JP4247585B2 - 変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル及びその製造法 - Google Patents

変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル及びその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイドの表面を、2〜7nmの酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆することによって形成された、粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムのコロイド粒子のゾル及びその製造方法に関する。
本発明のゾルは、プラスチックレンズの表面に施されるハードコート剤の成分として、その他種々の用途に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
既に種々の金属酸化物のゾルが知られている。
近年多用されるようになってきたプラスチックレンズの表面を改良するために、この表面に適用されるハードコート剤の成分として、高い屈折率を有する金属酸化物のゾルが用いられている。
【0003】
たとえば、特公昭63−37142号公報には、Al、Ti、Zr、Sn、Sb等の金属酸化物の1〜300nm粒子を含有させたハードコート剤が記載されている。
【0004】
酸化タングステン単独の安定なゾルは未だ知られていないが、珪酸塩の添加によって得られるWO3:SiO2:M2O(但し、Mはアルカリ金属原子又はアンモニウム基を表わす。)モル比が4〜15:2〜5:1であるゾルが、特開昭54−52686号公報に提案されている。
【0005】
特公昭50−40119号公報にはSi:Snのモル比が2〜1000:1であるケイ酸−スズ酸複合ゾルが提案されている。
【0006】
また、特開平3−217230号には4〜50nmの粒子径を有する原子価3、4又は5の金属酸化物のコロイド粒子を核としてその表面がWO3/SnO2重量比0.5〜100であって粒子径2〜7nmである酸化タングステン−酸化第二スズ複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径4.5〜60nmの変性金属酸化物コロイドからなり、そしてこれら全金属酸化物を2〜50重量%含む安定なゾルが提案されている。
【0007】
また、特開平6−24746号にはZrO2/SnO2として0.02〜1.0の重量比と4〜50nmの粒子径を有するSnO2−ZrO2複合体コロイド粒子を核として、その表面を、0.5〜100のWO3/SnO2重量比と2〜7nmの粒子径を有するWO3−SnO2複合コロイド粒子で被覆した構造の粒子からなる変性されたSnO2−ZrO2複合体の安定なゾルが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
けれども、これら従来の金属酸化物ゾル、特にカチオン性の金属酸化物ゾルをハードコート剤の成分として用いると、得られたハードコート剤の安定性が充分でないのみならず、このハードコート剤の硬化皮膜の透明性、密着性、耐候性等も充分でない。またSb25ゾルをハードコート剤成分として用いる場合には、Sb25の屈折率が1.65〜1.70程度であるから、レンズのプラスチック基材の屈折率が1.6以上のときには、もはやこのSb25ゾルでは硬化被膜の屈折率が充分に向上しない。
【0009】
上記特開昭54−52686号公報に記載の酸化タングステンのゾルは、タングステン酸塩の水溶液を脱陽イオン処理することにより得られるタングステン酸の水溶液に、珪酸塩を加えることにより得られているが、強酸性においてのみ安定であり、また、ハードコート剤の成分として用いる場合には、塗膜の屈折率を向上させる効果は小さい。
【0010】
上記特公昭50−40119号公報に記載のケイ酸−スズ酸複合ゾルは、ケイ酸アルカリとスズ酸アルカリの混合水溶液を脱陽イオン処理することにより得られているが、上記同様、やはりハードコート剤の成分として用いる場合には、塗膜の屈折率を向上させる効果は小さい。
【0011】
上記特開平3−217230に記載の変性金属酸化物ゾルは屈折率が1.7以上で、安定であり、プラスチックレンズ用のハードコート剤の成分として用いることができ、要求されるハードコート膜の性能、例えば耐擦傷性、透明性、密着性、耐水性、耐候性などの性能をほぼ満足する事ができる。
【0012】
上記特開平6−24746に記載の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウムゾルは屈折率が1.7以上で、安定であり、プラスチックレンズ用のハードコート剤の成分として用いることができ、要求されるハードコート膜の性能、例えば耐擦傷性、透明性、密着性などの性能をほぼ満足する事ができる。
【0013】
本願発明の変性された金属酸化物ゾルはハードコート剤成分として用いたときに、従来の金属酸化物ゾルを用いたときに見られる紫外線照射による黄変や、耐水性、耐湿性の問題を克服し、耐水性、耐湿性及び耐候性能の良好な高い屈折率を有する変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子の安定なゾルを提供し、プラスチックレンズ表面に施されるハードコート膜の性能向上成分として、そのハードコート用塗料に混合して用いることができる金属酸化物ゾルを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、酸化第二スズのコロイド粒子と酸化ジルコニウムのコロイド粒子とがこれらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合体コロイド粒子を核としてその表面が、0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子からなり、そしてこれら全金属酸化物を2〜50重量%含む安定なゾルである。
【0015】
また、本願発明のゾルの製造方法は、下記(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程及び(e)工程:
(a)工程:4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズのコロイド粒子をその酸化物SnO2として0.5〜50重量%の濃度に含有する酸化第二スズ水性ゾルと、ZrO2として0.5〜50重量%濃度のオキシジルコニウム塩の水溶液とを、これらに基づくZrO2/SnO2として0.02〜1.0の重量比に混合する工程、
(b)工程:(a)工程によって得られた混合液を60〜200℃で、0.1〜50時間加熱することにより、4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、
(c)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する水溶液を調製し、その水溶液中に存在する陽イオンを除去して得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、
