JP2004198836A - 平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【課題】インキ乗り性、インキ脱離性、耐刷性の優れたアルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版を提供する。
【解決手段】陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板が陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施されたアルミニウム支持体であることを特徴とする平版印刷版。
【選択図】 なし
【解決手段】陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板が陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施されたアルミニウム支持体であることを特徴とする平版印刷版。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57−158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48−30562号、同51−15765号、特開昭51−111103号、同52−150105号などの各公報に詳しく記載されている。
【0004】
本発明が対象とする、アルミニウム板を支持体とした銀錯塩拡散転写法を利用したモノシートタイプの平版印刷版(以降、アルミニウム平版印刷版と称す)は、特開昭57−118244号、同57−158844号、同63−260491号、特開平3−116151号、同4−282295号、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
【0005】
前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成に成っている。この平版印刷版の一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程から成っている。
【0006】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0007】
陽極酸化されたアルミニウム表面は、親水性が高く、平版印刷版の非画像部として好適ではあるが、実際の印刷に際し、インキの種類や湿し水の種類等、印刷の条件によっては、非画像部にインキが付着して印刷物にインキ汚れが生じる場合がある。
【0008】
またオフセット輪転印刷機の分野では、紙切れを防ぐため、印刷の立ち上がり時には湿し水によるエッチングを省略することが多く、印刷版全面にインキを付けてから湿し水を送り、非画像部のインキを脱離するという印刷方法が用いられている。この場合、非画像部のインキ脱離性が速いことが求められる。インキ脱離性が遅いと、廃棄する印刷枚数が多くなると云う問題がある。
【0009】
上記したような非画像部のインキ汚れやインキ脱離性の問題に対し、感光性樹脂を用いた平版印刷版では、アルミニウム板の表面処理において、熱水処理と水洗の間に、アルミニウム板をシリケート溶液で処理を施し、支持体表面に珪酸膜を形成させる方法(特許文献1)や、珪酸アルカリ金属塩を含有する現像処理液で処理し、非画像部の感光層を除去すると同時に、非画像部表面に珪酸膜を形成させる手法がとられている。
【0010】
一方、本発明が対象とするDTR法を利用した平版印刷版においても、現像処理時に珪酸アルカリ金属塩を含有する現像液で処理し、非画像部に珪酸膜を形成させる方法(特許文献2)や、現像処理の後に珪酸塩を含有する処理液で処理し、非画像部に珪酸膜を形成させ、非画像部の親水性を向上させる方法が提案されている(特許文献3)。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−44637号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献2】
特開平7−199471号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献3】
特開2001−305740号公報(第2頁)
【0012】
しかし、DTR法を用いた平版印刷版において、例えば、上記特許文献1記載の熱水処理後にシリケート溶液で処理したアルミニウム板を用いた場合、物理現像核が珪酸膜の上に存在するため、珪酸膜の上に銀が析出する。珪酸膜の上に析出した銀画像は、支持体との接着性が劣り、耐刷力が極めて低くなると云う問題がある。
【0013】
また、上記特許文献2記載の珪酸アルカリ金属塩を含有する現像液で処理した場合、銀と珪酸アルカリ金属塩とが混合した画像が得られ、珪酸アルカリ金属塩は、水を吸着させる性能に優れているため、銀画像部が水を引きつけやすくなり、その結果、インキ乗り性が低下するという問題がある。
【0014】
さらに、上記特許文献3記載の現像処理後に珪酸塩を含有する処理液で処理する方法では、銀画像を珪酸塩が覆ってしまい、インキ乗り性が低下するという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、非画像部のインキ脱離性に優れ、同時に銀画像部のインキ乗り性及び耐刷性の優れた平版印刷版を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板を陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施すことによって達成された。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明のアルミニウム板には純アルミニウム及び各種の金属、例えば、珪素、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、マンガン、クロム、チタン等を少量含むアルミニウム合金板が使用される。
【0018】
上記アルミニウム板はオフセット印刷版用の支持体とするため、感光層を塗布する前に表面処理が施される。表面処理では一般に脱脂、粗面化、デスマット、陽極酸化の各処理が行われる。本発明は、陽極酸化処理されたアルミニウム板の表面に、イ)物理現像核及び珪酸塩を同時に施すか、または、ロ)物理現像核を珪酸塩より先に施すことを特徴とするものであり、このようにして製造されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層が塗布されて、本発明の平版印刷版が得られる。
【0019】
