JP4069330B2 - 酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法 - Google Patents

酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は酸化チタン(TiO2 )−酸化スズ(SnO2 )複合ゾルの製造方法に関する。本願発明で得られる酸化チタン(TiO2 )−酸化スズ(SnO2 )複合ゾルはプラスチックスレンズ、フィルム、プラスチックス成形品の表面に施される高屈折率ハードコート剤の成分や、ガラス、セラミックスの表面処理剤、触媒及び触媒用結合剤、各種ファインセラミックス用原料、無機質陰イオン交換体などの用途に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年多用されるようになってきたプラスチックレンズの表面を改良するために、この表面に適用されるハードコート剤の成分として高い屈折率を有する金属酸化物のゾルが用いられている。
例えば特公昭63−37142号公報には、1〜300nmの粒子径を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sbから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる微粒子状無機物の粒子を含有させた透明被覆層を有する成形体が記載されている。
【0003】
特公平4−27168号公報には、粒子径50nm以下の粒子を有する結晶性酸化チタン−酸化スズゾルが開示されている。水溶性チタン化合物及び水溶性スズ化合物と、アルカリ金属の水酸化物又はその炭酸塩及び/又はアンモニウム化合物とを反応させ水熱処理する方法で得られる。
特公平5−29363号公報には、水和酸化チタン及び水和酸化セリウムの分散液に過酸化水素を加えて、水和酸化チタン及び水和酸化セリウムを溶解し、そして加熱して得られる酸化チタン−酸化セリウム複合系ゾルが配合された化粧料が開示されている。
【0004】
更に、特開平2−178219号公報及び特公平4−45453号公報には、酸化チタン−酸化鉄複合系ゾルの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特公昭63−37142号公報記載の1〜300nmの粒子径を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sb等の金属酸化物の粒子は、ハードコート剤成分としてそれぞれ単独で用いてもレンズなどのプラスチックス基材に塗布して硬化させた場合に、得られる塗膜の耐水性が十分ではなく好ましくない。また特に屈折率の高い酸化チタンをこの用途に用いる場合、透明性との関係で一次粒子径を20nm以下、好ましくは15nm以下にする必要があるが、紫外線照射により青色に着色するという問題を有している。
【0006】
特公平4−45453号公報、特開平2−178219号公報また特公平5−29363号公報記載のゾルを用いた場合には、酸化チタンに少量の酸化鉄や酸化セリウムを含有させれば紫外線照射による変色を抑制することができる。しかし着色を抑制できる程度に添加した酸化鉄や酸化セリウムのため、それらゾル自体が褐色や黄色を呈し、これらを使用したコート膜が着色されるために好ましくない。
【0007】
また特公平4−27168号公報記載の結晶質酸化チタン−酸化スズゾルは複合化させるために100℃以上の水熱処理が不可欠となり、このため強固な二次凝集体が生成し得られるゾルの透明性が著しく低下するので好ましくない。
本願発明は、上記問題点を克服する事ができる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、チタン塩及び金属スズを、過酸化水素の存在下に水性媒体中で反応させる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法である。
更には、本願発明は、下記(a)工程、(b)工程及び(c)工程;
(a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH22/Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩水溶液に添加して、チタン成分とスズ成分がTiO2とSnO2に換算して0.25〜10のTiO2/SnO2モル比と、TiO2とSnO2に換算した総濃度が5〜50重量%となるチタン−スズの塩基性塩水溶液を生成する工程、
(b):(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を生成させる工程、及び
(c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中の電解質を除去する工程、より成る酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明の(a)工程で使用されるチタン塩としては四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン等が挙げられる。これらのチタン塩は水溶液で用いる事が好ましい。
金属スズは粉末状又は粒状で用いることが出来る。例えばインゴットを溶融し噴霧凝固させて得られるアトマイゼーション法による金属スズ粉末や、インゴットを旋盤やヤスリ等により切削し製造されたフレーク状金属スズ粉末を用いる事が出来る。
【0010】
過酸化水素は、市販の35重量%濃度の水溶液を所望の濃度で用いる事が出来る。
(a)工程ではチタン塩水溶液に過酸化水素水及び金属スズを、同時に又は交互に添加してチタン−スズの塩基性塩水溶液を得る工程である。撹拌機を備えた反応容器にチタン塩水溶液を入れ、撹拌下に過酸化水素水と金属スズを各々、別々の添加口から同時に又は交互に添加する。(a)工程の塩基性塩水溶液、及び以下に続く(b)工程の酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を含むスラリーは酸性であるため、それら工程で使用される反応装置はガラス製反応装置やグラスライニング(ホウロウ)製反応装置を用いる事が好ましい。
【0011】
