JPH10246866A - 映像表示装置 - Google Patents

映像表示装置

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JPH10246866A
JPH10246866A JP9308646A JP30864697A JPH10246866A JP H10246866 A JPH10246866 A JP H10246866A JP 9308646 A JP9308646 A JP 9308646A JP 30864697 A JP30864697 A JP 30864697A JP H10246866 A JPH10246866 A JP H10246866A
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image
optical system
light
angle
image display
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JP9308646A
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Kazunari Hanano
花野和成
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Olympus Optical Co Ltd
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    • G02B27/017Head mounted
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  • General Physics & Mathematics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 観察画角が広くなくても臨場感のある、また
眼が疲れ難く見やすい頭部装着型映像表示装置。 【解決手段】 投影レンズ5’の略焦点位置に映像表示
素子1を配置し、その反対側のやはり略焦点位置に絞り
8を配することにより、映像表示素子1の映像が投影さ
れる。このとき、投影レンズ5’の周辺部の屈折力が主
領域(中心領域)に比べて大きくなっていれば
((b))、周辺においてその結像性が劣化する。これ
により、周辺がぼけた投影映像となり、臨場感の向上を
阻害する映像エッジがはっきり示されない映像が投影さ
れることになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、映像表示装置に関
し、特に、画面が視野より狭くても人間の視界に近い状
況の映像を表示することによって、臨場感を損なわず見
やすい頭部装着型映像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、ヴァーチャルリアリティという分
野において、観察者の眼前部に配された光学系によっ
て、同じく観察者の眼前部に配置した小型のディスプレ
イの虚像を眼球の網膜上に投影することにより映像を知
覚させる頭部装着型ディスプレイ装置(HMD:Hea
d Mounted Disply)が提案されてい
る。この種の装置は、使用者、利用者がかかるディスプ
レイ装置を頭部に装着し、例えばVTR等の大画面映像
や画像、音声を一人で楽しむことができる等、種々の用
途への利用が期待されている。
【0003】この頭部装着型映像表示装置中の接眼光学
系によって、映像表示素子の像を眼へ導く際、映像画面
の周辺が鮮明に表示されると、映像表示領域と非映像表
示領域との境界、すなわち画面の枠が認識される。した
がって、暗背景の中に映像表示画面がくっきり浮かび上
がる。この枠は表示されている映像の世界と観察してい
る側の現実の世界とをはっきり隔ててしまい、臨場感が
大きく損なわれてしまう。また、境界の画面枠が鮮明に
強いコントラストで表示されると、どうしても観察者の
心理として視線が画面の外周部近くに行きやすく、枠が
気になって臨場感が得られ難い。
【0004】さらに、暗い背景に明るい画面が浮かび上
がる状態は、観察者の眼の疲労といった観点からは好ま
しいといえない。この臨場感の低下と疲労の助長をもた
らしている画面の枠は、主に映像表示素子のエッジや視
野絞りの像等といったものである。
【0005】これを改善するため、画面を十分大きくし
て枠が視野に入らないように、あるいは視野に入っても
気にならないようにするためには、120°から160
°以上もの観察画角が必要である。これ程の広画角に対
応するには、収差補正のため光学系が複雑かつ大型化
し、さらに、2次元映像表示素子もそれに対応するもの
が要求されるが、頭部に装着するタイプの映像表示装置
においてはサイズの制約があり、実現性に乏しい。
【0006】従来、これらの問題点を解決すべく特開平
8−146339号では、映像表示部の照明とは別に周
囲を独立して照明できる周囲光源を設け、さらにその周
囲光源の調整機構も設けることにより、表示映像周辺に
輝度を持たせる技術を開示している。また、特開平5−
328258号では、光学系中に乳白色の拡散透過曲板
等を設けて周辺を不鮮明にする技術を開示している。さ
らに、特開平7−325266号では、光学系中の映像
周辺に相当する部位に遮光体等を設け、映像周辺が徐々
に暗く不鮮明になるようにする技術を開示している。
【0007】これらの技術は何れも、元々ある映像表示
素子からの光を周辺に導くのではなく、新たな光源の光
を周辺に導光したり、また、周辺光を故意にケルことに
よって映像周辺を不鮮明にする技術であるので、映像表
示領域より外側の不鮮明な所には映像の情報を持つ光は
導かれていない。そのため、映像自体が明るいシーンに
変化しても同じように周辺が暗かったり、逆に暗いシー
ンでも周辺が明るいといった映像に連動しない周辺部で
あることの不自然さも伴う。また、実効的に画角を広げ
る方向の技術ではない。
【0008】一方、頭部装着型映像表示装置における光
学系でハーフミラーと凹面鏡を用いたものやプリズムタ
イプの光学系(特開平6−268944号)が提案され
ている。これらの光学系は、頭部装着型の映像表示装置
の要求仕様である小型化を満足しながら、光学系サイズ
の割りに広画角が得られる構成である。
【0009】これらの光学系の上下方向について言及す
ると、図64に示すように、光学系は、映像表示素子1
からの光がハーフミラー3を通過して凹面鏡2に当た
り、反射光は今度はハーフミラー3で反射して観察者の
眼球Eに投影される構成であり、凹面鏡2とハーフミラ
ー3はそれらの中心軸が相互に略45°をなすように配
置されているため、凹面鏡2の有効径aと観察者の眼球
E側に一番近い面である射出面4の面の長さbとが略一
致する略キューブ形状である。今、射出面4と称したの
は、凹面鏡2とハーフミラー3だけなら、このような面
は存在しないが、物理的に図64のSに示すスペースを
眼球E側に要するということであり、実際には、製品と
して用いるとき、カバーガラスであったり、プリズム光
学系ならばプリズムの射出側の面ということになる。上
記の構成をハーフミラー3を用いない等価な光学系とし
て表すと、図65のような構成になる。図65における
屈折レンズ5は凹面鏡2のパワーと等価な正の屈折力を
持っており、凹面鏡2に相当する。このとき、光線を観
察者の眼球Eに導くために光束を屈曲させる作用を持つ
主たる屈折面は凹面鏡2であり、等価な光学系ではまぎ
れもなくレンズ5である。図64、図65から分かるよ
うに、屈折面と射出面4とに距離の隔たりがあるため、
開口数を制限する凹面鏡2すなわちレンズ5においてそ
れらの端部を通過する光束は、その構成上屈折面と略同
じ大きさである射出面4の端部は通過せず、端部より光
軸に近い部位を通過する。これは左右方向(図面に垂直
な方向)についても同じことがいえる。すなわち、射出
面4において、上記の光束が通過する部位から射出面端
部までのスペースSは使用されないデッドスペースで
る。
【0010】したがって、これらのハーフミラー3と凹
面鏡2を組み合わせた光学系は、コンパクトながら広い
観察画角を実現するという長所を持つ反面、射出面4に
おいてデッドスペースSを有するという側面を合わせ持
った光学系であるということがいえる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の従来技
術が有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目
的は、観察画角が広くなくても臨場感のある、また眼が
疲れ難く見やすい頭部装着型映像表示装置を提供するこ
とにある。なお、本発明における映像表示素子は特に限
定はなく、公知の適用可能な全てのデバイスを意味する
ものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の映像表示装置は、映像を表示する映像表示手段と、
前記映像を投影する投影光学系とを有する映像表示装置
において、前記投影光学系は、前記映像表示手段周辺か
らの光束の一部を映像画面の映像表示領域内側及び外側
に分配する周辺屈曲光学手段を備えていることを特徴と
するものである。
【0013】この場合、周辺屈曲光学手段によるその光
束の一部の分配が連続的な分布を有することが望まし
い。
【0014】また、周辺屈曲光学手段による前記光束の
一部の分配が、映像画面の映像表示領域の最大画角を越
えた角度での分配を含むことが望ましい。
【0015】上記目的を達成する本発明のもう1つの映
像表示装置は、映像を表示する映像表示手段と、前記映
像を投影する投影光学系とを有する映像表示装置におい
て、前記投影光学系は、映像表示領域の周辺における屈
折力が主表示領域の屈折力よりも正の方向に大きい屈折
又は反射作用を持つ端部を有することを特徴とするもの
である。
【0016】これらの場合、投影光学系は、映像を観察
者の眼球内の網膜上に投影する接眼光学系であることが
望ましい。また、その接眼光学系は、映像表示手段に表
示される映像を拡大投影するように、映像表示手段と視
軸に対して斜めに配された透過及び反射作用を有する面
を含む光学系であることが望ましい。
【0017】以下に、本発明において上記構成をとる理
由と作用、さらには、その変形について説明する。スク
リーン等に投影して映像を観察する投影光学系におい
て、臨場感を高めるため大画面にして観察画角を広げる
工夫があるが、更に臨場感を増すために、投影光学系
が、映像表示手段周辺からの光束の一部を映像画面の映
像表示領域内側及び外側に分配する周辺屈曲光学手段を
備えており、この周辺屈曲光学手段により周辺映像を徐
々にぼかす。
【0018】また、スクリーン等に投影して映像を観察
する投影光学系において、臨場感を高めるため大画面に
して観察画角を広げる工夫があるが、更に臨場感を増す
ために、映像表示領域の周辺における屈折力(透過屈折
力、反射屈折力、回折屈折力。焦点距離の逆数)が主表
示領域の屈折力よりも正の方向に大きい屈折、反射又は
回折作用を持つ端部を有するようにして、映像を投影す
る光学系における映像周辺の大きな屈折力により、周辺
映像を徐々にぼかす。これにより、次のような効果が生
まれる。
【0019】映像表示領域周辺まで映像が鮮鋭である
と、スクリーンの端部で映像は急になくなり、この端部
が映像の世界と現実世界との境界をはっきり示してしま
い、あくまで現実の世界から映像の世界を見てるという
感覚になり、臨場感を損なう原因になる。この端部を徐
々にぼかすことにより、現実世界と映像の世界との隔た
りをぼかし、よって臨場感の向上につながる。
【0020】なお、その作用は、周辺屈曲光学手段によ
る光束の分配が連続的な分布であり、また、映像画面の
映像表示領域の最大画角を越えた角度での分配を含むこ
とがその効果を得る上でより望ましい。
【0021】次に、投影光学系を映像を観察者の眼球内
の網膜上に投影する接眼光学系とする。そして、接眼光
学系における屈折面あるいは反射面の周辺を工夫するこ
とによって、臨場感を損なう原因となる観察視野周辺に
おける映像表示領域と非映像表示領域との境界、すなわ
ち画面の枠を目立たなくし、注視している領域近傍は高
い解像力を持つが周辺においては解像力が低い、言い換
えれば、徐々にぼけて暗くなっていくという人間の自然
な視野に近い状況を作り出し、さらに、元々の映像表示
領域周辺にも光を導光することによって、正規の表示画
角が広くなくても臨場感のある映像を提供することがで
きる。
【0022】具体的な工夫だが、接眼光学系の映像表示
領域周辺に相当する部位の光の屈折力が主表示領域部に
おける光の屈折力よりも正に大きくなっている。これに
よって、映像に非点隔差、ディストーション、コマ等の
収差が生じる。また、屈折力が大きくなっているという
ことは、映像表示素子周辺から発せられる光束の中、従
来は眼球に導かれることがなかった映像表示素子上にお
ける射出角が大きな光束も眼に導光することができ、そ
れによって収差が生じており、従来、明暗のコントラス
トが強い境界部の暗部にも光が導け、境界部が徐々にぼ
けて暗くなっていく映像を作り出すことができる。これ
により、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映
像を提供することができる。
【0023】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、映像表示手段と
視軸に対して斜めに配された透過及び反射作用を有する
面を含む光学系であることが望ましい。このような透過
及び反射作用を有する面を含む接眼光学系は、光線を折
り返して眼に導くことで、コンパクトな構成で映像を表
示できる。この光学系における映像周辺に相当する部位
の屈折力を大きくすることによって、映像の周辺領域に
新たに光が導かれ、さらにその光は結像性が悪いため、
周辺がぼけた映像を作り出す。これにより、コンパクト
ながら、その表示映像は映像世界と現実世界とを分け隔
てる境界がぼかされた臨場感のある光学系を提供するこ
とができる。
【0024】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、映像表示手段と
対向して配置された焦点距離fが15mm≦f≦60m
mを満足する凹面鏡と、その凹面鏡で反射される光束を
観察者の眼球内に導くように、その凹面鏡と映像表示手
段との間に配された半透過鏡とを具備しており、さら
に、凹面鏡は、周辺領域における接平面の法線と凹面鏡
の光軸とが交わる点が、主領域における接平面の法線と
凹面鏡の光軸とが交わる点より凹面鏡側に近づいている
形状を有することによって、周辺領域における光線の屈
折力が主表示領域における屈折力よりも正の方向に大き
くなっているようにすることができる。
【0025】このような半透過鏡(ハーフミラー)と凹
面鏡を具備した光学系は、従来技術の問題点に関して述
べたように、コンパクトながら広い画角の映像を提供で
きる光学系である。この光学系の凹面鏡が、周辺領域の
接平面の法線と凹面鏡の光軸とが交わる点が、主領域に
おける接平面の法線と凹面鏡の光軸とが交わる点より凹
面鏡側に近づいている形状を有している、すなわち、周
辺領域が主領域に比べ急峻な形状を有していることによ
って、周辺領域の屈折力が大きくなり、映像に非点隔
差、ディストーション、コマ収差が生じ、その領域に映
像表示素子周辺から発せられる光束の中、従来は眼球に
導かれることがなかった映像表示素子における射出角の
大きな光束も眼に導光することができ、境界部を徐々に
ぼけて暗くなっていく映像を作り出すことができる。こ
れにより、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある
映像を提供することができる。
【0026】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦点距離f
が15mm≦f≦60mmを満足する観察者の眼球と対
向し、光軸が映像表示手段の法線と交差するように配さ
れた凹面鏡と、映像表示手段から発せられた光束を凹面
鏡に導き、その凹面鏡で反射された光束を観察者の眼球
に導くように、観察者の眼球と凹面鏡との間に配された
半透過鏡とを具備しており、さらに、その凹面鏡は、周
辺領域における接平面の法線と凹面鏡の光軸とが交わる
点が、主領域における接平面の法線と凹面鏡の光軸とが
交わる点より凹面鏡側に近づいている形状を有すること
によって、周辺領域における光線の屈折力が主表示領域
における屈折力よりも正の方向に大きくなっているよう
にすることができる。
【0027】この場合も上記の光学系と同様に、ハーフ
ミラーと凹面鏡を具備したコンパクトながら広い画角の
映像を提供できる光学系において、凹面鏡の周辺領域が
主領域に比べ急峻な形状を有していることによって、周
辺領域の屈折力が大きくなり、映像に非点隔差、ディス
トーション、コマ等の収差が生じ、その領域に映像表示
素子周辺から発せられる光束の中、従来は眼球に導かれ
ることがなかった映像表示素子における射出角の大きな
光束も眼に導光することができ、境界部を徐々にぼけて
暗くなっていく映像を作り出すことができる。これによ
り、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を
提供することができる。
【0028】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦点距離f
が15mm≦f≦60mmを満足する観察者の眼球と対
向し、光軸が映像表示手段の法線と交差するように配さ
れた凹面鏡と、映像表示手段から発せられた光束を凹面
鏡に導き、その凹面鏡で反射された光束を観察者の眼球
に導くように、観察者の眼球と凹面鏡との間に配された
半透過部を有する接合プリズムとを具備しており、さら
に、その凹面鏡は、周辺領域における接平面の法線と凹
面鏡の光軸とが交わる点が、主領域における接平面の法
線と凹面鏡の光軸とが交わる点より凹面鏡側に近づいて
いる形状を有することによって、周辺領域における光線
の屈折力が主表示領域における屈折力よりも正の方向に
大きくなっているようにすることができる。
【0029】この場合、凹面鏡と接合プリズムを具備し
たプリズム光学系は、前記の凹面鏡とハーフミラーを組
み合わせた光学系より倍率が高いため、さらにコンパク
トながら広い画角の映像を提供できる光学系である。こ
のプリズム光学系中の凹面鏡の周辺領域が主領域に比べ
急峻な形状を有していることによって、周辺領域の屈折
力が大きくなり、急峻でない場合に比べて映像周辺部に
非点隔差、ディストーション、コマ等の収差を効果的に
生じさせ、さらに、その屈折力により映像表示素子周辺
から発せられる光束の中、従来は眼球に導かれることが
なかった映像表示素子における射出角の大きな光束も眼
に導光することによって、境界部が徐々にぼけて暗くな
っていく映像を作り出すことができる。これにより、正
規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を提供す
ることができる。
【0030】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、光軸が映像表示
手段の法線と交差するように配された焦点距離fが15
mm≦f≦60mmを満足する凹面鏡と、その凹面鏡で
反射された光束を観察者の眼球内に導くように、凹面鏡
と映像表示手段との間に配された半透過部を有する接合
プリズムとを具備しており、さらに、その凹面鏡は、周
辺領域における接平面の法線と凹面鏡の光軸とが交わる
点が、主領域における接平面の法線と凹面鏡の光軸とが
交わる点より凹面鏡側に近づいている形状を有すること
によって、周辺領域における光線の屈折力が主表示領域
における屈折力よりも正の方向に大きくなっているよう
にすることができる。
【0031】この場合、上記と同様に、凹面鏡と接合プ
リズムを具備したプリズム光学系は、コンパクトながら
広い画角の映像を提供できる光学系であり、このプリズ
ム光学系中の凹面鏡の周辺領域が主領域に比べ急峻な形
状を有していることによって、周辺領域の屈折力が大き
くなり、急峻でない場合に比べて映像周辺部に効果的に
収差を生じさせ、さらに、その屈折力により映像表示素
子周辺から発せられる光束の中、従来は眼球に導かれる
ことがなかった映像表示素子における射出角の大きな光
束も眼に導光することによって、境界部が徐々にぼけて
暗くなっていく映像を作り出すことができる。これによ
り、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を
提供することができる。
【0032】また、その接眼光学系は、観察者の眼球と
主たる屈折力を有する光学手段との光路中に、映像表示
周辺に対する光束の屈折力が主表示領域における屈折力
よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段を具備するも
のとすることができる。
【0033】このように、接眼光学系における主たる屈
折力を有する光学手段より観察者の眼球側に映像表示領
域周辺部に対応する屈折力が主表示領域部における屈折
力よりも正に大きい特殊な光学手段を配設することによ
って、映像表示素子周辺から発せられる光束の中、従来
は眼球に導かれることがなかった映像表示素子における
射出角が大きな光束を眼に導光することができる。ま
た、周辺部の屈折力の影響を受けた光束が、影響を受け
ない解像の良い正規の映像の最周辺を形成する光束より
