JPH09118870A - コーティング組成物及び光学部材 - Google Patents

コーティング組成物及び光学部材

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JPH09118870A
JPH09118870A JP8138180A JP13818096A JPH09118870A JP H09118870 A JPH09118870 A JP H09118870A JP 8138180 A JP8138180 A JP 8138180A JP 13818096 A JP13818096 A JP 13818096A JP H09118870 A JPH09118870 A JP H09118870A
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JP
Japan
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group
coating composition
sol
acid
zinc
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JP8138180A
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English (en)
Inventor
Yoshitane Watabe
淑胤 渡部
Keitaro Suzuki
啓太郎 鈴木
Kinya Koyama
欣也 小山
Motoko Iijima
根子 飯島
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Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明性、耐熱
性、耐光性、耐候性、特に耐水性に優れたプラスチック
用コーティング組成物及び、そのコーティング組成物を
利用した光学部材に関する。 【解決手段】コーティング組成物は(A)成分:一般式
(I)、(R1a(R3bSi(OR24-(a+b)及び、
一般式(II)、〔(R4cSi(OX)3-c 2Yで表
される有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物からな
る群より選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質、
(B)成分:2〜200nmの1次粒子径を有し、且つ
一般式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:
y:zが1:0.83〜1.43:1.00〜5.00
のモル比で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子、を含有す
る。光学部材は、上記のコーティング組成物から成る硬
化膜を表面に有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、眼鏡レンズ、カ
メラ用レンズ、自動車用窓ガラス、液晶ディスプレイ
や、プラズマディスプレイ等に付設する光学フィルター
等の光学部材に耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明
性、耐熱性、耐光性、耐候性、特に耐水性に優れたコー
ティング膜を得るためのコーティング組成物及び、その
コーティング組成物を利用した光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形物は、軽量、易加工
性、耐衝撃性等の長所を生かして多量に使用されている
が、反面、硬度が不十分で傷が付きやすい、溶媒に侵さ
れやすい、帯電してほこりを吸着する、耐熱性が不十分
等の欠点があり、眼鏡レンズ、窓材等として使用するに
は、無機ガラス成形体に比べ実用上不十分であった。
【0003】そこで、プラスチック成形体にハードコー
トを施すことが提案されている。このハードコートに使
用されるコーティング組成物は、多数提案されており、
例えば特開昭52−11261号公報では、有機ケイ素
化合物又はその加水分解物を主成分とするコーティング
組成物が眼鏡レンズのハードコートに使用されている。
しかし、このコーティング剤は、耐擦傷性が十分ではな
い。更に特開昭53−111336号公報には、シリカ
ゾルを添加してコロイド状シリカ粒子を含有したコーテ
ィング剤を眼鏡レンズ用ハードコートに使用することが
開示されている。
【0004】従来、プラスチック製眼鏡レンズは、大半
がジエチレングリコールビスアリルカーボネートをモノ
マーの状態で注型重合することによって製造されてい
た。この様に製造されたレンズは屈折率が約1.50で
あり、ガラスレンズの屈折率の1.52に比べて低いこ
とから、近視用レンズの場合は縁の厚みが増すという問
題がある。そのために近年、ジエチレングリコールビス
アリルカーボネートより屈折率の高いモノマーの開発が
進められている。それらの高屈折率樹脂材料は例えば、
特開昭55−13747号公報、特開昭56−1662
14号公報、特開昭57−23611号公報、特開昭5
7−54901号公報、特開昭59−133211号公
報、特開昭60−199016号公報、特開昭64−5
4021号公報に開示されている。
【0005】上記の高屈折率樹脂材料を用いた高屈折率
レンズに対して、特開昭62−151801号公報や特
開昭63−275682号公報では、SbやTiの金属
酸化物微粒子のコロイド分散体を含有したコーティング
剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】シリカゾルを添加する
ことによってコロイド状シリカを含有したコーティング
剤は、そのコーティング剤の塗布と硬化によって得られ
る膜が干渉縞を発生し、レンズの外観が好ましくないと
いう問題がある。また、レンズではコーティング剤の塗
布と硬化によって得られる膜上に、光学干渉理論に基づ
く無機酸化物薄膜の多層構造膜よりなる反射防止膜を形
成する事が多い。この時、反射防止膜が例えば、極薄い
緑色の反射色を呈する様な場合は、この反射色がレンズ
表面の位置に応じて変わり、斑を生ずるという問題があ
る。
【0007】酸化スズゾルを添加することによってコロ
イド状酸化スズを含有したコーティング剤は、酸化スズ
ゾルがシランカップリング剤等の有機ケイ素化合物やそ
の加水分解物等のケイ素含有物質との相溶性が低く安定
性が低下するために、そのコーティング剤の塗布と硬化
によって得られる膜は耐水性が十分ではない。酸化チタ
ンゾルを添加することによってコロイド状酸化チタンを
含有したコーティング剤は、やはり、酸化チタンゾルが
シランカップリング剤等の有機ケイ素化合物やその加水
分解物等のケイ素含有物質との相溶性が低く安定性が低
下するために、そのコーティング剤の塗布と硬化によっ
て得られる膜は耐水性が十分ではない。
【0008】酸化アンチモンゾルを添加することによっ
てコロイド状酸化アンチモンを含有したコーティング剤
は、酸化アンチモンゾルとシランカップリング剤等の有
機ケイ素化合物やその加水分解物等のケイ素含有物質と
の相溶性は高く安定性は向上するが、そのコーティング
剤の塗布と硬化によって得られる膜は屈折率が十分に高
くないという問題がある。
【0009】本発明は、1.54〜1.70の高い屈折
率を有する高屈折率樹脂材料を用いた高屈折率光学部材
に対して、コーティング剤の塗布と硬化によって得られ
る膜に干渉縞が見えず、且つ反射色に斑のない膜を与え
るコーティング組成物及びそのコーティング組成物を利
用した光学部材を提供することにある。また、本発明
は、耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、可とう性、透明
性、帯電防止性、染色性、耐熱性、耐水性、耐薬品性等
に優れたプラスチック用コーティング組成物及びそのコ
ーティング組成物を利用した光学部材を提供することに
ある。特に、本願発明は、耐擦傷性、密着性、耐水性、
透明性、耐光性に優れ、干渉縞の発生がない膜を与える
コーティング剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、下記(A)
成分及び(B)成分; (A)成分:一般式(I) (R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I) (但し、R1及びR3は、それぞれアルキル基、アリール
基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ア
ルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタク
リロイル基、メルカプト基、アミノ基、もしくはシアノ
基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子
と結合しているものであり、R2は炭素数1〜8のアル
キル基、アルコキシアルキル基、又はアシル基であり、
a及びbはそれぞれ0、1、又は2の整数であり、a+
bは0、1、又は2の整数である。)及び、一般式(I
I) 〔(R4cSi(OX)3-c2Y (II) (但し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは炭
素数1〜4のアルキル基又はアシル基を示し、Yはメチ
レン基又は炭素数2〜20のアルキレン基を示し、cは
0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合
物、並びにその加水分解物からなる群より選ばれた少な
