JPH10245224A - 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法 - Google Patents

酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法

Info

Publication number
JPH10245224A
JPH10245224A JP4783297A JP4783297A JPH10245224A JP H10245224 A JPH10245224 A JP H10245224A JP 4783297 A JP4783297 A JP 4783297A JP 4783297 A JP4783297 A JP 4783297A JP H10245224 A JPH10245224 A JP H10245224A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tin
titanium
sol
titanium oxide
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4783297A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4069330B2 (ja
Inventor
Yoshitane Watabe
淑胤 渡部
Keitaro Suzuki
啓太郎 鈴木
Kinya Koyama
欣也 小山
Motoko Iijima
根子 飯島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Chemical Corp filed Critical Nissan Chemical Corp
Priority to JP04783297A priority Critical patent/JP4069330B2/ja
Priority to EP19980905647 priority patent/EP0992456B1/en
Priority to US09/380,403 priority patent/US6296943B1/en
Priority to PCT/JP1998/000768 priority patent/WO1998039253A1/ja
Priority to AU61160/98A priority patent/AU6116098A/en
Priority to DE69841885T priority patent/DE69841885D1/de
Publication of JPH10245224A publication Critical patent/JPH10245224A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4069330B2 publication Critical patent/JP4069330B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Colloid Chemistry (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックスレンズ、フィルム、プラ
スチックス成形品の表面に施される高屈折率ハードコー
ト剤の成分や、ガラス、セラミックスの表面処理剤、触
媒及び触媒用結合剤、各種ファインセラミックス用原
料、無機質陰イオン交換体などの用途に用いられる酸化
チタン(TiO2 )−酸化スズ(SnO2 )複合ゾルの
製造方法を提供する。 【解決手段】 チタン塩及び金属スズを、過酸化水素の
存在下に水性媒体中で反応させる酸化チタン−酸化スズ
複合ゾルの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は酸化チタン(Ti
2 )−酸化スズ(SnO2 )複合ゾルの製造方法に関
する。本願発明で得られる酸化チタン(TiO2 )−酸
化スズ(SnO2)複合ゾルはプラスチックスレンズ、
フィルム、プラスチックス成形品の表面に施される高屈
折率ハードコート剤の成分や、ガラス、セラミックスの
表面処理剤、触媒及び触媒用結合剤、各種ファインセラ
ミックス用原料、無機質陰イオン交換体などの用途に用
いられる。
【0002】
【従来の技術】近年多用されるようになってきたプラス
チックレンズの表面を改良するために、この表面に適用
されるハードコート剤の成分として高い屈折率を有する
金属酸化物のゾルが用いられている。例えば特公昭63
−37142号公報には、1〜300nmの粒子径を有
するAl、Ti、Zr、Sn、Sbから選ばれる1種以
上の金属酸化物からなる微粒子状無機物の粒子を含有さ
せた透明被覆層を有する成形体が記載されている。
【0003】特公平4−27168号公報には、粒子径
50nm以下の粒子を有する結晶性酸化チタン−酸化ス
ズゾルが開示されている。水溶性チタン化合物及び水溶
性スズ化合物と、アルカリ金属の水酸化物又はその炭酸
塩及び/又はアンモニウム化合物とを反応させ水熱処理
する方法で得られる。特公平5−29363号公報に
は、水和酸化チタン及び水和酸化セリウムの分散液に過
酸化水素を加えて、水和酸化チタン及び水和酸化セリウ
ムを溶解し、そして加熱して得られる酸化チタン−酸化
セリウム複合系ゾルが配合された化粧料が開示されてい
る。
【0004】更に、特開平2−178219号公報及び
特公平4−45453号公報には、酸化チタン−酸化鉄
複合系ゾルの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特公昭63−3714
2号公報記載の1〜300nmの粒子径を有するAl、
Ti、Zr、Sn、Sb等の金属酸化物の粒子は、ハー
ドコート剤成分としてそれぞれ単独で用いてもレンズな
どのプラスチックス基材に塗布して硬化させた場合に、
得られる塗膜の耐水性が十分ではなく好ましくない。ま
た特に屈折率の高い酸化チタンをこの用途に用いる場
合、透明性との関係で一次粒子径を20nm以下、好ま
しくは15nm以下にする必要があるが、紫外線照射に
より青色に着色するという問題を有している。
【0006】特公平4−45453号公報、特開平2−
178219号公報また特公平5−29363号公報記
載のゾルを用いた場合には、酸化チタンに少量の酸化鉄
や酸化セリウムを含有させれば紫外線照射による変色を
抑制することができる。しかし着色を抑制できる程度に
添加した酸化鉄や酸化セリウムのため、それらゾル自体
が褐色や黄色を呈し、これらを使用したコート膜が着色
されるために好ましくない。
【0007】また特公平4−27168号公報記載の結
晶質酸化チタン−酸化スズゾルは複合化させるために1
00℃以上の水熱処理が不可欠となり、このため強固な
二次凝集体が生成し得られるゾルの透明性が著しく低下
するので好ましくない。本願発明は、上記問題点を克服
する事ができる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方
