JP4510489B2 - コーティング組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コーティング組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機酸水溶液、好ましくはシュウ酸水溶液中で過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜10、好ましくは2〜4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が40重量%以下になるように反応させることにより生成した粒子径が4〜50nmの酸化第二スズのコロイド粒子を用い作製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイドの表面を、2〜7nmの酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆することによって形成された、粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムのコロイド粒子と、有機珪素化合物を含有したコーティング組成物の製造方法に関する。
本発明の方法で得られたコーティング組成物は、プラスチックレンズの表面に施されるハードコート剤の成分として、さらに、その他種々の用途に用いられる。
既に種々のコーティング組成物が知られている。
その一例として、プラスチックレンズの表面を改良するために、この表面に適用されるハードコート剤の成分として、高い屈折率を有する金属酸化物のゾルが用いられている。
例えば、特許文献1には、酸化第二スズのコロイド粒子と酸化ジルコニウムのコロイド粒子とがこれらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合体コロイド粒子を核としてその表面が、0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と、2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、有機珪素化合物からなるコ−ティング組成物が開示されている。かかるコーティング組成物は、光学基材を被覆した場合に、優れた審美性、耐候性、耐擦傷性及び耐湿性などを有すると共に、さらにその上に蒸着膜を施しても、前記物性の変化がほとんどないことが特許文献1には記載されている(特許文献1、特許請求の範囲を参照)。
特開2000−281344号公報
従来、膜の耐擦傷性を評価する方法として、スチールウールテストが用いられてきた。しかし、スチールウールテストは、数値で評価するものでないため、評価方法として、近年Bayerテストで耐擦傷性を評価する動きが広がっている。
前記特開2000−281344号公報に記載の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウムゾルを含有するハードコート剤を用いてなる硬化膜は、前記Bayerテストで評価した場合において、さらなる耐擦傷性を向上させることが望まれる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その目的は、紫外線照射による黄変の防止性や、密着性などの諸物性を損なわずに、耐擦傷性を高めた、高い屈折率を有するハードコート膜を提供できるコーティング組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の性状を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が特定の性状を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されてなる、特定の粒子径を有する変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、有機珪素化合物とを混合することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は
(1)金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸化ジルコニウムのコロイド粒子とが、これらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、有機珪素化合物とを混合するコーティング組成物の製造方法、
(2)有機酸が、シュウ酸又はシュウ酸を主成分として含む有機酸である上記(1)に記載のコーティング組成物の製造方法、
(3)前記変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が、下記(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(e)工程及び(f)工程を含む工程によって製造される上記(1)に記載のコーティング組成物の製造方法、
(a)工程:有機酸水溶液中において、過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が40重量%以下になるように反応させ、粒子径が4〜50nmの酸化第二スズのコロイドを生成させる工程
(b)工程:(a)工程で得た4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズのコロイド粒子をその酸化物SnO2として0.5〜50重量%の濃度に含有する酸化第二スズ水性ゾルと、ZrO2として0.5〜50重量%濃度のオキシジルコニウム塩の水溶液とを、これらに基づくZrO2/SnO2として0.02〜1.0の重量比に混合する工程、
(c)工程:(b)工程によって得られた混合液を60〜200℃で、0.1〜50時間加熱処理することにより、4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、
(d)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する水溶液を調製し、その水溶液中に存在する陽イオンを除去して得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、
(e)工程:(c)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(d)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合することにより、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、及び
(f)工程:(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させることにより、当該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程、
(4)有機酸水溶液が、シュウ酸水溶液又はシュウ酸を主成分として含む有機酸水溶液である上記(3)に記載のコーティング組成物の製造方法である。
本発明のコーティング組成物の一成分である、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって表面変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルはコロイド色を呈し、その乾燥塗膜は約1.8以上の高い屈折率を示す。そしてかかるコロイドと、有機珪素化合物を含有するコーティング組成物から得られる硬化膜は、密着性、透明性、耐摩耗性等も良好である。
従来の方法で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合コロイド粒子のゾルは、ゾル中の粒子の形状が紡錘状であり、高濃度で安定に存在することが困難であったのに対して、本発明の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは球状の粒子形状を有し、高濃度でも安定に存在することが可能である。
例えば、従来の方法で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、粒子濃度が47.0重量%において、100cm3のメスシリンダー中でB型粘度計のNo.1のローターにて60rpmの回転速度で粘度を測定した場合に、15c.p.(15mPa・s)である。
一方、本発明のコーティング組成物で使用される、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、粒子濃度が47.4重量%において、100cm3のメスシリンダー中でB型粘度計のNo.1のローターにて60rpmの回転速度で粘度を測定した場合に、5.5c.p.(5.5mPa・s)である。
この様に従来品に比べ高濃度で好適なコーティング組成物として使用できるため、塗膜中に粒子が多く存在し、最終品となるプラスチックレンズにおける密着性、耐摩耗性等も良好である。
また、本発明の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは特に塗膜とした場合の膜硬度が従来のものに比べ格段に向上している。これは従来の紡錘状の粒子形状とは異なり、球状の粒子形状を有しているため、塗膜中での粒子のパッキング性が向上したためと推測される。
このゾルは、pHほぼ1〜10において安定であり、工業製品として供給されるに充分な安定性も与えることができる。
このゾルは、そのコロイド粒子が負に帯電しているから、他の負帯電のコロイド粒子からなるゾルなどとの混和性が良好であり、例えばシリカゾル、五酸化アンチモンゾル、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤、ポリビニルアルコール等の水溶液、アニオン性又はノニオン性の樹脂エマルジョン、水ガラス、りん酸アルミニウム等の水溶液、エチルシリケイトの加水分解液、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤の加水分解液などの如き分散体と安定に混合し得る。
このような性質を有するゾルと有機珪素化合物を用いて得られるコーティング組成物は、メガネ用プラスチックレンズ上に硬化膜を形成させ、メガネ用プラスチックレンズの屈折率、耐摩耗性等の向上成分として特に有効である。
本発明は、(A)金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸化ジルコニウムのコロイド粒子とが、これらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と、2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、(B)有機珪素化合物とを混合するコーティング組成物の製造方法である。
本発明のコーティング組成物の一成分である、(A)成分のゾルの製造に用いられる核粒子としての酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、上記(a)工程と(b)工程及び(c)工程からなる方法で製造する事ができる。
(a)工程に用いられる酸化第二スズのコロイド粒子は、有機酸水溶液中で過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が40重量%以下になるように反応させ生成させることにより、粒子径が4〜50nmの酸化第二スズのコロイド粒子として得ることができる。