もより大きな入射角をもって眼球に入射するようにする
ことによって、従来明暗のコントラストが強い境界部の
暗部にも光が導くことができ、結果的に表示画角が大き
くなったと感じさせることができると共に、境界部が徐
々にぼけて暗くなっていく映像を作り出すことができ
る。これにより、正規の表示画角が広くなくても臨場感
のある映像を提供することができる。
【0034】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、映像表示手段と
視軸に対して斜めに配された透過及び反射作用を有する
面を含む光学系を有するものとすることができる。
【0035】上記のような透過及び反射作用を有する接
眼光学系は、光線を折り返して眼に導くことで、コンパ
クトな構成で映像を表示できる点で好適であるが、同時
に、使用されない領域を持つ。すなわち、光線を眼に導
く働きをする屈折力を持つ光学系よりも眼側に光学系が
存在すると、その光学系における光線が通過する有効領
域の屈折力を持つ光学系への射影は、屈折力を持つ光学
系によって光線が絞られ、眼に向かって屈折するため、
必ず屈折力を持つ光学系よりも小さい。透過あるいは反
射作用を持つ光学系は屈折力を持つ光学系よりも眼側に
配されることによりコンパクトになるため、必ず周辺に
おいて使用されない領域や空間が存在する。この使用さ
れない領域や空間に光線を屈折(あるいは、回折、反
射)させるパワーを持たせる、つまり、周辺屈曲光学手
段を配すると、映像の周辺領域に新たに光が導かれ、さ
らにその光は結像性は悪いため、周辺がぼけた映像を作
り出す。これにより、元々の表示画角が広くなくても、
映像世界と現実世界とを分け隔てる境界がぼかされ、臨
場感のある映像を提供することができる。
【0036】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、映像表示手段と
対向して配置された焦点距離fが15mm≦f≦60m
mを満足する凹面鏡と、その凹面鏡で反射される光束を
観察者の眼球内に導くように、凹面鏡と映像表示手段と
の間に配された半透過鏡と、半透過鏡と観察者の眼球と
の光路中に配置された映像表示素子の周辺領域に対する
屈折力が主表示領域における屈折力よりも正の方向に大
きい周辺屈曲光学手段を具備するものとすることができ
る。
【0037】ハーフミラーと凹面鏡を具備した接眼光学
系は、前記従来技術の問題点に関して述べたように、コ
ンパクトながら広い画角の映像を提供できる光学系であ
る反面、射出側において必ずデッドスペースが存在す
る。周辺屈曲光学手段をこの射出側付近に設けて、上記
デッドスペースに相当する部位近傍に新たに屈折力を持
たせ、その屈折力を、その影響を受けた光束が、影響を
受けない解像の良い正規の映像の最周辺を形成する光束
よりもより大きな入射角をもって眼球に入射するような
ものにすることによって、従来は眼球に導かれることが
なかった光束を眼に導光でき、また、従来明暗のコント
ラストが強い境界部の暗部にも光を導くことができ、結
果的に表示画角が大きくなったと感じさせることができ
ると共に、境界部が徐々にぼけて暗くなっていく映像を
作り出すことができる。これにより、正規の表示画角が
広くなくても臨場感のある映像を提供することができ
る。
【0038】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦点距離f
が15mm≦f≦60mmを満足する観察者の眼球と対
向し、光軸が映像表示手段の法線と交差するように配さ
れた凹面鏡と、映像表示手段から発せられた光束を凹面
鏡に導き、凹面鏡で反射された光束を観察者の眼球に導
くように、観察者の眼球と凹面鏡との間に配された半透
過鏡と、その半透過鏡と観察者の眼球との光路中に配置
された映像表素子の周辺領域に対する屈折力が主表示領
域における屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学
手段を具備するものとすることができる。
【0039】上記の光学系と同様に、この場合も、ハー
フミラーと凹面鏡を具備したコンパクトながら広い画角
の映像を提供できる光学系の射出側付近に周辺屈曲光学
手段を設けることによって、上記光学系のデッドスペー
スに相当する部位近傍に屈折力を持たせ、さらにその周
辺屈曲光学手段の屈折力を、その影響を受けた光束が、
影響を受けない解像の良い正規の映像の最周辺を形成す
る光束よりもより大きな入射角をもって眼球に入射する
ようなものにすることによって、従来は眼球に導かれる
ことがなかった光束を眼に導光できる。また、従来、明
暗のコントラストが強い境界部の暗部にも光が導くこと
ができ、結果的に光学系の大きさを大きくすることなく
表示画角が大きくなったと感じさせることができると共
に、境界部が徐々にぼけて暗くなっていく映像を作り出
すことができる。これにより、正規の表示画角が広くな
くても臨場感のある映像を提供することができる。
【0040】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、映像表示手段と
対向して配置された焦点距離fが15mm≦f≦60m
mを満足する凹面鏡と、その凹面鏡で反射される光束を
観察者の眼球内に導くように、凹面鏡と映像表示手段と
の間に配された半透過部を有する接合プリズムと、この
接合プリズムと観察者の眼球との光路中に配置された映
像表素子の周辺領域に対する屈折力が主表示領域におけ
る屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段を具
備するものとすることができる。
【0041】この場合も、凹面鏡と接合プリズムを具備
したプリズム光学系は、コンパクトながら広い画角の映
像を提供できる光学系である反面、必ず射出側において
デッドスペースが存在する。周辺屈曲光学手段をプリズ
ム射出面付近に設けて、上記デッドスペースに相当する
部位近傍に新たに屈折力を持たせ、その屈折力を、その
影響を受けた光束が、影響を受けない解像の良い正規の
映像の最周辺を形成する光束よりもより大きな入射角を
もって眼球に入射するようなものにすることによって、
従来は眼球に導かれることがなかった光束を眼に導光で
き、また、従来明暗のコントラストが強い境界部の暗部
にも光が導くことができ、結果的に光学系の大きさを大
きくすることなく、表示画角が大きくなったと感じさせ
ることができると共に、境界部が徐々にぼけて暗くなっ
ていく映像を作り出すことができる。これにより、正規
の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を提供する
ことができる。
【0042】また、その接眼光学系は、映像表示手段に
表示される映像を拡大投影するように、光軸が映像表示
手段の法線と交差するように配された焦点距離fが15
mm≦f≦60mmを満足する凹面鏡と、その凹面鏡で
反射される光束を観察者の眼球内に導くように、凹面鏡
と映像表示手段との間に配された半透過部を有する接合
プリズムと、その接合プリズムと観察者の眼球との光路
中に配置された映像表素子の周辺領域に対する屈折力が
主表示領域における屈折力よりも正の方向に大きい周辺
屈曲光学手段を具備するものとすることができる。
【0043】この場合も、上記と同様に、凹面鏡と接合
プリズムを具備したプリズム光学系は、コンパクトなが
ら広い画角の映像を提供できる光学系である反面、必ず
射出側においてデッドスペースが存在する。周辺屈曲光
学手段をプリズム射出面付近に設けて、上記デッドスペ
ースに相当する部位近傍に新たに屈折力を持たせ、その
屈折力を、その影響を受けた光束が、影響を受けない解
像の良い正規の映像の最周辺を形成する光束よりもより
大きな入射角をもって眼球に入射するようなものにする
ことによって、従来は眼球に導かれることがなかった光
束を眼に導光でき、また、従来明暗のコントラストが強
い境界部の暗部にも光が導くことができ、結果的に光学
系の大きさを大きくすることなく、表示画角が大きくな
ったと感じさせることができると共に、境界部が徐々に
ぼけて暗くなっていく映像を作り出すことができる。こ
れにより、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある
映像を提供することができる。
【0044】また、上記の周辺屈曲光学手段は、周辺に
向かうにつれて緩やかに屈折力が強くなる分布を有する
ものとすることができる。
【0045】周辺屈曲光学手段の部位に応じて屈折力が
変化していることによって、これを通過する場所による
光線の屈曲角をコントロールすることができ、例えば逆
光線追跡にてこれを通過した光束が全て主たる屈折面や
凹面鏡の端部に到達するようなものにすることができ
る。
【0046】このとき、周辺屈曲光学手段の屈曲作用
は、元々眼には導かれなかった光線をその屈折力で眼に
導光するものであるが、逆光線追跡にて眼からの射出角
が大きい光線程屈折力が強くないと、光学系中において
ケラレてしまい、映像表示素子に到達しない。
【0047】また、屈折力が強い所を通過した光線は、
周辺屈曲光学手段がなければケラレていたのを、その屈
折力により映像表示素子に到達させるようなものである
ため、逆光線追跡では映像表示素子の周辺よりも中央側
に到達する。すなわち、元々の周辺の外側の画像はまた
周辺から中央に向かう画像になるが、このとき、余り中
央からの画像であると、映像が不連続になり不自然であ
る。したがって、屈折力は周辺に行くに従って緩やかに
強くなっていくものであることが好適である。このと
き、緩やかさは連続的でもよいし、段階的に強くなって
いくのでもよい。この作用を有することによって、周辺
からその外側にかけてなめらかに光が導け、光学系を大
きくすることなく、従来では正規の映像との明暗のコン
トラストが強い暗部に光を導くことができ、映像が不連
続になることなく自然な形で、結果的に表示画角が大き
くなったと感じさせることができる。さらに、その映像
は映像周辺から自然に繋がる劣化した映像なので、正規
の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を提供する
ことができる。
【0048】また、上記の周辺屈曲光学手段の屈折力の
大きい周辺における屈曲作用を受けた光束と、主表示領
域における屈曲作用を受けた光束とが、射出瞳からの逆
光線追跡にて到達する映像表示素子面上での2つの領域
は、互いに一部が重なり合っているものとすることがで
きる。
【0049】周辺屈曲光学手段の屈折力が、その周辺に
おける大きな屈折力を受ける光束と、周辺程大きくない
主領域における屈折力を受けた光束とが、逆光線追跡に
て到達する映像表示素子面上での領域がオーバーラップ
するようなものであるということは、光学系中の主たる
屈折面でそれぞれの光束が通過する領域がオーバーラッ
プしていることになる。
【0050】観察者の眼からの光束は、逆追跡にて光学
系中でケラレることなくオーバーラップしても、どの領
域でもよいから主たる屈折面を通過することによって映
像表示素子に到達できる。このことは、実際にその眼球
への入射角をなした光線が存在することを意味し、裏を
返せば、映像表示素子の中央寄りから発せられた光でも
眼球への入射角を大きくできる。したがって、光学系を
大きくすることなく、表示画角が大きくなったと感じさ
せることができ、正規の表示画角が広くなくても臨場感
のある映像を提供することができる。
【0051】また、上記の周辺屈曲光学手段は、射出瞳
からの光線逆追跡にて、周辺屈曲光学手段の屈折力が大
きい周辺部を通過した光線は、主たる屈折力を有する光
学手段の端部近傍又は映像表示手段の表示領域端部近傍
に到達する作用を有するものとすることができる。
【0052】頭部装着型の映像表示装置では、できるだ
け装置を小型にしたいため、光学系も小型のものにした
いという要求がある。光学系をできるだけ小さくするた
め、映像の最周辺から発せられた光束が凹面鏡等の主た
る屈折力を有するレンズや光学素子の周端を通過し、観
察者瞳孔に導かれるように、主たる屈折力を有する光学
素子のサイズを決定すれば、それらのサイズから略決定
する光学系全体のサイズは、達成できる表示画角とのバ
ランスがとれたものになる。すなわち、要求される表示
画角を満足しながら、大きすぎない光学系である。
【0053】このとき、周辺屈曲光学手段の作用を以下
のようなものにすると、光学系の大きさを大きくするこ
となく、臨場感のある映像を提供することができる。周
辺屈曲光学手段の屈曲作用は、図15に示すように、眼
球Eからの逆光線追跡によれば、周辺屈曲光学手段14
(この図の場合は、フレネルレンズで構成されてい
る。)を通過した光線が凹面鏡2端部を通過するような
ものにする。なお、図15については後述する。
【0054】ここで、逆光線追跡にて映像表示素子1の
最周辺に到る光線が観察者眼球Eから射出する角度uは
表示映像の半画角に相当するが、この角度付近、更にこ
れより角度の大きい光線が周辺屈曲光学手段14の作用
を受ける。この作用を受けた光線は、凹面鏡2の端部を
通過することによって映像表示素子1の最周辺より内側
に到達する。周辺屈曲光学手段14の屈曲作用が一様で
あれば、眼球Eに入射する角度が大きい光線程映像表示
素子1の内側から発せられた光線となる。このとき、表
示映像は、周辺屈曲光学手段14の作用を受けない結像
性の良い正規の映像の外側に、結像性の劣化した映像が
存在し、その映像は外側に行く程映像表示素子の中央の
絵になる。映像の自然さから考えると、逆光線追跡にて
周辺屈曲光学手段14を通過した光の凹面鏡2における
通過点が中央に近づく程、映像表示素子1の中央に到達
し、正規の表示映像の外側に不連続に中央の映像が表示
されてしまうことになるので好ましくないが、逆光線追
跡にて周辺屈曲光学手段14を通過した光線が、凹面鏡
2の端部に到達するようにすることによって、このこと
が軽減できる。
【0055】以上のことから明らかなように、周辺屈曲
光学手段がそれを通過した光線が凹面鏡の端部を通過す
るような作用を有することによって、光学系を大きくす
ることなく、従来正規の映像の外側の正規の映像との明
暗のコントラストが強い暗部に光が導け、結果的に表示
画角が大きくなったと感じさせることができ、さらに、
その映像は映像周辺から自然に繋がる劣化した映像なの
で、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を
提供することができる。
【0056】また、映像表示素子の中央から垂直に射出
し眼球に到る光線を光軸とし、主光線を射出瞳中心を通
過する光線、あるいは、画面中心を注視したときの眼球
の瞳孔中心を通過する光線とするとき、上記の周辺屈曲
光学手段は、映像表示素子の最周辺を射出した主光線が
周辺屈曲光学手段面上に到達する位置から光軸側に2.
5mm、光軸と逆側に2.5mm以内の領域で屈折作用
を持ち始め、その領域から光軸と逆方向側に屈折作用を
有しているように配設されているものとすることができ
る。
【0057】人間の瞳孔径は個人差こそあれ、大体が3
mmから5mmである。暗い環境であれば瞳孔径は大き
くなる。ここで、光学系の射出瞳径が5mm程度以上で
あれば、映像周辺まで見ることができる。また、映像表
示素子から発せられた光束が観察者眼球に入射するとき
の光束径が上記の値を持つ場合、この光束の中のどれだ
けの光線が周辺屈曲光学手段の作用を受けるかで、すな
わちどれだけの光線が周辺屈曲光学手段を通過するか
で、映像の見え方が変わってくる。これは、後で説明す
る図17に示すように、周辺にのみ作用するように周辺
屈曲光学手段14を配するが、映像表示手段1から発せ
られる光束は周辺に近づくにつれて周辺屈曲光学手段1
4の作用を受ける割合が増してくる。このとき、映像表
示素子1最周辺から射出した光束の一部あるいは全部に
(図61、図62、図63)この周辺屈曲光学手段14
が作用するように(図61の場合は、LCD最周辺光束
が周辺屈曲光学手段14の内側エッジに接している。図
62の場合は、LCD最周辺光束が周辺屈曲光学手段1
4に半分がかかっている。図63場合は、LCD最周辺
光束が周辺屈曲光学手段14に全部がかかってい
る。)、周辺から垂直に射出する光の周辺屈曲光学手段
14での到達位置から光束分、すなわち5mm程度内に
屈折作用を有する部分のエッジがくるような配置にすれ
ば、映像としては周辺付近で徐々にぼけている映像にな
る。
【0058】さらに、そこから外側に周辺屈曲光学手段
14の作用域があれば、映像表示素子1の周辺から内側
にかけて光を眼球Eに上記光線より外側から導光できる
ことにより、正規像最周辺の外側も暗くなく、結果的に
表示画角が大きくなったと感じさせることができ、さら
に、その映像は映像周辺から自然に繋がる劣化した映像
なので、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映
像を提供することができる。
【0059】上記の場合、屈折作用を持ち始める領域
は、光軸側に0.5mm、光軸と逆側に0.5mm以内
の領域であるようにすることができる。上記のように瞳
を形成している光束の中、どれだけが周辺屈曲光学手段
の作用を受けるか、すわなちどれだけが周辺屈曲光学手
段を通過するかで、映像の見え方が変わってくる。この
とき、図62に示すように(図では、上方向の最周辺の
光束)、周辺屈曲光学手段の光軸側最端部が、映像表示
素子最周辺から発せられた光束が眼球に向かう際の主光
線が当たる位置になるようにすれば、この主光線より上
側(外側)の光束は周辺屈曲光学手段の作用を受け、下
側(内側)の光束は作用を受けないことになる。
【0060】そのため、この主光線の到達位置から個人
差や誤差を加味して±0.5mm以内の領域に作用域の
始まりが位置するようにすれば、下記の作用を実現でき
る。作用を受けない光束が解像の良い正規の映像を形成
する光束で、作用を受けた光束が正規の映像の周辺に導
かれ、表示画角を広げる効果を生み出す光束なので、丁
度正規の最周辺の映像は映像表示素子最周辺から発せら
れた光束の50%の光量で形成されることになる。この
最周辺より内側の映像は、周辺屈曲光学手段にかかる光
量が50%より少なくなるので、内側に向かうにつれて
正規映像の光量が増加する。逆に、後で説明する図23
に示すグラフから明らかなように、周辺屈曲光学手段の
作用を受ける正規でない光量が減少する。一方、逆光線
追跡によれば、映像表示素子最周辺の光束より大きな射
出角で眼球より射出する光は、上記光学系サイズの考え
に基づいて凹面鏡又は主たる屈折面の端部によってケラ
レてしまうので、最早正規映像はなくなってしまう。主
たる屈折面や凹面鏡は実質開口絞りの役目をなしている
といえる。正規でない光量は逆に増加して行く。
【0061】図23のグラフで分かるように、周辺での
正規映像と正規でない映像の繋がり具合は、周辺屈曲光
学手段の作用をもっと内側の光線から作用を受けるよう
に配すれば、正規の映像の画角が狭くなり、もっと外の
光線から作用を受けるようにすると、映像表示素子最周
辺から発せられた光線より大きい入射角を持って眼球に
入る光線は作用を受けなければケラレてしまうので、正
規映像の最周辺での落ち込みは変わらず、正規でない映
像に関してその作用を受け始めるグラフの立ち上がりは
遅くなり(入射角が大きくなり)、グラフ全体が右にシ
フトするだけだから、映像の繋がり具合が悪くなる。以
上の正規映像の表示画角と映像の繋がり具合の2点を考
慮したバランスから、映像表示素子最周辺から発せられ
る光束の主光線が周辺屈曲光学手段の作用を受け始める
ようになるように周辺屈曲光学手段を配すれば、徐々に
周辺屈曲光学手段の作用によって光を眼球に上記光線よ
り外側から導光できることにより、正規像最周辺より外
側も暗くなく、結果的に表示画角が大きくなったと感じ
させることができ、さらに、その映像は映像周辺から自
然に繋がる劣化した映像なので、正規の表示画角が広く
なくても臨場感のある映像を提供することができる。
【0062】また、前記の場合、屈折作用を持ち始める
領域は、光軸側に1.5mm、光軸と逆側に2.5mm
以内の領域であるようにすることができる。上記したよ
うに、瞳を形成している光束の中、どれだけが周辺屈曲
光学手段を通過するかで映像の見え方が変わってくる。
このとき、図63に示すように(図では上方向の最周辺
の光束)、周辺屈曲光学手段の作用の受け始め位置が、
映像表示素子最周辺から発せられた瞳を形成する従属光
線を含めた光束全てになるように、作用開始点の位置を
映像表示素子最周辺から垂直に射出する光線の周辺屈曲
手段上での到達位置から光束半分分中央側、すなわち、
環境差、個人差も含めて射出瞳径の半分である2mm中
央側から上下左右に±0.5mm以内にすれば、下記の
作用効果が得られる。
【0063】上記の位置では、図23のグラフは後で詳
細に説明する図26に示すように変わり、周辺屈曲光学
手段の作用の受け始めの眼球への入射角が小さくなり、
さらに最周辺で0%になるようになる。これを正規光量
と正規でない光量を合わせた総光量でならすと、グラフ
はフラットになる(図27)ので、明るさの変化が周辺
付近で不連続にならず、自然な形で表示画角が大きくな
ったと感じさせることができ、正規の表示画角が広くな
くても臨場感のある映像を提供することができる。
【0064】また、上記の周辺屈曲光学手段はフレネル
光学素子から構成することができる。すなわち、周辺屈
曲光学手段は、光学系における主たる屈折面より眼球側
に配されるため、光学系により定まるアイリリーフをそ
