JP2004233487A - 平版印刷版およびその製版方法 - Google Patents

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靖雄 椿井
Hiroshi Nishinoiri
洋 西野入
Hiroyuki Ishikura
弘之 石倉
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Abstract

【課題】インキ受理性、インキ脱離性、耐刷力、地汚れ、ブランパイル、現像寛容性等の総合的な印刷特性が満足できるアクチベータ型アルミニウム印刷版を提供する。
【解決手段】アルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する平版印刷版において、ハロゲン化銀感光層を有する側の少なくとも1層の構成層にアルカリ活性化に必要な量の現像主薬を含有し、且つ該アルミニウム支持体がアルカリ金属珪酸塩で処理されたものであることを特徴とする平版印刷版。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版とその製版方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版については、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」、第101頁〜第130頁に幾つかの例が記載されている。
【0003】
銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の中でも現在実用化されているものは、大きく2つのタイプに分けるられる。その1つのタイプは、ポリエチレン樹脂被覆紙やプラスチック樹脂フィルムのような支持体上に下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層を順次積層した平版印刷版(以降、フレキシブル印刷版と称す)である。この平版印刷版は、硬化されたゼラチン層(下塗り層及びハロゲン化銀乳剤層)の表面に存在する物理現像核にDTR現像処理によって析出した金属銀をインキ受容性の画像部として利用するものである。硬化されたゼラチン層は親水性であり、そのまま非画像部となる。このタイプの平版印刷版は、例えば、特開平5−100430号、同平8−262724号、同平9−171256号、同平11−84671号、同2000−241981号、同2000−275847号、同2001−281865号等公報に記載されている。
【0004】
もう1つのタイプは、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を有し、その上にハロゲン化銀乳剤層を有する平版印刷版(以降、アルミニウム印刷版と称す)である。この平版印刷版は、アルミニウム支持体に担持された物理現像核にDTR現像処理によって析出した金属銀を画像部として利用するもので、銀画像部を露出させるために、ハロゲン化銀乳剤層などのゼラチン層が水洗処理によって除去される。水洗処理によって銀画像部が露出するのと同時に、親水性のアルミニウム表面(陽極酸化層)が露出して非画像部を形成する。
【0005】
アルミニウム印刷版は、例えば特開昭57−118244号、特開平3−116151号、同4−282295号、同平5−216236号、同平7−199471号、同平10−69086号、同平10−186668号、同平11−133614号、同2001−281870号、同2001−281868号、米国特許第4,567,131号、同第5,427,889号等の公報に詳しく記載されている。
【0006】
前記アルミニウム印刷版の一般的な製版方法は、露光後、現像処理、水洗処理(ハロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程から成っている。
【0007】
詳細には、現像処理によって物理現像核上に金属銀画像部が形成され、次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されてアルミニウム支持体上に金属銀画像部(以降、銀画像部と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウム表面自身が非画像部として露出する。
【0008】
上記水洗処理は、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付けて乳剤層を剥離除去する方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで乳剤層を剥離する方法が一般的に採用されている。
【0009】