(d)工程:(b)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(c)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合する工程、及び
(e)工程:(d)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させることにより、当該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程からなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本願発明のゾルの製造に用いられる核粒子としての酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、上記(a)工程と(b)工程からなる方法で製造する事ができる。(a)工程に用いられる酸化第二スズのコロイド粒子は、公知の方法、例えばイオン交換法、解膠法、加水分解法、反応法等と呼ばれる方法により、約4〜50nm程度粒子径を有するコロイド粒子のゾルの形態で容易につくることができる。
【0017】
上記イオン交換法の例としては、スズ酸ナトリウムのようなスズ酸塩を水素型陽イオン交換樹脂で処理する方法、或いは上記塩化第二スズ、硝酸第二スズのような第二スズ塩を水酸基型陰イオン交換樹脂で処理する方法が挙げられる。上記解膠法の例としては、第二スズ塩を塩基で中和するか、或いはスズ酸を塩酸で中和させることにより得られる水酸化第二スズゲルを洗浄した後、酸又は塩基で解膠する方法が挙げられる。上記加水分解法の例としては、スズアルコキシドを加水分解する方法、或いは塩基性塩化第二スズ塩基性塩を加熱下加水分解した後、不要の酸を除去する方法が挙げられる。上記反応法の例としては、金属スズ粉末と酸とを反応させる方法が挙げられる。
【0018】
これら酸化第二スズゾルの媒体は、水、親水性有機溶媒のいずれでもよいが、媒体が水である水性ゾルが好ましい。また、ゾルのpHとしては、ゾルを安定ならしめる値がよく、通常、0.2〜11程度がよい。本発明の目的が達成される限り、酸化第二スズゾルには、任意の成分、例えば、ゾルの安定化のためのアルカリ性物質、酸性物質、オキシカルボン酸等が含まれていてもよい。用いられる酸化第二スズゾルの濃度としては、酸化第二スズとして0.5〜50重量%程度であるが、この濃度は低い方がよく、好ましくは1〜30重量%である。
【0019】
酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルは、上記酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩をZrO2/SnO2重量比が0.02〜1.0になるように0〜100℃で0.5〜3時間混合する(a)工程、次いでこれを60〜200℃、0.1〜50時間加熱する(b)工程により得ることができる。
【0020】
用いるオキシジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウムなどのオキシ有機酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム等がある。これらのオキシジルコニウム塩は固体又は水溶液として用いることができるが、ZrO2として0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%の水溶液として用いることができる。オキシ炭酸ジルコニルのように、水に不溶の塩も混合する酸化第二スズが酸性ゾルの場合は使用することが可能である。
【0021】
酸化第二スズゾルは特にアミンなどの有機塩基で安定化されたアルカリ性のゾルを用いるのが特に好ましく、オキシジルコニウム塩との混合は0〜100℃、好ましくは室温〜60℃が好ましい。そしてこの混合は撹拌下で酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩を加えても、オキシジルコニウム塩水溶液に酸化第二スズゾルを加えてもよいが、後者の方が好ましい。この混合は充分行われる必要があり、0.5〜3時間が好ましい。
【0022】
本願発明の被覆ゾルとして用いられ、(c)工程で得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルに含まれるWO3、SnO2及びSiO2複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって粒子径を観測することができ、その粒子径は1〜50nm、好ましくは2〜7nm、特に好ましくは2〜5nmである。このゾルのコロイド粒子の分散媒としては、水、親水性有機溶媒のいずれも可能である。このゾルは、WO3、SnO2及びSiO2をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する。このゾルに含まれるWO3、SnO2及びSiO2の合計の濃度は、通常40重量%以下、実用上好ましくは2重量%以上、好ましくは5〜30重量%である。このゾルは、1〜9のpHを示し、無色透明乃至僅かにコロイド色を有する液である。そして、室温では3ケ月以上、60℃でも1ケ月以上安定であり、このゾル中に沈降物が生成することがなく、また、このゾルが増粘したり、ゲル化を起すようなことはない。
【0023】
(c)工程で得られる酸化タングステン(WO3)、酸化第二スズ(SnO2)及び二酸化珪素(SiO2)の複合体コロイド粒子を含有することを特徴とする安定な酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルの製造方法は、(c−1)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有した水溶液を調製する工程、及び
(c−2)工程:(c−1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程からなる。
【0024】
(c−1)工程で用いられるタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩の例としては、アルカリ金属、アンモニウム、アミン等のタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩等が挙げられる。これらアルカリ金属、アンモニウム及びアミンの好ましい例としては、Li、Na、K、Rb、Cs、NH4、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。特に、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)、スズ酸ナトリウム(Na2SnO3・3H2O)及び珪酸ナトリウム(水ガラス)が好ましい。また、酸化タングステン、タングステン酸、スズ酸、珪酸等をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解したものも使用することが出来る。また珪酸塩として活性珪酸にエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミンを添加して得られるアミンシリケートや第4級アンモニウムシリケートも使用する事ができる。