本発明の特徴である物理現像核及び珪酸塩を用いた処理方法について詳細に説明する。前記したイ)の態様、即ち、陽極酸化処理されたアルミニウム板に物理現像核及び珪酸塩を同時に施すとは、物理現像核及び珪酸塩を少なくとも含有する溶液中にアルミニウム板を浸漬させる方法、該溶液をシャワーでアルミニウム板に供給する方法、あるいは該溶液をグラビアロール、エクストリュージョンバー等で塗布する方法等を用いて、アルミニウム板表面に物理現像核と珪酸塩を同時に供給することである。物理現像核と珪酸塩を含有する溶液でアルミニウム板を処理した後、水洗するのが好ましい。物理現像核と珪酸塩を含有する溶液を施してから水洗するまでの時間は、3〜60秒程度が好ましい。
【0020】
本発明の前記したロ)の態様、即ち、陽極酸化処理されたアルミニウム板に物理現像核を珪酸塩より先に施すとは、物理現像核を含有する溶液中にアルミニウム板を浸漬、または該溶液をアルミニウム板に前記した方法で供給あるいは塗布した後、珪酸塩を含有する溶液中に浸漬、または前記した方法で供給あるいは塗布することである。この場合、物理現像核を含有する溶液で処理した後、珪酸塩を含有する溶液で処理する前に、アルミニウム板の表面を水洗するのが好ましい。物理現像核を含有する溶液を施してから水洗するまでの時間は、3〜60秒が好ましい。さらに水洗後、珪酸塩の処理の前に一旦乾燥させてもよい。
【0021】
本発明において、上記した2つの態様の中でも、ロ)の態様がより好ましい。
【0022】
本発明に用いられる物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。
【0023】
本発明に用いられる珪酸塩としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等のケイ酸アルカリ金属塩、及び珪酸アンモニウム等が挙げられるが、安価な珪酸ナトリウム、珪酸カリウムが好ましい。これらの珪酸塩は、単独で用いてよいが、併用して用いることもできる。
【0024】
一般に珪酸アルカリ金属塩は、SiO2・M2O・H2Oという構造式で表される(Mはアルカリ金属塩)。珪酸ナトリウムの場合、各々のモル比でオルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、水ガラス、クリストバライト、トリジマイト、石英等に分類され、さらに、JIS K 1408では、SiO2/M2Oのモル比で、1〜3号まで分類されている。本発明の平版印刷版で用いる珪酸塩のSiO2/M2Oのモル比としては、0.5〜4.1が好ましく、特に2.0〜3.5が好ましい。
【0025】
物理現像核と珪酸塩とを同時に施す場合、溶液中の物理現像核の量としては、溶液1リットル当たり、0.01mmol以上が好ましく、特に好ましくは、0.2〜0.5mmolの範囲である。
【0026】
物理現像核を珪酸塩より先に施す場合、物理現像核を含有する溶液中に含まれる物理現像核の量は、溶液1リットル当たり、0.01mmol以上が好ましく、特に好ましくは0.2〜1.0mmolの範囲である。
【0027】
珪酸塩の溶液中の濃度は、SiO2で換算して、0.1〜20質量%が好ましい。また、珪酸塩を含有する溶液のpHは、8.0〜13.5が好ましく、特に好ましくは、10.0〜13.0の範囲である。珪酸塩を施す際の溶液の温度は、20〜95℃が好ましい。特に好ましくは、60〜95℃の範囲である。上記した珪酸塩の種類、使用量、pH等の条件は、前記イ)及びロ)の態様とも同様である。
【0028】
物理現像核と珪酸塩を同時にアルミニウム板に施す場合、両者を含有する溶液を60〜95℃の温度まで昇温した後経時すると、物理現像核粒子が成長し、粒径が大きくなりすぎて、沈降するという問題が生じる。この問題は、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体を含有させることのによって解消することができる。溶液中における上記重合体の含有量は、溶液1リットル当たり、0.01〜1gが好ましい。
【0029】
上記アクリルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体は、特開昭53−21602号に記載されており、重合度100〜5000、ビニルイミダゾールの含有率が10モル%以下のものが好ましく用いられる。
【0030】
次に、アルミニウム板の脱脂、粗面化、デスマット及び陽極酸化等の表面処理について説明する。これらの処理は通常アルミニウムのコイルを用いて連続的に行われ、各処理の後には必要に応じて水洗が加えられる。
【0031】
処理工程の順に説明する。脱脂処理はアルミニウム表面の圧延時の油或は空気との接触により生成する酸化膜等を除去し、清浄なアルミニウム板の表面を露出させて、以降の工程がムラなく処理できるように施される。脱脂処理の方法としては、例えばトリクロロエチレン、パークロロエチレン、等による溶剤脱脂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、ピロ燐酸四ナトリウム、石鹸等、或はこれらの混合物によるアルカリ脱脂、界面活性剤、ケロシン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム等を組合せたエマルジョン脱脂、さらに上記の化学脱脂では取れない汚染を除く仕上げ脱脂と呼ばれる電解脱脂、等の方法がある。
【0032】
次に粗面化処理が行われる。粗面化処理は表面に凹凸を与えるものであり、直接的にはアンカー効果により感光層の接着性向上に寄与するが、さらにオフセット印刷版においては、耐刷性、保水性、印刷画質等の印刷の基本性能に影響を与えるので、現在ではこれらの性能を向上させるため各種の方法が実用化されている。即ち、ブラシグレイニング、ボールグレイニング、液体ホーニング等の機械的粗面化方法、塩酸或は硝酸等による化学的エッチングによる化学的粗面化方法、或はこれらの酸による電気化学的エッチングによる電解粗面化方法、或はこれらを組合せて粗面化する方法が知られている。
【0033】
電解粗面化法では、塩酸叉は硝酸を主体とする電解液を使用し、直流或は交流電流(単相或は3相)を流して電解される。アルミニウム表面にピットが形成され、電解時の電流密度、液濃度、液組成、液温度等によってピットの大きさ、深さ、ピットの分布状態を変えることが出来る。表面の形状は一般に陽極酸化後に表面粗さ計により評価されるが、その大きさは中心線平均粗さ;Raの値で0.4〜0.8μmが適当である。
【0034】
アルミニウム板に供給される電力は電解液の組成、温度、電極間距離等により変わるが、印刷版として適切な砂目を得るためには、一般に、電圧では1〜60V、処理面における電流密度では5〜60A/dm2、電気量では50〜4000クーロンの範囲で使われる。又電解液の温度は0〜60℃、電極とアルミニウム板との距離は1〜10cmの範囲が好ましい。
【0035】
電解液としては硝酸或はその塩、塩酸或はその塩、或はそれらの1種或は2種以上の混合物の水溶液が使用出来る。さらに必要に応じて硫酸、燐酸、クロム酸、ほう酸、有機酸、或はそれらの塩、硝酸塩、塩化物、アンモニウム塩、アミン類、界面活性剤、その他の腐食促進剤、腐食抑制剤、安定化剤等を加えて使用してもよい。
