JP3437374B2 - 平版印刷版用スターター液 - Google Patents
平版印刷版用スターター液Info
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- JP3437374B2 JP3437374B2 JP09632896A JP9632896A JP3437374B2 JP 3437374 B2 JP3437374 B2 JP 3437374B2 JP 09632896 A JP09632896 A JP 09632896A JP 9632896 A JP9632896 A JP 9632896A JP 3437374 B2 JP3437374 B2 JP 3437374B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像銀をインキ受理性
として利用する平版印刷版に於いて印刷開始時のスター
ター液に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高い感度を有し、かつスペクトル増感で
きるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつか
の形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理
性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許
第3721559号、同第3490905号、特公昭4
8−30562号、米国特許第3385701号、同第
3814603号、特公昭44−27242号、特開昭
53−21602号、米国特許第3454398号、同
第3764323号、同第3099209号、特開昭5
3−9603号などがある。 【0003】これらの印刷版の製造方法としては、いく
つかのタイプに大別されるけれども、画像銀をインキ受
理性にする点に於いては共通するものである。平版印刷
版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水
を受理する非画線部分とから構成される。従って、通常
の平版印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部
分は着色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け
入れ、該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写さ
せることによってなされる。 【0004】良好な印刷物を得るためには、画線部分と
非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大き
いことが要求される。 【0005】前述のハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版の
製版法は、簡便、確実及び迅速であり、自動化すること
が出来、高い感度、高い解像力、高い画像再現性という
特徴を有しているが、ジアゾ感光材料等の有機コロイド
から現実化されている印刷版(PS版)等に比べて、画
像部分と非画像部分との親油性及び親水性の差が十分に
大きいものではなかった。 【0006】かかる欠点を克服するために、特公昭48
−29723号、特開昭58−127928号等に、メ
ルカプト基もしくはチオン基を有する化合物を印刷する
前に銀画像に作用しインキ受理性を良くすることが示さ
れている。すなわち、該化合物のメルカプト基等が画像
銀に吸着し同化合物の疎水性領域が画像銀を覆い画線部
分と非画線部分との親油性及び親水性の差が相対的に大
きくなるものと考えられている。 【0007】一方、印刷開始時の非画線部のインキ付着
による汚れを防止するために、印刷版の版面を濡らして
おき、印刷時に給湿液を受け付けやすくすることも不可
欠でありコロイダルシリカ等の無機微粒子を含有する処
理液を版面に塗布していた。この機能を有する処理液は
本発明が対象とする平版印刷版の業界では、スターター
液と称し従来から用いられている。 【0008】本発明においても、スターター液とは上記
と同じものを意味する。更に具体的に言えば、印刷開始
直前に印刷版の版面を水で濡らした状態にせしめるため
の処理液であり、このスターター液の使用時期は、印刷
版を印刷機に装着(版掛け)してから印刷を開始するま
での間、あるいは、版掛けする直前である。要するに、
印刷を開始する時に版面が水で濡れている状態に保つこ
とができるように使用される。また、このスターター液
は、前記したごとく銀画像部のインキ受理性を増大させ
るための感脂化機能を持たせることも一般によく知られ
ている。更に、このスターター液は、印刷中に非画像部
がインキ汚れを生じた時に、非画像部に付着したインキ
を除去するためのクリーナーとしての機能も併せ持つこ
とが望ましい。 【0009】前記したように、スターター液は、非画像
部の保水性を向上させるために、コロイダルシリカ等の
無機の微粒子が用いられていたが、インキの種類によっ
ては印刷開始時に汚れが発生したり、また、保水性をあ
げるためにコロイダルシリカ等の無機の微粒子を多量に
用いれば、印刷物の乾燥性が悪く、裏面にインキが転写
したり、印刷物の画像が乱れたりするという欠点があっ
た。 【0010】また、一方このスターター液は、前記した
ごとく銀画像部のインキ受理性を増大させるための感脂
化機能を持たせることも一般によく知られている。その
ために、前記したようにメルカプト基またはチオン基を
有する化合物を含有させていた。しかしながら、保水性
を向上させるために用いられるコロイダルシリカ等の無
機の微粒子を含むスターター液にメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物を添加した場合、インキ受理性の
作用が充分に発揮されなかった。従って、印刷開始時の
インキ受理性と保水性の両方のバランスの取れたスター
ター液が望まれている。更に、メルカプト基またはチオ
ン基を有する化合物は本発明のスターター液のpH領
域、すなはち中性〜弱酸性溶液中には単独では添加でき
ず、これまではイソプロピルアルコール等の高沸点溶剤
を用いて添加していた。しかし、高沸点溶剤を用いると
スターター液を版面に塗布した時、乾燥するのがはやく
