JPH09125003A - コーティング組成物及び光学部材 - Google Patents

コーティング組成物及び光学部材

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JPH09125003A
JPH09125003A JP8140112A JP14011296A JPH09125003A JP H09125003 A JPH09125003 A JP H09125003A JP 8140112 A JP8140112 A JP 8140112A JP 14011296 A JP14011296 A JP 14011296A JP H09125003 A JPH09125003 A JP H09125003A
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JP
Japan
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sol
oxide
group
weight
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JP8140112A
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English (en)
Inventor
Yoshitane Watabe
淑胤 渡部
Keitaro Suzuki
啓太郎 鈴木
Kinya Koyama
欣也 小山
Motoko Iijima
根子 飯島
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Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明性、耐熱
性、耐光性、耐候性、特に耐水性に優れたプラスチック
用コーティング組成物及び、そのコーティング組成物を
利用した光学部材に関する。 【解決手段】コーティング組成物は、(A)成分:一般
式(I)、(R1a(R 3bSi(OR24-(a+b)
び、一般式(II)、〔(R4cSi(OX)3-c2
で表される有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物か
らなる群より選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物
質、(B)成分:3、4又は5価の原子価の金属の酸化
物からなる粒子(i)を核として、その粒子の表面がス
ズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)で被覆された4.5〜1
00nmの1次粒子径を有する変性金属酸化物の粒子、
を含有する。光学部材は、上記のコーティング組成物か
ら成る硬化膜を表面に有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、眼鏡レンズ、カ
メラ用レンズ、自動車用窓ガラス、液晶ディスプレイ
や、プラズマディスプレイ等に付設する光学フィルター
等の光学部材に耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明
性、耐熱性、耐光性、耐候性、特に耐水性に優れたコー
ティング膜を得るためのコーティング組成物及び、その
コーティング組成物を利用した光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形物は、軽量、易加工
性、耐衝撃性等の長所を生かして多量に使用されている
が、反面、硬度が不十分で傷が付きやすい、溶媒に侵さ
れやすい、帯電してほこりを吸着する、耐熱性が不十分
等の欠点があり、眼鏡レンズ、窓材等として使用するに
は、無機ガラス成形体に比べ実用上不十分であった。
【0003】そこで、プラスチック成形体にハードコー
トを施すことが提案されている。このハードコートに使
用されるコーティング組成物は、多数提案されており、
例えば特開昭52−11261号公報では、有機ケイ素
化合物又はその加水分解物を主成分とするコーティング
組成物が眼鏡レンズのハードコートに使用されている。
しかし、このコーティング剤は、耐擦傷性が十分ではな
い。更に特開昭53−111336号公報には、シリカ
ゾルを添加してコロイド状シリカ粒子を含有したコーテ
ィング剤を眼鏡レンズ用ハードコートに使用することが
開示されている。
【0004】従来、プラスチック製眼鏡レンズは、大半
がジエチレングリコールビスアリルカーボネートをモノ
マーの状態で注型重合することによって製造されてい
た。この様に製造されたレンズは屈折率が約1.50で
あり、ガラスレンズの屈折率の1.52に比べて低いこ
とから、近視用レンズの場合は縁の厚みが増すという問
題がある。そのために近年、ジエチレングリコールビス
アリルカーボネートより屈折率の高いモノマーの開発が
進められている。それらの高屈折率樹脂材料は例えば、
特開昭55−13747号公報、特開昭56−1662
14号公報、特開昭57−23611号公報、特開昭5
7−54901号公報、特開昭59−133211号公
報、特開昭60−199016号公報、特開昭64−5
4021号公報に開示されている。
【0005】上記の高屈折率樹脂材料を用いた高屈折率
レンズに対して、特開昭62−151801号公報や特
開昭63−275682号公報では、SbやTiの金属
酸化物微粒子のコロイド分散体を含有したコーティング
剤が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】シリカゾルを添加する
ことによってコロイド状シリカを含有したコーティング
剤は、そのコーティング剤の塗布と硬化によって得られ
る膜が干渉縞を発生し、レンズの外観が好ましくないと
いう問題がある。また、レンズではコーティング剤の塗
布と硬化によって得られる膜上に、光学干渉理論に基づ
く無機酸化物薄膜の多層構造膜よりなる反射防止膜を形
成する事が多い。この時、反射防止膜が例えば、極薄い
緑色の反射色を呈する様な場合は、この反射色がレンズ
表面の位置に応じて変わり、斑を生ずるという問題があ
る。
【0007】酸化スズゾルを添加することによってコロ
イド状酸化スズを含有したコーティング剤は、酸化スズ
ゾルがシランカップリング剤等の有機ケイ素化合物やそ
の加水分解物等のケイ素含有物質との相溶性が低く安定
性が低下するために、そのコーティング剤の塗布と硬化
によって得られる膜は耐水性が十分ではない。酸化チタ
ンゾルを添加することによってコロイド状酸化チタンを
含有したコーティング剤は、やはり酸化チタンゾルがシ
ランカップリング剤等の有機ケイ素化合物やその加水分
解物等のケイ素含有物質との相溶性が低く安定性が低下
するために、そのコーティング剤の塗布と硬化によって
得られる膜は耐水性が十分ではない。
【0008】酸化アンチモンゾルを添加することによっ
てコロイド状酸化アンチモンを含有したコーティング剤
は、酸化アンチモンゾルとシランカップリング剤等の有
機ケイ素化合物やその加水分解物等のケイ素含有物質と
の相溶性は高く安定性は向上するが、そのコーティング
剤の塗布と硬化によって得られる膜は屈折率が十分に高
くないという問題がある。
【0009】本発明は、1.54〜1.70の高い屈折
率を有する高屈折率樹脂材料を用いた高屈折率光学部材
に対して、コーティング剤の塗布と硬化によって得られ
る膜に干渉縞が見えず、且つ反射色に斑のない膜を与え
るコーティング組成物及びそのコーティング組成物を利
用した光学部材を提供することにある。また、本発明
は、耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、可とう性、透明
性、帯電防止性、染色性、耐熱性、耐水性、耐薬品性等
に優れたプラスチック用コーティング組成物及びそのコ
ーティング組成物を利用した光学部材を提供することに
ある。特に、本願発明は、耐擦傷性、密着性、耐水性、
透明性、耐光性、耐候性に優れ、干渉縞の発生がない膜
を与えるコーティング剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明は、下記(A)
成分及び(B)成分; (A)成分:一般式(I) (R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I) (但し、R1及びR3は、それぞれアルキル基、アリール
基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ア
ルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタク
リロイル基、メルカプト基、アミノ基、もしくはシアノ
基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子
と結合しているものであり、R2は炭素数1〜8のアル
キル基、アルコキシアルキル基、又はアシル基であり、
a及びbはそれぞれ0、1、又は2の整数であり、a+
bは0、1、又は2の整数である。)及び、一般式(I
I) 〔(R4cSi(OX)3-c2Y (II) (但し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは炭
素数1〜4のアルキル基又はアシル基を示し、Yはメチ
レン基又は炭素数2〜20のアルキレン基を示し、cは
0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合
物、並びにその加水分解物からなる群より選ばれた少な
くとも1種のケイ素含有物質、 (B)成分:3、4又は5価の原子価の金属の酸化物か
らなる粒子(i)を核として、その粒子の表面が一般式
xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:y:zが
1:0.83〜1.43:1.00〜5.00のモル比
で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)で被覆され
た4.5〜100nmの1次粒子径を有する変性金属酸
化物の粒子、を含有するコーティング組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】本願発明のコーティング組成物に
使用される(A)成分中の一般式(I)、 (R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I) においては、R1とR3が同一の有機基又は異なる有機基
である場合や、aとbが同一の整数又は異なる整数であ
る場合の有機ケイ素化合物を含む。上記(A)成分中の
一般式(I)で示される有機ケイ素化合物は、例えば、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、
テトラn−ブトキシシラン、テトラアセトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラ
ン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミ
ロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルト
リベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシ
シラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリ
シドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキシ
エチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルト
リエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロ
ポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラ
ン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシド
キシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエ
トキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシ
ラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキ
シシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル
トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロ
ポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメト
キシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキ
シシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−
グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
プロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフ
ェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、
