JPH10237619A - 金属装飾部材の硬化処理方法 - Google Patents
金属装飾部材の硬化処理方法Info
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- JPH10237619A JPH10237619A JP4332397A JP4332397A JPH10237619A JP H10237619 A JPH10237619 A JP H10237619A JP 4332397 A JP4332397 A JP 4332397A JP 4332397 A JP4332397 A JP 4332397A JP H10237619 A JPH10237619 A JP H10237619A
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- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 硬化処理後に発生する面荒れ、変色、表面硬
度のロット間ばらつきがなく、処理サイクルの短縮化を
可能とするチタン、チタン合金の連続硬化処理方法を提
供することである。 【解決手段】 減圧下の窒素、水蒸気雰囲気で700℃
以上の加熱処理をする事によりチタン及びチタン合金の
表面を硬化する硬化処理方法において、窒素、水蒸気を
用いた第一の硬化処理工程と水蒸気の濃度が1000p
pm以下の窒素或いはアルゴン、ヘリウムといった不活
性ガス雰囲気下で連続加熱する第二の雰囲気調整処理工
程からなるチタン或いはチタン合金の硬化処理方法。
度のロット間ばらつきがなく、処理サイクルの短縮化を
可能とするチタン、チタン合金の連続硬化処理方法を提
供することである。 【解決手段】 減圧下の窒素、水蒸気雰囲気で700℃
以上の加熱処理をする事によりチタン及びチタン合金の
表面を硬化する硬化処理方法において、窒素、水蒸気を
用いた第一の硬化処理工程と水蒸気の濃度が1000p
pm以下の窒素或いはアルゴン、ヘリウムといった不活
性ガス雰囲気下で連続加熱する第二の雰囲気調整処理工
程からなるチタン或いはチタン合金の硬化処理方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面及び内部が硬
化処理されたチタン及びチタン合金からなる金属装飾部
材の硬化処理方法に関するものである。
化処理されたチタン及びチタン合金からなる金属装飾部
材の硬化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面硬化処理には、大きく分けて金属部
材表面に硬質膜を被覆する方法と金属部材自体を硬化す
る方法がある。金属部材表面に硬質膜を被覆する方法と
しては電気メッキに代表されるウェットプロセスと真空
蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、プラズ
マCVDなどに代表されるドライプロセスが公知である
が、いずれも部材との密着性に難があり膜剥離問題に対
しては完全に解決するまでには至っていない。一方、金
属部材自体を硬化する方法としては、イオン注入、イオ
ン窒化、ガス窒化、ガス浸炭、ガス軟窒化などが知られ
ているが、処理時間が長く生産性に問題があり、また処
理温度が高いために、結晶粒が粗大化して、表面荒れを
生じ、外観品質が劣るという問題があり、使用範囲が限
定されていた。この結果、時計、眼鏡、宝飾などに代表
される装飾部材の美観を伴うような表面に対し、表面荒
れを生じさせずに処理前の表面状態を維持したままで硬
化処理をするようなことはできなかった。
材表面に硬質膜を被覆する方法と金属部材自体を硬化す
る方法がある。金属部材表面に硬質膜を被覆する方法と
しては電気メッキに代表されるウェットプロセスと真空
蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、プラズ