【0036】
電解液の濃度としては上記の酸類の濃度が0.1〜10重量%であり、電解液中のアルミニウムイオンの濃度を0〜10g/リットル範囲に維持したものが好ましい。電解粗面化処理では電解の進行により、アルミニウムがとけ込み、酸類が消費されるので、電解液の組成が所定の設定範囲をはずれないように、電解液の一部を廃棄しながら、酸類を補給する、電解液の液管理のための補充装置の設置が好ましい。
【0037】
次にデスマット処理を行う。デスマット処理ではスマットが溶解し、ピット面が現われる。デスマット処理には、水酸化ナトリウム等アルカリ剤、或いは燐酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等の酸、或いはそれらの混合物が使用できるが、それぞれスマット除去能力に違いがあり、処理液の種類或いはその濃度或いは処理温度によってその除去能力を調整して使用される。デスマット処理が強すぎる場合には粗面化の工程で形成された凹凸を溶解して平坦化させ、また弱すぎる場合にはスマットが残留するので好ましくない。その溶解量は前記電解液による処理条件によって異なるが、0.1〜1g/m2が適当である。
【0038】
粗面化され、デスマットされたアルミニウム板には、次に陽極酸化処理が施される。オフセット印刷版用支持体では、表面の保水性と感光層の接着性向上を図るため酸化膜としては多孔性の陽極酸化膜が形成される。
【0039】
陽極酸化の電解液としては生成酸化膜の溶解性が低い酸が好ましく、硫酸、蓚酸、クロム酸、燐酸等或はこれらの混合物が使用できるが、生産性を考慮すると硫酸を電解液とするのが特に好ましい。陽極酸化に際して生成する陽極酸化膜のマイクロポアの大きさは上記酸の種類によって変化し、通常0.01〜0.1μmである。
【0040】
陽極酸化膜は陽極にのみ生成するので、電流は通常直流電流が使用される。陽極酸化の条件としては、硫酸の場合、液濃度1〜40%、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧5〜30Vの範囲で使用され、電流は直接給電法或いは間接給電法により供給される。陽極酸化膜の厚みは電流密度と時間により変えられ、印刷版の耐刷グレードによって適宜調整される。温度は陽極酸化膜の硬度に影響を与え、低温の方が硬度は高くなるが、可撓性に劣るため、通常は常温付近の温度で陽極酸化される。陽極酸化処理後水洗処理が施される。
【0041】
本発明が対象とする平版印刷版は、上述のようにして製造されたアルミニウム板上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。
【0042】
また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
【0043】
本発明において、平版印刷版に好適に用いられる増感色素は、アルゴンレーザー対応として、特開平9−127701号、同平9−222734号に記載の増感色素、赤色及び赤外レーザー対応として、特開平2−251853号、同平3−274055号、同平4−9853号、同平9−244196号に記載の増感色素が挙げられる。
【0044】
ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まないことが望ましい。ハロゲン化銀乳剤層中のゼラチン量は1〜10g/m2程度で、好ましくは2〜5g/m2である。
【0045】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層の下に、親水性ポリマーあるいはポリマーラテックスを含有する中間層を設けてもよく、またハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けてもよい。
【0046】
本発明に用いられる現像液には、現像主薬、例えば3−ピラゾリジノン類、ポリヒドロキシベンゼン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、アルカノールアミン、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、等の添加剤を含ませることができる。現像主薬は平版印刷版の構成層、例えば、ハロゲン化銀乳剤層、中間層等に含ませ、いわゆる主薬内蔵型の形態で用いることもできる。
【0047】
現像液のpHとして通常約10〜14、好ましくは約12〜14であるが、使用する平版印刷版のアルミニウム支持体の前処理(例えば陽極酸化)条件、写真要素、所望の像、現像液中の各種化合物の種類及び量、現像条件等によって異なる。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
実施例1
幅1030mm、厚み0.24mmの合金組成がA1050タイプのアルミニウム板を13m/minの処理速度で移動させ、60℃、4%−水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸漬した後、水洗し、30℃の1.5%−塩酸と2%−酢酸を満たした間接給電方式の電解槽に浸漬し、電源より40A/dm2、50Hzの単相交流電流を30秒間流して、交流電解粗面化し、水洗し、その後50℃、2%−水酸化ナトリウム水溶液に20秒間浸漬してデスマットし、水洗し、さらに25℃、25%−硫酸中に通して陽極酸化処理を施した後、水洗、乾燥し、表面処理を施したアルミニウム板を得た。このアルミニウム板は、中心線平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。
【0049】
物理現像核と珪酸塩を含む溶液として、以下の調製方法に準じて作成した。この溶液に上記アルミニウム板を20秒間浸漬した。この時の溶液の温度は25℃であった。浸漬後、直ちに流水で10秒間水洗し、熱風乾燥し、アルミニウム板に物理現像核と珪酸塩を同時に施した支持体を得た。このアルミニウム板をリガク社製RIX1000(リガク社蛍光X線分析装置の商標)を用いて物理現像核(パラジウム)の付着量を定量したところ、1m2当たり、0.002mmolであった。
【0050】
<物理現像核と珪酸塩を含有する溶液>
(A液)
水 9g
1%−チオ硫酸ナトリウム 11g
(B液)
0.5%−塩化パラジウム溶液 14g
A液とB液を40℃で混合し、7分間40℃に保った後、水を加えて全量を900gにした。その後、珪酸ナトリウム溶液(SiO2 29.38%、Na2O 9.42%、SiO2/Na2Oモル比 3.22)を24g加え、全量を1200gにし、物理現像核量が1リットル当たり0.33mmolの溶液を得た。この溶液のpHは10.5であった。
【0051】