くとも1種のケイ素含有物質、 (B)成分:2〜200nmの1次粒子径を有し、且つ
一般式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:
y:zが1:0.83〜1.43:1.00〜5.00
のモル比で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子、を含有す
るコーティング組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】本願発明のコーティング組成物に
使用される(A)成分中の一般式(I)、 (R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I) においては、R1とR3が同一の有機基又は異なる有機基
である場合や、aとbが同一の整数又は異なる整数であ
る場合の有機ケイ素化合物を含む。上記(A)成分中の
一般式(I)で示される有機ケイ素化合物は、例えば、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラn−ブトキシシラン、テトラアセトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリアセチキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミ
ロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルト
リベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシ
シラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリ
シドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキシ
エチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルト
リエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキ
シシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル
トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロ
ポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメト
キシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキ
シシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−
グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
プロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフ
ェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、
3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエ
トキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロ
ロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチル
ビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラ
ン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わ
せて使用することが出来る。
【0012】また、本願発明のコーティング組成物に使
用される(A)成分中の一般式(I)の有機ケイ素化合
物の加水分解物は、上記一般式(I)の有機ケイ素化合
物が加水分解される事により、上記R2の一部又は全部
が水素原子に置換された化合物となる。これらの一般式
(I)の有機ケイ素化合物の加水分解物は、単独で又は
2種以上組み合わせて使用する事が出来る。加水分解
は、上記の有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫酸水
溶液、酢酸水溶液等の酸性水溶液を添加し撹拌すること
により行われる。
【0013】本願発明のコーティング組成物に使用され
る(A)成分中の一般式(II)、 〔(R4cSi(OX)3-c2Y (II) 表される有機ケイ素化合物は、例えば、メチレンビスメ
チルジメトキシシラン、エチレンビスエチルジメトキシ
シラン、プロピレンビスエチルジエトキシシラン、ブチ
レンビスメチルジエトキシシラン等が挙げられ、これら
を単独で又は2種以上組み合わせて使用することが出来
る。
【0014】また、本願発明のコーティング組成物に使
用される(A)成分中の一般式(II)の有機ケイ素化
合物の加水分解物は、上記一般式(II)の有機ケイ素
化合物が加水分解される事により、上記Xの一部又は全
部が水素原子に置換された化合物となる。これらの一般
式(II)の有機ケイ素化合物の加水分解物は、単独で
又は2種以上組み合わせて使用することが出来る。加水
分解は、上記の有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫
酸水溶液、酢酸水溶液等の酸性水溶液を添加し撹拌する
ことにより行われる。
【0015】本願発明のコーティング組成物に使用され
る(A)成分は、一般式(I)及び一般式(II)で表
される有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物から成
る群より選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質であ
る。本願発明のコーティング組成物に使用される(A)
成分は、好ましくは一般式(I)で表される有機ケイ素
化合物、及びその加水分解物から成る群より選ばれた少
なくとも1種のケイ素含有物質である。特に、R1及び
3のいずれか一方がエポキシ基を有する有機基であ
り、R2がアルキル基であり、且つa及びbがそれぞれ
0又は1であり、a+bが1又は2の条件を満たす一般
式(I)の有機ケイ素化合物及びその加水分解物が好ま
しく、その好ましい有機ケイ素化合物の例としては、グ
リシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメ
チルトリエトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリ
メトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシ
シラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、
β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グ
リシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキ
シブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチル
トリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシ
メチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメ
チルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチル
ジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエ
トキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシ
ラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン
である。
【0016】更に、好ましくはγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン及びこれらの加水分解物であり、こ
れらを単独で又は混合物として使用する事が出来る。ま
た、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン又はこ
れらの加水分解物は、更に、一般式(I)においてa+
b=0に相当する4官能の化合物を併用する事が出来
る。4官能に相当する化合物の例としては、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラn−
ブトキシシラン、テトラtert-ブトキシシラン、テトラs
ec-ブトキシシラン等が挙げられる。
【0017】本願発明のコーティング組成物に使用され
る(B)成分は、2〜200nmの1次粒子径を有し、
且つ一般式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいて
x:y:zが1:0.83〜1.43:1.00〜5.
00のモル比で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子であ
る。上記のスズ酸亜鉛水和物の粒子は、スズ酸亜鉛水和
物の粒子を液状媒体に分散させたゾルとして利用するこ
とが好ましい。上記のスズ酸亜鉛水和物の粒子を分散さ