の手段分だけ小さくすることになる。頭部装着型の装置
においては、アイリリーフはメガネを使用することも考
慮しできるだけ長くとりたいので、薄型の光学手段で光
を効率的に屈折させたい。フレネル光学素子であれば薄
型であるので、アイリリーフをそれほど短くすることな
く、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を
提供することができる。
【0065】また、上記の周辺屈曲光学手段は回折光学
素子から構成することができる。上記のように、周辺屈
曲光学手段はできるだけ薄型でありながら、光を効率的
に屈折させる手段が適している。回折光学素子であれば
極めて薄型であるので、アイリリーフをそれほど短くす
ることなく、正規の表示画角が広くなくても臨場感のあ
る映像を提供することができる。
【0066】また、観察者の眼球に一番近い最終射出面
が周辺屈曲光学手段を兼ねているものとすることができ
る。すなわち、接眼光学系を接合プリズムを含むものと
するとき、前述の通り射出面においてデッドスペースが
存在する。また、上記したように、周辺屈曲光学手段
は、光学系における主たる屈折面より眼球側に配される
ため、光学系により定まるアイリリーフをその手段分だ
け小さくすることになる。以上の2点から、プリズム光
学系のデッドスペース付近に本発明による周辺屈曲作用
を持たせれば、光学系の光学素子点数を増やすことな
く、また、アイリリーフを狭めることなく、正規の表示
画角が広くなくても臨場感のある映像を提供することが
できる。
【0067】また、前記の接眼光学系は、主たる屈折面
は周辺において正の屈折力が弱くなる非球面を有し、そ
の非球面周辺の作用を受けた光束を観察者の瞳孔に導く
働きを有する正の方向に大きい屈折力を有する周辺屈曲
光学手段を具備するものとすることができる。
【0068】接眼光学系における主たる屈折力を有する
光学手段が、周辺部に行くに従って正の屈折力が徐々に
弱まり、場合によっては負に転じるような非球面を有す
ることにより、映像表示素子周辺から発せられた周辺の
非球面を通過する光線が光軸側と逆方向に屈曲し、それ
らの光束を周辺部における屈折力が主表示領域における
屈折力よりも正に大きい周辺屈曲光学手段により観察者
眼球に導光することができる。これは、周辺から発せら
れた光線の中この作用を受けた光線が、この作用を受け
ない光線よりも大きな入射角で眼球に入射することを意
味し、周辺において非点隔差、ディストーション、コマ
等の収差が発生すると共に、従来明暗のコントラストが
強い境界部の暗部にも光を導くことができる。すなわ
ち、映像としてはこの作用を持たせず周辺まで収差がと
れた明確な映像と比較すると、周辺部位が外に流れて行
き映像が広がったような像になり、しかも、従来像がな
く暗部であった領域は十分明るくなり、結果的に表示画
角が大きくなった像になる。また、周辺は収差のためぼ
けて行くので、人間の自然な視界に近い状況を作り出す
ことができ、これにより正規の表示画角が広くなくても
臨場感のある映像を提供することができる。
【0069】また、この場合も、接眼光学系は、前記映
像表示手段に表示される映像を拡大投影するように、前
記映像表示手段と視軸に対して斜めに配された透過及び
反射作用を有する面を含む光学系を有するものとするこ
とができる。
【0070】この場合、光線を折り返して眼に導くこと
でコンパクトさを実現している透過及び反射作用を有す
る接眼光学系中の主たる屈折力を有する光学系の周辺に
負の非球面を持たせることにより、そこを通過する光線
は広げられる。また、本光学系で必ず存在する使用され
ない領域や空間に上記広げられた光線を屈曲させるパワ
ーを持たせれば、つまり、周辺屈曲光学手段を配すれ
ば、映像の周辺領域に眼への入射角が大きくなった光が
導かれ、さらにその光は結像性は悪いため、周辺がぼけ
た映像を作り出す。これにより、元々の表示画角が広く
なくても映像世界と現実世界とを分け隔てる境界がぼか
され、臨場感のある映像を提供することができる。
【0071】また、その際、接眼光学系は、映像表示手
段に表示される映像を拡大投影するように、映像表示手
段と対向して配置された焦点距離fが15mm≦f≦6
0mmを満足し、映像の周辺領域に対する正の屈折力が
映像の主表示領域における正の屈折力よりも弱くなる非
球面を有する凹面鏡と、その凹面鏡で反射される光束を
観察者の眼球内に導くように、凹面鏡と映像表示手段と
の間に配された半透過鏡と、その半透過鏡と観察者の眼
球との光路中に配置された映像の周辺領域に対する屈折
力が主表示領域における屈折力よりも正の方向に大きい
周辺屈曲光学手段とを具備するものとすることができ
る。
【0072】ハーフミラーと凹面鏡を具備した光学系に
おいて、凹面鏡の周辺部位に行くに従って屈折力が弱く
なり、場合によっては負の屈折力になるような非球面領
域を付加することによって、映像表示素子周辺から発せ
られた光束は凹面鏡の光軸方向に収束せず、場合によっ
ては逆方向に広がる。さらに、この光学系はコンパクト
ながら広い画角の映像を提供できる光学系である反面、
必ず射出側においてデッドスペースが存在するので、周
辺屈曲光学手段をこの射出側付近に設けて、上記デッド
スペースに相当する部位近傍に新たに屈折力を持たせ
る。上記の屈折力が弱まる非球面により、主領域の光束
群と比較すると光軸方向に収束する働きが弱まる。これ
ら周辺の非球面の作用を受けた光束は、このデッドスペ
ース近傍の正の大きな屈折力により観察者眼球に導かれ
る。このことは、この一連の作用を受けた光束が、影響
を受けない解像の良い正規の映像の最も周辺を形成する
光束よりもより大きな入射角をもって眼球に入射するこ
とを意味する。すなわち、従来明暗のコントラストが強
い境界部の暗部にも十分光が導くことができ、結果的に
表示画角が大きくなったと感じさせることができると共
に、境界部より外側を非点隔差、ディストーション、コ
マ収差等により徐々にぼけて行く映像を作り出すことが
できる。これにより、正規の表示画角が広くなくても臨
場感のある映像を提供することができる。
【0073】また、その際、接眼光学系は、映像表示手
段に表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦点距
離fが15mm≦f≦60mmを満足する観察者の眼球
と対向し、光軸が映像表示手段の法線と交差するように
配置され、映像の周辺領域に対する正の屈折力が映像の
主表示領域における正の屈折力よりも弱くなる非球面を
有する凹面鏡と、映像表示手段から発せられた光束をそ
の凹面鏡に導き、凹面鏡で反射された光束を観察者の眼
球に導くように、観察者の眼球と凹面鏡との間に配され
た半透過鏡と、その半透過鏡と観察者の眼球との光路中
に配置された映像の周辺領域に対する屈折力が映像の主
表示領域における屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈
曲光学手段とを具備するものとすることができる。
【0074】前記の接眼光学系と同様に、ハーフミラー
と凹面鏡を具備した接眼光学系において、凹面鏡の周辺
部位に屈折力が弱まるような非球面領域を付加すること
によって、映像表示素子周辺から発せられた光束は凹面
鏡の光軸方向に収束する働きが弱まり、場合によっては
光軸とは逆方向に広がり、上記デッドスペースに相当す
る部位近傍に設けられた周辺屈曲光学手段の屈折力によ
り、観察者眼球に導かれる。これにより、従来明暗のコ
ントラストが強い境界部の暗部にも十分光を導くことが
でき、結果的に表示画角が大きくなったと感じさせるこ
とができると共に、境界部より外側を非点隔差、ディス
トーション、コマ等の収差等により徐々にぼけていく映
像を作り出すことができる。これにより、正規の表示画
角が広くなくても臨場感のある映像を提供することがで
きる。
【0075】また、その際、接眼光学系は、映像表示手
段に表示される映像を拡大投影するように、映像表示手
段と対向して配置された焦点距離fが15mm≦f≦6
0mmを満足し、映像の周辺領域に対する正の屈折力が
映像の主表示領域における正の屈折力よりも弱くなる非
球面を有する凹面鏡と、その凹面鏡で反射される光束を
観察者の眼球内に導くように、凹面鏡と映像表示手段と
の間に配された半透過部を有する接合プリズムと、その
接合プリズムと観察者の眼球との光路中に配置された映
像の周辺領域に対する屈折力が映像の主表示領域におけ
る屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段とを
具備するものとすることができる。
【0076】凹面鏡と接合プリズムを具備した接眼プリ
ズム光学系において、凹面鏡の周辺部位の屈折力が主部
位に比べて弱まる非球面領域を付加することによって、
映像表示素子周辺から発せられた光束は凹面鏡の光軸方
向に収束する働きが弱まり、場合によっては光軸と逆方
向に広がる。また、本接眼光学系はコンパクトながら広
い画角の映像を提供できる光学系である反面、射出側に
おいて必ずデッドスペースが存在するので、プリズム射
出面の上記デッドスペースに相当する部位近傍に新たに
周辺屈曲光学手段を設けて、この屈折力により上記非球
面により光軸方向への収束作用が弱まった光が観察者眼
球に導かれる。これにより、従来明暗のコントラストが
強い境界部の暗部にも十分光を導くことができ、結果的
に表示画角が大きくなったと感じさせることができると
共に、境界部より外側を非点隔差、ディストーション、
コマ等の収差により徐々にぼけていく映像を作り出すこ
とができる。以上により、正規の表示画角が広くなくて
も臨場感のある映像を提供することができる。
【0077】また、その際、接眼光学系は、映像表示手
段に表示される映像を拡大投影するように、光軸が映像
表示手段の法線と交差するように配置された焦点距離f
が15mm≦f≦60mmを満足し、映像の周辺領域に
対する正の屈折力が映像の主表示領域における正の屈折
力よりも弱くなる非球面を有する凹面鏡と、その凹面鏡
で反射される光束を観察者の眼球内に導くように、凹面
鏡と映像表示手段との間に配された半透過部を有する接
合プリズムと、その接合プリズムと観察者の眼球との光
路中に配置された映像の周辺領域に対する屈折力が映像
の主表示領域における屈折力よりも正の方向に大きい周
辺屈曲光学手段とを具備するものとすることができる。
【0078】前記の接眼光学系と同様に、凹面鏡と接合
プリズムを具備した接眼プリズム光学系において、凹面
鏡の周辺部位に屈折力が弱まるような非球面領域を付加
することによって、映像表示素子周辺から発せられた光
束は凹面鏡の光軸方向へ収束する働きが弱まり、場合に
よっては光軸とは逆方向に広がり、プリズム射出面のデ
ッドスペースに相当する部位近傍に設けられた周辺屈曲
光学手段の屈折力により観察者眼球に導かれる。これら
の作用を受けた光束が、影響を受けない解像の良い正規
の映像の最周辺を形成する光束よりも、より大きな入射
角をもって眼球に入射し、従来明暗のコントラストが強
い境界部の暗部にも十分光を導くことができ、結果的に
表示画角が大きくなったと感じさせることができる。ま
た、境界部より外側を非点隔差、ディストーション、コ
マ等の収差等により徐々にぼけていく映像を作り出すこ
とができる。以上により、正規の表示画角が広くなくて
も臨場感のある映像を提供することができる。
【0079】以上において、周辺屈曲光学手段は、周辺
に向かうにつれて緩やかに屈折力が強くなる分布を有す
るものとすることができる。周辺屈曲光学手段の屈曲作
用は、元々眼には導かれなかった光線をその屈折力で眼
に導光するものであるが、逆光線追跡にて眼からの射出
角が大きい光線程その屈折力が強ければ、主たる周辺屈
曲光学手段周辺の非球面によって光軸方向への収束が弱
まった光を眼に導くことができる。このとき、周辺の非
球面による屈折力は周辺に行く程滑らかにそのパワーを
減ずる方向に移行するので、正の屈曲作用もこれに準じ
て周辺に行く程徐々に強くすれば、これら一連の作用を
受けずに眼に入射する入射角よりも大きな角度で眼に導
光することができるため、映像周辺が伸びて画角が広が
ったような効果が出せる。例えば、逆光線追跡にて周辺
屈曲光学手段を通過し、さらに屈折力が弱くなっている
非球面を通過した光束が映像表示素子の周辺部付近に到
達するような屈折力分布にすることにより、周辺からそ
の外側にかけて滑らかに光が導け、映像が不連続になる
ことなく自然な形で表示画角が大きくなったと感じさせ
ることができ、正規の表示画角が広くなくても臨場感の
ある映像を提供することができる。
【0080】また、以上において、周辺屈曲光学手段の
屈折力の大きい周辺における屈曲作用を受けた光束と、
主表示領域における屈曲作用を受けた光束とが、射出瞳
からの逆光線追跡にて到達する映像表示素子面上での2
つの領域は、互いに一部が重なり合っているものとする
ことができる。
【0081】周辺屈曲光学手段の周辺における大きな屈
折力を受ける光束と、周辺程大きくない主領域における
屈折力を受けた光束とが、逆光線追跡にて到達する映像
表示素子面上での領域がオーバーラップするようなもの
であるということは、光学系中の主たる屈折面でそれぞ
れの光束が通過する領域がオーバーラップしていること
になる。この主たる屈折面の周辺に屈折力が弱くなって
いる非球面が存在することによって、映像表示素子内に
到達が可能になる。観察者の眼からの光束は、逆追跡に
て光学系中でケラレることなくオーバーラップしても、
どの領域でもよいから映像表示素子に到達できるような
屈折力配分にすることによって、映像表示素子から発せ
られた光をその周辺において眼球への入射角を大きくす
ることができる。したがって、光学系を大きくすること
なく、表示画角が大きくなったと感じさせることがで
き、正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を
提供することができる。
【0082】また、この場合も、周辺屈曲光学手段はフ
レネル光学素子とすることができる。周辺屈曲光学手段
は、光学系における主たる屈折面より眼球側に配される
ため、光学系により定まるアイリリーフをその手段分だ
け小さくすることになる。頭部装着型の映像表示装置に
おいては、アイリリーフは長くとりたいので、できるだ
け薄型の光学手段で光を効率的に屈曲させたい。フレネ
ル光学素子であれば薄型であるので、アイリリーフをそ
れ程短くすることなく、正規の表示画角が広くなくても
臨場感のある映像を提供することができる。
【0083】また、周辺屈曲光学手段は回折光学素子と
することができる。上記と同様に、周辺屈曲光学手段は
できるだけ薄型でありながら、光を効率的に屈曲させる
手段が適している。回折光学素子であれば極めて薄型で
あるので、アイリリーフをそれ程短くすることなく、正
規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を提供す
ることができる。
【0084】また、この場合も、観察者の眼球に一番近
い最終射出面が周辺屈曲光学手段を兼ねるようにするこ
とができる。上記の接眼プリズム光学系は、前述の通り
射出面においてデッドスペースが存在する。また、上記
で言及したように、光学素子を射出面と眼球との間に配
することはアイリリーフを狭めてしまう。以上の2点か
ら、プリズム光学系のデッドスペース付近に本発明によ
る屈曲作用を持たせれば、光学系の光学素子点数を増や
すことなく、また、アイリリーフを狭めることなく、正
規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を提供す
ることができる。
【0085】また、本発明において、投影光学系の映像
表示手段に最も近い光学面を、映像表示領域の周辺にお
ける屈折力が主表示領域の屈折力よりも正の方向に大き
い屈折又は反射作用を持つ端部を有するようにすること
もできる。このような構成によれば、映像周辺のぼけに
パララックスが少なくなり、現実世界と映像の世界との
隔たりがより少なくなり、臨場感がより向上する。
【0086】また、投影光学系が接眼光学系の場合、そ
の接眼光学系として、少なくとも3つの光学面を有し、
その少なくとも3つの光学面で囲まれた媒質の屈折率が
1より大きいプリズムを含み、そのプリズムは、観察者
の眼球に最も近く眼球に向けて映像表示手段からの光束
を透過する第3面と、その第3面に向けて映像表示手段
からの光束を反射すべく眼球の視軸に対して傾いて配置
された反射面である第2面と、そのプリズム内に映像表
示手段からの光束を導く透過面である第1面とを有する
ものとすることができる。
【0087】接眼光学系をこのようなプリズムを含むも
のとすることにより、各種収差が補正された小型で軽量
の映像表示装置を構成することができ、臨場感を損なわ
ず見やすい頭部装着型映像表示装置を構成することがで
きる。
【0088】
【発明の実施の形態】次に、本発明の映像表示装置のい
くつかの実施例について説明する。 〔実施例1〕図1に従来例との比較で本実施例の映像表
示装置の構成を模式的に示す。映像表示装置は、照明光
用光源6と、光源6からの発散光をコリメートする照明
レンズ7と、照明レンズ7により平行にされた照明光が
背後から照射される映像表示素子としてのLCD(液晶
表示素子)1と、LCD1に表示された映像を投影する
投影レンズ5’と、投影光を制限する絞り8と、投影レ
ンズ5’によって投影されたLCD1の表示映像が拡大
投影されるスクリーン9とからなる。図1(a)の従来
例は、LCD1の映像を周辺までシャープに投影する投
影レンズ5’を有するものであり、図1(b)には、本
実施例によって表示映像の周辺をぼやけさせることによ
り臨場感の高い映像投影ができる投影光学系を示す。映
像表示素子として寸法数インチ程度のLCD1等を用い
る。投影レンズ5’の略焦点位置にLCD1を配置し、
その反対側のやはり略焦点位置に、スクリーン9が十分
遠い場合には絞り8を、そうでなければその位置に結像
レンズを配することにより、LCD1の映像が投影され
る。このとき、図1(b)の投影レンズ5’の周辺部の
屈折力が主領域(中心領域)に比べて大きくなっていれ
ば、図1(b)に示したように、周辺においてその結像
性が劣化する。これにより、周辺がぼけた投影映像とな
り、臨場感の向上を阻害する映像エッジがはっきり示さ
れない映像が投影されることになる。
【0089】〔実施例2〕図2(a)に、従来例とし
て、接眼光学系に球面単レンズ10を用いた映像表示装
置の概略の構成(図の右)と表示画面(図の左)を示
す。また、図2(b)に本実施例の接眼光学系11を用
いた例を示す。何れも水平画角30°レベルを実現して
いる光学系とする。映像表示素子1として用いられるの
は0.7インチ程度の透過型LCD等であり、アイリリ
ーフは約23mm、レンズ厚約7mm、LCD1より眼
球Eの瞳孔まではおよそ55mm弱といった光学系であ
り、何れの図も水平方向を示している。レンズの有効径
は、本光学系11が瞳径4mm(以下の実施例3〜13
も同様に瞳径4mm程度を想定しいる。)とすると、1
4.2mm(映像表示素子長径)+2×2mm(瞳半
径)=18.2mm程度であり、焦点距離は約26.5
mmである。
【0090】本実施例のレンズ1枚の接眼光学系11
は、周辺部位の屈折力が主表示領域に相当する部位に比
べ大きくなっている。図2(b)では周辺の勾配がきつ
くなっている非球面であるが、周辺の曲率がきつくなっ
ていたり、硝材の屈折率が高くなっていたりすることで
実現してもよい。
【0091】この構成により、映像表示素子1周辺から
発せられた光はこの屈折力のため、光軸方向に屈曲作用
を受ける。レンズ11の屈折力が高くなる領域は、例え
ば水平半画角が15°の本光学系11において、半画角
13°からこの周辺の屈折力作用をさせるとすると、レ
ンズ中心からf×tan13°=6.12mmのところ
から屈折力が強くなるような非球面形状にすればよい。
ただし、主光線傾角がないという仮定の下、その主光線
が非球面になる境界を通過する状態にするとしている。
【0092】この結果、図2(b)の左に表示画面の様
子を示すように、画面周辺においては、糸巻きのディス
トーション、及び、非点隔差、コマ等の収差が発生し、
結像性は劣化する。実際は、球面単レンズ(図2(a)
の10)においてもディストーション等の収差が発生
し、実際よりも大きな表示画角にはなるが、本発明は故
意に収差を発生させる意味で、図2(b)の左の表示画
面は便宜的に誇張して描いてある。このとき、13°程
度から映像のぼけがはっきりしてきて、収差によってぼ
けてはいるが、表示画角は若干広がる。その映像が図2
(b)の左に示したようなものになり、映像表示領域と
非映像表示領域との境界、すなわち、映像の周辺枠が強
いコントラストと共に存在する映像(図2(a))より
も徐々にぼけて行く映像が、人間の視野が周辺に行くに
従って解像度が落ちてぼけていくという状況に近いた
め、自然な見え方となり、臨場感の向上した映像にな
る。
【0093】上述の例では、レンズの大きさをほとんど
変えることなく、周辺の屈折力を上げている例である
が、接眼レンズ11の大きさを大きくして解像良く表示
する領域は従来例と同じ大きさで表示する例を図2
(c)に示す。このレンズ11周辺の屈折力が強い部位
は、映像表示素子1周辺から発せられた光線の中、従来
では眼に導かれなかった図中の光線iを眼に導く働きを
有する。この光学系11は、水平30°以内はあまり解
像度を落とさず、画角を広げる方向の効果を出すため、
レンズ11中心から表示素子1最端部に相当する±7.