過酸化水素水と金属スズのH22/Snモル比は2〜3に保持しつつチタン塩水溶液中に添加する。より詳しくは、過酸化水素水及び金属スズの添加すべき全重量部に対して1/3〜1/30重量部をそれぞれ分収して、チタン塩水溶液への過酸化水素水の添加とそれに続く金属スズの添加そして2〜20分間反応を行う一連の工程を、3〜30回繰り返す分割添加の方法が挙げられる。また、過酸化水素水及び金属スズの添加すべき全重量部に対して1/3〜1/30重量部をそれぞれ分収して、チタン塩水溶液への金属スズの添加とそれに続く過酸化水素水の添加そして2〜20分間反応を行う一連の工程を、3〜30回繰り返す分割添加の方法も挙げられる。この時、初めに全量の過酸化水素を酸性のチタン塩水溶液に加え、これに金属スズを加えると過酸化水素の大部分が反応の初期に分解してしまい過酸化水素の量が不足し、また過酸化水素の分解反応は発熱反応のため危険であり好ましくない。H22/Snモル比が3を少し越えても反応は可能であるが、大幅に越えることは上記理由から好ましくない。H22/Snモル比が2未満では酸化不充分となるため好ましくない。過酸化水素水と金属スズの添加時間は、例えばチタン塩1モルが溶存するチタン塩水溶液を用いた場合に0.4〜10時間、好ましくは0.4〜5時間をかけて添加することが出来る。この添加時間が0.4時間以下では発熱反応が激しくコントロールが出来なくなり、また未反応の金属スズが残存し易くなるため好ましくない。また、10時間以上でも良いが経済的ではないので好ましくない。
【0012】
(a)工程において生成するチタン−スズの塩基性塩は、チタン成分とスズ成分を酸化チタン(TiO2)と酸化スズ(SnO2)に換算したTiO2/SnO2モル比が0.25〜10、好ましくは0.4〜4.0とする事が出来る。このモル比が0.25未満でもチタン−スズの塩基性塩水溶液を作成できるが、カウンターアニオンのモル比が低下しコロイドが生成しやすく、また屈折率も低下するため好ましくない。また、このモル比が10を越えてもチタン−スズの塩基性塩水溶液を作成できるが、これを用いて製造した酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの紫外線による変色の抑制効果が低下するため好ましくない。(a)工程のチタン−スズの塩基性塩水溶液中の(TiO2+SnO2)に換算した総濃度は5〜50重量%が好ましい。5重量%未満でも可能であるが、効率が悪く経済的でない。また50重量%を越える事も可能であるが、粘度が高く、撹拌しにくくなり、反応が不均一になるために好ましくない。
【0013】
(a)工程において水溶液中でのチタン塩、金属スズ及び過酸化水素水の反応は30〜95℃、好ましくは40〜85℃で行われる。過酸化水素と金属スズとの反応は酸化反応であるため発熱反応となり、また過酸化水素の分解反応も同時に起こりこの反応も発熱反応であるため反応時の温度コントロールには注意が必要であり、必要に応じて冷却する事が出来る。反応温度は30℃未満でもよいが、発熱反応であるために過剰の冷却が必要となり、反応に時間が懸かり過ぎ、経済的でない。反応温度が95℃以上の沸騰状態では(a)工程で粗大なコロイド粒子が生成してしまうため好ましくない。
【0014】
(b)工程では、(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩を加水分解することによって、酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を得る工程である。(b)工程においてチタン−スズの塩基性塩水溶液は、酸化チタン(TiO2)と酸化スズ(SnO2)に換算した総濃度(TiO2+SnO2)が2〜15重量%に調製する事が好ましい。2重量%未満でも可能であるが、効率が悪く経済的でない。また15重量%を越える事も可能であるが、粘度が高く、撹拌しにくくなり、加水分解反応が不均一になるために好ましくない。また粒子径をコントロールするために予め塩基性物質を添加しpH調整してから加水分解を行うことが出来る。上記の塩基性物質は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、及びエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン等のアルキルアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、及び第4級アンモニウム水酸化物等が挙げられ、そしてpHは1〜2に調製する事が好ましい。
【0015】
(b)工程において加水分解の温度は50〜100℃の温度が好ましい。50℃未満でもよいが加水分解に時間が懸かりすぎるために好ましくない。100℃を越えて行ってもよいが、オートクレーブなどの特殊な水熱処理装置が必要となり、また水熱処理により生成したコロイドの二次凝集体が強固になり、得られる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの透明性が低下するために好ましくない。
【0016】
(b)工程において加水分解に要する時間は0.1〜100時間が好ましい。0.1時間未満では加水分解が不充分となり好ましくない。また100時間を越えた場合は、一次粒子径が大きくなりまた強固な二次凝集体が形成されるために好ましくない。この(b)工程により得られる酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は2〜20nm(ナノメートル)である。
【0017】
(c)工程は、(b)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中から過剰な電解質(主にアニオン)を除去して、酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子を解膠させてゾルを得る工程である。過剰な電解質を除去することにより酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子が一次粒子に近い状態で分散したゾルを得ることが出来る。この洗浄は凝集沈降させ、上澄みをデカンテーションする方法、限外濾過法、イオン交換法などにより行うことができるが、多量の電解質を含む場合は限外濾過→注水→限外濾過の繰り返しによる洗浄方法が特に好ましい。
【0018】