せる液状媒体としては、水性媒体や、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール等の親水性有機溶媒が挙げら
れるが、特に、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール等の親水性有機溶媒が好ましい。スズ酸亜鉛水和物
の粒子は、1次粒子径が2〜200nm(ナノメート
ル)、好ましくは5〜100nmである。ここで、1次
粒子径とは凝集形態にある粒子の直径ではなく、個々に
分離した時の1個の粒子の直径であり、電子顕微鏡によ
って測定する事ができる。
【0018】上記の粒子中のスズ酸亜鉛水和物は、一般
式xZnO・ySnO2 ・zH2 O〔x:y:zが1:
0.83〜1.43:1.00〜5.00〕において、
ZnO:SnO2 =1:1である定比組成のZnSnO
3 ・zH2 O〔ZnO・SnO2・zH2Oと表記する事
もできる。zは3.00〜5.00〕、或いはZnO:
SnO2 =1:0.83〜1.43の不定比組成のZn
O・(SnO2a・zH2O〔但し、aは0.83〜
1.43、zは1.00〜5.00〕が存在する。
【0019】本願発明に用いるスズ酸亜鉛水和物の粒子
を含有するゾルは、如何なる方法で製造されたものを使
用することが出来る。このスズ酸亜鉛水和物の粒子を含
有するゾルは、例えば以下の方法によって製造する事が
出来る。上記ゾルの製造方法は、第一方法として、下記
(a)、(b)及び(c)工程; (a):亜鉛塩とスズ酸塩を、過酸化水素の存在下に水
性媒体中で反応して、0.7〜1.2のZn/Snモル
比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する
水性媒体を得る工程、(b):(a)工程で得られたス
ズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する水性媒体を、
30〜200℃の温度で加熱する工程、及び(c):
(b)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子
が分散する水性媒体から電解質を除去する工程、より成
る製造方法である。
【0020】(a)工程に用いられる亜鉛塩は、水溶性
であれば如何なる無機酸或いは有機酸の亜鉛塩も使用す
る事が出来る。例えば、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜
鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛等が挙げられ、これらを
1種で又は2種以上の混合物として使用する事ができ
る。しかし、上記ゾルの製造コストや排水処理の点から
塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の無機酸の亜鉛塩が好ましく、こ
れらを1種で又は2種以上の混合物として使用する事が
できる。これらの亜鉛塩は、ZnOに換算して0.1〜
30重量%濃度の水溶液として使用する事ができる。
【0021】(a)工程に用いられるスズ酸塩は、水溶
性のスズ酸アルカリ金属塩が好ましく、例えば、スズ酸
ナトリウム(Na2 SnO3 ・3H2 O)、スズ酸カリ
ウム(K2 SnO3 ・3H2 O)が挙げられ、これらを
単独で又は混合物として使用する事が出来る。これらの
スズ酸塩は、SnO2 に換算して0.1〜20重量%濃
度の水溶液として使用することができる。
【0022】(a)工程に用いられる過酸化水素は、H
2 2 として5〜60重量%の水溶液として使用する事
が出来る。(a)工程において、過酸化水素の存在下に
0.7〜1.2のZn/Snモル比で亜鉛塩とスズ酸塩
を水性媒体中で反応させて、0.7〜1.2のZn/S
nモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子を得
る事が出来る。上記反応時のZn/Snモル比が0.7
未満では、酸化スズ(SnO2 )コロイド粒子が生成す
る為に好ましくなく、1.2を超える場合は、Zn(O
H)2 コロイド粒子が生成する為に好ましくない。
【0023】(a)工程において過酸化水素の存在下の
亜鉛塩とスズ酸塩の反応は、過酸化水素水を添加した亜
鉛塩水溶液と、スズ酸塩水溶液とを混合した水性媒体中
で成される事が好ましい。過酸化水素水の添加は、亜鉛
塩水溶液、又はスズ酸塩水溶液のいずれか一方又は両方
に添加する事が可能であるが、スズ酸塩水溶液がアルカ
リ性である為に、亜鉛塩水溶液に添加する事がより好ま
しい。(a)工程において、水性媒体中に存在する過酸
化水素の量は、H2 2 /Znのモル比で0.5〜2
0.0、好ましくは1.0〜18.0とする事が出来
る。過酸化水素は、亜鉛塩とスズ酸塩が反応してスズ酸
亜鉛水和物のコロイド粒子が生成する際に、コロイド粒
子の粒子径を制御する作用があり、上記H2 2 /Zn
モル比が0.5未満ではスズ酸亜鉛水和物の一部のコロ
イド粒子が1次粒子径として200nmを越えるものが
生成し、また、20.0を越えて添加する場合は、過酸
化水素が過剰となり経済的でない。
【0024】(a)工程におけるスズ酸塩水溶液と、過
酸化水素水を添加した亜鉛塩水溶液との混合は、両液を
同時に混合する方法や、何れか一方の水溶液を他方の水
溶液へ滴下する方法で行われるが、どちらの方法によっ
ても0.7〜1.2のZn/Snモル比を有するスズ酸
亜鉛水和物のコロイド粒子が得られる。しかし、凝集を
避ける為に、過酸化水素水を添加した亜鉛塩水溶液を、
スズ酸塩水溶液中に滴下する方法がより好ましい。この
滴下は、0.5〜5時間かけて、20〜80℃の温度で
行われる。ディスパー等の攪拌機械を用いて攪拌中のス
ズ酸塩水溶液中に、過酸化水素水を添加した亜鉛塩水溶
液を定量ポンプで滴下する事が好ましい。この混合によ
って水性媒体中に生成するスズ酸亜鉛水和物は、0.1
〜20重量%濃度、好ましくは1.0〜10重量%濃度
となる様に両液を混合する事が好ましい。この混合液の
pHは3〜12で好ましくは5〜9である。また必要に
応じて酸水溶液あるいはアルカリ水溶液を添加してpH
調整する事が出来る。pH3未満であると未反応の亜鉛
塩が残存するため収率が低下し、またpH12を超える
と未反応のスズ酸塩が残存するため収率が低下するので
好ましくない。
【0025】(a)工程において、水性媒体にオキシカ
ルボン酸、その塩又はそれらの混合物を、スズ酸塩中の
Snに対してモル比で1.5倍以内、好ましくは0.0
5〜1.5倍に含有する事が出来る。このオキシカルボ
ン酸や、その塩の添加により分散性や透明性の高いスズ
酸亜鉛水和物ゾルが得られる。上記のオキシカルボン酸
やその塩は水溶性であるものが用いられ、オキシカルボ
ン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸
が挙げられ、オキシカルボン酸塩としてはグルコン酸、
酒石酸、或いはクエン酸等のアルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩、或いは有機塩基塩が挙げられ、アルカリ金属塩
としてはグルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等
が、有機塩基塩としてはグルコン酸プロピルアミン、酒
石酸モノエタノールアミン等が挙げられる。オキシカル
ボン酸やその塩は、スズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が
形成された後添加する事も出来るが、上記のコロイド粒
子の形成前、或いは形成中に添加する事が好ましい。上
記のオキシカルボン酸やその塩は、スズ酸塩水溶液或い
は亜鉛塩水溶液のいずれの水溶液に添加することによっ
て水性媒体中に含有させる事も可能であるが、過酸化水
素水を添加した亜鉛塩水溶液を、攪拌されたスズ酸塩水
溶液中に滴下する方法の中で、上記のオキシカルボン酸
やその塩は、スズ酸塩水溶液中に添加する方法が好まし
い。これらのオキシカルボン酸やその塩は、直接又は1
〜50重量%濃度の水溶液として、スズ酸塩水溶液に添
加する事が出来る。
【0026】(b)工程では、上記(a)工程で得られ
たスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する水性媒体
を30〜200℃、好ましくは60〜100℃の温度
で、0.1〜50時間、好ましくは1〜10時間で加熱
熟成が行われる。加熱温度が100℃を越えるときには
オートクレーブ等が必要となる。加熱熟成時間が0.1
時間以下では効果が小さく、50時間を越えても良いが
経済的でない。(b)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物
のコロイド粒子が分散する水性媒体は、アルカリ性物質
を添加してpH9〜12のアルカリ性にすることによっ
て得られるゾルの分散性や透明性を向上させる事が出来
る。このアルカリ性物質としては、アミン、水酸化第4
級アンモニウム、アルカリ金属水酸化物等が挙げられる
が、特にアミンが好ましい。このアミンとしては、例え
ばモノエタノールアミン、イソプロピルアミン等が挙げ
られる。
【0027】(c)工程では(b)工程で得られたスズ
酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する水性媒体(スズ
酸亜鉛水和物水性ゾル)から、過剰に含まれるカチオン
(アルカリ金属イオン)やアニオン(酸根)などの電解
質を、限外濾過と注水洗浄の組合せによって除去するこ
とができる。限外濾過法で電解質を除去する場合は使用
する限外濾過膜の材質から100℃以下、好ましくは室