1mmのところから非球面にすれば、表示素子1最端部
から発せられた光束の主光線が丁度非球面の境界部を通
過するので、この画角からぼけが始まり、この更に外の
画角の映像は周辺の屈折力を受けた光線によって作られ
ることになる。つまり、これら屈折力を受けた光線は、
正規の結像性の良い光線群よりもより大きな入射角をも
って眼球Eに入射するので、映像としては元々ある正規
の映像の外側に収差によってぼけた領域が存在する映像
となる。すわなち、ぼけているとはいえ、画角が広くな
ったような効果を生み出すことになる。
【0094】〔実施例3〕図3に実施例3の光学系の構
成を示す。この光学系は、ハーフミラー3と凹面鏡2を
用いた光学系である。図3は垂直断面図である。この光
学系においては、映像表示素子1からの光はハーフミラ
ー3を通過して凹面鏡2に当たり、反射光は今度はハー
フミラー3で反射して観察者の眼球Eに投影される構成
である。
【0095】図3から明らかなように、凹面鏡3とハー
フミラー3はそれらの中心軸が略45°をなすように配
置されているため、上下関係に関しては本光学系は空間
も含めると略正方形の形状を有する。この光学系におい
て主たる屈折面は凹面鏡2である。この凹面鏡2により
映像表示素子1から発せられた光束は略平行光となる。
【0096】この光学系は、図3に示すように、この凹
面鏡2の周辺部においてその勾配が中心領域に比べ急峻
になっている形状をしている。映像表示素子1から発せ
られた周辺の光の中、この凹面鏡2の勾配が急峻な領域
で反射したものは、その急峻な形状による屈折力(反射
屈折力)を受ける。その結果、映像にディストーショ
ン、非点隔差、コマ等の収差が生じる。また、周辺部の
屈折力が大きくなっているということが、映像表示素子
1周辺から発せられる光束の中、従来は眼球に導かれる
ことがなかった映像表示素子1における射出角の大きな
光束も眼Eに導光することになり、それによって収差が
生じている領域に光が導け、境界部が徐々にぼけて暗く
なっていく映像を作り出すことができる。これにより、
正規の表示画角が広くなくても臨場感のある映像を提供
することができる。
【0097】本実施例は、LCD1の光束を眼球Eに導
光するのに、先にハーフミラー3を透過して凹面鏡2で
反射した後、ハーフミラー3で反射する光学系である
が、図4に示すように、先にハーフミラー3で反射し
て、後にハーフミラー3を透過する配置の場合でも、上
記と全く同様の説明が成り立つ。なお、以上の説明は垂
直方向についてであるが、水平方向についても同様な説
明ができる。
【0098】〔実施例4〕図5に実施例4の光学系の構
成を示す。この光学系は、誘電体多層膜からなるハーフ
ミラー3を有する接合プリズム12と凹面鏡2を用いた
光学系である。映像表示素子1として0.7インチ程度
のLCDを用い、水平画角は、ケラレない領域が約35
°でケラレる領域も含めると約45°として実現する。
図は垂直断面図である。
【0099】図5から明らかなように、この光学系は、
図3の光学系と同様に、凹面鏡2とハーフミラー3はそ
れらの中心軸が略45°をなすように配置されているた
め、上下関係に関する断面は略正方形の形状を有する。
直方体のプリズム12の硝材としては、大量生産に向い
ているプラスチックを用いる。アイリリーフは、およそ
20mmである。光学系のサイズとしては、図の垂直方
向は約20mm四方である。この光学系において主たる
屈折面は凹面鏡2である。この凹面鏡2により映像表示
素子1から発せられた光束は略平行光となるように、プ
リズム12下部の凹面鏡2の曲率半径が決められてい
る。
【0100】この光学系は、図5に示すように、プリズ
ム12下部の凹面鏡2の周辺部においてその勾配が中心
領域に比べ急峻になっている形状を有し、この凹面鏡2
の勾配が急峻な領域で反射する光は、その急峻な形状に
よる屈折力を受ける。その結果、映像周辺部及びその外
側にディストーションや非点隔差、コマ等といった収差
が顕著になる。
【0101】光学系の大きさを略決定するのは、プリズ
ム12下部の凹面鏡2のサイズであるが、凹面鏡2の大
きさが同じで周辺が急峻でない場合の光学系と比較をす
ると、本実施例の周辺が急峻である光学系は、上記収差
のため良好な結像領域が狭くなっているが、結像性の悪
い領域まで含めると映像領域は広くなっている。これ
は、周辺部の屈折力が増しているということで、映像表
示素子1周辺から発せられる光束の中、従来は眼球Eに
導かれることがなかった映像表示素子1における射出角
の大きな光束も眼Eに導光することができ、それによっ
て従来暗部であった映像領域外側も光が導かれ、境界部
を徐々にぼけて暗くなって行く映像を作り出すことがで
きる。
【0102】凹面鏡2のどの位置より周辺の領域が急峻
になっているかによって、この映像のぼけ具合が変わっ
てくるが、前述したように、主光線傾角がないという仮
定では、凹面鏡2の焦点距離をf、ぼかし始めの半画角
をuとすれば、中心からおよそf×tan(u)のとこ
ろから急峻にすれば、その画角に対応した映像表示素子
1上の点から発せられた主光線から屈曲作用を受けるた
め、ぼけがそこから目立ち始める。このとき、図5か
ら、周辺の急峻な領域の作用による収差がない良好な結
像領域の半画角vは、v=arctan[{f×tan
(u)−d/2}/f]という式で表せる。ここで、d
は光学系の射出瞳径である。例えば、上記の数値から、
垂直方向においてぼけ始めの半画角を19°とすれば、
周辺の屈折力の影響を全く受けない良好な結像領域の半
画角vは13.6°である。
【0103】以上により、従来正規の映像領域の周辺の
枠の外と内が明確なコントラストで結像よく表示されて
いる人間本来の視界状況とは異なる視界から、正規の表
示画角が広くなくても周辺は徐々にぼけ暗くなるという
自然に近い視界により、臨場感のある映像を提供するこ
とができる。
【0104】本実施例は、LCD1の光束を眼球に導光
するのに、先にプリズム12中のハーフミラー3を透過
してプリズム12下部の凹面鏡2で反射した後、ハーフ
ミラー3で反射する光学系であるが、図6に示すよう
に、先にハーフミラー3で反射して、後にハーフミラー
3を透過する例でも、上記と全く同様の説明が成り立
つ。なお、以上の説明は垂直方向についてであるが、水
平方向についても同様な説明ができる。
【0105】〔実施例5〕図7に実施例5の光学系の構
成を示す。この光学系は、球面単レンズ10と、周辺部
位に屈折力を有するか、又は、主表示領域に相当する部
位に比べて周辺部位の屈折力が大きくなっている光学素
子13とを組み合わせた光学系である。この周辺部の屈
折力が大きい光学素子13は、図8の斜視図に示すよう
な形状を有する光学素子であり、基本的に、映像中のぼ
かす領域とそうでない正規の領域の境界の形状、すなわ
ち、良好な映像領域のエッジの形状に略相似した形状を
持たせて、屈折力が映像領域周辺において増す作用を有
するものであるが、横方向から見ると台形形状であるの
で、ここでは台形型光学素子13と称することにする。
【0106】この光学系において、LCD1から発せら
れた光束は、LCD1から自身の略焦点距離隔てた位置
に配置された球面レンズ10によって屈折作用を受け略
平行光束となる。この中、LCD1の主表示領域から発
せられた光束は、球面レンズ10と球面レンズの略焦点
距離隔てたところに存在する眼球Eの間の光路中に配置
された台形型光学素子13の屈折作用を受けずに眼球E
に導かれ、LCD1の周辺部から発せられた光束は、球
面レンズ10で屈折作用を受けた後、台形型光学素子1
3の周辺の屈折作用により光軸方向に屈曲作用を受け
る。すなわち、ディストーション、非点隔差、コマ等の
収差が発生し、球面単レンズ10のみでは図7の点線で
示される光路を辿り、眼球Eに導かれることがなかった
光束を、図7中に一点鎖線で示すように眼球Eに導くこ
とができる。
【0107】映像としては、周辺部に行くに従って結像
性が劣化した映像となるが、人間の視野が周辺に行くに
従って解像度が落ちてぼけて行くという状況に近いた
め、自然な見え方となり臨場感の向上する。さらに、台
形型光学素子13の屈折力を受けた光線が、受けない光
線群よりもより大きな入射角を持って眼球Eに入射する
ように台形型光学素子13を設計することにより、結像
性の良い映像の外側にディストーションと非点隔差、コ
マ等の収差によってぼけた領域が存在する映像となる。
すなわち、ぼけているとはいえ、画角が広くなったよう
な効果を生み出すことになる。
【0108】〔実施例6〕図9に実施例6の光学系の垂
直断面図を示す。この光学系は、ハーフミラー3と凹面
鏡2とをそれぞれの中心軸が相互に45°の角度をなし
て交わるように配置し、さらに、ハーフミラー3と観察
者眼球Eとの光路中に実施例5に用いた台形型光学素子
13を配設した光学系である。
【0109】ハーフミラー3と凹面鏡2を具備した光学
系は、前記の従来技術の問題点に述べたように、射出側
において必ずデッドスペースが存在する。観察者眼球E
からの逆光線追跡によれば、台形型光学素子13が配さ
れていなければ、図10に一点鎖線で示されるように、
図中Aの領域のデッドスペースを通過した光束は全て凹
面鏡2でケラレて、LCD1には到達しない。なぜなら
ば、図10に示すように、光学系のサイズを決定付ける
凹面鏡2はLCD1最周辺から発せられた光束の主光線
までの光束を導き、残りは凹面鏡2において光線をケル
ような径になっている、あるいは、図11に示すよう
に、定められた瞳を形成するだけの従属光線を導き、残
りはケルような径になっているからである。すなわち、
凹面鏡2が光学系の開口絞りの役目を果たしている。本
光学系は、頭部に装着する装置を前提としたものなの
で、少しでもサイズを小さくするため、光学系のサイズ
を決定付ける凹面鏡2を上記のようなサイズにするのが
妥当である。
【0110】観察者眼球Eとハーフミラー3との光路
中、上記のその構造上必ず生まれるデッドスペースに相
当する部位の射出側付近に、周辺屈曲光学手段である台
形型光学素子13を設けたのが本実施例の光学系であ
る。この光学系において、観察者眼球Eから略映像中央
を見ているような状況における瞳孔程度の断面積を有す
る平行光束は、台形型光学素子13の影響を受けず、ハ
ーフミラー3で反射し凹面鏡2で反射屈折作用を受け、
LCD1に収束する。一方、映像周辺を見ているような
状況の平行光束は、台形型光学素子13の影響を受け
る。ここで、台形型光学素子13がなければ、ハーフミ
ラー3で反射し、凹面鏡2の有効径外に行くのでLCD
に到達しない(図10の一点鎖線)が、台形型光学素子
13があることにより、光軸方向に屈曲作用を受け、ハ
ーフミラー3で反射し、凹面鏡2の有効径内に到達し、
凹面鏡2で反射してLCD1に到達する(図10の点
線)。この台形型光学素子13がなかったらLCD1に
到達せず、台形型光学素子13があって初めてLCD1
に到達することができる光束群によって、以下のような
映像周辺効果が得られる。
【0111】これらの光束群は、デッドスペースから光
が眼に入射する形になるので、台形型光学素子13がな
かった場合、ケラレることなく眼Eに最もきつい角度で
入射する光束よりも大きな角度で眼Eに入射する。すな
わち、表示画角を広げることになる。これらの光束は、
図10に示すように、LCD1最周辺から発せられた光
束ではなく、LCD1の最周辺から中央寄りの光束であ
る。台形型光学素子13の屈曲作用を受けた光束は収差
を持っているため、映像周辺に行くに従って結像性が劣
化した映像になる。映像において台形型光学素子13が
なかった場合の映像最周辺に相当する部分がLCD1最
周辺からの光であり、そこを境界として、更にその外側
の映像はLCD1最周辺から徐々に中央寄りの部分から
の光により出来上がる。
【0112】こうして、従来は眼球Eに導かれることが
なかった光束を眼Eに導光でき、また、従来明暗のコン
トラストが強い境界部の暗部にも光が導くことができ、
結果的に表示画角が大きくなったと感じさせることがで
きると共に、境界部が徐々にぼけて暗くなって行く映像
を作り出すことができる。これにより、本光学系のデッ
ドスペースを有効に使うことによって、正規の表示画角
が広くなくても臨場感のある映像を提供することができ
る。
【0113】本実施例は、LCD1の光束を眼球Eに導
光するのに、先にハーフミラー3を透過して凹面鏡2で
反射した後、ハーフミラー3で反射する光学系である
が、図4に示すように、先にハーフミラー3で反射して
後にハーフミラー3を透過する例でも、上記と全く同様
の説明が成り立つ。なお、以上の説明は垂直方向につい
てであるが、水平方向についても同様な説明ができる。
【0114】〔実施例7〕図12に実施例7の光学系の
構成を示す。この光学系は、LCD1から自身の略焦点
距離隔てたところに球面単レンズ10と、そこからさら
に略焦点距離隔てたところに観察者眼球Eがあり、球面
単レンズ10と観察者眼球Eとの光路中、レンズ11の
近傍眼側に実施例5、6で用いた台形型光学素子13を
配設した光学系である。この光学系において、開口数を
制限するのは単レンズ10の有効径であるが、単レンズ
10はLCD1最周辺から発せられた光束の主光線がレ
ンズ端部を通過するような有効径を有するサイズであ
る。また、台形型光学素子13は周辺が非球面であり、
この周辺領域にて屈折力を有する光学素子である。
【0115】ここで、逆光線追跡にてLCD1の最周辺
に到る光線が観察者眼球Eから射出する角度は表示映像
の半画角uに相当するが、この角度付近、さらに、これ
より角度の大きい光線がこの台形型光学素子13の屈曲
作用を受ける。この屈曲作用は、図12に示すように、
眼球Eからの逆光線追跡をした場合、台形型光学素子1
3の周辺の屈折力のある部位を通過した光線(図中、点
線)が単レンズ10の端部に到達するようなものであ
る。
【0116】屈曲作用を受けた光線は、単レンズ10の
端部にて屈折し、LCD1の最周辺より内側に到達する
が、図12から分かるように、眼球Eに入射する角度が
大きい光線程LCD1の内側から発せられた光線とな
る。このように、逆光線追跡にて台形型光学素子13を
通過する光線は、LCD1最周辺から発せられた光束よ
りも大きな入射角で眼球に入射することを意味し、この
ことにより映像は以下のようになる。
【0117】すなわち、表示映像は、台形型光学素子1
3の屈曲作用を受けない結像性の良い正規の映像の外側
に、台形型光学素子13の屈曲作用を受けた結像性の劣
化した映像が存在し、その映像は外側に行く程映像表示
素子1中央よりの絵になる。台形型光学素子13の屈曲
作用が、逆光線追跡にてそれを通過した光線が単レンズ
10の端部に到達するようなものであることにより、正
規の映像の外側に表示される映像を作り上げる光束のL
CD1における射出元が必要以上にLCD1の中央寄り
の領域からのものでないようにすることができる。
【0118】厳密にいえば、正規映像の周辺近傍におい
ては、画面中央側から周辺に向かうに従って徐々に非点
隔差、ディストーション、コマ等の収差が発生し、映像
がぼけている。このぼけていくぼけ具合は、図12に示
すように、LCD1から発せられた光束の中、台形型光
学素子13を通過する光束と通過しない光束がどのくら
いの割合かで決まる。そして、このぼけ具合を決定する
のは、台形型光学素子13の周辺の屈折力がLCD1の
どの領域の光束から作用し始めるかである。
【0119】主光線傾角がほとんどないと仮定した場
合、表示素子1のサイズをL、球面単レンズ10の焦点
距離をf、瞳径をDとし、球面レンズ10と台形型光学
素子13とのレンズ間隔をdとすると、LCD1最周辺
まで結像よく表示したい場合は、模式的に表した図13
に示すように、台形型光学素子13の周辺の屈折力が強
くなる領域は、レンズ中央からAの所から屈折力を強く
すれば、所望の結果が得られる。このAは、図の幾何的
な関係から、A=(Lf−Ld+Df)/2fと表すこ
とができる。
【0120】これは、瞳径分の光束は台形型光学素子1
3の周辺の屈折力を作用させないようにし、周辺屈折力
は更なる外側の光線を取り込むことに寄与し、画角を広
げるような効果を生む状態である。
【0121】また、図14に示すように、台形型光学素
子13の屈折力がLCD1の最周辺よりかなり内側から
作用し始める、例えば、LCD1最周辺で100%ぼけ
ている状態になるためには、Aは図の幾何的な関係か
ら、A=(Lf−Ld−Df)/2fとなる。このと
き、図14の点線で示される画角までが良好な結像範囲
であり、その画角は、図14から、tan-1{(A−D
/2)/(f−d)}である。これは、画像の最周辺か
らぼかすのではなく、もっと中央寄りからぼかし始め、
徐々にその度合いが強まるようになるので、ぼけ方を滑
らかにすることができる状態である。
【0122】〔実施例8〕図15に実施例8の光学系の
垂直断面を示す。この光学系は、ハーフミラー作用を有
する誘電体多層膜3を介して接合したプリズム12と凹
面鏡2からなるプリズム光学系と、プリズム射出面4の
デッドスペースが実施例5、6、7に用いた台形型光学
素子13と同様の働きを有したフレネルレンズ14にな
っている光学系である。
【0123】本光学系の開口絞りの役目を果たすプリズ
ム12下部の凹面鏡2は、LCD1最周辺から出た光束
の主光線が丁度凹面鏡2のエッジに到達するような有効
径を有するサイズである。これは逆光線追跡にての主光
線であり、主光線は収差のため少し傾斜した状態でLC
D1に到達している。
【0124】このように、プリズム光学系において、射
出面4上必ず存在するデッドスペースをフレネルレンズ
状にすることで、前記実施例における台形型光学素子1
3の作用を持たせている。
【0125】ここで、逆光線追跡にてLCD1の最周辺
に到る光線が観察者眼球Eから射出する角度uは表示映
像の半画角に相当するが、この角度付近、さらに、これ
より角度の大きい光線がこのフレネルレンズ14の屈折
作用を受ける。さらに、このフレネルレンズ14は屈折
力分布を有しており、図15に示すように、眼球Eから
の逆光線追跡をした場合、フレネルレンズ14を通過し
た主光線が全て凹面鏡2端部に到達するように設計され
ている。
【0126】以上によって得られる表示映像は、フレネ
ルレンズ14の屈折作用を受けない結像性の良い正規の
映像の外側に、フレネルレンズ14の屈折作用を受けた
結像性の劣化した映像が存在し、その映像は外側に行く
程LCD1の中央寄りの絵になる。
【0127】以上から明らかなように、従来のプリズム
光学系のデッドスペースに屈折力を薄型のフレネルレン
ズ14という形で持たせてあるため、光学系を大きくす
ることなく、従来正規の映像の外側の正規の映像との明
暗のコントラストが強い暗部に光を導くことができ、結
果的に表示画角が大きくなったと感じさせることがで
き、さらに、その映像は映像周辺から自然に繋がる劣化
した映像なので、正規の表示画角が広くなくても臨場感
のある映像を提供することができる。
【0128】この実施例においては、周辺における屈折
力をフレネルレンズ14という形で実現したが、同じく
薄型で光を回折現象により屈折できる回折光学素子によ
って達成してもよい。
【0129】本実施例はLCD1の光束を眼球Eに導光
するのに、先にハーフミラー3を透過して、凹面鏡2で
反射した後、ハーフミラー3で反射する光学系である
が、図16に示すように、先にハーフミラー3で反射し
て、後にハーフミラー3を透過する例でも、上記と全く
同様の説明が成り立つ。なお、以上の説明は垂直方向に
ついてであるが、水平方向についても同様な説明ができ
る。
【0130】〔実施例9〕図17に実施例9の光学系の
部分的な垂直断面を示す。この光学系は基本的に実施例
8の光学系に準じており、本実施例では、プリズム光学
系のデッドスペース付近のフレネルレンズ面領域に関し
て具体的に説明する。フレネルレンズ14がどの範囲の
光束に作用するかは、そのフレネルレンズ14の存在領
域に依存し、それによって表示される映像が異なったも
のになる。
【0131】図17に示すように、眼Eに大きな角度を
なしている光線がフレネルレンズ14の作用を受ける
が、周辺の光線は収差によってLCD1には若干角度を
持った状態で到達する。図中、光線cはフレネルレンズ
14の作用を受けない光線の中、眼Eに最大角度で入射
するLCD1の最端部から発せられる主光線である。こ
の光線cが逆光線追跡にてフレネルレンズ14のエッジ
部を通過し、ハーフミラー3で反射した後、凹面鏡2の
丁度端部に到達するように凹面鏡2の有効径が決められ
ている。
【0132】フレネルレンズ14あるいは新たに光を屈
折させる手段が存在しなければ、逆光線追跡にて眼Eか
らこの光線cより大きな角度で射出する光線は、全てハ
ーフミラーで反射した後、射出面4を抜けて行き、凹面
鏡2に到達することはない。すなわち、LCD1に到達
しないので、LCD1から発せられた光線で光線cより
