JP7197109B2 - ステンレス鋼製品、及び、ステンレス鋼製品の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼製品、及び、ステンレス鋼製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼に窒化処理又は浸炭処理が施されたステンレス鋼製品及びその製造方法に関する。
オーステナイト系ステンレス鋼は、不動態皮膜が表面に形成されており、優れた耐食性を有する。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、冷間加工性などに優れた高機能性の構造材料であるが、硬度が低く耐摩耗性に劣る。そのため、従来から、窒化処理又は浸炭処理によってオーステナイト系ステンレス鋼の耐摩耗性を向上させることで、耐摩耗性が要求される部材(機械部品など)に用いられている。なお、本明細書では、窒化処理と浸炭処理の2つを含む上位概念の用語として「表面熱処理」を用いる。
耐摩耗性が要求される部材では、硬化層(窒化層又は浸炭層)を厚くすることが必要となる。表面熱処理中におけるステンレス鋼(処理対象材)の表面温度を高くした方が短時間で厚い硬化層が得られる。そのため、窒化処理では、処理対象材の表面温度(処理温度)を500~600℃程度に設定することが一般的である。しかし、この場合、窒化層の表面から拡散してきた窒素がオーステナイト系ステンレス鋼中のクロムと結合しやすく、比較的多くの窒化クロムが析出する。これによって、不動態皮膜が表面に形成されにくくなり、窒化処理を行わない未処理材に比べて耐食性が大きく低下する。浸炭処理でも同様に、一般的な処理温度では比較的多くの炭化クロムが析出し、不動態皮膜が表面に形成されにくくなり、未処理材に比べて耐食性が大きく低下する。
このような事情に鑑みて、400℃程度の低温で表面熱処理を行うことが試みられている。例えば、特許文献1には、耐食性の劣化を抑えることができる表面熱処理として、300℃以上且つ500℃未満の雰囲気下で、窒化処理と浸炭処理の少なくとも一方を施すことが記載されている。同文献には、実施例として、雰囲気温度410℃での窒化処理と、雰囲気温度470℃での浸炭処理とがそれぞれ記載されている。
また、非特許文献1及び非特許文献2の各々には、SUS304とSUS316との各々について、処理温度が673K(摂氏400℃)で低温窒化処理を施した場合に形成される拡張オーステナイト相(以下、「S相」という。)と、処理温度が673Kで低温浸炭処理を施した場合に形成されるS相とに対する分析結果が記載されている。非特許文献1のP.12には、窒化処理又は浸炭処理が施された試験片は、マーブル液などによる耐食性の試験前に樹脂に埋込み研磨していることが記載され、同文献のP.17には、グロー放電分光装置(GDS,Glow discharge spectrometry)による分析結果として、窒化層の最表層は窒素濃度が高いことを示す図表と、浸炭層の最表層は炭素濃度が高いことを示す図表とが記載されている。また、同文献のP.3-4には、過去の論文におけるX線回折を用いた構造解析の結果としてS相にはクロム窒化物が含まれてないことが記載されている。
特開2015-48499号公報
榮川元雄、「低温プラズマ窒化・浸炭法によるオーステナイト系ステンレス鋼の窒化・浸炭機構に関する研究」、発行所の記載なし、2009年12月 榮川元雄、他1名、"オーステナイト系ステンレス鋼に対する低温プラズマ窒化・浸炭処理"、[online]、大阪府立産業技術総合研究所報告No.25,2011、地方独立行政法人 大阪府立産業技術総合研究所、[平成29年12月20日検索]、インターネット(URL:http://tri-osaka.jp/densi_kannkoubutu/syoho/TRI25(2011)29.pdf)