露出した銀画像部及び非画像部には、その保護のためにアラビアゴム、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸等の保護コロイドを含有する仕上げ液が塗布される。所謂、ガム引きと云われる処理が施される。この仕上げ液は、定着液やフィニッシング液とも称され、銀画像部を親油性にする化合物(以降、親油化剤と称す)を含有することも一般的である。
【0010】
前記アルミニウム印刷版の製版における課題の1つとして、ハロゲン化銀乳剤層と陽極酸化されたアルミニウム板が直接接触することにより、アルミニウム板の腐食が起こり、いわゆるエッチピットと称される斑点状の欠陥を生じることが知られている。この欠陥を解決するため、特開平3−116151号、同平5−313373号、同平8−234437号等には、物理現像核とハロゲン化銀乳剤層の間に中間層を設けることが知られている。
【0011】
また画質を良くする等のために、特開平5−265216号、同平5−313373号、同平8−314145号、同平9−185171号等には、ハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けることが知られている。
【0012】
しかしながら、中間層や保護層を設けることはそれぞれの利点を有している反面、保護層は現像液(現像主薬)の浸透が遅くなる結果、また中間層はハロゲン化銀乳剤層からの銀錯塩の拡散を遅らせる結果、いずれもDTR現像を遅らせることになり、印刷特性等を悪化するという問題がある。
【0013】
アルミニウム印刷版を、チオ硫酸塩を減量もしくは使用しないことによりインキ受理性や耐刷力を改良することが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0014】
【特許文献1】
特開平4−306660号公報
【特許文献2】
特開2000−162763号公報
【0015】
ところで、平版印刷版の構成層中に現像に必要な量の現像主薬を含有させ、現像液には実質的に現像主薬を含有させない、いわゆるアルカリ活性化液で処理する方法(アクチベータ型)が知られている。前者のフレキシブル印刷版では、このアクチベータ型が主流であり、前述の公開公報に記載の態様はいずれもアクチベータ型である。アクチベータ型は、経時で酸化されて失活する現像主薬を含まないため現像液の保存安定性に優れている等の利点があり、アルミニウム印刷版において実現できれば有効な方法である。
【0016】
しかしながら、アクチベータ型アルミニウム印刷版といえども、現像主薬を含有する現像液で製版処理する従来のアルミニウム印刷版に比べて格別有利な印刷特性を示すものではなく、むしろアクチベータ型にすることによって劣った印刷特性、すなわちインキ受理性、耐刷力、地汚れ、インキ脱離性、ブランパイル(印刷機ブランケットのインキ汚れ)、現像寛容性(現像条件の変化に対する安定性)等の総合的な印刷特性において満足できないこともあった。上述したアクチベータ型の利点を生かしながら、また中間層や保護層を設けたアルミニウム印刷版の利点を生かしながらその欠点を解決し、従来のアルミニウム印刷版を凌駕する印刷特性のアクチベータ型アルミニウム印刷版を開発することが本発明の課題である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題を解決し、インキ受理性、インキ脱離性、耐刷力、地汚れ、ブランパイル、現像寛容性等の総合的な印刷特性が満足できるアクチベータ型アルミニウム印刷版とその製版方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、アルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する平版印刷版において、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の構成層にアルカリ活性化に必要な量の現像主薬を含有し、且つ該アルミニウム支持体がアルカリ金属珪酸塩で処理されたものであることを特徴とする平版印刷版により達成された。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像核を有する。アルミニウム支持体は、粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、前記したような先行文献や米国特許第5,427,889号明細書、米国特許第5,405,730号明細書等に記載のアルミニウム板が使用できる。陽極酸化皮膜は、1平方メートル当り0.5g以上、好ましくは1.0g〜5g程度有するものが好ましい。
【0020】
本発明に用いられるアルミニウム支持体は陽極酸化後、さらにアルカリ金属珪酸塩(珪酸のアルカリ金属塩)を含有する水溶液で処理される。該処理はシリケート処理と呼ばれ、米国特許第2,714,066号明細書、第3,181,461号明細書、特開平2−107490等に開示されている方法により処理できる。
シリケート処理は、ハロゲン化銀乳剤層を塗布するまでであれば、物理現像核を付与した後あるいは物理現像核の付与時に処理してもよい。