【0025】
(c−1)工程の水溶液の調製方法としては、タングステン酸塩、スズ酸塩、珪酸塩の各粉末を水に溶解させ水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩水溶液、スズ酸塩水溶液、及び珪酸塩水溶液を混合して水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩とスズ酸塩の粉末及び珪酸塩の水溶液を水に添加して水溶液を調製する方法等が挙げられる。
【0026】
(c)工程のゾルの製造に用いられるタングステン酸塩の水溶液は、WO3として0.1〜15重量%濃度のものが好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(c)工程のゾルの製造に用いられるスズ酸塩の水溶液としては、SnO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
本願発明のゾルの製造に用いられる珪酸塩の水溶液としては、SiO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
【0027】
(c−1)工程での水溶液の調製は攪拌下に、室温〜100℃、好ましくは、室温〜60℃位で行うのがよい。混合すべき水溶液は、WO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100が好ましい。
【0028】
(c−2)工程では(c−1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程である。脱陽イオン処理の方法としては水素型イオン交換体と接触させる方法や塩析により行うことができる。ここで用いられる水素型陽イオン交換体としては、通常用いられるものであり、好都合には市販品の水素型陽イオン交換樹脂を用いることが出来る。
【0029】
(c−1)工程及び(c−2)工程を経て得られた水性ゾルは、濃度が低いときには所望に応じ、この水性ゾルを通常の濃縮方法、例えば、蒸発法、限外濾過法等により、ゾルの濃度を高めることができる。特に、限外濾過法は好ましい。この濃縮においても、ゾルの温度は約100℃以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
【0030】
(c)工程の水性ゾルの水を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルと呼ばれる親水性有機溶媒ゾルが得られる。
(c)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、酸化第二スズと酸化タングステンと二酸化珪素が原子レベルで均一に複合(固溶)して得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素からなる複合体粒子を含有する。従って、酸化タングステンゾル、酸化第二スズゾル及び二酸化珪素ゾルの3種のゾルを単に混合して得られるものではない。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体粒子は固溶体を形成している為に、溶媒置換によっても酸化タングステン粒子、酸化第二スズ粒子及び二酸化珪素粒子に分解する事はない。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズの複合ゾルに比べ、基材に被覆して被膜を形成した際に、耐水性、耐湿性、及び耐候性が向上する。
【0031】
(c)工程で得られたゾル中のWO3/SnO2重量比が0.1未満では、不安定であり、また、この重量比が100を越えると、やはりゾルは安定性を示さない。高いpHの水性ゾルから上記オルガノゾルをつくる際に加えられるオキシカルボン酸も、ゾルの安定化に貢献するが、その添加量がゾル中のWO3、SnO2及びSiO2の合計に対し30重量%以上と多いと、このようなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性が低下する。用いられるオキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、グリコール等が挙げられる。また、アルカリ成分としては、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属水酸化物、NH4、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらは2種以上を混合して含有することができる。また、上記の酸性成分と併用することもできる。ゾル中のアルカリ金属、アンモニウム、アミン、オキシカルボン酸等の量に対応して、そのゾルのpHが変わる。ゾルのpHが1未満ではゾルは不安定であり、pHが9を越えると、酸化タングステン、酸化第二スズおよび二酸化珪素の複合体コロイド粒子が液中で溶解し易い。ゾル中のWO3、SnO2及びSiO2の合計濃度が40重量%以上に高いと、ゾルはやはり安定性に乏しい。この濃度が薄すぎると非実用的であり、工業製品として好ましい濃度は5〜30重量%である。
【0032】
濃縮法として限外濾過法を用いると、ゾル中に共存しているポリアニオン、極微小粒子等が水と一緒に限外濾過膜を通過するので、ゾルの不安定化の原因であるこれらポリアニオン、極微小粒子等をゾルから除去することができる。
【0033】
(d)工程は、(b)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(c)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合する工程である。
【0034】
(d)工程により、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾルのコロイド粒子を酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルのコロイド粒子表面に結合させて、当該表面を上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆することにより、そのコロイド粒子を核としてその表面が酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体の性質を有するように変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合コロイド粒子を生成させることができ、そしてこの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子が液媒体に安定に分散したゾルとして得ることができる。
【0035】