マCVDなどに代表されるドライプロセスが公知である
が、いずれも部材との密着性に難があり膜剥離問題に対
しては完全に解決するまでには至っていない。一方、金
属部材自体を硬化する方法としては、イオン注入、イオ
ン窒化、ガス窒化、ガス浸炭、ガス軟窒化などが知られ
ているが、処理時間が長く生産性に問題があり、また処
理温度が高いために、結晶粒が粗大化して、表面荒れを
生じ、外観品質が劣るという問題があり、使用範囲が限
定されていた。この結果、時計、眼鏡、宝飾などに代表
される装飾部材の美観を伴うような表面に対し、表面荒
れを生じさせずに処理前の表面状態を維持したままで硬
化処理をするようなことはできなかった。
【0003】金属部材自体を硬化する方法は、金属部材
の内部の拡散元素が表面から傾斜的な濃度を有するとい
う点から膜剥離問題を生じることがない。よって、金属
装飾部材の表面硬化処理方法として有用であると考えら
れているが、表面荒れに起因する外観品質の劣化の問題
がある。イオン窒化技術の中で、表面荒れを小さくする
ために、イオンスパッタ効果を減少させるということは
行われてきているが、根本的に金属部材自体に窒素や炭
素や酸素が入ることによって生じる表面荒れを低減化す
るということは行われていなかった。
の内部の拡散元素が表面から傾斜的な濃度を有するとい
う点から膜剥離問題を生じることがない。よって、金属
装飾部材の表面硬化処理方法として有用であると考えら
れているが、表面荒れに起因する外観品質の劣化の問題
がある。イオン窒化技術の中で、表面荒れを小さくする
ために、イオンスパッタ効果を減少させるということは
行われてきているが、根本的に金属部材自体に窒素や炭
素や酸素が入ることによって生じる表面荒れを低減化す
るということは行われていなかった。
【0004】本発明の経緯の中で、表面に窒素、酸素を
拡散させて表面硬度を付与することにより、耐傷性に対
して強い性質を有するチタン及びチタン合金が得られ
た。この方法によれば、処理後の外観品質の劣化が小さ
く、表面荒れを小さくしたまま硬化処理することができ
るために、鏡面にも適用でき、特に装飾用として応用展
開することが可能となる。
拡散させて表面硬度を付与することにより、耐傷性に対
して強い性質を有するチタン及びチタン合金が得られ
た。この方法によれば、処理後の外観品質の劣化が小さ
く、表面荒れを小さくしたまま硬化処理することができ
るために、鏡面にも適用でき、特に装飾用として応用展
開することが可能となる。
【0005】しかも上記の硬化処理方法は、硬化処理時
間が3時間程度であり、雰囲気の真空排気及び冷却時間
を含めても5時間から6時間程度と従来のガス窒化処理
等と比べると著しく短いという利点もある。しかし、こ
の処理を連続的に繰り返すと、表面荒れ、変色、表面硬
度のロット間ばらつき等の問題を発生する。これは、硬
化処理の雰囲気ガスとして水蒸気や水素や酸素を使用し
ていることが原因であることが明らかとなった。すなわ
ち、加熱処理後の冷却過程まで水蒸気を導入したままに
しておくと、処理槽内壁に水蒸気が吸着する。そして、
次のロット時に、この吸着した水蒸気が昇温加熱中に発
生して、表面にチタン系の酸化物を形成することによる
ものであることが分かった。
間が3時間程度であり、雰囲気の真空排気及び冷却時間
を含めても5時間から6時間程度と従来のガス窒化処理
等と比べると著しく短いという利点もある。しかし、こ
の処理を連続的に繰り返すと、表面荒れ、変色、表面硬
度のロット間ばらつき等の問題を発生する。これは、硬
化処理の雰囲気ガスとして水蒸気や水素や酸素を使用し
ていることが原因であることが明らかとなった。すなわ
ち、加熱処理後の冷却過程まで水蒸気を導入したままに
しておくと、処理槽内壁に水蒸気が吸着する。そして、
次のロット時に、この吸着した水蒸気が昇温加熱中に発
生して、表面にチタン系の酸化物を形成することによる
ものであることが分かった。
【0006】よって、従来の硬化処理方法において、表