【0021】
アルカリ金属珪酸塩としては、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等が使用できる。珪酸ナトリウムにはオルト珪酸ナトリウム(SiO/2NaO)、メタ珪酸ナトリウム(SiO/NaO) 、二珪酸ナトリウム(2SiO/2NaO)、三珪酸ナトリウム(3SiO/2NaO)、四珪酸ナトリウム(4SiO/2NaO)等があり、珪酸カリウムには、メタ珪酸カリウム、二珪酸水素カリウムまたは四珪酸カリウムなどがある。アルカリ金属珪酸塩はその中に含まれる二酸化珪素SiOと金属酸化物MO(Mはアルカリ金属)との比率によりアルミニウム板の腐食抑制能力、親水化能力が異なり、上記比率以外の中間的な比率のものも製造されている。その比率としては珪酸アルカリ塩SiO/MOの重量比で0.5〜4である。pHは7以上のアルカリ側で処理可能であるが、迅速かつ、均一にムラなく処理するには、pH11〜13の範囲が好ましい。
アルカリ珪酸塩のpHは前記比率により異なるので、適宜この範囲に調整するため水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物を添加する。pH11より低いと非画像部の親水性が悪くなり、pH13より高いと処理条件によりアルミニウムの溶解が始まり、地汚れが発生する。
【0022】
アルカリ金属珪酸塩の濃度は1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%、温度は15〜90℃、処理時間は0.5〜120秒の間で処理される。陽極酸化後に施されるアルカリ珪酸塩処理は多孔質な酸化膜の表面や細孔内で酸化アルミニウムと化学反応しアルミノシリケート層を形成し、実質的に多孔質な親水性層を形成していると考えられる。
【0023】
本発明において好ましく用いられる物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いられるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物などが使用できる。物理現像核を支持体上に設けるに際し、物理現像核と一緒に有機バインダーを用いることができる。この有機バインダーとしては、物理現像核層のバインダーとして従来から公知の親水性コロイドやポリマーラテックスを用いることができる。これらの詳細及び製法については、例えば、特公昭48−30562号、特開昭48−55402号、同53−21602号、フォーカル・プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アンドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロセシズ」を参照し得る。アルミニウム支持体への物理現像核の担持方法としては上述の文献に記載されているような支持体製造後塗布する方法もあるが、支持体製造時に後処理として担持させる方法もある。
【0024】
本発明のアルミニウム印刷版は、上記物理現像核を担持するアルミニウム支持体上に、ハロゲン化銀乳剤層と好ましくは中間層及び/又は保護層を有し、かつ構成層に現像主薬、好ましくはポリヒドロキシベンゼン系現像主薬を含有する。
ポリヒドロキベンゼン系現像主薬の量は、まったく現像主薬を含有しないアルカリ活性化液で現像したときにDTR現像を十分に生起するに必要な量(すなわちアルカリ活性化に必要な量)であり、塗布銀量等にもよるが、一般的には硝酸銀に換算したハロゲン化銀1モル当たり0.2〜2モル、好ましくは0.3〜1モルである。
【0025】
本発明に用いられるポリヒドロキシベンゼン系現像主薬としては、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、クロルハイドロキノン、ブロモハイドロキノン、メチルハイドロキノン等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を併用してもよい。好ましくは、ハイドロキノンである。また、本発明のアルミニウム印刷版には、上記したポリヒドロキシベンゼン系現像主薬の他に、メトールや1−フェニル−3−ピラゾリジノン類のような補助現像主薬を含有させるのが特に好ましい。特に3−ピラゾリジノン類が好ましく、ハイドロキノン1モルに対し0.03〜0.24モル、好ましくは0.06〜0.15モルである。
【0026】
ハロゲン化銀乳剤層に含有する銀量は、硝酸銀換算で、2.0g/m以下が好ましく、1.8g/m以下がより好ましく、下限は、1g/m程度である。ハロゲン化銀乳剤層のバインダー(主としてゼラチン)の塗布量は好ましくは0.5〜2.0g/m、特に好ましくは0.6〜1.8g/mである。ハロゲン化銀乳剤層のバインダー(一般的には主としてゼラチン)の量は、硝酸銀に換算したハロゲン化銀に対して好ましくは40質量%以上140質量%以下、特に好ましくは50質量%以上130質量%以下である。ハロゲン化銀乳剤層は、2層以上に分けられていてもよい。