ところで、特許文献1や非特許文献1,2には、低温表面熱処理(低温窒化処理又は低温浸炭処理)は耐食性に優れていることが記載されている。しかし、実際には、表面熱処理に関わる開発者や研究者の間では、低温での処理を含めて表面熱処理は耐食性を低下させることが技術常識になっている。具体的には、低温表面熱処理は、高温表面熱処理(窒化処理の場合、500~600℃程度での処理)に比べて耐食性は優れているものの、未処理材に比べると依然として耐食性が大きく低下することが知られている。本願明細書に記載の比較例では、400℃で窒化処理が施されたオーステナイト系ステンレス鋼に対し、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を行った場合、4時間程度の短時間で錆が発生して変色している。
また、低温表面熱処理は、未処理材に比べて耐食性が大きく低下するが、低温表面熱処理後に研磨などを行って最表層を除去すれば、除去前に比べて耐食性が向上することが知られている。ここで、非特許文献1に記載されているように、低温窒化処理により得られたS相には、耐食性を劣化させる窒化クロムの存在が確認されていない。低温浸炭処理についても同様にS相に炭化クロムの存在は確認されていない。このことから、従来は、低温表面熱処理を施した場合に、窒素濃度(又は炭素濃度)が高い最表層が耐食性に悪い影響を与えると推測されていた。また、工業的には、低温表面熱処理を施したオーステナイト系ステンレス鋼から最表層を除去すれば、耐摩耗性が低下するため、使用できる用途が見つかっておらず低温表面熱処理は利用されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、オーステナイト系ステンレス鋼を母材とするステンレス鋼製品について、表面熱処理後に表層の除去を行うことなく、耐食性に優れたステンレス鋼製品を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に窒化層又は浸炭層として拡張オーステナイト相が形成されたステンレス鋼製品であって、拡張オーステナイト相の表面に、表層が除去された痕跡がなく、耐食性を劣化させるクロム化合物のクラスターが存在しない、ステンレス鋼製品である。
第2の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に窒化層又は浸炭層として拡張オーステナイト相が形成されたステンレス鋼製品であって、拡張オーステナイト相の表面には、表層が除去された痕跡がなく、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に、外観上において錆による変色箇所が存在しない、ステンレス鋼製品である。
第3の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に窒化層として拡張オーステナイト相が形成されたステンレス鋼製品であって、拡張オーステナイト相の表面は、押込み荷重を10mNとしたISO14577-1:2002に準拠したナノインデンテーション法による押込み硬さが15000N/mm以上であり、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に外観上において錆が生じない、ステンレス鋼製品である。
第4の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に浸炭層として拡張オーステナイト相が形成されたステンレス鋼製品であって、拡張オーステナイト相の表面は、押込み荷重を10mNとしたISO14577-1:2002に準拠したナノインデンテーション法による押込み硬さが13000N/mm以上であり、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に外観上において錆が生じない、ステンレス鋼製品である。
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、オーステナイト系ステンレス鋼は、SUS304又はSUS316である。
第6の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、高耐食性が要求される用途で使用される高耐食性ステンレス鋼製品である。