面荒れ、変色、表面硬度のロット間ばらつきを排除する
ためには、硬化処理間にベーキングを行うことが必要で
あった。しかし、ベーキングを行うと処理サイクルが長
くなり、ランニングコストが高くなるという問題点もあ
った。
面荒れ、変色、表面硬度のロット間ばらつきを排除する
ためには、硬化処理間にベーキングを行うことが必要で
あった。しかし、ベーキングを行うと処理サイクルが長
くなり、ランニングコストが高くなるという問題点もあ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決して、表面荒れ、変色、表面硬度のロット間
ばらつきがなく、処理サイクルの短縮化も可能となるチ
タン、チタン合金の連続硬化処理方法を提供することで
ある。
課題を解決して、表面荒れ、変色、表面硬度のロット間
ばらつきがなく、処理サイクルの短縮化も可能となるチ
タン、チタン合金の連続硬化処理方法を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の金属装飾部材の硬化方法は、下記記載の方
法を採用する。
に、本発明の金属装飾部材の硬化方法は、下記記載の方
法を採用する。
【0009】減圧下の窒素、水蒸気雰囲気或いは窒素、
酸素雰囲気で700℃以上の加熱処理をする事によりチ
タン及びチタン合金の表面を硬化する硬化処理方法にお
いて、窒素、水蒸気を用いた第一の硬化処理工程と水蒸
気の濃度が1000ppm以下の窒素或いはアルゴン、
ヘリウムといった不活性ガス雰囲気下で連続加熱する第
二の雰囲気調整処理工程からなるチタン或いはチタン合
金の硬化処理方法。
酸素雰囲気で700℃以上の加熱処理をする事によりチ
タン及びチタン合金の表面を硬化する硬化処理方法にお
いて、窒素、水蒸気を用いた第一の硬化処理工程と水蒸
気の濃度が1000ppm以下の窒素或いはアルゴン、
ヘリウムといった不活性ガス雰囲気下で連続加熱する第
二の雰囲気調整処理工程からなるチタン或いはチタン合
金の硬化処理方法。
【0010】本発明のチタン及びチタン合金の硬化処理
方法は、第一の硬化処理工程に引き続く第二の雰囲気調
整処理工程により、硬化処理後も表面荒れ、変色、ロッ
ト間ばらつきのない、チタン、チタン合金を供給し、か
つ処理サイクルの短縮化を可能とする連続硬化処理方法
である。
方法は、第一の硬化処理工程に引き続く第二の雰囲気調
整処理工程により、硬化処理後も表面荒れ、変色、ロッ
ト間ばらつきのない、チタン、チタン合金を供給し、か
つ処理サイクルの短縮化を可能とする連続硬化処理方法
である。
【0011】本発明の経緯の中で、表面に窒素、酸素を
拡散させて表面硬度を付与することにより、耐傷性に対
して強い性質を有するチタン及びチタン合金が得られる
ことが判明した。この方法によれば、処理後の外観品質
の劣化が小さく、表面荒れを小さくしたまま硬化処理す
ることができるために、鏡面にも適用でき、特に装飾用
として応用展開することが可能となる。
拡散させて表面硬度を付与することにより、耐傷性に対
して強い性質を有するチタン及びチタン合金が得られる
ことが判明した。この方法によれば、処理後の外観品質
の劣化が小さく、表面荒れを小さくしたまま硬化処理す
ることができるために、鏡面にも適用でき、特に装飾用
として応用展開することが可能となる。
【0012】しかも上記の硬化処理方法は、硬化処理時
間が3時間程度であり、雰囲気の真空排気及び冷却時間
を含めても6時間以内と従来のガス窒化処理等に比べる
と著しく短いという利点もある。しかし、この処理を連
続的に繰り返すと、表面荒れ、変色、表面硬度のロット
間ばらつき等の問題を発生する。
間が3時間程度であり、雰囲気の真空排気及び冷却時間
を含めても6時間以内と従来のガス窒化処理等に比べる
と著しく短いという利点もある。しかし、この処理を連
続的に繰り返すと、表面荒れ、変色、表面硬度のロット
間ばらつき等の問題を発生する。