ハロゲン化銀乳剤を次のようにして調製した。保護コロイドとして不活性ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で、平均粒子サイズが0.3μmの、ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせた塩化銀99.6モル%、ヨウ化銀0.4モル%の塩ヨウ化銀乳剤を調製した。晶癖は立方体であり、全粒子の90重量%以上が平均粒子サイズの±30%以内に含まれていた。その後、この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。その後、この乳剤を再溶解し、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸を加え、化学増感した後、赤色波長に吸収を持つ増感色素を銀1g当たり3mg添加し、スペクトル増感した。
【0052】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加え塗布液を作成した(pHは4.0)。このハロゲン化銀乳剤層を銀量が2g/m2(ゼラチン量は3g/m2)になるように上記物理現像核及び珪酸塩を同時に施したアルミニウム支持体に塗布し、本発明の平版印刷版Aを得た。
【0053】
また、前記物理現像核と珪酸塩を含有する溶液から、珪酸ナトリウムを除いた溶液(pH4.2)を用いる以外は同様にして、比較の平版印刷版Bを作製した。
【0054】
このようにして得られた平版印刷版A及びBに、赤色LDレーザーを搭載したSDP−α2400出力機(三菱製紙社レーザー出力機の総称)を用いて像露光後、以下の現像液で20℃で10秒間現像を行った後、直ちに流水で30秒間水洗してゼラチン層を洗い流し、連続して特開平5−265217号公報記載の版面保護液を塗布した。
【0055】
<現像液処方>
ハイドロキノン 20g
フェニドン 2g
亜硫酸カリウム 100g
水酸化カリウム 20g
N−メチルエタノールアミン 40g
水を加えて全量を1000ccにする。
pHは13.0に調製する。
【0056】
得られた印刷版を印刷機リョービ3200MCD(リョービ社製オフセット印刷機の商標)にかけ、インキとして、大日本インキ社Geos−G シアン H、湿し水として、三菱製紙社製SLM−OD50(水で50倍に希釈して使用)を用いて印刷した。以下の方法で、インキ乗り性、インキ脱離性、及び耐刷性を評価した。
【0057】
<インキ乗り性>
印刷を開始してから、画像にインキが充分に着肉し、適切な印刷物が得られるまでの印刷枚数で、以下の基準で評価した。
○;10枚未満
△;10枚以上、20枚未満
×;20枚以上
【0058】
<インキ脱離性>
一旦平版印刷版の版面に湿し水の供給を止め、インキのみを供給し、版面全体にインキを乗せて刷り始め、湿し水を供給し、湿し水を供給してから非画像部のインキが取り除けるまでの速度を黙視で判定した。
○;10枚未満
△;10枚以上、20枚未満
×;50枚以上
【0059】
<耐刷性>
10000枚の印刷で、印刷機において水を供給するモルトンローラーで版面が擦られ、画像が劣化してしまう状況を評価した。
○;画像が劣化していない
△;細線部、微小網点が劣化
×;画像全体が劣化
【0060】
【表1】
【0061】
表1より、本発明の平版印刷版Aはインキ脱離性が改良されていることが分かる。
【0062】
実施例2
実施例1の物理現像核と珪酸塩を含有する溶液を80℃でアルミニウム板に施した。以降実施例1の平版印刷版A同様にして、本発明の平版印刷版Cを作製し、実施例1と同様にして印刷性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2より、本発明の平版印刷版Cは飛躍的にインキ脱離性が改良されていることが分かる。しかし、本実施例で用いた物理現像核と珪酸塩を含有する溶液を、室温で1昼夜経時したところ、物理現像核が沈降して沈殿物が発生した。
【0065】
実施例3
実施例1のアルミニウム板に物理現像核と珪酸塩を含有する溶液に、2.5%のアクリルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体(平均重合度 約1600、アクリルアミド 96mol%、ビニルイミダゾール 4mol%)を10g加え、実施例2と同じように、80℃で物理現像核と珪酸塩を同時にアルミニウム板に施した。以降実施例1の平版印刷版A同様にして、本発明の平版印刷版Dを作製し、実施例1と同様にして印刷性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
表3より、本発明の平版印刷版Dは、優れたインキ脱離性を示した。
また、理現像核と珪酸塩を含有する溶液にアクリルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体を含有させることにより、室温で1昼夜経時しても物理現像核が沈降せず、長時間の溶液経時においても安定に処理することが可能であることを確認した。
【0068】
実施例4
実施例1の平版印刷版Bで用いた物理現像核を含有する溶液(但し、珪酸塩を含有しない)で実施例1の平版印刷版と同様にして物理現像核を施し、水洗した後、以下の珪酸塩溶液でアルミニウム板を80℃で20秒間処理した後、流水で10秒間水洗した。以降実施例1の平版印刷版A同様にして、本発明の平版印刷版Eを作製し、実施例1と同様にして印刷性の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0069】
<珪酸塩溶液>
珪酸カリウム溶液 25g
(SiO2 20.7%、K2O 9.3%、SiO2/Na2Oモル比 3.49)
2.5%-アクリルアミト゛とヒ゛ニルイミタ゛ソ゛ールとの共重合体 10g
(平均重合度 約1600、アクリルアミト゛ 96mol%、ヒ゛ニルイミタ゛ソ゛ール 4mol%)
水で全量を1リットルにする。
【0070】
【表4】
【0071】
表4より本発明の平版印刷版Eは、インキ乗り性、インキ脱離性、耐刷性において、優れた結果が得られた。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板を陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施すことによって、インキ乗り、インキ脱離性、耐刷性の優れた平版印刷版を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
その中で述べられているように、DTR法を用いた平版印刷版には、転写材料と受像材料を別々にしたツーシートタイプ、あるいはそれらを一枚の支持体上に設けたモノシートタイプの二方式が知られている。ツーシートタイプの平版印刷版については、特開昭57−158844号公報に詳しく記載されている。又、モノシートタイプについては、特公昭48−30562号、同51−15765号、特開昭51−111103号、同52−150105号などの各公報に詳しく記載されている。
