化銀乳剤層及び物理現像核層を、この順序で塗設した平
版印刷版である。
【0037】2つ目のタイプは、粗面化及び陽極酸化さ
れたアルミニウム支持体上に、物理現像核を担持させ、
その上にハロゲン化乳剤層を塗設した平版印刷版であ
る。物理現像核とハロゲン化銀乳剤層の間に適宜中間層
を設けた平版印刷版であってもよい。
【0038】本発明が対象とする平版印刷版に用いられ
るハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化
銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等
から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上
のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとし
てはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲ
ン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル
増感することができる。
【0039】ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとし
てはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成す
る際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカ
リ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。
また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチ
ン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。ま
た、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブ
ミン、ポリビニルアルコール、アラビアがム、ヒドロキ
シエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有さ
せることができる。
【0040】ゼラチン層を非画像部とする前者の平版印
刷版は、ゼラチンを含有するハロゲン化銀乳剤層及び下
塗層はゼラチン架橋剤(硬膜剤)を含有させて、強固な
ゼラチン皮膜を形成する必要がある。一方、後者のアル
ミ平版印刷版は、ハロゲン化銀乳剤層等を除去して、ア
ルミニウム表面を露出させて非画像部を形成させるた
め、ハロゲン化銀乳剤層に用いられる親水性コロイド
は、実質的に硬膜剤を含まないことが望ましい。
【0041】本発明に用いられるアルミニウム支持体は
粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、好ま
しくは米国特許第5,427,889号公報に記載され
ているものが用いられる。
【0042】本発明で用いられる物理現像核層の物理現
像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるも
のでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜
鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使
用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイドを用
いることもできる。これらの詳細及び製法については、
例えば、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク
(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス
ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド
・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。
【0043】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これだけに限定されるものではない。
【0044】実施例1 下引き処理したポリエステルフィルム支持体の片面に平
均粒子サイズ5μのシリカ粒子を含有するマット化層を
設け、反対側の面に光反射率が3%になる量のカーボン
ブラックを含み、写真用ゼラチンに対して20重量%の
平均粒径5μのシリカ粉末を含むハレーション防止用下
塗り層(pH4に調整)と、化学増感された後に平均粒
径3.5μのシリカ粉末を写真用ゼラチンに対して5重
量%の割合で含む緑感域にスペクトル増感された高感度
塩化銀乳剤(pH4に調整)とを設けた。
【0045】下塗り層のゼラチンは3.5g/m2、乳
剤層のゼラチンは0.8g/m2、硝酸銀に換算したハ
ロゲン化銀1.0g/m2の割合で塗布された。この下
塗り層と乳剤層は硬膜剤としてホルマリンをゼラチンに
対して5.0mg/gゼラチン量で含んでいる。乾燥後
40℃で14日間加熱した後、この乳剤層の上に、特開
昭54−103104実施例2のプレートNo.31記
載の核塗液を塗布、乾燥し、平版印刷版を製造する。ハ
ロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1モル当
たり4×10-6モルの塩化ロジウムを添加したものであ
り、平均粒径0.4ミクロンであった。
【0046】この様にして得られた平版印刷版の原版に
像反転機構を有する製版カメラで像露光し、下記の現像
