JP4287534B2 - コーティング組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なコーティング組成物に関し、さらに詳しくは、耐擦傷性、耐湿性、耐候性などに優れると共に、その上に無機酸化物の蒸着膜を施しても、上記特性の低下がほとんどない硬化被膜(単に硬化膜と記載することがある。)を形成することができ、特に光学部材用として好適なコーティング組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチック成形品に耐擦傷性を付与する方法として、一般にその表面に耐擦傷性を有するコーティング膜を設ける方法が用いられている。このようなコーティング膜を形成するのに用いられるコーティング組成物としては、例えばコロイド状に分散したシリカゾルを含むコーティング組成物(特開昭53−111336号公報)、酸化タングステン微粒子で被覆された酸化スズ微粒子を含むコーティング組成物(特開平3−172369号公報)、酸化スズのコロイド粒子を酸化スズ−酸化タングステン複合体のコロイド粒子で変性したゾルを含むコーティング組成物(特開平6−25603号公報)などが提案されている。
【0003】
しかしながら、これらのコーティング組成物においては、いずれも、例えば光学基材を被覆した場合に、審美性(コーティング膜と基材との屈折率差による干渉縞の発生がないこと)や耐候性を維持するとともに、優れた耐擦傷性、耐湿性などを付与しうるコーティング膜は得られず、またその上に蒸着膜を施しても、審美性や耐候性を維持しながら、耐擦傷性、耐湿性を充分に付与することができないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、特に光学部材用として好適に用いられ、光学基材を被覆した場合に、優れた審美性、耐候性、耐擦傷性および耐湿性などを有すると共に、さらにその上に蒸着膜を施しても上記物性の低下がほとんどない硬化被膜を与えるコーティング組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の優れた機能を有するコーティング組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と有機珪素化合物を含有するコーティング組成物がその目的に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の表面の少なくとも一部を、酸化第二スズ−酸化タングステン−酸化珪素複合体コロイド粒子で被覆してなる変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、(B)有機珪素化合物とを含有することを特徴とするコーティング組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のコーティング組成物においては、(A)成分として、変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が用いられる。
この変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は、(イ)酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の表面の一部または全部を、(ロ)酸化第二スズ−酸化タングステン−酸化珪素複合体コロイド粒子で被覆したものである。上記(イ)成分のコロイド粒子は、変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子における核粒子となるものであって、酸化第二スズコロイド粒子と酸化ジルコニウムコロイド粒子とが、ZrO2/SnO2重量比として0.02〜1.0の割合で結合し、かつ粒子径が4〜50nmの範囲にあるものが、得られるコーティング組成物の性能の点から好適である。
【0008】
一方、前記(イ)成分のコロイド粒子の表面の一部又は全部を被覆する(ロ)成分の酸化第二スズ−酸化タングステン−酸化珪素複合体コロイド粒子としては、WO3/SnO2重量比およびSiO2/SnO2重量比が、それぞれ0.1〜100の範囲にあり、かつ粒子径が2〜7nm、好ましくは2〜5nmの範囲にあるものが、得られるコーティング組成物の性能の点から好適である。
この(A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の粒子径は、得られるコーティング組成物の安定性および性能の点から、4.5〜60nmの範囲が好ましい。
【0009】
本発明においては、前記(A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は、例えば以下に示す(a)工程、(b)工程、(c)工程、(d)工程および(e)工程を施すことによって、効率よく形成させることができる。
【0010】
(a)工程
この(a)工程は、酸化第二スズ水性ゾルとオキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液とを混合する工程である。上記酸化第二スズ水性ゾルとしては、粒子径が4〜50nmの範囲にある酸化第二スズコロイド粒子を、SnO2として0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%濃度で含有するものが好適に用いられる。このような酸化第二スズ水性ゾルは、従来公知の方法、例えばイオン交換法、解膠法、加水分解法、反応法などによって調製することができる。
【0011】
上記イオン交換法の例としては、スズ酸ナトリウムなどのスズ酸塩を水素型陽イオン交換樹脂で処理する方法、あるいは塩化第二スズ、硝酸第二スズなどの第二スズ塩を水酸基型陰イオン交換樹脂で処理する方法などが挙げられる。上記解膠法の例としては、第二スズ塩を塩基で中和するか、あるいはスズ酸を塩酸で中和させることにより得られる水酸化第二スズゲルを洗浄した後、酸又は塩基で解膠する方法などが挙げられる。上記加水分解法の例としては、スズアルコキシドを加水分解する方法、あるいは塩化第二スズ塩基性塩を加熱下加水分解した後、不要の酸を除去する方法などが挙げられる。さらに上記反応法の例としては、金属スズ粉末と酸とを反応させる方法などが挙げられる。
【0012】
これら酸化第二スズゾルの媒体は、水、親水性有機溶剤、これらの混合物のいずれでもよいが、媒体が水である水性ゾルが好ましい。また、ゾルのpHとしては、ゾルの安定性の点から、通常、0.2〜11の範囲がよい。また、本発明の目的が損なわれない範囲で、この酸化第二スズゾルには、任意の成分、例えば、ゾルの安定化のためのアルカリ性物質、酸性物質、オキシカルボン酸などを含有させることができる。
【0013】
一方、オキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液としては、オキシジルコニウム塩を、0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%濃度で含有するものが好適に用いられる。上記オキシジルコニウム塩としては、例えばオキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウムのようなオキシ有機酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウムなどが挙げられる。これらのオキシジルコニウム塩は、水性溶液の形態で用いるのが好ましいが、混合する酸化第二スズ水性ゾルが酸性である場合には、オキシ炭酸ジルコニウムのような水不溶性の塩も、水性懸濁液の形態で用いることができる。