この際、有機酸水溶液中に、過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲に保ちながら添加するものである。過酸化水素水と金属スズはそれらの全量を一度に有機酸水溶液中に添加することもできるが、数回に分け、交互に添加する方法が好ましい。過酸化水素水と金属スズの添加順序に定めはないが、H22/Snモル比が2〜4の範囲に保たれていることが肝要である。通常は、過酸化水素水と金属スズを添加して、その反応が終了するのを待って次の過酸化水素水と金属スズの添加に移る。1回の反応時間は添加量にもよるが、通常5〜10分程度であり、次の過酸化水素水と金属スズの添加を行う。
(a)工程に用いられる有機酸と過酸化水素と金属スズの重量割合は、通常有機酸:過酸化水素:金属スズ=0.21〜0.53:0.57〜1.15:1.0である。
有機酸水溶液としては、シュウ酸水溶液又はシュウ酸を主成分として含む有機酸水溶液が好ましいが、シュウ酸水溶液のみを用いることで特に好ましく製造することができる。シュウ酸を主成分として含む有機酸水溶液とは、全有機酸中で80重量%以上のシュウ酸を含む有機酸の水溶液であり、残部はギ酸、酢酸等の有機酸を含有することができる。これらの有機酸水溶液は好ましくは濃度1〜30重量%、さらに好ましくは4〜10重量%の範囲で使用することができる。
酸化第二スズゾルの媒体は、水、親水性有機溶媒及びこれらの混合物のいずれでもよいが、媒体が水である水性ゾルが好ましい。また、ゾルのpHとしては、ゾルを安定ならしめる値がよく、通常、0.2〜11程度がよい。本発明の目的が達成される限り、酸化第二スズゾルには、任意の成分、例えば、ゾルの安定化のためのアルカリ性物質、酸性物質、オキシカルボン酸等が含まれていてもよい。用いられる酸化第二スズゾルの濃度としては、酸化第二スズとして0.5〜50重量%程度であるが、この濃度は低い方がよく、好ましくは1〜30重量%である。
酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルは、上記酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩をZrO2/SnO2重量比が0.02〜1.0になるように、通常0〜100℃で0.5〜3時間程度混合する(b)工程、次いでこれを60〜200℃、0.1〜50時間加熱処理する(c)工程により得ることができる。
用いるオキシジルコニウム塩としては、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウムなどのオキシ有機酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム等がある。これらのオキシジルコニウム塩は固体又は水溶液として用いることができるが、ZrO2として0.5〜50重量%程度の水溶液として用いるのが好ましい。オキシ炭酸ジルコニルのように、水に不溶の塩も混合する酸化第二スズが酸性ゾルの場合は使用することが可能である。
酸化第二スズゾルは特にアミンなどの有機塩基で安定化されたアルカリ性のゾルを用いるのが好ましく、オキシジルコニウム塩との混合は、通常0〜100℃、好ましくは室温〜60℃程度がよい。そしてこの混合は撹拌下で酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩を加えても、オキシジルコニウム塩水溶液に酸化第二スズゾルを加えてもよいが、後者の方が好ましい。この混合は充分行われる必要があり、0.5〜3時間程度が好ましい。
本発明において、被覆ゾルとして用いられ、(d)工程で得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体体ゾルに含まれるWO3、SnO2及びSiO2複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって粒子径を観測することができ、その粒子径は2〜7nm、好ましくは2〜5nmである。このゾルのコロイド粒子の分散媒としては、水、親水性有機溶媒及びこれらの混合物のいずれも可能である。このゾルは、WO3、SnO2及びSiO2をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する。このゾルに含まれるWO3、SnO2及びSiO2の合計の濃度は、通常40重量%以下、実用上好ましくは2重量%以上、好ましくは5〜30重量%である。このゾルは、1〜9程度のpHを示し、無色透明乃至僅かにコロイド色を有する液である。そして、室温では3ケ月以上、60℃でも1ケ月以上安定であり、このゾル中に沈降物が生成することがなく、また、このゾルが増粘したり、ゲル化を起すようなことはない。
(d)工程で得られる酸化タングステン(WO3)、酸化第二スズ(SnO2)及び二酸化珪素(SiO2)の複合体コロイド粒子を含有する安定な酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、例えば
(d−1)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有した水溶液を調製する工程、及び
(d−2)工程:(d−1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程、を施すことにより製造することができる。
(d−1)工程で用いられるタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩の例としては、アルカリ金属、アンモニウム、アミン等のタングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩等が挙げられる。これらアルカリ金属、アンモニウム及びアミンの好ましい例としては、Li、Na、K、Rb、Cs、NH4 +、あるいはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。特に、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)、スズ酸ナトリウム(Na2SnO3・3H2O)及び珪酸ナトリウム(水ガラス)が好ましい。また、酸化タングステン、タングステン酸、スズ酸、珪酸等をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶解したものも使用することが出来る。また珪酸塩として活性珪酸にエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等のアルキルアミンを添加して得られるアミンシリケートや第4級アンモニウムシリケートも使用する事ができる。
(d−1)工程の水溶液の調製方法としては、タングステン酸塩、スズ酸塩、珪酸塩の各粉末を水に溶解させ水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩水溶液、スズ酸塩水溶液、及び珪酸塩水溶液を混合して水溶液を調製する方法や、タングステン酸塩とスズ酸塩の粉末及び珪酸塩の水溶液を水に添加して水溶液を調製する方法等が挙げられる。
(d)工程のゾルの製造に用いられるタングステン酸塩の水溶液は、WO3として0.1〜15重量%濃度のものが好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(d)工程のゾルの製造に用いられるスズ酸塩の水溶液としては、SnO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
また、(d)工程のゾルの製造に用いられる珪酸塩の水溶液としては、SiO2濃度0.1〜30重量%程度が好ましいが、これ以上の濃度でも使用可能である。
(d−1)工程での水溶液の調製は攪拌下に、室温〜100℃程度、好ましくは、室温〜60℃位で行うのがよい。混合すべき水溶液は、WO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100になるように用いられる。
(d−2)工程は(d−1)工程で得られた水溶液中に存在する陽イオンを除去する工程である。脱陽イオン処理の方法としては水素型イオン交換体と接触させる方法や塩析により行うことができる。ここで用いられる水素型陽イオン交換体としては、通常用いられるものであり、例えば市販品の水素型陽イオン交換樹脂を用いることが出来る。
(d−1)工程及び(d−2)工程を経て得られた水性ゾルは、濃度が低いときには所望に応じ、この水性ゾルを通常の濃縮方法、例えば、蒸発法、限外濾過法等により、ゾルの濃度を高めることができる。特に、限外濾過法は好ましい。この濃縮においても、ゾルの温度は約100℃以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
(d)工程の水性ゾルの水を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルと呼ばれる親水性有機溶媒ゾルが得られる。
(d)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、酸化第二スズと酸化タングステンと二酸化珪素が原子レベルで均一に複合(固溶)して得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素からなる複合体粒子を含有する。従って、酸化タングステンゾル、酸化第二スズゾル及び二酸化珪素ゾルの3種のゾルを単に混合して得られるものではない。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体粒子が固溶体を形成している為に、溶媒置換によっても酸化タングステン粒子、酸化第二スズ粒子及び二酸化珪素粒子に分解する事はない。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ複合体ゾルに比べ、基材に被覆して被膜を形成した際に、耐水性、耐湿性、及び耐候性が向上する。
(d)工程で得られたゾル中のWO3/SnO2重量比は、上述のように0.1〜100である。該重量比が0.1未満では、ゾルが不安定であり、また、この重量比が100を越えると、やはりゾルは安定性を示さない。高いpHの水性ゾルから上記オルガノゾルをつくる際に加えられるオキシカルボン酸も、ゾルの安定化に貢献するが、その添加量はゾル中のWO3、SnO2及びSiO2の合計に対し30重量%未満であることが好ましい。該添加量が30重量%以上と多いと、このようなゾルを用いて得られる乾燥塗膜の耐水性が低下する原因となる。用いられるオキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、グリコール等が挙げられる。また、アルカリ成分としては、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属水酸化物、NH4 +、あるいはエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;ピペリジン等の脂環式アミン;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらは2種以上を混合して含有することができる。また、上記の酸性成分と併用することもできる。ゾル中のアルカリ金属、アンモニウム、アミン、オキシカルボン酸等の量に対応して、そのゾルのpHが変わる。ゾルのpHが1未満ではゾルは不安定であり、pHが9を越えると、酸化タングステン、酸化第二スズおよび二酸化珪素の複合体のコロイド粒子が液中で溶解し易い。ゾル中のWO3、SnO2及びSiO2の合計濃度が40重量%を超えると、ゾルはやはり安定性に乏しい。この濃度が薄すぎると非実用的であり、工業製品として好ましい濃度は5〜30重量%である。
濃縮法として限外濾過法を用いると、ゾル中に共存しているポリアニオン、極微小粒子等が水と一緒に限外濾過膜を通過するので、ゾルの不安定化の原因であるこれらポリアニオン、極微小粒子等をゾルから除去することができる。