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって変性されたこれらの酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合コロイド粒子のゾルは、この酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルをその金属酸化物(ZrO2+SnO2)として100重量部と、上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾルをこのゾルのWO3、SnO2及びSiO2の合計として2〜100重量部の比率に、好ましくは強撹拌下に混合する(d)工程、次いでこの混合ゾルからゾル中の陰イオンを除去する工程(e)工程により得られる。
【0036】
上記(d)工程の混合によって得られたゾル中の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子は、電子顕微鏡によって観察することができ、ほぼ4.5〜60nmの粒子径を有する。上記混合によって得られたゾルはpHほぼ1〜9を有しているが、改質のために用いたオキシジルコニウム塩に由来するCl‐、NO3‐、CH3COO‐などのアニオンを多く含有しているために、コロイド粒子はミクロ凝集を起こしており、ゾルの透明性が低くなっている。
【0037】
上記混合によって得られたゾル中のアニオンを(e)工程の陰イオンを除去することにより、pH3〜11で、透明性の良い、安定な変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子のゾルを得ることができる。
(e)工程の陰イオン除去は上記混合によって得られたゾルを水酸基型陰イオン交換樹脂で100℃以下、好ましくは室温〜60℃位の温度で処理することにより得られる。水酸基型陰イオン交換樹脂は市販品を用いることができるが、アンバーライト410のような強塩基型のものが好ましい。
(e)工程の水酸基型陰イオン交換樹脂による処理は(d)工程での混合によって得られたゾルの金属酸化物濃度が1〜10重量%で行うのが特に好ましい。
【0038】
(a)〜(e)工程により得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルの濃度を更に高めたいときには、最大約50重量%まで常法、例えば蒸発法、限外濾過法等により濃縮することができる。またこのゾルのpHを調整したい時には、濃縮後に、前記アルカリ金属、アンモニウム等の水酸化物、前記アミン、オキシカルボン酸等をゾルに加えることによって行うことができる。特に、上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が10〜40重量%であるゾルは実用的に好ましい。
【0039】
(e)工程より得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル中のコロイド粒子は、エチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物又はその加水分解物で、部分的に又は全面的に表面を被覆する事ができる。
【0040】
上記混合によって得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルが水性ゾルであるときは、この水性ゾルの水媒体を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルが得られる。この置換は、蒸留法、限外濾過法等通常の方法により行うことができる。この親水性有機溶媒の例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ、エチレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
【0041】
上記水と親水性有機溶媒との置換は、通常の方法、例えば、蒸留置換法、限外濾過法等によって容易に行うことができる。
【0042】
本発明による酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって表面が被覆された変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子はゾル中で負に帯電している。上記酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子は陽に帯電しており、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子は負に帯電している。従って、(d)工程の混合によりこの陽に帯電している酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子の周りに負に帯電している酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が電気的に引き寄せられ、そして陽帯電のコロイド粒子表面上に化学結合によって酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が結合し、この陽帯電の粒子を核としてその表面を酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体が覆ってしまうことによって、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子が生成したものと考えられる。
【0043】
けれども、核ゾルとしての粒子径4〜50nmの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子と、被覆ゾルとしての酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド粒子とを混合するときに、核ゾルの金属酸化物(ZrO2とSnO2)100重量部に対し、被覆ゾルの金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計量が2重量部より少ないと、安定なゾルが得られない。このことは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子の量が不足するときには、この複合体のコロイド粒子による酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子を核とするその表面の被覆が不充分となり、生成コロイド粒子の凝集が起こり易く、生成ゾルを不安定ならしめるものと考えられる。従って、混合すべき酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子の量は、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子の全表面を覆う量より少なくてもよいが、安定な変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子のゾルを生成せしめるに必要な最小量以上の量である。この表面被覆に用いられる量を越える量の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子が上記混合に用いられたときには、得られたゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子のゾルと、生じた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子のゾルの安定な混合ゾルに過ぎない。