3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエ
トキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロ
ロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシ
ラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチル
ビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラ
ン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わ
せて使用することが出来る。
【0012】また、本願発明のコーティング組成物に使
用される(A)成分中の一般式(I)の有機ケイ素化合
物の加水分解物は、上記一般式(I)の有機ケイ素化合
物が加水分解される事により、上記R2の一部又は全部
が水素原子に置換された化合物となる。これらの一般式
(I)の有機ケイ素化合物の加水分解物は、単独で又は
2種以上組み合わせて使用する事が出来る。加水分解
は、上記の有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫酸水
溶液、酢酸水溶液等の酸性水溶液を添加し撹拌すること
により行われる。
【0013】本願発明のコーティング組成物に使用され
る(A)成分中の一般式(II)、 〔(R4cSi(OX)3-c2Y (II) 表される有機ケイ素化合物は、例えば、メチレンビスメ
チルジメトキシシラン、エチレンビスエチルジメトキシ
シラン、プロピレンビスエチルジエトキシシラン、ブチ
レンビスメチルジエトキシシラン等が挙げられ、これら
を単独で又は2種以上組み合わせて使用することが出来
る。
【0014】また、本願発明のコーティング組成物に使
用される(A)成分中の一般式(II)の有機ケイ素化
合物の加水分解物は、上記一般式(II)の有機ケイ素
化合物が加水分解される事により、上記Xの一部又は全
部が水素原子に置換された化合物となる。これらの一般
式(II)の有機ケイ素化合物の加水分解物は、単独で
又は2種以上組み合わせて使用することが出来る。加水
分解は、上記の有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫
酸水溶液、酢酸水溶液等の酸性水溶液を添加し撹拌する
ことにより行われる。
【0015】本願発明のコーティング組成物に使用され
る(A)成分は、一般式(I)及び一般式(II)で表
される有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物から成
る群より選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質であ
る。本願発明のコーティング組成物に使用される(A)
成分は、好ましくは一般式(I)で表される有機ケイ素
化合物、及びその加水分解物から成る群より選ばれた少
なくとも1種のケイ素含有物質である。特に、R1及び
3のいずれか一方がエポキシ基を有する有機基であ
り、R2がアルキル基であり、且つa及びbがそれぞれ
0又は1であり、a+bが1又は2の条件を満たす一般
式(I)の有機ケイ素化合物及びその加水分解物が好ま
しく、その好ましい有機ケイ素化合物の例としては、グ
リシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメ
チルトリエトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリ
メトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシ
シラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、
β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グ
リシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキ
シブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチル
トリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラ
ン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−
グリシドキシブチルトリエトキシシラン、グリシドキシ
メチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメ
チルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチル
ジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエ
トキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキ
シシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシ
ラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン
である。
【0016】更に、好ましくはγ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン及びこれらの加水分解物であり、こ
れらを単独で又は混合物として使用する事が出来る。ま
た、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン又はこ
れらの加水分解物は、更に、一般式(I)においてa+
b=0に相当する4官能の化合物を併用する事が出来
る。4官能に相当する化合物の例としては、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラn−
ブトキシシラン、テトラtert-ブトキシシラン、テトラs
ec-ブトキシシラン等が挙げられる。
【0017】本願発明のコーティング組成物に使用され
る(B)成分は、3、4又は5価の原子価の金属の酸化
物からなる粒子(i)を核として、その粒子の表面が一
般式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:y:
zが1:0.83〜1.43:1.00〜5.00のモ
ル比で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)で被覆
された4.5〜100nmの1次粒子径を有する変性金
属酸化物の粒子である。
【0018】上記の変性金属酸化物の粒子は、変性金属
酸化物の粒子を液状媒体に分散させたゾルとして利用す
ることが好ましい。ここで、1次粒子径とは凝集形態に
ある粒子の直径ではなく、個々に分離した時の1個の粒
子の直径であり、電子顕微鏡によって測定する事ができ
る。本願発明に用いられる(B)成分中の3、4又は5
価の原子価の金属の酸化物からなる粒子(i)は、1次
粒子径が4〜50nm、好ましくは4〜30nmであ
る。上記の3、4又は5価の原子価を有する金属の酸化
物は、アルミニウム、イットリウム、アンチモン、イン
ジウム、ビスマス、チタン、ジルコニウム、スズ、セリ
ウム、テルル、ニオブ、タンタル等の金属の酸化物が挙
げられ、例えば、Al23、Y23、Sb23、In2
3、Bi23、TiO2、ZrO2、SnO2、Ce
2、TeO2、Sb25、Nb25、Ta25等が例示
される。これらの酸化物は単独で又は2種以上の混合物
として使用することが出来る。特に上記金属の酸化物
は、スズ、ジルコニウム、チタン、アンチモンの酸化物
が好ましく、これらを単独で又は2種以上の混合物とし
て使用することが出来る。2種以上の酸化物を使用する
場合は、上記の酸化物粒子が単に混ざり合った物として
使用することも、酸化物粒子が化学的に結合した構造と
することも出来る。化学的に結合した構造としては、例
えば酸化第二スズのコロイド粒子と酸化ジルコニウムの
コロイド粒子とがこれら酸化物の重量に基づいてZrO
2/SnO2として0.02〜1.0の比率に結合した構
造の複合体のコロイド粒子を上記の粒子(i)として用
いることが出来る。
【0019】上記3、4又は5価の金属の酸化物のコロ
イド粒子(i)は、公知の方法、例えば、イオン交換
法、解膠法、加水分解法、反応法等の方法により4〜5
0nm、好ましくは4〜30nmの1次粒子径を有する
コロイド粒子(i)が液状媒体に分散したゾルとして使
用することが好ましい。上記イオン交換法としては、上
記金属の酸性塩を水素型陽イオン交換樹脂で処理する方
法で、或いは、上記金属の塩基性塩を水酸基型陰イオン
交換樹脂で処理する方法が挙げられる。上記解膠法とし
ては、上記金属の酸性塩を塩基で中和するか、或いは上
記金属の塩基性塩を酸で中和させることにより得られる
ゲルを洗浄した後、酸または、塩基で解膠する方法が挙
げられる。上記加水分解法としては、上記金属のアルコ
キシドを加水分解する方法、或いは上記金属の塩基性塩
を加熱下加水分解した後、不要な酸を除去する方法が挙
げられる。上記反応法の例としては、上記金属の粉末と
酸とを反応させる方法が挙げられる。
【0020】これら金属の酸化物ゾルの媒体は、水、親
水性有機溶媒のいずれでも使用することが出来るが、水
を用いた水性ゾルが好ましい。また、これらゾルは、1
〜12のpHで安定なゾルとして使用することが出来
る。本発明の目的が達成される限り、これら金属の酸化
物ゾルには任意の成分、例えば、ゾルの安定化のための
アルカリ物質、酸性物質、オキシカルボン酸等を含有す
ることが出来る。上記の金属の酸化物ゾルは、金属酸化
物の含有量として0.5〜50重量%であるが、好まし
くは1〜30重量%である。また、本発明では安定なゾ
ルが得られる限り、2種以上の上記ゾルの混合物として
用いることができる。
【0021】本願発明に用いられる(B)成分中の一般
式xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:y:z
が1:0.83〜1.43:1.00〜5.00のモル
比で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)は、1次
粒子径が2〜20nm、好ましくは2〜10nmであ
る。上記の粒子中のスズ酸亜鉛水和物は、一般式xZn
O・ySnO2 ・zH2 O〔x:y:zが1:0.83
〜1.43:1.00〜5.00〕において、ZnO:
SnO2 =1:1である定比組成のZnSnO3 ・zH
2 O〔ZnO・SnO2・zH2Oと表記する事もでき
る。zは3.00〜5.00〕、或いはZnO:SnO
2 =1:0.83〜1.43の不定比組成のZnO・
(SnO2a・zH2O〔但し、aは0.83〜1.4
3、zは1.00〜5.00〕が存在する。
【0022】上記のスズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)
は、2〜20nm、好ましくは2〜10nmの1次粒子
径を有するスズ酸亜鉛水和物粒子(ii)が液状媒体に
分散したゾルとして使用する事が好ましい。この液状媒
体としては、水性媒体や、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等の親水性有機溶媒が挙げられる。本願
発明に使用される上記粒子(ii)が液状媒体に分散し
たゾルの製造方法は、第一方法として、下記(a)、
(b)及び(c)工程; (a):亜鉛塩とスズ酸塩を、過酸化水素の存在下に水
性媒体中で反応して、0.7〜1.2のZn/Snモル
比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する
水性媒体を得る工程、 (b):(a)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物のコロ
イド粒子が分散する水性媒体を、30〜200℃の温度
で加熱する工程、及び (c):(b)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物のコロ
イド粒子が分散する水性媒体から電解質を除去する工
程、より成る製造方法である。
【0023】(a)工程に用いられる亜鉛塩は、水溶性
であれば如何なる無機酸或いは有機酸の亜鉛塩も使用す
る事が出来る。例えば、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜
鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛等が挙げられ、これらを
1種で又は2種以上の混合物として使用する事ができ
る。しかし、上記ゾルの製造コストや排水処理の点から
塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の無機酸の亜鉛塩が好ましく、こ
れらを1種で又は2種以上の混合物として使用する事が
できる。これらの亜鉛塩は、ZnOに換算して0.1〜
20重量%濃度の水溶液として使用する事ができる。
【0024】(a)工程に用いられるスズ酸塩は、水溶
性のスズ酸アルカリ金属塩が好ましく、例えば、スズ酸
ナトリウム(Na2 SnO3 ・3H2 O)、スズ酸カリ
ウム(K2 SnO3 ・3H2 O)が挙げられ、これらを
