JPH09277737A - 平版印刷版用版面処理液及び処理方法 - Google Patents

平版印刷版用版面処理液及び処理方法

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JPH09277737A
JPH09277737A JP9633296A JP9633296A JPH09277737A JP H09277737 A JPH09277737 A JP H09277737A JP 9633296 A JP9633296 A JP 9633296A JP 9633296 A JP9633296 A JP 9633296A JP H09277737 A JPH09277737 A JP H09277737A
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敏郎 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷
版の版面処理液である中和液(安定液)やエッチ液に於
いて、実質的に有機溶剤を使用せずに、1個のメルカプ
ト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物を安定に
含有させることであり、特に低温保管中におけるのメル
カプト基またはチオン基を有する化合物の析出を防止
し、該化合物の溶解状態を安定に保つことによって、高
いインキ受理性を安定に維持させることである。 【解決手段】1個のメルカプト基又はチオン基を有する
水不溶性の化合物の少なくとも一種と、下記(1)〜
(4)の中から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有
することを特徴とする画像銀をインキ受理性として利用
する平版印刷版の版面処理液。 (1)カルボキシ基を有する数平均分子量約2万以下の
水溶性重合体 (2)芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物 (3)ポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性
剤 (4)有機のジスルフィド化合物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像銀をインキ受理性
として利用する平版印刷版の版面処理液に関する。詳し
くは、中和液(安定液)や感脂化液(エッチ液)に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】高い感度を有し、かつスペクトル増感で
きるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつか
の形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理
性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許
第3721559号、同第3490905号、特公昭4
8−30562号、米国特許第3385701号、同第
3814603号、特公昭44−27242号、特開昭
53−21602号、米国特許第3454398号、同
第3764323号、同第3099209号、特開昭5
3−9603号などがある。
【0003】これらは印刷版の製造方法としては、いく
つかのタイプに大別されるけれども、画像銀をインキ受
理性にする点に於いては共通するものである。平版印刷
版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水
を受理する非画線部分とから構成される。従って、通常
の平版印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部
分は着色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け
入れ、該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写さ
せることによってなされる。
【0004】良好な印刷物を得るためには、画線部分と
非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大き
いことが要求される。
【0005】前述のハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版の
製版法は、簡便、確実及び迅速であり、自動化すること
が出来、高い感度、高い解像力、高い画像再現性という
特徴を有しているが、ジアゾ感光材料等の有機コロイド
から現実化されている印刷版(PS版)等に比べて、画
像部分と非画像部分との親油性及び親水性の差が十分に
大きいものではなかった。
【0006】かかる欠点を克服するために、特公昭48
−29723号、特開昭58−127928号、同平2
−103185、同平2−103187、同平2−25
1490、同平2−254454、同平2−28414
6号等に、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶
性の化合物を印刷する前に銀画像に作用しインキ受理性