第7の発明は、オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に窒化層又は浸炭層が形成されたステンレス鋼製品の製造方法であって、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に途中で外観上において錆が生じるレベルに耐食性を劣化させるクロム化合物のクラスターが拡張オーステナイト相に生成されない温度範囲に、オーステナイト系ステンレス鋼の処理対象材の表面温度を維持しながら、処理対象材に対しプラズマ窒化処理又はプラズマ浸炭処理を施す処理ステップを備え、処理ステップ後に処理対象材の表層を除去するステップを行わない、ステンレス鋼製品の製造方法である。
第8の発明は、第7の発明において、オーステナイト系ステンレス鋼は、SUS304又はSUS316であり、処理ステップでは、340℃以上385℃以下の温度範囲に処理対象材の表面温度を維持しながら、処理対象材に対しプラズマ窒化処理を施す。
第9の発明は、第7の発明において、オーステナイト系ステンレス鋼は、SUS304又はSUS316であり、処理ステップでは、340℃以上385℃以下の温度範囲に処理対象材の表面温度を維持しながら、処理対象材に対しプラズマ浸炭処理を施す。
本発明によれば、オーステナイト系ステンレス鋼を母材とするステンレス鋼製品について、表面熱処理後に表層の除去を行うことなく、耐食性に優れたステンレス鋼製品を提供することができる。
図1は、実施形態に係るステンレス鋼製品の表層部分の断面図である。 図2は、実施例1,2及び比較例1について、窒素の発光強度プロファイルを示す図表である。 図3は、SUS304に窒化処理を施したステンレス鋼製品について、窒素濃度プロファイルを示す図表である。 図4は、SUS316に窒化処理を施したステンレス鋼製品について、窒素濃度プロファイルを示す図表である。 図5は、SUS304に浸炭処理を施したステンレス鋼製品について、炭素濃度プロファイルを示す図表である。 図6は、SUS316に浸炭処理を施したステンレス鋼製品について、炭素濃度プロファイルを示す図表である。 図7は、従来の低温窒化処理が施されたステンレス鋼の表層部分の断面図である。 図8は、実施例に係る塩水噴霧試験後の各試料の写真である。 図9は、SUS304に窒化処理を施したステンレス鋼製品について、処理温度毎のナノインデンテーション法による押し込み硬さを示す図表である。 図10は、SUS316に窒化処理を施したステンレス鋼製品について、処理温度毎のナノインデンテーション法による押し込み硬さを示す図表である。 図11は、SUS304に浸炭処理を施したステンレス鋼製品について、処理温度毎のナノインデンテーション法による押し込み硬さを示す図表である。 図12は、SUS316に浸炭処理を施したステンレス鋼製品について、処理温度毎のナノインデンテーション法による押し込み硬さを示す図表である。
以下、図1-図12を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本願の発明者は、オーステナイト系ステンレス鋼の表面温度を、従来の低温表面熱処理(400℃の表面熱処理)に比べて低い所定の温度範囲内に維持しながら表面熱処理(窒化処理又は浸炭処理)を施した場合に、表面熱処理後に表層を除去しなくても、未処理材(同じ鋼種の未処理材)と同等レベル又は同等に近いレベルの耐食性を有する硬化層11(窒化層又は浸炭層)が形成されたステンレス鋼製品10が得られることを見つけ出した。後述する中性塩水噴霧試験によって、低温表面熱処理に比べて耐食性が極めて優れていることを確認している(後述の表1及び表2参照)。
また、本実施形態に係るステンレス鋼製品10は、400℃程度の表面熱処理後に表層を除去する従来に比べて、硬化層11の表面が硬く耐摩耗性が優れている。本明細書では、表面熱処理が施されるステンレス鋼を「処理対象材」、表面熱処理中における処理対象材の表面温度を「処理温度」、従来の低温表面熱処理に比べて処理温度が低い表面熱処理を「極低温表面熱処理」という。