【0044】
好ましくは、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子をその表面被覆によって変性するには、用いられる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子の量は、核ゾルの金属酸化物(ZrO2+SnO2)100重量部に対し、被覆ゾル中の金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計として100重量部以下がよい。
【0045】
本発明による変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの好ましい水性複合ゾルは、pH3〜11を有し、pHが3より低いとそのようなゾルは不安定となり易い。また、このpHが11を越えると、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子を覆っている酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体が液中に溶解し易い。更に変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子のゾル中の上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が50重量%を越えるときにも、このようなゾルは不安定となり易い。工業製品として好ましい濃度は10〜40重量%程度である。
【0046】
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子は高温で加水分解を受け易いことから、(d)工程の混合、(e)工程の陰イオン交換および(e)工程後の濃縮、pH調整、溶媒置換等の際には100℃以下が好ましい。
【0047】
【実施例】
酸化第二スズゾルの調製
金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反応により得られた比重1.420、pH0.40、撹拌直後の粘度32mPa・s、SnO2含量33.0重量%、HCl含量2.56重量%、電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径10nm以下、BET法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面積からの換算粒子径7.2nm、米国コールター社製N4装置による動的光散乱法粒子径107nm、淡黄色透明の酸化第二スズ水性ゾル1200gを水10800gに分散させた後、これにイソプロピルアミン4.8gを加え、次いで、この液を水酸基型陰イオン交換樹脂充填のカラムに通すことにより、アルカリ性の酸化第二水性ゾル13440gを得た。このゾルは、安定であり、コロイド色を呈しているが、透明性が非常に高く、比重1.029、pH9.80、粘度1.4mPa・s、SnO2含量2.95重量%、イソプロピルアミン含量0.036重量%であった。
【0048】
実施例1
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%)3043g(ZrO2として60.87g含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
【0049】
(b)工程
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834gを得た。このゾルはSnO2として2.96重量%、ZrO2として0.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%、pH1.45で、粒子径9.0nm、コロイド色を有するが、透明性は良好であった。
【0050】
(c)工程
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)113gを水2353.7gに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として71重量%含有する。)33.3gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する。)42.45gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル(pH2.1、WO3として0.75重量%、SnO2として0.75重量%、SiO2として1.00重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33であり、粒子径2.5nmであった。)3150gを得た。
【0051】
(d)工程
(c)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル3150g(WO3+SnO2+SiO2として78.83gを含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル11592.6g(ZrO2+SnO2として394.1g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、pH2.26、全金属酸化物3.2重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(e)工程
【0052】
(d)工程で得た混合液14742.6gにジイソブチルアミンを9.5g添加し、次いで水酸基型陰イオン交換樹脂(アンバーライト410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)16288gを得た。このゾルは全金属酸化物2.90重量%、pH10.43で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
【0053】
(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル2182gを得た。このゾルはpH8.71、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)18.3重量%で、安定であった。
【0054】
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル2182gに撹拌下に、室温で酒石酸4.0g、ジイソブチルアミン6.0g、消泡剤(サンノプコ社製SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール20リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合メタノールゾル1171gを得た。このゾルは比重1.124、pH7.45(水との等重量混合物)、粘度2.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)32.7重量%、水分0.47重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