【0013】硬化処理後の表面荒れに関しては、本開発
の経緯から、表面の化合物形成が影響していることが判
明している。すなわち硬化処理後に、結晶粒界部で、窒
化チタンTiNや酸化チタンTiO2 や炭化チタンTi
Cといった化合物形成または窒素や酸素や炭素の固溶拡
散による格子歪みから発生する結晶粒界部での応力集中
といった現象により、結晶粒界部での隆起が生じる。そ
してこの隆起の高さは、処理前のチタン及びチタン合金
自体の結晶粒のサイズが大きくなるほど高くなる。これ
をマクロで観察した場合、表面が荒れているように感じ
られ、外観品質が劣化し、特に鏡面の装飾部材には適用
できないということが分かった。また、表面に化合物を
形成すると、表面硬度も変化し、ロット間でばらつきを
生じる現象も発生し、再現性が得られない問題点もあっ
た。
の経緯から、表面の化合物形成が影響していることが判
明している。すなわち硬化処理後に、結晶粒界部で、窒
化チタンTiNや酸化チタンTiO2 や炭化チタンTi
Cといった化合物形成または窒素や酸素や炭素の固溶拡
散による格子歪みから発生する結晶粒界部での応力集中
といった現象により、結晶粒界部での隆起が生じる。そ
してこの隆起の高さは、処理前のチタン及びチタン合金
自体の結晶粒のサイズが大きくなるほど高くなる。これ
をマクロで観察した場合、表面が荒れているように感じ
られ、外観品質が劣化し、特に鏡面の装飾部材には適用
できないということが分かった。また、表面に化合物を
形成すると、表面硬度も変化し、ロット間でばらつきを
生じる現象も発生し、再現性が得られない問題点もあっ
た。
【0014】これらの問題は、硬化処理の雰囲気ガスと
して水蒸気や水素や酸素を使用していることが原因であ
ることが明らかとなった。すなわち、加熱処理後の冷却
過程まで水蒸気を導入したままにしておくと、処理槽内
壁に水蒸気が吸着する。そして、次のロット時におい
て、この吸着した水蒸気が昇温加熱中に発生して、表面
にチタン系の酸化物を形成する、という現象である。
して水蒸気や水素や酸素を使用していることが原因であ
ることが明らかとなった。すなわち、加熱処理後の冷却
過程まで水蒸気を導入したままにしておくと、処理槽内
壁に水蒸気が吸着する。そして、次のロット時におい
て、この吸着した水蒸気が昇温加熱中に発生して、表面
にチタン系の酸化物を形成する、という現象である。
【0015】サイクルタイムを短くしたまま、連続的に
処理するためには、吸着水を発生させないプロセスが必
要となり、本発明のプロセスによりこれらの問題点を解
消することが可能となる。
処理するためには、吸着水を発生させないプロセスが必
要となり、本発明のプロセスによりこれらの問題点を解
消することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】減圧下の窒素、水蒸気雰囲気で7
00℃以上の加熱処理をする事によりチタン及びチタン
合金の表面を硬化する硬化処理方法において、窒素、水
蒸気を用いた第一の硬化処理工程と水蒸気の濃度が10
00ppm以下の窒素或いはアルゴン、ヘリウムといっ
た不活性ガス雰囲気下で連続加熱する第二の雰囲気調整
処理工程からなるチタン或いはチタン合金の硬化処理方
法。
00℃以上の加熱処理をする事によりチタン及びチタン
合金の表面を硬化する硬化処理方法において、窒素、水
蒸気を用いた第一の硬化処理工程と水蒸気の濃度が10
00ppm以下の窒素或いはアルゴン、ヘリウムといっ
た不活性ガス雰囲気下で連続加熱する第二の雰囲気調整
処理工程からなるチタン或いはチタン合金の硬化処理方
法。
【0017】
【実施例】以下図面を用いて、本発明の金属装飾部材の
硬化方法について説明する。図1は本発明の硬化処理方
法の工程を示す概念図である。
硬化方法について説明する。図1は本発明の硬化処理方
法の工程を示す概念図である。
【0018】金属装飾部材として、形状が25mm×2
5mmのJIS二種の純チタンを用いた。処理面は研磨