法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、チタン塩及
び金属スズを、過酸化水素の存在下に水性媒体中で反応
させる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法であ
る。更には、本願発明は、下記(a)工程、(b)工程
及び(c)工程; (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH22
/Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩水
溶液に添加して、チタン成分とスズ成分がTiO 2とS
nO2に換算して0.25〜10のTiO2/SnO2
ル比と、TiO2とSnO2に換算した総濃度が5〜50
重量%となるチタン−スズの塩基性塩水溶液を生成する
工程、 (b):(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩
水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温
度で保持して酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集
体を生成させる工程、及び (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化スズ複
合コロイドの凝集体スラリー中の電解質を除去する工
程、より成る酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの製造
方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本願発明の(a)工程で使用され
るチタン塩としては四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チ
タン等が挙げられる。これらのチタン塩は水溶液で用い
る事が好ましい。金属スズは粉末状又は粒状で用いるこ
とが出来る。例えばインゴットを溶融し噴霧凝固させて
得られるアトマイゼーション法による金属スズ粉末や、
インゴットを旋盤やヤスリ等により切削し製造されたフ
レーク状金属スズ粉末を用いる事が出来る。
【0010】過酸化水素は、市販の35重量%濃度の水
溶液を所望の濃度で用いる事が出来る。(a)工程では
チタン塩水溶液に過酸化水素水及び金属スズを、同時に
又は交互に添加してチタン−スズの塩基性塩水溶液を得
る工程である。撹拌機を備えた反応容器にチタン塩水溶
液を入れ、撹拌下に過酸化水素水と金属スズを各々、別
々の添加口から同時に又は交互に添加する。(a)工程
の塩基性塩水溶液、及び以下に続く(b)工程の酸化チ
タン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を含むスラリーは
酸性であるため、それら工程で使用される反応装置はガ
ラス製反応装置やグラスライニング(ホウロウ)製反応
装置を用いる事が好ましい。
【0011】過酸化水素水と金属スズのH22/Snモ
ル比は2〜3に保持しつつチタン塩水溶液中に添加す
る。より詳しくは、過酸化水素水及び金属スズの添加す
べき全重量部に対して1/3〜1/30重量部をそれぞ
れ分収して、チタン塩水溶液への過酸化水素水の添加と
それに続く金属スズの添加そして2〜20分間反応を行
う一連の工程を、3〜30回繰り返す分割添加の方法が
挙げられる。また、過酸化水素水及び金属スズの添加す
べき全重量部に対して1/3〜1/30重量部をそれぞ
れ分収して、チタン塩水溶液への金属スズの添加とそれ
に続く過酸化水素水の添加そして2〜20分間反応を行
う一連の工程を、3〜30回繰り返す分割添加の方法も
挙げられる。この時、初めに全量の過酸化水素を酸性の
チタン塩水溶液に加え、これに金属スズを加えると過酸
化水素の大部分が反応の初期に分解してしまい過酸化水
素の量が不足し、また過酸化水素の分解反応は発熱反応
のため危険であり好ましくない。H22/Snモル比が
3を少し越えても反応は可能であるが、大幅に越えるこ
とは上記理由から好ましくない。H22/Snモル比が
2未満では酸化不充分となるため好ましくない。過酸化
水素水と金属スズの添加時間は、例えばチタン塩1モル
が溶存するチタン塩水溶液を用いた場合に0.4〜10
時間、好ましくは0.4〜5時間をかけて添加すること
が出来る。この添加時間が0.4時間以下では発熱反応
が激しくコントロールが出来なくなり、また未反応の金
属スズが残存し易くなるため好ましくない。また、10
時間以上でも良いが経済的ではないので好ましくない。
【0012】(a)工程において生成するチタン−スズ
の塩基性塩は、チタン成分とスズ成分を酸化チタン(T
iO2)と酸化スズ(SnO2)に換算したTiO2/S
nO2モル比が0.25〜10、好ましくは0.4〜
4.0とする事が出来る。このモル比が0.25未満で
もチタン−スズの塩基性塩水溶液を作成できるが、カウ
ンターアニオンのモル比が低下しコロイドが生成しやす
く、また屈折率も低下するため好ましくない。また、こ
のモル比が10を越えてもチタン−スズの塩基性塩水溶
液を作成できるが、これを用いて製造した酸化チタン−
酸化スズ複合ゾルの紫外線による変色の抑制効果が低下
するため好ましくない。(a)工程のチタン−スズの塩
基性塩水溶液中の(TiO2+SnO2)に換算した総濃
度は5〜50重量%が好ましい。5重量%未満でも可能
であるが、効率が悪く経済的でない。また50重量%を
越える事も可能であるが、粘度が高く、撹拌しにくくな
り、反応が不均一になるために好ましくない。
【0013】(a)工程において水溶液中でのチタン
塩、金属スズ及び過酸化水素水の反応は30〜95℃、
好ましくは40〜85℃で行われる。過酸化水素と金属
スズとの反応は酸化反応であるため発熱反応となり、ま
た過酸化水素の分解反応も同時に起こりこの反応も発熱
反応であるため反応時の温度コントロールには注意が必
要であり、必要に応じて冷却する事が出来る。反応温度
は30℃未満でもよいが、発熱反応であるために過剰の
冷却が必要となり、反応に時間が懸かり過ぎ、経済的で
ない。反応温度が95℃以上の沸騰状態では(a)工程
で粗大なコロイド粒子が生成してしまうため好ましくな
い。
【0014】(b)工程では、(a)工程で得られたチ
タン−スズの塩基性塩を加水分解することによって、酸
化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を得る工程で
ある。(b)工程においてチタン−スズの塩基性塩水溶
液は、酸化チタン(TiO2)と酸化スズ(SnO2)に
換算した総濃度(TiO2+SnO2)が2〜15重量%
に調製する事が好ましい。2重量%未満でも可能である
が、効率が悪く経済的でない。また15重量%を越える
事も可能であるが、粘度が高く、撹拌しにくくなり、加
水分解反応が不均一になるために好ましくない。また粒