【0004】
本発明が対象とする、アルミニウム板を支持体とした銀錯塩拡散転写法を利用したモノシートタイプの平版印刷版(以降、アルミニウム平版印刷版と称す)は、特開昭57−118244号、同57−158844号、同63−260491号、特開平3−116151号、同4−282295号、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
【0005】
前記アルミニウム平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた構成に成っている。この平版印刷版の一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程から成っている。
【0006】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0007】
陽極酸化されたアルミニウム表面は、親水性が高く、平版印刷版の非画像部として好適ではあるが、実際の印刷に際し、インキの種類や湿し水の種類等、印刷の条件によっては、非画像部にインキが付着して印刷物にインキ汚れが生じる場合がある。
【0008】
またオフセット輪転印刷機の分野では、紙切れを防ぐため、印刷の立ち上がり時には湿し水によるエッチングを省略することが多く、印刷版全面にインキを付けてから湿し水を送り、非画像部のインキを脱離するという印刷方法が用いられている。この場合、非画像部のインキ脱離性が速いことが求められる。インキ脱離性が遅いと、廃棄する印刷枚数が多くなると云う問題がある。
【0009】
上記したような非画像部のインキ汚れやインキ脱離性の問題に対し、感光性樹脂を用いた平版印刷版では、アルミニウム板の表面処理において、熱水処理と水洗の間に、アルミニウム板をシリケート溶液で処理を施し、支持体表面に珪酸膜を形成させる方法(特許文献1)や、珪酸アルカリ金属塩を含有する現像処理液で処理し、非画像部の感光層を除去すると同時に、非画像部表面に珪酸膜を形成させる手法がとられている。
【0010】
一方、本発明が対象とするDTR法を利用した平版印刷版においても、現像処理時に珪酸アルカリ金属塩を含有する現像液で処理し、非画像部に珪酸膜を形成させる方法(特許文献2)や、現像処理の後に珪酸塩を含有する処理液で処理し、非画像部に珪酸膜を形成させ、非画像部の親水性を向上させる方法が提案されている(特許文献3)。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−44637号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献2】
特開平7−199471号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献3】
特開2001−305740号公報(第2頁)
【0012】
しかし、DTR法を用いた平版印刷版において、例えば、上記特許文献1記載の熱水処理後にシリケート溶液で処理したアルミニウム板を用いた場合、物理現像核が珪酸膜の上に存在するため、珪酸膜の上に銀が析出する。珪酸膜の上に析出した銀画像は、支持体との接着性が劣り、耐刷力が極めて低くなると云う問題がある。
【0013】
また、上記特許文献2記載の珪酸アルカリ金属塩を含有する現像液で処理した場合、銀と珪酸アルカリ金属塩とが混合した画像が得られ、珪酸アルカリ金属塩は、水を吸着させる性能に優れているため、銀画像部が水を引きつけやすくなり、その結果、インキ乗り性が低下するという問題がある。
【0014】
さらに、上記特許文献3記載の現像処理後に珪酸塩を含有する処理液で処理する方法では、銀画像を珪酸塩が覆ってしまい、インキ乗り性が低下するという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、非画像部のインキ脱離性に優れ、同時に銀画像部のインキ乗り性及び耐刷性の優れた平版印刷版を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板を陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施すことによって達成された。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明のアルミニウム板には純アルミニウム及び各種の金属、例えば、珪素、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、マンガン、クロム、チタン等を少量含むアルミニウム合金板が使用される。
【0018】
上記アルミニウム板はオフセット印刷版用の支持体とするため、感光層を塗布する前に表面処理が施される。表面処理では一般に脱脂、粗面化、デスマット、陽極酸化の各処理が行われる。本発明は、陽極酸化処理されたアルミニウム板の表面に、イ)物理現像核及び珪酸塩を同時に施すか、または、ロ)物理現像核を珪酸塩より先に施すことを特徴とするものであり、このようにして製造されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層が塗布されて、本発明の平版印刷版が得られる。
【0019】
本発明の特徴である物理現像核及び珪酸塩を用いた処理方法について詳細に説明する。前記したイ)の態様、即ち、陽極酸化処理されたアルミニウム板に物理現像核及び珪酸塩を同時に施すとは、物理現像核及び珪酸塩を少なくとも含有する溶液中にアルミニウム板を浸漬させる方法、該溶液をシャワーでアルミニウム板に供給する方法、あるいは該溶液をグラビアロール、エクストリュージョンバー等で塗布する方法等を用いて、アルミニウム板表面に物理現像核と珪酸塩を同時に供給することである。物理現像核と珪酸塩を含有する溶液でアルミニウム板を処理した後、水洗するのが好ましい。物理現像核と珪酸塩を含有する溶液を施してから水洗するまでの時間は、3〜60秒程度が好ましい。
【0020】
本発明の前記したロ)の態様、即ち、陽極酸化処理されたアルミニウム板に物理現像核を珪酸塩より先に施すとは、物理現像核を含有する溶液中にアルミニウム板を浸漬、または該溶液をアルミニウム板に前記した方法で供給あるいは塗布した後、珪酸塩を含有する溶液中に浸漬、または前記した方法で供給あるいは塗布することである。この場合、物理現像核を含有する溶液で処理した後、珪酸塩を含有する溶液で処理する前に、アルミニウム板の表面を水洗するのが好ましい。物理現像核を含有する溶液を施してから水洗するまでの時間は、3〜60秒が好ましい。さらに水洗後、珪酸塩の処理の前に一旦乾燥させてもよい。
【0021】
本発明において、上記した2つの態様の中でも、ロ)の態様がより好ましい。