を良くすることが示されている。すなわち、該化合物の
メルカプト基またはチオン基が画像銀に吸着し同化合物
の疎水性部分が画像銀を覆い画線部分と非画線部分との
親油性及び親水性の差が相対的に大きくなるものと考え
られている。
【0007】これらのメルカプト基またはチオン基を有
する化合物は、その種類によって、銀画像部の感脂化機
能や処理液中での経時安定性等が異なる。前記特開平2
−103185、同平2−251490号等に記載の2
個以上のメルカプト基またはチオン基を有する化合物
は、画像銀の耐刷力の向上には効果があるものの、酸化
による経時安定性が極めて劣るという欠点を有してい
る。同特開は、この酸化による経時安定性を改良する技
術であるが、まだ不十分であった。
【0008】また、2個以上のメルカプト基またはチオ
ン基を有する化合物は、メルカプト基またはチオン基を
1個のみ有する化合物に比べ、印刷開始時のインキ受理
性能が劣るということを経験的に見いだした。
【0009】従って、本発明が主題とする印刷開始時の
インキ受理性能を向上させるための版面処理液におい
て、2個以上のメルカプト基またはチオン基を有する化
合物は前記したような欠点があり、この化合物を本発明
に用いるという考えは開発当初から存在しなかった。
【0010】一般に、画像銀をインキ受理性とするDT
R平版印刷材料は、印刷版を作成するに際し、画像露光
後、高pH(pH13以上)で現像するため、現像後、
平版印刷版の版面を中和、安定化させる必要があり、中
性から弱酸性の中和液が用いられている。
【0011】この中和安定後、前記したように銀画像部
を感脂化させるためにメルカプト基またはチオン基を有
する化合物を含有する感脂化液(エッチ液)で処理して
いた。
【0012】メルカプト基またはチオン基を有する化合
物は、一般に、アルカリ溶液または有機溶剤で溶解する
が、中性、弱酸性水溶液には溶解しないため、エッチ液
には有機溶剤で溶解し添加していた。
【0013】近年、画像銀をインキ受理性として利用す
る平版印刷版の大版化にともない、印刷機に版を掛け印
刷前に感脂化液(エッチ液)でエッチングすることが作
業的にやりにくい状態にあり、現像処理後の中和液にも
感脂化機能を持たせ、上記感脂化液(エッチ液)の省
略、または、エッチ液との併用による感脂化力アップと
いう試みがなされている。
【0014】しかしながら、メルカプト基またはチオン
基を有する化合物を中性から弱酸性の中和液やエッチ液
に溶解させるために、従来から用いられるエチルアルコ
−ルやイソプロピルアルコール等の有機溶剤の使用は環
境上、安全衛生上の問題があり好ましくない。特に中和
液においては有機溶剤は、処理装置内で蒸発しメルカプ
ト基またはチオン基を有する化合物が析出しやすくなる
という問題がある。
【0015】上記問題を解決するために、特開平6−7
9982、同平7−248630号にアミン化合物を用
いて、版面処理液中にメルカプト基またはチオン基を有
する化合物を溶解し含有させる方法が開示されている。
【0016】しかしながら、上記方法でメルカプト基ま
たはチオン基を有する化合物を溶解した版面処理液は、
メルカプト基またはチオン基を有する化合物の溶解安定
性が低いことに起因する新たな問題が発生した。すなわ
ち、該処理液の保管中、特に冬時期の低温で保管した場
合、メルカプト基またはチオン基を有する化合物が析出
するという問題が生じた。この析出物は温度を上げても
容易に再溶解しないという厄介なものであった。特に、
インキ受理性に効果的に作用する化合物、即ち、1個の
メルカプト基またはチオン基と疎水性基を有する化合物
は溶解性が悪く、この改良が望まれていた。
【0017】一方、製版に用いられる現像、中和処理方
式はタンクに多量の処理液を貯溜する浸漬処理方式が従
来から一般的に用いられているが、近年、環境対応(廃
液量の減少)や処理装置のメンテナンス性向上等が求め
られており、少量の処理液で処理できる塗布処理方式が
開発されている。
【0018】この塗布処理方式は、感光材料の感光面に
処理に必要な量の処理液を塗布するもので、例えば、特
開昭48−76603、同平4−307245、同平6
−27682、同平7−175219号公報等に記載さ
れている。これらの中でも特にワイヤーバー等を用いた
ローラ塗布方式は、一定量の塗布量に計量することが可
能であり好ましい。
【0019】しかしながら、これらの塗布処理方式に前
記したメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含
有する中和液を用いたとき、塗布ローラ等にメルカプト
基またはチオン基を有する化合物が析出するという問題
が生じた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、画像
銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理
液である中和液(安定液)や感脂化液(エッチ液)に於
いて、実質的に有機溶剤を使用せずに、1個のメルカプ
ト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物を安定に
含有させることであり、特に低温保管中におけるのメル