極低温表面熱処理として極低温窒化処理を施す時、上述の所定の温度範囲は、鋼種がSUS304(JIS,ISOナンバー304,化学成分組成が質量%で、Cr:18~20%、Ni:8~10.5%、C:0.08%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.045%以下、S:0.03%以下のオーステナイト系ステンレス鋼)の場合も、鋼種がSUS316(JIS,ISOナンバー316,化学成分組成が質量%で、Cr:16~18%、Ni:10~14%、Mo:2~3%、C:0.08%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、P:0.045%以下、S:0.03%以下のオーステナイト系ステンレス鋼)の場合も、340℃以上385℃未満である。また、極低温表面熱処理として極低温浸炭処理を施す時も、上述の所定の温度範囲は、鋼種がSUS304の場合もSUS316の場合も、340℃以上385℃未満である。
ステンレス鋼製品10は、図1に示すように、母材12と、その外側に積層された硬化層11とを備えている。硬化層11は拡張オーステナイト相(以下、「S相」という。)により構成されている。S相とは、通常のオーステナイト相よりも格子間距離が広がった面心立方格子構造(FCC構造)を有する窒素(又は炭素)の過飽和固溶体である。極低温窒化処理が施されたステンレス鋼製品10では、窒化層11(S相)の表面に、表層(最表層)が除去された痕跡がなく、耐食性を劣化させるクロム化合物(窒化クロム)のクラスターが存在しない。また、極低温浸炭処理が施されたステンレス鋼製品10では、浸炭層11(S相)の表面に、表層(最表層)が除去された痕跡がなく、耐食性を劣化させるクロム化合物(炭化クロム)のクラスターが存在しない。なお、クロム化合物のクラスターについては後述する。
従来に関して表層を除去する加工は、研磨処理加工やエッチング加工などである。表層が除去された痕跡の有無は、例えば、電子顕微鏡(SEM)でステンレス鋼製品10の表面を確認したり、グロー放電分光装置によって窒素濃度プロファイルを測定したりすることで特定することができる。後者に関し、図2-図4は、後述する実施例及び比較例について、グロー放電分光装置により測定した窒素濃度プロファイルを示す。実施例1を例に説明すると、表面から変曲点B付近までがS相に相当する。また、表面から変曲点A付近までを外側硬化層(最表層)11aといい、その内側部分を内側硬化層(S相の内側部分)11bという。
極低温窒化処理が施されたステンレス鋼製品10では、最表層11aに窒素濃度のピーク領域Xが生じる場合がある。この場合、もし極低温表面熱処理後に外側硬化層11aが除去された場合、窒素濃度のピーク領域Xが概ねなくなり、表面から窒化層11に亘って窒素濃度が低下し続ける。また、極低温窒化処理が施されたステンレス鋼製品10は、外側硬化層11aが除去さておらず表面が硬い。ステンレス鋼製品10の表面硬さは、処理温度が少し高い低温窒化処理の場合(最表層の除去なし)と同程度の硬さを有する(図9-10参照)。なお、窒素濃度プロファイル曲線において、曲線形状が上に凸から下に凸に変わる変曲点のうち、変曲点Aはピーク後の最初の変曲点であり、変曲点Bはその次の変曲点である。
また、極低温浸炭処理が施されたステンレス鋼製品10について、図5-図6では、最表層11aに炭素濃度のピーク領域は生じておらず、表面から浸炭層11に亘って炭素濃度が低下し続けている。最表面は煤(炭素)の堆積により炭素濃度が高くなっていると推測されるが、煤部分を除いた部分(炭素が固溶された部分)においても炭素濃度は十分に高い値である。また、極低温浸炭処理が施されたステンレス鋼製品10は、外側硬化層11aが除去さておらず表面が硬い。ステンレス鋼製品10の表面硬さは、処理温度が少し高い低温窒化処理の場合(最表層の除去なし)と同程度の硬さを有する(図11-12参照)。
ステンレス鋼製品10では、例えば、外側硬化層11aの厚みが1μm以下(処理温度によっては0.5μm以下)である。極低温窒化処理が施されたステンレス鋼製品10では、窒化層11の厚みが10μm以下(処理温度によっては5μm以下)である。また、極低温浸炭処理が施されたステンレス鋼製品10では、浸炭層11の厚みが14μm以下(処理温度によっては8μm以下)である。極低温表面熱処理では、処理温度が低いため薄膜の硬化層11が得られる。