【0022】
本発明に用いられる物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。
【0023】
本発明に用いられる珪酸塩としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等のケイ酸アルカリ金属塩、及び珪酸アンモニウム等が挙げられるが、安価な珪酸ナトリウム、珪酸カリウムが好ましい。これらの珪酸塩は、単独で用いてよいが、併用して用いることもできる。
【0024】
一般に珪酸アルカリ金属塩は、SiO2・M2O・H2Oという構造式で表される(Mはアルカリ金属塩)。珪酸ナトリウムの場合、各々のモル比でオルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、水ガラス、クリストバライト、トリジマイト、石英等に分類され、さらに、JIS K 1408では、SiO2/M2Oのモル比で、1〜3号まで分類されている。本発明の平版印刷版で用いる珪酸塩のSiO2/M2Oのモル比としては、0.5〜4.1が好ましく、特に2.0〜3.5が好ましい。
【0025】
物理現像核と珪酸塩とを同時に施す場合、溶液中の物理現像核の量としては、溶液1リットル当たり、0.01mmol以上が好ましく、特に好ましくは、0.2〜0.5mmolの範囲である。
【0026】
物理現像核を珪酸塩より先に施す場合、物理現像核を含有する溶液中に含まれる物理現像核の量は、溶液1リットル当たり、0.01mmol以上が好ましく、特に好ましくは0.2〜1.0mmolの範囲である。
【0027】
珪酸塩の溶液中の濃度は、SiO2で換算して、0.1〜20質量%が好ましい。また、珪酸塩を含有する溶液のpHは、8.0〜13.5が好ましく、特に好ましくは、10.0〜13.0の範囲である。珪酸塩を施す際の溶液の温度は、20〜95℃が好ましい。特に好ましくは、60〜95℃の範囲である。上記した珪酸塩の種類、使用量、pH等の条件は、前記イ)及びロ)の態様とも同様である。
【0028】
物理現像核と珪酸塩を同時にアルミニウム板に施す場合、両者を含有する溶液を60〜95℃の温度まで昇温した後経時すると、物理現像核粒子が成長し、粒径が大きくなりすぎて、沈降するという問題が生じる。この問題は、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体を含有させることのによって解消することができる。溶液中における上記重合体の含有量は、溶液1リットル当たり、0.01〜1gが好ましい。
【0029】
上記アクリルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体は、特開昭53−21602号に記載されており、重合度100〜5000、ビニルイミダゾールの含有率が10モル%以下のものが好ましく用いられる。
【0030】
次に、アルミニウム板の脱脂、粗面化、デスマット及び陽極酸化等の表面処理について説明する。これらの処理は通常アルミニウムのコイルを用いて連続的に行われ、各処理の後には必要に応じて水洗が加えられる。
【0031】
処理工程の順に説明する。脱脂処理はアルミニウム表面の圧延時の油或は空気との接触により生成する酸化膜等を除去し、清浄なアルミニウム板の表面を露出させて、以降の工程がムラなく処理できるように施される。脱脂処理の方法としては、例えばトリクロロエチレン、パークロロエチレン、等による溶剤脱脂、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸三ナトリウム、ピロ燐酸四ナトリウム、石鹸等、或はこれらの混合物によるアルカリ脱脂、界面活性剤、ケロシン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム等を組合せたエマルジョン脱脂、さらに上記の化学脱脂では取れない汚染を除く仕上げ脱脂と呼ばれる電解脱脂、等の方法がある。
【0032】
次に粗面化処理が行われる。粗面化処理は表面に凹凸を与えるものであり、直接的にはアンカー効果により感光層の接着性向上に寄与するが、さらにオフセット印刷版においては、耐刷性、保水性、印刷画質等の印刷の基本性能に影響を与えるので、現在ではこれらの性能を向上させるため各種の方法が実用化されている。即ち、ブラシグレイニング、ボールグレイニング、液体ホーニング等の機械的粗面化方法、塩酸或は硝酸等による化学的エッチングによる化学的粗面化方法、或はこれらの酸による電気化学的エッチングによる電解粗面化方法、或はこれらを組合せて粗面化する方法が知られている。
【0033】
電解粗面化法では、塩酸叉は硝酸を主体とする電解液を使用し、直流或は交流電流(単相或は3相)を流して電解される。アルミニウム表面にピットが形成され、電解時の電流密度、液濃度、液組成、液温度等によってピットの大きさ、深さ、ピットの分布状態を変えることが出来る。表面の形状は一般に陽極酸化後に表面粗さ計により評価されるが、その大きさは中心線平均粗さ;Raの値で0.4〜0.8μmが適当である。
【0034】
アルミニウム板に供給される電力は電解液の組成、温度、電極間距離等により変わるが、印刷版として適切な砂目を得るためには、一般に、電圧では1〜60V、処理面における電流密度では5〜60A/dm2、電気量では50〜4000クーロンの範囲で使われる。又電解液の温度は0〜60℃、電極とアルミニウム板との距離は1〜10cmの範囲が好ましい。
【0035】
電解液としては硝酸或はその塩、塩酸或はその塩、或はそれらの1種或は2種以上の混合物の水溶液が使用出来る。さらに必要に応じて硫酸、燐酸、クロム酸、ほう酸、有機酸、或はそれらの塩、硝酸塩、塩化物、アンモニウム塩、アミン類、界面活性剤、その他の腐食促進剤、腐食抑制剤、安定化剤等を加えて使用してもよい。
【0036】
電解液の濃度としては上記の酸類の濃度が0.1〜10重量%であり、電解液中のアルミニウムイオンの濃度を0〜10g/リットル範囲に維持したものが好ましい。電解粗面化処理では電解の進行により、アルミニウムがとけ込み、酸類が消費されるので、電解液の組成が所定の設定範囲をはずれないように、電解液の一部を廃棄しながら、酸類を補給する、電解液の液管理のための補充装置の設置が好ましい。
【0037】
次にデスマット処理を行う。デスマット処理ではスマットが溶解し、ピット面が現われる。デスマット処理には、水酸化ナトリウム等アルカリ剤、或いは燐酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等の酸、或いはそれらの混合物が使用できるが、それぞれスマット除去能力に違いがあり、処理液の種類或いはその濃度或いは処理温度によってその除去能力を調整して使用される。デスマット処理が強すぎる場合には粗面化の工程で形成された凹凸を溶解して平坦化させ、また弱すぎる場合にはスマットが残留するので好ましくない。その溶解量は前記電解液による処理条件によって異なるが、0.1〜1g/m2が適当である。