液(使用液)により30℃で30秒間現像処理した。 <現像液> 水酸化ナトリウム 24g 水酸化カリウム 8g 無水亜硫酸ナトリウム 50g 2-メチル-2-アミノ-1-フ゜ロハ゜ノール 30g メルカプト化合物 0.2g 水で1リットルとする。 メルカプト化合物は2−メルカプト−5−n−ヘプチル
−オキサジアゾールである。
【0047】上記の現像処理後、下記に示すような中和
液(安定液)で常温で20秒間処理をおこなった。 <安定液> リン酸 1.2g 第一リン酸ナトリウム 25g 無水亜硫酸ナトリウム 2.5g エチレングリコール 5g 水で1リットルとする。 (pH6に調整)
【0048】以上の操作により作成した印刷版をオフセ
ット印刷機(AM1250:アドレッソグラフ・マルチ
グラフ社製)にセットし、下記のスターター液で版面を
処理した後、インキ受理性と保水性の印刷試験を実施し
た。
【0049】インキ受理性の試験は、インキとしてAB
−Dick3−1012墨、給湿液としてOD30(三
菱製紙社製給湿液)を使用した。保水性の試験は、イン
キとしてVANSON2329を使用した。
【0050】インキ受理性の評価は、版面にインキを接
触させると同時に紙を送り始め、良好な画像濃度で濃度
ムラのない印刷物が得られるまでの印刷枚数として評価
した。保水性の評価は、300枚印刷を行い、そのとき
の印刷物の汚れの程度から次の3つの水準で行った。そ
の結果を表1に示す。 ○ 全く汚れがない。 △ 部分的に薄い汚れがある。 × 全面に汚れがある。
【0051】〈スターター液A〉 りん酸 5g コロイダルシリカ(20%水溶液) 10g ジプロピレングリコール 20g ジエタノールアミン 10g メルカプト化合物 1g 水で1リットルとする。 (pH6に調整)メルカプト化合物は2−メルカプト−
5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。
【0052】〈スターター液B〉上記スターター液Aに
酵素として、細菌プロティナーゼ(長瀬産業(株)製の
ビオプラーゼAL15)を1g添加した。
【0053】
【表1】
【0054】上記結果から、ゼラチン皮膜を非画像部と
する平版印刷版に、酵素を含有する本発明のスターター
液を用いることによって、保水性を低下させずにインキ
受理性が向上する。
【0055】実施例2 アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は米
国特許第5,427,889号公報に記載の方法に従っ
て、平均直径約5μmのプラト−上に直径0.03〜
0.30μmのピットを100μm2当たり約5,60
0個有し、かつ これらのピットの平均直径が0.08
μmである厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。
このアルミ板は粗面化処理後に陽極酸化したものであ
り、平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。
【0056】このアルミニウム支持体にカレー・リー
(Carey Lea)法により作成された銀ゾルからなる物理
現像核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に含
まれる銀量は、3mg/m2であった。
【0057】ハロゲン化銀乳剤として、保護コロイドと
して、アルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブ
ルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイ
リジウム(IV)酸カリウムを銀1モル当り0.006m
molドープさせた塩ヨウ臭化銀乳剤(AgBr20モ
ル%、AgI0.4モル%)を作成した。更に、この乳
剤に硫黄金増感を施し、化2の増感色素を銀1g当り3
mg用いて分光増感した。
【0058】
【化2】
【0059】このようにして作成したハロゲン化銀乳剤
に界面活性剤を加え、前記物理現像核が塗布されたアル
ミニウム支持体上に銀量が2g/m2になるように塗
布、乾燥して平版印刷材料を得た。
【0060】上記平版印刷材料を633nmの赤色LD
レーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用
プロセッサー(デュポン社製SLT−N自動現像機)で
処理して平版印刷版を作成した。製版用プロセッサー
は、現像処理工程(21℃、15秒間浸漬)、水洗処理
工程(33℃の水洗液を10秒間シャワー噴射しながら
スクラブローラで乳剤層を剥離する)、仕上げ処理工程
(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工程から構成され
ている。該製版用プロセッサーの水洗工程は水洗液を3
0リットル貯溜するタンクと、タンクからポンプを介し
て平版印刷材料に供給し乳剤層を剥離除去するユニット
と、タンクから系外に配置された濾過フィルターを通し
て水洗水を循環させるユニットで構成されている。濾過
フィルターは円筒型の5μmのフィルターを用いた。
【0061】下記に示す現像液、水洗液及び仕上げ液を
用いた。 <現像液> 水酸化ナトリウム 20g ハイドロキノン 20g 1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g 無水亜硫酸ナトリウム 80g モノメチルエタノールアミン 6g 無水チオ硫酸ナトリウム 6g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g ポリエチレングリコ−ル(平均分子量400) 10g 水を加えて全量を1リットルに調整する。pHは13.