【0055】
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.76であった。
【0056】
実施例2
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%)3043g(ZrO2として60.87gを含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
【0057】
(b)工程
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834gを得た。このゾルはSnO2として2.96重量%、ZrO2として0.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%、pH1.45で、粒子径9.0nmでコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
【0058】
(c)工程
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)187.2gを水2101.1gに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として71重量%含有する。)28.0gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する。)35.7gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル(pH2.3、WO3として0.62重量%、SnO2として0.62重量%、SiO2として1.69重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比2.7であり、粒子径2.1nmであった。)3203.6gを得た。
【0059】
(d)工程
(c)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル3203g(WO3+SnO2+SiO2として94.1g含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834g(ZrO2+SnO2として470.3g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、pH1.55、全金属酸化物3.32重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
【0060】
(e)工程
(d)工程で得た混合液17037gにジイソブチルアミン11.3gを滴下し次いで水酸基型陰イオン交換樹脂(アンバーライト410)を充填したカラムに室温で通液、80℃で1hr加熱熟成することによって変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)19970gを得た。このゾルは全金属酸化物2.83重量%、pH10.25で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
【0061】
(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル3402.3gを得た。このゾルはpH8.31、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2として)20.0重量%で、安定であった。
【0062】
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル3402.3gに撹拌下に、室温で酒石酸7.9g、ジイソブチルアミン11.9g、消泡剤(サンノプコ社製SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、液温30℃以下でメタノール30リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合メタノールゾル1397.7gを得た。このゾルは比重1.140、pH7.23(水との等重量混合物)、粘度2.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)34.0重量%、水分0.50重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
【0063】
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.75であった。
【0064】
実施例3
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%)3043g(ZrO2として60.87gを含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
【0065】
(b)工程
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834gを得た。このゾルはSnO22.96重量%、ZrO20.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%、pH1.45で、粒子径9.0nmでコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
【0066】
(c)工程
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)74.8gを水2497.0gに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として71重量%含有する。) 51.0gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・3H2O(SnO2として55重量%含有する。)65.8gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル(pH2.0、WO3として1.11重量%、SnO2として1.11重量%、SiO2として0.67重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比0.60で、粒子径3.0nmであった。)3246.0gを得た。
【0067】
(d)工程
Cで調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル3246.0g(WO3+SnO2+SiO2として94.1gを含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834g(ZrO2+SnO2として470.4gを含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、pH1.87、全金属酸化物3.31重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