【0014】
この(a)工程においては、前記の酸化第二スズ水性ゾルとオキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液が、ZrO2/SnO2重量比として0.02〜1.0になるように混合される。この際、酸化第二スズゾルは、特にアミンなどの有機塩基で安定化されたアルカリ性のゾルを用いるのが好ましい。また、酸化第二スズゾルとオキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液との混合は、通常0〜100℃、好ましくは室温〜60℃の範囲の温度において行われる。そして、この混合は、攪拌下で酸化第二スズゾルにオキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液を加えてもよいし、オキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液に酸化第二スズゾルを加えてもよいが、後者の方が好ましい。この混合は充分に行うことが肝要であり、0.5〜3時間程度行うのが好ましい。
【0015】
(b)工程
この(b)工程においては、上記(a)工程で得られた混合液を加熱処理して、粒子径4〜50nmの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる。この加熱処理は、60〜200℃の温度において、0.1〜50時間程度行うのが好ましい。
【0016】
(c)工程
この(c)工程は、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程である。
まず、タングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩を、WO3/SnO2重量比およびSiO2/SnO2重量比として、それぞれ通常0.1〜100になるような割合で含有する水性溶液を調製する。この際、媒体としては、水、親水性有機溶剤あるいはこれらの混合物のいずれも用いることができる。
【0017】
上記タングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩の塩としては、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などがある。ここで、アルカリ金属塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩が挙げられる。また、アミン塩の好ましい例としては、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミンなどのアルキルアミン塩、ベンジルアミンなどのアラルキルアミン塩、ピペリジンなどの脂環式アミン塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。特に、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)、スズ酸ナトリウム(Na2SnO3・3H2O)および珪酸ナトリウム(水ガラス)が好ましい。また、酸化タングステン、タングステン酸、スズ酸、珪酸などをアルカリ金属水酸化物の水性溶液に溶解したものも使用することができる。また珪酸塩として活性珪酸にエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミンなどのアルキルアミンを添加して得られるアミンシリケートや第四級アンモニウムシリケートも使用することができる。
【0018】
タングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩を含有する水性溶液の調製方法としては特に制限はなく、例えばタングステン酸塩、スズ酸塩、珪酸塩の各粉末を水性媒体に溶解させ水性溶液を調製する方法、タングステン酸塩水性溶液、スズ酸塩水性溶液、および珪酸塩水性溶液を混合して水性溶液を調製する方法、タングステン酸塩とスズ酸塩の粉末および珪酸塩の水性溶液を水性媒体に添加して水性溶液を調製する方法など、いずれの方法も用いることができる。
【0019】
各水性溶液を混合する方法においては、タングステン酸塩の水性溶液は、WO3として0.1〜15重量%濃度のものが好ましく、スズ酸塩の水性溶液および珪酸塩の水性溶液としては、それぞれSnO2およびSiO2として0.1〜30重量%濃度のものが好ましい。
この(c)工程においては、タングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩を含有する水性溶液の調製は、攪拌下に室温〜100℃、好ましくは室温〜60℃程度で行うのがよい。
【0020】
次に、このようにして調製された各塩を含有する水性溶液中に存在する陽イオンを除去する。この陽イオンを除去する方法としては、例えば水素型イオン交換体と接触させる方法や塩析処理する方法などを用いることができる。上記水素型イオン交換体としては、特に制限はなく、通常用いられているもの、例えば市販品の水素型陽イオン交換樹脂を用いることができる。
このようにして、粒子径が2〜7nm、好ましくは2〜5nmの酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子を含有する水性ゾルが得られる。このコロイド粒子の粒子径は、電子顕微鏡により観測することができる。
【0021】
この水性ゾルにおけるWO3、SnO2およびSiO2の合計濃度は、通常40重量%以下である。この濃度が40重量%を超えるとゾルの安定性が悪くなるおそれがあるし、またあまり低すぎると実用的でないので、2重量%以上が好ましく、特に5〜30重量%の範囲が好ましい。陽イオン除去処理後の水性ゾルは、濃度が低い場合には、通常の濃縮方法、例えば蒸発法、限外濾過法などにより、ゾルの濃度を高めることができる。特に限外濾過法は好ましい。この濃縮においても、ゾルの温度は約100℃以下、特に60℃以下に保つことが好ましい。
【0022】
なお、濃縮法として限外濾過法を用いると、ゾル中に共存しているポリアニオン、極微小粒子などが水と一緒に限外濾過膜を通過するので、ゾルの不安定化の原因であるこれらポリアニオン、極微小粒子などをゾルから除去することができる。
【0023】
この水性ゾルにおいては、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子は、WO3/SnO2重量比およびSiO2/SnO2重量比として、それぞれ0.1〜100の範囲にあるものが好適である。各重量比が上記範囲を逸脱するとゾルの安定性が低下したり、所望の性能を有する変性複合体ゾルが得られにくく、好ましくない。
【0024】
また、この水性ゾルのpHは1〜9の範囲が好適である。pHが1未満ではゾルの安定性が悪くなるおそれがあるし、9を超えると酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子が液中で溶解しやすくなる。