ここで、極低温窒化処理が施された場合の窒素濃度プロファイルは、最表層11aの窒素濃度が高いという点で、低温窒化処理の場合と同じである。しかし、上述したように、極低温窒化処理が施されたステンレス鋼は、低温窒化処理に比べて耐食性が極めて優れている。このことから、本願の発明者らは、窒素濃度(又は炭素濃度)が高い最表層が耐食性に悪い影響を与えているのではないことに気が付き、さらに、低温窒化処理では微小な窒化クロムのクラスターが最表層の極表面に不純物として混じっており、この不純物によって耐食性が劣化していることに気が付いた。低温窒化処理では、最表層まで純粋なS相を得ることはできていなかった。このことは、浸炭処理においても同じであると推測できる。
低温表面熱処理で耐食性が劣化するメカニズムについて説明する。図7に示すように、低温表面熱処理が行われた直後の最表層11aには、クロム化合物のクラスター15が形成される。クラスター15ではクロムが集まってクロム濃度が高くなっている。そのため、クロムを奪われたクラスター15近傍には、クロム濃度が低いクロム欠乏部17が形成される。そして、健全な状態では酸素18の侵入を許容しない不動態皮膜14について健全性が低下する。その結果、酸素18が硬化層11に侵入し、その酸素18によって錆が生じてしまう。低温表面熱処理では、最表層11aの表面に複数のクロム化合物のクラスター15が点在し、そこが弱点となって錆が生成されていた。なお、クロム化合物のクラスター15は、「耐食性劣化因子」ということもでき、耐食性を劣化させるだけの数量のクロム化合物が集まっている。
一方、本実施形態に係る極低温表面熱処理で得られたステンレス鋼製品10は、S相における最表層11aに、耐食性を劣化させるだけの数量を持つクロム化合物のクラスターが存在しない。すなわち、最表層11aを含めて硬化層11の全厚さ範囲に亘って実質的に不純物(耐食性劣化因子)を含まない、純粋なS相が形成される。最表層11aにクロム化合物が存在していたとしても分散している状態であり、クロム欠乏部は形成されない。従って、ステンレス鋼製品10の全面に亘って健全な不動態皮膜が維持され、未処理材と同等レベル又は同等に近いレベルの高耐食性を有する。ここで言う高耐食性とは、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を150時間実施しても、外観上において錆が実質的に生じないレベルの耐食性である。
極低温窒化処理が施されたステンレス鋼製品10は、(A)優れた硬さ(ナノインデンテーション法による押込み硬さが15000N/mm以上)を有し、且つ、(B)高耐食性を有することが特徴であると言える。なお、低温窒化処理で表層を除去しない場合は(B)が該当せず、低温窒化処理で表層を除去する場合は(A)が該当しない。また、極低温浸炭処理が施されたステンレス鋼製品10は、(C)優れた硬さ(ナノインデンテーション法による押込み硬さが13000N/mm以上)を有し、且つ、(D)高耐食性を有することが特徴であると言える。なお、低温浸炭処理で表層を除去しない場合は(D)が該当せず、低温浸炭処理で表層を除去する場合は(C)が該当しない。
なお、極低温表面熱処理では、低温表面熱処理に比べて処理温度が低いため、表面熱処理中にクロムの動きが抑制され、表面熱処理後にクロムが分散した状態に維持される。極低温表面熱処理は、クロムを分散した状態に維持する表面熱処理とも言える。クロム化合物のクラスターが生成されるか否かは処理温度に依存している。そのため、SUS304とSUS316だけでなく、オーステナイト系ステンレス鋼の他の鋼種についても、クロムを分散した状態に維持できる温度範囲が存在すると言え、上述のクラスターが生成されない温度範囲が存在する。