【0027】
本発明のハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤は、これまで知られている種々の方法を用いることができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物を反応させる形式としてはシングルジェット法、ダブルジェット法、それらの組合せなどのいずれを用いてもよい。ダブルジェット法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。また、英国特許第1,535,016号、特公昭48−36890号、同52−16364号等に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子形成速度に応じて変化させる方法や、米国特許第4,242,445号、特開昭55−158124号等に記載されているように水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において早く成長させる方法を用いることも出来る。また、粒子の内部(コア部)と外側(シェル部)からなる、コアシェル粒子等、多層構造粒子が用いることもできる。
【0028】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等から選択されるが、塩化銀70モル%以上、特に好ましくは塩化銀90モル%以上のハロゲン化銀が好ましい。沃化銀の含有量は0〜2モル%が好ましい。ハロゲン化銀結晶の形成時にロジウム塩やイリジウム塩のような金属塩を使用することもできる。
【0029】
本発明に用いられるハロゲン化銀粒子の形状は、特に好ましくは立方体のような規則的な結晶体を有するものであるが、その他の八面体、不定形、板状のようなものであってもよい。ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、0.6μm以下の粒子が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmであって、粒子サイズ分布が95%の粒子が数平均粒子サイズの±30%以内、好ましくは±20%以内のサイズに入る単分散ハロゲン化銀粒子がよい。
【0030】
ハロゲン化銀乳剤層のバインダーとしては主としてゼラチンが用いられる。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。また更にポリビニルピロリドン、でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、各種ラテックス類等のバインダーを含有させることができる。
【0031】
ハロゲン化銀乳剤は、一般的には脱塩処理した後、種々の化学増感剤によって増感することが好ましく、硫黄増感、還元増感、金増感、セレン増感、テルル増感などの方法を用いることができるが、塩化金酸、三塩化金酸、チオシアネート金酸などを増感剤として用いる金増感が好ましい。さらに好ましくは、硫黄プラス金増感による化学増感が最も好ましい。硫黄増感剤としては、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物の他、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。
【0032】
ハロゲン化銀乳剤は、増感色素によって、紫外、可視光、近赤外の波長領域に分光増感することが好ましく、各種波長のレーザー光に対応した感光域を付与することによって、印刷版としての用途を一段と広げることができる。
【0033】
本発明に用いられるアルミニウム印刷版は、ハロゲン化銀乳剤層と物理現像核の間に中間層を設けるか、ハロゲン化銀乳剤層の上に保護層を設けるか、あるいは中間層と保護層の両方を設けることが好ましい。
【0034】
中間層及び保護層のバインダーとしては、ハロゲン化銀乳剤で述べたような、各種のゼラチン、ポリビニルピロリドン、でんぷん、アルブミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、各種ラテックス類等が使用できる。中間層のバインダー塗布量は、0.05〜0.5g/m、好ましくは0.1〜0.4g/mある。保護層のバインダー塗布量は、0.2〜1.5g/m、好ましくは0.3〜1.0g/mある。中間層および保護層はそれぞれ2層以上に分かれていても良い。ハロゲン化銀乳剤層と中間層又は/及び保護層を合わせた構成層の全バインダー量は、好ましくは3.3g/m以下、特に好ましくは1.3〜3.0g/mである。後述の説明から自ずと理解されるが、全バインダー量が多すぎると、DTR現像速度が遅くなり、本発明の目的達成に不都合となる。また全バインダー量が少なすぎると、現像主薬の含有量が十分でなく、やはり本発明の目的達成に不都合となる。