【0025】
このpHの調整は酸性物質またはアルカリ性物質を用いて行われ、酸性物質としては、特に制限はないが、後で説明するオリガノゾルを作製する場合には、ゾルの安定性などの面から、オキシカルボン酸が好ましい。このオキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、グリコール酸などが挙げられる。これらのオキシカルボン酸は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、またその使用量は、ゾル中のWO3、SnO2およびSiO2の合計量に対して30重量%未満が好ましく、30重量%以上では、そのゾルを用いて得られた変性複合体ゾルの硬化被膜の耐水性が低下する原因となる。
【0026】
一方、アルカリ性物質の例としては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属水酸化物やアンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミンなどのアルキルアミン、ベンジルアミンなどのアラルキルアミン、ピペリジンなどの脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが挙げられる。これらのアルカリ性物質は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また上記酸性物質と併用することができる。
【0027】
このようにして得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、無色透明ないしコロイド色を有する液である。そして、室温では3ヶ月以上、60℃でも1ヶ月以上安定であり、このゾル中に沈降物が生成することがなく、また、このゾルが増粘したり、ゲル化を起すようなことはない。
なお、この(c)工程で得られた水性ゾルの水を親水性有機溶剤で置換することによりオルガノゾルと呼ばれる親水性有機溶媒ゾルが得られる。
【0028】
また、(c)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルは、酸化第二スズと酸化タングステンと二酸化珪素が原子レベルで均一に複合(固溶)して得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素からなる複合体粒子を含有する。したがって、酸化タングステンゾル、酸化第二スズゾル及び二酸化珪素ゾルの3種のゾルを単に混合して得られるものではない。この酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体粒子が固溶体を形成しているために、溶媒置換によっても酸化タングステン粒子、酸化第二スズ粒子及び二酸化珪素粒子に分解することはない。さらに、その酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素の複合体ゾルは、酸化タングステン−酸化第二スズの複合ゾルに比べ、基材に被覆して被膜を形成した際に、耐水性、耐湿性、及び耐候性が向上する。
【0029】
(d)工程
この(d)工程は、前記(b)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルと(c)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルとを混合して、変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程である。
【0030】
この工程においては、(b)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル(核ゾル)と、その金属酸化物(ZrO2+SnO2)として100重量部に対し、(c)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(被覆ゾル)をこのゾルのWO3、SnO2及びSiO2の合計として2〜100重量部になるような割合で混合する操作が行われる。この混合は、強攪拌下で、通常0〜100℃、好ましくは室温〜60℃の範囲の温度で行うのが有利である。
被覆ゾルの金属酸化物(WO3+SnO2+SiO2)の合計量が、核ゾルの金属酸化物(ZrO2+SnO2)の合計量100重量部に対し、2重量部未満では安定なゾルが得られないし、100重量部を超えると変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルと残存核ゾルとの混合ゾルとなり、好ましくない。
【0031】
これにより、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルのコロイド粒子を酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合ゾルのコロイド粒子表面に結合させて、該表面を上記酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子で被覆することによって、そのコロイド粒子を核として表面が酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体の性質を有するように変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウムの複合コロイド粒子を生成させることができ、そしてこの変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が液媒体に安定に分散したゾルとして得ることができる。
【0032】
この(d)工程の混合によって得られたゾル中の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子は、電子顕微鏡によって観察することができ、通常4.5〜60nmの粒子径を有する。上記混合によって得られたゾルはpHほぼ1〜9を有しているが、改質のために用いたオキシジルコニウム塩に由来するCl-、NO3 -、CH3COO-などのアニオンを多く含有しているために、コロイド粒子はミクロ凝集を起こしており、ゾルの透明性が低くなっている。
【0033】
本発明による酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子によって表面が被覆された変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子はゾル中で負に帯電している。上記酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子は陽に帯電しており、酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子は負に帯電している。したがって、(d)工程の混合によりこの陽に帯電している酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子の周りに負に帯電している酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が電気的に引き寄せられ、そして陽帯電のコロイド粒子表面上に化学結合によって酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体のコロイド粒子が結合し、この陽帯電の粒子を核としてその表面を酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体が覆ってしまうことによって、変性された酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合コロイド粒子が生成したものと考えられる。