子径をコントロールするために予め塩基性物質を添加し
pH調整してから加水分解を行うことが出来る。上記の
塩基性物質は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、アンモニア、及びエチルアミン、n−プロピルアミ
ン、イソプロピルアミン等のアルキルアミン、トリエタ
ノールアミン等のアルカノールアミン、及び第4級アン
モニウム水酸化物等が挙げられ、そしてpHは1〜2に
調製する事が好ましい。
【0015】(b)工程において加水分解の温度は50
〜100℃の温度が好ましい。50℃未満でもよいが加
水分解に時間が懸かりすぎるために好ましくない。10
0℃を越えて行ってもよいが、オートクレーブなどの特
殊な水熱処理装置が必要となり、また水熱処理により生
成したコロイドの二次凝集体が強固になり、得られる酸
化チタン−酸化スズ複合ゾルの透明性が低下するために
好ましくない。
【0016】(b)工程において加水分解に要する時間
は0.1〜100時間が好ましい。0.1時間未満では
加水分解が不充分となり好ましくない。また100時間
を越えた場合は、一次粒子径が大きくなりまた強固な二
次凝集体が形成されるために好ましくない。この(b)
工程により得られる酸化チタン−酸化スズ複合コロイド
粒子の一次粒子径は2〜20nm(ナノメートル)であ
る。
【0017】(c)工程は、(b)工程で得られた酸化
チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中から
過剰な電解質(主にアニオン)を除去して、酸化チタン
−酸化スズ複合コロイド粒子を解膠させてゾルを得る工
程である。過剰な電解質を除去することにより酸化チタ
ン−酸化スズ複合コロイド粒子が一次粒子に近い状態で
分散したゾルを得ることが出来る。この洗浄は凝集沈降
させ、上澄みをデカンテーションする方法、限外濾過
法、イオン交換法などにより行うことができるが、多量
の電解質を含む場合は限外濾過→注水→限外濾過の繰り
返しによる洗浄方法が特に好ましい。
【0018】(c)工程を経て酸化チタン−酸化スズ複
合水性ゾルが得られる。この(c)工程で得られるゾル
中の酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子
径は2〜20nmである。一次粒子径とは凝集形態にあ
る酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の直径ではな
く、個々に分離した時の1個の酸化チタン−酸化スズ複
合コロイド粒子の直径であり、電子顕微鏡で測定するこ
とが出来る。この一次粒子径が2nm未満であると、こ
れを用いて製造した酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの粘
度が高くなり、耐水性も低下するので好ましくない。ま
た一次粒子径が20nm以上の場合は、これを用いて製
造した酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの透明性が低下す
るために好ましくない。
【0019】(d)工程として、(c)工程で得られた
酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルを陰イオン交換する
工程を付加する事が出来る。この陰イオン交換処理によ
り高濃度でも安定なゾルを得ることが出来る。(d)工
程における陰イオン交換は市販の陰イオン交換樹脂を用
いることができ、陰イオン交換樹脂は水酸基型に調整後
に使用する。陰イオン交換樹脂を充填したカラムに酸化
チタン−酸化スズ複合水性ゾルを通液することにより容
易に陰イオン交換できる。通液温度は0〜60℃,通液
速度は空間速度SV1〜10時間が好ましい。(d)工
程では陰イオン交換処理の前及び/又は後に、塩基性物
質を酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルに添加して安定
性を増大させることが出来る。(d)工程において用い
られる塩基性物質としては有機塩基が好ましく、例えば
エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミ
ンなどのアルキルアミン、トリエタノールアミンなどの
アルカノールアミン、及び第4級アンモニウム水酸化物
等が用いられる。
【0020】(d)工程で得たアルカリ性の酸化チタン
−酸化スズ複合ゾルはそのままでも安定であるが、必要
に応じて限外濾過法や蒸発法により濃縮し、高濃度で安
定なゾルを得ることが出来る。(e)工程として、
(c)工程又は(d)工程で得られた酸化チタン−酸化
スズ複合水性ゾルの水性媒体を有機溶媒に置換する工程
を付加する事が出来る。
【0021】(e)工程の溶媒置換の際、安定化剤とし
て少量の有機塩基及び/又は有機酸等が添加される事に
より溶媒置換を安定に行うことができる。この有機塩基
としては例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、
イソプロピルアミン等のアルキルアミン、トリエタノー
ルアミン等のアルカノールアミン、及び第4級アンモニ
ウム水酸化物等が挙げられ、有機酸としては例えば、グ
リコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカ
ルボン酸、及びフェニルホスホン酸等が挙げられる。こ
の溶媒置換は蒸留法、限外濾過法などの通常に用いられ
る方法により行うことができる。この有機溶媒としては
メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級ア
ルコール;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリ
ドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ等のグリコー
ルエーテル類;エチレングリコール等が挙げられる。
【0022】(d)工程及び(e)工程を経て得られる
ゾル中の酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次
粒子径は、やはり2〜20nmである。酸化チタン(T
iO2)は、紫外線吸収能を有しているため耐紫外線顔
料やフィラーとして各種プラスチックス、繊維などに
0.1〜10μm程度の粒子径のパウダーが添加され、
使用されている。また、光学関連用途、例えば光学部材
や透明性フィルムなどに塗布されるコ−ティング組成物
にマイクロフィラーとして使用される酸化チタンは、一
次粒子径が100nm以下、好ましくは20nm以下の
ゾルとして用いられている。一次粒子径が小さな酸化チ
タンは紫外線に対して非常に敏感になるため紫外線吸収
効果が向上する反面、酸化チタンが紫外線により部分的
にTiO2→TiOへの還元反応が起こり、濃青色に呈
するという欠点を持っている。酸化第二スズ(Sn