単独で又は混合物として使用する事が出来る。これらの
スズ酸塩は、SnO2 に換算して0.1〜20重量%濃
度の水溶液として使用することができる。
【0025】(a)工程に用いられる過酸化水素は、H
2 2 として5〜60重量%の水溶液として使用する事
が出来る。(a)工程において、過酸化水素の存在下に
0.7〜1.2のZn/Snモル比で亜鉛塩とスズ酸塩
を水性媒体中で反応させて、0.7〜1.2のZn/S
nモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子を得
る事が出来る。上記反応時のZn/Snモル比が0.7
未満では、酸化スズ(SnO2 )コロイド粒子が生成す
る為に好ましくなく、1.2を超える場合は、Zn(O
H)2 コロイド粒子が生成する為に好ましくない。
【0026】(a)工程において過酸化水素の存在下の
亜鉛塩とスズ酸塩の反応は、過酸化水素水を添加した亜
鉛塩水溶液と、スズ酸塩水溶液とを混合した水性媒体中
で成される事が好ましい。過酸化水素水の添加は、亜鉛
塩水溶液、又はスズ酸塩水溶液のいずれか一方又は両方
に添加する事が可能であるが、スズ酸塩水溶液がアルカ
リ性である為に、亜鉛塩水溶液に添加する事がより好ま
しい。(a)工程において、水性媒体中に存在する過酸
化水素の量は、H2 2 /Znのモル比で0.5〜2
0.0、好ましくは1.0〜18.0とする事が出来
る。過酸化水素は、亜鉛塩とスズ酸塩が反応してスズ酸
亜鉛水和物のコロイド粒子が生成する際に、コロイド粒
子の粒子径を制御する作用があり、上記H2 2 /Zn
モル比が0.5未満ではスズ酸亜鉛水和物の一部のコロ
イド粒子が1次粒子径として200nmを越えるものが
生成し、また、20.0を越えて添加する場合は、過酸
化水素が過剰となり経済的でない。
【0027】(a)工程におけるスズ酸塩水溶液と、過
酸化水素水を添加した亜鉛塩水溶液との混合は、両液を
同時に混合する方法や、何れか一方の水溶液を他方の水
溶液へ滴下する方法で行われるが、どちらの方法によっ
ても0.7〜1.2のZn/Snモル比を有するスズ酸
亜鉛水和物のコロイド粒子が得られる。しかし、凝集を
避ける為に、過酸化水素水を添加した亜鉛塩水溶液を、
スズ酸塩水溶液中に滴下する方法がより好ましい。この
滴下は、0.5〜5時間かけて、20〜80℃の温度で
行われる。ディスパー等の攪拌機械を用いて攪拌中のス
ズ酸塩水溶液中に、過酸化水素水を添加した亜鉛塩水溶
液を定量ポンプで滴下する事が好ましい。この混合によ
って水性媒体中に生成するスズ酸亜鉛水和物は、0.1
〜20重量%濃度、好ましくは1.0〜10重量%濃度
となる様に両液を混合する事が好ましい。この混合液の
pHは3〜12で好ましくは5〜9である。また必要に
応じて酸水溶液あるいはアルカリ水溶液を添加してpH
調整する事が出来る。pH3未満であると未反応の亜鉛
塩が残存するため収率が低下し、またpH12を超える
と未反応のスズ酸塩が残存するため収率が低下するので
好ましくない。
【0028】(a)工程において、水性媒体にオキシカ
ルボン酸、その塩又はそれらの混合物を、スズ酸塩中の
Snに対してモル比で1.5倍以内、好ましくは0.0
5〜1.5倍に含有する事が出来る。このオキシカルボ
ン酸や、その塩の添加により分散性や透明性の高いスズ
酸亜鉛水和物ゾルが得られる。上記のオキシカルボン酸
やその塩は水溶性であるものが用いられ、オキシカルボ
ン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸
が挙げられ、オキシカルボン酸塩としてはグルコン酸、
酒石酸、或いはクエン酸等のアルカリ金属塩、アンモニ
ウム塩、或いは有機塩基塩が挙げられ、アルカリ金属塩
としてはグルコン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等
が、有機塩基塩としてはグルコン酸プロピルアミン、酒
石酸モノエタノールアミン等が挙げられる。オキシカル
ボン酸やその塩は、スズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が
形成された後添加する事も出来るが、上記のコロイド粒
子の形成前、或いは形成中に添加する事が好ましい。上
記のオキシカルボン酸やその塩は、スズ酸塩水溶液或い
は亜鉛塩水溶液のいずれの水溶液に添加することによっ
て水性媒体中に含有させる事も可能であるが、過酸化水
素水を添加した亜鉛塩水溶液を、攪拌されたスズ酸塩水
溶液中に滴下する方法の中で、上記のオキシカルボン酸
やその塩は、スズ酸塩水溶液中に添加する方法が好まし
い。これらのオキシカルボン酸やその塩は、直接又は1
〜50重量%濃度の水溶液として、スズ酸塩水溶液に添
加する事が出来る。
【0029】(b)工程では、上記(a)工程で得られ
たスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する水性媒体
を30〜200℃、好ましくは60〜100℃の温度
で、0.1〜50時間、好ましくは1〜10時間で加熱
熟成が行われる。加熱温度が100℃を越えるときには
オートクレーブ等が必要となる。加熱熟成時間が0.1
時間以下では効果が小さく、50時間を越えても良いが
経済的でない。(b)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物
のコロイド粒子が分散する水性媒体は、アルカリ性物質
を添加してpH9〜12のアルカリ性にすることによっ
て得られるゾルの分散性や透明性を向上させる事が出来
る。このアルカリ性物質としては、アミン、水酸化第4
級アンモニウム、アルカリ金属水酸化物等が挙げられる
が、特にアミンが好ましい。このアミンとしては、例え
ばモノエタノールアミン、イソプロピルアミン等が挙げ
られる。
【0030】(c)工程では(b)工程で得られたスズ
酸亜鉛水和物のコロイド粒子が分散する水性媒体(スズ
酸亜鉛水和物水性ゾル)から、過剰に含まれるカチオン
(アルカリ金属イオン)やアニオン(酸根)などの電解
質を、限外濾過と注水洗浄の組合せによって除去するこ
とができる。限外濾過法で電解質を除去する場合は使用
する限外濾過膜の材質から100℃以下、好ましくは室
温〜60℃で行うことが出来る。また必要であればさら
に陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂で処理し電解質
を低減しても良い。陰イオン交換樹脂は水酸基型で用い
られ、市販の陰イオン交換樹脂を用いることができ、陰
イオン交換樹脂を充填したカラムにゾルを通液する方法
により容易に陰イオンの低減ができる。通液の温度は0
〜60℃、通液は空間速度(SV)で1〜10h-1が好
ましい。陽イオン交換樹脂は水素型で用いられ、市販の
陽イオン交換樹脂を用いることが出来、陽イオン交換樹
脂の必要量を直接添加し攪拌することにより行われる。
(c)工程での過剰な電解質の除去により良好な透明性
と充分な安定性とを有する本発明のスズ酸亜鉛水和物ゾ
ルを得ることが出来る。(c)工程で得られたゾルは、
pH3〜12、好ましくはpH5〜11であり、スズ酸
亜鉛水和物を5〜20重量%濃度で含有する。そして、
得られたゾル中のスズ酸亜鉛水和物粒子は、2〜200
nmの1次粒子径を有し、且つ一般式xZnO・ySn
2 ・zH 2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜
1.43:1.00〜5.00のモル比で表されるもの
であった。得られるゾル中のスズ酸亜鉛水和物粒子は、
螢光X線分析や、示差熱分析等の方法により亜鉛、スズ
及び結晶水の比率を確認する事が出来る。
【0031】(c)工程で得られたゾルの濃度を更に高
めたいときは、(d)工程として、少量の有機塩基や有
機酸等を安定化剤として添加して、ロータリーエバポレ
ーター、限外濾過装置等の装置により40重量%まで濃
縮することができる。使用される有機塩基としては、ア
ルキルアミン、アルカノールアミン又は第4級アンモニ
ウム水酸化物が挙げられ、例えばn−プロピルアミン、
イソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、エチレンジ
アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン
等が例示される。有機酸としてはグリコール酸、酒石
酸、クエン酸等のオキシカルボン酸が使用できる。上記
(c)工程あるいはその後に付加された(d)工程によ
って得られた水性ゾルの水媒体は、親水性有機溶媒で置
換する(e)工程によりオルガノゾルとする事が出来
る。この置換は蒸留法、限外濾過法等、通常の方法によ
り行うことができる。この親水性有機溶媒としてはメタ
ノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコ
ール類、ジメチルホルムアミド、N、N’ージメチルア
セトアミド等の直鎖アミド類、N−メチルー2ーピロリ
ドン等の環状アミド類、エチルセロソルブ等のグリコー
ルエーテル類、或いはエチレングリコール等が挙げられ
る。(e)工程により得られたオルガノゾル中の粒子
は、(c)工程で得られた水性ゾル中の粒子と、同じ1
次粒子径及び成分モル比を有している。
【0032】本願発明に使用される上記粒子(ii)が
液状媒体に分散したゾルの製造方法は、第二方法とし
て、下記(a’)、(b’)、(c’)及び(d’)工
程; (a’):亜鉛酸塩とスズ酸塩を、過酸化水素の存在下
に水性媒体中で酸で中和反応して、0.7〜1.2のZ
n/Snモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒
子の凝集体を含有する水性媒体を得る工程、 (b’):(a’)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物の
コロイド粒子の凝集体を含有する水性媒体を、30〜2
00℃の温度で加熱する工程、 (c’):(b’)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物の
コロイド粒子の凝集体を含有する水性媒体から電解質を
除去する工程、及び (d’):(c’)で得られた水性媒体中のスズ酸亜鉛
水和物のコロイド粒子の凝集体を解膠する工程、より成
る製造方法である。
【0033】(a’)工程に使用される亜鉛酸塩は、水
溶性であれば如何なる亜鉛酸塩も使用する事ができる。
これらの亜鉛酸塩としては、亜鉛酸アルカリ金属塩が好
ましく、例えば、亜鉛酸ナトリウムや亜鉛酸カリウムが
挙げられる。上記の亜鉛酸アルカリ金属塩は、正塩(一
般式として、M2 O・ZnO・nH2 O、但しMはアル
カリ金属原子)では加水分解を起こし易いため、M2
/ZnOモル比が2.0以上の組成のアルカリ性水溶液
として用いることが好ましい。上記の亜鉛酸塩は、Zn
Oとして0.1〜20重量%濃度の水溶液で用いること
が好ましい。(a’)工程に用いられるスズ酸塩として
は水溶性のスズ酸アルカリ金属塩が好ましく、例えば、
スズ酸ナトリウム(Na2 SnO3 ・3H2 O)やスズ
酸カリウム(K2 SnO3 ・3H2 O)が挙げられ、こ
れらを単独で又は混合物として使用することができる。
これらスズ酸塩は、SnO2 として0.1〜20重量%
濃度の水溶液として使用することが出来る。
【0034】(a’)工程に用いられる過酸化水素は、
2 2 として5〜60重量%の水溶液として使用する
ことができる。(a’)工程において、過酸化水素の存
在下に0.7〜1.2のZn/Snモル比で亜鉛酸塩と
スズ酸塩を混合して水性媒体中で酸で中和する事によ
り、0.7〜1.2のZn/Snモル比を有するスズ酸
亜鉛水和物のコロイド粒子から成る凝集体を得る事が出
来る。上記亜鉛酸塩とスズ酸塩の混合時のZn/Snモ
ル比が0.7未満では、酸化スズ(SnO2 )コロイド
粒子が生成する為に好ましくなく、1.2を超える場合
は、Zn(OH)2 コロイド粒子が生成する為に好まし
くない。
【0035】(a’)工程においては、0.7〜1.2
のZn/Snモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイ
ド粒子は2〜200nmの1次粒子径を有するが、これ
らの1次粒子径を持ったコロイド粒子は凝集体を形成す
る為に、これらのスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝
集体を含有する水性媒体はスラリーと言える。(a’)
工程で使用される酸は、例えば塩酸、硝酸、硫酸、スル
ファミン酸などの無機酸やギ酸、酢酸、シュウ酸などの
有機酸が挙げられるが、生産コストや排水処理の面から
無機酸が好ましい。これら酸は、0.1〜20重量%濃
度の水溶液として用いることができる。
【0036】(a’)工程において、過酸化水素の存在
下に亜鉛酸塩とスズ酸塩を酸で中和する反応は、亜鉛酸
塩とスズ酸塩を含有する水溶液と、過酸化水素水を添加
した酸水溶液とを混合した水性媒体中で成される事が好
ましい。亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液は、亜鉛
酸塩水溶液とスズ酸塩水溶液を混合して得る事が好まし
い。また、過酸化水素水は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有
する水溶液中、或いは酸水溶液中のどちらに添加する事
も出来るが、亜鉛酸塩水溶液とスズ酸塩水溶液の混合水
溶液がアルカリ性の為に、酸水溶液中に添加する事が好