(c)工程を経て酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルが得られる。この(c)工程で得られるゾル中の酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は2〜20nmである。一次粒子径とは凝集形態にある酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の直径ではなく、個々に分離した時の1個の酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の直径であり、電子顕微鏡で測定することが出来る。この一次粒子径が2nm未満であると、これを用いて製造した酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの粘度が高くなり、耐水性も低下するので好ましくない。また一次粒子径が20nm以上の場合は、これを用いて製造した酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの透明性が低下するために好ましくない。
【0019】
(d)工程として、(c)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルを陰イオン交換する工程を付加する事が出来る。この陰イオン交換処理により高濃度でも安定なゾルを得ることが出来る。
(d)工程における陰イオン交換は市販の陰イオン交換樹脂を用いることができ、陰イオン交換樹脂は水酸基型に調整後に使用する。陰イオン交換樹脂を充填したカラムに酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルを通液することにより容易に陰イオン交換できる。通液温度は0〜60℃,通液速度は空間速度SV1〜10時間が好ましい。(d)工程では陰イオン交換処理の前及び/又は後に、塩基性物質を酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルに添加して安定性を増大させることが出来る。(d)工程において用いられる塩基性物質としては有機塩基が好ましく、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミンなどのアルキルアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、及び第4級アンモニウム水酸化物等が用いられる。
【0020】
(d)工程で得たアルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合ゾルはそのままでも安定であるが、必要に応じて限外濾過法や蒸発法により濃縮し、高濃度で安定なゾルを得ることが出来る。
(e)工程として、(c)工程又は(d)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの水性媒体を有機溶媒に置換する工程を付加する事が出来る。
【0021】
(e)工程の溶媒置換の際、安定化剤として少量の有機塩基及び/又は有機酸等が添加される事により溶媒置換を安定に行うことができる。この有機塩基としては例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン等のアルキルアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、及び第4級アンモニウム水酸化物等が挙げられ、有機酸としては例えば、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカルボン酸、及びフェニルホスホン酸等が挙げられる。この溶媒置換は蒸留法、限外濾過法などの通常に用いられる方法により行うことができる。この有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ等のグリコールエーテル類;エチレングリコール等が挙げられる。
【0022】
(d)工程及び(e)工程を経て得られるゾル中の酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は、やはり2〜20nmである。
酸化チタン(TiO2)は、紫外線吸収能を有しているため耐紫外線顔料やフィラーとして各種プラスチックス、繊維などに0.1〜10μm程度の粒子径のパウダーが添加され、使用されている。また、光学関連用途、例えば光学部材や透明性フィルムなどに塗布されるコ−ティング組成物にマイクロフィラーとして使用される酸化チタンは、一次粒子径が100nm以下、好ましくは20nm以下のゾルとして用いられている。一次粒子径が小さな酸化チタンは紫外線に対して非常に敏感になるため紫外線吸収効果が向上する反面、酸化チタンが紫外線により部分的にTiO2→TiOへの還元反応が起こり、濃青色に呈するという欠点を持っている。酸化第二スズ(SnO2)も一次粒子径が100nm以下、特に30nm以下のゾルになると紫外線により部分的にSnO2→SnOへの還元反応が起こるため褐色あるいは青緑色を呈するという欠点を持っている。
【0023】
本願発明の酸化チタン−酸化スズ複合ゾルは、予めチタン塩水溶液に過酸化水素と金属スズをH22/Snモル比が2〜3の範囲に保持しつつ添加、反応させてチタン−スズの塩基性塩水溶液を作成し、これを加水分解することより酸化チタン−酸化スズ複合コロイド水溶液が形成される。従って、
【0024】
【化1】
Figure 0004069330
【0025】
という結合が生成すると考えられるために、紫外線照射によってもそれぞれ単独の酸化物の時、又はそれぞれの酸化物が混合された時に比べてTiOやSnOへの還元が著しく抑制され、ほとんど変色しなくなる。
また、本願発明で製造されたゾルは、(c)工程、(d)工程及び(e)工程で電解質の除去、イオン交換、溶媒置換等の操作を行った後でもTiO2粒子やSnO2粒子に分離する様な事はないので、原子レベルで
【0026】
【化2】
Figure 0004069330
【0027】
の結合が生成しているものと考えられる。
また本願発明の酸化チタン−酸化スズ複合ゾルは原子レベルで均一に複合(固溶)されているため、各種セラミックス用材料として用いた場合、焼結温度の低減や、酸化チタン−酸化スズ系のより均一な材料特性を供与することができる。