2)も一次粒子径が100nm以下、特に30nm以
下のゾルになると紫外線により部分的にSnO2→Sn
Oへの還元反応が起こるため褐色あるいは青緑色を呈す
るという欠点を持っている。
【0023】本願発明の酸化チタン−酸化スズ複合ゾル
は、予めチタン塩水溶液に過酸化水素と金属スズをH2
2/Snモル比が2〜3の範囲に保持しつつ添加、反
応させてチタン−スズの塩基性塩水溶液を作成し、これ
を加水分解することより酸化チタン−酸化スズ複合コロ
イド水溶液が形成される。従って、
【0024】
【化1】
【0025】という結合が生成すると考えられるため
に、紫外線照射によってもそれぞれ単独の酸化物の時、
又はそれぞれの酸化物が混合された時に比べてTiOや
SnOへの還元が著しく抑制され、ほとんど変色しなく
なる。また、本願発明で製造されたゾルは、(c)工
程、(d)工程及び(e)工程で電解質の除去、イオン
交換、溶媒置換等の操作を行った後でもTiO2粒子や
SnO2粒子に分離する様な事はないので、原子レベル
【0026】
【化2】
【0027】の結合が生成しているものと考えられる。
また本願発明の酸化チタン−酸化スズ複合ゾルは原子レ
ベルで均一に複合(固溶)されているため、各種セラミ
ックス用材料として用いた場合、焼結温度の低減や、酸
化チタン−酸化スズ系のより均一な材料特性を供与する
ことができる。
【0028】
【実施例】
実施例1 (a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.
2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)
製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)
と水477.8gを、3リットルのジャケット付きガラ
ス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液106
5.3g(TiO2に換算して15.0重量%濃度)を
作成した。
【0029】この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しなが
ら60℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度
の過酸化水素水(工業用)486.0gと金属スズ粉末
(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.20
0)237.4gを添加した。過酸化水素水と金属スズ
の添加は、はじめに過酸化水素水24.3g(0.25
モル)を、次いで金属スズ11.87g(0.1モル)
を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って(5〜
10分)、過酸化水素水24.3g(0.25モル)
を、次いで金属スズ11.87g(0.1モル)を徐々
に加えた。この様に過酸化水素水の添加に続く金属スズ
の添加を、5〜10分の間隔を置いて合計20回繰り返
すことにより、(過酸化水素水を24.3gと金属スズ
を11.87g)×20回の分割添加を行った。
【0030】反応は発熱反応のため金属スズの添加によ
り80〜85℃になり反応が終了すると冷却されて60
〜70℃に低下した。従って上記の添加の間は反応温度
は60〜85℃であった。添加時の過酸化水素水と金属
スズの割合はH22/Snモル比で2.50であった。
過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は2.5時
間であった。なお、反応により水が蒸発するので適量の
補充を行った。反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チ
タン−スズ複合塩水溶液2258gを得た。得られた塩
基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液中では、チタン成分
は酸化チタン(TiO2)に換算した濃度として7.0
8重量%、スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した
濃度として13.35重量%、TiO2/SnO2に換算
したモル比1.0であった。また(Ti+Sn)/Cl
モル比は0.73であった。
【0031】(b)工程:(a)工程で得られた塩基性
塩化チタン−スズ複合塩水溶液980.4gに水301
9.6gを添加し、TiO2+SnO2に換算した濃度で
5重量%まで希釈した。この水溶液を95〜98℃で1
2時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チ
タン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを得た。
【0032】(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン
−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを限外濾過装
置にて水約8リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操作
を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠させ
て酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル3624g
を得た。電子顕微鏡で測定した酸化チタン−酸化スズ複
合コロイド粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0033】(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化
チタン−酸化スズ複合水性ゾル3624gにイソプロピ
ルアミン6.0gを添加した後、陰イオン交換樹脂(ア
ンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)20
0ミリリットルを詰めたカラムに通液し、アルカリ性の
酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル4696gを得た。
このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、濃縮
を行ない、酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル18
20.8gを得た。得られたゾルは比重1.100、粘
度16.3mPa・s、pH8.91、電導度1005
μs/cm、TiO2に換算した濃度は3.8重量%、
SnO2に換算した濃度は7.2重量%であった。
【0034】(e)工程:(d)工程で得られたアルカ
リ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1877.