スターター液としての機能を充分に発揮することができ
ず、非画像部に地汚れを発生させていた。また、従来の
スターター液は、版掛けした後に用いたとき、印刷機に
付着したスターター液が印刷機に錆を発生させるという
欠点があった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版に
おいて、印刷開始時の非画線部のインキ汚れを改良し、
更に銀画像部のインキ受理性が良好なスターター液を提
供することである。本発明の第2の目的は、プレートク
リーナーとしての機能を有するスターター液を提供する
ことである。本発明の第3の目的は、印刷機に錆を発生
させないスターター液を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版のスタ
ーター液に於いて、平均粒子径0.1ミクロン以下の無
機の微粒子と、少なくとも一種以上のメルカプト基又は
チオン基を有する水不溶性の化合物を含有するスタータ
ー液に、下記の化3、化4及びヘキシレングリコールの
少なくとも一つを含有することにより達成された。 【0013】 【化3】 (式中、nは1以上の整数を示す。) 【0014】 【化4】 (式中、R1 は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基を
示し、n、mは重合体の平均分子量を250以上とする
のに必要なモル数であり、n/m=0.5〜2であ
る。) 【0015】コロイダルシリカ等の無機の微粒子と、少
なくとも一種以上のメルカプト基又はチオン基を有する
水不溶性の化合物と、化3、化4に示される化合物また
はヘキシレングリコールを組み合せて用いることによ
り、初期の保水性が著しく向上し、インキ受理性が良
く、更に、印刷版に付着したインキを取り除く、プレー
トクリーナーとしての作用を持っているスターター液を
得ることができる。 【0016】本発明に用いられる化3、化4の化合物を
以下に述べるがこれらに限定されるものではない。 【0017】化3の化合物の具体的な例としては、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロ
ピレングリコール等でnが1〜3のものが好ましいがこ
れらに限定されるものではない。 【0018】化4の化合物は、プロピレンオキサイド基
単位とエチレンオキサイド基単位を有する化合物であ
る。好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、より好まし
くは炭素数4〜9のアルキル基を末端に有する化合物で
ある。分子量は250以上、好ましくは500〜200
0である。分子量の上限は一般に5000であるが、そ
れ以上あってもよい。更にランダム重合が好ましい。化
4の化合物は、公知であり、市販品として、例えば日本
油脂(株)より、商品名ユニルーブ50MBシリーズと
して入手することができる。 【0019】本発明に用いられる化3、化4及びヘキシ
レングリコールの含有量は、環境問題等を考慮して、ス
ターター液1l中1〜100gで、好ましくは、5〜5
0gである。 【0020】本発明に用いられる平均粒子径0.1ミク
ロン以下の無機の微粒子は、コロイダルシリカ、コロイ
ダルアルミナ等で、好ましくは、0.003〜0.05
ミクロンのコロイダルシリカである。無機の微粒子の含
有量はスターター液1Lに対して1〜20gであるが、
好ましくは、3〜10gである。 【0021】本発明に用いられるメルカプト基又はチオ
ン基を有する化合物は、特公昭48−29723号、特
開昭58−127928号等に記載されているものが好
ましく用いられる。 【0022】本発明のメルカプト基もしくはチオン基を
有する化合物の代表例として、次の化5に示される一般
式を有するものが挙げられる。 【0023】 【化5】 【0024】(式中のRは水素原子、炭素数12以下、
好ましくは3〜12のアルキル基、アリール基、アラル
キル基で、Zは、式中のN、Cと共に5ないし6員環を
形成するのに必要な結合の残りの原子団を示す。) 【0025】5ないし6員環の具体的な例としては、イ
ミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、
オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾー
ル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ト
リアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成
した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮
合したものであってもよい。 【0026】係る化合物の具体例としては、2−メルカ
プト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1
−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミ
ダゾール、1−エチル−2−メルカプト−ベンズイミダ
ゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾ
ール、1,3−ジエチル−ベンゾイミダゾリン−2−チ
オン、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオ
ン、2,2´−ジメルカプト−1,1´−デカメチレン
−ジイミダゾリン、2−メルカプト−4−フェニルチア
ゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−メル
カプトナフトチアゾール、3−エチル−ベンゾチアゾリ
ン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2
−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサ
ゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−ペン
チル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル
−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト
−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリア
ゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−ト
リアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘ
プチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−
4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾ
ール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チ
アジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,
3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘ
プチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−フェ
ニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシ
ル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5
−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、2−メル
カプト−5−ニトロピリジン、1−メチル−キノリン−
2(1H)−チオン、3−メルカプト−4−メチル−6
−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジ
フェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェ
ニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メル
カプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン、1,
5−ジメルカプト−3,7−ジフェニル−S−トリアゾ
リノ〔1,2−a〕−S−トリアゾリン等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。 【0027】本発明に用いられるメルカプト化合物の使
用量は、スターター液1l当り0.01〜10gである
が、好ましくは0.02〜5gの範囲で添加する。 【0028】本発明に用いられるメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物を水を主体とする中性から弱酸性
(pH5〜7)の版面処理液に溶解する方法は、例え
ば、アルカリ溶液で溶解しpHを調節する方法、アミン
化合物による方法、第4級アンモニウム塩型カチオン界
面活性剤による方法等、種々考えられるが、好ましくは
アミン化合物による方法である。他に、有機溶剤、特に
低沸点(100℃以下)の有機溶剤、例えばエチルアル
コール、イソプロピルアルコール等を用いる方法もある
が安全衛生、環境上の問題、また、前記した如く乾燥性
が早く適用範囲が限られるという問題等が有り、実質的
に含有しないことが好ましい。含有させる場合は20%
以下、特に10%以下が好ましい。 【0029】上記アミン化合物は、例えばモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコー
ル類、プロピルアミン、ブチルアミン等のモノアミン
類、ジメチルアミノエチルアミン等のジアミン類、N−
アミノプロピルプロパンジアミン等のポリアミン類及び
ピリジンやピペリジン等の環状アミン等である。好まし
くはアミノアルコール類である。これらのアミン化合物
は日本乳化剤(株)、広栄化学工業(株)等から入手す
ることが出来る。 【0030】本発明に用いられるアミン化合物は、前記
のメルカプト化合物に対して重量比で1:1〜100:
1、好ましくは1:1〜50:1の範囲の割合で添加す
る。 【0031】更に、該スターター液の防錆性を向上させ
るために、りん酸またはりん酸塩を含有することができ
る。これはアミン化合物と併用することにより防錆性に
数段優れたスターター液を得ることができる。 【0032】りん酸またはりん酸塩は、正りん酸、メタ
りん酸、ポリりん酸またはそれらの塩として含有するこ
とができる。含有量は、0.05〜1.0モル/Lの範
囲、好ましくは、0.1〜0.5モル/Lの範囲で添加
する。 【0033】該スターター液には、上記の化合物以外に
も一般に使われている保恒剤、保存剤、界面活性剤等を
混合することができる。例えば、イミノ二酢酸、エチレ
ンジアミン四酢酸等の錯化剤も混合することができる。 【0034】画像銀をインキ受理性として利用する平版
印刷版について、ハロゲン化銀乳剤は印刷原版そのもの
に有しても、あるいは銀拡散転写法によって受像層を有
する印刷原版シートに対する銀供給源として、別のネガ
シート上に有していてもよい。 【0035】該ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、
塩臭化銀及びこれらにヨウ化物を含んだもののいずれで
もよく、このバインダーはゼラチンが好ましいが、ゼラ
チンの一部又は全部を他のコロイド物質、例えばカゼイ
ン、アルブミン、セルロース誘導体等で置換されてもよ
い。ハロゲン化銀は硝酸銀に換算して0.5−7g/m
2、バインダーは0.5−10g/m2の範囲で通常使用
することが出来る。 【0036】ハロゲン化銀乳剤の製造法は、通常の写真
業界で公知の方法で製造することが出来、特に印刷版に
使用する為の製法も既述の公知特許文献中に開示されて
いるので参考にすることが出来る。 【0037】本発明に用いる平版印刷版は、一般に画像
露光後アルカリ現像液で処理される。係る現像液は、ハ
イドロキノンのごとき現像主薬を含む通常の写真現像
液、ハイポ等を含む銀拡散転写法の現像液あるいはそれ
らをアクチベーター化した高アルカリ現像液等いかなる
ものでも使用することが出来る。 【0038】 【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これだけに限定されるものではない。 【0039】実施例1 下引き処理したポリエステルフィルム支持体の片面に平