【0034】
(e)工程
この(e)工程は、上記(d)工程で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させ、該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程である。
【0035】
陰イオン交換体との接触処理は、通常100℃以下、好ましくは室温〜60℃の範囲の温度で行われる。該陰イオン交換体としては、市販品の水酸基型陰イオン交換樹脂を用いることができるが、特にアンバーライト410のような強塩基型のものが好適である。また、この陰イオン交換体による処理は、(d)工程での混合により得られたゾルの金属酸化物濃度が1〜10重量%の範囲で行うのが有利である。
このようにして、ゾル中の陰イオンを除去することにより、pH3〜11で、透明性の良い、安定な変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾルを得ることができる。
【0036】
また、このようにして得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの濃度を更に高めたい場合には、最大約50重量%まで常法、例えば蒸発法、限外濾過法などにより濃縮することができる。またこのゾルのpHを調整したい場合には、濃縮後に、前記アルカリ金属水酸化物やアンモニア、前記アミン、オキシカルボン酸などをゾルに加えることによって行うことができる。特に、上記金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が10〜40重量%であるゾルは実用的に好ましい。
【0037】
この変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルにおいては、pHが3未満ではゾルが不安定になりやすいし、11を超えると、変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を覆っている酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体が液中に溶解しやすい。更に変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子のゾル中の金属酸化物(ZrO2+SnO2)と(WO3+SnO2+SiO2)の合計濃度が50重量%を超えるとゾルが不安定となり易い。
【0038】
また、この変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルが水性ゾルである場合は、この水性ゾルの水媒体を親水性有機溶剤で置換することによりオルガノゾルが得られる。この置換は、蒸留法、限外濾過法など通常の方法により行うことができる。この親水性有機溶剤の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの直鎖アミド類、N−メチル−2−ピロリドンなどの環状アミド類、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのグリコール類などが挙げられる。
【0039】
本発明のコーティング組成物において、(A)成分として用いられる変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子を含む、前記(a)〜(e)工程で得られたゾルは、室温では3ヶ月以上、60℃でも1ヶ月以上安定であり、このゾル中に沈降物が生成することがなく、また、このゾルが増粘したり、ゲル化を起すようなことはない。そして無色透明であって、その硬化被膜は約1.7〜1.8の屈折率を示し、また、結合強度、硬度のいずれも高く、耐光性、帯電防止性、耐熱性、耐摩耗性なども良好である。また、特に耐水性、耐湿性が従来のものに比べ格段に向上している。これは、酸化タングステン−酸化第二スズ−酸化珪素コロイド粒子中の二酸化珪素成分により硬化被膜中にシロキサン結合が形成され、これにより、耐水性、耐湿性が向上したものと推測される。
【0040】
本発明のコーティング組成物においては、(B)成分として有機珪素化合物が用いられる。この有機珪素化合物としては、例えば一般式(I)
1nSi(OR24-n …(I)
(式中、R1は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数1〜20の炭化水素基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基、nは0、1または2を示し、R1が複数ある場合、複数のR1はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のR2Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物、一般式(II)
【化2】
Figure 0004287534
(式中、R3およびR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基、R5およびR6は、それぞれ同一または異なる一価の炭素数1〜5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、Yは炭素数2〜20の二価の炭化水素基、aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のOR3は、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0041】
前記一般式(I)において、R1で示される炭素数1〜20の一価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基を挙げることができる。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0042】
これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよく、該官能基としては、例えばハロゲン原子、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。これらの官能基を有する炭化水素基としては、該官能基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えばγ−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、クロロメチル基、グリシドキシメチル基、α−グリシドキシエチル基、β−グリシドキシエチル基、α−グリシドキシプロピル基、β−グリシドキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、α−グリシドキシブチル基、β−グリシドキシブチル基、γ−グリシドキシブチル基、δ−グリシドキシブチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、β−シアノエチル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−アクリロイルオキシプロピル基などが挙げられる。