大きな角度で眼Eに入射してくる光線は存在せず、図1
7におけるフレネルレンズ14の領域はまさにデッドス
ペースになる。
【0133】フレネルレンズ14あるいは新たに光を屈
折させる手段が存在することよって、この光線cより大
きな射出角(>C)で眼Eから射出面4に向かう光線
も、フレネルレンズ14の屈折力を受けることによっ
て、ハーフミラー3で反射した後、凹面鏡2に到達する
ことができる。
【0134】本実施例では、上記のように、フレネルレ
ンズ14はLCD1最端部から射出した主光線が丁度フ
レネルレンズ14の内側エッジ部を通過するように位置
している。LCD1から射出した光束は、眼Eに到達す
るとき、ある径を持った略平行の状態になっている。逆
光線追跡にて眼球Eからある角度で光線が射出すると
き、同じ角度でも前述の径を有しているため、フレネル
レンズ14を通過しその作用を受ける光線と、通過せず
にその作用を受けない光線とがある。このフレネルレン
ズ14の作用を受ける光線量と受けない光線量との割合
は眼球Eからの射出角によって異なる。
【0135】図17から明らかなように、眼球Eから角
度Cで射出する光束は、丁度主光線である光線cがフレ
ネルレンズ14の内側エッジ部を通過するので、この光
束の50%がフレネルレンズ14を通過せず(図中、眼
球Eの瞳孔を通った光束のハッチを付していない領
域)、50%がフレネルレンズ14を通過する(図中、
眼球Eの瞳孔を通った光束のハッチを付した領域)こと
になる。このことは、50%がLCD1端部へ到達し、
50%は屈折力を受けその端部より中央側へ到達するこ
とになる。このとき、LCD1のどこに到達するかはフ
レネルレンズ14の屈折力による。
【0136】図18の点線で示される光線cの射出角C
より少し大きい角度で射出する光束は、ハッチを付した
領域で示されるフレネルレンズ14の作用を受ける光線
量の割合が、角度Cで射出するの光束より大きくなる。
逆に、図19に示すように、射出角Cより少し小さい角
度で射出する光束は、ハッチを付した領域で示されるフ
レネルレンズ14の作用を受ける光線量の割合は、角度
Cで射出するの光束より少なくなる。
【0137】前述の通り、逆光線追跡にてフレネルレン
ズ14を通過した光線はLCD1中央寄りに到達する
が、LCD1上どの位置に到達するかは分布を有するフ
レネルレンズ14の屈折力よる。また、前述の通り、こ
のフレネルレンズ14の屈折力分布は映像を自然かつ滑
らかなものにするため、逆光線追跡にして凹面鏡2エッ
ジに到達するような屈折力分布が好ましく、このとき、
眼球Eからの射出角が大きい光線程LCD1中央寄りに
到達する。また、フレネルレンズ14の上側(外側)程
屈折力が強いため、LCD1の中央寄りに到達する。
【0138】図21にLCD1の画面とその周辺を示す
ように、LCD1において端部から、、、、
と画面領域を5分割する。このとき、LCD最周辺から
発せられる光束が図20中ので示される。映像を観察
したとき、この光線の眼Eへの入射角Cが図21の画
面の画角Cに対応する。この画角Cより外側がフレネル
レンズ14の影響を受けて徐々にぼけてくる。入射角C
よりも少し大きい入射角s(図20中、、、の光
線は何れも眼Eへの入射角はsである。)のある径を持
った光束は、フレネルレンズ14の通過する場所によっ
てLCD1への到達位置が図20のように異なる。LC
D1のそれぞれの場所の光線量の割合は、フレネルレン
ズ14の屈折力と角度に依存する。角度が大きい程LC
D1中央寄りからの光量が大きくなる。また、図22に
示すように、更に大きい入射角tでは、、、とい
った場所からの光ということになる。
【0139】すなわち、上記光線cの角度Cでは、LC
D1最周端の領域からだけしか光線が到達しないが、
それ以上の画角では、外側の画角程中央域からの映像と
なる。光線cの角度Cより小さな角度でも、同様にLC
D1の色々な領域からの光線によって構成される。そし
て、その割合はやはり射出角度とフレネルレンズ14の
屈折力に依存し、角度が小さい程LCD1外側からの光
量が大きくなる。
【0140】画角Cに対応するのがLCD1最周辺の映
像を表示しているが、その外側はまた中央域へ向かう映
像になるので、画角が広がる効果はあるが、外側の映像
が結像性が良いとかえってゴーストのようになるので、
適当に結像性を落とすことが望ましい。フレネルレンズ
14の屈折力分布でそれを実現してもよいが、フレネル
レンズ14の一つ一つの溝をリップル状にしたり、ある
いは、溝と垂直方向に解像度を落とすための溝を新たに
設けてもよい。これにより、視野周辺には映像はある
が、結像性が悪いので、周辺は徐々にぼけているという
人間の自然な視界に近づけることができる。
【0141】図23に、縦軸に光量、横軸に逆光線追跡
における眼からの射出角をとったグラフを示す。図17
に示す主光線がフレネルレンズ14のエッジを通過する
光束(中心光線c)はフレネルレンズ14の作用を受け
る割合が50%の状態で、図23のグラフ中射出角Cで
示してある。眼からの射出角がそれより大きい光線はフ
レネルレンズ14の作用を受ける光線の割合が多くなり
(図18の状態)、射出角がそれより小さい光線はフレ
ネルレンズ14の作用を受ける光線の割合が少なくなる
(図19の状態)。
【0142】このグラフにおいて、正と描いてある曲線
は、フレネルレンズ14を通過しない光線のことで、こ
れらは結像性の良い映像を作る。一方、不正と描いてあ
る曲線は、フレネルレンズ14を通過する光線のこと
で、逆光線追跡にてフレネルレンズ14を通過しない光
線のLCD1上での到達位置より中央側へ到達するもの
である。
【0143】グラフ中、正の曲線は、射出角Cで50%
の値を取り、その後急に0に落ち込んでおり、それより
大きな角度の光線はない。これは図18から分かるよう
に、光線cより大きな射出角で眼Eから射出するもの
は、フレネルレンズ14を通過せずその作用を受けなけ
れば、前述したように凹面鏡2に到達せず、射出面4か
ら斜め下に抜けてしまうという光学系だからである。ま
た、100%のときの射出角度は、光束径内の全てがフ
レネルレンズ14を通過していない角度である。フレネ
ルレンズ14のエッジの光軸からの距離をBとし、射出
瞳から射出面4までの距離をRとし、射出瞳径をDとす
ると、100%になる角度θm は、θm =arctan
{(B−D)/R}という式で表現できる。
【0144】一方、不正の曲線は、射出角Cで50%の
値を取り、更に徐々に射出角と共に増して行き、光束径
中の全てがフレネルレンズ14を通過する角度で100
%になる。光束の主光線がフレネルレンズ14の中心を
通過するときの射出角にてピーク中心を取る。射出角が
フレネルレンズ14の領域よりも大きくなると、光線量
は再び小さくなって行く。
【0145】図23のグラフ中、正の光量と収差が大き
い不正の光量とを合わせて総光量のグラフが図24であ
る。LCD1最周辺から発せられる光束が眼に入射して
くる角度を少しでも越えた角度での映像の光量は50%
になり、映像の中央等の100%の領域に比べて半分の
明るさである。すなわち、映像は周辺部において、前記
の角度Cで一回暗くなり、その外側は再び明るくなって
来る映像となる。
【0146】以上、逆光線追跡にて説明を行ったが、視
点を変え順光線追跡にて光線を考えると、LCD1最周
辺よりやや中央寄りから発せられる光束は凹面鏡2、ハ
ーフミラー3で反射した後、フレネルレンズ14を通過
する光線と通過しない光線に分かれる。このとき、フレ
ネルレンズ14を通過する光線は、通過しない光線より
も光軸方向に屈曲し、眼Eに対してより大きな入射角を
持って入射する。このことは、網膜上においてフレネル
レンズ14を通過した光束のスポット位置と、フレネル
レンズ14を通過しない光束のスポット位置とが異なる
ことを意味し、具体的には非点隔差、ディストーショ
ン、コマ等の収差を持つことになる。不正と称していた
のは、フレネルレンズ14を通過しない光線が作る映像
よりも外側に非点隔差、ディストーション、コマ等が発
生している映像を作る光線群だからである。したがっ
て、不正の光線は非点隔差、ディストーション、コマ等
の収差を持った光線群であるから、LCD1上の同じ点
から発した光束は光束の一部が小さい収差量にて眼球E
に入り、一部は非点隔差、ディストーション、コマ等の
収差を含んで眼球Eに入射し、映像上のこの画素は外側
に放射状に伸びたぼけた点として認識される。この不正
の光線群が本発明による効果を生み出す光線群である。
【0147】そのぼけ量は、光量の割合、つまりフレネ
ルレンズ14の領域をどれだけ通過するかによる。LC
D1最端部から発した光束は良好な結像光線が50%、
収差の乗った結像作用が悪い光線が50%ということに
なり、それより大きな画角、つまり映像面でそれより外
側から結像作用が悪い光量が50%を越えてくるので、
はっきりぼけとして認識されてくる。
【0148】〔実施例10〕図25に実施例10の光学
系の構成を示す。この光学系は、実施例8、9に準じた
ものであるが、フレネルレンズ14の位置が異なってい
る。実施例8においては、フレネルレンズ14の位置は
LCD1最周端から発せられた光束の主光線が丁度フレ
ネルレンズ14のエッジを通過するような位置であった
が、本実施例では、LCD1最周端から発せられた光束
のローワー・レイが丁度フレネルレンズ14のエッジを
通過するような位置にある。さらに、凹面鏡2の有効径
は、LCD1最周端から発せられた光束の最外の従属光
線が凹面鏡2最端部にて反射するような有効径になって
いる。これにより、LCD1最周端から発せられた光束
はその100%がフレネルレンズ14を通過し、その作
用を受けることになる。図25はLCD1最周端から発
せられた光線の順追跡を示している。
【0149】実施例8で説明したのと同様な説明が適用
でき、光量は図26のようになる。フレネルレンズ14
の作用を受け始める角度が小さくなり、フレネルレンズ
14がない場合のLCD1最周端からの光束を眼Eに入
射する角度Cにおいては、フレネルレンズ14のの作用
を受けない正の光量が0%になり、フレネルレンズ14
の作用を受ける不正の光量が100%になる。図25か
ら、フレネルレンズ14のエッジの光軸からの距離をB
とし、射出瞳から射出面4までの距離をRとし、射出瞳
径をDとすると、正の光量と不正の光量が共に50%に
なる角度θn は、θn =arctan{(B−D/2)
/R}という式で表現できる。
【0150】正と不正の光量の和を取った総光量は、図
27のようなグラフになり、実施例8に見られた角度C
にて一度光量が落ち込み、映像が周辺で一旦暗くなる不
自然さはなくなる。しかし、不正つまりフレネルレンズ
14の作用を受け始める角度が小さくなるということ
は、それだけぼけ始める領域の角度が小さくなることを
意味し、したがって、良好な結像性の良い領域が狭くな
ることを意味する。
【0151】要するに、この光量の点での自然さと、良
好な結像領域の広さとはトレードオフの関係にあり、こ
れはフレネルレンズ14の位置に依存するので、映像の
種類等により最適な位置にすることが重要である。すな
わち、中心付近ばかり注視するような映像で、中心付近
のみ結像性が必要とされる場合は、自然さを重要視し、
フレネルレンズ14を浅い角度から作用させ、周辺付近
でもある程度の結像性が要されるならば、実施例8に示
したようなフレネルレンズの位置にするのが良い。
【0152】〔実施例11〕図28に実施例11の光学
系の構成を示す。この光学系は、周辺部位が負の屈折力
になる非球面を有する非球面レンズ15と、このレンズ
15の周辺部の負の屈折力によって光軸と反対方向に屈
折した光束を眼Eに導光する作用をする、周辺において
正の屈折力が大きくなっている非球面を有するレンズ1
3とを組み合わせた2枚のレンズからなる光学系であ
る。
【0153】上記の周辺部の屈折力が正に大きい光学素
子は、実施例5、6等で用いられている台形型光学素子
13である。また、上記の周辺において負の屈折力を有
するレンズ15はこの光学系における主たる屈折手段で
あるが、周辺に行くに従って正の屈折力から負の屈折力
に転じるような非球面形状を有する。
【0154】周辺が負の屈折力を有する非球面レンズ1
5の主領域での焦点距離だけ略離れた位置にLCD1が
配置され、それと逆側にやはり略その焦点距離隔てた位
置に観察者眼球Eが配される。主領域においては、従来
の光学系と同様な結像性を示すが、周辺においては主た
る屈折手段15の負の屈折力を受けて光軸と反対方向に
光が屈折され外側に広がる。これらの外側に屈折された
光束は、台形型光学素子13の周辺部の屈折力を受けて
眼球Eに導光される。このとき、LCD1周辺から発せ
られた光束は、負の屈折力を受けて一旦広げられた状態
から眼Eに導光されるので、大きな角度をなして眼Eに
入射してくる。このことは、映像の画角が広がったよう
な効果を生むことを意味し、映像周辺において放射状に
画像が伸びて徐々に暗くなって行く映像になり、人間の
視野が周辺に行くに従って解像度が落ちてぼけて行くと
いう状況に近いため、自然な見え方となり、臨場感が向
上する。
【0155】〔実施例12〕図29に実施例12の光学
系の垂直断面を示す。この光学系は、ハーフミラー3と
凹面鏡2とをそれぞれの中心軸が45°の角度をなして
交わるように配置し、さらに、ハーフミラー3と観察者
眼球Eとの光路中に実施例5等に用いた台形型光学素子
13を配設した光学系である。この光学系中の凹面鏡2
は、周辺において負の屈折力を有する非球面形状になっ
ている。
【0156】ハーフミラー3と凹面鏡2を具備した光学
系は、前記の従来技術の問題点に述べたように、射出側
において必ずデッドスペースが存在し、このデッドスペ
ースに相当する部位に台形型光学素子13が配されてい
る。この台形型光学素子13は、LCD1周辺から発せ
られた光束の中、凹面鏡2周辺の負の屈折力を経て凹面
鏡2の光軸から離れる方向に屈曲したものを眼Eに導光
する作用を有するが、この屈折力は本光学系のサイズを
決定する最大の要因である凹面鏡2の有効径と密接な関
係がある。
【0157】逆光線追跡によって眼Eから発せられた光
束で、台形型光学素子13の周辺の屈折力を受けた光束
は、ハーフミラー3によって反射し、凹面鏡2に向かう
が、凹面鏡2はこれらの光束がケラレることがないよう
な有効径を持っている。図29に示すように、逆光線追
跡にてある瞳径を持った光束が眼球から発せられ、大き
な射出角をもって射出していく光束については、台形型
光学素子13の作用を受けるが、このとき、光束はある
大きさの径を持つので、ハーフミラー3で反射後の凹面
鏡2での到達位置が異なる。LCD1上の到達位置は、
この周辺部の非球面形状の凹面鏡2のどの位置にて屈折
力を受けたかによる。すなわち、非球面形状を帯びてい
るため、場所によって屈折力が違う。当然ながら、眼球
Eからの射出角が異なっても、LCD1上で同一位置に
到達し得ることを意味する。
【0158】このことは、順光線追跡をすれば、図30
に示したように、LCD1周辺から射出した光束は、凹
面鏡2での到達位置により射出面での射出位置が異な
り、台形型光学素子13での通過位置が異なる。これに
より、LCD1上の同じ点から発しても異なる入射角に
て眼球Eに導光されるため、映像の見え方としては、周
辺において激しい非点隔差、ディストーション、コマ等
の収差が発生し、放射状に伸びた感じになる。
【0159】光量的には、元々同じ量の光量が、周辺部
においては分散し様々な角度で眼に導光される形になる
ため、映像周辺に行くに従って徐々に暗くなる。この映
像の周辺での放射状にぼかすぼかし加減は、台形型光学
素子13の位置と、台形型光学素子13自身の屈折力分
布、凹面鏡2の周辺での屈折力配分に依存する。
【0160】以上の結果、表示画角が大きくなったと感
じさせることができると共に、境界部が徐々にぼけて暗
くなっていく映像を作り出すことができ、正規の表示画
角が広くなくても臨場感のある映像を提供することがで
きる。
【0161】本実施例は、LCD1の光束を眼球Eに導
光するのに、先にハーフミラー3を透過して、凹面鏡2
で反射した後、ハーフミラー3で反射している光学系で
あるが、図31に示すように、先にハーフミラー3で反
射して、後にハーフミラー3を透過する配置の場合で
も、上記と全く同様の説明が成り立つ。なお、以上の説
明は垂直方向についてであるが、水平方向についても同
様な説明ができる。
【0162】〔実施例13〕図32に実施例13の光学
系の垂直断面を示す。この光学系は、ハーフミラー3を
有する接合プリズム12とその前部の凹面鏡2とを有
し、ハーフミラー3と凹面鏡2がそれぞれの中心軸が4
5°の角度をなして交わるように配置したプリズム光学
系である。この光学系において、凹面鏡2の周辺が徐々
に負の屈折力を帯びるような非球面形状になっており、
さらに、プリズム射出面4周辺が凹面鏡2周辺の負の屈
折力を受け、外側に広がった光束を眼Eに導光する作用
を有する正の屈折力を有したフレネルレンズ(図15
等)がプリズム12の射出面4に設けられるか、図示の
ように、台形型光学素子13が配置されている。フレネ
ルレンズの場合は、前記したように、プリズム12が有
するデッドスペースに施される。
【0163】台形型光学素子13あるいはフレネルレン
ズの屈折力は本光学系のサイズを決定する最大の要因で
ある凹面鏡2の有効径と密接な関係がある。
【0164】逆光線追跡によって眼Eから発せられた光
束で、台形型光学素子13あるいはフレネルレンズの屈
折力を受けた光束は、ハーフミラー3によって反射し、
LCD1と反対側に配置した凹面鏡2に向かうが、凹面
鏡2はこれらの光束がケラレることがないような有効径
を持っている。
【0165】実施例12に述べた作用により、LCD1
上の同じ点から発しても、異なる入射角にて眼球Eに導
光されるため、映像の見え方としては、周辺において激
しい非点隔差、ディストーション、コマ等の収差が発生
し、放射状に伸びた感じになる。
【0166】光量的には、元々同じ量の光量が、周辺部
においては分散し、様々な角度で眼Eに導光される形に
なるため、映像周辺に行くに従って徐々に暗くなる。こ
の映像の周辺での放射状にぼかすぼかし加減は、台形型
光学素子13あるいはフレネルレンズの位置と、それら
自身の屈折力の分布、凹面鏡2の周辺での屈折力配分に
依存する。
【0167】以上の結果、表示画角が大きくなったと感
じさせることができると共に、境界部が徐々にぼけて暗
くなっていく映像を作り出すことができ、正規の表示画
角が広くなくても臨場感のある映像を提供することがで
きる。
【0168】本実施例は、LCD1の光束を眼球Eに導
光するのに、先にハーフミラー3を透過して、凹面鏡2
で反射した後、ハーフミラー3で反射している光学系で
あるが、図33に示すように、先にハーフミラー3で反
射して、後にハーフミラー3を透過する配置の場合で
も、上記と全く同様の説明が成り立つ。なお、以上の説
明は垂直方向についてであるが、水平方向についても同
様な説明ができる。
【0169】〔実施例14〕次に、投影光学系が自由曲
面で構成された図34に斜視図を示すような光学系20
の場合の実施例を説明する。この光学系20は本出願人
の特願平8−92300号によって提案されたもので、
3つの光学面21〜23と両側の側面24からなる偏心
プリズム光学系である。この投影光学系20は、比較的
に表示画角が大きく、かつ画面周辺までシャープに投影
できるコンパクトな光学系である。
【0170】この光学系20の光路図を図35に示す
が、偏心プリズム光学系20は、光軸26に対してそれ
ぞれの面が偏心している3面21〜23で形成された空
間を屈折率が1より大きい光学的に透明な媒質によって
満たされており、映像表示素子1から発する光の入射面
を第1面21、射出瞳25とは反対側の面である反射面
を第2面22、射出瞳25に近接した面を第3面23と
すると、映像表示素子1から射出した光線の経路は、偏
心プリズム光学系20の第1面21から屈折して入射
し、第3面23で第2面22側へ内部反射し、第2面2
2で第3面23側へ内部反射して第3面23から屈折し
て射出して、射出瞳25に到達するものである。そし
て、反射面である第2面22全面及び第3面23の光透
過領域以外の面には反射コーティング27が施されてい
る。
【0171】ここで、映像表示素子1中心から射出して
射出瞳25中心に到る主光線を含む面をY−Z面とし、
その中、射出瞳25に瞳孔を位置させた観察者が映像表
示素子1の映像中心を注視したときの視軸(光軸26に
一致)方向、つまり、光学系を射出した主光線の方向を
Z軸方向、Y−Z面内にあり、Z軸に垂直な方向をY軸
方向、Z軸及びY軸に共に垂直な方向をX軸方向と定義
する。
【0172】図35において、この偏心プリズム光学系
20は、LCD等の映像表示素子1から射出した光束が
図中第1面21を通過屈折して、第3面23の反射コー