【0035】
本発明に用いられる典型的な現像液は、現像主薬を含有しないアルカリ活性化液(アクチベータ)であり、現像主薬を全く含有しないのが好ましいことは言うまでもないが、その含有量だけでは実用的なDTR現像銀を形成出来ない程度の少量(例えば特開平5−107766号に記載のような、処理液1リットル当たり5×10−2モル以下の量)は勿論含有しても良い。さらに現像するのに十分量の現像主薬がアルミニウム印刷版に含有されている限り、通常の現像主薬の量を含有した現像液でも本発明の効果は失われないであろうと考えられる。
【0036】
本発明に用いられる現像液には、珪酸アルカリ塩と併用できる他の公知のアルカリ剤として、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等、保恒剤として、例えば亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、異性重亜硫酸カリウム等、ハロゲン化銀溶剤として、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、ウラシルのような環状イミド、チオサリチル酸誘導体、特開平6−83060号等に記載のメソイオン性化合物、特開平5−289348号等に記載のチオエーテル化合物、アルカノールアミン化合物等、増粘剤として、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等、カブリ防止剤として、例えば臭化カリウム等、親油化剤として、例えば1−フェニル−5− メルカプトテトラゾール等、現像変成剤として、例えばポリオキシアルキレン化合物等の添加剤を含ませることができる。現像液のpHは11以上、好ましくは12〜14である。
【0037】
本発明においては、出来る限り速くDTR現像を起こすことが必要であるが、そのためにはチオ硫酸塩を実質的に含有しないことが特に好ましい。チオ硫酸塩実質的に含有しないとは、全く含有しないことは勿論、現像液1リットル当たり0.02モル以下、望ましくは0.01モル以下の量を必要に応じて含有していてもよい。チオ硫酸塩以外のハロゲン化銀溶剤、例えばチオシアン酸塩、ウラシルのような環状イミド、チオサリチル酸誘導体、特開平6−83060号等に記載のメソイオン性化合物、特開平5−289348号等に記載のチオエーテル化合物、アルカノールアミン化合物等を含有させることが好ましい。特にアルカノールアミン化合物が好ましいが、前記したような他のハロゲン化銀溶剤でも可能である。
【0038】
アルカノールアミン化合物としては、例えば2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、N,N−エチル−2、2’−イミノジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。添加量は現像液1リットル当り0.05モル〜2モル、好ましくは0.1モル〜2モル、特に好ましくは0.3モル〜1.5モルである。
【0039】
本発明の製版方法は、一般的には現像処理後に水洗処理が施され、ハロゲン化銀乳剤層等が水洗除去される。水洗処理方法としては、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付けてハロゲン化銀乳剤層剥離除去する方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラで剥離する方法が一般的に採用されている。水洗処理に用いられる水洗液としては、水道水でもよいが、各種添加剤、例えば、pH4〜9のpH緩衝剤、防腐剤、タンパク質分解酵素、親油化剤等を含有してもよい。
【0040】
水洗処理でハロゲン化銀乳剤層等が剥離除去されることによって露出した銀画像部及び非画像部は、各々の親油性及び親水性を高めるため、及び版面の保護のために、仕上げ液による処理が施される。仕上げ液には前記親油化剤、及び非画像部の陽極酸化層の保護及び親水性向上のために、アラビヤゴム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール等の保護コロイドを含有することが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明する。
実施例1
幅1030mm、厚み0.24mmのA1050タイプアルミニウム板帯を25m/minの処理速度で移動させ、60℃、4%水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸漬した後、水洗し、30℃の1.5%の塩酸と2%の酢酸を満たした電解槽に浸漬し、電源より40A/dm 、50Hzの単相交流電流を30秒間流して、交流電解粗面化し、水洗し、その後70℃、10%硝酸水溶液に10秒間浸漬してデスマットし、水洗し、さらに25℃、20%硫酸中に通し、電流密度を調整して2.0g/mの陽極酸化皮膜を形成し、水洗し、乾燥して比較のアルミニウム支持体Aを作製した。次に陽極酸化後水洗し、以下に示す条件で後処理し、水洗し、乾燥して、珪酸ナトリウムの後処理を施したアルミニウム支持体B〜Dを作製した。