温〜60℃で行うことが出来る。また必要であればさら
に陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂で処理し電解質
を低減しても良い。陰イオン交換樹脂は水酸基型で用い
られ、市販の陰イオン交換樹脂を用いることができ、陰
イオン交換樹脂を充填したカラムにゾルを通液する方法
により容易に陰イオンの低減ができる。通液の温度は0
〜60℃、通液は空間速度(SV)で1〜10h-1が好
ましい。陽イオン交換樹脂は水素型で用いられ、市販の
陽イオン交換樹脂を用いることが出来、陽イオン交換樹
脂の必要量を直接添加し攪拌することにより行われる。
(c)工程での過剰な電解質の除去により良好な透明性
と充分な安定性とを有する本発明のスズ酸亜鉛水和物ゾ
ルを得ることが出来る。(c)工程で得られたゾルは、
pH3〜12、好ましくはpH5〜11であり、スズ酸
亜鉛水和物を5〜20重量%濃度で含有する。そして、
得られたゾル中のスズ酸亜鉛水和物粒子は、2〜200
nmの1次粒子径を有し、且つ一般式xZnO・ySn
2 ・zH 2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜
1.43:1.00〜5.00のモル比で表されるもの
であった。得られるゾル中のスズ酸亜鉛水和物粒子は、
螢光X線分析や、示差熱分析等の方法により亜鉛、スズ
及び結晶水の比率を確認する事が出来る。
【0028】(c)工程で得られたゾルの濃度を更に高
めたいときは、(d)工程として、少量の有機塩基や有
機酸等を安定化剤として添加して、ロータリーエバポレ
ーター、限外濾過装置等の装置により40重量%まで濃
縮することができる。使用される有機塩基としては、ア
ルキルアミン、アルカノールアミン又は第4級アンモニ
ウム水酸化物が挙げられ、例えばn−プロピルアミン、
イソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、エチレンジ
アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン
等が例示される。有機酸としてはグリコール酸、酒石
酸、クエン酸等のオキシカルボン酸が使用できる。上記
(c)工程あるいはその後に付加された(d)工程によ
って得られた水性ゾルの水媒体は、親水性有機溶媒で置
換する(e)工程によりオルガノゾルとする事が出来
る。この置換は蒸留法、限外濾過法等、通常の方法によ
り行うことができる。この親水性有機溶媒としてはメタ
ノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコ
ール類、ジメチルホルムアミド、N、N’ージメチルア
セトアミド等の直鎖アミド類、N−メチルー2ーピロリ
ドン等の環状アミド類、エチルセロソルブ等のグリコー
ルエーテル類、或いはエチレングリコール等が挙げられ
る。(e)工程により得られたオルガノゾル中の粒子
は、(c)工程で得られた水性ゾル中の粒子と、同じ1
次粒子径及び成分モル比を有している。
【0029】上記ゾルの製造方法は、第二方法として、
下記(a’)、(b’)、(c’)及び(d’)工程; (a’):亜鉛酸塩とスズ酸塩を、過酸化水素の存在下
に水性媒体中で酸で中和反応して、0.7〜1.2のZ
n/Snモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒
子の凝集体を含有する水性媒体を得る工程、(b’):
(a’)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒
子の凝集体を含有する水性媒体を、30〜200℃の温
度で加熱する工程、(c’):(b’)工程で得られた
スズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有する水
性媒体から電解質を除去する工程、及び(d’):
(c’)で得られた水性媒体中のスズ酸亜鉛水和物のコ
ロイド粒子の凝集体を解膠する工程、より成る製造方法
である。
【0030】(a’)工程に使用される亜鉛酸塩は、水
溶性であれば如何なる亜鉛酸塩も使用する事ができる。
これらの亜鉛酸塩としては、亜鉛酸アルカリ金属塩が好
ましく、例えば、亜鉛酸ナトリウムや亜鉛酸カリウムが
挙げられる。上記の亜鉛酸アルカリ金属塩は、正塩(一
般式として、M2 O・ZnO・nH2 O、但しMはアル
カリ金属原子)では加水分解を起こし易いため、M2
/ZnOモル比が2.0以上の組成のアルカリ性水溶液
として用いることが好ましい。上記の亜鉛酸塩は、Zn
Oとして0.1〜20重量%濃度の水溶液で用いること
が好ましい。
【0031】(a’)工程に用いられるスズ酸塩として
は水溶性のスズ酸アルカリ金属塩が好ましく、例えば、
スズ酸ナトリウム(Na2 SnO3 ・3H2 O)やスズ
酸カリウム(K2 SnO3 ・3H2 O)が挙げられ、こ
れらを単独で又は混合物として使用することができる。
これらスズ酸塩は、SnO2 として0.1〜20重量%
濃度の水溶液として使用することが出来る。
【0032】(a’)工程に用いられる過酸化水素は、
2 2 として5〜60重量%の水溶液として使用する
ことができる。(a’)工程において、過酸化水素の存
在下に0.7〜1.2のZn/Snモル比で亜鉛酸塩と
スズ酸塩を混合して水性媒体中で酸で中和する事によ
り、0.7〜1.2のZn/Snモル比を有するスズ酸
亜鉛水和物のコロイド粒子から成る凝集体を得る事が出
来る。上記亜鉛酸塩とスズ酸塩の混合時のZn/Snモ
ル比が0.7未満では、酸化スズ(SnO2 )コロイド
粒子が生成する為に好ましくなく、1.2を超える場合
は、Zn(OH)2 コロイド粒子が生成する為に好まし
くない。
【0033】(a’)工程においては、0.7〜1.2
のZn/Snモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイ
ド粒子は2〜200nmの1次粒子径を有するが、これ
らの1次粒子径を持ったコロイド粒子は凝集体を形成す
る為に、これらのスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝
集体を含有する水性媒体はスラリーと言える。(a’)
工程で使用される酸は、例えば塩酸、硝酸、硫酸、スル
ファミン酸などの無機酸やギ酸、酢酸、シュウ酸などの
有機酸が挙げられるが、生産コストや排水処理の面から
無機酸が好ましい。これら酸は、0.1〜20重量%濃
度の水溶液として用いることができる。
【0034】(a’)工程において、過酸化水素の存在
下に亜鉛酸塩とスズ酸塩を酸で中和する反応は、亜鉛酸
塩とスズ酸塩を含有する水溶液と、過酸化水素水を添加
した酸水溶液とを混合した水性媒体中で成される事が好
ましい。亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液は、亜鉛
酸塩水溶液とスズ酸塩水溶液を混合して得る事が好まし
い。また、過酸化水素水は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有
する水溶液中、或いは酸水溶液中のどちらに添加する事
も出来るが、亜鉛酸塩水溶液とスズ酸塩水溶液の混合水
溶液がアルカリ性の為に、酸水溶液中に添加する事が好
ましい。(a’)工程の過酸化水素の存在下に亜鉛酸塩
とスズ酸塩を酸で中和する反応において、水性媒体中に
存在する過酸化水素の量が、H2 2 /Znのモル比で
0.5〜20.0、好ましくは1.0〜18とする事が
出来る。過酸化水素は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を酸で中和
してスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を生成さ
せる際にコロイド粒子の粒子径を制御する作用があり、
上記H2 2 /Znモル比が0.5未満ではスズ酸亜鉛
水和物の一部のコロイド粒子が1次粒子径として200
nmを越えるものが生成し、また、20.0を超えて添
加する場合は経済的でない。
【0035】(a’)工程において、亜鉛酸塩とスズ酸
塩を含有する水溶液と、過酸化水素水を添加した酸水溶
液との混合は、両液を同時に混合する方法や、何れか一
方の水溶液を他方の水溶液へ滴下する方法で行われる
が、どちらの方法によっても0.7〜1.2のZn/S
nモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝
集体が得られる。しかし、フロック状になるのを避ける
為に、過酸化水素水を添加した酸水溶液を、亜鉛酸塩と
スズ酸塩を含有する水溶液中に滴下する方法が好まし
い。この滴下は、0.5〜5時間をかけて、20〜80
℃の温度で行われる。ディスパー等の攪拌機械を用いて
攪拌中の亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液に、過酸
化水素水を添加した酸水溶液を定量ポンプで滴下するこ
とが好ましい。この混合によって水性媒体中に生成する
スズ酸亜鉛水和物が0.1〜20重量%濃度、好ましく
は1.0〜10重量%濃度となる様に両液を混合するこ
とが好ましい。この混合液のpHは3〜12で好ましく
は5〜9である。pHが3未満であると生成したスズ酸
亜鉛水和物の一部が亜鉛塩として酸に溶解するため収率
が低下し、またpHが12を超えるとスズ酸塩と亜鉛酸
塩が一部未反応で残存するために収率が低下するので好
ましくない。(a’)工程において、水性媒体中にオキ
シカルボン酸、その塩又はそれらの混合物を、スズ酸塩
中のSnに対してモル比で1.5倍以内、好ましくは
0.05〜1.5倍に含有する事ができる。上記のオキ