ティング27領域で反射するか、又は、第3面23の反
射コーティング27のない領域で全反射して、反射コー
ティング27が施された第2面22で反射し、再度第3
面23の反射コーティング27のない領域で屈折して射
出瞳25位置の観察者の眼に導くという構成の光学系で
ある。
【0173】この投影光学系20に、図36に示すよう
に、周辺屈曲光学手段14を映像表示素子1に面した第
1面21付近に配置する。このとき、周辺屈曲光学系手
段14は、図37(a)に斜視図、同図(b)にY−Z
断面図を示すように、周辺に横方向リニアフレネルレン
ズ(1次元フレネルレンズ)141 と縦方向リニアフレ
ネルレンズ142 が施された素子である。このリニアフ
レネルレンズ141 、142 によって、後記するように
光線を屈曲させる。周辺屈曲光学手段14の光線を屈曲
する周辺部は、上記のようなフレネルレンズである必要
はないが、このリニアフレネルレンズ141 、142
領域で光線を比較的大きく屈曲させるため、中心領域に
比べてパワー付加のために曲率半径の小さな面になり、
かなりの厚みを持ってしまうので、このようなリニアフ
レネルレンズ141 、142 で構成することが望まし
い。また、リニアフレネルレンズ141 、142 でな
く、レリーフパターンやグレーティングを施して回折作
用によって光線を屈曲させるようにしてもよい。
【0174】図37では、周辺屈曲光学手段14はフラ
ットなプレート上にフレネルレンズ141 、142 が施
されたものを示してあるが、画像の結像性を良くするた
めベースとなるプレートを非球面又は自由曲面等で構成
されたものとしてもよい。また、フラットなプレート状
のものの場合、偏心プリズム光学系20の第1面21の
直前に近接して配置する場合は、元々の投影光学系であ
る偏心プリズム光学系20の第1面21がフラットな面
であると(図36)、両者の密着性が良くなり、無駄な
空間がなくなる。なお、このときは、第2面22、第3
面23で偏心プリズム光学系20の結像に関係した収差
が補正されていなければならない。
【0175】また、図38に示すように、周辺屈曲光学
手段14の作用を偏心プリズム光学系20の第1面21
自体に持たせてもよい。すなわち、投影光学系を偏心プ
リズム光学系20と周辺屈曲光学手段14という2部材
に分けるのではなく、偏心プリズム光学系20の第1面
21自体の周辺にリニアフレネルレンズ141 、142
を施して光線を屈曲させるようにするか、あるいは、レ
リーフパターンやグレーティングを施して回折作用によ
って光線を屈曲させるようにしてもよい。
【0176】また、図36では第1面21がフラットな
面である例を示したが、図39に偏心プリズム光学系2
0の第1面21がフラットでない例を示す。この場合、
偏心プリズム光学系20の結像に関係した収差をより補
正でき、周辺がぼけた領域での結像性を良くすることが
できる。また、第1面21自体に周辺屈曲光学手段14
の作用を持たせた例を図40に示す。
【0177】次に、偏心プリズム光学系20の第1面2
1がフラットな面で構成され、映像表示素子1に面した
その面21に直接設けたフレネルレンズ141 、142
に周辺屈曲光学手段14の作用を持たせた構成を代表に
とり説明する。投影光学系20に周辺の光束を屈曲させ
る作用を持たせた場合のY−Z断面での周辺の光路図を
図41に示す。垂直方向のみに言及すると、射出瞳25
から見て図中光線uより上側の画角の光束と図中光線l
より下側の画角の光束が、映像表示素子1に面した面2
1に施されるか又はその面21と映像表示素子1の間に
配された周辺屈曲光学手段14の光屈曲作用によって、
LCD1端部に導光されている。以後、映像表示素子1
をLCD、周辺屈曲光学手段14をフレネルレンズで代
表させて説明する。図41では、射出瞳25の中心から
の光線群のみを描いてある。
【0178】これらの光線群は、フレネルレンズ14が
ない場合、射出瞳25からの逆光線追跡すれば、点線で
示すようにLCD1の外側に到達する。すなわち、フレ
ネルレンズ14を配置しない場合は、順光線追跡で考え
ると光線uより上側と光線lより下側には光がこないた
め、その部分(正規の映像の外側)に映像は存在しな
い。
【0179】フレネルレンズ14を付加することによ
り、これらの光線群が射出瞳25中心すなわち観察者眼
球に導かれるため、それまで映像がなかった領域まで光
線が存在することになる。図41では射出瞳25中心か
らの光線群のみしか描いていないが、この図を参照にし
て説明すると、これらの光線は全てLCD1のエッジす
なわち映像最周辺の情報が正規の画角(図41で示す画
角θuやθl)より外側に伸びて投影された映像とな
る。
【0180】上下(垂直)方向について更に詳細に説明
する。図42に示すように、射出瞳25中心からの光線
で画角(観察者瞳孔への入射角)θの光線aは、フレネ
ルレンズ14を付加しないときにLCD1表示部の最周
端から出た光線である。このとき、フレネルレンズ14
を設けて新たにパワーを付加する領域を、この画角θの
光束群の主光線(射出瞳25中心を通過する光線)aか
ら上側の画角に相当する光線群が通過する領域とする。
画角(θ+Δθ)は画角θよりΔθ分だけ上側の画角で
あり、画角(θ−Δθ)は画角θよりΔθ分だけ下側の
画角である。図42では、画角θの主光線a、画角(θ
+Δθ)の主光線a’、画角(θ−Δθ)の主光線a”
しか描いていないが、実際に観察者瞳孔に入射する分だ
けの光束径を有している(通常、直径4mm)。図4
3、図44、図45にそれぞれ画角θ、(θ+Δθ)、
(θ−Δθ)の観察者瞳孔に入射する光束の経路の概略
を示す。
【0181】図43は、観察者の眼に入射するときの入
射角すなわち画角がθのときの光路図を示している。こ
の図において、射出瞳25から映像表示素子1への逆光
線追跡で、ある光束径を有した画角θの光束の主光線a
がLCD1表示部端Xに到達するように、フレネルレン
ズ14が存在する。ただし、ここでは主光線aが射出瞳
25中心を通過する光線と定義する。
【0182】上述した位置にフレネルレンズ14が存在
することによって、主光線aから射出瞳上で上側の光線
束Uがフレネルレンズ14の作用を受け、下側の光線束
Lがフレネルレンズ14の作用を受けない。下側の光線
束LがLCD端部Xへ結像集光し、上側の光線束UはL
CD端部Xより中央側へ到達する。そのため、映像中の
画角θに対応する部分は、約50%がLCD端部Xから
の情報で、残り50%はLCD端部Xではない位置から
の偽情報によって形成される。したがって、半分像を形
成しない状態である。すなわち、観察したときに画角θ
に当たるこ位置の映像は半分ぼけている状態である。
【0183】図44に観察者の眼に入射するときの入射
角すなわち画角(θ+Δθ)のときの光路図を示してい
る。図中、主光線a’を含む上側光線群U’がフレネル
レンズ14の作用を受け、下側光線群L’がフレネルレ
ンズ14の作用を受けない光線群である。このときの主
光線a’はLCD端部Xに到達する。また、フレネルレ
ンズ14の作用を受けた主光線a’より上側の光線群は
LCD端部Xより中央側へ到達し、主光線a’より上側
の光線群はフレネルレンズ14を通過してる光線もして
いない光線もLCD表示部には到達しない。これはすな
わち、元々フレネルレンズ14がない場合、この画角の
光線は、眼からの逆光線追跡によれば、LCD1の表示
部の外側、つまり、映像を見たとき映像が存在しない領
域に到達するから、フレネルレンズ14を通過しなけれ
ば、LCD表示部には到達しない。また、フレネルレン
ズ14を通過しても、フレネルレンズ14のパワーはθ
より上側の各画角の主光線がLCD最周端に到達するよ
うなパワー配分であるので、ここで述べている(θ+Δ
θ)の画角では、主光線a’より下側の光線は、フレネ
ルレンズ14においてLCD表示部に到達するには小す
ぎるパワーの部分を通過するため、LCD表示部には到
達しない。したがって、図44中、点線で示された光線
は存在しない。これは、図23と図24を用いて説明し
た光線量の減少である。この(θ+Δθ)の画角の映像
は、そのほとんどがぼけている映像である。
【0184】図45に観察者の眼に入射するときの入射
角すなわち画角(θ−Δθ)のときの光路図を示してい
る。図中、上側光線群U”がフレネルレンズ14の作用
を受け、主光線a”を含む下側光線群L”がフレネルレ
ンズ14の作用を受けない光線群である。このとき、主
光線a”はLCD端部Xより内側に到達する。なぜなら
ば、画角θの主光線aがLCD端部Xに到達するから、
それより画角が小さい光線は何の作用も受けなければ、
LCD端部Xより内側に到達する。また、フレネルレン
ズ14の作用を受けた上側光線群U”は主光線a”の到
達位置より更に中央側に到達し、フレネルレンズ14を
通過してない下側光線群L”は主光線a”が到達したL
CD位置に到達する。したがって、この眼に入ってくる
とき画角(θ−Δθ)の映像は、大半が主光線a”が到
達したLCD位置の情報で、少し異なる位置からの情報
が含まれている。すなわち、その映像は少しぼけて見え
る。このようにして、映像周辺に向かうに従って徐々に
ぼけて行く映像を作り出すことができる。
【0185】また、フレネルレンズ14がなければ、画
角θまでしかなかった映像を、フレネルレンズ14を付
加することにより、それ以上の画角の光束まで眼に導く
ことが可能となる、つまり、映像が存在する、言い変え
れば、画角が広がったような印象を与える。すなわち、
表示画面の周辺に、ぼけていようが解像していようが、
映像が存在する(光が観察者瞳孔に導かれている)の
と、全く存在しないのでは、見え方の印象も異なる。観
察者は、通常画面中心付近を注視することが多いため、
周辺の解像度を問わなければ、そこまで映像があるよう
な印象を受ける。さらに、周辺に向かって徐々にぼけて
行けば、人間の視野は周辺に行く程解像度は落ちるとい
う実際の見え方に近いものになり、より自然な映像鑑賞
が楽しめる。
【0186】なお、光線量の減少については、図23と
図24を用いた議論がここにおいても適用できる。ま
た、ぼけ具合を決定するのは、このフレネルレンズ14
を設け始め位置と屈折力の配分である。すなわち、LC
D1のどの領域の光束からフレネルレンズ14の作用が
開始し、どのくらいの強度で作用させるかであるが、こ
れについても、実施例10で説明したことがそのまま適
用できる。
【0187】なお、以上の説明では、一般的に瞳孔中心
が感度が高いため、瞳孔中心を通過する各画角の主光線
をLCDエッジに到達させるような屈折力配分とした
が、目的とするぼかし方によってこの配分とは異なる屈
折力配分としてもよい。また、図24と図27を用いて
説明しているように、周辺光量の落ち方の自然さと良好
な結像状態の領域の広さとはトレードオフ関係にある。
つまり、周辺光量の落ち方を自然にすると、良好な結像
状態の領域は狭くなる。そのため、ケースに応じた最適
なフレネルレンズ14の設け始め位置と屈折力配分にす
ることが重要である。
【0188】また、以上の説明ではY−Z方向の上側だ
けを論じたが、Y−Z方向の下側でも、X−Y方向でも
同様の議論が可能である。
【0189】また、注意点として、実施例1〜13で
は、周辺の光線を屈曲させる位置は光学系の主たる屈折
力の付近又は観察者眼球E側に近い部分であったが、実
施例14では、比較的物体面である映像表示素子1近傍
で光線を屈曲させている。そのため、物体面に近い位置
にフレネルレンズ面があるため、フレネルレンズ14の
縞(溝)が見えてしまうことが考えられる。そのため、
フレネルレンズ14のピッチを縞(溝)が認識されて不
自然にならないような細かいピッチにすることが望まし
い。このピッチを細かくすると、更に回折作用を帯びて
きてよりぼけ方が自然になる。
【0190】次に、実際の数値を用いた例を示す。図4
6にY−Z断面図を示すように、投影光学系として20
mm程度の焦点距離を有する偏心した自由曲面を有する
偏心プリズム光学系20あって、LCD1に面した第1
面21をフラットにした光学系20を用いる。アイリリ
ーフを28mmとし、LCD1に面したフラットな面2
1からLCD1までの距離、つまりワーキングディスタ
ンスを5mm程度とする。このとき、映像表示素子1と
して対角長0.7インチでアスペクト比4:3のLCD
1を用いると、フレネルレンズがない場合、水平画角約
38°、垂直画角約29°の映像が表示できる。
【0191】ここで、図47にY−Z断面図を示すよう
に、映像表示素子1として対角長0.55インチのLC
D1を用いることによって、第1面21の光線が通過し
ないデッドスペース28が生まれたところを利用して、
本発明のフレネルレンズ14を施すことによって、周辺
がぼけた映像を表示できる光学系となる。
【0192】フレネルレンズ14を設けない場合、対角
長0.55インチのLCD1を用いると、水平画角約3
0°、垂直画角約22.7°の表示映像となる。フレネ
ルレンズ14を施すことによって、映像は周辺に向かう
に従って徐々に暗くなるが、フレネルレンズ14を施し
始める位置を、水平画角で画角±15°、垂直画角で±
11.36°の主光線の通過する位置とすると、ぼけて
いても映像が存在する画角は、水平で約46°、垂直で
38°となり、実効的に画角が広がったような表示映像
にすることが可能になる。ここで、この表示映像中のぼ
けの少ない良好な結像領域は、水平で約27.7°、垂
直で20.2°である。図48にこの場合のY−Z断面
内の光路図を、図49に表示画面の様子を示す。
【0193】このように、同じ大きさの光学系で、本発
明に基づいて視野周辺の処理を光学的に行うことで、実
効的に画角が広く、しかも、周辺がぼけていることによ
り臨場感高い表示映像を実現することができる。
【0194】以上の対角長0.7インチの場合、対角長
0.55インチの場合、対角長0.55インチで視野周
辺処理ありの場合の3種の場合の表示画角を次の表に示
す。
【0195】さらに、前記のような3面21〜23から
なり2回の内面反射を行う偏心プリズム光学系20以外
に、図50に光路図を示すような4面51〜54からな
り3回の内面反射を行う偏心プリズム光学系50等、3
回以上の内面反射を行う偏心プリズム光学系からなる投
影光学系の場合にも以上の実施例と同様に、本発明によ
る周辺屈曲光学手段14を適用することができる。図5
0の偏心プリズム光学系50は、光軸26に対してそれ
ぞれの面が偏心している4つの面51〜54で形成され
た空間を屈折率が1より大きい光学的に透明な媒質によ
って満たされており、映像表示素子1から発する光の入
射面を第1面51、射出瞳25とは反対側の面である反
射面を第2面52、射出瞳25に近接した面を第3面5
3、第1面51と第2面52の間に位置し第3面53に
面する反射面を第4面54とすると、映像表示素子1か
ら射出した光線の経路は、偏心プリズム光学系50の第
1面51から屈折して入射し、第4面54で第3面53
側へ内部反射し、第3面53から第2面52側へ内部反
射し、第2面52で第3面53側へ内部反射して第3面
53から屈折して射出して、射出瞳25に到達するもの
である。
【0196】このように、本発明は以上の実施例に限定
されず、種々の変形が可能である。例えば、図51に示
すように、偏心プリズム光学系20の第2面22の周辺
部に反射型DOE(回折型光学素子)29を施した例
や、図52に示すように、偏心プリズム光学系20の第
3面23と観察者眼球(射出瞳25)との間に周辺屈曲
光学手段14を配する例があり、これらの例において
も、以上に詳しく説明してきたような効果を得ることが
できる。
【0197】さて、次に、図38のように、光軸26に
対してそれぞれの面が偏心している3面21〜23で形
成された空間を屈折率が1より大きい光学的に透明な媒
質によって満たされた偏心プリズム光学系20を接眼光
学系として用い、映像表示素子1から射出した光線が第
1面21から屈折して偏心プリズム光学系20へ入射
し、第3面23で第2面22側へ内部反射し、第2面2
2で第3面23側へ内部反射して第3面23から屈折し
て射出して射出瞳25に到達し、射出瞳25に位置する
観察者瞳孔を経て観察者の眼球内の網膜上に映像表示素
子1に表示された映像を投影する頭部装着型映像表示装
置用の偏心プリズム光学系20であって、第1面21に
周辺屈曲光学手段14としてリニアフレネルレンズを設
けた1つの数値例について説明する。
【0198】以下の説明を明確にするために、第1面2
1に設けられるリニアフレネルレンズを明確にしてお
く。第1面21に関して座標系を図53に示すようにと
ると、第1面21の周辺であってZ軸方向両端部にX軸
に沿う溝を有するリニアフレネルレンズ1412、1413
が設けられており、また、X軸方向両端部にZ軸に沿う
溝を有するリニアフレネルレンズ1421、1422が設け
られるている。この中、Z軸方向の第2面22側端部に
設けられるリニアフレネルレンズ1412と第3面23側
に設けられるリニアフレネルレンズ1413とでは構成が
異なる。また、X軸方向両端部に設けられるリニアフレ
ネルレンズ1421、1422は同一構成のものであるの
で、以後、リニアフレネルレンズ1421で代表させる。
なお、以下に示す数値例においては、これらリニアフレ
ネルレンズ1412、1413、1421、1422はシリンド
リカル面で表されている。
【0199】次に、以下の数値例において用いる座標系
について説明する。後述する数値例の構成パラメータに
おいては、図54に示すように、逆光線追跡で、偏心プ
リズム光学系20の射出瞳25の中心を光学系の原点と
して、光軸26を射出瞳25の中心(原点)を通る軸上
主光線で定義し、射出瞳25から光軸26に沿って進む
方向をZ軸方向、このZ軸に直交し射出瞳25中心を通
り、光線が偏心プリズム光学系20によって折り曲げら
れる面内の方向をY軸方向、Y軸、Z軸に直交し、射出
瞳25中心を通る方向をX軸方向とし、射出瞳25から
偏心プリズム光学系20に向かう方向をZ軸の正方向、
光軸26から映像表示素子1の側をY軸の正方向、そし
てこれらY軸、Z軸と右手系を構成する方向をX軸の正
方向とする。なお、光線追跡は偏心プリズム光学系20
の射出瞳25側の物体側から偏心プリズム光学系20に
入射する方向としている。
【0200】そして、偏心が与えられている面について
は、その面の面頂位置の偏心プリズム光学系20の原点
である射出瞳25の中心からのX軸方向、Y軸方向、Z
軸方向の偏心量と、その面の中心軸(自由曲面、シリン
ドリカル面については、それぞれ以下の(a)式、
(b)式、(c)式のZ軸)のX軸、Y軸、Z軸それぞ
れを中心とする傾き角(それぞれα、β、γ(°))と
が与えられている。なお、その場合、αとβの正はそれ
ぞれの軸の正方向に対しての反時計回りを、γの正はZ
軸の正方向に対しての時計回りを意味する。その他、球
面の曲率半径、面間隔、媒質の屈折率、アッベ数が慣用
法に従って与えられている。
【0201】なお、回転非対称面である自由曲面の形状
は以下の式により定義する。その定義式のZ軸が回転非
対称面の軸となる。 Z=Σn Σm nmn n-m ただし、Σn はΣのnが0〜k、Σm はΣのmが0〜n
を表す。
【0202】また、面対称自由曲面(対称面を1つのみ
有する自由曲面)を、この自由曲面を表す式により定義
する場合は、その対称面により生ずる対称性をX方向に
求める場合は、Xの奇数次項を0に(例えばX奇数次項
の係数を0にする)、その対称面により生ずる対称性を
Y方向に求める場合は、Yの奇数次項を0に(例えばY
奇数次項の係数を0にする)すればよい。
【0203】ここで、例としてk=7(7次項)で、X
方向に対称な面対称自由曲面を上記定義式を展開した形
で表すと、以下の式となる。
【0204】 Z=C2 +C3 Y+C4 X +C5 2 +C6 YX+C7 2 +C8 3 +C9 2 X+C10YX2 +C113 +C124 +C133 X+C142 2 +C15YX3 +C164 +C175 +C184 X+C193 2 +C202 3 +C21YX4 +C225 +C236 +C245 X+C254 2 +C263 3 +C272 4 +C28YX5 +C296 +C307 +C316 X+C325 2 +C334 3 +C343 4 +C352 5 +C36YX6 +C377 ・・・(a) そして、X奇数次項の係数C4 ,C6 ,C9 ・・・を0
とする(後記の数値例)。なお、後記する構成のパラメ
ータ中において、記載のない非球面に関する係数は0で
ある。
【0205】また、Z軸に沿う母線を有するシリンドリ
カル面(リニアフレネルレンズ)1421の形状は以下の
式により定義する。その定義式のZ軸がシリンドリカル
面の軸となる。 Z=(X2 /Rx )/[1+{1−(1+K)(X2 /R2 )}1/2 ] +A4 4 +A6 6 +A8 8 +A1010・・・ ・・・(c) ただし、XはZに垂直な方向であり、Rx は母線に垂直