なお、オーステナイト系ステンレス鋼は、常温域でオーステナイト単相のステンレス鋼である。オーステナイト系ステンレス鋼としては、Ti及びNbなどの特殊な元素を含まない汎用的なSUS304及びSUS316に加え、SUS201(JIS)、SUS202(JIS)、SUS301(JIS)、SUS303(JIS)、SUS305(JIS)、SUS317(JIS)などを含めて全鋼種を用いることができる。この全鋼種には、SUS304L(JIS)などのローカーボンの鋼種、SUS304Cu(JIS)などの銅を添加した鋼種なども含む。
[ステンレス鋼製品の製造方法]
ステンレス鋼製品10として窒化鋼製品10の製造方法は、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に途中で外観上において錆が生じるレベルに耐食性を劣化させる窒化クロムのクラスターがS相の最表層11aに生成されない温度範囲に、オーステナイト系ステンレス鋼の処理対象材の表面温度を維持しながら、処理対象材に対しプラズマ窒化処理(グロー放電によるイオン窒化処理)を施す処理ステップを備えている。また、浸炭鋼製品10の製造方法は、上述の中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に途中で外観上において錆が生じるレベルに耐食性を劣化させる炭化クロムのクラスターがS相の最表層11aに生成されない温度範囲に、オーステナイト系ステンレス鋼の処理対象材の表面温度を維持しながら、処理対象材に対しプラズマ浸炭処理(グロー放電によるイオン浸炭処理)を施す処理ステップを備えている。何れの製造方法でも、処理ステップ後に、処理対象材における硬化層11の表層(最表層)を除去するステップを行わない。
なお、プラズマ窒化処理における上述の温度範囲は、鋼種がSUS304の場合もSUS316の場合も、340℃以上385℃以下であり、好ましくは370℃以上385℃以下である。一方、プラズマ浸炭処理における上述の温度範囲は、鋼種がSUS304の場合もSUS316の場合も、340℃以上385℃以下であり、好ましくは370℃以上385℃以下である。
具体的に、ステンレス鋼製品10の製造方法では、まず所定の形状に加工されたオーテナイト系ステンレス鋼を処理対象材として準備する。次に、プラズマ処理装置における真空炉内の処理室に処理対象材を入れて処理室を密閉する。そして、所定の処理条件でプラズマ処理装置を運転させて、処理ステップを行う。
極低温窒化処理の処理ステップでは、ポンプによって処理室からガスを排気して処理室を真空状態(例えば、中真空の状態)にした後に、処理室に水素と窒素の混合ガスを導入して、陽極(真空炉の内壁)と陰極(処理対象材)との間にグロー放電を生成する。グロー放電の生成は、所定の処理時間に亘って継続する。グロー放電の生成期間は、処理対象材の表面温度が徐々に上昇していき、処理対象材の表面に窒化層が形成され始める。そして、処理対象材の表面温度がさらに上昇して上述の温度範囲内の設定温度(プラズマ処理装置に設定された温度)に到達すると、処理対象材の表面温度は設定温度に維持される。グロー放電は、プラズマ処理装置に設定された処理時間が経過するまで継続される。
また、グロー放電の生成期間中は、例えば、温度計(例えば放射温度計、熱電対など)によって処理対象材の表面温度を計測し、温度計による計測値が設定温度に維持されるように、陽極と陰極との間の電圧値及び電流値についてフィードバック制御を行う。なお、処理対象材の表面温度を一定値に制御せずに、上述の温度範囲から外れることなく、その温度範囲内に維持されるように陽極と陰極との間の電圧値及び電流値を制御してもよい。
処理温度以外の処理条件について、処理時間は、必要とされる窒化層11の厚みに応じて決定され、例えば1時間以上10時間以下(好ましくは2時間以上、さらに好ましくは4時間以上)に設定される。また、窒素ガスと水素ガスとを導入する前の真空状態は、例えば100Pa以下(好ましくは50Pa以下、さらに好ましくは10Pa以下)となるように減圧される。また、グロー放電の生成期間中における処理室は、ポンプによる排気を継続して処理室を一定の圧力(例えば200Pa以上600Pa以下)に維持される。また、処理室に導入する窒素ガスと水素ガスとの流量比は任意に設定することができる。例えば、窒素ガス:水素ガス=8:2とした場合でも、窒素ガス:水素ガス=1:1にした場合でも、耐食性を劣化させるクロム化合物(窒化クロムなど)のクラスターが最表層11aに存在しないS相が得られることを確認している。なお、処理条件は、この段落に記載の数値に限定されない。