が施してあり、表面粗さは、最大高さRmax値で10
nm程度であった。図3に示したように未処理の結晶粒
の大きさは50〜100μmのほぼ等大の球状組織であ
る。
5mmのJIS二種の純チタンを用いた。処理面は研磨
が施してあり、表面粗さは、最大高さRmax値で10
nm程度であった。図3に示したように未処理の結晶粒
の大きさは50〜100μmのほぼ等大の球状組織であ
る。
【0019】純チタンサンプルを真空熱処理装置内に配
置し、真空排気ポンプにより、1×10−5torr〜
1×10−6torrの減圧雰囲気下に排気した。そし
て、約7000ppmの濃度の水を含有させた窒素ガス
を流量計により一定流量で導入し、処理装置内を0.2
5torrの窒素、水蒸気雰囲気とした。そして、純チ
タンサンプルを一定の昇温速度で、730℃まで加熱
し、3時間730℃に保持した。次に、処理槽内に水蒸
気が約1000ppm以下の濃度のアルゴンガスを流量
計により一定量導入し、処理槽内を0.25torrの
アルゴン雰囲気とした後、30分間730℃に保持し
た。その後、一定の冷却速度で降温することによって、
本発明の硬化処理品が得られる。
置し、真空排気ポンプにより、1×10−5torr〜
1×10−6torrの減圧雰囲気下に排気した。そし
て、約7000ppmの濃度の水を含有させた窒素ガス
を流量計により一定流量で導入し、処理装置内を0.2
5torrの窒素、水蒸気雰囲気とした。そして、純チ
タンサンプルを一定の昇温速度で、730℃まで加熱
し、3時間730℃に保持した。次に、処理槽内に水蒸
気が約1000ppm以下の濃度のアルゴンガスを流量
計により一定量導入し、処理槽内を0.25torrの
アルゴン雰囲気とした後、30分間730℃に保持し
た。その後、一定の冷却速度で降温することによって、
本発明の硬化処理品が得られる。
【0020】図1は本発明の硬化処理方法の工程を示し
た概念図である。前述したように、微量な水を含有させ
た窒素ガスを用いた窒素と水の雰囲気中において730
℃に3時間保持する工程と高純度のアルゴンガスを用い
たアルゴン雰囲気中において730℃に30分間保持す
る工程を連続で行う工程である。
た概念図である。前述したように、微量な水を含有させ
た窒素ガスを用いた窒素と水の雰囲気中において730
℃に3時間保持する工程と高純度のアルゴンガスを用い
たアルゴン雰囲気中において730℃に30分間保持す
る工程を連続で行う工程である。
【0021】表1は、本発明の実施による評価結果と従
来技術の実施による評価結果を比較した表であり、評価
方法として、耐傷性の良否、ビッカース硬度、表面荒れ
度、結晶粒の大きさ、表面の化合物の有無、処理時間に
関して採用した。耐傷性の良否は砂落とし試験機、スク
ラッチ試験機により、ビッカース硬度は微小硬さ試験機
により、表面荒れ度は触針式の表面粗さ計による最大高
さにより、結晶粒の大きさは、電子顕微鏡による表面観
察により、表面化合物の有無はX線解析により行った。
評価結果は、耐傷性に優れ、ビッカース硬度が500以
上で最大高さが1μm(1000nm)以下であり、サ
イクルタイムの短いものに関して合格とした。
来技術の実施による評価結果を比較した表であり、評価
方法として、耐傷性の良否、ビッカース硬度、表面荒れ
度、結晶粒の大きさ、表面の化合物の有無、処理時間に
関して採用した。耐傷性の良否は砂落とし試験機、スク
ラッチ試験機により、ビッカース硬度は微小硬さ試験機
により、表面荒れ度は触針式の表面粗さ計による最大高
さにより、結晶粒の大きさは、電子顕微鏡による表面観
察により、表面化合物の有無はX線解析により行った。
評価結果は、耐傷性に優れ、ビッカース硬度が500以
上で最大高さが1μm(1000nm)以下であり、サ
イクルタイムの短いものに関して合格とした。
【0022】
【表1】
【0023】表1のAは、未処理のJIS二種純チタン
サンプルであり、表1のB1、B2及びB3は従来技術