な断面内の近軸曲率半径、Pは円錐係数、A4 、A6
8 、A10は非球面係数である。
【0206】また、X軸に沿う母線を有するシリンドリ
カル面(リニアフレネルレンズ)1412、1413の形状
は以下の式により定義する。その定義式のZ軸がシリン
ドリカル面の軸となる。 Z=(Y2 /Ry )/[1+{1−P(Y2 /R2 )}1/2 ] +A4 4 +A6 6 +A8 8 +A1010・・・ ・・・(b) ただし、YはZに垂直な方向であり、Ry は母線に垂直
な断面内の近軸曲率半径、Pは円錐係数、A4 、A6
8 、A10は非球面係数である。
【0207】なお、後記する構成パラメータにおいて、
データの記載されていない非球面に関する項は0であ
る。屈折率についてはd線(波長587.56nm)に
対するものを表記してある。長さの単位はmmである。
【0208】図54は、上記数値例の偏心プリズム光学
系20のリニアフレネルレンズ1421、1412、1413
を設ける前の基本形態のX軸に沿う方向から見た側面
図、図55は、Y軸と反対方向から見た平面図であり、
光路を示している。その数値データは後記に基本数値デ
ータとして示すが、この偏心プリズム光学系20は3つ
の面3、4、5からなっており、その3つの面3〜5の
間が屈折率が1より大きい透明媒質で埋められていて、
不図示の物体から発した光線束が光軸25に沿って偏心
プリズム光学系20の射出瞳25をまず通過し、透過作
用と反射作用を有する第3面23に入射して偏心プリズ
ム光学系20内に入り、その入射光線は射出瞳25から
遠い側の反射作用のみを有する反射面である第2面22
で射出瞳25に近づく方向に反射され、今度は第3面2
3で射出瞳25から遠ざかる方向に再び反射され、その
反射光線は、透過作用のみを有する第1面21を透過し
て像面の位置に配置された映像表示素子1の表示面に到
達する。なお、図中、Xは表示面の部端を示す。そし
て、第1面21は平面、第2面22、第3面23は前記
の(a)式で定義される自由曲面からなる。映像表示素
子1としては、前記のように、対角長0.55インチの
LCD1を用いており、水平画角約30°、垂直画角約
22.7°の表示映像となる。
【0209】図56は、上記数値例の偏心プリズム光学
系20の射出瞳25中心を通り第1面21に設けたリニ
アフレネルレンズ(シリンドリカル面)1421を通る光
束の光路を示すY軸と反対方向から見た平面図である。
この光路に沿って進む光線の逆光線追跡数値データを左
エッジ数値データとして後記する。ここでは、左方向
(+X方向)画角15°以上の光線がLCD1の表示部
端Xに到達している。
【0210】図57は、上記数値例の偏心プリズム光学
系20の射出瞳25中心を通り第1面21に設けたリニ
アフレネルレンズ(シリンドリカル面)1412を通る光
束の光路を示すX軸に沿う方向から見た側面図である。
この光路に沿って進む光線の逆光線追跡数値データを下
エッジ数値データとして後記する。ここでは、下方向
(−Y方向)画角11.36°以上の光線がLCD1の
表示部端Xに到達している。
【0211】図58は、上記数値例の偏心プリズム光学
系20の射出瞳25中心を通り第1面21に設けたリニ
アフレネルレンズ(シリンドリカル面)1413を通る光
束の光路を示すX軸に沿う方向から見た側面図である。
この光路に沿って進む光線の逆光線追跡数値データを上
エッジ数値データとして後記する。ここでは、上方向
(+Y方向)画角11.36°以上の光線がLCD1の
表示部端Xに到達している。
【0212】 基本数値データ 面番号 曲率半径 間隔 偏心 屈折率 アッベ数 物体面 ∞ -1000.00 1 ∞(瞳) 2 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 3 自由曲面 偏心(2) 1.4922 57.5 4 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 5 ∞ 偏心(3) 像 面 ∞ 偏心(4) 自由曲面 C5 -2.2539×10-37 -4.7615×10-38 -6.8111×10-510 -7.4284×10-512 9.0073×10-714 -9.9240×10-616 -1.4950×10-517 6.0486×10-819 -2.3396×10-721 -6.4039×10-7 自由曲面 C5 -9.1711×10-37 -1.1006×10-28 -2.9533×10-510 7.4822×10-612 8.0184×10-714 -6.1788×10-616 -5.5257×10-617 -6.5900×10-819 6.4109×10-821 5.6308×10-8 偏心(1) X 0.000 Y 7.060 Z 27.143 α 14.55 β 0.00 γ 0.00 偏心(2) X 0.000 Y 0.532 Z 35.732 α -16.40 β 0.00 γ 0.00 偏心(3) X 0.000 Y 15.845 Z 30.993 α 74.99 β 0.00 γ 0.00 偏心(4) X 0.000 Y 20.969 Z 33.716 α 61.01 β 0.00 γ 0.00 。
【0213】 左エッジ数値データ 面番号 曲率半径 間隔 偏心 屈折率 アッベ数 物体面 ∞ -1000.00 1 ∞(瞳) 2 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 3 自由曲面 偏心(2) 1.4922 57.5 4 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 5 Rx 4.87015 偏心(3) Ry ∞ (シリンドリカル面) 像 面 ∞ 偏心(4) 自由曲面 C5 -2.2539×10-37 -4.7615×10-38 -6.8111×10-510 -7.4284×10-512 9.0073×10-714 -9.9240×10-616 -1.4950×10-517 6.0486×10-819 -2.3396×10-721 -6.4039×10-7 自由曲面 C5 -9.1711×10-37 -1.1006×10-28 -2.9533×10-510 7.4822×10-612 8.0184×10-714 -6.1788×10-616 -5.5257×10-617 -6.5900×10-819 6.4109×10-821 5.6308×10-8 非球面係数 面番号:5 K =-1.000000 A4 =-0.102281×10-26 =-0.137911×10-48 = 0.238680×10-610=-0.912822×10-9 偏心(1) X 0.000 Y 7.060 Z 27.143 α 14.55 β 0.00 γ 0.00 偏心(2) X 0.000 Y 0.532 Z 35.732 α -16.40 β 0.00 γ 0.00 偏心(3) X 0.000 Y 15.845 Z 30.993 α 74.99 β 0.00 γ 0.00 偏心(4) X 0.000 Y 20.969 Z 33.716 α 61.01 β 0.00 γ 0.00 。
【0214】 下エッジ数値データ 面番号 曲率半径 間隔 偏心 屈折率 アッベ数 物体面 ∞ -1000.00 1 ∞(瞳) 2 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 3 自由曲面 偏心(2) 1.4922 57.5 4 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 5 Rx ∞ 偏心(3) Ry 3.17947 (シリンドリカル面) 像 面 ∞ 偏心(4) 自由曲面 C5 -2.2539×10-37 -4.7615×10-38 -6.8111×10-510 -7.4284×10-512 9.0073×10-714 -9.9240×10-616 -1.4950×10-517 6.0486×10-819 -2.3396×10-721 -6.4039×10-7 自由曲面 C5 -9.1711×10-37 -1.1006×10-28 -2.9533×10-510 7.4822×10-612 8.0184×10-714 -6.1788×10-616 -5.5257×10-617 -6.5900×10-819 6.4109×10-821 5.6308×10-8 非球面係数 面番号:5 K =-1.000000 A4 =-0.492120×10-26 = 0.632099×10-48 =-0.601587×10-610= 0.362703×10-8 偏心(1) X 0.000 Y 7.060 Z 27.143 α 14.55 β 0.00 γ 0.00 偏心(2) X 0.000 Y 0.532 Z 35.732 α -16.40 β 0.00 γ 0.00 偏心(3) X 0.000 Y 15.845 Z 30.993 α 74.99 β 0.00 γ 0.00 偏心(4) X 0.000 Y 20.969 Z 33.716 α 61.01 β 0.00 γ 0.00 。
【0215】 上エッジ数値データ 面番号 曲率半径 間隔 偏心 屈折率 アッベ数 物体面 ∞ -1000.00 1 ∞(瞳) 2 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 3 自由曲面 偏心(2) 1.4922 57.5 4 自由曲面 偏心(1) 1.4922 57.5 5 Rx ∞ 偏心(3) Ry 3.54363 (シリンドリカル面) 像 面 ∞ 偏心(4) 自由曲面 C5 -2.2539×10-37 -4.7615×10-38 -6.8111×10-510 -7.4284×10-512 9.0073×10-714 -9.9240×10-616 -1.4950×10-517 6.0486×10-819 -2.3396×10-721 -6.4039×10-7 自由曲面 C5 -9.1711×10-37 -1.1006×10-28 -2.9533×10-510 7.4822×10-612 8.0184×10-714 -6.1788×10-616 -5.5257×10-617 -6.5900×10-819 6.4109×10-821 5.6308×10-8 非球面係数 面番号:5 K =-1.000000 A4 =-0.484716×10-26 = 0.692953×10-48 =-0.456325×10-610= 0.971400×10-9 偏心(1) X 0.000 Y 7.060 Z 27.143 α 14.55 β 0.00 γ 0.00 偏心(2) X 0.000 Y 0.532 Z 35.732 α -16.40 β 0.00 γ 0.00 偏心(3) X 0.000 Y 15.845 Z 30.993 α 74.99 β 0.00 γ 0.00 偏心(4) X 0.000 Y 20.969 Z 33.716 α 61.01 β 0.00 γ 0.00 。
【0216】さて、本発明の映像表示装置を頭部装着型
映像表示装置に適用する場合、以上に説明したような何
れかの映像表示装置を1組用意し、片眼装着用に構成し
ても、また、そのような組を左右一対用意し、それらを
眼輻距離だけ離して支持することにより、両眼装着用に
構成してもよい。そのようにして、片眼あるいは両眼で
観察できる据え付け型又はポータブル型の画像表示装置
として構成することができる。
【0217】片眼に装着する構成にした場合の様子を図
59に(この場合は、左眼に装着)、両眼に装着する構
成にした場合の様子を図60にそれぞれ示す。図59、
図60中、31は表示装置本体部を示し、図59の場合
は観察者の顔面の左眼の前方に、図60の場合は観察者
の顔面の両眼の前方に保持されるよう支持部材が頭部を
介して固定している。その支持部材としては、一端を表
示装置本体部31に接合し、観察者のこめかみから耳の
上部にかけて延在する左右の前フレーム32と、前フレ
ーム32の他端に接合され、観察者の側頭部を渡るよう
に延在する左右の後フレーム33とから(図59の場
合)、あるいは、さらに、左右の後フレーム33の他端
に挟まれるように自らの両端を一方づつ接合し、観察者
の頭頂部を支持する頭頂フレーム34とから(図60の
場合)構成されている。
【0218】また、前フレーム32における上記の後フ
レーム33との接合近傍には、弾性体からなり例えば金
属板バネ等で構成されたリヤプレート35が接合されて
いる。このリヤプレート35は、上記支持部材の一翼を
担うリヤカバー36が観察者の後頭部から首のつけねに
かかる部分で耳の後方に位置して支持可能となるように
接合されている(図60の場合)。リヤプレート35又
はリヤカバー36内にの観察者の耳に対応する位置にス
ピーカー39が取り付けられている。
【0219】映像・音声信号等を外部から送信するため
のケーブル41が表示装置本体部31から、頭頂フレー
ム34(図60の場合)、後フレーム33、前フレーム
32、リヤプレート35の内部を介してリヤプレート3
5あるいはリヤカバー36の後端部より外部に突出して
いる。そして、このケーブル41はビデオ再生装置40
に接続されている。なお、図中、40aはビデオ再生装
置40のスイッチやボリュウム調整部である。
【0220】なお、ケーブル41は先端をジャックし
て、既存のビデオデッキ等に取り付け可能としてもよ
い。さらに、TV電波受信用チューナーに接続してTV
鑑賞用としてもよいし、コンピュータに接続してコンピ
ュータグラフィックスの映像や、コンピュータからのメ
ッセージ映像等を受信するようにしてもよい。また、邪
魔なコードを排斥するために、アンテナを接続して外部
からの信号を電波によって受信するようにしても構わな
い。
【0221】なお、以上の実施例2〜14において、観
察者の射出瞳に代えて、実施例1のように絞り8を配置
し、スクリーン9上に投影させるようにしても、周辺が
ぼけている人間の視界に近い自然な映像が表示できる。
【0222】以上のように、本発明は、上述した実施例
1〜14ような光学系の構成によって、良好な結像状態
の映像周辺にぼけた映像が存在した投影映像となり、臨
場感を損なう原因となる映像のエッジがはっきり示され
ないことで、現実感、臨場感を向上させることができる
ものである。
【0223】以上、本発明の映像表示装置のいくつかの
実施例について説明してきたが、本発明はこれら実施例
に限定されず種々の変形が可能である。
【0224】以上の本発明の映像表示装置は例えば次の
ように構成することができる。 〔1〕 映像を表示する映像表示手段と、前記映像を投
影する投影光学系とを有する映像表示装置において、前
記投影光学系は、前記映像表示手段周辺からの光束の一
部を映像画面の映像表示領域内側及び外側に分配する周
辺屈曲光学手段を備えていることを特徴とする映像表示
装置。
【0225】〔2〕 前記周辺屈曲光学手段による前記
光束の一部の分配が連続的な分布を有することを特徴と
する上記〔1〕記載の映像表示装置。
【0226】〔3〕 前記周辺屈曲光学手段による前記
光束の一部の分配が、映像画面の映像表示領域の最大画
角を越えた角度での分配を含むことを特徴とする上記
〔1〕又は〔2〕記載の映像表示装置。
【0227】〔4〕 映像を表示する映像表示手段と、
前記映像を投影する投影光学系とを有する映像表示装置
において、前記投影光学系は、映像表示領域の周辺にお
ける屈折力が主表示領域の屈折力よりも正の方向に大き
い屈折又は反射作用を持つ端部を有することを特徴とす
る映像表示装置。
【0228】〔5〕 前記投影光学系は、前記映像を観
察者の眼球内の網膜上に投影する接眼光学系であること
を特徴とする上記〔4〕記載の映像表示装置。
【0229】〔6〕 前記接眼光学系は、前記映像表示
手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映像
表示手段と視軸に対して斜めに配された透過及び反射作
用を有する面を含む光学系であることを特徴とする上記
〔5〕記載の映像表示装置。
【0230】〔7〕 前記接眼光学系は、前記映像表示
手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映像
表示手段と対向して配置された焦点距離fが15mm≦
f≦60mmを満足する凹面鏡と、前記凹面鏡で反射さ
れる光束を観察者の眼球内に導くように、前記凹面鏡と
前記映像表示手段との間に配された半透過鏡とを具備し
ており、さらに、前記凹面鏡は、周辺領域における接平
面の法線と前記凹面鏡の光軸とが交わる点が、主領域に
おける接平面の法線と前記凹面鏡の光軸とが交わる点よ
り前記凹面鏡側に近づいている形状を有することによっ
て、周辺領域における光線の屈折力が主表示領域におけ
る屈折力よりも正の方向に大きくなっていることを特徴
とする上記〔6〕記載の映像表示装置。
【0231】〔8〕 前記接眼光学系は、前記映像表示
手段に表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦点
距離fが15mm≦f≦60mmを満足する観察者の眼
球と対向し、光軸が前記映像表示手段の法線と交差する
ように配された凹面鏡と、前記映像表示手段から発せら
れた光束を前記凹面鏡に導き、前記凹面鏡で反射された
光束を前記観察者の眼球に導くように、前記観察者の眼
球と前記凹面鏡との間に配された半透過鏡とを具備して
おり、さらに、前記凹面鏡は、周辺領域における接平面
の法線と前記凹面鏡の光軸とが交わる点が、主領域にお
ける接平面の法線と前記凹面鏡の光軸とが交わる点より
前記凹面鏡側に近づいている形状を有することによっ
て、周辺領域における光線の屈折力が主表示領域におけ
る屈折力よりも正の方向に大きくなっていることを特徴
とする上記〔6〕記載の映像表示装置。
【0232】
〔9〕 前記接眼光学系は、前記映像表示
手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映像
表示手段と対向して配置された焦点距離fが15mm≦
f≦60mmを満足する凹面鏡と、前記凹面鏡で反射さ
れる光束を観察者の眼球内に導くように、前記凹面鏡と
前記映像表示手段との間に配された半透過部を有する接
合プリズムとを具備しており、さらに、前記凹面鏡は、
周辺領域における接平面の法線と前記凹面鏡の光軸とが
交わる点が、主領域における接平面の法線と前記凹面鏡
の光軸とが交わる点より前記凹面鏡側に近づいている形
状を有することによって、周辺領域における光線の屈折
力が主表示領域における屈折力よりも正の方向に大きく
なっていることを特徴とする上記〔6〕記載の映像表示
装置。
【0233】〔10〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、光軸が
前記映像表示手段の法線と交差するように配された焦点
距離fが15mm≦f≦60mmを満足する凹面鏡と、
前記凹面鏡で反射された光束を前記観察者の眼球内に導
くように、前記凹面鏡と前記映像表示手段との間に配さ
れた半透過部を有する接合プリズムとを具備しており、
さらに、前記凹面鏡は、周辺領域における接平面の法線
と前記凹面鏡の光軸とが交わる点が、主領域における接
平面の法線と前記凹面鏡の光軸とが交わる点より前記凹
面鏡側に近づいている形状を有することによって、周辺
領域における光線の屈折力が主表示領域における屈折力
よりも正の方向に大きくなっていることを特徴とする上
記〔6〕記載の映像表示装置。
【0234】〔11〕 前記接眼光学系は、観察者の眼
球と主たる屈折力を有する光学手段との光路中に、前記
映像表示周辺に対する光束の屈折力が主表示領域におけ
る屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段を具
備することを特徴とする上記〔5〕記載の映像表示装
置。
【0235】〔12〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と視軸に対して斜めに配された透過及び反射
作用を有する面を含む光学系を有することを特徴とする
上記〔11〕記載の映像表示装置。
【0236】〔13〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と対向して配置された焦点距離fが15mm
≦f≦60mmを満足する凹面鏡と、前記凹面鏡で反射
される光束を観察者の眼球内に導くように、前記凹面鏡
と前記映像表示手段との間に配された半透過鏡と、前記
半透過鏡と前記観察者の眼球との光路中に配置された前
記映像表示素子の周辺領域に対する屈折力が主表示領域
における屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手
段を具備することを特徴とする上記〔11〕記載の映像