1gに撹拌下、酒石酸12g、ジイソプロピルアミン1
8gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて
減圧下、メタノール40リットルを徐々に添加しながら
水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸
化チタン−酸化スズ複合メタノールゾル915gを作成
した。得られたメタノールゾルは比重1.096、酸化
チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜
8nm、粘度4.3mPa・s、pH(1+1)7.4
0、電導度(1+1)1405μs/cm、TiO2
換算した濃度は10.6重量%、SnO2に換算した濃
度は19.9重量%、水分0.44重量%であった。
【0035】実施例2 (a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.
2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)
製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)
と水744.2gを、3リットルのジャケット付きガラ
ス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液133
1.7g(TiO2に換算して12.0重量%濃度)を
作成した。この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しながら
50℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度の
過酸化水素水(工業用)797.0gと金属スズ粉末
(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.20
0)474.8gを添加した。
【0036】過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめ
に金属スズ26.4g(0.22モル)を、次いで過酸
化水素水44.3g(0.46モル)を徐々に加えた。
この反応が終了するのを待って(5〜10分)、金属ス
ズ26.4g(0.22モル)を、次いで過酸化水素水
44.3g(0.46モル)を徐々に加えた。この様に
金属スズの添加に続く過酸化水素水の添加を、5〜10
分の間隔を置いて合計17回繰り返すことにより、(金
属スズを26.4gと過酸化水素水を44.3g)×1
7回の分割添加を行った後、最後に金属スズ26.0g
を次いで過酸化水素水43.9gを添加し、トータル1
8回の分割添加を行った。
【0037】反応は発熱反応のため金属スズの添加によ
り70〜75℃になり反応が終了すると冷却のために5
0〜60℃に低下した。従って反応温度は50〜75℃
であった。添加時の過酸化水素と金属スズの割合はH2
2/Snモル比で2.09であった。過酸化水素水と
金属スズの添加に要した時間は3.0時間であった。
尚、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。
反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−スズ複合
塩水溶液2730.9gを得た。得られた塩基性塩化チ
タン−スズ複合塩水溶液中では、チタン成分は酸化チタ
ン(TiO2)に換算した濃度として5.85重量%、
スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として
22.07重量%、TiO2/SnO2に換算したモル比
0.5であった。また(Ti+Sn)/Clモル比は
1.10であった。
【0038】(b)工程:(a)工程で得られた塩基性
塩化チタン−スズ複合塩水溶液2569.7gに水11
407g、28重量%濃度のアンモニア水211gを添
加し、TiO2+SnO2に換算した濃度で5重量%まで
希釈した。この水溶液を95℃で10時間加水分解を行
い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタン−酸化スズ複合
コロイドの凝集体スラリーを得た。
【0039】(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン
−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを限外濾過装
置にて水約15リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操
作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠さ
せて酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル1583
0gを得た。電子顕微鏡で測定した酸化チタン−酸化ス
ズ複合コロイド粒子の一次粒子径は、4〜8nmであっ
た。
【0040】(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化
チタン−酸化スズ複合ゾル15830gにイソプロピル
アミン137gを添加してアルカリ性にした後、限外濾
過装置にて水約24リットルを用いて濃縮→注水→濃縮
の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去してアルカ
リ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル14602g
を得た。更に陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA
−410、オルガノ(株)製)200ミリリットルを詰
めたカラムに通液し、陰イオン含有量の少ないアルカリ
性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル15273gを
得た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下
で濃縮を行ない、アルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複
合水性濃縮ゾル4848.9gを得た。得られたゾルは
比重1.120、粘度5.5mPa・s、pH9.9
2、電導度1230μs/cm、TiO2に換算した濃
度は3.04重量%、SnO2に換算した濃度は11.
46重量%であった。
【0041】(e)工程:(d)工程で得られたアルカ
リ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1924.
7gに撹拌下、酒石酸12g、ジイソプロピルアミン1
8gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて
減圧下にメタノール40リットルを徐々に添加しながら
水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸
化チタン−酸化スズ複合メタノールゾル915gを作成
した。得られたメタノールゾルは比重1.096、酸化
チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜
8nm、粘度3.5mPa・s、pH(1+1)7.3
8、電導度(1+1)1305μs/cm、TiO2
換算した濃度は6.4重量%、SnO2に換算した濃度
は24.1重量%、水分0.41重量%であった。
【0042】実施例3 (a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.