均粒子サイズ5μのシリカ粒子を含有するマット化層を
設け、反対側の面に光反射率が3%になる量のカーボン
ブラックを含み、写真用ゼラチンに対して20重量%の
平均粒径7μのシリカ粉末を含むハレーション防止用下
塗り層(pH4に調整)と、化学増感された後に平均粒
径7μのシリカ粉末を写真用ゼラチンに対して5重量%
の割合で含む緑感域にスペクトル増感された高感度塩化
銀乳剤(pH4に調整)とを設けた。 【0040】下塗り層のゼラチンは3.5g/m2、乳
剤層のゼラチンは0.8g/m2、硝酸銀に換算したハ
ロゲン化銀1.0g/m2の割合で塗布された。この下
塗り層と乳剤層は硬膜剤としてホルマリンをゼラチンに
対して5.0mg/gゼラチン量で含んでいる。乾燥後
40℃で14日間加熱した後、この乳剤層の上に、特開
昭54−103104実施例2のプレートNo.31記
載の核塗液を塗布、乾燥し、平版印刷版を製造する。ハ
ロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1モル当
たり4×10ー6モルの塩化ロジウムを添加したものであ
り、平均粒径0.4ミクロンであった。 【0041】この様にして得られた平版印刷版の原版に
像反転機構を有する製版カメラで像露光し、下記の現像
液(使用液)により30℃で30秒間現像処理した。 <現像液> 水酸化ナトリウム 24g 水酸化カリウム 8g 無水亜硫酸ナトリウム 50g 2-メチル-2-アミノ-1-フ゜ロハ゜ノール 30g メルカプト化合物 0.2g 水で1lとする。メルカプト化合物は2−メルカプト−
5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。 【0042】上記の現像処理後、下記に示すような中和
液(安定液)で常温で20秒間処理をおこなった。 <安定液> リン酸 1.2g 第一リン酸ナトリウム 25g 無水亜硫酸ナトリウム 2.5g エチレングリコール 5g 水で1lとする。(pH6に調整) 【0043】以上の操作により作成した印刷版をオフセ
ット印刷機にセットし、印刷試験は、印刷機にエービー
デイック1250(AB−Dick社製オフセット印刷
機の商標)、インキ受理性の試験は、インキは、AB−
Dick3−1012墨インキ、給湿液にOD30(三
菱製紙社製給湿液)を使用し、保水性の試験は、インキ
に、VANSON2329を使用し行った。インキ受理
性、保水性試験とも、以下に示す試験スターター液でエ
ッチングを行った。更に、印刷版の非画線部に、VAN
SON2329インキを付着させ、試験スターター液を
脱脂綿にとり、非画線部のインキを取り除く、インキ除
去試験をおこなった。 【0044】以下に示すスターター液Aを作成し、上記
のインキ受理性試験、保水性試験、インキ除去試験を行
った。 〈スターター液A〉 クエン酸 5g コロイダルシリカ(20%水溶液) 10g 化合物B 20g ジエタノールアミン 10g メルカプト化合物 1g 水で1lとする。(pH6に調整) メルカプト化合物と化合物Bの組み合せは、表1の通り
である。 【0045】 【表1】 【0046】メルカプト化合物Aは、2−メルカプト−
5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。化合物B
−1はジプロピレングリコール、化合物B−2はヘキシ
レングリコール、化合物B−3は化6(ランダム重合
体)、化合物B−4は化7(ランダム重合体)である。 【0047】 【化6】 【0048】 【化7】 【0049】インキ受理性の評価は、版面にインキを接
触させると同時に紙を送り始め、良好な画像濃度で濃度
ムラのない印刷物が得られるまでの印刷枚数として評価
した。保水性の評価は、500枚印刷を行い、そのとき
の印刷物の汚れの程度から次の3つの水準で行った。 ○ 全く汚れがない △ ○と×の間 × 部分的もしくは全面的な薄い汚れ インキ除去試験の評価は、スターターを含ませた脱脂綿
で、インキの付着した部分を5回こすり、インキがとれ
たかどうか評価した。 ○ 完全に除去できる × インキが残っている 結果を表2に示した。 【0050】 【表2】【0051】本発明の実施態様では、印刷開始時の保水
性、インキ受理性がよく、インキ除去性に優れたスター
ター液が得られる。 【0052】実施例2 実施例1のスターター液のメルカプト化合物に代わっ
て、下記に示したメルカプト化合物について実施例1と
同様の試験を行った。 2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール 3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4,−トリアゾ
ール 3−エチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン 【0053】インキ受理性、保水性とインキ除去の評価
結果は、実施例1の結果に一致するもので有った。 【0054】実施例3 以下に記すスターター液Bを作成し、鉄くぎを浸し3日
間放置する、錆試験を行った。 〈スターター液 B〉 酸 5g コロイダルシリカ(20%水溶液) 10g ジプロピレングリコール 20g アミン化合物 10g メルカプト化合物 1g 水で1lとする。(pH6に調整) メルカプト化合物は、2−メルカプト−5−n−ヘプチ
ル−オキサジアゾールで、酸とアミン化合物の組み合せ
を表3に、錆試験の結果を表4に示した。錆試験の評価
は、3日後の錆の発生の有無で行った。 【0055】 【表3】 【0056】 【表4】 【0057】結果より、りん酸塩とアミン化合物を併用
したものは、有機酸を用いたものに比べ、錆の発生が起
こらなかった。 【0058】 【発明の効果】本発明の実施形態によれば、画像銀をイ
ンキ受理性として利用する平版印刷版のスターター液に
おいて、印刷開始時のインキ受理性、保水性の向上や、
防錆性の向上にすぐれ、インキ除去作用(プレートクリ
ーナー)をもった、画像銀をインキ受理性として利用す
る平版印刷版のスターター液を提供することができる。
として利用する平版印刷版に於いて印刷開始時のスター
ター液に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高い感度を有し、かつスペクトル増感で
きるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつか
の形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理
性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許
第3721559号、同第3490905号、特公昭4
8−30562号、米国特許第3385701号、同第
3814603号、特公昭44−27242号、特開昭
53−21602号、米国特許第3454398号、同
第3764323号、同第3099209号、特開昭5
3−9603号などがある。 【0003】これらの印刷版の製造方法としては、いく
つかのタイプに大別されるけれども、画像銀をインキ受
理性にする点に於いては共通するものである。平版印刷
版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水
を受理する非画線部分とから構成される。従って、通常
の平版印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部
分は着色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け
入れ、該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写さ
せることによってなされる。 【0004】良好な印刷物を得るためには、画線部分と
非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大き
いことが要求される。 【0005】前述のハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版の
製版法は、簡便、確実及び迅速であり、自動化すること
が出来、高い感度、高い解像力、高い画像再現性という
特徴を有しているが、ジアゾ感光材料等の有機コロイド
から現実化されている印刷版(PS版)等に比べて、画
像部分と非画像部分との親油性及び親水性の差が十分に
大きいものではなかった。 【0006】かかる欠点を克服するために、特公昭48
−29723号、特開昭58−127928号等に、メ
ルカプト基もしくはチオン基を有する化合物を印刷する
前に銀画像に作用しインキ受理性を良くすることが示さ
れている。すなわち、該化合物のメルカプト基等が画像
銀に吸着し同化合物の疎水性領域が画像銀を覆い画線部
分と非画線部分との親油性及び親水性の差が相対的に大
きくなるものと考えられている。 【0007】一方、印刷開始時の非画線部のインキ付着
による汚れを防止するために、印刷版の版面を濡らして
おき、印刷時に給湿液を受け付けやすくすることも不可
欠でありコロイダルシリカ等の無機微粒子を含有する処
理液を版面に塗布していた。この機能を有する処理液は
本発明が対象とする平版印刷版の業界では、スターター
液と称し従来から用いられている。 【0008】本発明においても、スターター液とは上記
と同じものを意味する。更に具体的に言えば、印刷開始
直前に印刷版の版面を水で濡らした状態にせしめるため
の処理液であり、このスターター液の使用時期は、印刷
版を印刷機に装着(版掛け)してから印刷を開始するま
での間、あるいは、版掛けする直前である。要するに、
印刷を開始する時に版面が水で濡れている状態に保つこ
とができるように使用される。また、このスターター液
は、前記したごとく銀画像部のインキ受理性を増大させ
るための感脂化機能を持たせることも一般によく知られ
ている。更に、このスターター液は、印刷中に非画像部
がインキ汚れを生じた時に、非画像部に付着したインキ
を除去するためのクリーナーとしての機能も併せ持つこ
とが望ましい。 【0009】前記したように、スターター液は、非画像
部の保水性を向上させるために、コロイダルシリカ等の
無機の微粒子が用いられていたが、インキの種類によっ
ては印刷開始時に汚れが発生したり、また、保水性をあ
げるためにコロイダルシリカ等の無機の微粒子を多量に
用いれば、印刷物の乾燥性が悪く、裏面にインキが転写
したり、印刷物の画像が乱れたりするという欠点があっ
た。 【0010】また、一方このスターター液は、前記した
ごとく銀画像部のインキ受理性を増大させるための感脂
化機能を持たせることも一般によく知られている。その
ために、前記したようにメルカプト基またはチオン基を
有する化合物を含有させていた。しかしながら、保水性
を向上させるために用いられるコロイダルシリカ等の無
機の微粒子を含むスターター液にメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物を添加した場合、インキ受理性の
作用が充分に発揮されなかった。従って、印刷開始時の
インキ受理性と保水性の両方のバランスの取れたスター
ター液が望まれている。更に、メルカプト基またはチオ
ン基を有する化合物は本発明のスターター液のpH領
域、すなはち中性〜弱酸性溶液中には単独では添加でき
ず、これまではイソプロピルアルコール等の高沸点溶剤
を用いて添加していた。しかし、高沸点溶剤を用いると
スターター液を版面に塗布した時、乾燥するのがはやく
スターター液としての機能を充分に発揮することができ
ず、非画像部に地汚れを発生させていた。また、従来の
スターター液は、版掛けした後に用いたとき、印刷機に
付着したスターター液が印刷機に錆を発生させるという
欠点があった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版に
おいて、印刷開始時の非画線部のインキ汚れを改良し、
更に銀画像部のインキ受理性が良好なスターター液を提
供することである。本発明の第2の目的は、プレートク
リーナーとしての機能を有するスターター液を提供する
ことである。本発明の第3の目的は、印刷機に錆を発生
させないスターター液を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版のスタ
ーター液に於いて、平均粒子径0.1ミクロン以下の無
機の微粒子と、少なくとも一種以上のメルカプト基又は
チオン基を有する水不溶性の化合物を含有するスタータ
ー液に、下記の化3、化4及びヘキシレングリコールの