【0028】
【実施例】
実施例1
(a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)と水477.8gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液1065.3g(TiO2に換算して15.0重量%濃度)を作成した。
【0029】
この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しながら60℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度の過酸化水素水(工業用)486.0gと金属スズ粉末(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.200)237.4gを添加した。
過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめに過酸化水素水24.3g(0.25モル)を、次いで金属スズ11.87g(0.1モル)を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って(5〜10分)、過酸化水素水24.3g(0.25モル)を、次いで金属スズ11.87g(0.1モル)を徐々に加えた。この様に過酸化水素水の添加に続く金属スズの添加を、5〜10分の間隔を置いて合計20回繰り返すことにより、(過酸化水素水を24.3gと金属スズを11.87g)×20回の分割添加を行った。
【0030】
反応は発熱反応のため金属スズの添加により80〜85℃になり反応が終了すると冷却されて60〜70℃に低下した。従って上記の添加の間は反応温度は60〜85℃であった。添加時の過酸化水素水と金属スズの割合はH22/Snモル比で2.50であった。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は2.5時間であった。なお、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液2258gを得た。得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液中では、チタン成分は酸化チタン(TiO2)に換算した濃度として7.08重量%、スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として13.35重量%、TiO2/SnO2に換算したモル比1.0であった。また(Ti+Sn)/Clモル比は0.73であった。
【0031】
(b)工程:(a)工程で得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液980.4gに水3019.6gを添加し、TiO2+SnO2に換算した濃度で5重量%まで希釈した。この水溶液を95〜98℃で12時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを得た。
【0032】
(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを限外濾過装置にて水約8リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠させて酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル3624gを得た。電子顕微鏡で測定した酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0033】
(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル3624gにイソプロピルアミン6.0gを添加した後、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)200ミリリットルを詰めたカラムに通液し、アルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル4696gを得た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、濃縮を行ない、酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1820.8gを得た。得られたゾルは比重1.100、粘度16.3mPa・s、pH8.91、電導度1005μs/cm、TiO2に換算した濃度は3.8重量%、SnO2に換算した濃度は7.2重量%であった。
【0034】
(e)工程:(d)工程で得られたアルカリ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1877.1gに撹拌下、酒石酸12g、ジイソプロピルアミン18gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、メタノール40リットルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸化チタン−酸化スズ複合メタノールゾル915gを作成した。得られたメタノールゾルは比重1.096、酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜8nm、粘度4.3mPa・s、pH(1+1)7.40、電導度(1+1)1405μs/cm、TiO2に換算した濃度は10.6重量%、SnO2に換算した濃度は19.9重量%、水分0.44重量%であった。
【0035】
実施例2
(a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)と水744.2gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液1331.7g(TiO2に換算して12.0重量%濃度)を作成した。この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しながら50℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度の過酸化水素水(工業用)797.0gと金属スズ粉末(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.200)474.8gを添加した。