(e)工程は、(c)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(d)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合する工程である。
(e)工程により、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルのコロイド粒子を酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルのコロイド粒子表面に結合させて、当該表面を上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆することにより、そのコロイド粒子を核としてその表面が酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体の性質を有するように変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を生成させることができ、そしてこの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が液媒体に安定に分散したゾルとして得ることができる。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって変性されたこれらの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルは、この酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルをその金属酸化物(ZrO2+SnO2)として100重量部と、上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルをこのゾルのWO3、SnO2及びSiO2の合計として2〜100重量部の比率に、好ましくは強撹拌下に混合する(e)工程、次いでこの混合ゾルからゾル中の陰イオンを除去する(f)工程により得られる。
上記(e)工程の混合によって得られたゾル中の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって観察することができ、ほぼ4.5〜60nmの粒子径を有する。上記混合によって得られたゾルはpHがほぼ1〜9を有しているが、改質のために用いたオキシジルコニウム塩に由来するCl-、NO2 -、CH3COO-などのアニオンを多く含有しているために、コロイド粒子はミクロ凝集を起こしており、ゾルの透明性が低くなっている。
上記混合によって得られたゾル中のアニオンを(f)工程にて陰イオンを除去することにより、透明性の良い、安定な変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルを得ることができる。
(f)工程の陰イオン除去は上記混合によって得られたゾルを水酸基型陰イオン交換樹脂で、通常100℃以下、好ましくは室温〜60℃位の温度で処理することにより得られる。水酸基型陰イオン交換樹脂は市販品を用いることができるが、アンバーライトIRA−410のような強塩基型のものが好ましい。
(f)工程の水酸基型陰イオン交換樹脂による処理は(e)工程での混合によって得られたゾルの金属酸化物濃度が1〜10重量%で行うのが特に好ましい。
(a)〜(f)工程により得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの濃度を更に高めたいときには、最大約50重量%まで常法、例えば蒸発法、限外濾過法等により濃縮することができる。またこのゾルのpHを調整したい時には、濃縮後に、前記アルカリ金属、アンモニウム等の水酸化物、前記アミン、オキシカルボン酸等をゾルに加えることによって行うことができる。特に、上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が10〜50重量%であるゾルは実用的に好ましい。
(f)工程より得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル中のコロイド粒子は、エチルシリケート、メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物又はその加水分解物で、部分的に又は全面的に表面を被覆する事ができる。
上記混合によって得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルが水性ゾルであるときは、この水性ゾルの水媒体を親水性有機溶媒で置換することによりオルガノゾルが得られる。この置換は、蒸留法、限外濾過法等通常の方法により行うことができる。この親水性有機溶媒の例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド等の直鎖アミド類;N−メチル−2−ピロリドン等の環状アミド類;エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール等のグリコール類等が挙げられる。
上記水と親水性有機溶媒との置換は、通常の方法、例えば、蒸留置換法、限外濾過法等によって容易に行うことができる。
本発明で用いる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって表面が被覆され、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子はゾル中で負に帯電している。上記酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は陽に帯電しており、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子は負に帯電している。従って、(e)工程での混合によりこの陽に帯電している酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の周りに負に帯電している酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が電気的に引き寄せられ、そして陽帯電のコロイド粒子表面上に化学結合によって酸化タングステン−酸化第二スズ複合体のコロイド粒子が結合し、この陽帯電の粒子を核としてその表面を酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が覆ってしまうことによって、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が生成したものと考えられる。
但し、核ゾルとしての粒子径4〜50nmの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、被覆ゾルとしての酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子とを混合するときに、核ゾルの金属酸化物(ZrO2とSnO2)100重量部に対し、被覆ゾルの金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計量が2重量部より少ないと、安定なゾルが得られにくい。このことは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子の量が不足するときには、この複合体のコロイド粒子による酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核とするその表面の被覆が不充分となり、生成コロイド粒子の凝集が起こり易く、生成ゾルを不安定ならしめるものと考えられる。従って、混合すべき酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子の量は、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の全表面を覆う量より少なくてもよいが、安定な変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルを生成せしめるに必要な最小量以上の量である。この表面被覆に用いられる量を越える量の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子が上記混合に用いられたときには、得られたゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子のゾルと、生じた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルの安定な混合ゾルに過ぎない。
好ましくは、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子をその表面被覆によって変性するには、用いられる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子の量は、核ゾルの金属酸化物(ZrO2+SnO2)100重量部に対し、被覆ゾル中の金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計として100重量部以下がよい。
本発明で用いられる変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体の好ましい水性ゾルは、pH3〜11程度を有し、pHが3より低いとそのようなゾルは不安定となり易い。また、このpHが11を越えると、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を覆っている酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体が液中に溶解し易い。更に変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾル中の上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が60重量%を越えるときにも、このようなゾルは不安定となり易い。工業製品として好ましい濃度は10〜50重量%程度である。
酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子は高温で加水分解を受け易いことから、(e)工程の混合、(f)工程の陰イオン交換および(f)工程後の濃縮、pH調整、溶媒置換等の際には100℃以下が好ましい。
本発明のコーティング組成物においては、(B)成分として有機珪素化合物が用いられる。この有機珪素化合物としては、例えば一般式(I)
1nSi(OR24-n …(I)
(式中、R1は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数1〜20の炭化水素基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数2〜10のアシル基、nは0、1または2を示し、R1が複数ある場合、複数のR1はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のR2Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、一般式(II)
Figure 0004510489