少なくとも一つを含有することにより達成された。 【0013】 【化3】 (式中、nは1以上の整数を示す。) 【0014】 【化4】 (式中、R1 は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基を
示し、n、mは重合体の平均分子量を250以上とする
のに必要なモル数であり、n/m=0.5〜2であ
る。) 【0015】コロイダルシリカ等の無機の微粒子と、少
なくとも一種以上のメルカプト基又はチオン基を有する
水不溶性の化合物と、化3、化4に示される化合物また
はヘキシレングリコールを組み合せて用いることによ
り、初期の保水性が著しく向上し、インキ受理性が良
く、更に、印刷版に付着したインキを取り除く、プレー
トクリーナーとしての作用を持っているスターター液を
得ることができる。 【0016】本発明に用いられる化3、化4の化合物を
以下に述べるがこれらに限定されるものではない。 【0017】化3の化合物の具体的な例としては、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロ
ピレングリコール等でnが1〜3のものが好ましいがこ
れらに限定されるものではない。 【0018】化4の化合物は、プロピレンオキサイド基
単位とエチレンオキサイド基単位を有する化合物であ
る。好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、より好まし
くは炭素数4〜9のアルキル基を末端に有する化合物で
ある。分子量は250以上、好ましくは500〜200
0である。分子量の上限は一般に5000であるが、そ
れ以上あってもよい。更にランダム重合が好ましい。化
4の化合物は、公知であり、市販品として、例えば日本
油脂(株)より、商品名ユニルーブ50MBシリーズと
して入手することができる。 【0019】本発明に用いられる化3、化4及びヘキシ
レングリコールの含有量は、環境問題等を考慮して、ス
ターター液1l中1〜100gで、好ましくは、5〜5
0gである。 【0020】本発明に用いられる平均粒子径0.1ミク
ロン以下の無機の微粒子は、コロイダルシリカ、コロイ
ダルアルミナ等で、好ましくは、0.003〜0.05
ミクロンのコロイダルシリカである。無機の微粒子の含
有量はスターター液1Lに対して1〜20gであるが、
好ましくは、3〜10gである。 【0021】本発明に用いられるメルカプト基又はチオ
ン基を有する化合物は、特公昭48−29723号、特
開昭58−127928号等に記載されているものが好
ましく用いられる。 【0022】本発明のメルカプト基もしくはチオン基を
有する化合物の代表例として、次の化5に示される一般
式を有するものが挙げられる。 【0023】 【化5】 【0024】(式中のRは水素原子、炭素数12以下、
好ましくは3〜12のアルキル基、アリール基、アラル
キル基で、Zは、式中のN、Cと共に5ないし6員環を
形成するのに必要な結合の残りの原子団を示す。) 【0025】5ないし6員環の具体的な例としては、イ
ミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、
オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾー
ル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ト
リアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成
した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮
合したものであってもよい。 【0026】係る化合物の具体例としては、2−メルカ
プト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1
−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズイミ
ダゾール、1−エチル−2−メルカプト−ベンズイミダ
ゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾ
ール、1,3−ジエチル−ベンゾイミダゾリン−2−チ
オン、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオ
ン、2,2´−ジメルカプト−1,1´−デカメチレン
−ジイミダゾリン、2−メルカプト−4−フェニルチア
ゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−メル
カプトナフトチアゾール、3−エチル−ベンゾチアゾリ
ン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2
−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサ
ゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−ペン
チル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル
−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト
−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリア
ゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−ト
リアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘ
プチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−
4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾ
ール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チ
アジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,
3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘ
プチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−フェ
ニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシ
ル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5
−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、2−メル
カプト−5−ニトロピリジン、1−メチル−キノリン−
2(1H)−チオン、3−メルカプト−4−メチル−6
−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジ
フェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェ
ニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メル
カプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン、1,
5−ジメルカプト−3,7−ジフェニル−S−トリアゾ
リノ〔1,2−a〕−S−トリアゾリン等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。 【0027】本発明に用いられるメルカプト化合物の使
用量は、スターター液1l当り0.01〜10gである
が、好ましくは0.02〜5gの範囲で添加する。 【0028】本発明に用いられるメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物を水を主体とする中性から弱酸性
(pH5〜7)の版面処理液に溶解する方法は、例え
ば、アルカリ溶液で溶解しpHを調節する方法、アミン
化合物による方法、第4級アンモニウム塩型カチオン界
面活性剤による方法等、種々考えられるが、好ましくは
アミン化合物による方法である。他に、有機溶剤、特に
低沸点(100℃以下)の有機溶剤、例えばエチルアル
コール、イソプロピルアルコール等を用いる方法もある
が安全衛生、環境上の問題、また、前記した如く乾燥性
が早く適用範囲が限られるという問題等が有り、実質的
に含有しないことが好ましい。含有させる場合は20%
以下、特に10%以下が好ましい。 【0029】上記アミン化合物は、例えばモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコー
ル類、プロピルアミン、ブチルアミン等のモノアミン
類、ジメチルアミノエチルアミン等のジアミン類、N−
アミノプロピルプロパンジアミン等のポリアミン類及び
ピリジンやピペリジン等の環状アミン等である。好まし
くはアミノアルコール類である。これらのアミン化合物
は日本乳化剤(株)、広栄化学工業(株)等から入手す
ることが出来る。 【0030】本発明に用いられるアミン化合物は、前記
のメルカプト化合物に対して重量比で1:1〜100:
1、好ましくは1:1〜50:1の範囲の割合で添加す
る。 【0031】更に、該スターター液の防錆性を向上させ
るために、りん酸またはりん酸塩を含有することができ
る。これはアミン化合物と併用することにより防錆性に
数段優れたスターター液を得ることができる。 【0032】りん酸またはりん酸塩は、正りん酸、メタ
りん酸、ポリりん酸またはそれらの塩として含有するこ
とができる。含有量は、0.05〜1.0モル/Lの範
囲、好ましくは、0.1〜0.5モル/Lの範囲で添加
する。 【0033】該スターター液には、上記の化合物以外に
も一般に使われている保恒剤、保存剤、界面活性剤等を
混合することができる。例えば、イミノ二酢酸、エチレ
ンジアミン四酢酸等の錯化剤も混合することができる。 【0034】画像銀をインキ受理性として利用する平版
印刷版について、ハロゲン化銀乳剤は印刷原版そのもの
に有しても、あるいは銀拡散転写法によって受像層を有
する印刷原版シートに対する銀供給源として、別のネガ
シート上に有していてもよい。 【0035】該ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、
塩臭化銀及びこれらにヨウ化物を含んだもののいずれで
もよく、このバインダーはゼラチンが好ましいが、ゼラ
チンの一部又は全部を他のコロイド物質、例えばカゼイ
ン、アルブミン、セルロース誘導体等で置換されてもよ
い。ハロゲン化銀は硝酸銀に換算して0.5−7g/m
2、バインダーは0.5−10g/m2の範囲で通常使用
することが出来る。 【0036】ハロゲン化銀乳剤の製造法は、通常の写真
業界で公知の方法で製造することが出来、特に印刷版に
使用する為の製法も既述の公知特許文献中に開示されて
いるので参考にすることが出来る。 【0037】本発明に用いる平版印刷版は、一般に画像
露光後アルカリ現像液で処理される。係る現像液は、ハ
イドロキノンのごとき現像主薬を含む通常の写真現像
液、ハイポ等を含む銀拡散転写法の現像液あるいはそれ
らをアクチベーター化した高アルカリ現像液等いかなる
ものでも使用することが出来る。 【0038】 【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これだけに限定されるものではない。 【0039】実施例1 下引き処理したポリエステルフィルム支持体の片面に平
均粒子サイズ5μのシリカ粒子を含有するマット化層を
設け、反対側の面に光反射率が3%になる量のカーボン
ブラックを含み、写真用ゼラチンに対して20重量%の
平均粒径7μのシリカ粉末を含むハレーション防止用下
塗り層(pH4に調整)と、化学増感された後に平均粒
径7μのシリカ粉末を写真用ゼラチンに対して5重量%
の割合で含む緑感域にスペクトル増感された高感度塩化
銀乳剤(pH4に調整)とを設けた。 【0040】下塗り層のゼラチンは3.5g/m2、乳
剤層のゼラチンは0.8g/m2、硝酸銀に換算したハ
ロゲン化銀1.0g/m2の割合で塗布された。この下
塗り層と乳剤層は硬膜剤としてホルマリンをゼラチンに
対して5.0mg/gゼラチン量で含んでいる。乾燥後
40℃で14日間加熱した後、この乳剤層の上に、特開
昭54−103104実施例2のプレートNo.31記
載の核塗液を塗布、乾燥し、平版印刷版を製造する。ハ
ロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1モル当