【0043】
一方、R2のうちの炭素数1〜8のアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基などが挙げられ、アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。また、アシル基としては、例えばアセチル基などが挙げられる。
【0044】
nは0、1または2であり、R1が複数ある場合、複数のR1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、また、複数のR2Oはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
前記一般式(I)で表される化合物の例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、tert−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメト シシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0046】
一方、前記一般式(II)において、R3およびR4のうちの炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、アシル基としては、アセチル基が好ましく挙げられる。このR3およびR4はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、R5およびR6で示される一価の炭素数1〜5の炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基および炭素数2〜5のアルケニル基が挙げられる。これらは直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基などが挙げられる。
【0047】
これらの炭化水素基には官能基が導入されていてもよく、該官能基および官能基を有する炭化水素基としては、前記一般式(I)のR1の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。このR5およびR6はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Yで示される炭素数2〜20の二価の炭化水素基としては、炭素数2〜10のアルキレン基およびアルキリデン基が好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基などが挙げられる。
【0048】
aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のOR3は、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。
【0049】
前記一般式(II)で表される化合物の例としては、メチレンビス(メチルジメトキシシラン)、エチレンビス(エチルジメトキシシラン)、プロピレンビス(エチルジエトキシシラン)、ブチレンビス(メチルジエトキシシラン)などが挙げられる。
【0050】
本発明のコーティング組成物においては、(B)成分の有機珪素化合物として、一般式(I)、(II)で表される化合物およびその加水分解物の中から適宜1種選択して用いてもよいし、2種以上を選択し、組み合わせて用いてもよい。また、加水分解物は、一般式(I)、(II)で表される有機珪素化合物に、水酸化ナトリウムやアンモニアの水溶液などの塩基性水溶液、酢酸水溶液やクエン酸水溶液などの酸性水溶液を添加し、攪拌することにより調製することができる。
【0051】
本発明のコーティング組成物における前記(A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と(B)成分の有機珪素化合物の含有割合については、(B)成分100重量部当たり、(A)成分を、固形分として1〜500重量部の割合で含有するのが好ましい。(A)成分の量が1重量部未満では硬化被膜の屈折率が低くなり、基材への適用範囲が限定されるおそれがあるし、500重量部を超えると硬化被膜と基材との間にクラックなどが生じやすくなる上、硬化被膜の透明性が低下する原因となる。
【0052】
本発明のコーティング組成物は、光学基材に適用するのが好ましく、この光学基材としては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとをモノマー成分とする共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン含有共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタンなどのプラスチック基材を挙げることができる。審美性(すなわち、コーティング膜とレンズ基材との屈折率差による干渉縞の発生がない)ことを考慮すると特に、屈折率が1.55〜1.62であるプラスチックレンズが適している。
【0053】
本発明のコーティング組成物には、所望により、反応を促進するために硬化剤を、種々の基材となるレンズとの屈折率をあわせるために微粒子金属酸化物を、また塗布時における濡れ性を向上させ、硬化膜の平滑性を向上させる目的で各種の有機溶剤や界面活性剤を含有させることもできる。さらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等も硬化膜の物性に影響を与えない限り添加することも可能である。
【0054】
前記硬化剤の例としては、アリルアミン、エチルアミンなどのアミン類、またルイス酸やルイス塩基を含む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸などを有する塩または金属塩、さらにアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムを有する金属アルコキシドまたはこれらの金属キレート化合物などが挙げられる。
また、前記微粒子状金属酸化物としては、従来公知のもの、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄などの微粒子が挙げられる。
【0055】
コーティング組成物の硬化は、通常熱風乾燥または活性エネルギー線照射によって行われ、硬化条件としては、70〜200℃の熱風中にて行うのがよく、特に好ましくは90〜150℃が望ましい。なお活性エネルギー線としては遠赤外線などがあり、熱による損傷を低く抑えることができる。
【0056】