【0036】
過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめに金属スズ26.4g(0.22モル)を、次いで過酸化水素水44.3g(0.46モル)を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って(5〜10分)、金属スズ26.4g(0.22モル)を、次いで過酸化水素水44.3g(0.46モル)を徐々に加えた。この様に金属スズの添加に続く過酸化水素水の添加を、5〜10分の間隔を置いて合計17回繰り返すことにより、(金属スズを26.4gと過酸化水素水を44.3g)×17回の分割添加を行った後、最後に金属スズ26.0gを次いで過酸化水素水43.9gを添加し、トータル18回の分割添加を行った。
【0037】
反応は発熱反応のため金属スズの添加により70〜75℃になり反応が終了すると冷却のために50〜60℃に低下した。従って反応温度は50〜75℃であった。添加時の過酸化水素と金属スズの割合はH22/Snモル比で2.09であった。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は3.0時間であった。尚、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液2730.9gを得た。得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液中では、チタン成分は酸化チタン(TiO2)に換算した濃度として5.85重量%、スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として22.07重量%、TiO2/SnO2に換算したモル比0.5であった。また(Ti+Sn)/Clモル比は1.10であった。
【0038】
(b)工程:(a)工程で得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液2569.7gに水11407g、28重量%濃度のアンモニア水211gを添加し、TiO2+SnO2に換算した濃度で5重量%まで希釈した。この水溶液を95℃で10時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを得た。
【0039】
(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを限外濾過装置にて水約15リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠させて酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル15830gを得た。電子顕微鏡で測定した酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0040】
(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化チタン−酸化スズ複合ゾル15830gにイソプロピルアミン137gを添加してアルカリ性にした後、限外濾過装置にて水約24リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去してアルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル14602gを得た。更に陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)200ミリリットルを詰めたカラムに通液し、陰イオン含有量の少ないアルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル15273gを得た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下で濃縮を行ない、アルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル4848.9gを得た。得られたゾルは比重1.120、粘度5.5mPa・s、pH9.92、電導度1230μs/cm、TiO2に換算した濃度は3.04重量%、SnO2に換算した濃度は11.46重量%であった。
【0041】
(e)工程:(d)工程で得られたアルカリ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1924.7gに撹拌下、酒石酸12g、ジイソプロピルアミン18gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメタノール40リットルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸化チタン−酸化スズ複合メタノールゾル915gを作成した。得られたメタノールゾルは比重1.096、酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜8nm、粘度3.5mPa・s、pH(1+1)7.38、電導度(1+1)1305μs/cm、TiO2に換算した濃度は6.4重量%、SnO2に換算した濃度は24.1重量%、水分0.41重量%であった。
【0042】
実施例3
(a)工程:四塩化チタン(TiO2に換算して27.2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)と水744.2gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液1331.7g(TiO2に換算して12.0重量%濃度)を作成した。
【0043】
この水溶液をガラス製撹拌棒で撹拌しながら50℃まで加温した後、冷却しながら35重量%濃度の過酸化水素水(工業用)255.0gと金属スズ粉末(山石金属(株)製、商品名AT−Sn、No.200)118.7gを添加した。過酸化水素水と金属スズの添加は、はじめに過酸化水素水51.0g(0.52モル)を、次いで金属スズ23.74g(0.2モル)を徐々に加えた。この反応が終了するのを待って(3〜7分)、過酸化水素水51.0g(0.52モル)を、次いで金属スズ23.74g(0.2モル)を徐々に加えた。この様に過酸化水素水の添加に続く金属スズの添加を、3〜7分の間隔を置いて合計5回繰り返すことにより、(過酸化水素水を51.0gと金属スズ23.74g)×5回の分割添加を行った。