ましい。(a’)工程の過酸化水素の存在下に亜鉛酸塩
とスズ酸塩を酸で中和する反応において、水性媒体中に
存在する過酸化水素の量が、H2 2 /Znのモル比で
0.5〜20.0、好ましくは1.0〜18とする事が
出来る。過酸化水素は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を酸で中和
してスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を生成さ
せる際にコロイド粒子の粒子径を制御する作用があり、
上記H2 2 /Znモル比が0.5未満ではスズ酸亜鉛
水和物の一部のコロイド粒子が1次粒子径として200
nmを越えるものが生成し、また、20.0を超えて添
加する場合は経済的でない。
【0037】(a’)工程において、亜鉛酸塩とスズ酸
塩を含有する水溶液と、過酸化水素水を添加した酸水溶
液との混合は、両液を同時に混合する方法や、何れか一
方の水溶液を他方の水溶液へ滴下する方法で行われる
が、どちらの方法によっても0.7〜1.2のZn/S
nモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝
集体が得られる。しかし、フロック状になるのを避ける
為に、過酸化水素水を添加した酸水溶液を、亜鉛酸塩と
スズ酸塩を含有する水溶液中に滴下する方法が好まし
い。この滴下は、0.5〜5時間をかけて、20〜80
℃の温度で行われる。ディスパー等の攪拌機械を用いて
攪拌中の亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液に、過酸
化水素水を添加した酸水溶液を定量ポンプで滴下するこ
とが好ましい。この混合によって水性媒体中に生成する
スズ酸亜鉛水和物が0.1〜20重量%濃度、好ましく
は1.0〜10重量%濃度となる様に両液を混合するこ
とが好ましい。この混合液のpHは3〜12で好ましく
は5〜9である。pHが3未満であると生成したスズ酸
亜鉛水和物の一部が亜鉛塩として酸に溶解するため収率
が低下し、またpHが12を超えるとスズ酸塩と亜鉛酸
塩が一部未反応で残存するために収率が低下するので好
ましくない。
【0038】(a’)工程において、水性媒体中にオキ
シカルボン酸、その塩又はそれらの混合物を、スズ酸塩
中のSnに対してモル比で1.5倍以内、好ましくは
0.05〜1.5倍に含有する事ができる。上記のオキ
シカルボン酸やその塩の添加により分散性や透明性の高
いスズ酸亜鉛水和物ゾルが得られる。上記のオキシカル
ボン酸やその塩は、水溶性であるものが用いられ、オキ
シカルボン酸としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、
クエン酸が挙げられ、オキシカルボン酸塩としてはグル
コン酸、酒石酸、或いはクエン酸等のアルカリ金属塩、
アンモニウム塩、或いは有機塩基塩が挙げられ、アルカ
リ金属塩としては、グルコン酸ナトリウム等が、有機塩
基塩としてはグルコン酸プロピルアミン等が挙げられ
る。オキシカルボン酸やその塩は、(a’)〜(d’)
工程のいかなる段階で添加する事も可能であるが、スズ
酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体の形成前、或いは
凝集体の形成中、又は凝集体を解膠して得られたゾルに
添加することが好ましい。スズ酸亜鉛水和物のコロイド
粒子の凝集体の形成前に添加する場合は、上記のオキシ
カルボン酸やその塩は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する
水溶液或いは過酸化水素水を添加した酸水溶液のいずれ
の水溶液に添加することによって水性媒体中に含有させ
る事も可能であるが、過酸化水素水を添加した酸水溶液
を、攪拌された亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液に
滴下する方法の中で、上記のオキシカルボン酸やその塩
は、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液中に添加する
方法が好ましい。これらのオキシカルボン酸やその塩
は、直接又は1〜50重量%濃度の水溶液として、亜鉛
酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液に添加する事が出来
る。
【0039】(b’)工程では、上記(a’)工程で得
られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有
する水性媒体を30〜200℃、好ましくは60〜10
0℃の温度で、0.1〜50時間、好ましくは1〜10
時間で加熱熟成が行われる。加熱温度が100℃を越え
るときにはオートクレーブ等が必要となる。加熱熟成時
間が0.1時間以下では効果が小さく、50時間を越え
ても良いが経済的でない。
【0040】(c’)工程では、上記(b’)工程で得
られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を含有
する水性媒体から、過剰に含まれるカチオン(アルカリ
金属イオン)やアニオン(酸根)などの電解質が除去さ
れる。この電解質の除去は、デカンテーション、遠心濾
過、限外濾過などの方法により洗浄除去される。これら
の濾過法による除去は、100℃以下、好ましくは25
〜60℃で行う事ができる。
【0041】(d’)工程では(c’)工程で得られた
過剰な電解質を洗浄除去したスズ酸亜鉛水和物コロイド
凝集体を含有する水性媒体(スラリー)をディスパー、
サンドグラインダー、アトライター、ボールミルなどの
装置で分散解膠することによりゾルを製造する事ができ
る。この時に分散助剤としては、アルカリ金属水酸化
物、アンモニア等の無機塩基やアミン類等の有機塩基等
を添加しpH調整する事により、より効率的にスズ酸亜
鉛水和物の粒子を水性媒体に分散させたゾルを製造する
事ができる。この様に得られたゾルに上記のオキシカル
ボン酸、その塩又はそれらの混合物を、スズ酸亜鉛水和
物のSnに対してモル比で1.5倍以内で添加する事が
出来る。
【0042】(d’)工程により得られたゾルは、pH
3〜12、好ましくはpH5〜11であり、スズ酸亜鉛
水和物を5〜30重量%濃度で含有する。そして、得ら
れたゾル中のスズ酸亜鉛水和物粒子は、2〜200nm
の1次粒子径を有し、且つ一般式xZnO・ySnO2
・zH2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜1.4
3:1.00〜5.00のモル比で表されるものであっ
た。
【0043】(d’)工程により得られたゾルは、スズ
酸亜鉛水和物ゾル中の電解質をさらに低減させるために
陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂で処理する事が出
来る。陰イオン交換樹脂は水酸基型で用いられ、市販の
陰イオン交換樹脂を用いることが出来、陰イオン交換樹
脂を充填したカラムにゾルを通液する方法等により容易
に陰イオンを除去できる。通液の温度は0〜60℃、通
液は空間速度(SV)で1〜10h-1が好ましい。また
陽イオン交換樹脂は水素型で用いられ、市販の陽イオン
交換樹脂を用いることができる。この陽イオン交換樹脂
での処理は、必要量を攪拌下のゾルに直接添加して行う
ことにより陽イオンを除去できる。(c’)工程での過
剰な電解質の除去により(d’)工程での解膠が容易に
なり、pH3〜12の良好な透明性と充分な安定性とを
有する本発明のスズ酸亜鉛水和物ゾルを得ることが出来
る。(d’)工程で得られたゾルの濃度をさらに高めた
いときは、(e’)工程として有機塩基や有機酸等の安
定化剤を添加することにより40重量%まで濃縮するこ
とができる。使用される有機塩基としては、アルキルア
ミン、アルカノールアミン又は第4級アンモニウム水酸
化物が挙げられ、例えばn−プロピルアミン、イソプロ
ピルアミン、ジイソブチルアミン、エチレンジアミン、
モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が例示
される。有機酸としてはグリコール酸、酒石酸、クエン
酸等のオキシカルボン酸が使用できる。上記(d’)工
程あるいはその後に付加された(e’)工程によって得
られた水性ゾルの水性媒体は、親水性有機溶媒で置換す
る(f’)工程によりオルガノゾルとする事が出来る。
この置換は蒸留法、限外濾過法等、通常の方法により行
うことができる。この親水性有機溶媒としてはメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール
類、ジメチルホルムアミド、N、N’ージメチルアセト
アミド等の直鎖アミド類、N−メチルー2ーピロリドン
等の環状アミド類、エチルセロソルブ等のグリコールエ
ーテル類、或いはエチレングリコール等が挙げられる。
(f’)工程により得られたオルガノゾル中の粒子は、
(e’)工程で得られた水性ゾル中の粒子と、同じ1次
粒子径及び成分モル比を有している。
【0044】本願発明に使用される(B)成分中のスズ
酸亜鉛水和物の粒子(ii)を液状媒体に分散させたゾ
ルは、上記の第一方法と第二方法を併用した第三方法で
製造する事が出来る。即ち、第三方法は、(a”)工
程:スズ酸塩と亜鉛酸塩を、過酸化水素の存在下に水性
媒体中で酸と亜鉛塩で中和反応して、0.7〜1.2の
Zn/Snモル比を有するスズ酸亜鉛水和物のコロイド
粒子の凝集体を含有する水性媒体を得る工程、(b”)
工程:(a”)工程で得られたスズ酸亜鉛水和物のコロ
イド粒子の凝集体を含有する水性媒体を、30〜200
℃の温度で加熱する工程、(c”)工程:(b”)工程
で得られたスズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を
含有する水性媒体から電解質を除去する工程、及び
(d”)工程:(c”)工程で得られた水性媒体中のス
ズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の凝集体を解膠する工程
より成る。
【0045】上記第三方法の(a”)工程において、過
酸化水素の存在下に亜鉛酸塩とスズ酸塩を酸と亜鉛塩で
中和する反応が、亜鉛酸塩とスズ酸塩を含有する水溶液
と、過酸化水素水を添加した酸と亜鉛塩の水溶液とを混
合した水性媒体中で成される事が好ましい。スズ酸亜鉛
水和物の粒子(ii)を液状媒体に分散させたゾルは、
亜鉛塩とスズ酸塩を過酸化水素の存在下に水性媒体中で
反応する第一方法、又は亜鉛酸塩とスズ酸塩を過酸化水
素の存在下に水性媒体中で酸で中和反応する第二方法に
より製造する事が出来る。過酸化水素は反応時に生成す
るスズ酸亜鉛水和物コロイド粒子の粒子径を制御する事
ができ、その結果、1次粒子径として2〜200nm程
度になり、さらに2次凝集を起こしてもその凝集の程度
は弱く過剰の電解質を除去した後、容易に解膠させスズ
酸亜鉛水和物ゾルを製造することができる。これは過酸
化水素の存在によりスズ酸の表面が過酸化状態になって
いる為と推定される。
【0046】上記の第一方法によって得られるゾル中の
スズ酸亜鉛水和物粒子はX線回折測定により、エイエス
ティーエム、インデックス トウザ エックスレイ パ
ウダーデータファイル インオーガニック(ASTM、
Index to theX−ray Powder
Data File Inorganic)に記載され
ているスズ酸亜鉛水和物(ASTM No.20−14
55、ZnSnO3・3H2 O、)のピークパターンと
一致した。結晶性スズ酸亜鉛水和物のピークも示すが非
常に小さく、ほとんどは無定形スズ酸亜鉛水和物である
ことを確認した。
【0047】また、上記の第二方法によって得られるゾ
ル中のスズ酸亜鉛水和物粒子はX線回折測定により、A
STM(No.20−1455、ZnSnO3 ・3H2
O、)のピークパターンと一致し、結晶性スズ酸亜鉛水
和物のピークを示す。この第二方法で得られた粒子の結
晶性は高い。上記の第一方法、第二方法、又は第三方法
で得られる2〜200nmの1次粒子径を有するスズ酸
亜鉛水和物の粒子(ii)は、本願発明では1次粒子径
が2〜20nmの範囲で好ましく用いることが出来る。
【0048】本願発明に用いられる(B)成分の4.5
〜100nmの1次粒子径を有する変性金属酸化物の粒
子は、3、4又は5価の原子価の金属の酸化物からなる
粒子(i)の100重量部と、一般式xZnO・ySn
2 ・zH2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜
1.43:1.00〜5.00のモル比で表されるスズ
酸亜鉛水和物の粒子(ii)の2〜100重量部とを混
合することによって得られる。上記の混合は、3、4又
は5価の原子価の金属の酸化物からなる粒子(i)が液
状媒体に分散したゾルと、一般式xZnO・ySnO2
・zH2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜1.4
3:1.00〜5.00のモル比で表されるスズ酸亜鉛
水和物の粒子(ii)が液状媒体に分散したゾルを混合
することにより、粒子(i)の表面を粒子(ii)で被
覆した変性金属酸化物の安定なゾルが得られる。本願発
明に用いられるコーティング組成物では、3、4又は5
価の原子価の金属の酸化物からなる粒子(i)を核とし
て、その核粒子の表面をスズ酸亜鉛水和物の粒子(i
i)が被覆して得られた変性金属酸化物粒子は、スズ酸
亜鉛水和物の性質を有する。
【0049】上記混合では、粒子(i)のゾルは、0.