【0038】
粗面化され、デスマットされたアルミニウム板には、次に陽極酸化処理が施される。オフセット印刷版用支持体では、表面の保水性と感光層の接着性向上を図るため酸化膜としては多孔性の陽極酸化膜が形成される。
【0039】
陽極酸化の電解液としては生成酸化膜の溶解性が低い酸が好ましく、硫酸、蓚酸、クロム酸、燐酸等或はこれらの混合物が使用できるが、生産性を考慮すると硫酸を電解液とするのが特に好ましい。陽極酸化に際して生成する陽極酸化膜のマイクロポアの大きさは上記酸の種類によって変化し、通常0.01〜0.1μmである。
【0040】
陽極酸化膜は陽極にのみ生成するので、電流は通常直流電流が使用される。陽極酸化の条件としては、硫酸の場合、液濃度1〜40%、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧5〜30Vの範囲で使用され、電流は直接給電法或いは間接給電法により供給される。陽極酸化膜の厚みは電流密度と時間により変えられ、印刷版の耐刷グレードによって適宜調整される。温度は陽極酸化膜の硬度に影響を与え、低温の方が硬度は高くなるが、可撓性に劣るため、通常は常温付近の温度で陽極酸化される。陽極酸化処理後水洗処理が施される。
【0041】
本発明が対象とする平版印刷版は、上述のようにして製造されたアルミニウム板上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する。ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上のものを意味する)が好ましい。
【0042】
また乳剤のタイプとしてはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル増感することができる。
【0043】
本発明において、平版印刷版に好適に用いられる増感色素は、アルゴンレーザー対応として、特開平9−127701号、同平9−222734号に記載の増感色素、赤色及び赤外レーザー対応として、特開平2−251853号、同平3−274055号、同平4−9853号、同平9−244196号に記載の増感色素が挙げられる。
【0044】
ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとしてはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成する際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース等の親水性高分子化合物を含有させることができる。用いられる親水性コロイドとしては、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤を含まないことが望ましい。ハロゲン化銀乳剤層中のゼラチン量は1〜10g/m2程度で、好ましくは2〜5g/m2である。
【0045】
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層の下に、親水性ポリマーあるいはポリマーラテックスを含有する中間層を設けてもよく、またハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けてもよい。
【0046】
本発明に用いられる現像液には、現像主薬、例えば3−ピラゾリジノン類、ポリヒドロキシベンゼン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、アルカノールアミン、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、等の添加剤を含ませることができる。現像主薬は平版印刷版の構成層、例えば、ハロゲン化銀乳剤層、中間層等に含ませ、いわゆる主薬内蔵型の形態で用いることもできる。
【0047】
現像液のpHとして通常約10〜14、好ましくは約12〜14であるが、使用する平版印刷版のアルミニウム支持体の前処理(例えば陽極酸化)条件、写真要素、所望の像、現像液中の各種化合物の種類及び量、現像条件等によって異なる。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
実施例1
幅1030mm、厚み0.24mmの合金組成がA1050タイプのアルミニウム板を13m/minの処理速度で移動させ、60℃、4%−水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸漬した後、水洗し、30℃の1.5%−塩酸と2%−酢酸を満たした間接給電方式の電解槽に浸漬し、電源より40A/dm2、50Hzの単相交流電流を30秒間流して、交流電解粗面化し、水洗し、その後50℃、2%−水酸化ナトリウム水溶液に20秒間浸漬してデスマットし、水洗し、さらに25℃、25%−硫酸中に通して陽極酸化処理を施した後、水洗、乾燥し、表面処理を施したアルミニウム板を得た。このアルミニウム板は、中心線平均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。
【0049】
物理現像核と珪酸塩を含む溶液として、以下の調製方法に準じて作成した。この溶液に上記アルミニウム板を20秒間浸漬した。この時の溶液の温度は25℃であった。浸漬後、直ちに流水で10秒間水洗し、熱風乾燥し、アルミニウム板に物理現像核と珪酸塩を同時に施した支持体を得た。このアルミニウム板をリガク社製RIX1000(リガク社蛍光X線分析装置の商標)を用いて物理現像核(パラジウム)の付着量を定量したところ、1m2当たり、0.002mmolであった。
【0050】
<物理現像核と珪酸塩を含有する溶液>
(A液)
水 9g
1%−チオ硫酸ナトリウム 11g
(B液)
0.5%−塩化パラジウム溶液 14g
A液とB液を40℃で混合し、7分間40℃に保った後、水を加えて全量を900gにした。その後、珪酸ナトリウム溶液(SiO2 29.38%、Na2O 9.42%、SiO2/Na2Oモル比 3.22)を24g加え、全量を1200gにし、物理現像核量が1リットル当たり0.33mmolの溶液を得た。この溶液のpHは10.5であった。
【0051】
ハロゲン化銀乳剤を次のようにして調製した。保護コロイドとして不活性ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で、平均粒子サイズが0.3μmの、ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせた塩化銀99.6モル%、ヨウ化銀0.4モル%の塩ヨウ化銀乳剤を調製した。晶癖は立方体であり、全粒子の90重量%以上が平均粒子サイズの±30%以内に含まれていた。その後、この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。その後、この乳剤を再溶解し、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸を加え、化学増感した後、赤色波長に吸収を持つ増感色素を銀1g当たり3mg添加し、スペクトル増感した。