の実施による評価結果、表1のC1は本発明の工程によ
り、ベーキングを使わずに連続的に処理を行ったときの
評価結果である。表1のAとB1より、650℃の処理
では、チタン内部での窒素、酸素、炭素の拡散係数が小
さく、硬化深さが得られないために、必要硬度は得られ
ない。一方、B2の850℃の処理では、拡散係数が大
きくなるために、必要硬度は得られるが、結晶粒が大き
くなり、表面にも化合物を形成するために、表面の荒れ
が著しく大きくなり、外観品質が劣化してしまう。B3
のように730℃の処理温度で窒素と水蒸気を用いるこ
とで、表面荒れを防止して、なおかつ必要な表面硬度が
得られるが、ベーキングが必要となるために、処理時間
が長くかかるため、ランニングコストが高くなる。本発
明の実施による処理品は、B3と同等の特性を示してい
る。これは、第一の硬化処理工程でB3と同等の硬化特
性を付与させているということと、1000ppm以下
の濃度の水を含有したアルゴン、ヘリウムといった不活
性ガス雰囲気下で加熱する第二の雰囲気調整処理工程に
より、処理槽内に吸着しやすい水分を排除できたこと
が、連続処理、すなわちベーキングをロット間に行う必
要性をなくし、処理サイクルの短縮化を可能とした。
サンプルであり、表1のB1、B2及びB3は従来技術
の実施による評価結果、表1のC1は本発明の工程によ
り、ベーキングを使わずに連続的に処理を行ったときの
評価結果である。表1のAとB1より、650℃の処理
では、チタン内部での窒素、酸素、炭素の拡散係数が小
さく、硬化深さが得られないために、必要硬度は得られ
ない。一方、B2の850℃の処理では、拡散係数が大
きくなるために、必要硬度は得られるが、結晶粒が大き
くなり、表面にも化合物を形成するために、表面の荒れ
が著しく大きくなり、外観品質が劣化してしまう。B3
のように730℃の処理温度で窒素と水蒸気を用いるこ
とで、表面荒れを防止して、なおかつ必要な表面硬度が
得られるが、ベーキングが必要となるために、処理時間
が長くかかるため、ランニングコストが高くなる。本発
明の実施による処理品は、B3と同等の特性を示してい
る。これは、第一の硬化処理工程でB3と同等の硬化特
性を付与させているということと、1000ppm以下
の濃度の水を含有したアルゴン、ヘリウムといった不活
性ガス雰囲気下で加熱する第二の雰囲気調整処理工程に
より、処理槽内に吸着しやすい水分を排除できたこと
が、連続処理、すなわちベーキングをロット間に行う必
要性をなくし、処理サイクルの短縮化を可能とした。
【0024】ここでは、金属装飾部材としてJIS二種
の純チタン部材を例にとって説明を行ったが、JIS一
種純チタン部材、JIS三種純チタン部材、チタン基を
含むチタン合金部材にも適用可能である。また、さらに
鉄基と炭素基からなる鉄鋼部材及びステンレス鋼にも適
用可能である。また、ここでの処理面については特に限
定せず、研磨面、ホーニング処理を行ったホーニング
面、ショットピーニング面、ヘアーライン面等の比較的
表面が荒れている面のいずれも適用可能である。
の純チタン部材を例にとって説明を行ったが、JIS一
種純チタン部材、JIS三種純チタン部材、チタン基を
含むチタン合金部材にも適用可能である。また、さらに
鉄基と炭素基からなる鉄鋼部材及びステンレス鋼にも適
用可能である。また、ここでの処理面については特に限
定せず、研磨面、ホーニング処理を行ったホーニング
面、ショットピーニング面、ヘアーライン面等の比較的
表面が荒れている面のいずれも適用可能である。
【0025】また、硬化層形成用のガスとして窒素ガス
を用いて説明を行ったが、O2、H2O、CO2の酸化用
ガス、NH3,N2H4の窒化用ガス、CO、CH4などの
炭化水素系の浸炭用ガス或いはN2+H2O、N2+H2
+O2、NO2、NO等の酸窒化用ガス、変成ガス等にも
適用される。
を用いて説明を行ったが、O2、H2O、CO2の酸化用
ガス、NH3,N2H4の窒化用ガス、CO、CH4などの