シカルボン酸やその塩の添加により分散性や透明性の高
いスズ酸亜鉛水和物ゾルが得られる。上記のオキシカル
ボン酸やその塩は、水溶性であるものが用いられ、オキ
シカルボン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、
クエン酸が挙げられ、オキシカルボン酸塩としてはグル
コン酸、酒石酸、或いはクエン酸等のアルカリ金属塩、
アンモニウム塩、或いは有機塩基塩が挙げられ、アルカ
リ金属塩としては、グルコン酸ナトリウム等が、有機塩
基塩としてはグルコン酸プロピルアミン等が挙げられ
る。オキシカルボン酸やその塩は、(a’)〜(d’)
工程のいかなる段階で添加する事も可能であるが、スズ
酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体の形成前、或いは
凝集体の形成中、又は凝集体を解膠して得られたゾルに
添加することが好ましい。スズ酸亜鉛水和物のコロイド
粒子の凝集体の形成前に添加する場合は、上記のオキシ
カルボン酸やその塩は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する
水溶液或いは過酸化水素水を添加した酸水溶液のいずれ
の水溶液に添加することによって水性媒体中に含有させ
る事も可能であるが、過酸化水素水を添加した酸水溶液
を、攪拌された亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液に
滴下する方法の中で、上記のオキシカルボン酸やその塩
は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液中に添加する
方法が好ましい。これらのオキシカルボン酸やその塩
は、直接又は1〜50重量%濃度の水溶液として、亜鉛
酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液に添加する事が出来
る。
【0036】(b’)工程では、上記(a’)工程で得
られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有
する水性媒体を30〜200℃、好ましくは60〜10
0℃の温度で、0.1〜50時間、好ましくは1〜10
時間で加熱熟成が行われる。加熱温度が100℃を越え
るときにはオートクレーブ等が必要となる。加熱熟成時
間が0.1時間以下では効果が小さく、50時間を越え
ても良いが経済的でない。
【0037】(c’)工程では、上記(b’)工程で得
られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有
する水性媒体から、過剰に含まれるカチオン(アルカリ
金属イオン)やアニオン(酸根)などの電解質が除去さ
れる。この電解質の除去は、デカンテーション、遠心濾
過、限外濾過などの方法により洗浄除去される。これら
の濾過法による除去は、100℃以下、好ましくは25
〜60℃で行う事ができる。
【0038】(d’)工程では(c’)工程で得られた
過剰な電解質を洗浄除去したスズ酸亜鉛水和物コロイド
凝集体を含有する水性媒体(スラリー)をディスパー、
サンドグラインダー、アトライター、ボールミルなどの
装置で分散解膠することによりゾルを製造する事ができ
る。この時に分散助剤としては、アルカリ金属水酸化
物、アンモニア等の無機塩基やアミン類等の有機塩基等
を添加しpH調整する事により、より効率的にスズ酸亜
鉛水和物の粒子を水性媒体に分散させたゾルを製造する
事ができる。この様に得られたゾルに上記のオキシカル
ボン酸、その塩又はそれらの混合物を、スズ酸亜鉛水和
物のSnに対してモル比で1.5倍以内で添加する事が
出来る。
【0039】(d’)工程により得られたゾルは、pH
3〜12、好ましくはpH5〜11であり、スズ酸亜鉛
水和物を5〜30重量%濃度で含有する。そして、得ら
れたゾル中のスズ酸亜鉛水和物粒子は、2〜200nm
の1次粒子径を有し、且つ一般式xZnO・ySnO2
・zH2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜1.4
3:1.00〜5.00のモル比で表されるものであっ
た。
【0040】(d’)工程により得られたゾルは、スズ
酸亜鉛水和物ゾル中の電解質をさらに低減させるために
陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂で処理する事が出
来る。陰イオン交換樹脂は水酸基型で用いられ、市販の
陰イオン交換樹脂を用いることが出来、陰イオン交換樹
脂を充填したカラムにゾルを通液する方法等により容易
に陰イオンを除去できる。通液の温度は0〜60℃、通
液は空間速度(SV)で1〜10h-1が好ましい。また
陽イオン交換樹脂は水素型で用いられ、市販の陽イオン
交換樹脂を用いることができる。この陽イオン交換樹脂
での処理は、必要量を攪拌下のゾルに直接添加して行う
ことにより陽イオンを除去できる。(c’)工程での過
剰な電解質の除去により(d’)工程での解膠が容易に
なり、pH3〜12の良好な透明性と充分な安定性とを
有する本発明のスズ酸亜鉛水和物ゾルを得ることが出来
る。(d’)工程で得られたゾルの濃度をさらに高めた
いときは、(e’)工程として有機塩基や有機酸等の安
定化剤を添加することにより40重量%まで濃縮するこ
とができる。使用される有機塩基としては、アルキルア
ミン、アルカノールアミン又は第4級アンモニウム水酸
化物が挙げられ、例えばn−プロピルアミン、イソプロ
ピルアミン、ジイソブチルアミン、エチレンジアミン、
モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が例示
される。有機酸としてはグリコール酸、酒石酸、クエン
酸等のオキシカルボン酸が使用できる。上記(d’)工
程あるいはその後に付加された(e’)工程によって得
られた水性ゾルの水性媒体は、親水性有機溶媒で置換す
る(f’)工程によりオルガノゾルとする事が出来る。
この置換は蒸留法、限外濾過法等、通常の方法により行
うことができる。この親水性有機溶媒としてはメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール
類、ジメチルホルムアミド、N、N’ージメチルアセト
アミド等の直鎖アミド類、N−メチルー2ーピロリドン
等の環状アミド類、エチルセロソルブ等のグリコールエ
ーテル類、或いはエチレングリコール等が挙げられる。
(f’)工程により得られたオルガノゾル中の粒子は、
(e’)工程で得られた水性ゾル中の粒子と、同じ1次
粒子径及び成分モル比を有している。
【0041】本願発明に用いられるスズ酸亜鉛水和物の
粒子を液状媒体に分散させたゾルは、上記の第一方法と
第二方法を併用した第三方法で製造する事が出来る。即
ち、第三方法は、(a”)工程:スズ酸塩と亜鉛酸塩
を、過酸化水素の存在下に水性媒体中で酸と亜鉛塩で中
和反応して、0.7〜1.2のZn/Snモル比を有す
るスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有する
水性媒体を得る工程、(b”)工程:(a”)工程で得
られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有
する水性媒体を、30〜200℃の温度で加熱する工
程、(c”)工程:(b”)工程で得られたスズ酸亜鉛
水和物のコロイド粒子の凝集体を含有する水性媒体から
電解質を除去する工程、及び(d”)工程:(c”)工
程で得られた水性媒体中のスズ酸亜鉛水和物のコロイド
粒子の凝集体を解膠する工程より成る。
【0042】上記第三方法の(a”)工程において、過
酸化水素の存在下に亜鉛酸塩とスズ酸塩を酸と亜鉛塩で
中和する反応が、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液
と、過酸化水素水を添加した酸と亜鉛塩の水溶液とを混
合した水性媒体中で成される事が好ましい。従来の方法
により製造されるスズ酸亜鉛水和物は何れの場合も沈澱
が生成し、粒子径も0.3〜1.0μmと大きく濾過洗
浄等で過剰の電解質を除去してもゾルにはならない。ま
たサンドグラインダーやアトライターなどの湿式粉砕処
理を行えばある程度の分散によってゾルとする事は可能
であるが安定性、透明性の高いゾルとはなりにくい。
【0043】本発明に用いられるスズ酸亜鉛水和物の粒
子を液状媒体に分散させたゾルは、亜鉛塩とスズ酸塩を
過酸化水素の存在下に水性媒体中で反応する第一方法、
又は亜鉛酸塩とスズ酸塩を過酸化水素の存在下に水性媒
体中で酸で中和反応する第二方法により製造する事が出
来る。過酸化水素は反応時に生成するスズ酸亜鉛水和物
コロイド粒子の粒子径を制御する事ができ、その結果、
1次粒子径として2〜200nm程度になり、さらに2
次凝集を起こしてもその凝集の程度は弱く過剰の電解質
を除去した後、容易に解膠させスズ酸亜鉛水和物ゾルを
製造することができる。これは過酸化水素の存在により
スズ酸の表面が過酸化状態になっている為と推定され
る。
【0044】上記の第一方法によって得られるゾル中の
スズ酸亜鉛水和物粒子はX線回折測定により、エイエス
ティーエム、インデックス トウザ エックスレイ パ
ウダーデータファイル インオーガニック(ASTM、
Index to theX−ray Powder
Data File Inorganic)に記載され
ているスズ酸亜鉛水和物(ASTM No.20−14
55、ZnSnO3・3H2 O、)のピークパターンと
一致した。結晶性スズ酸亜鉛水和物のピークも示すが非
常に小さく、ほとんどは無定形スズ酸亜鉛水和物である