【0068】
(e)工程
(d)工程で得た混合液17080gを水酸基型陰イオン交換樹脂(アンバーライト410)を充填したカラムに室温で通液することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)22204.0gを得た。このゾルは全金属酸化物2.54重量%、pH10.67で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
【0069】
(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル2675.4gを得た。このゾルはpH9.74、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2として)21.1重量%で安定であった。
【0070】
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル2675.4gに撹拌下に、室温で酒石酸11.30g、ジイソブチルアミン16.9g、消泡剤(サンノプコ社製SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、液温30℃以下でメタノール28リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合メタノールゾル1850gを得た。このゾルは比重1.114、pH7.12(水との等重量混合物)、粘度2.0mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)30.2重量%、水分0.55重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.77であった。
【0071】
実施例4
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%を含有する。)3043g(ZrO2として60.87gを含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5gを含有する。)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
【0072】
(b)工程
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃、5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834gを得た。このゾルはSnO2として2.96重量%、ZrO2として0.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%を含有し、pH1.45で、粒子径9.0nmでコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(c)工程
実施例1の(c)工程と同様に調製した。
(d)工程
(c)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合ゾル1880g(WO3+SnO2+SiO2として47.0gを含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾル13834g(ZrO2+SnO2として470.4gを含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.10、pH1.57、全金属酸化物3.30重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
【0073】
(e)工程
(d)工程で得た混合液15714gにジイソブチルアミン10.3g添加し次いで水酸基型陰イオン交換樹脂(アンバーライト410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)19163gを得た。このゾルは全金属酸化物2.7重量%、pH10.56で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
【0074】
(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル3423gを得た。このゾルはpH9.22、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)14.6%で安定であった。
【0075】
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル2370gに撹拌下に、室温で酒石酸7.7g、ジイソブチルアミン11.6g、消泡剤(サンノプコ社製SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルをロータリーエバポレーターにて減圧下、液温30℃以下でメタノール29リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合メタノールゾル1505gを得た。このゾルは比重1.086、pH7.86(水との等重量混合物)、粘度5.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)30.9重量%、水分0.51重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.76であった。
【0076】
比較例1
上記調製された酸化第二スズ(電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径10nm以下、BET法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面積からの換算粒子径7.2nm)のコロイド粒子を核としてその表面が、WO3/SnO2重量比0.5〜100であって粒子径1.8nmである酸化タングステン−酸化第二スズ複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径9.0nmの変性された酸化第二スズメタノールゾル(SnO2+WO3として30.0重量%を含有する。)を用いた。
【0077】
比較例2酸化第二スズのコロイド粒子と酸化ジルコニウムのコロイド粒子とがこれら酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.15の比率に結合した構造と9.0nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核としてその表面が、1.0のWO3/SnO2重量比と1.2nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径10.2nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムメタノールゾル(SnO2+ZrO2+WO3として30.0重量%を含有する)を用いた。