5〜50重量%濃度で、粒子(ii)のゾルは、0.5
〜40重量%濃度で用いることが出来る。粒子(i)の
ゾルと粒子(ii)のゾルは、0〜100℃好ましくは
20〜60℃の温度で、0.05〜3時間好ましくは3
0〜60分で混合する事が好ましい。上記の混合では粒
子(ii)の粒子径は、粒子(i)の粒子径と等しいか
又はそれより小さい事が好ましい。この混合によって得
られる本願発明の変性金属酸化物粒子のゾルは、固形分
として2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%濃
度で含有する。更に、必要に応じて過剰の電解質を限外
濾過法やイオン交換法等によって低減することが出来
る。
【0050】上記によって得られた変性金属酸化物粒子
のゾルは、更に濃度を高めたいときは、蒸発法、限外濾
過法等の常法によって最大50重量%まで濃縮する事が
出来る。本願発明では、3、4又は5価の原子価の金属
の酸化物からなる粒子(i)のゾルの存在下にスズ酸亜
鉛水和物の粒子(ii)の生成反応を行うことにより、
粒子(i)を核としてその表面を粒子(ii)で被覆し
た本願発明の(B)成分に用いられる変性金属酸化物粒
子のゾルを得ることが出来る。
【0051】上記方法で得られたゾル中の変性金属酸化
物の粒子は、電子顕微鏡による観測で4.5〜100n
mの1次粒子径を有する。変性金属酸化物粒子のゾル
は、3〜12のpHを有する。このpH範囲に調整する
ためには、粒子(i)のゾルと粒子(ii)のゾルを混
合した後、或いは変性金属酸化物ゾルの濃縮を行った
後、アミンやオキシカルボン酸を添加してpH調整する
事が好ましい。
【0052】得られた変性金属酸化物粒子のゾルが水性
ゾルである場合は、水性媒体を蒸留法や限外濾過法によ
り親水性有機溶媒に置換することが出来る。本願発明の
コーティング組成物では、ゾルの分散媒は親水性有機溶
媒が好ましい。この親水性有機溶媒は、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメ
チルホルムアミド、N、N’−ジメチルアセトアミド等
の直鎖アミド類、N−メチル−2−ピロリドン等の環状
アミド類、エチルセロソルブ等のグリコールエーテル
類、エチレングリコール等が挙げられる。特に、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール等の親水性有機溶
媒が好ましい。
【0053】スズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子によって
表面が被覆され変性された3、4又は5価金属の酸化物
のコロイド粒子は、その乾燥物が水に対して溶解或いは
解膠することがない為、耐水性に非常に優れている。ま
た、スズ酸亜鉛水和物粒子は耐光性に優れている為に、
このスズ酸亜鉛水和物粒子をハードコート剤の成分とし
て基材に塗布して硬化させたときに、得られる塗膜は紫
外線等を浴びても変色が起こらず耐光性に優れている。
【0054】変性金属酸化物の水性ゾルは、その水性媒
体を有機溶媒で置換することによって変性金属酸化物の
オルガノゾルとした場合でも、変性金属酸化物ゾルは
3、4又は5価の原子価の金属の酸化物から成る粒子
(i)と、スズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)に分離する
ことなく、上記粒子(i)の表面を粒子(ii)で被覆
した構造を有することから、粒子(i)と粒子(ii)
は化学的な結合によって結びつけられているものと考え
られる。
【0055】3、4又は5価金属の酸化物からなるコロ
イド粒子(i)のゾルと、スズ酸亜鉛水和物のコロイド
粒子(ii)のゾルとを混合するときに、上記金属の酸
化物100重量部に対して、スズ酸亜鉛水和物が2重量
部より少ないと安定なゾルが得られない。このことは、
スズ酸亜鉛水和物のコロイド粒子の量が不足するときに
は、このコロイド粒子による金属酸化物コロイド粒子を
核としてその表面の被覆が不十分となり、生成コロイド
粒子の凝集が起こりやすく、生成ゾルは不安定となり、
またハードコート剤の成分として基材に塗布して硬化さ
せたときに、得られる塗膜の耐水性や耐光性が不十分と
なる。したがって、混合すべきスズ酸亜鉛水和物の量は
3、4又は5価金属の酸化物コロイド粒子の全表面を覆
う量より少なくてもよいが、安定な変性金属酸化物コロ
イド粒子のゾルを安定な生成せしめるに必要な最小量以
上の量である。この表面被覆に用いられる量を超える量
のスズ酸亜鉛水和物コロイド粒子が上記混合に用いられ
たときには得られたゾルは、スズ酸亜鉛水和物コロイド
粒子のゾルと生じた変性金属酸化物コロイド粒子のゾル
との安定な混合ゾルにすぎない。
【0056】好ましくは、金属酸化物コロイド粒子をそ
の表面被覆によって変性するには、用いられるスズ酸亜
鉛水和物コロイド粒子の量は、3、4又は5価金属の酸
化物の粒子100重量部に対して、100重量部以下が
よい。変性金属酸化物粒子の水性ゾルの場合はpH3〜
12を有し、pHが3より低いと変性金属酸化物コロイ
ド粒子を覆っているスズ酸亜鉛水和物が液中に溶解し安
くなり好ましくない。またpHが12をこえても変性金
属酸化物コロイド粒子を覆っているスズ酸亜鉛水和物が
液中に溶解し安くなり好ましくない。
【0057】更に、変性金属酸化物コロイド粒子のゾル
は、3、4又は5価金属の酸化物と、ZnOとSnO2
に換算したスズ酸亜鉛水和物の合計濃度が50重量%を
超えるときにもこのようなゾルは不安定となりやすい。
工業製品として好ましい濃度は10〜40重量%程度で
ある。上記3、4又は5価金属の酸化物ゾルとスズ酸亜
鉛水和物ゾルを混合するときにこれらゾル中の金属酸化
物濃度、スズ酸亜鉛水和物濃度のいずれも50重量%を
超えるゾルを用いる場合は、上記混合の際に著しい増粘
やゲル化が起こる場合があるので好ましくない。むし
ろ、この用いられるゾルの濃度は低いほうがよいが、濃
度が低すぎると混合によって得られたゾルを濃縮する際
に除去すべき液量が増大するので好ましくない。また、
混合の際に100℃以上の温度で行うと増粘する場合が
あるので好ましくない。
【0058】本願発明において、3、4又は5価金属の
酸化物を、Snの酸化物、Zrの酸化物、Tiの酸化
物、Sbの酸化物又はこれらの混合物とすることによっ
て、核になる粒子(i)のゾルは、SnO2ゾル、Zr
2ゾル、TiO2ゾル、Sb2 5ゾルとなり、これらの
ゾルは安定性、コロイド粒子の大きさの点で十分なゾル
である。更に、これらのゾルを用いて変性金属酸化物コ
ロイド粒子としても安定性は十分に高く、この変性金属
酸化物コロイド粒子をハードコート剤成分として基材に
塗布し、硬化させた物は高い屈折率を有する物であっ
た。
【0059】本願発明のコーティング組成物は、(C)
成分として金属塩、金属アルコキシド及び金属キレート
から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属化合物を
硬化触媒として含有する事が出来る。上記の(C)成分
を添加することにより、本願発明のコーティング組成物
を光学基材表面に塗布して硬化させる時に、硬化反応を
促進させ、短時間に十分に硬化させた膜を得ることが出
来る。
【0060】上記の(C)成分は、有機カルボン酸、ク
ロム酸、次亜塩素酸、ほう酸、過塩素酸、臭素酸、亜セ
レン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝
酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩、アルカリ
土類金属塩、及び多価金属塩、更にアルミニウム、ジル
コニウム、チタニウムを有する金属アルコキシド及びこ
れらの金属キレート化合物があげられる。特に上記の
(C)成分は金属キレート化合物が好ましい。この金属
キレート化合物としては、アセチルアセトナト錯体が挙
げられ、例えば、アルミニウムアセチルアセトネートが
挙げられる。アセチルアセトンCH3COCH2COCH
3のCH2基からプロトンが1個解離した陰イオンはアセ
チルアセトナト配位子(略号acac)であって、アルミニ
ウムアセチルアセトネートは、Al(acac)3の構造を有
する。
【0061】また、上記(C)成分は、アリルアミン、
エチルアミン等のアミン類、またルイス酸やルイス塩基
を含む各種酸や塩基を使用することも出来る。本願発明
のコーティング組成物は、種々の光学部材、例えばレン
ズとの屈折率に合わせるために微粒子状金属酸化物を含
有することが出来る。これらの微粒子状金属酸化物とし
ては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アンチモ
ン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム等が
挙げられる。
【0062】また、本願発明のコーティング組成物は、
光学部材の表面に塗布する時の濡れ性向上と、硬化して
得られる膜の平滑性を向上させるために各種の界面活性
剤を含有する事が出来る。更に、紫外線吸収剤、酸化防
止剤等も得られる膜の物性に影響を与えない限り添加す
ることが出来る。本発明のコーティング組成物は、
(A)成分のケイ素含有物質100重量部に対して、
(B)成分の変性金属酸化物の粒子を1〜500重量
部、好ましくは100〜300重量部の割合で含有する
ことが出来る。変性金属酸化物の粒子が、1重量部未満
では得られる膜の屈折率が低くなり、基材への応用範囲
が著しく限定される。また、500重量部を越えると硬
化膜と基板との間にクラック等が生じやすくなり、さら
に透明性の低下を起こす可能性が大きくなるために好ま
しくない。
【0063】本願発明では、上記のコーティング組成物
から成る硬化膜を表面に有する光学部材が得られる。本
願発明のコーティング組成物よりなる硬化膜を光学部材
上に形成する方法としては、上述したコーティング組成
物を光学部材に塗布し、その後硬化する方法があげられ
る。塗布手段としてはディッピング法、スピン法、スプ
レー法等の通常行われる方法が適用できるが、得られる
膜の表面平滑性の点からディッピング法、スピン法が特
に好ましい。
【0064】さらに上述したコーティング組成物を光学
部材に塗布する前に、酸、アルカリ、各種有機溶媒によ