たり4×10ー6モルの塩化ロジウムを添加したものであ
り、平均粒径0.4ミクロンであった。 【0041】この様にして得られた平版印刷版の原版に
像反転機構を有する製版カメラで像露光し、下記の現像
液(使用液)により30℃で30秒間現像処理した。 <現像液> 水酸化ナトリウム 24g 水酸化カリウム 8g 無水亜硫酸ナトリウム 50g 2-メチル-2-アミノ-1-フ゜ロハ゜ノール 30g メルカプト化合物 0.2g 水で1lとする。メルカプト化合物は2−メルカプト−
5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。 【0042】上記の現像処理後、下記に示すような中和
液(安定液)で常温で20秒間処理をおこなった。 <安定液> リン酸 1.2g 第一リン酸ナトリウム 25g 無水亜硫酸ナトリウム 2.5g エチレングリコール 5g 水で1lとする。(pH6に調整) 【0043】以上の操作により作成した印刷版をオフセ
ット印刷機にセットし、印刷試験は、印刷機にエービー
デイック1250(AB−Dick社製オフセット印刷
機の商標)、インキ受理性の試験は、インキは、AB−
Dick3−1012墨インキ、給湿液にOD30(三
菱製紙社製給湿液)を使用し、保水性の試験は、インキ
に、VANSON2329を使用し行った。インキ受理
性、保水性試験とも、以下に示す試験スターター液でエ
ッチングを行った。更に、印刷版の非画線部に、VAN
SON2329インキを付着させ、試験スターター液を
脱脂綿にとり、非画線部のインキを取り除く、インキ除
去試験をおこなった。 【0044】以下に示すスターター液Aを作成し、上記
のインキ受理性試験、保水性試験、インキ除去試験を行
った。 〈スターター液A〉 クエン酸 5g コロイダルシリカ(20%水溶液) 10g 化合物B 20g ジエタノールアミン 10g メルカプト化合物 1g 水で1lとする。(pH6に調整) メルカプト化合物と化合物Bの組み合せは、表1の通り
である。 【0045】 【表1】 【0046】メルカプト化合物Aは、2−メルカプト−
5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。化合物B
−1はジプロピレングリコール、化合物B−2はヘキシ
レングリコール、化合物B−3は化6(ランダム重合
体)、化合物B−4は化7(ランダム重合体)である。 【0047】 【化6】 【0048】 【化7】 【0049】インキ受理性の評価は、版面にインキを接
触させると同時に紙を送り始め、良好な画像濃度で濃度
ムラのない印刷物が得られるまでの印刷枚数として評価
した。保水性の評価は、500枚印刷を行い、そのとき
の印刷物の汚れの程度から次の3つの水準で行った。 ○ 全く汚れがない △ ○と×の間 × 部分的もしくは全面的な薄い汚れ インキ除去試験の評価は、スターターを含ませた脱脂綿
で、インキの付着した部分を5回こすり、インキがとれ
たかどうか評価した。 ○ 完全に除去できる × インキが残っている 結果を表2に示した。 【0050】 【表2】【0051】本発明の実施態様では、印刷開始時の保水
性、インキ受理性がよく、インキ除去性に優れたスター
ター液が得られる。 【0052】実施例2 実施例1のスターター液のメルカプト化合物に代わっ
て、下記に示したメルカプト化合物について実施例1と
同様の試験を行った。 2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール 3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4,−トリアゾ
ール 3−エチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン 【0053】インキ受理性、保水性とインキ除去の評価
結果は、実施例1の結果に一致するもので有った。 【0054】実施例3 以下に記すスターター液Bを作成し、鉄くぎを浸し3日
間放置する、錆試験を行った。 〈スターター液 B〉 酸 5g コロイダルシリカ(20%水溶液) 10g ジプロピレングリコール 20g アミン化合物 10g メルカプト化合物 1g 水で1lとする。(pH6に調整) メルカプト化合物は、2−メルカプト−5−n−ヘプチ
ル−オキサジアゾールで、酸とアミン化合物の組み合せ
を表3に、錆試験の結果を表4に示した。錆試験の評価
は、3日後の錆の発生の有無で行った。 【0055】 【表3】 【0056】 【表4】 【0057】結果より、りん酸塩とアミン化合物を併用
したものは、有機酸を用いたものに比べ、錆の発生が起
こらなかった。 【0058】 【発明の効果】本発明の実施形態によれば、画像銀をイ
ンキ受理性として利用する平版印刷版のスターター液に
おいて、印刷開始時のインキ受理性、保水性の向上や、
防錆性の向上にすぐれ、インキ除去作用(プレートクリ
ーナー)をもった、画像銀をインキ受理性として利用す
る平版印刷版のスターター液を提供することができる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 平均粒子径0.1ミクロン以下の無機の
微粒子と、少なくとも一種以上のメルカプト基又はチオ
ン基を有する水不溶性の化合物と、下記の化1、化2及
びヘキシレングリコールの少なくとも一つを含有するこ
とを特徴とする画像銀をインキ受理性として利用する平
版印刷版のスターター液。 【化1】 (式中、nは1以上の整数を示す。) 【化2】 (式中、R1は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基を
示し、n、mは該重合体の平均分子量を250以上とす
るのに必要なモル数であり、n/m=0.5〜2であ
る。)
Priority Applications (3)
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DE19709393A DE19709393C2 (de) | 1996-03-07 | 1997-03-07 | Verfahren zum Behandeln der Plattenoberfläche einer lithografischen Druckplatte |
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