(式中、R3およびR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のアシル基、R5およびR6は、それぞれ同一または異なる一価の炭素数1〜5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、Yは炭素数2〜20の二価の炭化水素基、aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のOR3は、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記一般式(I)において、R1で示される炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を挙げることができる。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよく、該官能基としては、例えばハロゲン原子、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。これらの官能基を有する炭化水素基としては、該官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えばγ−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、クロロメチル基、グリシドキシメチル基、α−グリシドキシエチル基、β−グリシドキシエチル基、α−グリシドキシプロピル基、β−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、α−グリシドキシブチル基、β−グリシドキシブチル基、γ−グリシドキシブチル基、δ−グリシドキシブチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、β−シアノエチル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−アクリロイルオキシプロピル基などが挙げられる。
一方、R2のうちの炭素数1〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基などが挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。また、アシル基としては、例えばアセチル基などが挙げられる。
nは0、1または2であり、R1が複数ある場合、複数のR1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、また、複数のR2Oはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物の例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、tert−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメト シシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどが挙げられる。
一方、前記一般式(II)において、R3およびR4のうちの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、炭素数2〜4のアシル基としては、アセチル基が好ましく挙げられる。このR3およびR4はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、R5およびR6で示される一価の炭素数1〜5の炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基および炭素数2〜5のアルケニル基が挙げられる。これらは直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基などが挙げられる。
これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよく、該官能基および官能基を有する炭化水素基としては、前記一般式(I)のR1の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。このR5およびR6はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Yで示される炭素数2〜20の二価の炭化水素基としては、炭素数2〜10のアルキレン基およびアルキリデン基が好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基などが挙げられる。
aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のOR3は、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(II)で表される化合物の例としては、メチレンビス(メチルジメトキシシラン)、エチレンビス(エチルジメトキシシラン)、プロピレンビス(エチルジエトキシシラン)、ブチレンビス(メチルジエトキシシラン)などが挙げられる。
本発明のコーティング組成物においては、(B)成分の有機珪素化合物として、一般式(I)、(II)で表される化合物およびその加水分解物の中から適宜1種選択して用いてもよいし、2種以上を選択し、組み合わせて用いてもよい。また、加水分解物は、一般式(I)、(II)で表される有機珪素化合物に、水酸化ナトリウムやアンモニアの水溶液などの塩基性水溶液、酢酸水溶液やクエン酸水溶液などの酸性水溶液を添加し、攪拌することにより調製することができる。
本発明のコーティング組成物における前記(A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と(B)成分の有機珪素化合物の含有割合については、屈折率及び良好な透明性を得る観点から(B)成分100重量部当たり、(A)成分を、固形分として1〜500重量部の割合で含有するのが好ましい。そして、用途に応じて(A)成分の含有量を上記範囲で適宜選定する。
本発明のコーティング組成物は、光学基材に適用するのが好ましく、この光学基材としては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタンなどのプラスチック基材を挙げることができる。審美性(すなわち、コーティング膜とレンズ基材との屈折率差による干渉縞の発生がない)ことを考慮すると特に、屈折率が1.55〜1.62であるプラスチックレンズが適している。
本発明のコーティング組成物には、所望により、反応を促進するために硬化剤を、種々の基材となるレンズとの屈折率をあわせるために微粒子金属酸化物を、また塗布時における濡れ性を向上させ、硬化膜の平滑性を向上させる目的で各種の有機溶剤や界面活性剤を含有させることもできる。さらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等も硬化膜の物性に影響を与えない限り添加することも可能である。
前記硬化剤の例としては、アリルアミン、エチルアミンなどのアミン類、またルイス酸やルイス塩基を含む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸などを有する塩または金属塩、さらにアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムを有する金属アルコキシドまたはこれらの金属キレート化合物などが挙げられる。特に好ましい硬化剤は耐擦傷性の観点から、アセチルアセトネート金属塩である。(C)成分として用いられるアセチルアセトネート金属塩としては、M1(CH3 COCHCOCH3 )n1(OR6 )n2(式中、M1 はZn(II)、Ti(IV)、Co(II)、Fe(II)、Cr(III) 、Mn(II)、V(III) 、V(IV)、Ca(II)、Co(III) 、Cu(II)、Mg(II)、Ni(II)、R6 は炭素数1〜8の炭化水素基、n1 +n2 はM1の価数に相当する数字で2,3または4であり、n2 は0,1または2である。)で表わされる金属錯体化合物が挙げられる。R6 としては、前記一般式(I)において例示した炭素数1〜10の炭化水素基のうち炭素数1〜8のものを挙げることができる。
また、前記微粒子状金属酸化物としては、従来公知のもの、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄などの微粒子が挙げられる。
コーティング組成物の硬化は、通常熱風乾燥または活性エネルギー線照射によって行われ、硬化条件としては、70〜200℃の熱風中にて行うのがよく、特に好ましくは90〜150℃が望ましい。なお活性エネルギー線としては遠赤外線などがあり、熱による損傷を低く抑えることができる。
本発明のコーティング組成物を用い、その硬化被膜を基材上に形成する方法としては、上述したコーティング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。塗布手段としてはディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法など通常行われる方法が適用できるが、面精度の面からディッピング法、スピンコーティング法が特に望ましい。
さらに上述したコーティング組成物を基材に塗布する前に、基材に酸、アルカリ、各種有機溶剤による化学的処理、プラズマ、紫外線などによる物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理、サンドブラスト処理、更には各種樹脂を用いたプライマー処理を施すことによって、基材と硬化膜との密着性などを向上させることができる。
また、コーティング組成物を基材に塗布して、硬化膜を形成した後、硬化膜の上に真空蒸着法やスパッタリングなどの物理気相蒸着法等にて、無機酸化物、有機化合物を原料とした反射防止膜を施すことができる。
本発明のコーティング組成物は、眼鏡レンズの基材の他、カメラ用レンズ基材、自動車の窓ガラス、ワードプロッセサーのディスプレイに付設する光学フィルタなどに塗布することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例で得られた硬化膜を有する光学部材は、以下に示す方法により、諸物性を測定した。
得られた硬化膜付き光学部材を、室温で1日間放置した後、以下の(イ)〜(ニ)の評価を行った。
(イ)干渉縞の評価
蛍光灯下で硬化膜を有する光学部材を目視で判断した。判断基準は以下のとおりである。
◎………干渉縞が見えない
○………干渉縞がほとんど見えない
△………少し見える
×………かなり見える
(ロ)密着性評価
硬化膜に1.5mm間隔で100目クロスカットし、このクロスカットした所に粘着テープ(商品名:セロファンテープ ニチバン(株)製品)を強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がした後の硬化膜の剥離の有無を調べた。判断基準は以下のとおりである。
◎………剥離なし
○………剥離数1〜10目
△………剥離数11〜50目
×………剥離数51〜100目
(ハ)透明性評価
暗室内、蛍光灯下で硬化膜に曇りがあるかどうかを目視で調べた。判断基準は以下のとおりである。
◎………曇りがみえない
○………曇りがほとんどみえない
△………少し見える
×………かなり見える
(ニ)Bayer値測定
摩耗試験機 BTETM Abrasion Tester(米COLTS社製)及び、ヘイズ値測定装置(村上色彩技術研究所)を使用し、基準レンズとのヘイズ値変化の差によりBayer値を測定した。
(サンプル数、測定方法)
(1)基準レンズ(CR39基材)3枚、サンプルレンズ3枚を用意。
(2)摩耗テスト前ヘイズ(haze)値の測定。
(3)BTETM Abrasion Testerにて、摩耗性テスト。
(砂による表面摩耗600往復)
(4)摩耗テスト後ヘイズ値の測定。
(5)Bayer値算出 (3枚分の平均値とする)
(Bayer値= 基準レンズの透過率変化/サンプルレンズの透過率変化)
[変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の製造]