2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)
製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)
と水744.2gを、3リットルのジャケット付きガラ
ス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液133
1.7g(TiO2に換算して12.0重量%濃度)を
作成した。
【0043】この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しなが
ら50℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度
の過酸化水素水(工業用)255.0gと金属スズ粉末
(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.20
0)118.7gを添加した。過酸化水素水と金属スズ
の添加は、はじめに過酸化水素水51.0g(0.52
モル)を、次いで金属スズ23.74g(0.2モル)
を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って(3〜
7分)、過酸化水素水51.0g(0.52モル)を、
次いで金属スズ23.74g(0.2モル)を徐々に加
えた。この様に過酸化水素水の添加に続く金属スズの添
加を、3〜7分の間隔を置いて合計5回繰り返すことに
より、(過酸化水素水を51.0gと金属スズ23.7
4g)×5回の分割添加を行った。
【0044】反応は発熱反応のため金属スズの添加によ
り70〜75℃になり、反応が終了すると冷却のために
50〜60℃に低下した。従って反応温度は50〜75
℃であった。添加時の過酸化水素と金属スズの割合はH
22/Snモル比で2.62であった。過酸化水素水と
金属スズの添加に要した時間は1.0時間であった。な
お、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。
反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−スズ複合
塩水溶液1683.6gを得た。得られた塩基性塩化チ
タン−スズ複合塩水溶液中では、チタン成分は酸化チタ
ン(TiO2)に換算した濃度として9.49重量%、
スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として
8.95重量%、TiO2/SnO2に換算したモル比
2.0であった。また(Ti+Sn)/Clモル比は
0.57であった。
【0045】(b)工程:(a)工程で得られた塩基性
塩化チタン−スズ複合塩水溶液1683.6gに水42
86.4g、28重量%濃度のアンモニア水240gを
添加し、TiO2+SnO2に換算した濃度で5重量%ま
で希釈した。この水溶液を94℃で10時間加水分解を
行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタン−酸化スズ複
合コロイドの凝集体スラリーを得た。
【0046】(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン
−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを限外濾過装
置にて水約15リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操
作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠さ
せて酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル1583
0gを得た。電子顕微鏡で測定した酸化チタン−酸化ス
ズ複合コロイド粒子の一次粒子径は、4〜8nmであっ
た。
【0047】(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化
チタン−酸化スズ複合ゾル7920gにイソプロピルア
ミン137gを添加し、アルカリ性にした後、限外濾過
装置にて水約24リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の
操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去し、アルカリ
性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル14602gを
得た。更に陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−
410、オルガノ(株)製)600ミリリットルを詰め
たカラムに通液し、陰イオン含有量の少ないアルカリ性
の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル15273gを得
た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、
濃縮を行ない、アルカリ性酸化チタン−酸化スズ複合水
性濃縮ゾル2112.8gを得た。得られたゾルは比重
1.132、粘度12.0mPa・s、pH9.61、
電導度1320μs/cm、TiO2に換算した濃度は
7.4重量%、SnO2に換算した濃度は7.0重量%
であった。
【0048】(e)工程:(d)工程で得られたアルカ
リ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1877.
1gに撹拌下、酒石酸12g、ジイソプロピルアミン1
8gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて
減圧下、メタノール40リットルを徐々に添加しながら
水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸
化チタン−酸化スズ複合メタノールゾル915gを作成
した。得られたメタノールゾルは比重1.078、酸化
チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜
8nm、粘度6.8mPa・s、pH(1+1)7.6
4、電導度(1+1)1150μs/cm、TiO2
換算した濃度は15.44重量%、SnO2に換算した
濃度は14.56重量%、水分0.50重量%であっ
た。
【0049】比較例1 四塩化チタン(TiO2に換算して27.2重量%、C
l32.0重量%、住友シチックス(株)製)587.
5g(TiO2に換算して159.8g)と水260
8.5gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパ
ラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液3196g(T
iO2に換算して5.0重量%濃度)を作成した。この
水溶液に28重量%濃度のアンモニア水50gをガラス
製撹拌棒で撹拌しながら添加した後、この水溶液を95
℃で10時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの
酸化チタンコロイドの凝集体スラリーを得た。
【0050】この酸化チタンコロイドの凝集体スラリー
を5B濾紙を用いて吸引濾過を行い、次いで水約40リ
ットルを用いて注水洗浄し、過剰な電解質を除去し、酸
化チタンのウェットケーキ620gを得た。得られたウ
ェットケーキを水2576gに分散させた後、イソプロ
ピルアミン8.0gを添加し、アルカリ性とした後、陰
イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オル
ガノ(株)製)200ミリリットルを詰めたカラムに通
液し、アルカリ性の酸化チタン水性ゾル3890gを得
た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、
濃縮を行ない、アルカリ性酸化チタン水性濃縮ゾル10
70gを得た。得られたゾルに撹拌下、酒石酸12.1
g、ジイソプロピルアミン26.1gを添加した後、ロ
ータリーエバポレーターを用いて減圧下、メタノール2
5リットルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水
媒体をメタノールに置換させ、酸化チタンメタノールゾ
ル775.2gを作成した。得られたメタノールゾルは
比重0.970、酸化チタン粒子の一次粒子径は4〜8
nm、粘度4.5mPa・s、pH(1+1)8.9
8、電導度1600μs/cm、TiO2濃度は20.