カプト基またはチオン基を有する化合物の析出を防止
し、該化合物の溶解状態を安定に保つことによって、高
いインキ受理性を安定に維持させることである。本発明
の他の目的は、塗布機構を有する塗布処理方式に好適な
中和安定液を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
1個のメルカプト基又はチオン基を有する水不溶性の化
合物の少なくとも一種と、下記(1)〜(4)の中から
選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することを特徴
とする画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版
の版面処理液によって達成された。 (1)カルボキシ基を有する数平均分子量約2万以下の
水溶性重合体 (2)芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物 (3)ポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性
剤 (4)有機のジスルフィド化合物
【0022】上記(1)〜(4)の化合物を少なくとも
一種含有することにより、画像部のインキ受理性は損な
わずに、処理液中での1個のメルカプト基またはチオン
基を有する水不溶性の化合物の溶解状態を安定に保つこ
とができ、版面処理液の安定性を高め、平版印刷版に安
定したインキ受理性をもたせることができた。
【0023】本発明において、インキ受理性能を向上さ
せるために用いられる化合物は、1個のメルカプト基ま
たはチオン基を有する水不溶性の化合物である。2個以
上のメルカプト基またはチオン基を有する化合物は本発
明の対象から外れる。本発明において、好ましくは炭素
数が3個以上のアルキル基、アルケニル基またはアリー
ル基等の親油性基を有する化合物であり、例えば、特公
昭48−29723号、特開昭58−127928号等
に記載されている。
【0024】本発明の1個のメルカプト基またはチオン
基を有する水不溶性の化合物の代表例として、次の化1
に示される一般式を有するものが好ましく用いられる。
【0025】
【化1】
【0026】(式中のR1、R3は炭素数3以上、好まし
くは3〜12のアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基またはアリール基で、R2は水素、アルキル基、アル
ケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。m、
nは1以上の整数を表すが、R2が炭素数3以上のアル
キル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基
の場合は、nは0であってもよい。Zは、式中のN、C
と共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残り
の原子団を示す。)
【0027】5ないし6員環の具体的な例としては、イ
ミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、
オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾー
ル、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ト
リアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成
した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮
合したものであってもよい。
【0028】係る化合物の具体例としては、2−メルカ
プト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1
−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル
−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾ
リジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチ
アゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオ
ン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2
−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−
ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェ
ニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカ
プト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−ト
リアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4
−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5