ことを確認した。
【0045】また、上記の第二方法によって得られるゾ
ル中のスズ酸亜鉛水和物粒子はX線回折測定により、A
STM(No.20−1455、ZnSnO3 ・3H2
O、)のピークパターンと一致し、結晶性スズ酸亜鉛水
和物のピークを示す。この第二方法で得られた粒子の結
晶性は高い。本願発明のコーティング組成物は、(C)
成分として金属塩、金属アルコキシド及び金属キレート
から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属化合物を
硬化触媒として含有する事が出来る。上記の(C)成分
を添加することにより、本願発明のコーティング組成物
を光学基材表面に塗布して硬化させる時に、硬化反応を
促進させ、短時間に十分に硬化させた膜を得ることが出
来る。
【0046】上記の(C)成分は、有機カルボン酸、ク
ロム酸、次亜塩素酸、ほう酸、過塩素酸、臭素酸、亜セ
レン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝
酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩、及び多価金属塩、更にアルミニウム、ジル
コニウム、チタニウムを有する金属アルコキシド及びこ
れらの金属キレート化合物があげられる。特に上記の
(C)成分は金属キレート化合物が好ましい。この金属
キレート化合物としては、アセチルアセトナト錯体が挙
げられ、例えば、アルミニウムアセチルアセトネートが
挙げられる。アセチルアセトンCH3COCH2COCH
3のCH2基からプロトンが1個解離した陰イオンはアセ
チルアセトナト配位子(略号acac)であって、アルミニ
ウムアセチルアセトネートは、Al(acac)3の構造を有
する。
【0047】また、上記(C)成分は、アリルアミン、
エチルアミン等のアミン類、またルイス酸やルイス塩基
を含む各種酸や塩基を使用することも出来る。本願発明
のコーティング組成物は、種々の光学部材、例えばレン
ズとの屈折率に合わせるために微粒子状金属酸化物を含
有することが出来る。これらの微粒子状金属酸化物とし
ては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アンチモ
ン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム等が
挙げられる。
【0048】また、本願発明のコーティング組成物は、
光学部材の表面に塗布する時の濡れ性向上と、硬化して
得られる膜の平滑性を向上させるために各種の界面活性
剤を含有する事が出来る。更に、紫外線吸収剤、酸化防
止剤等も得られる膜の物性に影響を与えない限り添加す
ることが出来る。本発明のコーティング組成物は、
(A)成分のケイ素含有物質100重量部に対して、ス
ズ酸亜鉛水和物コロイド粒子を1〜500重量部、好ま
しくは100〜300重量部の割合で含有することが出
来る。スズ酸亜鉛水和物コロイド粒子が、1重量部未満
では得られる膜の屈折率が低くなり、基材への応用範囲
が著しく限定される。また、500重量部を越えると硬
化膜と基板との間にクラック等が生じやすくなり、さら
に透明性の低下を起こす可能性が大きくなるために好ま
しくない。
【0049】本願発明では、上記のコーティング組成物
から成る硬化膜を表面に有する光学部材が得られる。本
願発明のコーティング組成物よりなる硬化膜を光学部材
上に形成する方法としては、上述したコーティング組成
物を光学部材に塗布し、その後硬化する方法があげられ
る。塗布手段としてはディッピング法、スピン法、スプ
レー法等の通常行われる方法が適用できるが、得られる
膜の表面平滑性の点からディッピング法、スピン法が特
に好ましい。
【0050】さらに上述したコーティング組成物を光学
部材に塗布する前に、酸、アルカリ、各種有機溶媒によ
る化学処理、プラズマ、紫外線等による物理的処理、各
種洗剤を用いる洗剤処理、さらには、各種樹脂を用いた
プライマー処理を用いることによって光学部材と硬化膜
との密着性を向上させることができる。本発明のコーテ
ィング組成物は、光学部材上に塗布し、その後に硬化す
る事によって硬化膜とすることができる。本願発明のコ
ーティング組成物の硬化は、熱風乾燥または活性エネル
ギー線照射によって行うことが出来る。熱風乾燥を用い
る場合は、70〜200℃の熱風中で行うことがよく、
特に好ましくは90〜150℃が好ましい。また、活性
エネルギー線としては、遠赤外線を用いる事ができ、熱
による損傷を低く抑えることができる。
【0051】本願発明では、上記のコーティング組成物
から成る硬化膜と反射防止膜とを積層した膜を表面に有
する光学部材を得ることが出来る。この反射防止膜は、
本願発明のコーティング組成物から成る硬化膜の上に設
けることが出来る。この反射防止膜は、多層膜とするこ
とが好ましく、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層
して得られる。この反射防止膜に用いる高屈折率膜とし
ては、酸化ジルコニウム蒸着膜、又は酸化ジルコニウム
に酸化タンタル及び酸化イットリウムを含む金属酸化物
の混合蒸着膜があり、また、この反射防止膜に用いる低
屈折率膜としてはシリカの蒸着膜が挙げられる。上記の
酸化ジルコニウム蒸着膜、又は酸化ジルコニウムに酸化
タンタル及び酸化イットリウムを含む金属酸化物の混合
蒸着膜は、酸化ジルコニウム粉末を単独で、又は酸化ジ
ルコニウム粉末に酸化タンタル粉末、酸化イットリウム
粉末を混合し、加圧プレス、焼結等によりペレット状に
したものを電子ビーム加熱法により、本願発明のコーテ
ィング組成物から成る膜上に蒸着させることにより反射
防止膜を設けることが出来る。
【0052】また、本発明のコーティング組成物よりな
る硬化膜は、高い屈折率を有する為にそれ自体で反射防
止膜として使用する事ができ、更に、防曇、フォトクロ
ミック、防汚等の機能成分を加えることにより、多機能
膜として使用することもできる。本願発明に用いられる
光学部材は、透明性プラスチック成形体が好ましく、そ
の透明性プラスチックとしては、例えば眼鏡レンズのほ
か,カメラ用レンズ、自動車の窓ガラス、液晶ディスプ
レイやプラズマディスプレイなどに付設する光学フィル
ターなどが挙げられる。
【0053】本願発明のコーティング組成物は、(A)
成分として一般式(I)及び一般式(II)で表される
有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物から成る群よ
り選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質と、(B)
成分としてスズ酸亜鉛水和物の粒子を含有する。本願発
明のコーティング組成物は、(A)成分の有機ケイ素化
合物を酸性水溶液で加水分解し、(B)成分を含有する
スズ酸亜鉛水和物のオルガノゾルと混合する事によって
製造することが出来る。このスズ酸亜鉛水和物のオルガ
ノゾルは、メタノール溶媒にスズ酸亜鉛水和物の粒子を
分散したゾルを好ましく用いることが出来る。
【0054】上記のコーティング組成物は、光学部材に
塗布し硬化させることにより、耐擦傷性、表面硬度、耐
摩耗性、透明性、耐熱性、耐光性、耐候性を有し、特に
耐水性に優れ、しかも屈折率が1.54以上の高屈折率
の部材に塗工しても干渉縞の見られない高透明性で外観
良好の光学部材が得られる。以下の実施例に具体例を詳
述する。しかし、本願発明は以下の実施例に限定される
ものではない。
【0055】
【実施例】
原料の製造例1 (スズ酸亜鉛水和物メタノールゾルの
製造) 水1945.7gにスズ酸ナトリウム(Na2SnO3
3H2O、昭和化工(株)製、SnO2として55重量%
含有する)147.0gを溶解しスズ酸ナトリウム水溶
液(SnO2として3.3重量%含有する)を作成し、
その中にグルコン酸水溶液(藤沢薬品工業(株)製、含
有量は50重量%)63.0gを添加してスズ酸ナトリ
ウム/グルコン酸混合水溶液2155.7gを調整し
た。別に、水1302.8gに塩化亜鉛(ZnCl2
65.9gを溶解し塩化亜鉛水溶液を作成し、その中に
35重量%の過酸化水素水750gを添加し塩化亜鉛/
過酸化水素混合水溶液2118.7gを調整した。
【0056】(a)工程:上記に調整した塩化亜鉛水溶
液/過酸化水素混合水溶液を定量ポンプを用いてディス
パー撹拌下、スズ酸ナトリウム/グルコン酸混合水溶液
に約1時間で添加し反応させスズ酸亜鉛水和物コロイド
液を得た。このスズ酸亜鉛水和物コロイド液は、pH
6.8、オキシカルボン酸/SnO2モル比0.30、
226.13重量%、ZnO/SnO2モル比0.9
0、ZnO+SnO2に換算して2.8重量%濃度であ
った。
【0057】(b)工程:(a)工程で得られたスズ酸
亜鉛水和物コロイド液を92℃で5時間加熱熟成を行
い、冷却後イソプロピルアミン25.0gを加えディス
パーで8時間撹拌し、スズ酸亜鉛水和物コロイド液43
06.9gを得た。このもののpHは9.28、電導度
24.7ms/cm、ZnO+SnO2に換算して2.
78重量%であった。
【0058】(c)工程:(b)工程で得られたスズ酸
亜鉛水和物コロイド液中の過剰の電解質を限外濾過法に
より水30リットルを用いて注水洗浄して電解質を除去
し、スズ酸亜鉛水和物ゾル2792gを得た。このもの
のpHは10.42、電導度377μs/cmであっ
た。このゾル中のスズ酸亜鉛水和物の粒子は、透過型電
子顕微鏡による観察で1次粒子径は5nmであった。Z
nO/SnOモル比は0.85であり、一般式xZnO
・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:y:zが1:1.