2重量%、水分3.4重量%であった。
【0051】実施例4 実施例1〜3の酸化チタン−酸化スズ複合ゾルは、ゾル
の状態では極薄いコロイド色を呈するが、ガラス板上で
乾燥するとコロイド色を示さず、無色透明であった。実
施例1〜3と比較例1のゾルをアプリケーターにてガラ
ス板上に薄膜の状態でコーティングし、150℃で乾燥
した後、これにUV照射装置OHD−320CM(オー
ク社製)で1時間紫外線を照射して耐光性の試験を行っ
た。紫外線照射前後の被膜の色の変化を目視で観察して
耐光性を評価した。結果を下記に示す。変化の大きいも
の(すなわち淡青色となるもの)は ×印で、変化の小
さいものを○印で表した。
【0052】
【表1】表1 (サンプル\評価項目) 耐光性 実施例1 ○ 実施例2 ○ 実施例3 ○比較例1 × 表1に示された結果の通り、酸化チタンと酸化スズの単
なる混合物ではなく、酸化チタン成分と酸化スズ成分が
原子レベルで
【0053】
【化3】
【0054】の結合が生成していると考えられる本願製
法に基づくゾルは、耐光性おいて優れた性質を示す。
【0055】
【発明の効果】本願発明によって得られる酸化チタン−
酸化スズ複合ゾルは透明性が高く、その乾燥被膜は約
1.8〜2.0の屈折率を示し、また結合強度、硬度の
いずれもが高く、耐光性、耐候性、帯電防止性、耐摩耗
性、付着性なども良好である。このゾルは、工業製品と
して供給されるに充分な安定性を持っている。このゾル
は樹脂エマルジョン、界面活性剤やエチルシリケートな
どのシラン類、シランカップリング剤の部分加水分解物
などと安定に混合することが出来る。
【0056】このような性質を有する本願発明のゾルは
プラスチックスレンズ、フィルム、プラスチックス成形
品の表面上にハードコート膜を形成させて屈折率、染色
性、耐薬品性、耐水性、耐光性、耐候性、耐摩耗性、耐
擦傷性等を向上させる成分として特に有効である。本願
発明のゾルは、誘電体材料、圧電体材料、センサー材料
等のセラミックス原料や触媒や耐火物用結合剤、繊維、
紙、プラスチックスなどの帯電防止剤、無機イオン交換
体、紫外線吸収用マイクロフィラー、遠赤外線放射用マ
イクロフィラー、金属、ガラス、セラミックスの表面処
理剤などの用途に使用することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C03C 17/25 C03C 17/25 A (72)発明者 飯島 根子 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化学 工業株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン塩及び金属スズを、過酸化水素の
    存在下に水性媒体中で反応させる酸化チタン−酸化スズ
    複合ゾルの製造方法。
  2. 【請求項2】 下記(a)工程、(b)工程及び(c)
    工程; (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH22
    /Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩水
    溶液に添加して、チタン成分とスズ成分がTiO 2とS
    nO2に換算して0.25〜10のTiO2/SnO2
    ル比と、TiO2とSnO2に換算した総濃度が5〜50
    重量%となるチタン−スズの塩基性塩水溶液を生成する
    工程、 (b):(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩
    水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温
    度で保持して酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集
    体を生成させる工程、及び (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化スズ複
    合コロイドの凝集体スラリー中の電解質を除去する工
    程、より成る酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 上記(a)工程、(b)工程、(c)工
    程及び下記(d)工程; (d):(c)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複
    合水性ゾルを陰イオン交換する工程、より成る酸化チタ
    ン−酸化スズ複合水性ゾルの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記(a)工程、(b)工程、(c)工
    程、(d)工程及び下記(e)工程; (e):(d)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複
    合水性ゾルの水性媒体を有機溶媒に置換する工程、より
    成る酸化チタン−酸化スズ複合オルガノゾルの製造方
    法。
JP04783297A 1994-03-05 1997-03-03 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法 Expired - Lifetime JP4069330B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04783297A JP4069330B2 (ja) 1997-03-03 1997-03-03 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法
EP19980905647 EP0992456B1 (en) 1997-03-03 1998-02-26 Process for producing composite sols, coating composition, and optical member
US09/380,403 US6296943B1 (en) 1994-03-05 1998-02-26 Method for producing composite sol, coating composition, and optical element
PCT/JP1998/000768 WO1998039253A1 (fr) 1997-03-03 1998-02-26 Procede de production de sols de composites, de composition de revetement et d'elements optiques
AU61160/98A AU6116098A (en) 1997-03-03 1998-02-26 Process for producing composite sols, coating composition, and optical member
DE69841885T DE69841885D1 (de) 1997-03-03 1998-02-26 Verfahren zur herstellung von kompositsolen, überzugkomposition und optischem element

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04783297A JP4069330B2 (ja) 1997-03-03 1997-03-03 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10245224A true JPH10245224A (ja) 1998-09-14
JP4069330B2 JP4069330B2 (ja) 2008-04-02

Family

ID=12786339

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04783297A Expired - Lifetime JP4069330B2 (ja) 1994-03-05 1997-03-03 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4069330B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005132706A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Mitsui Chemicals Inc ルチル型酸化チタン超微粒子の製造法
JPWO2006001487A1 (ja) * 2004-06-29 2008-04-17 三井化学株式会社 スズ修飾ルチル型酸化チタン微粒子
WO2012111717A1 (ja) 2011-02-15 2012-08-23 日産化学工業株式会社 ルチル型酸化チタンゾルの製造方法