製造例1
(a)工程
しゅう酸((COOH)2・2H2O)37.5kgを純水220kgに溶解し、これを500Lの容器にとり、攪拌下70℃まで加温し、35%過酸化水素水150kgと金属スズ(山石金属社製、商品名:AT−SN、No200N)75kgを添加した。
過酸化水素水と金属スズの添加は交代に行った。初めに35%過酸化水素水10kgを次いで金属スズ5kgを添加した。反応が終了するのを待って(5〜10分)この操作を繰り返した。添加に要した時間は2.5時間で、添加終了後、更に90℃で1時間加熱し、反応を終了させた。過酸化水素水と金属スズのモル比はH22/Snとして2.48であった。
得られた酸化スズゾルは非常に透明性が良好であった。この酸化スズゾルの収量は、352kgで比重1.312、pH1.49、粘度44mPa・s、SnO2として26.1重量%であった。
得られたゾルを電子顕微鏡で観察したところ、10〜15nmの球状の分散性の良い粒子であった。このゾルは放置によりやや増粘傾向を示したが、室温6ヶ月放置ではゲル化は認められず安定であった。
得られたゾル230kgを純水にてSnO2として5重量%に希釈し、イソプロピルアミンを3kg添加し、陰イオン交換樹脂(Rohm&Haas社製、商品名:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液、ついで90℃で1hr加熱熟成、さらに陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液し、アルカリ性の酸化スズゾル1431kgを得た。
得られたゾル400kgを140℃で5hr加熱処理した。
(b)工程
オキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2濃度は18.4重量%)870g(ZrO2として160g含有する。)に純水1kgを添加し、ついで撹拌下に、室温で、(a)工程で得られたアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル25.7kg(SnO2として1068g)を添加した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
(c)工程
(b)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル27.6kgを得た。このゾルはSnO2として3.37重量%、ZrO2として0.50重量%、SnO2+ZrO2として3.87重量%でコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(d)工程
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)207gを水2650gに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として74重量%含有する)60.8gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する)81.8gを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂(Rohm&Haas社製、商品名:アンバーライトIR−120B)のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.1、WO3として1.3重量%、SnO2として1.3重量%、SiO2として1.7重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33、粒子径2.5nmであった。)3450gを得た。
(e)工程
(d)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル3450g(WO3+SnO2+SiO2として150gを含有する。)に撹拌下に、室温で(c)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル12200g(ZrO2+SnO2として500g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.30、全金属酸化物4.2重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(f)工程
(e)工程で得た混合液15650gにジイソブチルアミンを11.0g添加し、水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80〜90℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合水性ゾル(希薄液)19680gを得た。このゾルは全金属酸化物3.3重量%、pH10.64で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(f)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量10万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2641gを得た。このゾルは全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度24.6重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2641gに撹拌下に、室温で酒石酸6.5g、ジイソブチルアミン9.8g、消泡剤(サンノプコ社製、商品名:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール24リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル1620gを得た。このゾルは比重1.244、pH6.78(水との等重量混合物)、粘度1.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度は40.5重量%、水分0.59重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このゾルを全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度として、47重量%まで濃縮したものを、100cm3のメスシリンダーに入れ、B型粘度計のNo.1ローターを用い60rpmの回転数で測定した粘度は、6.5mPa・sであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.85であった。
製造例2
製造例2は、製造例1の(a)工程、(b)工程、(c)工程と同様の工程を行い、その後に、以下の工程を行った。
(d)工程
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)138gを水1766gに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として74重量%含有する)40.5gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する)55.6gを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIR−120B)のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.0、WO3として1.2重量%、SnO2として1.2重量%、SiO2として1.6重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33、粒子径2.5nmであった。)2520gを得た。
(e)工程
(d)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル2520g(WO3+SnO2+SiO2として150gを含有する。)に撹拌下に、室温で実施例1の(c)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル12200g(ZrO2+SnO2として500g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、全金属酸化物4.1重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(f)工程
(e)工程で得た混合液14720gにジイソブチルアミンを11.0g添加し、水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80〜90℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)18480gを得た。このゾルは全金属酸化物3.2重量%、pH10.23で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(f)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量10万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル3458gを得た。このゾルは全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)14.8重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル3243gに撹拌下に、室温で酒石酸4.8g、ジイソブチルアミン7.2g、消泡剤(前出:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール26リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル1240gを得た。このゾルは比重1.235、pH6.95(水との等重量混合物)、粘度1.5mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度は40.2重量%、水分0.90重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.85であった。
製造例3
製造例3は、製造例1の(a)工程、(b)工程、(c)工程と同様の工程を行い。その後に、以下の工程を行った。
(d)工程
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)101.6gを水1825gに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として74重量%含有する)32.3gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する)40.8gを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIR−120B)のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.1、WO3として0.9重量%、SnO2として0.9重量%、SiO2として1.1重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33、粒子径2.5nmであった。)2640gを得た。
(e)工程
(d)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル2640g(WO3+SnO2+SiO2として75gを含有する。)に撹拌下に、室温で(c)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル12200g(ZrO2+SnO2として500g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。