−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプ
ト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリ
アゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4
−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−
1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n
−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−
nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−
フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタ
デシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾー
ル、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3
−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジ
ン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、
2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−ト
リアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル
−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、これらに
限定されるものではない。
【0029】本発明に用いられるメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物の使用量は、版面処理液1l当り
0.01〜10gであるが、好ましくは0.02〜5g
の範囲で添加する。
【0030】本発明に用いられるメルカプト基またはチ
オン基を有する化合物を水を主体とする中性から弱酸性
(pH5〜7)の版面処理液に溶解する方法は、例え
ば、アルカリ溶液で溶解しpHを調節する方法、アミン
化合物による方法、第4級アンモニウム塩型カチオン界
面活性剤による方法等、種々考えられるが、好ましくは
アミン化合物による方法であるが、これらに限定される
ものではない。前記したごとく、本発明において、有機
溶剤、特に低沸点(100℃以下)の有機溶剤、例えば
エチルアルコール、イソプロピルアルコール等は実質的
に用いないが、安全上問題のない程度(危険物に該当し
ない程度)、例えば処理液に対して20%以下、特に1
0%以下の量を用いた場合でも本発明は効果的に働く。
【0031】上記アミン化合物は、例えばモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコー
ル類、プロピルアミン、ブチルアミン等のモノアミン
類、ジメチルアミノエチルアミン等のジアミン類、N−
アミノプロピルプロパンジアミン等のポリアミン類及び
ピリジンやピペリジン等の環状アミン等である。好まし
くはアミノアルコール類である。これらのアミン化合物
は日本乳化剤(株)、広栄化学工業(株)等から入手す
ることが出来る。
【0032】本発明に用いられるアミン化合物は、前記
のメルカプト基またはチオン基を有する化合物に対して
重量比で1:1〜100:1、好ましくは1:1〜5
0:1の範囲の割合で添加する。その後該混合溶液に必
要に応じてその他化合物等を添加することによって調製
する。
【0033】本発明において、上記のように溶解された
メルカプト基またはチオン基を有する化合物の溶解安定
性を向上させるために、次の(1)〜(4)の中から選
ばれる少なくとも一種の化合物を含有する。(1)カル
ボキシル基を有する数平均分子量約2万以下の水溶性重
合体、(2)芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、
(3)ポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性
剤または、(4)有機のジスルフィド化合物。
【0034】上記(1)から(4)の化合物は、処理液
中の2個以上のメルカプト基を有する化合物の空気酸化
による親油化能力の劣化を防止することが特開平2−2
51490、同2−103185、同2−10318
7、同2−284146号公報に開示されている。しか
しながら、これらの化合物が、中性から弱酸性の中和液
や感脂化液の溶液中で、1個のメルカプト基またはチオ
ン基を有する水不溶性の化合物の溶解状態を極めて安定
に保ち、低温条件下での析出を防止することは予想外の
発見であった。
【0035】上記(1)に用いられる化合物は、カルボ
キシル基(その塩あるいは酸無水物を含む)を有する数
平均分子量約2万以下の水溶性ポリマーである。
【0036】このような水溶性ポリマーは、モノマー単