本発明のコーティング組成物を用い、その硬化被膜を基材上に形成する方法としては、上述したコーティング組成物を基材に塗布する方法が挙げられる。塗布手段としてはディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法など通常行われる方法が適用できるが、面精度の面からディッピング法、スピンコーティング法が特に望ましい。
【0057】
さらに上述したコーティング組成物を基材に塗布する前に、基材に酸、アルカリ、各種有機溶剤による化学的処理、プラズマ、紫外線などによる物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理、サンドブラスト処理、更には各種樹脂を用いたプライマー処理を施すことによって、基材と硬化膜との密着性などを向上させることができる。
【0058】
本発明のコーティング組成物を用いてなる硬化被膜を有する光学部材は、眼鏡レンズの他、カメラ用レンズ、自動車の窓ガラス、ワードプロッセサーのディスプレイに付設する光学フィルタなどに使用することができる。
【0059】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた硬化膜を有する光学部材は、以下に示す方法により、諸物性を測定した。
【0060】
(1)初期物性試験
得られた硬化膜付き光学部材を、室温で1日間放置した後、以下の(イ)〜(ニ)の評価を行った。
(イ)耐擦傷性評価
スチールウール#0000で硬化膜の表面を2kgの荷重を掛けて前後に20往復擦すり、傷のつきにくさを目視で判断した。判断基準は以下のとおりである。
◎………ほとんど傷がつかない
○………5本未満の傷が入る
△………5本以上10本未満の傷が入る
×………10本以上〜光学基板と同等の傷が入る
【0061】
(ロ)干渉縞の評価
蛍光灯下で硬化膜を有する光学部材を目視で判断した。判断基準は以下のとおりである。
◎………干渉縞が見えない
○………干渉縞がほとんど見えない
△………少し見える
×………かなり見える
【0062】
(ハ)密着性評価
硬化膜に1.5mm間隔で100目クロスカットし、このクロスカットした所に粘着テープ(商品名:セロテープ ニチバン(株)製品)を強く貼り付けた後、粘着テープを急速に剥がした後の硬化膜の剥離の有無を調べた。判断基準は以下のとおりである。
◎………剥離なし
○………剥離数1〜10目
△………剥離数11〜50目
×………剥離数51〜100目
【0063】
(ニ)透明性評価
暗室内、蛍光灯下で硬化膜に曇りがあるかどうかを目視で調べた。判断基準は以下のとおりである。
【0064】
◎………・曇りがみえない
○………・曇りがほとんどみえない
△………・少し見える
×………・かなり見える
【0065】
(2)耐湿性試験
40℃、90%RH条件下、恒温恒湿試験機(ヤマトエンジニアリング社製)中に光学部材を1週間放置した後、前述した(イ)〜(ニ)の評価を行った。
【0066】
(3)耐光性試験
得られた光学部材にキセノンロングライフウエザーメーター(スガ試験機(株))にて200時間照射を行い、前述した(イ)〜(ニ)の評価を行った。
【0067】
製造例1 変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの製造
<酸化第二スズゾルの調製>
金属スズ粉末と塩酸水溶液と過酸化水素水溶液との反応により得られた比重1.420、pH0.40、撹拌直後の粘度32mPa・s、SnO2含量33.0重量%、HCl含量2.56重量%、電子顕微鏡による紡錘状コロイド粒子径10nm以下、BET法による粒子の比表面積120m2/g、この比表面積からの換算粒子径7.2nm、米国コールター社製N4装置による動的光散乱法粒子径107nm、淡黄色透明の酸化第二スズ水性ゾル1200gを水10800gに分散させた後、これにイソプロピルアミン4.8gを加え、次いで、この液を水酸基型陰イオン交換樹脂充填のカラムに通すことにより、アルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル13440gを得た。このゾルは、安定であり、コロイド色を呈しているが、透明性が非常に高く、比重1.029、pH9.80、粘度1.4mPa・s、SnO2含量2.95重量%、イソプロピルアミン含量0.036重量%であった。
【0068】
(a)工程
試薬のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2・8H2O)を水に溶解して調製したオキシ塩化ジルコニウム水溶液(ZrO2として2.0重量%)3043g(ZrO2として60.87g含有する。)に撹拌下に、室温で、上記調製したアルカリ性の酸化第二スズ水性ゾル10791g(SnO2として409.5g)を添加し、二時間撹拌を続行した。混合液はZrO2/SnO2重量比0.15、pH1.50でコロイド色を有する透明性の良好なゾルであった。
【0069】
(b)工程(酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(a)工程で調製した混合液を撹拌下に、90℃で5時間加熱処理を行い、酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル13834gを得た。このゾルはSnO2として2.96重量%、ZrO2として0.44重量%、SnO2+ZrO2として3.40重量%、pH1.45で、粒子径9.0nm、コロイド色を有するが、透明性は良好であった。
【0070】
(c)工程(酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルの作製)
3号珪そう(SiO2として29.0重量%含有する。)113gを水2353.7gに溶解し、次いでタングステン酸ナトリウムNa2WO4・2H2O(WO3として71重量%含有する。)33.3gおよびスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55重量%含有する。)42.45gを溶解する。次いでこれを水素型陽イオン交換樹脂のカラムに通すことにより酸性の酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル(pH2.1、WO3として0.75重量%、SnO2として0.75重量%、SiO2として1.00重量%を含有し、WO3/SnO2重量比1.0、SiO2/SnO2重量比1.33であり、粒子径2.5nmであった。)3150gを得た。
【0071】
(d)工程
(c)工程で調製した酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾル3150g(WO3+SnO2+SiO2として78.83gを含有する。)に撹拌下に、室温で(b)工程で調製した酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾル11592.6g(ZrO2+SnO2として394.1g含有する。)を20分で添加し、30分間撹拌を続行した。得られた混合液は酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド(ZrO2+SnO2)と酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド(WO3+SnO2+SiO2)の比は(WO3+SnO2+SiO2)/(ZrO2+SnO2)重量比0.20、pH2.26、全金属酸化物3.2重量%であり、コロイド粒子のミクロ凝集による白濁傾向を示した。