得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.14、全金属酸化物3.9重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(f)工程
(e)工程で得た混合液14840gにジイソブチルアミンを11.0g添加し、水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80〜90℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)19360gを得た。このゾルは全金属酸化物3.0重量%、pH10.50で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(f)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量10万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2352gを得た。このゾルの全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度は22.0重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2272gに撹拌下に、室温で酒石酸5.0g、ジイソブチルアミン7.5g、消泡剤(前出:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール22リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル1190gを得た。このゾルは比重1.232、pH6.92(水との等重量混合物)、粘度1.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)は40.3重量%、水分0.43重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.85であった
製造例4
(a)工程
しゅう酸((COOH)2・2H2O)37.5kgを純水363kgに溶解し、これを500Lの容器にとり、攪拌下70℃まで加温し、35%過酸化水素水150kgと金属スズ(前出:AT−SN、No200N)75kgを添加した。
過酸化水素水と金属スズの添加は交代に行った。初めに35%過酸化水素水10kgを次いで金属スズ5kgを添加した。反応が終了するのを待って(5〜10分)この操作を繰り返した。添加に要した時間は2.5時間で、添加終了後、35%過酸化水素水10kgを更に添加し、90℃で1時間加熱、反応を終了させた。過酸化水素水と金属スズのモル比はH22/Sn2.60であった。
得られた酸化スズゾルは非常に透明性が良好であった。この酸化スズゾルの収量は、622kgで比重1.156、pH1.56、SnO2として15.0重量%であった。
得られたゾルを電子顕微鏡で観察したところ、10〜15nmの球状の分散性の良い粒子であった。このゾルは放置によりやや増粘傾向を示したが、ゲル化は認められず安定であった。
得られたゾル622kgを純水にてSnO2として5重量%に希釈し、イソプロピルアミンを4.7kg添加し、陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液、ついで95℃で1hr加熱熟成、さらに陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液し、アルカリ性の酸化スズゾル2194kgを得た。ついで、得られたゾルを140℃で5hr加熱処理した。
(b)工程
オキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2濃度は17.68重量%)76.1kg(ZrO2として13.5kg含有する。)に純水330kgおよび35%塩酸3.2kgを添加し、ついで撹拌下に、室温で、(a)工程で得られたアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル2597kg(SnO2として89.7kg)を添加した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
(c)工程
(b)工程で調製した混合液を撹拌下に、95℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル2958kgを得た。このゾルはSnO2として3.03重量%、ZrO2として0.46重量%、SnO2+ZrO2として3.49重量%でコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(d)工程
3号珪そう(SiO2として29.3重量%含有する。)38.9kgを純水830kgに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として69.8重量%含有する)12.2kgおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55.7重量%含有する)15.3kgを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂(前出:IR−120B)のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.2、WO3として0.7重量%、SnO2として0.7重量%、SiO2として0.9重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33であった。)1201kgを得た。
(e)工程
(d)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル1179kg(WO3+SnO2+SiO2として28.4kgを含有する。)に撹拌下に、室温で(c)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル2958kg(ZrO2+SnO2として103.2kg含有する。)を60分で添加し、10分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.25、全金属酸化物は3.46重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(f)工程
(e)工程で得た混合液3798kgにジイソブチルアミンを2.3kg添加し、水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで90℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を得た。このゾルは、pH9.59で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(f)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量10万の限外濾過膜の濾過装置により40〜50℃で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル365kgを得た。このゾルの全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度は33.5重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル350kgに撹拌下に、室温で酒石酸1.1kg、ジイソブチルアミン1.7kg、消泡剤(前出:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応容器で常圧下、メタノール4203kgを添加しながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル218gを得た。このゾルは比重1.285、pH6.40(水との等重量混合物)、粘度1.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)は42.8重量%、水分0.34重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このメタノールゾルを全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度として、47.8重量%まで濃縮したものを、100cm3のメスシリンダーに入れ、B型粘度計のNo.1ローターを用い60rpmの回転数で測定した粘度は、5.5mPa・sであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.85であった。
製造例5
(a)工程
しゅう酸((COOH)2・2H2O)37.5kgを純水363kgに溶解し、これを500Lの容器にとり、攪拌下70℃まで加温し、35%過酸化水素水150kgと金属スズ(前出:AT−SN、No200N)75kgを添加した。
過酸化水素水と金属スズの添加は交代に行った。初めに35%過酸化水素水10kgを次いで金属スズ5kgを添加した。反応が終了するのを待って(5〜10分)この操作を繰り返した。添加に要した時間は2.5時間で、添加終了後、35%過酸化水素水10kgを更に添加し、90℃で1時間加熱、反応を終了させた。過酸化水素水と金属スズのモル比H22/Snは2.60であった。
得られた酸化スズゾルは非常に透明性が良好であった。この酸化スズゾルの収量は、626kgで比重1.154、pH1.56、SnO2濃度は14.9重量%であった。
得られたゾルを電子顕微鏡で観察したところ、10〜15nmの球状の分散性の良い粒子であった。このゾルは放置によりやや増粘傾向を示したが、ゲル化は認められず安定であった。
得られたゾル626kgを純水にてSnO2として5重量%に希釈し、イソプロピルアミンを4.66kg添加し、陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液、ついで95℃で1hr加熱熟成、さらに陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに通液し、アルカリ性の酸化スズゾル2535kgを得た。ついで、得られたゾルを140℃で5hr加熱処理した。
(b)工程
オキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2濃度は17.68重量%)78.2kg(ZrO2として13.8kg含有する。)に純水300kgおよび35%塩酸3.3kgを添加し、ついで撹拌下に、室温で、(a)工程で得られたアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル2529kg(SnO2として91.0kg)を添加した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
(c)工程
(b)工程で調製した混合液を撹拌下に、95℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル3471kgを得た。このゾルはSnO2として2.62重量%、ZrO2として0.40重量%、SnO2+ZrO2として3.01重量%でコロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(d)工程