る化学処理、プラズマ、紫外線等による物理的処理、各
種洗剤を用いる洗剤処理、さらには、各種樹脂を用いた
プライマー処理を用いることによって光学部材と硬化膜
との密着性を向上させることができる。本発明のコーテ
ィング組成物は、光学部材上に塗布し、その後に硬化す
る事によって硬化膜とすることができる。本願発明のコ
ーティング組成物の硬化は、熱風乾燥または活性エネル
ギー線照射によって行うことが出来る。熱風乾燥を用い
る場合は、70〜200℃の熱風中で行うことがよく、
特に好ましくは90〜150℃が好ましい。また、活性
エネルギー線としては、遠赤外線を用いる事ができ、熱
による損傷を低く抑えることができる。
【0065】本願発明では、上記のコーティング組成物
から成る硬化膜と反射防止膜とを積層した膜を表面に有
する光学部材を得ることが出来る。この反射防止膜は、
本願発明のコーティング組成物から成る硬化膜の上に設
けることが出来る。この反射防止膜は、多層膜とするこ
とが好ましく、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層
して得られる。この反射防止膜に用いる高屈折率膜とし
ては、酸化ジルコニウム蒸着膜、又は酸化ジルコニウム
に酸化タンタル及び酸化イットリウムを含む金属酸化物
の混合蒸着膜があり、また、この反射防止膜に用いる低
屈折率膜としてはシリカの蒸着膜が挙げられる。上記の
酸化ジルコニウム蒸着膜、又は酸化ジルコニウムに酸化
タンタル及び酸化イットリウムを含む金属酸化物の混合
蒸着膜は、酸化ジルコニウム粉末を単独で、又は酸化ジ
ルコニウム粉末に酸化タンタル粉末、酸化イットリウム
粉末を混合し、加圧プレス、焼結等によりペレット状に
したものを電子ビーム加熱法により、本願発明のコーテ
ィング組成物から成る膜上に蒸着させることにより反射
防止膜を設けることが出来る。
【0066】また、本発明のコーティング組成物よりな
る硬化膜は、高い屈折率を有する為にそれ自体で反射防
止膜として使用する事ができ、更に、防曇、フォトクロ
ミック、防汚等の機能成分を加えることにより、多機能
膜として使用することもできる。本願発明に用いられる
光学部材は、透明性プラスチック成形体が好ましく、そ
の透明性プラスチックとしては、例えば眼鏡レンズのほ
か、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラス、液晶ディスプ
レイやプラズマディスプレイなどに付設する光学フィル
ターなどが挙げられる。
【0067】本願発明のコーティング組成物は、(A)
成分として一般式(I)及び一般式(II)で表される
有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物から成る群よ
り選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質と、(B)
成分として変性金属酸化物の粒子を含有する。本願発明
のコーティング組成物は、(A)成分の有機ケイ素化合
物を酸性水溶液で加水分解し、(B)成分を含有する変
性金属酸化物のオルガノゾルと混合する事によって好ま
しく製造することが出来る。この変性金属酸化物のオル
ガノゾルは、メタノール溶媒に変性金属酸化物の粒子を
分散したゾルを好ましく用いることが出来る。
【0068】上記のコーティング組成物は、光学部材に
塗布し硬化させることにより、耐擦傷性、表面硬度、耐
摩耗性、透明性、耐熱性、耐光性、耐候性を有し、特に
耐水性に優れ、しかも屈折率が1.54以上の高屈折率
の部材に塗工しても干渉縞の見られない高透明性で外観
良好の光学部材が得られる。以下の実施例に具体例を詳
述する。しかし、本願発明は以下の実施例に限定される
ものではない。
【0069】
【実施例】
原料の製造例1 (スズ酸亜鉛水和物水性ゾルの製造) 水1945.7gにスズ酸ナトリウム(Na2SnO3
3H2O、昭和化工(株)製、SnO2 として55重量
%含有する)147.0gを溶解しスズ酸ナトリウム水
溶液(SnO2 として3.3重量%含有する)を作成
し、その中へグルコン酸水溶液(藤沢薬品工業(株)
製、含有量は50重量%)63.0gを添加しスズ酸ナ
トリウム/グルコン酸混合水溶液2155.7gを調製
した。別に水1302.8gに塩化亜鉛(ZnCl2
65.9gを溶解し塩化亜鉛水溶液を作成し、その中に
35重量%の過酸化水素水750gを添加し塩化亜鉛/
過酸化水素混合水溶液2118.7gを調製した。
【0070】(a)工程: 上記で調製した塩化亜鉛水
溶液/過酸化水素混合水溶液を定量ポンプを用いてディ
スパー攪拌下、スズ酸ナトリウム/グルコン酸混合水溶
液に約1時間で添加し反応させスズ酸亜鉛水和物コロイ
ド液を得た。このものはオキシカルボン酸/SnO2
ル比0.30、H226.13重量%、ZnO/SnO
2モル比0.90、ZnO+SnO2に換算して2.8重
量%濃度であった。
【0071】(b)工程: (a)工程で得られたスズ
酸亜鉛水和物コロイド液を92℃で5時間加熱熟成を行
い、冷却後イソプロピルアミン25.0gを加えディス
パーで8時間攪拌し、スズ酸亜鉛水和物コロイド液43
06.9gを得た。このもののpHは9.28、電導度
24.7ms/cm、ZnO+SnO2に換算して2.
78重量%であった。
【0072】(c)工程: (b)工程で得られたスズ
酸亜鉛水和物コロイド液中の過剰の電解質を限外濾過法
により水30リットルを用いて注水洗浄除去し、スズ酸
亜鉛水和物ゾル2792gを得た。このもののpHは1
0.42、電導度377μs/cmであった。このゾル
を陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410、
水酸基型にて使用)を充填したカラムに通すことによ
り、さらに陰イオンを除去した。このゾルはpH11.
05、電導度289μs/cmであった。さらに陽イオ
ン交換樹脂(アンバーライトIR−120B、水素型に
て使用)100ミリリットルを添加攪拌し、陽イオンを
除去した。陽イオン交換樹脂を分離し4077gのゾル
を得た。得られたゾルはpH7.98、電導度98.6
μs/cm、ZnO+SnO2に換算して2.69重量
%であった。このものの110℃乾燥品のX線回折測定
では無定形スズ酸亜鉛水和物であった。
【0073】このゾル中のスズ酸亜鉛水和物の粒子は透
過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径は5nmであ
り、ZnO/SnO2モル比は0.85であり、そして
xZnO・ySnO2・zH2Oにおいて、x:y:zが
1:1.18:3.40であった。 原料の製造例2 (スズ酸亜鉛水和物水性ゾルの製造) 水2188.4gに水酸化ナトリウム1422.8gを
溶解させ、その中に酸化亜鉛368.8gを溶解させ亜
鉛酸ナトリウム水溶液を4004.2g調整した。この
ものはZnOとして9.21重量%、Na2Oとして2
5.61重量%、Na2O/ZnOモル比は3.65で
あった。
【0074】水7872gに上記の亜鉛酸ナトリウム水
溶液1001.2gとスズ酸ナトリウム(Na2SnO3
・3H2O、昭和化工(株)製、SnO2 として55重
量%含有する)326.8gを溶解し亜鉛酸ナトリウ
ム、スズ酸ナトリウム混合水溶液9200g(ZnOと
して1.00重量%、SnO2 として1.95重量%、
ZnO/SnO2モル比0.95)を作成した。別に水
5519.4gに35重量%塩酸1116.6gを溶解
し、その中に35重量%の過酸化水素水1764.0g
を添加し塩酸/過酸化水素混合水溶液8400gを調製
した。
【0075】(a’)工程: 上記で調製した塩酸/過
酸化水素混合水溶液をを定量ポンプを用いてディスパー
攪拌下、亜鉛酸ナトリウム/スズ酸ナトリウム混合水溶
液に約1時間で添加し反応させスズ酸亜鉛水和物コロイ
ド凝集体スラリー液を得た。このものはH223.51
重量%、ZnO/SnO2モル比0.95であった。 (b’)工程: (a’)工程で得られたスズ酸亜鉛水
和物コロイド凝集体スラリー液に5重量%塩酸水溶液1
40g添加しpHを7.13に調整後を90℃で4時間
加熱熟成を行なった。このもののPHは10.55、電
導度53ms/cm、ZnO+SnO2に換算して1.
55重量%であった。
【0076】(c’)工程: (b’)工程で得られた
スズ酸亜鉛水和物コロイド凝集体スラリー液に5重量%
塩酸水溶液50g添加しpH6.80に調整した後、過
剰の電解質をデカンテーション及び限外濾過法により水
40リットルを用いて注水洗浄で除去した。得られたス
ズ酸亜鉛水和物凝集体スラリーは1788gで、pH
8.93、電導度162μs/cmであった。
【0077】(d’)工程: (c’)工程で得られた
スラリー1434gに水750gと15重量%の水酸化
カリウム水溶液14.6gを添加しpHを11.6に調
整した後、ガラスビーズ(1.0〜1.2mmφ)を充
填したアトライターで24時間湿式分散解膠させ、スズ
酸亜鉛水和物ゾル2860gを得た。得られたゾルのp
Hは11.25、電導度1210μs/cmであった。
得られたゾルに攪拌下、クエン酸5.4g及び陽イオン
交換樹脂(IR−120B)40ミリリットルを添加し
1時間攪拌後、樹脂を分離し、スズ酸亜鉛水和物ゾル3
050gを得た。得られたゾルはpH6.86、電導度
188μs/cm、ZnO+SnO2に換算して8.6
5重量%、ZnO/SnO2モル比0.95であった。
このものの110℃乾燥品は、X線回折測定ではAST
M No.20−1455、ZnSnO3・3H2Oのピ
ークパターンと一致した。
【0078】このゾル中のスズ酸亜鉛水和物の粒子は、
透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径は5〜10n
mであり、ZnO/SnO2モル比は0.95であっ
た。そして、xZnO・ySnO2・zH2Oにおいて、
x:y:zが1:1.05:3.10のモル比であっ
た。 原料の製造例3 (酸化第二スズ水性ゾルの製造) 金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反応
により、酸化第二スズ水性ゾルを製造した。得られた酸
化第二スズ水性ゾルは、比重1.420、pH0.4
0、攪拌直後の粘度32c.p.、SnO2含量33.