【0042】
Figure 2004233487
【0043】
<アルミニウム印刷版の作製>
次に上記アルミニウム支持体A〜Dに物理現像核として硫化パラジウム核を塗布量が0.5mg/mとなるように塗布し、その後乾燥した。次に、以下に示すハロゲン化銀乳剤Aをアルミニウム支持体Aに塗布乾燥してアルミニウム印刷版Aを作成した。ハロゲン化銀乳剤Aのゼラチン塗布量は1.8g/m、銀塗布量は1.8g/m(硝酸銀換算)とした。
【0044】
<ハロゲン化銀乳剤A>
保護コロイドとしてアルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブルジェット法で平均粒径0.3μmの、ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウムを銀1モル当たり0.006ミリモルドープさせた塩ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀を0.5モル%含む)を調製した。その後、この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。さらにこの乳剤に硫黄金増感を施した後、安定剤を添加し、赤色領域に吸収極大を有する増感色素を用いて分光増感してハロゲン化銀乳剤Aとした。
【0045】
次にハロゲン化銀乳剤Aにおいて、硝酸銀に換算したハロゲン化銀1モル当たり0.35モルのハイドロキノンを、またハイドロキノン100質量部当たり15質量部の1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリゾン(ジメチルフェニドン)を添加してハロゲン化銀乳剤Bとした。物理現像核を塗布した前記アルミニウム支持体A〜D上に、アルミニウム印刷版Aと同様に、ハロゲン化銀乳剤Bを塗布してアルミニウム印刷版A−1〜D−1を作成した。
【0046】
上記のようにして作成した平版印刷版を633nmの赤色LDレーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用プロセッサー(三菱製紙(株)社製のP−α880)で処理してアルミニウム印刷版を作製した。製版用プロセッサーは、現像処理工程(25℃、15秒)、水洗処理工程(35℃の水洗液をシャワー噴射しながらスクラブローラで乳剤層をウオッシュオフする)、仕上げ処理工程(22℃、15秒)及び乾燥工程から構成されている。現像液としては、下記に示す現像主薬を含有する現像液及びアルカリ活性化液を用いた。また、本実施例に用いた水洗液と仕上げ液も以下に示す。
【0047】
<現像液A>
ハイドロキノン 20g
ジメチルフェニドン 2g
水酸化ナトリウム 20g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 1g
無水亜硫酸ナトリウム 60g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
チオ硫酸ナトリウム(5水塩) 8g
脱イオン水で1000mlとする。
pH(25℃)=13.2に調整
【0048】
<アルカリ活性化現像液B>
水酸化ナトリウム 17g
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 1g
無水亜硫酸ナトリウム 60g
モノメチルエタノールアミン 70g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
脱イオン水で1000mlとする。
pH(25℃)=13.2に調整
【0049】
<水洗液>
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
モノエタノールアミン 13g
重亜硫酸ナトリウム 10g
第1燐酸カリウム 40g
タンパク質分解酵素 1g
水を加えて全量を1000mlに調整する。pHは6.0に調整した。
タンパク質分解酵素として、ビオプラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
【0050】
<仕上げ液>
燐酸 0.5g
モノエタノールアミン 5.0g
2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g
ポリグリセロール(6量体) 50g
脱イオン水で1000mlとする。
pHは7.2に調整した。
【0051】
このようにして得られたアルミニウム印刷版を印刷機ハイデルベルグTOK(Heidelberg社製オフセット印刷機の商標)に掛けて、インキ(大日本インキ(株)社製のニューチャンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷し、以下のようにしてインキ受理性、インキ脱離性、耐刷力、ブランパイル性を評価した。その結果を表1に示す。