3号珪そう(SiO2として29.3重量%含有する。)49.8kgを純水898kgに溶解し、ついでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として69.8重量%含有する)10.5kgおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55.7重量%含有する)13.1kgを溶解した。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂(前出:IR−120B)のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.0、WO3として0.6重量%、SnO2として0.6重量%、SiO2として1.2重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比2.0であった。)1179kgを得た。
(e)工程
(d)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル1179kg(WO3+SnO2+SiO2として29.2kgを含有する。)に撹拌下に、室温で(c)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル3471kg(ZrO2+SnO2として104.8kg含有する。)を60分で添加し、10分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.25、全金属酸化物は2.9重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(f)工程
(e)工程で得た混合液4650kgにジイソブチルアミンを2.3kg添加し、水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで90℃で1hr加熱熟成することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を得た。このゾルは、pH9.10で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(f)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量10万の限外濾過膜の濾過装置により40〜50℃で濃縮し、高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル358kgを得た。このゾルは全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)31.9重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル358kgに撹拌下に、室温で酒石酸1.1kg、ジイソブチルアミン1.7kg、消泡剤(前出:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応容器で常圧下、メタノール5010リットルを添加しながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル220gを得た。このゾルは比重1.280、pH6.59(水との等重量混合物)、粘度2.1mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)は42.8重量%、水分0.43重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このメタノールゾルを全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)濃度として、46.8重量%まで濃縮したものを、100cm3のメスシリンダーに入れ、B型粘度計のNo.1ローターを用い60rpmの回転数で測定した粘度は、6.3mPa・sであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.85であった。
比較製造例1
変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの製造
<酸化第二スズゾルの調製>金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反応により得られた比重1.420、pH0.40、撹拌直後の粘度32mPa・s、SnO2含量33.0重量%、HCl含量2.56重量%、電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径10nm以下、BET法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面積からの換算粒子径7.2nm、米国コールター社製N4装置による動的光散乱法粒子径107nm、淡黄色透明の酸化第二スズ水性ゾル1200gを水10800gに分散させた後、これにイソプロピルアミン4.8gを加え、次いで、この液を水酸基型陰イオン交換樹脂充填のカラムに通すことにより、アルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル13440gを得た。このゾルは、安定であり、コロイド色を呈しているが、透明性が非常に高く、比重1.029、pH9.80、粘度1.4mPa・s、SnO2含量2.95重量%、イソプロピルアミン含量0.036重量%であった。
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%)3043g(ZrO2として60.87g含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
(b)工程(酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル13834gを得た。このゾルはSnO2として2.96重量%、ZrO2として0.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%、pH1.45で、粒子径9.0nm、コロイド色を有するが、透明性は良好であった。
(c)工程(酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルの作製)
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)113gを水2353.7gに溶解し、次いでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として71重量%含有する。)33.3gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する。)42.45gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.1、WO3として0.75重量%、SnO2として0.75重量%、SiO2として1.00重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33であり、粒子径2.5nmであった。)3150gを得た。
(d)工程
(c)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル3150g(WO3+SnO2+SiO2として78.83gを含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル11592.6g(ZrO2+SnO2として394.1g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、pH2.26、全金属酸化物3.2重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
(e)工程(変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(d)工程で得た混合液14742.6gにジイソブチルアミンを9.5g添加し、次いで水酸基型陰イオン交換樹脂(前出:アンバーライトIRA−410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80℃で1時間加熱熟成することにより変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)16288gを得た。このゾルは全金属酸化物2.90重量%、pH10.43で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
(e)工程で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2182gを得た。このゾルはpH8.71、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)18.3重量%で、安定であった。
上記高濃度の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2182gに撹拌下に、室温で酒石酸4.0g、ジイソブチルアミン6.0g、消泡剤(前出:SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール20リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル1171gを得た。このゾルは比重1.124、pH7.45(水との等重量混合物)、粘度2.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)32.7重量%、水分0.47重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.76であった。
実施例1
[コーティング組成物の製造]
5℃雰囲気下、製造例5で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化ケイ素複合体メタノールゾル45重量部と(B)成分であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部及びテトラエトキシシラン3重量部とを混合し、1時間攪拌した。その後、0.001モル/L濃度の塩酸4.5重量部を添加し、50時間攪拌した。その後、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)25重量部、ダイアセトンアルコール(DAA)9重量部及び(C)成分であるアルミニウムトリスアセチルアセトネート(AL−AA)1.8重量部、過塩素酸アルミニウム0.05重量部を順次添加し、150時間攪拌した。得られた溶液を0.5μmのフィルターでろ過したものをコーティング組成物とした。
[硬化膜の形成]
レンズ基材〔HOYA株式会社製,商品名:アイアス(屈折率1.60)〕を60℃、10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に300秒間浸漬し、その後、超音波28kHz印加の下イオン交換水を用いて300秒間洗浄した。最後に、70℃雰囲気下、乾燥させる一連の工程を基材前処理とした。
前処理を施したレンズ基材アイアスを、ディッピング法にてコーティング組成物に30秒間浸漬し、30cm/分にて引き上げた基材を、120℃、60分間の条件にて硬化膜を形成した。評価結果を表1に示す。
[反射防止膜の形成]
硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を蒸着装置に入れ、排気しながら85℃に加熱し、2.7mPa(2×10-5torr)まで排気した後、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させて、SiO2からなる膜厚0.6λの下地層、この下地層の上にTa2O5、ZrO2、Y2O3からなる混合層(nd=2.05、nλ=0.075λ)とSiO2層(nd=1.46、nλ=0.056λ)からなる第一屈折層、Ta2O5、ZrO2、Y2O3からからなる混合層(nd=2.05、nλ=0.075λ)とSiO2層からなる第2低屈折率層(nd=1.46、nλ=0.25λ)を形成して反射防止膜を施した。評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、製造例5で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルの代わりに製造例1で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルを用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、製造例5で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルの代わりに製造例2で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルを用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、製造例5で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルの代わりに製造例3で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルを用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、製造例5で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルの代わりに製造例4で作製した(A)成分である変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム−酸化タングステン−酸化珪素複合体メタノールゾルを用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例6
実施例1においてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例7
実施例1においてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例8
実施例1においてテトラエトキシシランの代わりにテトラメトキシシランを用い、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例9
実施例1においてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の代わりにイソプロパノール(IPA)を用い、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
実施例10
実施例1においてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の代わりに1−ブタノールを用い、実施例1と同様にしてコーティング組成物を調製し、同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜及び反射防止膜を形成した。評価結果を表1に示す。
比較例1
コーティング剤の調製回転子を備えた反応器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部と、比較製造例1で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル49重量部を仕込み、4℃で3時間攪拌したのち、0.001規定の塩酸3.5重量部を徐々に反応器中に滴下し、4℃で48時間攪拌した。次に、これにプロピレングリコールモノメチルエーテル30重量部およびシリコーン系界面活性剤0.04重量部を添加混合し、4℃で3時間攪拌したのちアルミニウムアセチルアセトネート0.60重量部および過塩素酸アルミニウム(アルドリッチ社製)0.05重量部を添加混合した。4℃で3日間攪拌したのち、4℃で2日間静置することにより、コーティング剤を調製した。該コーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてレンズ基材アイアスに硬化膜を形成した。さらに、実施例1と同様の反射防止膜を形成し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例2
比較例1において、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部の代わりに、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン15重量部を用いた以外は、比較例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
Figure 0004510489
本発明の製造方法で得られたコーティング組成物は、従来品に比べて高濃度で安定性よく使用することができ、メガネ用プラスチックレンズ上に硬化膜を形成させ、メガネ用レンズの屈折率、耐摩耗性等の向上成分として特に有効である。



Claims (7)

  1. (A)金属スズと有機酸と過酸化水素との反応により得られた酸化第二スズのコロイド粒子と、酸化ジルコニウムのコロイド粒子とが、これらの酸化物の重量に基づいてZrO2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構造と4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を核として、その表面が0.1〜100のWO3/SnO2重量比と、0.1〜100のSiO2/SnO2重量比と、2〜7nmの粒子径を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆されることによって形成された粒子径4.5〜60nmの変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、(B)有機珪素化合物とを混合するコーティング組成物の製造方法。
  2. 有機酸が、シュウ酸又はシュウ酸を主成分として含む有機酸である請求項1に記載のコーティング組成物の製造方法。
  3. 前記変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が、下記(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程、(e)工程及び(f)工程を含む工程によって製造される請求項1記載のコーティング組成物の製造方法。
    (a)工程:有機酸水溶液中において、過酸化水素水と金属スズをH22/Snモル比が2〜4の範囲を保ち、酸化スズ濃度が40重量%以下になるように反応させ、粒子径が4〜50nmの酸化第二スズのコロイド粒子を生成させる工程、
    (b)工程:(a)工程で得た4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズのコロイド粒子をその酸化物SnO2として0.5〜50重量%の濃度に含有する酸化第二スズ水性ゾルと、ZrO2として0.5〜50重量%濃度のオキシジルコニウム塩の水溶液とを、これらに基づくZrO2/SnO2として0.02〜1.0の重量比に混合する工程、
    (c)工程:(b)工程によって得られた混合液を60〜200℃で、0.1〜50時間加熱処理することにより、4〜50nmの粒子径を有する酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、
    (d)工程:タングステン酸塩、スズ酸塩及び珪酸塩をWO3/SnO2重量比として0.1〜100、SiO2/SnO2重量比として0.1〜100の比率に含有する水溶液を調製し、その水溶液中に存在する陽イオンを除去して得られる酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、
    (e)工程:(c)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを、それに含まれるZrO2とSnO2の合計として100重量部と、(d)工程で得られた2〜7nmの粒子径と0.1〜100のWO3/SnO2重量比と0.1〜100のSiO2/SnO2重量比を有する酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを、これに含まれるWO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部の比率に0〜100℃で混合することにより変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水生ゾルを精製させる工程、及び
    (f)工程:(e)工程で得られた変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させることにより、当該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程
  4. 前記有機酸水溶液が、シュウ酸水溶液又はシュウ酸を主成分として含む有機酸水溶液である請求項3に記載のコーティング組成物の製造方法。
  5. (B)成分の有機珪素化合物が、一般式(I)
    1nSi(OR24-n …(I)
    (式中、R1は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数1〜20の炭化水素基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基または炭素数2〜10のアシル基、nは0、1または2を示し、R1が複数ある場合、複数のR1はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のR2Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物、一般式(II)
    Figure 0004510489
    (式中、R3およびR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜4のアシル基、R5およびR6は、それぞれ同一または異なる一価の炭素数1〜5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、Yは炭素数2〜20の二価の炭化水素基、aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のOR3は、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング組成物の製造方法。
  6. コーティング組成物が、(B)成分の有機珪素化合物100重量部当たり、(A)成分のコロイド粒子を固形分として1〜500重量部の割合で含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物の製造方法。
  7. コーティング組成物が、(C)アセチルアセトネート金属塩を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング組成物の製造方法。


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