【0078】
(コーティング液の作製)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン105.3重量部に0.01規定の塩酸36.8重量部を滴下し、その後24hr攪拌を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物を調整した。これに実施例1〜2及び比較例1〜2の変性された金属酸化物ゾルをそれぞれ192.3重量部添加し、コート液を4つ調整した。
【0079】
(硬化膜の形成)
市販の屈折率nD=1.59のポリカーボネートの板を用意し、これにディップコートにてコーティング組成物を塗布し、120℃で2時間加熱処理し、塗膜を硬化させた。
その後温水60℃に1時間浸せきし、取り出し水気を十分に拭い、スチールウールで数回膜をこすった。そしてコーティング膜の状態を目視で、傷つかない(○)、やや傷つく(△)、傷が入りやすい(×)の3段階のランクで評価した。
【0080】
Figure 0004247585
【0081】
耐水性の評価において、比較例1で示される変性された酸化第二スズゾルよりも、比較例2で示される変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルの方が良く、更に実施例1〜2で示される酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素のコロイド粒子で被覆されることによって変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの方が良いことがわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によって得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって表面変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合コロイド粒子のゾルは無色透明であって、その乾燥塗膜は約1.7〜1.8の屈折率を示し、また、結合強度、硬度のいずれも高く、耐光性、帯電防止性、耐熱性、耐摩耗性等も良好である。また、特に耐水性、耐湿性が従来のものに比べ格段に向上している。これは、酸化タングステン−酸化第二スズ−酸化珪素コロイド粒子中の二酸化珪素成分により乾燥塗膜中にシロキサン結合が形成され、これにより、耐水性、耐湿性が向上したものと推測される。
【0083】
このゾルは、pHほぼ1〜9において安定であり、工業製品として供給されるに充分な安定性も与えることができる。
このゾルは、そのコロイド粒子が負に帯電しているから、他の負帯電のコロイド粒子からなるゾルなどとの混和性が良好であり、例えばシリカゾル、五酸化アンチモンゾル、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤、ポリビニルアルコール等の水溶液、アニオン性又はノニオン性の樹脂エマルジョン、水ガラス、りん酸アルミニウム等の水溶液、エチルシリケイトの加水分解液、シランカップリング剤の加水分解液などの如き分散体と安定に混合し得る。
【0084】
このような性質を有する本発明のゾルは、プラスチックレンズ上にハードコート膜を形成させるための屈折率、染色性、耐薬品性、耐水性、耐湿性、耐光性、耐候性、耐摩耗性等の向上成分として特に有効であるが、その他種々の用途に用いることができる。
【0085】
このゾルを有機質の繊維、繊維製品、紙などの表面に適用することによって、これら材料の難燃性、表面滑り防止性、帯電防止性、染色性等を向上させることができる。また、これらのゾルは、セラミックファイバー、ガラスファイバー、セラミックス等の結合剤として用いることができる。更に、各種塗料、各種接着剤等に混入して用いることによって、それらの硬化塗膜の耐水性、耐薬品性、耐光性、耐候性、耐摩耗性、難燃性等を向上させることができる。その他、これらのゾルは、一般に、金属材料、セラミックス材料、ガラス材料、プラスチック材料などの表面処理剤としても用いることができる。更に触媒成分としても有用である。

Claims (2)

  1. 酸化第二スズのコロイド粒子と酸化ジルコニウムのコロイド粒子とがこれらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの電子顕微鏡によって観測される粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合体コロイド粒子を核としてその表面が、0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と2〜7nmの電子顕微鏡によって観測される粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された電子顕微鏡によって観測される粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子からなり、そしてこれら全金属酸化物を2〜50重量%含む安定なゾル。
  2. 下記(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程及び(e)工程:(a)工程:4〜50nmの電子顕微鏡によって観測される粒子径を有する酸化第二スズのコロイド粒子をその酸化物SnO2として0.5〜50重量%の濃度に含有する酸化第二スズ水性ゾルと、ZrO2として0.5〜50重量%濃度のオキシジルコニウム塩の水溶液とを、これらに基づくZrO2/SnO2として0.02〜1.0の重量比に混合する工程、(b)工程:(a)工程によって得られた混合液を60〜200℃で、0.1〜50時間加熱することにより、4〜50nmの電子顕微鏡によって観測される粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、(c)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する水溶液を調製し、その水溶液中に存在する陽イオンを除去して得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、(d)工程:(b)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(c)工程で得られた2〜7nmの電子顕微鏡によって観測される粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合する工程、及び(e)工程:(d)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させることにより、当該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程、からなる請求項1に記載の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の安定なゾルの製造方法。
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