0に調整した。
【0062】 <水洗液> 第1燐酸カリウム 40g 水を加えて全量を1リットルに調整する。pHは6.0
に調整した。
【0063】 <仕上げ液A> アラビアゴム 15g 第1燐酸ナトリウム 10g 2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 2g 水を加えて全量を1リットルに調整する。pH6.0に
調整した。
【0064】<仕上げ液B>前記仕上げ液Aにタンパク
質分解酵素として、トリプシンを20g添加した。
【0065】上記の方法で作成された1版目と100版
目(菊全サイズ)の平版印刷版を置き版(25℃、65
%RH、10日間)後、印刷機(ハイデルベルグMO:
アルカラー給水装置;ハイデルベルグ社製)に装着し、
版面を下記スターター液で処理して印刷を開始した。大
日本インキ株製のニューチャンピオン墨Hインキ、及び
市販のPS版用給湿液を用いて印刷を行い、印刷開始時
のインキ受理性及び保水性を評価した。インキ受理性は
印刷開始後、画像の濃度の変化の起きなくなる迄の枚数
で評価した。保水性は上記給湿液に最初イソプロピルア
ルコ−ル(IPA)を15%添加し、徐々にIPAを減
少させたときの非画像部の汚れを観察し、4段階で評価
した。4は全く汚れ無し、3は僅かに薄い汚れが確認さ
れる。2は部分的に汚れがある。1は全面に汚れが発
生。その結果を表2に示す。
【0066】<スターター液C> カルボキシメチルセルロース 140g りん酸 6g グリセリン 40g 有機溶剤(アルキルベンゼン) 350g 水で全量を1リットルに調整する。PHは4.8に調整
した。
【0067】<スターター液D>上記スターター液Cに
酵素として、トリプシンを1g添加した。
【0068】<スターター液E>上記スターター液Dに
メルカプト化合物として、2−メルカプト−5−n−ヘ
プチル−オキサジアゾールを0.5g添加した。
【0069】
【表2】
【0070】上記結果から明らかなように、アルミニウ
ム平版印刷版には、従来からスターター液は用いられて
いなかったが、本発明の酵素を含有したスターター液を
用いることによって、印刷開始時のインキ受理性及び保
水性が飛躍的に向上した。更に、メルカプト基もしくは
チオン基を有する化合物を含有することによって、一段
と効果が上がる。一方、従来のゼラチン皮膜を非画像部
とする平版印刷版に使用されていたスターター液Aを用
いても、インキ受理性及び保水性は全く向上しない。特
に、ランニング処理で水洗液が疲労しても、本発明のス
ターター液を用いることによって、安定して、優れたイ
ンキ受理性と保水性が得られる。また、仕上げ液に酵素
を含有させても、所望するインキ受理性及び保水性は得
られなかった。
【0071】実施例3 実施例2のスターター液に用いられた酵素を、ビオプラ
ーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)
製)あるいはフィシンに代えて、実施例2に準じて試験
した。その結果、実施例2と同様の結果が得られた。
【0072】
【発明の効果】本発明のスタータ液を用いることによっ
て、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の
印刷開始時のインキ受理性及び保水性が向上する。特に
アルミニウム平版印刷板において、その効果は顕著であ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像銀をインキ受理性として利用する平
    版印刷版の版面を印刷開始時に処理するためのスタータ
    ー液であって、酵素を含有することを特徴とするスター
    ター液。
  2. 【請求項2】 前記スターター液が更に画像銀を疎水性
    にする化合物を含有する請求項1に記載のスターター
    液。
  3. 【請求項3】 アルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤
    層の間に物理現像核層を有する平版印刷材料を露光後、
    現像処理、水洗処理、仕上げ処理して得られた平版印刷
    版、あるいは支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層
    及び物理現像核層をこの順に設けた平版印刷材料を露光
    後、現像処理、安定処理して得られた平版印刷版を印刷
    機に装着し、版面を印刷開始時に処理するためのスター
    ター液として、酵素または酵素と画像銀を疎水性にする
    化合物とを含有することを特徴とするスターター液で処
    理して印刷することを特徴とする印刷方法。
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