なお、ステンレス鋼製品10の製造方法では、処理ステップ前に、処理対象材を被覆する不動態皮膜を除去する前処理を行ってもよいし、この前処理を行わなくてもよい。前処理に利用できる方法としては、塩素系ガスやフッ素系ガスの雰囲気中に処理対象材を設置するガス置換法、フッ素化水素酸水溶液などの溶液に処理対象材を浸す溶液溶解法、アミノ系樹脂を処理対象材に塗布して加熱する塗布法、水素ガスの雰囲気下で処理対象材を陰極にしてグロー放電を行う方法などが挙げられる。
極低温浸炭処理の処理ステップでは、ポンプによって処理室からガスを排気して処理室を真空状態(例えば、中真空の状態)にした後に、処理室にメタンと水素とアルゴンの混合ガスを導入して、陽極(真空炉の内壁)と陰極(処理対象材)との間にグロー放電を生成する。グロー放電の生成は、所定の処理時間に亘って継続する。グロー放電の生成期間は、処理対象材の表面温度が徐々に上昇していき、処理対象材の表面に浸炭層が形成され始める。そして、処理対象材の表面温度がさらに上昇して上述の温度範囲内の設定温度(プラズマ処理装置に設定された温度)に到達すると、処理対象材の表面温度は設定温度に維持される。グロー放電は、プラズマ処理装置に設定された処理時間が経過するまで継続される。
また、グロー放電の生成期間中は、例えば、極低温窒化処理と同様のフィードバック制御を行う。なお、処理対象材の表面温度を一定値に制御せずに、上述の温度範囲から外れることなく、その温度範囲内に維持されるように陽極と陰極との間の電圧値及び電流値を制御してもよい。
処理温度以外の処理条件について、処理時間は、必要とされる浸炭層11の厚みに応じて決定され、例えば1時間以上10時間以下(好ましくは2時間以上、さらに好ましくは4時間以上)に設定される。また、メタンと水素とアルゴンの混合ガスを導入する前の真空状態は、例えば100Pa以下(好ましくは50Pa以下、さらに好ましくは10Pa以下)となるように減圧される。また、グロー放電の生成期間中における処理室は、ポンプによる排気を継続して処理室を一定の圧力(例えば200Pa以上600Pa以下)に維持される。また、処理室に導入するメタンと水素とアルゴンとの流量比は任意に設定することができる。なお、処理条件は、この段落に記載の数値に限定されない。
[ステンレス鋼製品の用途]
本実施形態に係るステンレス鋼製品10は、未処理材と略同じレベルの高耐食性が必要とされる用途に用いることができる。その中でも、硬化層11(窒化層又は浸炭層)は薄膜であるため、小型製品(例えば、医療器具)に好適に用いることができる。高耐食性が要求される製品の中でも、高耐摩耗性を要求される製品(例えば、食品機械の刃、人工関節の部品)に用いることもできるし、高耐摩耗性が要求されない製品(例えば、他の金属部材と接触しない製品、カテーテル、燃料電池などのセパレーター)に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例の各々では、試料としてぼおいけは、縦50mm、横25mm、厚さ5.0mmのステンレス鋼を準備した。そして、準備ステップとして、6面フライス加工を施し、さらに表面と裏面に対して、平面研削、湿式ペーパー研磨、及び、3μmダイヤモンドラッピングをこの順番で行った。
次に、プラズマ処理装置を用いて窒化処理(又は浸炭処理)を行った。具体的な処理手順は、まずプラズマ処理装置の真空炉内に試料を入れた。次にポンプによって真空炉内のガスを排気して真空炉内を真空状態(0.13Pa)にした後、陽極(真空炉の内壁)と陰極(試料)との間にグロー放電を生じさせて、真空炉内に混合ガスを1.0L/minで導入し、試料の表面を窒化処理(又は浸炭処理)した。また、グロー放電の生成期間中は、放射温度計によって試料の表面温度を計測し、試料の表面温度がプラズマ処理装置の設定温度に到達した後、その設定温度に維持されるように、プラズマ処理装置のプラズマ生成部に対しフィードバック制御を行った。
<実施例1>