【0072】
(e)工程(変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体ゾルの作製)
(d)工程で得た混合液14742.6gにジイソブチルアミンを9.5g添加し、次いで水酸基型陰イオン交換樹脂(アンバーライト410)を充填したカラムに室温で通液、次いで80℃で1時間加熱熟成することにより変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)16288gを得た。このゾルは全金属酸化物2.90重量%、pH10.43で、コロイド色は呈するが透明性は良好であった。
【0073】
(e)工程で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル(希薄液)を、分画分子量5万の限外濾過膜の濾過装置により室温で濃縮し、高濃度の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2182gを得た。このゾルはpH8.71、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)18.3重量%で、安定であった。
【0074】
上記高濃度の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾル2182gに撹拌下に、室温で酒石酸4.0g、ジイソブチルアミン6.0g、消泡剤(サンノプコ社製SNディフォーマー483)1滴を加え、1時間撹拌した。このゾルを攪拌機付き反応フラスコで常圧下、メタノール20リットルを少しずつ加えながら水を留去することにより、水性ゾルの水をメタノールで置換した変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル1171gを得た。このゾルは比重1.124、pH7.45(水との等重量混合物)、粘度2.3mPa・s、全金属酸化物(ZrO2+SnO2+WO3+SiO2)32.7重量%、水分0.47重量%、電子顕微鏡観察による粒子径は10〜15nmであった。
このゾルはコロイド色を呈し、透明性が高く、室温で3ケ月放置後も沈降物の生成、白濁、増粘などの異常は認められず安定であった。またこのゾルの乾燥物の屈折率は1.76であった。
【0075】
実施例1
(1)コーティング組成物の調製
回転子を備えた反応器に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部と、製造例1で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル49重量部を仕込み、4℃で3時間攪拌したのち、0.001規定の塩酸3.5重量部を徐々に反応器中に滴下し、4℃で48時間攪拌した。
次に、これにプロピレングリコールモノメチルエーテル30重量部およびシリコーン系界面活性剤0.04重量部を添加混合し、4℃で3時間攪拌したのちアルミニウムアセチルアセトネート0.60重量部および過塩素酸アルミニウム(アルドリッチ社製)0.05重量部を添加混合した。4℃で3日間攪拌したのち、4℃で2日間静置することにより、コーティング組成物を調製した。
【0076】
(2)硬化膜の形成および評価
10重量%のNaOH水溶液で前処理したプラスチックレンズ基材(HOYA(株)製、眼鏡用プラスチックレンズ、屈折率1.60)を、上記(1)で作製したコーティング組成物中に5秒間浸漬させ、浸漬終了後引き上げ速度20cm/分で引き上げたプラスチックレンズを120℃で1時間加熱して硬化膜を形成した。得られた硬化膜付きプラスチックレンズの評価結果を表1に示す。
【0077】
実施例2
実施例1で得られた硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を蒸着装置に入れ、排気しながら85℃に加熱し、2x10-5torrまで排気した後、電子ビーム加熱法にて蒸着原料を蒸着させて、SiO2からなる膜厚0.6λの下地層、この下地層の上にTa25、ZrO2、Y23からなる混合層(nd=2.05、nλ=0.075λ)とSiO2層(nd=1.46、nλ=0.056λ)からなる第一屈折層、Ta25、ZrO2、Y23からなる混合層(nd=2.05、nλ=0.075λ)とSiO2層からなる第2低屈折率層(nd=1.46、nλ=0.25λ)を形成して反射防止膜を施した。このプラスチックレンズの評価結果を表1に示す。
【0078】
実施例3
実施例1(1)において、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部の代わりに、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン15重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0079】
実施例4
実施例2において、実施例1で得られたものの代わりに実施例3で得られた硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0080】
実施例5
実施例1(1)において、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン15重量部の代わりに、テトラメトキシシラン(メチルシリケート)15重量部を用い、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネート0.60重量部の代わりに、無水トリメリット酸0.60重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0081】
実施例6
実施例2において、実施例1で得られたものの代わりに実施例5で得られた硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0082】
比較例1
実施例1(1)において、製造例1で得た変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル49重量部の代わりに、特開平6−27301号公報に記載されている変性酸化第二スズ−酸化タングステン複合体ゾル49重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0083】
比較例2
実施例2において、実施例1で得られたものの代わりに比較例1で得られた硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0084】
比較例3
実施例1(1)において、製造例1で得た変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル49重量部の代わりに、特開平6−27301号公報に記載されている酸化タングステン−酸化第二スズ複合体ゾル49重量部およびメタノール分散シリカゾル(粒子径10〜20nm、固形分20重量%)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0085】