WO2012165620A1 (ja) 2011-06-03 2012-12-06 日産化学工業株式会社 二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子
WO2013081136A1 (ja) 2011-12-02 2013-06-06 日産化学工業株式会社 ルチル型酸化チタンゾルの製造方法
JP2020105274A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 長野県 親水性コーティング剤およびそのコーティング膜
CN112424297A (zh) * 2018-05-28 2021-02-26 东洋油墨Sc控股株式会社 具有高透明性的无机氧化物分散体
CN114555526A (zh) * 2019-10-02 2022-05-27 信越化学工业株式会社 氧化钛粒子、氧化钛粒子分散液和氧化钛粒子分散液的制造方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010270191A (ja) * 2009-05-20 2010-12-02 Tokuyama Corp コーティング組成物および光学物品
EP2829583B1 (en) 2013-07-22 2016-03-16 Itoh Optical Industrial Co., Ltd. Hard coating composition
US10723915B2 (en) 2018-11-26 2020-07-28 Itoh Optical Industrial Co., Ltd. Hard coating composition

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005132706A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Mitsui Chemicals Inc ルチル型酸化チタン超微粒子の製造法
JPWO2006001487A1 (ja) * 2004-06-29 2008-04-17 三井化学株式会社 スズ修飾ルチル型酸化チタン微粒子
KR20140016290A (ko) 2011-02-15 2014-02-07 닛산 가가쿠 고교 가부시키 가이샤 루틸형 산화 티탄 졸의 제조 방법
WO2012111717A1 (ja) 2011-02-15 2012-08-23 日産化学工業株式会社 ルチル型酸化チタンゾルの製造方法
US8747542B2 (en) 2011-02-15 2014-06-10 Nissan Chemical Industries, Ltd. Method for producing rutile titanium oxide sol
WO2012165620A1 (ja) 2011-06-03 2012-12-06 日産化学工業株式会社 二酸化珪素-酸化第二スズ複合酸化物被覆酸化チタン含有金属酸化物粒子
WO2013081136A1 (ja) 2011-12-02 2013-06-06 日産化学工業株式会社 ルチル型酸化チタンゾルの製造方法
KR20140099500A (ko) 2011-12-02 2014-08-12 닛산 가가쿠 고교 가부시키 가이샤 루틸형 산화티탄졸의 제조 방법
JPWO2013081136A1 (ja) * 2011-12-02 2015-04-27 日産化学工業株式会社 ルチル型酸化チタンゾルの製造方法
US9023147B2 (en) 2011-12-02 2015-05-05 Nissan Chemical Industries, Ltd. Method for producing rutile type titanium oxide sol
CN112424297A (zh) * 2018-05-28 2021-02-26 东洋油墨Sc控股株式会社 具有高透明性的无机氧化物分散体
JP2020105274A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 長野県 親水性コーティング剤およびそのコーティング膜
CN114555526A (zh) * 2019-10-02 2022-05-27 信越化学工业株式会社 氧化钛粒子、氧化钛粒子分散液和氧化钛粒子分散液的制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4069330B2 (ja) 2008-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4171850B2 (ja) 変性された酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合ゾル及びその製造方法
CN101238071B (zh) 氧化锆-氧化锡复合体溶胶、涂料组合物及光学元件
JP2783417B2 (ja) ルチル型酸化チタンゾルの製造法
TWI428282B (zh) 金屬氧化物複合溶膠,塗佈組成物及光學構件
KR101437200B1 (ko) 표면 피복된 이산화티탄졸, 그 제조법 및 그것을 포함한 코팅 조성물
WO1998039253A1 (fr) Procede de production de sols de composites, de composition de revetement et d'elements optiques
JP4247585B2 (ja) 変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル及びその製造法
JP4730487B2 (ja) 変性金属酸化物ゾル及びその製造方法
JP3250259B2 (ja) 変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル及びその製造法
JP5146683B2 (ja) 変性された酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合体ゾルの製造方法
JP4069330B2 (ja) 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法
JP4891021B2 (ja) ニオブ系酸化物微粒子の製造方法
JP4022970B2 (ja) 酸化チタン−酸化ジルコニウム−酸化スズ複合ゾルの製造方法
JP3235097B2 (ja) 変性金属酸化物ゾル及びその製造法
JPH0977503A (ja) 金属酸化物または水酸化物ゾルの製造方法
JP4561955B2 (ja) 変性された酸化第二スズゾル、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル及びその製造方法
JP2006176392A (ja) 変性された酸化第二スズゾルおよび酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの製造方法
JP4069331B2 (ja) 酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズ複合ゾルの製造方法
JPH0980203A (ja) 変性金属酸化物ゾル及びその製造方法
JP4654713B2 (ja) 変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル及びその製造方法
JP4139090B2 (ja) 結晶性酸化チタン被覆層付球状粒子の製造方法
JPH06650B2 (ja) 酸化チタン・酸化セリウム複合系ゾルおよびこのゾルから形成された透明薄膜
US20060116429A1 (en) Process for producing modified stannic oxide sol and stannic oxide/zirconium oxide composite sol
JPH0959020A (ja) スズ酸亜鉛水和物ゾル及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080101

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110125

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110125

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120125

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130125

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term