【0052】
このようにして作成したハロゲン化銀乳剤に界面活性剤を加え塗布液を作成した(pHは4.0)。このハロゲン化銀乳剤層を銀量が2g/m2(ゼラチン量は3g/m2)になるように上記物理現像核及び珪酸塩を同時に施したアルミニウム支持体に塗布し、本発明の平版印刷版Aを得た。
【0053】
また、前記物理現像核と珪酸塩を含有する溶液から、珪酸ナトリウムを除いた溶液(pH4.2)を用いる以外は同様にして、比較の平版印刷版Bを作製した。
【0054】
このようにして得られた平版印刷版A及びBに、赤色LDレーザーを搭載したSDP−α2400出力機(三菱製紙社レーザー出力機の総称)を用いて像露光後、以下の現像液で20℃で10秒間現像を行った後、直ちに流水で30秒間水洗してゼラチン層を洗い流し、連続して特開平5−265217号公報記載の版面保護液を塗布した。
【0055】
<現像液処方>
ハイドロキノン 20g
フェニドン 2g
亜硫酸カリウム 100g
水酸化カリウム 20g
N−メチルエタノールアミン 40g
水を加えて全量を1000ccにする。
pHは13.0に調製する。
【0056】
得られた印刷版を印刷機リョービ3200MCD(リョービ社製オフセット印刷機の商標)にかけ、インキとして、大日本インキ社Geos−G シアン H、湿し水として、三菱製紙社製SLM−OD50(水で50倍に希釈して使用)を用いて印刷した。以下の方法で、インキ乗り性、インキ脱離性、及び耐刷性を評価した。
【0057】
<インキ乗り性>
印刷を開始してから、画像にインキが充分に着肉し、適切な印刷物が得られるまでの印刷枚数で、以下の基準で評価した。
○;10枚未満
△;10枚以上、20枚未満
×;20枚以上
【0058】
<インキ脱離性>
一旦平版印刷版の版面に湿し水の供給を止め、インキのみを供給し、版面全体にインキを乗せて刷り始め、湿し水を供給し、湿し水を供給してから非画像部のインキが取り除けるまでの速度を黙視で判定した。
○;10枚未満
△;10枚以上、20枚未満
×;50枚以上
【0059】
<耐刷性>
10000枚の印刷で、印刷機において水を供給するモルトンローラーで版面が擦られ、画像が劣化してしまう状況を評価した。
○;画像が劣化していない
△;細線部、微小網点が劣化
×;画像全体が劣化
【0060】
【表1】
【0061】
表1より、本発明の平版印刷版Aはインキ脱離性が改良されていることが分かる。
【0062】
実施例2
実施例1の物理現像核と珪酸塩を含有する溶液を80℃でアルミニウム板に施した。以降実施例1の平版印刷版A同様にして、本発明の平版印刷版Cを作製し、実施例1と同様にして印刷性の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2より、本発明の平版印刷版Cは飛躍的にインキ脱離性が改良されていることが分かる。しかし、本実施例で用いた物理現像核と珪酸塩を含有する溶液を、室温で1昼夜経時したところ、物理現像核が沈降して沈殿物が発生した。
【0065】
実施例3
実施例1のアルミニウム板に物理現像核と珪酸塩を含有する溶液に、2.5%のアクリルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体(平均重合度 約1600、アクリルアミド 96mol%、ビニルイミダゾール 4mol%)を10g加え、実施例2と同じように、80℃で物理現像核と珪酸塩を同時にアルミニウム板に施した。以降実施例1の平版印刷版A同様にして、本発明の平版印刷版Dを作製し、実施例1と同様にして印刷性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】
表3より、本発明の平版印刷版Dは、優れたインキ脱離性を示した。
また、理現像核と珪酸塩を含有する溶液にアクリルアミドとビニルイミダゾールとの共重合体を含有させることにより、室温で1昼夜経時しても物理現像核が沈降せず、長時間の溶液経時においても安定に処理することが可能であることを確認した。
【0068】
実施例4
実施例1の平版印刷版Bで用いた物理現像核を含有する溶液(但し、珪酸塩を含有しない)で実施例1の平版印刷版と同様にして物理現像核を施し、水洗した後、以下の珪酸塩溶液でアルミニウム板を80℃で20秒間処理した後、流水で10秒間水洗した。以降実施例1の平版印刷版A同様にして、本発明の平版印刷版Eを作製し、実施例1と同様にして印刷性の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0069】
<珪酸塩溶液>
珪酸カリウム溶液 25g
(SiO2 20.7%、K2O 9.3%、SiO2/Na2Oモル比 3.49)
2.5%-アクリルアミト゛とヒ゛ニルイミタ゛ソ゛ールとの共重合体 10g
(平均重合度 約1600、アクリルアミト゛ 96mol%、ヒ゛ニルイミタ゛ソ゛ール 4mol%)
水で全量を1リットルにする。
【0070】
【表4】
【0071】
表4より本発明の平版印刷版Eは、インキ乗り性、インキ脱離性、耐刷性において、優れた結果が得られた。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板を陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施すことによって、インキ乗り、インキ脱離性、耐刷性の優れた平版印刷版を提供することができる。
Claims (4)
- 陽極酸化されたアルミニウム板に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版において、前記アルミニウム板が陽極酸化処理後、物理現像核及び珪酸塩を同時に、または物理現像核を珪酸塩より先に施されたアルミニウム板であることを特徴とする平版印刷版。
- 前記アルミニウム板が陽極酸化処理後、物理現像核、珪酸塩、及びアクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体を含有する溶液で、該溶液の温度が60〜95℃で処理されたアルミニウム板である請求項1に記載の平版印刷版。
- 前記アルミニウム板が陽極酸化処理後、物理現像核を施した後、珪酸塩を含有する溶液で処理されたアルミニウム板である請求項1に記載の平版印刷版。
- 前記珪酸塩を含有する溶液の温度が60〜95℃である請求項3に記載の平版印刷版。
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