比較例4
実施例2において、実施例1で得られたものの代わりに比較例3で得られた硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0086】
比較例5
実施例1(1)において、製造例1で得た変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体メタノールゾル49重量部の代わりに、メタノール分散シリカゾル(粒子径10〜20nm、固形分20重量%)49重量部を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0087】
比較例6
実施例2において、実施例1で得られたものの代わりに比較例5で得られた硬化膜を施したプラスチックレンズ基材を用いた以外は、実施例2と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0004287534
【0089】
表1から分かるように、実施例1〜6の硬化膜を有する光学部材は、耐擦傷性、密着性、干渉縞、透明性、耐湿性、耐候性のいずれも良好である。これに対し、比較例1、2のものは耐湿性、耐候性が不十分であり、比較例3、4のものは耐擦傷性、透明性、耐湿性、耐候性に劣る。比較例5、6のものは干渉縞が観察され、審美上問題を有していた。
【0090】
【発明の効果】
本発明のコーティング組成物は、耐擦傷性、耐湿性、耐候性などに優れると共に、その上に無機酸化膜の蒸着膜を施しても上記特性の低下がほとんどない硬化被膜を形成することができ、しかも高屈折率プラスチックレンズ上に硬化被膜を設けた場合でも干渉縞の発生が認められず、特に光学部材用として好適である。

Claims (6)

  1. (A)酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の表面の少なくとも一部を、酸化第二スズ−酸化タングステン−酸化珪素複合体コロイド粒子で被覆してなる変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子と、(B)有機珪素化合物とを含有することを特徴とするコーティング組成物。
  2. (A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が、酸化第二スズコロイド粒子と酸化ジルコニウムコロイド粒子とが、ZrO2/SnO2重量比として0.02〜1.0の割合で結合してなる粒子径4〜50nmの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子の表面の少なくとも一部を、WO3/SnO2重量比およびSiO2/SnO2重量比が、それぞれ0.1〜100である粒子径2〜7nmの酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体コロイド粒子で被覆してなる粒子径4.5〜60nmのものである請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. (A)成分の変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体コロイド粒子が、
    (a)粒子径4〜50nmの酸化第二スズコロイド粒子を、SnO2として0.5〜50重量%濃度で含有する酸化第二スズ水性ゾルと、ZrO2として0.5〜50重量%濃度のオキシジルコニウム塩の水性溶液または水性懸濁液とを、ZrO2/SnO2重量比として0.02〜1.0になるように混合する工程、
    (b)上記(a)工程で得られた混合液を加熱処理し、粒子径4〜50nmの酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、
    (c)タングステン酸塩、スズ酸塩および珪酸塩を、WO3/SnO2重量比およびSiO2/SnO2重量比として、それぞれ0.1〜100になるような割合で含有する水性溶液を調製し、その水性溶液中の陽イオンを除去することにより、粒子径2〜7nmの酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルを生成させる工程、
    (d)上記(b)工程で得られた酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルと(c)工程で得られた酸化タングステン−酸化第二スズ−二酸化珪素複合体ゾルとを、ZrO2とSnO2の合計として100重量部に対し、WO3とSnO2とSiO2の合計として2〜100重量部になるような割合で混合して、粒子径4.5〜60nmの変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを生成させる工程、
    および
    (e)上記(d)工程で得られた変性酸化第二スズ−酸化ジルコニウム複合体水性ゾルを陰イオン交換体と接触させ、該ゾル中に存在する陰イオンを除去する工程、
    を施すことにより、得られたものである請求項1または2に記載のコーティング組成物。
  4. (B)成分の有機珪素化合物が、一般式(I)
    1nSi(OR24-n …(I)
    (式中、R1は官能基を有する若しくは有しない一価の炭素数1〜20の炭化水素基、R2は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはアシル基、nは0、1または2を示し、R1が複数ある場合、複数のR1はたがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のR2Oはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
    で表される化合物、一般式(II)
    Figure 0004287534
    (式中、R3およびR4は、それぞれ同一または異なる炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基、R5およびR6は、それぞれ同一または異なる一価の炭素数1〜5の官能基を有する若しくは有しない炭化水素基、Yは炭素数2〜20の二価の炭化水素基、aおよびbは、それぞれ0または1を示し、複数のOR3は、たがいに同一でも異なっていてもよいし、複数のOR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。)
    で表される化合物およびそれらの加水分解物の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1、2または3に記載のコーティング組成物。
  5. (B)成分の有機珪素化合物100重量部当たり、(A)成分のコロイド粒子を固形分として1〜500重量部の割合で含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  6. 媒体が、水および/または親水性有機溶剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
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