【0044】
反応は発熱反応のため金属スズの添加により70〜75℃になり、反応が終了すると冷却のために50〜60℃に低下した。従って反応温度は50〜75℃であった。添加時の過酸化水素と金属スズの割合はH22/Snモル比で2.62であった。過酸化水素水と金属スズの添加に要した時間は1.0時間であった。なお、反応により水が蒸発するので適量の補充を行った。反応終了後、淡黄色透明な塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液1683.6gを得た。得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液中では、チタン成分は酸化チタン(TiO2)に換算した濃度として9.49重量%、スズ成分は酸化スズ(SnO2)に換算した濃度として8.95重量%、TiO2/SnO2に換算したモル比2.0であった。また(Ti+Sn)/Clモル比は0.57であった。
【0045】
(b)工程:(a)工程で得られた塩基性塩化チタン−スズ複合塩水溶液1683.6gに水4286.4g、28重量%濃度のアンモニア水240gを添加し、TiO2+SnO2に換算した濃度で5重量%まで希釈した。この水溶液を94℃で10時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを得た。
【0046】
(c)工程:(b)工程で得た酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリーを限外濾過装置にて水約15リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去した後、解膠させて酸性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル15830gを得た。電子顕微鏡で測定した酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は、4〜8nmであった。
【0047】
(d)工程:(c)工程で得た酸性の酸化チタン−酸化スズ複合ゾル7920gにイソプロピルアミン137gを添加し、アルカリ性にした後、限外濾過装置にて水約24リットルを用いて濃縮→注水→濃縮の操作を繰り返し、過剰な電解質を洗浄除去し、アルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル14602gを得た。更に陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)600ミリリットルを詰めたカラムに通液し、陰イオン含有量の少ないアルカリ性の酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾル15273gを得た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、濃縮を行ない、アルカリ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル2112.8gを得た。得られたゾルは比重1.132、粘度12.0mPa・s、pH9.61、電導度1320μs/cm、TiO2に換算した濃度は7.4重量%、SnO2に換算した濃度は7.0重量%であった。
【0048】
(e)工程:(d)工程で得られたアルカリ性酸化チタン−酸化スズ複合水性濃縮ゾル1877.1gに撹拌下、酒石酸12g、ジイソプロピルアミン18gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、メタノール40リットルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸化チタン−酸化スズ複合メタノールゾル915gを作成した。得られたメタノールゾルは比重1.078、酸化チタン−酸化スズ複合コロイド粒子の一次粒子径は4〜8nm、粘度6.8mPa・s、pH(1+1)7.64、電導度(1+1)1150μs/cm、TiO2に換算した濃度は15.44重量%、SnO2に換算した濃度は14.56重量%、水分0.50重量%であった。
【0049】
比較例1
四塩化チタン(TiO2に換算して27.2重量%、Cl32.0重量%、住友シチックス(株)製)587.5g(TiO2に換算して159.8g)と水2608.5gを、3リットルのジャケット付きガラス製セパラブルフラスコにとり塩化チタン水溶液3196g(TiO2に換算して5.0重量%濃度)を作成した。この水溶液に28重量%濃度のアンモニア水50gをガラス製撹拌棒で撹拌しながら添加した後、この水溶液を95℃で10時間加水分解を行い、一次粒子径4〜8nmの酸化チタンコロイドの凝集体スラリーを得た。
【0050】
この酸化チタンコロイドの凝集体スラリーを5B濾紙を用いて吸引濾過を行い、次いで水約40リットルを用いて注水洗浄し、過剰な電解質を除去し、酸化チタンのウェットケーキ620gを得た。得られたウェットケーキを水2576gに分散させた後、イソプロピルアミン8.0gを添加し、アルカリ性とした後、陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、オルガノ(株)製)200ミリリットルを詰めたカラムに通液し、アルカリ性の酸化チタン水性ゾル3890gを得た。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、濃縮を行ない、アルカリ性酸化チタン水性濃縮ゾル1070gを得た。得られたゾルに撹拌下、酒石酸12.1g、ジイソプロピルアミン26.1gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下、メタノール25リットルを徐々に添加しながら水を留去する方法で水媒体をメタノールに置換させ、酸化チタンメタノールゾル775.2gを作成した。得られたメタノールゾルは比重0.970、酸化チタン粒子の一次粒子径は4〜8nm、粘度4.5mPa・s、pH(1+1)8.98、電導度1600μs/cm、TiO2濃度は20.2重量%、水分3.4重量%であった。