0重量%、HCl含量2.56重量%、電子顕微鏡によ
り観察された紡錘状コロイド粒子径10nm以下、BE
T法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面
積からの換算粒子径7.2nm、米国コールター社製N
4装置による動的光散乱法粒子径107nm、外観は淡
黄色透明であった。この酸化第二スズ水性ゾル2000
gを水18000gに分散させて、希釈ゾルを得た。
【0079】次いでこの希釈ゾル全量にイソプロピルア
ミン8.0gを添加した後、得られた液を水酸基型陰イ
オン交換樹脂充填のカラムに通すことにより、アルカリ
性の酸化第二スズ水性ゾル20625gを得た。このア
ルカリ性の酸化第二スズ水性ゾルは安定であり、コロイ
ド色を呈しているが、透明性が非常に高く、比重1.0
32、pH9.80、粘度1.3c.p.、SnO2
量3.20重量%、イソプロピルアミン含量0.039
重量%であった。
【0080】原料の製造例4 (酸化ジルコニウム水性
ゾルの製造) オキシ塩化ジルコニウム水溶液を加水分解することによ
り、透明性の高い安定な酸化ジルコニウム水性ゾルを得
た。このゾルは、比重1.177、pH3.85、粘度
5.6c.p.、ZrO2含量22.1重量%、電子顕
微鏡による粒子径5nmであった。
【0081】原料の製造例5 (変性酸化第二スズメタ
ノールゾルの製造) 原料の製造例1で作製したスズ酸亜鉛水和物ゾル111
5gに、原料の製造例3で作製したアルカリ性酸化第二
スズゾル3125gを強攪拌下に添加することにより安
定な低濃度の変性酸化第二スズ水性ゾル4240gを得
た。このゾルを分画分子量5万の限外濾過膜を有する限
外濾過装置により濃縮し、高濃度の変性酸化第二スズ水
性ゾル1019gを得た。このゾルはSnO2に対する
ZnSnO3の割合が30重量%、ZnO+SnO2に換
算した全金属酸化物濃度が11.8重量%であった。こ
のゾルに攪拌下、クエン酸6g、ジイソブチルアミン9
gを添加した後、ロータリーエバポレーターにて減圧
下、メタノール30リットルを少しずつ加えながら水を
留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換
した変性酸化第二スズメタノールゾル484.8gを得
た。このゾルは比重0.997、粘度11.1c.p.
pH7.40(水との等重量混合物)、ZnO+SnO
2に換算した全金属酸化物濃度が24.8重量%、水分
0.40重量%であった。透過型電子顕微鏡による観察
で1次粒子径は15〜20nmであった。
【0082】原料の製造例6 (変性酸化第二スズメタ
ノールゾルの製造) 原料の製造例2で作製したスズ酸亜鉛水和物ゾル69
3.6gに、水1306.4gを加え3.0重量%に希
釈した。この希釈されたスズ酸亜鉛水和物ゾルに、原料
の製造例3で作製したアルカリ性酸化第二スズゾル62
50gを強攪拌下に添加することにより安定な低濃度の
変性酸化第二スズ水性ゾル8250gを得た。このゾル
を分画分子量5万の限外濾過膜を有する限外濾過装置に
より濃縮し、高濃度の変性酸化第二スズ水性ゾル200
0gを得た。このゾルはSnO2に対するZnSnO3
割合が30重量%、ZnO+SnO2に換算した全金属
酸化物濃度が11.6重量%であった。このゾルに攪拌
下、クエン酸6g、ジイソブチルアミン9gを添加した
後、ロータリーエバポレーターにて減圧下、メタノール
60リットルを少しずつ加えながら水を留去することに
より、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性酸化第
二スズメタノールゾル1281.8gを得た。このゾル
は比重0.916、粘度11.1c.p.pH7.81
(水との等重量混合物)、ZnO+SnO2に換算した
全金属酸化物濃度が18.1重量%、水分0.32重量
%であった。透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径
は15〜20nmであった。
【0083】原料の製造例7 (変性酸化第二スズメタ
ノールゾルの製造) 原料の製造例3で作製したアルカリ性酸化第二スズゾル
12500g(SnO 2含量400.0g)に、スズ酸
ソーダ水溶液538.8g(SnO2として80.8g
含有する)およびグルコン酸ソーダ52.8gを添加
し、混合液Aを作製した。別に水958gに塩化亜鉛6
5.7g(ZnOに換算して39.2g)と10%HC
lを80.0gおよび35%H22を750g添加し、
混合液Bを作製した。この混合液Bを上記混合液Aに強
攪拌下で90分で添加し、更に30分攪拌を行ない酸化
第二スズをスズ酸亜鉛水和物コロイドで被覆し、さらに
攪拌下、90℃、4hr加熱熟成を行い、冷却後イソプ
ロピルアミンにてpH10に調整し、低濃度の変性酸化
第二スズ水性ゾルを得た。このゾルを分画分子量5万の
限外濾過膜を有する限外濾過装置により過剰な電解質を
注水除去した後、濃縮し、高濃度の変性酸化第二スズ水
性ゾル2658gを得た。このゾルはSnO2に対する
ZnSnO3の割合が30重量%、ZnO+SnO2に換
算した全金属酸化物濃度が18.0重量%であった。こ
のゾルに攪拌下、クエン酸19.1g及び、ジイソブチ
ルアミン28.7gを添加後、ロータリーエバポレータ
ーにて減圧下、メタノール130リットルを少しずつ加
えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタ
ノールで置換した変性酸化第二スズメタノールゾル19
13gを得た。このゾルは比重1.000、粘度12.
0c.p.pH7.50(水との等重量混合物)、Zn
O+SnO2に換算した全金属酸化物濃度が25.0重
量%、水分0.31重量%であった。透過型電子顕微鏡
による観察で1次粒子径は15〜20nmであった。
【0084】原料の製造例8 (変性酸化ジルコニウム
メタノールゾルの製造) 原料の製造例4で作製した酸化ジルコニウムゾル68
3.3g(ZrO2含量151g)に水を加え、4重量
%に希釈した後、スズ酸ソーダ水溶液196.1g(S
nO2に換算して29.4g含有する)およびグルコン
酸ソーダ19.2gを添加し、混合液Aを作製した。別
に水388gに塩化亜鉛26.6g(ZnOに換算して
15.9g含有する)と10%HCl水溶液32.4g
および35%H22を304.2g添加し、混合液Bを
作製した。この混合液Bを上記混合液Aに強攪拌下で9
0分で添加し、30分攪拌を行ない酸化ジルコニウムを
スズ酸亜鉛水和物コロイドで被覆し、さらに攪拌下、9
0℃、4hr加熱熟成を行い、冷却後イソプロピルアミ
ンでpH10に調整し、低濃度の変性酸化ジルコニウム
水性ゾルを得た。このゾルを分画分子量5万の限外濾過
膜を有する限外濾過装置により過剰な電解質を注水除去
し、さらに陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−
410)を詰めたカラムに通液した後、クエン酸3.9
g、ジイソブチルアミン5.8gを添加しロータリーエ
バポレーターにて減圧下、濃縮し、高濃度の変性酸化ジ
ルコニウム水性ゾル495.2gを得た。このゾルは比
重1.472、粘度8.5c.p.、pH6.47、Z
rO2に対するZnSnO3の割合が30重量%、ZnO
+SnO2+ZrO2に換算した全金属酸化物濃度が3
7.5重量%であった。このゾル304gをロータリー
エバポレーターにて減圧下、メタノール6リットルを少
しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの
水をメタノールで置換した変性酸化ジルコニウムメタノ
ールゾル272gを得た。このゾルは比重1.110、
粘度2.7c.p.pH7.35(水との等重量混合
物)、ZnO+SnO2+ZrO2に換算した全金属酸化
物濃度が30.6重量%、水分0.36重量%であっ
た。透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径は10〜
20nmであった。
【0085】(コーティング組成物の製造) 実施例1 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに前述の原料の製造例5で得た変性酸
化第二スズメタノールゾル(ZnO+SnO2に換算し
た全金属酸化物を24.8重量%を含有する)524.
2重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤と
してアルミニウムアセチルアセトネート4.2重量部
を、前述したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランの部分加水分解物142.1重量部に加え、十分に
攪拌した後、ろ過を行ってコーティング液を作製した。
【0086】実施例2 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに前述の原料の製造例7で得た変性酸
化第二スズメタノールゾル(ZnO+SnO2に換算し
た全金属酸化物を25.0重量%を含有する)520.
0重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤と
してアルミニウムアセチルアセトネート4.2重量部
を、前述したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランの部分加水分解物142.1重量部に加え、十分に
攪拌した後、ろ過を行ってコーティング液を作製した。
【0087】実施例3 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するテトラエトキシシラン2
2.3重量部とγ−グリシドキシプロピルメチルジエト
キシシラン77.9重量部を加え、攪拌しながら0.0
1規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間で滴下し
た。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、テトラエトキ
シシランとγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シランの部分加水分解物を得た。つぎに前述の原料の製
造例5で得た変性酸化第二スズメタノールゾル(ZnO
+SnO2に換算した全金属酸化物を24.8重量%を
含有する)524.2重量部、ブチルセロソルブ65重
量部、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ
ート2.6重量部と過塩素酸アンモニウム0.5重量部
を、前述したテトラエトキシシランとγ−グリシドキシ
プロピルメチルジエトキシシランの部分加水分解物13
7重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過を行ってコー
ティング液を作製した。
【0088】実施例4 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン74.2重量部とγ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン31.1重量部を加
え、攪拌しながら0.01規定の塩酸水溶液36.8重
量部を3時間で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌
を行い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
とγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの
部分加水分解物を得た。つぎに前述の原料の製造例7で
得た変性酸化第二スズメタノールゾル(ZnO+SnO
2に換算した全金属酸化物を25.0重量%を含有す
る)520.0重量部、ブチルセロソルブ65重量部、
更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート
4.2重量部を、前述したγ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシランの部分加水分解物142.1重量部に加
え、十分に攪拌した後、ろ過を行ってコーティング液を
作製した。
【0089】実施例5 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン37.1重量部とγ−グリシドキシ
プロピルメチルジメトキシシラン37.1重量部とテト
ラエトキシシラン23.7重量部を加え、攪拌しながら
0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間で滴
下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシランとγ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシランとテトラエトキシシ
ランの部分加水分解物を得た。つぎに前述の原料の製造
例7で得た変性酸化第二スズメタノールゾル(ZnO+
SnO2に換算した全金属酸化物を25.0重量%を含
有する)520.0重量部、ブチルセロソルブ65重量
部、更に硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネー
ト4.2重量部を、前述したγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルメチル
ジメトキシシランとテトラエトキシシランの部分加水分
解物134.7重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過
を行ってコーティング液を作製した。
【0090】実施例6 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに前述の原料の製造例6で得た変性酸
化第二スズメタノールゾル(ZnO+SnO2に換算し
た全金属酸化物を18.1重量%を含有する)718.