18:2.80であった。このゾルを陰イオン交換樹脂
(アンバーライトIRA−410、水酸基型で使用)を
充填したカラムに通すことにより、更に陰イオンを除去
した。このゾルはpH11.05、電導度289μs/
cmであった。更に陽イオン交換樹脂(アンバーライト
IR−120B、水素型で使用)100ミリリットルを
添加し撹拌して、陽イオンを除去した。陽イオン交換樹
脂を分離し4077gのゾルを得た。得られたゾルはp
H7.98、電導度98.6μs/cmであった。
【0059】(d)工程:(c)工程で得られたゾルを
限外濾過装置により、液温30℃で濃縮を行い、濃縮ゾ
ル930gを得た。得られたゾルはpH7.83、電導
度213μs/cm、ZnO+SnO2に換算して1
1.8重量%であり、収率は91.5%であった。この
ものの110℃乾燥品のX線回折測定では無定型スズ酸
亜鉛水和物であった。
【0060】(e)工程:(d)工程で得られたゾル3
12gに撹拌下、酒石酸1.52g及びジイソブチルア
ミン2.28gを添加し調整ゾルとした後、ロータリー
エバポレーター中に投入し減圧下、メタノール13リッ
トルを徐々に加えながらゾル中の水を留去する事により
スズ酸亜鉛水和物メタノールゾル232gを得た。得ら
れたゾルは比重0.930、粘度28.1c.p.、p
H(1+1)8.18、電導度(1+1)200μs/
cm、ZnO+SnO2に換算して18.8重量%、水
分0.77重量%であった。このゾル中のスズ酸亜鉛水
和物の粒子は透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径
は5nmであり、ZnO/SnO2モル比0.85であ
った。そして、一般式xZnO・ySnO2 ・zH2
においてx:y:zが1:1.18:2.80であっ
た。
【0061】原料の製造例2 (スズ酸亜鉛水和物メタ
ノールゾルの製造) 水2188.4gに水酸化ナトリウム1422.8gを
溶解させ、その中に酸化亜鉛368.8gを添加し溶解
させ亜鉛酸ナトリウム水溶液を4004.2g調整し
た。このものはZnOとして9.21重量%、Na2
として25.61重量%、Na2O/ZnOモル比3.
65であった。
【0062】水7872gに上記で作成した亜鉛酸ナト
リウム水溶液1001.2gとスズ酸ナトリウム(Na
2SnO3・3H2O、昭和化工(株)製、SnO2として
55重量%含有する)326.8gを溶解し亜鉛酸ナト
リウム、スズ酸ナトリウム混合水溶液9200g(Zn
Oとして1.00重量%、SnO2として1.95重量
%、ZnO/SnO2モル比0.95)を作成した。別
に水5519.4gに35重量%塩酸水溶液1116.
6gを溶解し、その中に35重量%の過酸化水素水17
64.0gを添加し塩酸/過酸化水素混合水溶液840
0gを調整した。
【0063】(a’)工程:上記で調整した塩酸/過酸
化水素混合水溶液を定量ポンプを用いてディスパー撹拌
下、亜鉛酸ナトリウム/スズ酸ナトリウム混合水溶液に
約1時間で添加し反応させスズ酸亜鉛水和物コロイド粒
子の凝集体のスラリー液を得た。このスズ酸亜鉛水和物
コロイド粒子の凝集体のスラリー液は、pH8.7、H
223.51重量%、ZnO/SnO2モル比0.95
であった。
【0064】(b’)工程:(a’)工程で得られたス
ズ酸亜鉛水和物コロイド凝集体スラリー液に5重量%塩
酸水溶液140gを添加しpHを7.13に調整後、9
0℃で4時間加熱熟成を行った。このもののpHは1
0.55、電導度53ms/cm、ZnO+SnO2
換算して1.55重量%であった。 (c’)工程:(b’)工程で得られたスズ酸亜鉛水和
物コロイド凝集体スラリー液に5重量%塩酸水溶液50
gを添加しpH6.80に調整した後、過剰の電解質を
デカンテーション及び限外濾過法により、水40リット
ルを用いて注水洗浄して電解質を除去した。得られたス
ズ酸亜鉛水和物凝集体スラリーは1788gで、pH
8.93、電導度162μs/cmであった。
【0065】(d’)工程:(c’)工程で得られたス
ラリー1434gに水750gと15重量%の水酸化カ
リウム水溶液14.6gを添加しpH11.6に調整し
た後、ガラスビーズ(1.0〜1.2mmφ)を充填し
たサンドグラインダーで24時間湿式分散解膠させ、ス
ズ酸亜鉛水和物ゾル2860gを得た。得られたゾルの
pHは11.25、電導度1210μs/cmであっ
た。得られたゾルに撹拌下、クエン酸5.4g及び陽イ
オン交換樹脂(IR−120B)40ミリリットルを添
加し1時間撹拌後、樹脂を分離した。得られたゾルはp
H6.86、電導度188μs/cmであった。このゾ
ル中のスズ酸亜鉛水和物の粒子は透過型電子顕微鏡によ
る観察で1次粒子径は5〜30nmであった。また、Z
nO/SnO2モル比は0.95であり、一般式xZn
O・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:y:zが1:
1.05:2.80であった。
【0066】(e’)工程:(d’)工程で得られたゾ
ルにジイソブチルアミン8.1gを添加しpHを9.9
0とした後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧
下、濃縮を行い、濃縮ゾル1381gを得た。得られた
ゾルは比重1.194、粘度264c.p.、pH8.
52、電導度2040μs/cm、ZnO+SnO2
換算して19.1重量%であった。
【0067】(f’)工程:(e’)工程で得られたゾ
ル1251gをロータリーエバポレーター中に投入し減
圧下、メタノール31リットルを徐々に加えながらゾル
中の水を留去する事によりスズ酸亜鉛水和物メタノール
ゾル1036.3gを得た。得られたゾルは比重0.9
70、粘度17.5c.p.、pH(1+1)7.8
5、電導度(1+1)96.0μs/cm、ZnO+S
nO2に換算して23.6重量%濃度、水分0.53重
量%であった。このゾル中のスズ酸亜鉛水和物の粒子は
透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径は5〜30n
mであり、ZnO/SnO2モル比0.95であった。
そして、一般式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおい
てx:y:zが1:1.05:2.80であった。この
ゾルの110℃乾燥品の屈折率は1.78であり、X線
回折測定ではASTMのNo.20−1455、ZnS
nO3 ・3H2 Oのピークパターンと一致した。
【0068】(コーティング組成物の製造) 実施例1 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに前述の原料の製造例1で得たスズ酸
亜鉛水和物メタノールゾル(ZnO+SnO2として1
8.8重量%含有する)691.5重量部、ブチルセロ
ソルブ65重量部、更に硬化剤としてアルミニウムアセ
チルアセトネート4.2重量部を、前述したγ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物1
42.1重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過を行っ
てコーティング組成物を作製した。
【0069】実施例2 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに前述の原料の製造例2で得たスズ酸
亜鉛水和物メタノールゾル(ZnO+SnO2として2
3.6重量%含有する)550.8重量部、ブチルセロ
ソルブ65重量部、更に硬化剤としてアルミニウムアセ
チルアセトネート4.2重量部を、前述したγ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物1
42.1重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過を行っ
てコーティング組成物を作製した。
【0070】実施例3 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するテトラエトキシシラン2
2.3重量部とγ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン77.9重量部を加え、攪拌しながら0.0
1規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間で滴下し
た。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、テトラエトキ
シシランとγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シランの部分加水分解物を得た。つぎに前述の原料の製
造例1で得たスズ酸亜鉛水和物メタノールゾル(ZnO
+SnO2として18.8重量%含有する)691.5
重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤とし
てアルミニウムアセチルアセトネート2.6重量部と過
塩素酸アンモニウム0.5重量部を、前述したテトラエ
トキシシランとγ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシランの部分加水分解物137重量部に加え、十分
に攪拌した後、ろ過を行ってコーティング組成物を作製
した。
【0071】実施例4 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン74.2重量部とγ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン31.1重量部を加
え、攪拌しながら0.01規定の塩酸水溶液36.8重
量部を3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌
を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの
部分加水分解物を得た。つぎに前述の原料の製造例2で
得たスズ酸亜鉛水和物メタノールゾル(ZnO+SnO
2として23.6重量%含有する)550.8重量部、
ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤としてアルミ
ニウムアセチルアセトネート4.2重量部を、前述した
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとγ−グ
リシドキシプロピルメチルジメトキシシランの部分加水
分解物142.1重量部に加え、十分に攪拌した後ろ過
を行ってコーティング組成物を作製した。
【0072】実施例5 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン37.1重量部、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン37.1重量部及びテ
トラエトキシシラン23.7重量部を加え、攪拌しなが
ら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間で
滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシランとγ−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシランとテトラエトキシ
シランの部分加水分解物を得た。つぎに前述の原料の製
造例2で得たスズ酸亜鉛水和物メタノールゾル(ZnO
+SnO2として23.6重量%含有する)550.8
重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤とし
てアルミニウムアセチルアセトネート4.2重量部を、
前述したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン
及びテトラエトキシシランの部分加水分解物134.7
重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過を行ってコーテ
ィング組成物を作製した。
【0073】比較例1 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに7.2nmの粒子径を有する酸化ス
ズのコロイド粒子を核として、その表面がWO3/Sn
2重量比5.12であって粒子径5nmである酸化タ
ングステン−酸化スズ複合体のコロイド粒子で被覆され
ることによって形成された粒子径約18nmの変性酸化
スズメタノールゾル〔(WO3+SnO2)/SnO2
重量比0.46、WO3+SnO2に換算した全金属酸化
物を30.0重量%含有する〕433.3重量部、ブチ
ルセロソルブ65重量部、更に硬化剤としてアルミニウ
ムアセチルアセトネート4.2重量部を、前述したγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物142.1重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過
を行ってコーティング組成物を作製した。
【0074】比較例2 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎにシリカメタノールゾル(粒子径15
nm、SiO2として20重量%含有する)650.0
重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤とし
てアルミニウムアセチルアセトネート4.2重量部を、
前述したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
の部分加水分解物142.1重量部に加え、十分に攪拌
した後、ろ過を行ってコーティング組成物を作製した。
【0075】(硬化膜の形成)市販の屈折率nD=1.