【0052】
<インキ受理性>
インキ受理性は、印刷開始時に印刷物の画像濃度の変化が起きなくなる迄の印刷枚数で、下記の基準で評価した。
◎;10枚未満
○;10枚〜20枚未満
△;20枚〜30枚未満
×;30枚以上
【0053】
<インキ脱離性>
インキ脱離性は、オフセット輪転印刷機に印刷版を装着し、版面にインキを乗せた後、給湿液を送り非画像部のインキが取れるまでの印刷枚数で、下記の基準で評価した。
◎;20枚未満
○;20枚〜40枚未満
△;40枚〜60枚未満
×;60枚以上
【0054】
<耐刷力>
耐刷力は、銀画像部が欠落して印刷に供せなくなったときの印刷枚数(万枚)として表1に示した。
【0055】
<ブランパイル性>
ブランパイル性は、5万枚の印刷時点で、ブランケットのインキ汚れを下記の4段階の基準で評価した。
◎;全くインキ汚れが認められない。
○;僅かにインキ汚れが認められるが実用的に許容できる範囲。
△;かなりのインキ汚れが認められる。
×;著しいインキ汚れが認められる。
【0056】
【表1】
Figure 2004233487
【0057】
テスト番号1は現在実用化されている標準的な態様である。現像主薬を含有するアクチベータ型印刷版A−1〜D−1においては、アルミニウム板を珪酸ナトリウムで処理しないアルミニウム支持体のテスト番号2では印刷特性がむしろ悪化するが、アルミニウム板を珪酸ナトリウムで処理したアルミニウム支持体のテスト番号3〜5では、いずれも印刷特性が向上することが判る。
【0058】
実施例2
実施例1において、現像条件を現像時間7秒に変化させて現像条件寛容性を調べた。結果を表2に示している。
【0059】
【表2】
Figure 2004233487
【0060】
表1〜表2の結果から、本発明の平版印刷版は、現像時間が変化しても安定した印刷特性を得ることが出来ることが分かる。このことは、製版条件の変動(季節による環境温度の変化、現像時間等)によっても常に安定した印刷特性が得られることを示している。
【0061】
実施例3
<アルミニウム印刷版E−1の作製>
上記アルミニウム支持体Bに物理現像核として硫化パラジウム核を塗布量が0.5mg/mとなるように塗布し、その後乾燥した。次に、中間層形成用ポリビニルアルコール(PVA)水溶液と、実施例1に示すハロゲン化銀乳剤Bとはゼラチン対銀の比率が異なる以外は同様にしてハロゲン化銀乳剤Cを調製し、保護層形成用ゼラチン水溶液を3重層同時塗布し、乾燥してアルミニウム印刷版E−1を作製した。ハロゲン化銀乳剤Cのゼラチン塗布量は0.9g/m、銀塗布量は1.5g/m(硝酸銀換算)、中間層PVA塗布量は0.3g/m、保護層ゼラチン塗布量は0.6g/mとした。
【0062】
<アルミニウム印刷版F−1の作製>
アルミニウム印刷版E−1において、中間層を設けなかった以外はアルミニウム印刷版E−1と同様にして、アルミニウム印刷版F−1を作成した。
【0063】
<アルミニウム印刷版G−1の作製>
アルミニウム印刷版E−1において、中間層及び保護層を設けなかった以外はアルミニウム印刷版E−1と同様にして、アルミニウム印刷版G−1を作成した。
【0064】
上記のようにして作製した平版印刷版を実施例1のアルカリ活性化現像液B、及び実施例1と同様の仕上げ液と水洗液を使用して処理してアルミニウム印刷版を作成した。
【0065】
このようにして得られたアルミニウム印刷版を実施例1と同様にして印刷し、以下のようにしてインキ受理性、インキ脱離性、耐刷力、ブランパイル性を評価した。その結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 2004233487
【0067】
【発明の効果】
本発明により、インキ受理性、インキ脱離性、耐刷力、地汚れ、ブランパイル、現像寛容性等の総合的な印刷特性が満足できるアクチベータ型アルミニウム印刷版が得られる。

Claims (3)

  1. アルミニウム支持体とハロゲン化銀乳剤層の間に物理現像核を有する平版印刷版において、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の構成層にアルカリ活性化に必要な量の現像主薬を含有し、且つ該アルミニウム支持体がアルカリ金属珪酸塩で処理されたものであることを特徴とする平版印刷版。
  2. 前記ハロゲン化銀乳剤層の下側に中間層及び/又は該ハロゲン化銀乳剤層の上側に保護層を有することを特徴とする請求項1記載の平版印刷版。
  3. 請求項1または2記載に平版印刷版を、チオ硫酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像処理することを特徴とする製版方法。
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