位としてのカルボキシル基を含むオレフィン系不飽和化
合物、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
ソルビン酸、イタコン酸などの単独重合体あるいはモノ
マー単位としてのカルボキシル基を含むオレフィン系不
飽和化合物及びそれと共重合可能なビニル系モノマーと
の共重合体であることができる。
【0037】上記カルボキシ基を有する共重合体を得る
ためのビニル系モノマーとしては、スチレン、あるいは
メチル、エチル等のアルキル置換スチレン、メトキシ等
のアルコキシ置換スチレン、クロル等のハロゲン置換ス
チレンなどのスチレン誘導体、エチレン、ブチレンなど
のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニルなどの
ハロゲン化ビニル類、酢酸ビニルなどのビニルエステル
類、メチル、イソブチル等のアクリル酸またはメタクリ
ル酸のアルキルエステル類、ビニルエーテル、ビニルナ
フタレン類などを挙げることができ、カルボキシル基を
含むオレフィン系不飽和物の異種のものを共重合体成分
とするものであってもよい。特にスチレンのような親油
性のビニルモノマーを共重合体成分とするものが特に好
ましい。
【0038】共重合体に占めるカルボキシル基を含むオ
レフィン系不飽和物は、約10重量%以上、好ましく
は、20重量%以下である。このカルボキシル基はナト
リウム、カリウム等の塩に成っていても良く、酸無水物
になっていてもよい。
【0039】上記カルボキシ基を有する水溶性の重合体
は、数平均分子量が約20000以下のものであり、と
くに約1000〜15000の範囲のものが好ましい。
【0040】これらの水溶性ポリマーは、溶液重合など
の公知の製造法によって容易に作ることができ、また市
販品としても入手することが出来る。この水溶性ポリマ
ーの処理液中の含有量は、約0.1%から20%(重
量)の濃度範囲が適当である。メルカプト基またはチオ
ン基を含有する化合物に対して約1から100倍(重量
比)の組み合せが好ましい。以下に具体例を示す。な
お、重合比率は重量%で示している。
【0041】
【化2】
【0042】
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】
【化5】
【0045】上記(2)の芳香族スルホン酸ホルマリン
縮合物は、次の化6に含まれるβ−ナフタレンスルホン
酸ソーダホルマリン縮合物、メチルナフタレンスルホン
酸ソーダホルマリン縮合物などが代表例として挙げられ
る。これらの化合物は、各メーカーより市販されてお
り、容易に入手することができる。
【0046】
【化6】
【0047】(nは1以上の整数であり、好ましくは2
〜5である。Mは水素原子、アルカリ金属原子等のカチ
オンを表す) これらの活性剤は、2種以上組合わせて使用してもよ
い。
【0048】この活性剤の含有量は、約0.1%から2
0%(重量)の濃度範囲が適当である。メルカプト基ま
たはチオン基を含有する化合物に対して約1から100
倍(重量比)の組み合せが好ましい。
【0049】上記(3)のポリオキシエチレン基を有す
るアニオン界面活性剤は、次の化7により表される。
【0050】
【化7】
【0051】Rは炭素数1〜30の置換または未置換の
アルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。Qは
O、S、COO、−N(R1)−、−N(R1)CO−、
−N(R1)SO2−(R1は、水素原子、置換または未
置換のアルキル基を示す。) Bはアルキレン基、アリーレン基、オキシプロピレン基
などの2価基を表す。mは0または1以上の整数であ
る。nは酸化エチレンの平均重合度であり、1〜50、
好ましくは2〜10である。Aは化8である。
【0052】
【化8】
【0053】Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、アンモニウム、低級アルキルアミン、などのカ
チオンを示す。B、Q、R、m、nの説明は、化7と同
義である。
【0054】これらの化合物は、米国特許302620
2号、同2600831号、特開昭54−98235
号、特公昭40−23747号等に記載されている。
【0055】本発明のポリオキシエチレンを有するアニ
オン界面活性剤の具体例を以下に示す。但し、CH2
2OはEOと略記する。
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】これらのポリオキシエチレンを有するアニ
オン界面活性剤は、アニオン活性剤として各メーカーよ
り、容易に入手することができる。この活性剤の含有量
は、約0.1%から20%(重量%)が適当であり、メ
ルカプト基またはチオン基を含有する化合物に対して約
1から100倍(重量比)の組み合せが好ましい。
【0062】上記(4)の、有機のジスルフィド化合物
の代表例を以下に示す。
【0063】
【化14】
【0064】
【化15】
【0065】
【化16】
【0066】この化合物の含有量は、約0.1%から2
0%(重量)の範囲が適当であり、メルカプト基または
チオン基を含有する化合物に対して約1/10から10
倍(重量比)の組み合せ比率が好ましい。