【0051】
実施例4
実施例1〜3の酸化チタン−酸化スズ複合ゾルは、ゾルの状態では極薄いコロイド色を呈するが、ガラス板上で乾燥するとコロイド色を示さず、無色透明であった。実施例1〜3と比較例1のゾルをアプリケーターにてガラス板上に薄膜の状態でコーティングし、150℃で乾燥した後、これにUV照射装置OHD−320CM(オーク社製)で1時間紫外線を照射して耐光性の試験を行った。紫外線照射前後の被膜の色の変化を目視で観察して耐光性を評価した。結果を下記に示す。変化の大きいもの(すなわち淡青色となるもの)は ×印で、変化の小さいものを○印で表した。
【0052】
【表1】
表1
(サンプル\評価項目) 耐光性
実施例1 ○
実施例2 ○
実施例3 ○
比較例1 ×
表1に示された結果の通り、酸化チタンと酸化スズの単なる混合物ではなく、酸化チタン成分と酸化スズ成分が原子レベルで
【0053】
【化3】
Figure 0004069330
【0054】
の結合が生成していると考えられる本願製法に基づくゾルは、耐光性おいて優れた性質を示す。
【0055】
【発明の効果】
本願発明によって得られる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルは透明性が高く、その乾燥被膜は約1.8〜2.0の屈折率を示し、また結合強度、硬度のいずれもが高く、耐光性、耐候性、帯電防止性、耐摩耗性、付着性なども良好である。
このゾルは、工業製品として供給されるに充分な安定性を持っている。このゾルは樹脂エマルジョン、界面活性剤やエチルシリケートなどのシラン類、シランカップリング剤の部分加水分解物などと安定に混合することが出来る。
【0056】
このような性質を有する本願発明のゾルはプラスチックスレンズ、フィルム、プラスチックス成形品の表面上にハードコート膜を形成させて屈折率、染色性、耐薬品性、耐水性、耐光性、耐候性、耐摩耗性、耐擦傷性等を向上させる成分として特に有効である。
本願発明のゾルは、誘電体材料、圧電体材料、センサー材料等のセラミックス原料や触媒や耐火物用結合剤、繊維、紙、プラスチックスなどの帯電防止剤、無機イオン交換体、紫外線吸収用マイクロフィラー、遠赤外線放射用マイクロフィラー、金属、ガラス、セラミックスの表面処理剤などの用途に使用することが出来る。

Claims (4)

  1. チタン塩及び金属スズを、過酸化水素の存在下に水性媒体中で反応させる酸化チタン−酸化スズ複合ゾルの製造方法。
  2. 下記(a)工程、(b)工程及び(c)工程;
    (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH22/Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩水溶液に添加して、チタン成分とスズ成分がTiO2とSnO2に換算して0.25〜10のTiO2/SnO2モル比と、TiO2とSnO2に換算した総濃度が5〜50重量%となるチタン−スズの塩基性塩水溶液を生成する工程、
    (b):(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を生成させる工程、及び
    (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中の電解質を除去する工程、より成る酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの製造方法。
  3. 下記(a)工程、(b)工程、(c)工程及び下記(d)工程;
    (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH 2 2 /Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩水溶液に添加して、チタン成分とスズ成分がTiO 2 とSnO 2 に換算して0.25〜10のTiO 2 /SnO 2 モル比と、TiO 2 とSnO 2 に換算した総濃度が5〜50重量%となるチタン−スズの塩基性塩水溶液を生成する工程、
    (b):(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を生成させる工程、
    (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中の電解質を除去する工程、及び
    (d):(c)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルを陰イオン交換する工程、より成る酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの製造方法。
  4. 下記(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程及び下記(e)工程;
    (a):過酸化水素水及び金属スズを、2〜3のH 2 2 /Snモル比に保持しつつ同時に又は交互にチタン塩水溶液に添加して、チタン成分とスズ成分がTiO 2 とSnO 2 に換算して0.25〜10のTiO 2 /SnO 2 モル比と、TiO 2 とSnO 2 に換算した総濃度が5〜50重量%となるチタン−スズの塩基性塩水溶液を生成する工程、
    (b):(a)工程で得られたチタン−スズの塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体を生成させる工程、
    (c):(b)工程で生成した酸化チタン−酸化スズ複合コロイドの凝集体スラリー中の電解質を除去する工程、
    (d):(c)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルを陰イオン交換する工程、及び
    (e):(d)工程で得られた酸化チタン−酸化スズ複合水性ゾルの水性媒体を有機溶媒に置換する工程、より成る酸化チタン−酸化スズ複合オルガノゾルの製造方法。
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