炭化水素系の浸炭用ガス或いはN2+H2O、N2+H2
+O2、NO2、NO等の酸窒化用ガス、変成ガス等にも
適用される。
【0026】また、ここでは第一の硬化処理工程及び第
二の雰囲気調整処理工程の温度として、いずれも730
℃としたが、どちらも700℃以上の温度範囲に適用可
能である。
二の雰囲気調整処理工程の温度として、いずれも730
℃としたが、どちらも700℃以上の温度範囲に適用可
能である。
【0027】
【発明の効果】以上述べてきたように、窒素、水蒸気を
用いた第一の硬化処理工程と水蒸気の濃度が1000p
pm以下の窒素或いはアルゴン、ヘリウムといった不活
性ガス雰囲気下で連続加熱する第二の雰囲気調整処理工
程からなるチタン或いはチタン合金の硬化処理方法によ
り、変色、表面荒れ、ロット間硬度ばらつきを発生する
ことなく、処理サイクルの短縮化が可能となった。これ
によって、金属部材自体の硬化処理を行った後でも、外
観品質の劣化がなく、特に装飾部材にも適用することが
できるようになった。
用いた第一の硬化処理工程と水蒸気の濃度が1000p
pm以下の窒素或いはアルゴン、ヘリウムといった不活
性ガス雰囲気下で連続加熱する第二の雰囲気調整処理工
程からなるチタン或いはチタン合金の硬化処理方法によ
り、変色、表面荒れ、ロット間硬度ばらつきを発生する
ことなく、処理サイクルの短縮化が可能となった。これ
によって、金属部材自体の硬化処理を行った後でも、外
観品質の劣化がなく、特に装飾部材にも適用することが
できるようになった。
【図1】図1は本発明の硬化処理方法の工程を示す概念
図である。
図である。
【図2】図2は従来の硬化処理方法の工程を示す概念図
である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】金属装飾部材の表面を硬化する硬化処理方
法であって、表面に硬化層を形成する第一の硬化処理工
程と、水蒸気の濃度が1000ppm以下の窒素或いは
アルゴン、ヘリウムといった不活性ガス雰囲気下で連続
加熱する第二の雰囲気調整処理工程からなる金属装飾部
材の硬化処理方法。 - 【請求項2】前記第一の硬化処理工程における雰囲気ガ
スが窒素と水蒸気であることを特徴とした請求項1記載
の金属装飾部材の硬化処理方法。 - 【請求項3】前記第一の硬化処理工程における雰囲気ガ
スが窒素と酸素であることを特徴とした請求項1記載の
金属装飾部材の硬化処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4332397A JPH10237619A (ja) | 1997-02-27 | 1997-02-27 | 金属装飾部材の硬化処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4332397A JPH10237619A (ja) | 1997-02-27 | 1997-02-27 | 金属装飾部材の硬化処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10237619A true JPH10237619A (ja) | 1998-09-08 |
Family
ID=12660616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4332397A Pending JPH10237619A (ja) | 1997-02-27 | 1997-02-27 | 金属装飾部材の硬化処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10237619A (ja) |
-
1997
- 1997-02-27 JP JP4332397A patent/JPH10237619A/ja active Pending
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