【0067】版面処理液には、上記の化合物以外にも一
般に使われている緩衝剤、保恒剤、保存剤、湿潤剤及び
界面活性剤等を混合することができる。例えば、緩衝剤
にはりん酸、硫酸等の無機酸、コハク酸、クエン酸等の
有機酸を用いることが出来るが、好ましくはりん酸であ
る。りん酸は、正りん酸、メタりん酸、ポリりん酸、そ
れらの塩になっていてもよい。更に、イミノ二酢酸、エ
チレンジアミン四酢酸等の錯化剤も混合することができ
る。又、コロイダルシリカ等の無機の微粒子もメルカプ
ト基等を有する化合物の作用を阻害しない範囲で混合す
ることが出来る。
【0068】本発明において、前記版面処理液は、感脂
化液または中和安定液として用いられる。中和安定液と
して用いる場合は、保存経時での安定性はもちろんのこ
と、実際の製版処理において、塗布機構を有する塗布処
理方式で効果を発揮する。
【0069】即ち、塗布部を構成する部材、例えば塗布
ローラ等に、メルカプト基またはチオン基を有する水不
溶性の化合物の析出が、従来の有機溶剤で溶解した中和
液または、アミン化合物のみで溶解した中和液に比べ、
顕著に減少する。
【0070】本発明において、塗布機構を有する処理装
置は、前記した如く特開平4−307245、同平6−
27682、同平7−175219号公報に記載の塗布
ローラを有する装置が挙げられる。これらの装置は現像
処理と中和安定化処理を連続的に行うものであり、本発
明においても現像処理及び中和処理を塗布機構を有する
処理方式で行うのが好ましい。
【0071】画像銀をインキ受理性として利用する平版
印刷版について、ハロゲン化銀乳剤は印刷原版そのもの
に有しても、あるいは銀拡散転写法によって受像層を有
する印刷原版シートに対する銀供給源として、別のネガ
シート上に有していてもよい。
【0072】該ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、
塩臭化銀及びこれらにヨウ化物を含んだもののいずれで
もよく、このバインダーはゼラチンが好ましいが、ゼラ
チンの一部又は全部を他のコロイド物質、例えばカゼイ
ン、アルブミン、セルロース誘導体等で置換されてもよ
い。ハロゲン化銀は硝酸銀に換算して0.5−7g/m
2、バインダーは0.5−10g/m2の範囲で通常使用
することが出来る。
【0073】ハロゲン化銀乳剤の製造法は、通常の写真
業界で公知の方法で製造することが出来、特に印刷版に
使用する為の製法も既述の公知特許文献中に開示されて
いるので参考にすることが出来る。
【0074】本発明に用いる平版印刷版は、一般に画像
露光後アルカリ現像液で処理される。係る現像液は、ハ
イドロキノンのごとき現像主薬を含む通常の写真現像
液、ハイポ等を含む銀拡散転写法の現像液あるいはそれ
らをアクチベーター化した高アルカリ現像液等いかなる
ものでも使用することが出来る。
【0075】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿
論これだけに限定されるものではない。
【0076】実施例1 下引き処理したポリエステルフィルム支持体の片面に平
均粒子サイズ5μのシリカ粒子を含有するマット化層を
設け、反対側の面に光反射率が3%になる量のカーボン
ブラックを含み、写真用ゼラチンに対して20重量%の
平均粒径7μのシリカ粉末を含むハレーション防止用下
塗り層(pH4に調整)と、化学増感された後に平均粒
径7μのシリカ粉末を写真用ゼラチンに対して5重量%
の割合で含む緑感域にスペクトル増感された高感度塩化
銀乳剤(pH4に調整)とを設けた。
【0077】下塗り層のゼラチンは3.5g/m2、乳
剤層のゼラチンは0.8g/m2、硝酸銀に換算したハ
ロゲン化銀1.0g/m2の割合で塗布された。この下
塗り層と乳剤層は硬膜剤としてホルマリンをゼラチンに
対して5.0mg/gゼラチン量で含んでいる。乾燥後
40℃で5日間加熱した後、この乳剤層の上に、特開昭
54−103104号公報の実施例2のプレートNo.
31記載の核塗液を塗布、乾燥し、平版印刷版を製造す
る。ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1
モル当たり4×10-6モルの塩化ロジウムを添加したも
のであり、平均粒径0.4ミクロンであった。
【0078】この様にして得られた平版印刷版の原版に
像反転機構を有する製版カメラで像露光し、下記の現像
液(使用液)により30℃で30秒間現像処理した。 <現像液> 水酸化ナトリウム 24g 水酸化カリウム 8g 無水亜硫酸ナトリウム 50g 2ーメチルー2ーアミノー1ーフ゜ロハ゜ノール 30g メルカプト化合物 0.2g 水で1lとする。メルカプト化合物は2−メルカプト−
5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。
【0079】上記の現像処理後、下記に示すような中和
液(安定液)のフレッシュ液(作成直後)で常温で20
秒間処理をおこなった。また下記の中和液(安定液)を
ポリ容器に入れ、5℃で1カ月の経時試験をおこない、
同様の処理を行い、印刷試験とメルカプト化合物の析出
の有無を調べた。現像及び中和安定化処理は三菱製紙
(株)社製の製版カメラプロセッサーCP−550II