59のポリカーボネートの板を用意し、これにスピンコ
ート法で上記の実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較
例2で得られたコーティング組成物を塗布し、120℃
で2時間加熱処理をして塗膜を硬化させ試験サンプル
(光学部材)を作成した。
【0076】実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例
2で得られたコーティング組成物から成るポリカーボネ
ート上の膜を、それぞれ実施例膜1〜実施例膜5及び比
較例膜1〜比較例膜2として以下の試験を行いその結果
を表1及び表2に示した。 (耐擦傷性試験)スチールウール#0000で上記の試
験サンプルを擦って傷の付きにくさを目視で判断した。
判断基準は次のようにした。
【0077】 A・・・強く擦ってもほとんど傷が付かない B・・・強く擦るとかなり傷がつく C・・・光学基材と同等の傷が付く (干渉縞の有無の試験)蛍光灯下で上記の試験サンプル
を目視で判断した。判断基準は次の通りである。
【0078】 A・・・干渉縞がほとんど見えない B・・・少し見える C・・・かなり見える (密着性試験)上記の試験サンプルに1mm間隔で、1
00目クロスカットし、このクロスカットした所に粘着
テープ(商品名セロテープ、ニチバン(株)製)と強く
貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がし、粘着テープ
を剥がした後の硬化膜の剥離の有無を調べた。硬化膜に
剥離が起こらなければ良好として、剥離の発生するもの
は不良とした。
【0079】(耐温水性試験)80℃の温水に上記の試
験サンプルを2時間浸漬し、前述した同様の密着性試験
を行った。 (透明性試験)暗室内、蛍光灯下で上記の試験サンプル
にくもりがあるかどうか目視で調べた。判断基準は次の
通りである。
【0080】 A・・・くもりがほとんど見えない。 B・・・少し見える。 C・・・かなり見える。 (耐候性試験)上記の試験サンプルの硬化膜上に、更に
無機酸化物の蒸着膜から成る反射防止膜を設けた試験サ
ンプル(光学部材)を1ヶ月間屋外暴露を行い、暴露後
の試験サンプル(光学部材)の外観の変化を黙視で判断
した。
【0081】
【表1】 表1 実施例膜 耐擦傷性 干渉縞 密着性 耐温水性 透明性 耐候性 1 A A 良好 良好 A 異常なし 2 A A 良好 良好 A 異常なし 3 A A 良好 良好 A 異常なし 4 A A 良好 良好 A 異常なし 5 A A 良好 良好 A 異常なし
【0082】
【表2】 表2 比較例膜 耐擦傷性 干渉縞 密着性 耐温水性 透明性 耐候性 1 A A 良好 一部剥離 A 僅か黄変 2 A C 良好 良好 A 異常なし 本願発明のコーティング組成物から成る硬化膜を有する
試験サンプルは、上記の試験で良好な結果が得られた。
【0083】一方、(B)成分をスズ酸亜鉛水和物の粒
子に代えて、酸化タングステン−酸化スズ複合体のコロ
イド粒子で被覆された変性酸化第二スズの粒子を使用し
た場合は、耐水性が低下し、更に長時間の暴露試験の結
果、太陽光線を受け変性酸化第二スズの粒子が黄変した
ものと考えられる。また、(B)成分をスズ酸亜鉛水和
物の粒子に代えて、コロイド状シリカ粒子を使用した場
合は、屈折率が低いため高屈折率の基材上に硬化膜を形
成した場合は、塗膜に干渉縞が発生し好ましくない。
【0084】
【発明の効果】本願発明のコーティング組成物によって
得られる硬化膜は、耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透
明性、耐熱性、耐光性、耐候性や、特に耐水性の向上し
たコーティング層となる。さらにこのコーティング層の
上に形成される反射防止膜(無機酸化物やフッ化物な
ど)、金属蒸着膜などとの接着性も良好である。
【0085】従って、このコーティング組成物から成る
硬化膜を有する光学部材は、上記の諸性能を有し、更に
屈折率が1.54以上の高屈折率の部材に塗工しても干
渉縞の見られない高透明性で外観良好の光学部材とな
る。本発明に用いられる光学部材は、プラスチック成形
体が最適であり、このプラスチック成形体としては、眼
鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラス、
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに付設す
る光学フィルターなどがある。これらのプラスチック成
形体に本願発明のコーティング組成物をハードコートす
ることにより、上記のコーティング組成物から成る硬化
膜を有するプラスチック成形体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 根子 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化学 工業株式会社中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分及び(B)成分; (A)成分:一般式(I) (R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I) (但し、R1及びR3は、それぞれアルキル基、アリール
    基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ア
    ルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタク
    リロイル基、メルカプト基、アミノ基、もしくはシアノ
    基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子
    と結合しているものであり、R2は炭素数1〜8のアル
    キル基、アルコキシアルキル基、又はアシル基であり、
    a及びbはそれぞれ0、1、又は2の整数であり、a+
    bは0、1、又は2の整数である。)及び、一般式(I
    I) 〔(R4cSi(OX)3-c2Y (II) (但し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは炭
    素数1〜4のアルキル基又はアシル基を示し、Yはメチ
    レン基又は炭素数2〜20のアルキレン基を示し、cは
    0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合
    物、並びにその加水分解物からなる群より選ばれた少な
    くとも1種のケイ素含有物質、 (B)成分:2〜200nmの1次粒子径を有し、且つ
    一般式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:
    y:zが1:0.83〜1.43:1.00〜5.00
    のモル比で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子、を含有す
    るコーティング組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分が、一般式(I)で表される
    有機ケイ素化合物、及びその加水分解物からなる群より
    選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質である請求項
    1に記載のコーティング組成物。
  3. 【請求項3】 (C)成分として、金属塩、金属アルコ
    キシド及び金属キレートからなる群より選ばれた少なく
    とも1種の金属化合物を硬化触媒として含有する請求項
    1又は請求項2に記載のコーティング組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載のコーティング組成物から成る硬化膜を表面に有す
    る光学部材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載のコーティング組成物から成る硬化膜と反射防止膜
    とを積層した膜を表面に有する光学部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10306258A (ja) * 1997-03-04 1998-11-17 Nissan Chem Ind Ltd コーティング組成物及び光学部材
US6248431B1 (en) 1998-06-12 2001-06-19 Hoya Corporation Coating composition for optical parts thin film layer made of it and optical part comprising

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