2重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤と
してアルミニウムアセチルアセトネート4.2重量部
を、前述したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ランの部分加水分解物142.1重量部に加え、十分に
攪拌した後、ろ過を行ってコーティング液を作製した。
【0091】実施例7 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに前述の原料の製造例8で得た変性酸
化第二スズメタノールゾル(ZnO+SnO2+ZrO2
に換算した全金属酸化物を30.6重量%を含有する)
424.8重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に
硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート4.2
重量部を、前述したγ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランの部分加水分解物142.1重量部に加え、
十分に攪拌した後、ろ過を行ってコーティング液を作製
した。
【0092】比較例1 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎに7.2nmの粒子径を有する酸化ス
ズのコロイド粒子を核として、その表面がWO3/Sn
2重量比5.12であって粒子径5nmである酸化タ
ングステン−酸化スズ複合体のコロイド粒子で被覆され
ることによって形成された粒子径約18nmの変性酸化
スズメタノールゾル〔(WO3+SnO2)/SnO2
重量比0.46、WO3+SnO2に換算した全金属酸化
物を30.0重量%含有する〕433.3重量部、ブチ
ルセロソルブ65重量部、更に硬化剤としてアルミニウ
ムアセチルアセトネート4.2重量部を、前述したγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物142.1重量部に加え、十分に攪拌した後、ろ過
を行ってコーティング液を作製した。
【0093】比較例2 マグネチックスターラーを備えたガラス製の容器に、前
述した(A)成分に該当するγ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン105.3重量部を加え、攪拌しな
がら0.01規定の塩酸水溶液36.8重量部を3時間
で滴下した。滴下終了後、0.5時間攪拌を行い、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分
解物を得た。つぎにシリカメタノールゾル(粒子径15
nm、SiO2として20重量%含有する)650.0
重量部、ブチルセロソルブ65重量部、更に硬化剤とし
てアルミニウムアセチルアセトネート4.2重量部を、
前述したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
の部分加水分解物142.1重量部に加え、十分に攪拌
した後、ろ過を行ってコーティング液を作製した。
【0094】(硬化膜の形成)市販の屈折率nD=1.
59のポリカーボネートの板を用意し、これにスピンコ
ート法で上記の実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較
例2で得られたコーティング組成物を塗布し、120℃
で2時間加熱処理をして塗膜を硬化させ試験サンプル
(光学部材)を作成した。
【0095】実施例1〜実施例7及び比較例1〜比較例
2で得られたコーティング組成物から成るポリカーボネ
ート上の膜を、それぞれ実施例膜1〜実施例膜7及び比
較例膜1〜比較例膜2として以下の試験を行いその結果
を表1及び表2に示した。 (耐擦傷性試験)スチールウール#0000で上記の試
験サンプルを擦って傷の付きにくさを目視で判断した。
判断基準は次のようにした。
【0096】 A・・・強く擦ってもほとんど傷が付かない B・・・強く擦るとかなり傷がつく C・・・光学基材と同等の傷が付く (干渉縞の有無の試験)蛍光灯下で上記の試験サンプル
を目視で判断した。判断基準は次の通りである。
【0097】 A・・・干渉縞がほとんど見えない B・・・少し見える C・・・かなり見える (密着性試験)上記の試験サンプルに1mm間隔で、1
00目クロスカットし、このクロスカットした所に粘着
テープ(商品名セロテープ、ニチバン(株)製)と強く
貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がし、粘着テープ
を剥がした後の硬化膜の剥離の有無を調べた。硬化膜に
剥離が起こらなければ良好として、剥離の発生するもの
は不良とした。
【0098】(耐温水性試験)80℃の温水に上記の試
験サンプルを2時間浸漬し、前述した同様の密着性試験
を行った。 (透明性試験)暗室内、蛍光灯下で上記の試験サンプル
にくもりがあるかどうか目視で調べた。判断基準は次の
通りである。
【0099】 A・・・くもりがほとんど見えない。 B・・・少し見える。 C・・・かなり見える。 (耐候性試験)上記の試験サンプルの硬化膜上に、更に
無機酸化物の蒸着膜から成る反射防止膜を設けた試験サ
ンプル(光学部材)を1ヶ月間屋外暴露を行い、暴露後
の試験サンプル(光学部材)の外観の変化を黙視で判断
した。
【0100】
【表1】 表1 実施例膜 耐擦傷性 干渉縞 密着性 耐温水性 透明性 耐候性 1 A A 良好 良好 A 異常なし 2 A A 良好 良好 A 異常なし 3 A A 良好 良好 A 異常なし 4 A A 良好 良好 A 異常なし 5 A A 良好 良好 A 異常なし 6 A A 良好 良好 A 異常なし 7 A A 良好 良好 A 異常なし
【0101】
【表2】 表2 比較例膜 耐擦傷性 干渉縞 密着性 耐温水性 透明性 耐候性 1 A A 良好 一部剥離 A 僅か黄変 2 A C 良好 良好 A 異常なし 本願発明のコーティング組成物から成る硬化膜を有する
試験サンプルは、上記の試験で良好な結果が得られた。
【0102】一方、(B)成分をスズ酸亜鉛水和物粒子
で被覆された変性酸化第二スズ又は変性酸化ジルコニウ
ム等の変性金属酸化物の粒子に代えて、酸化タングステ
ン−酸化スズ複合体のコロイド粒子で被覆された変性酸
化第二スズの粒子を使用した場合は、耐水性が低下し、
更に長時間の暴露試験の結果、太陽光線を受け変性酸化
第二スズの粒子が黄変したものと考えられる。
【0103】また、同様に(B)成分をスズ酸亜鉛水和
物粒子で被覆された変性酸化第二スズ又は変性酸化ジル
コニウム等の変性金属酸化物の粒子に代えて、コロイド
状シリカ粒子を使用した場合は、屈折率が低いため高屈
折率の基材上に硬化膜を形成した場合は、塗膜に干渉縞
が発生し好ましくない。
【0104】
【発明の効果】本願発明で(B)成分に用いられるスズ
酸亜鉛水和物粒子で被覆された変性金属酸化物粒子は、
スズ酸亜鉛水和物粒子を単独で使用した場合と同様の作
用を示し、その結果、本願発明のコーティング組成物に
高い耐水性を与える。本願発明では、3、4又は5価の
原子価の金属の酸化物からなる粒子を核として、その粒
子の表面をスズ酸亜鉛水和物粒子で被覆する事により、
粒子表面のみがスズ酸亜鉛水和物粒子で構成されるの
で、単位容積当たり少量のスズ酸亜鉛水和物粒子で高い
耐水性が得られ、効率的にスズ酸亜鉛水和物粒子を使用
することが出来る。
【0105】本願発明のコーティング組成物によって得
られる硬化膜は、耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明
性、耐熱性、耐光性、耐候性や、特に耐水性の向上した
コーティング層となる。さらにこのコーティング層の上
に形成される反射防止膜(無機酸化物やフッ化物な
ど)、金属蒸着膜などとの接着性も良好である。従っ
て、このコーティング組成物から成る硬化膜を有する光
学部材は、上記の諸性能を有し、更に屈折率が1.54
以上の高屈折率の部材に塗工しても干渉縞の見られない
高透明性で外観良好の光学部材となる。
【0106】本発明に用いられる光学部材は、プラスチ
ック成形体が最適であり、このプラスチック成形体とし
ては、眼鏡レンズのほか、カメラ用レンズ、自動車の窓
ガラス、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなど
に付設する光学フィルターなどがある。これらのプラス
チック成形体に本願発明のコーティング組成物をハード
コートすることにより、上記のコーティング組成物から
成る硬化膜を有するプラスチック成形体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 根子 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化学 工業株式会社中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分及び(B)成分; (A)成分:一般式(I) (R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I) (但し、R1及びR3は、それぞれアルキル基、アリール
    基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ア
    ルケニル基、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタク
    リロイル基、メルカプト基、アミノ基、もしくはシアノ
    基を有する有機基で且つSi−C結合によりケイ素原子
    と結合しているものであり、R2は炭素数1〜8のアル
    キル基、アルコキシアルキル基、又はアシル基であり、
    a及びbはそれぞれ0、1、又は2の整数であり、a+
    bは0、1、又は2の整数である。)及び、一般式(I
    I) 〔(R4cSi(OX)3-c2Y (II) (但し、R4は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは炭
    素数1〜4のアルキル基又はアシル基を示し、Yはメチ
    レン基又は炭素数2〜20のアルキレン基を示し、cは
    0又は1の整数である。)で表される有機ケイ素化合
    物、並びにその加水分解物からなる群より選ばれた少な
    くとも1種のケイ素含有物質、 (B)成分:3、4又は5価の原子価の金属の酸化物か
    らなる粒子(i)を核として、その粒子の表面が一般式
    xZnO・ySnO2 ・zH2 Oにおいてx:y:zが
    1:0.83〜1.43:1.00〜5.00のモル比
    で表されるスズ酸亜鉛水和物の粒子(ii)で被覆され
    た4.5〜100nmの1次粒子径を有する変性金属酸
    化物の粒子、を含有するコーティング組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分が、一般式(I)で表される
    有機ケイ素化合物、及びその加水分解物からなる群より
    選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質である請求項
    1に記載のコーティング組成物。
  3. 【請求項3】 (B)成分中の3、4又は5価の原子価
    の金属の酸化物からなる粒子(i)の1次粒子径が、4
    〜50nmである請求項1又は請求項2に記載のコーテ
    ィング組成物。
  4. 【請求項4】 (B)成分中のスズ酸亜鉛水和物の粒子
    (ii)の1次粒子径が、2〜20nmである請求項1
    乃至請求項3のいずれか1項に記載のコーティング組成
    物。
  5. 【請求項5】 (B)成分中の3、4又は5価の原子価
    の金属の酸化物が、Snの酸化物、Zrの酸化物、Ti
    の酸化物、Sbの酸化物又はこれらの混合物である請求
    項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコーティング
    組成物。
  6. 【請求項6】 (B)成分の変性金属酸化物の粒子が、
    3、4又は5価の原子価の金属の酸化物からなる粒子
    (i)の100重量部と、一般式xZnO・ySnO2
    ・zH2 Oにおいてx:y:zが1:0.83〜1.4
    3:1.00〜5.00のモル比で表されるスズ酸亜鉛
    水和物の粒子(ii)の2〜100重量部とを混合する
    事によって得られる請求項1乃至請求項5のいずれか1
    項に記載のコーティング組成物。
  7. 【請求項7】 (C)成分として、金属塩、金属アルコ
    キシド及び金属キレートからなる群より選ばれた少なく
    とも1種の金属化合物を硬化触媒として含有する請求項
    1乃至請求項6のいずれか1項に記載のコーティング組
    成物。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に
    記載のコーティング組成物から成る硬化膜を表面に有す
    る光学部材。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に
    記載のコーティング組成物から成る硬化膜と反射防止膜
    とを積層した膜を表面に有する光学部材。
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