(浸漬現像方式)を用いた。
【0080】<中和液> リン酸 1.2g 第一リン酸ナトリウム 25g 無水亜硫酸ナトリウム 2.5g エチレングリコール 5g メルカプト化合物 0.2g ジエタノールアミン 5g 化合物A 0.2g 水で1lとする。(pH6に調整) メルカプト化合物と化合物Aの組み合せは、表1の通り
である。
【0081】以上の操作により作成した印刷版をオフセ
ット印刷機にセットし、印刷機にエービーデイック12
50(AB−Dick社製オフセット印刷機の商標)、
インキは、AB−Dick3−1012墨インキ、給湿
液にOD30(三菱製紙社製給湿液)を使用し、水道水
でエッチングを行い、印刷を行った。
【0082】
【表1】
【0083】表中の界面活性剤Hは、β−ナフタレンス
ルホン酸ソーダホルマリン縮合物、SH1は2−メルカ
プト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール、SH2は
3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオンであ
る。
【0084】インキ受理性の評価は、版面にインキを接
触させると同時に紙を送り始め、良好な画像濃度で濃度
ムラのない印刷物が得られるまでの印刷枚数として評価
した。印刷結果と経時試験の結果を表2に示した。
【0085】
【表2】
【0086】本発明の実施態様によれば、インキ受理性
を損なわずに、経時性の優れた中和液が得られた。
【0087】実施例2 実施例1の現像液及び以下の中和液を用い実施例1と同
様に処理を行い印刷版を作成した。 <中和液> リン酸 1.2g 第一リン酸ナトリウム 25g エチレングリコール 5g 水で1lとする。(pH6に調整)
【0088】上記のようにして作成した印刷版を、以下
に示す感脂化液(エッチ液)でエッチングを行い、実施
例1と同様の印刷試験を行った。また、エッチ液の経時
試験も実施例1と同様に行い、経時後の液にてエッチン
グを行い同様の印刷試験を行った。
【0089】〈エッチ液〉 りん酸一ナトリウム 15g コロイダルシリカ(20%溶液) 10g メルカプト化合物 0.5g ジエタノールアミン 10g 化合物A 0.5g 水で1lとする。(pH6に調整)
【0090】メルカプト化合物及び化合物Aの組合せ
は、実施例1に準じる。印刷結果及び低温経時での析出
状態は、実施例1とほぼ同じ結果が得られ、本発明の効
果が証明された。
【0091】(参考例)実施例1の本発明1の中和液に
おいて、メルカプト化合物SH1の替わりに、下記化1
7の化合物を用いて、インキ受理性テストを行った。そ
の結果を表3に示す。化17を含有する中和液は本発明
1の中和液に比べ、印刷開始時のインキ受理性が劣り、
経時での空気酸化によって更に低下する。
【0092】
【化17】
【0093】
【表3】
【0094】実施例3 塗布機構を有する処理装置として、特開平7−1752
19号記載の装置を作成した。平版印刷版、現像液及び
中和安定液は実施例1と同じものを用いた。版サイズ2
54×400mmを10枚づつ、10分間の間隔で10
回処理した時のローラへの析出物を観察した。その結
果、比較2、3の中和液を用いた場合、かなりの析出物
があったが、本発明の中和液を用いた場合は、ほとんど
析出物は観察されなかった。
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、画像銀をインキ受理性
として利用する平版印刷版の版面処理液において、1個
のメルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合
物を安定に含有させることが可能になり、低温保管での
析出を防止できる。これによって、常に安定したインキ
受理性を得ることができる。また、該版面処理液を中和
液として、塗布機構を有する処理方式に適用した場合、
塗布ローラへの析出物の付着が防止できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個のメルカプト基又はチオン基を有す
    る水不溶性の化合物の少なくとも一種と、下記(1)〜
    (4)の中から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有
    することを特徴とする画像銀をインキ受理性として利用
    する平版印刷版の版面処理液。 (1)カルボキシ基を有する数平均分子量約2万以下の
    水溶性重合体 (2)芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物 (3)ポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性
    剤 (4)有機のジスルフィド化合物
  2. 【請求項2】 前記版面処理液を、現像処理後の中和安
    定液として用いる画像銀をインキ受理性として利用する
    平版印刷版の処理方法。
  3. 【請求項3】 現像処理後の中和安定処理が塗布機構を
    有する処理方式である請求項2記載の平版印刷版の処理
    方法。
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