表示装置。
【0237】〔14〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦
点距離fが15mm≦f≦60mmを満足する観察者の
眼球と対向し、光軸が前記映像表示手段の法線と交差す
るように配された凹面鏡と、前記映像表示手段から発せ
られた光束を前記凹面鏡に導き、前記凹面鏡で反射され
た光束を前記観察者の眼球に導くように、前記観察者の
眼球と前記凹面鏡との間に配された半透過鏡と、前記半
透過鏡と前記観察者の眼球との光路中に配置された前記
映像表素子の周辺領域に対する屈折力が主表示領域にお
ける屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段を
具備することを特徴とする上記〔12〕記載の映像表示
装置。
【0238】〔15〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と対向して配置された焦点距離fが15mm
≦f≦60mmを満足する凹面鏡と、前記凹面鏡で反射
される光束を観察者の眼球内に導くように、前記凹面鏡
と前記映像表示手段との間に配された半透過部を有する
接合プリズムと、前記接合プリズムと前記観察者の眼球
との光路中に配置された前記映像表素子の周辺領域に対
する屈折力が主表示領域における屈折力よりも正の方向
に大きい周辺屈曲光学手段を具備することを特徴とする
上記〔12〕記載の映像表示装置。
【0239】〔16〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、光軸が
前記映像表示手段の法線と交差するように配された焦点
距離fが15mm≦f≦60mmを満足する凹面鏡と、
前記凹面鏡で反射される光束を観察者の眼球内に導くよ
うに、前記凹面鏡と前記映像表示手段との間に配された
半透過部を有する接合プリズムと、前記接合プリズムと
前記観察者の眼球との光路中に配置された前記映像表素
子の周辺領域に対する屈折力が主表示領域における屈折
力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段を具備する
ことを特徴とする上記〔12〕記載の映像表示装置。
【0240】〔17〕 前記周辺屈曲光学手段は、周辺
に向かうにつれて緩やかに屈折力が強くなる分布を有す
ることを特徴とする上記〔11〕又は〔12〕記載の映
像表示装置。
【0241】〔18〕 前記周辺屈曲光学手段の屈折力
の大きい周辺における屈曲作用を受けた光束と、主表示
領域における屈曲作用を受けた光束とが、射出瞳からの
逆光線追跡にて到達する前記映像表示素子面上での2つ
の領域は、互いに一部が重なり合っていることを特徴と
する上記〔11〕記載の映像表示装置。
【0242】〔19〕 前記周辺屈曲光学手段は、射出
瞳からの光線逆追跡にて、前記周辺屈曲光学手段の屈折
力が大きい周辺部を通過した光線は、主たる屈折力を有
する光学手段の端部近傍又は前記映像表示手段の表示領
域端部近傍に到達する作用を有することを特徴とする上
記〔11〕又は〔12〕記載の映像表示装置。
【0243】〔20〕 前記映像表示素子の中央から垂
直に射出し眼球に到る光線を光軸とし、主光線を射出瞳
中心を通過する光線、あるいは、画面中心を注視したと
きの眼球の瞳孔中心を通過する光線とするとき、前記周
辺屈曲光学手段は、前記映像表示素子の最周辺を射出し
た主光線が前記周辺屈曲光学手段面上に到達する位置か
ら光軸側に2.5mm、光軸と逆側に2.5mm以内の
領域で屈折作用を持ち始め、その領域から光軸と逆方向
側に屈折作用を有しているように配設されていることを
特徴とする上記〔11〕又は〔12〕記載の映像表示装
置。
【0244】〔21〕 前記屈折作用を持ち始める領域
は、光軸側に0.5mm、光軸と逆側に0.5mm以内
の領域であることを特徴とする上記〔20〕記載の映像
表示装置。
【0245】〔22〕 前記屈曲作用を持ち始める領域
は、光軸側に1.5mm、光軸と逆側に2.5mm以内
の領域であることを特徴とする上記〔20〕記載の映像
表示装置。
【0246】〔23〕 前記周辺屈曲光学手段はフレネ
ル光学素子であることを特徴とする上記〔11〕又は
〔12〕記載の映像表示装置。
【0247】〔24〕 前記周辺屈曲光学手段は回折光
学素子であることを特徴とする上記〔11〕又は〔1
2〕記載の映像表示装置。
【0248】〔25〕 前記観察者の眼球に一番近い最
終射出面が前記周辺屈曲光学手段を兼ねていることを特
徴とする上記〔15〕又は〔16〕記載の映像表示装
置。
【0249】〔26〕 前記接眼光学系は、主たる屈折
面は周辺において正の屈折力が弱くなる非球面を有し、
該非球面周辺の作用を受けた光束を観察者の瞳孔に導く
働きを有する正の方向に大きい屈折力を有する周辺屈曲
光学手段を具備することを特徴とする上記〔5〕記載の
映像表示装置。
【0250】〔27〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と視軸に対して斜めに配された透過及び反射
作用を有する面を含む光学系を有することを特徴とする
上記〔26〕記載の映像表示装置。
【0251】〔28〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と対向して配置された焦点距離fが15mm
≦f≦60mmを満足し、前記映像の周辺領域に対する
正の屈折力が前記映像の主表示領域における正の屈折力
よりも弱くなる非球面を有する凹面鏡と、前記凹面鏡で
反射される光束を観察者の眼球内に導くように、前記凹
面鏡と前記映像表示手段との間に配された半透過鏡と、
前記半透過鏡と前記観察者の眼球との光路中に配置され
た前記映像の周辺領域に対する屈折力が前記の主表示領
域における屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学
手段とを具備することを特徴とする上記〔27〕記載の
映像表示装置。
【0252】〔29〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影する働きを有し、焦
点距離fが15mm≦f≦60mmを満足する観察者の
眼球と対向し、光軸が前記映像表示手段の法線と交差す
るように配置され、前記映像の周辺領域に対する正の屈
折力が前記映像の主表示領域における正の屈折力よりも
弱くなる非球面を有する凹面鏡と、前記映像表示手段か
ら発せられた光束を前記凹面鏡に導き、前記凹面鏡で反
射された光束を前記観察者の眼球に導くように、前記観
察者の眼球と前記凹面鏡との間に配された半透過鏡と、
前記半透過鏡と前記観察者の眼球との光路中に配置され
た前記映像の周辺領域に対する屈折力が前記映像の主表
示領域における屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲
光学手段とを具備することを特徴とする上記〔27〕記
載の映像表示装置。
【0253】〔30〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と対向して配置された焦点距離fが15mm
≦f≦60mmを満足し、前記映像の周辺領域に対する
正の屈折力が前記映像の主表示領域における正の屈折力
よりも弱くなる非球面を有する凹面鏡と、前記凹面鏡で
反射される光束を観察者の眼球内に導くように、前記凹
面鏡と前記映像表示手段との間に配された半透過部を有
する接合プリズムと、前記接合プリズムと前記観察者の
眼球との光路中に配置された前記映像の周辺領域に対す
る屈折力が前記映像の主表示領域における屈折力よりも
正の方向に大きい周辺屈曲光学手段とを具備することを
特徴とする上記〔27〕記載の映像表示装置。
【0254】〔31〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、光軸が
前記映像表示手段の法線と交差するように配置された焦
点距離fが15mm≦f≦60mmを満足し、前記映像
の周辺領域に対する正の屈折力が前記映像の主表示領域
における正の屈折力よりも弱くなる非球面を有する凹面
鏡と、前記凹面鏡で反射される光束を観察者の眼球内に
導くように、前記凹面鏡と前記映像表示手段との間に配
された半透過部を有する接合プリズムと、前記接合プリ
ズムと前記観察者の眼球との光路中に配置された前記映
像の周辺領域に対する屈折力が前記映像の主表示領域に
おける屈折力よりも正の方向に大きい周辺屈曲光学手段
とを具備することを特徴とする上記〔27〕記載の映像
表示装置。
【0255】〔32〕 前記周辺屈曲光学手段は、周辺
に向かうにつれて緩やかに屈折力が強くなる分布を有す
ることを特徴とする上記〔26〕記載の映像表示装置。
【0256】〔33〕 前記周辺屈曲光学手段の屈折力
の大きい周辺における屈曲作用を受けた光束と、主表示
領域における屈曲作用を受けた光束とが、射出瞳からの
逆光線追跡にて到達する前記映像表示素子面上での2つ
の領域は、互いに一部が重なり合っていることを特徴と
する上記〔26〕記載の映像表示装置。
【0257】〔34〕 前記周辺屈曲光学手段はフレネ
ル光学素子であることを特徴とする上記〔26〕記載の
映像表示装置。
【0258】〔35〕 前記周辺屈曲光学手段は回折光
学素子であることを特徴とする上記〔26〕記載の映像
表示装置。
【0259】〔36〕 前記観察者の眼球に一番近い最
終射出面が前記周辺屈曲光学手段を兼ねていることを特
徴とする上記〔34〕又は〔35〕記載の映像表示装
置。
【0260】〔37〕 前記投影光学系の前記映像表示
手段に最も近い光学面に前記端部を形成したことを特徴
とする上記〔4〕記載の映像表示装置。
【0261】〔38〕 前記投影光学系は、前記映像を
観察者の眼球内の網膜上に投影する接眼光学系であるこ
とを特徴とする上記〔37〕記載の映像表示装置。
【0262】〔39〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段に表示される映像を拡大投影するように、前記映
像表示手段と視軸に対して斜めに配された透過及び反射
作用を有する面を含む光学系であることを特徴とする上
記〔38〕記載の映像表示装置。
【0263】〔40〕 前記光学面の前記端部は、周辺
に向かうにつれて穏やかに屈折力が強くなる分布を有す
ることを特徴とする上記〔37〕記載の映像表示装置。
【0264】〔41〕 前記光学面の前記端部は、射出
瞳からの光線を逆追跡にて、前記端部を通過した光線が
前記映像表示手段の表示領域端部近傍に到達する作用を
有することを特徴とする上記〔37〕記載の映像表示装
置。
【0265】〔42〕 前記接眼光学系は、少なくとも
3つの光学面を有し、その少なくとも3つの光学面で囲
まれた媒質の屈折率が1より大きいプリズムを含み、前
記プリズムは、観察者の眼球に最も近く前記眼球に向け
て前記映像表示手段からの光束を透過する第3面と、前
記第3面に向けて前記映像表示手段からの光束を反射す
べく前記眼球の視軸に対して傾いて配置された反射面で
ある第2面と、前記プリズム内に前記映像表示手段から
の光束を導く透過面である第1面とを有することを特徴
とする上記〔5〕記載の映像表示装置。
【0266】〔43〕 前記光学面の前記端部は、周辺
に向かうにつれて穏やかに屈折力が強くなる分布を有す
ることを特徴とする上記〔42〕記載の映像表示装置。
【0267】〔44〕 前記光学面の前記端部は、射出
瞳からの光線を逆追跡にて、前記端部を通過した光線が
前記映像表示手段の表示領域端部近傍に到達する作用を
有することを特徴とする上記〔42〕記載の映像表示装
置。
【0268】〔45〕 前記接眼光学系は、前記映像表
示手段と前記第1面との光路中に、前記映像周辺に対す
る光束の屈折力が主表示領域における屈折力よりも正の
方向に大きい周辺屈曲光学手段を備えていることを特徴
とする上記〔42〕記載の映像表示装置。
【0269】〔46〕 前記接眼光学系は、前記プリズ
ムの前記第1面が、前記映像周辺に対する光束の屈折力
が主表示領域における屈折力よりも正の方向に大きい周
辺屈曲光学手段を兼ねていることを特徴とする上記〔4
2〕記載の映像表示装置。
【0270】〔47〕 上記〔1〕から〔16〕、〔2
6〕から〔35〕、〔37〕から〔46〕の何れか1項
記載の映像表示装置を片眼用に1組、あるいは、両眼用
に2組設けてなる映像表示装置本体と、前記映像表示装
置本体を観察者の顔面に保持できるように、前記映像表
示装置本体に接続され、観察者の頭部に指示する支持手
段とを有することを特徴とする頭部装着型映像表示装
置。
【0271】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると、観察画角が広くなくても臨場感のある、また
眼が疲れ難く見やすい頭部装着型等の映像表示装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の映像表示装置の構成を従来例との比
較で模式的に示す図である。
【図2】実施例2の映像表示装置の構成と表示画面を従
来例との比較で模式的に示す図である。
【図3】実施例3の映像表示装置の光学系の構成を示す
垂直断面図である。
【図4】図3の映像表示装置の変形例の垂直断面図であ
る。
【図5】実施例4の映像表示装置の光学系の構成を示す
垂直断面図である。
【図6】図5の映像表示装置の変形例の垂直断面図であ
る。
【図7】実施例5の映像表示装置の光学系の構成を示す
垂直断面図である。
【図8】台形型光学素子の構成を示す斜視図である。
【図9】実施例6の映像表示装置の光学系の構成を示す
垂直断面図である。
【図10】実施例6における台形型光学素子の作用を説
明するための図である。
【図11】実施例6における凹面鏡の径の決め方の別の
例を説明するための図である。
【図12】実施例7の映像表示装置の光学系の構成を示
す垂直断面図である。
【図13】実施例7の映像表示装置の作用を説明するた
めの図である。
【図14】実施例7の映像表示装置の作用を説明するた
めの別の図である。
【図15】実施例8の映像表示装置の光学系の構成を示
す垂直断面図である。
【図16】図15の映像表示装置の変形例の垂直断面図
である。
【図17】実施例9の映像表示装置の光学系の構成を示
す部分的な垂直断面図である。
【図18】実施例9の映像表示装置のフレネルレンズの
作用を説明するための図である。
【図19】実施例9の映像表示装置のフレネルレンズの
作用を説明するための別の図である。
【図20】実施例9の映像表示装置の光線の経路を示す
図である。
【図21】図20と対応させたLCDの画面とその周辺
を示す図である。
【図22】実施例9の映像表示装置の光線の経路を示す
別の図である。
【図23】実施例9の逆光線追跡における眼からの射出
角と光量の関係を示す図である。
【図24】図23に関する総光量を示す図である。
【図25】実施例10の映像表示装置の光学系の構成を
示す部分的な垂直断面図である。
【図26】実施例10の図23に対応する図である。
【図27】実施例10の図24に対応する図である。
【図28】実施例11の映像表示装置の光学系の構成を
示す断面図である。
【図29】実施例12の映像表示装置の光学系の構成を
示す垂直断面図である。
【図30】実施例12の映像表示装置の作用を説明する
ための図である。
【図31】図30の映像表示装置の変形例の垂直断面図
である。
【図32】実施例13の映像表示装置の光学系の構成を
示す垂直断面図である。
【図33】図32の映像表示装置の変形例の垂直断面図
である。
【図34】実施例14の映像表示装置に用いる偏心プリ
ズム光学系の斜視図である。
【図35】偏心プリズム光学系の光路図である。
【図36】実施例14の1形態の映像表示装置の光学系
の構成を示す断面図である。
【図37】実施例14に用いる周辺屈曲光学系手段の斜
視図と断面図である。
【図38】実施例14の別の形態の映像表示装置の光学
系の斜視図である。
【図39】偏心プリズム光学系の第1面がフラットでな
い場合の別の形態の映像表示装置の光学系の構成を示す
断面図である。
【図40】偏心プリズム光学系の第1面がフラットでな
い場合のもう1つの形態の映像表示装置の光学系の構成
を示す断面図である。
【図41】実施例14の作用を説明するための周辺の光
路図である。
【図42】画角θ、(θ+Δθ)、(θ−Δθ)の観察
者瞳孔に入射する主光線の経路を示す図である。
【図43】画角θの観察者瞳孔に入射する光束の経路の
概略を示す図である。
【図44】画角(θ+Δθ)の観察者瞳孔に入射する光
束の経路の概略を示す図である。
【図45】画角(θ−Δθ)の観察者瞳孔に入射する光
束の経路の概略を示す図である。
【図46】対角長0.7インチでアスペクト比4:3の
LCDを用いた例を示すY−Z断面図である。
【図47】図46の例で対角長0.55インチのLCD
を用いた場合のY−Z断面図である。
【図48】図47でフレネルレンズを施した場合のY−
Z断面内の光路図である。
【図49】図48の場合の表示画面の様子を示す図であ
る。
【図50】実施例14において用いる偏心プリズム光学
系の変形例を示す光路図である。
【図51】実施例14の映像表示装置の変形例を示す断
面図である。
【図52】実施例14の映像表示装置の別の変形例を示
す断面図である。
【図53】実施例14の数値例のリニアフレネルレンズ
を説明するため図である。
【図54】実施例14の数値例の偏心プリズム光学系の
基本形態の側面図である。
【図55】実施例14の数値例の偏心プリズム光学系の
基本形態の平面図である。
【図56】実施例14の数値例の偏心プリズム光学系の
左エッジのリニアフレネルレンズを通る光束の光路を示
す平面図である。
【図57】実施例14の数値例の偏心プリズム光学系の
下エッジのリニアフレネルレンズを通る光束の光路を示
す平面図である。
【図58】実施例14の数値例の偏心プリズム光学系の
上エッジのリニアフレネルレンズを通る光束の光路を示
す平面図である。
【図59】本発明の映像表示装置を片眼装着の構成にし
た場合の様子を示す図である。
【図60】本発明の映像表示装置を両眼装着の構成にし
た場合の様子を示す図である。
【図61】LCD最周辺光束が周辺屈曲光学手段の内側
エッジに接している状態を示す図である。
【図62】LCD最周辺光束が周辺屈曲光学手段に半分
がかかっている状態を示す図である。
【図63】LCD最周辺光束が周辺屈曲光学手段に全部
がかかっている状態を示す図である。
【図64】従来の一つの頭部装着型の映像表示装置の光
学系の構成を示す図である。
【図65】図64のハーフミラーを用いない等価光学系
を示す図である。
【符号の説明】
E…観察者眼球 1…映像表示素子(LCD) 2…凹面鏡 3…ハーフミラー 4…射出面 5…屈折レンズ 5’…投影レンズ 6…照明光用光源 7…照明レンズ 8…絞り 9…スクリーン 10…球面単レンズ 11…接眼光学系(接眼レンズ) 12…接合プリズム 13…台形型光学素子 14…フレネルレンズ(周辺屈曲光学手段) 141 、142 、1412、1413、1421、1422…リ
ニアフレネルレンズ(1次元フレネルレンズ) 15…非球面レンズ 20…偏心プリズム光学系(投影光学系) 21…第1面 22…第2面 23…第3面 24…側面 25…射出瞳 26…光軸 27…反射コーティング 31…表示装置本体部 32…前フレーム 33…後フレーム 34…頭頂フレーム 35…リヤプレート 36…リヤカバー 39…スピーカー 41…ケーブル 40…ビデオ再生装置 40a…ボリュウム調整部 50…偏心プリズム光学系 51…第1面 52…第2面 53…第3面 54…第4面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 映像を表示する映像表示手段と、前記映
    像を投影する投影光学系とを有する映像表示装置におい
    て、前記投影光学系は、前記映像表示手段周辺からの光
    束の一部を映像画面の映像表示領域内側及び外側に分配
    する周辺屈曲光学手段を備えていることを特徴とする映
    像表示装置。
  2. 【請求項2】 映像を表示する映像表示手段と、前記映
    像を投影する投影光学系とを有する映像表示装置におい
    て、前記投影光学系は、映像表示領域の周辺における屈
    折力が主表示領域の屈折力よりも正の方向に大きい屈折
    又は反射作用を持つ端部を有することを特徴とする映像
    表示装置。
  3. 【請求項3】 前記投影光学系は、前記映像を観察者の
    眼球内の網膜上に投影する接眼光学系であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の映像表示装置。
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