実施例1では、SUS304(JIS)のステンレス鋼を試料として用いた。また、設定温度(処理温度)は350℃、処理時間は4時間とした。
<実施例2>
実施例2では設定温度(処理温度)を370℃とした以外は、実施例1と同じ処理条件でプラズマ窒化処理を行った。
<比較例1>
比較例1では、設定温度(処理温度)を400℃とした以外は、実施例1と同じ処理条件でプラズマ窒化処理を行った。
[耐食性の試験]
各試料に対しJIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を1週間に亘って行った。試験結果を表1に示す。また、塩水噴霧試験後の各試料の写真を図8に示す。図8において、中央が実施例1、右側が実施例2、左側が比較例の写真である。表1及び図8から分かるように、実施例1及び実施例2の各試料については何れも錆の発生は実質的に認められなかった(錆による変色も実質的に認められなかった)。一方、比較例1の試料については錆の発生が顕著に認められた。
Figure 0007197109000001
また、表1に記載のSUS304に加え、SUS316の極低温窒化処理を行った試料(実施例3~4)と、SUS304の極低温浸炭処理を行った試料(実施例5)と、SUS316の極低温浸炭処理を行った試料(実施例6)とについて、上述の中性塩水噴霧試験を1週間に亘って行った。試験結果を表2に示す。
Figure 0007197109000002
各実施例3~6について、何れも錆の発生は実質的に認められなかった。表2によれば、SUS304の窒化処理に加え、SUS316の窒化処理とSUS304及びSUS316の浸炭処理とについても、処理温度385℃以下のステンレス鋼製品は、表層を除去しない場合であっても中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に外観上において錆が生じないことが確認できた。
[窒素濃度プロファイルの測定]
グロー放電分光装置(株式会社リガク製System3860)を用いて、実施例1~2及び比較例1の各試料について深さ方向における窒素の発光強度の変化(発光強度プロファイル)を測定した。発光強度の大きさは窒素濃度に対応している。図2に測定結果を示す。図2における発光強度プロファイル曲線では、実施例1と実施例2において、上に凸のピーク領域が最表層に存在する(上に凸のピーク領域から始まる)。一方、比較例では、上に凸のピーク領域は最表層にない。また、実施例1と実施例2は、比較例1よりも発光強度(窒素濃度)の最大値が大きくなった。
また、図2では縦軸として窒素の発光強度を示したが、別の試料について、元素濃度と発光強度の相関を求めた検量線を用いて、深さ方向における窒素濃度又は炭素濃度の変化を計測した。この計測は、表3に記載の処理条件及び処理条件で表面熱処理を行った試料を対象にして行った。試験装置は、図2の試験と同様に、グロー放電分光装置(株式会社リガク製System3860)を用いた。
Figure 0007197109000003
試験結果として、図3にSUS304の窒化処理の測定結果を示し、図4にSUS316の窒化処理の測定結果を示し、図5にSUS304の浸炭処理の測定結果を示し、図6にSUS316の浸炭処理の測定結果を示す。
窒化処理の測定結果では、処理温度によってピークの窒素濃度は変わらないが、処理温度が高いほど表面からの深い位置での窒素濃度が大きくなっていた。一方、浸炭処理の測定結果でも、処理温度によってピークの炭素濃度は変わらないが、処理温度が高いほど表面からの深い位置での窒素炭素が大きくなっていた。また、最表層における炭素濃度が高い値であった。その理由としては、表面に堆積した煤(炭素)の影響と推測される。何れの実施例でも炭素濃度のピーク値が3.8wt%以上となっていた。
[ナノインデンテーション法による押込み硬さの測定]
また、表3に記載の処理条件及び処理条件で表面熱処理を行った各試料について、株式会社エリオニクス製の超微小押し込み硬さ試験機(製品名 ENT-1100a)を用いて、ISO14577-1(First edition 2002-10-01)に準拠したナノインデンテーション法による押込み硬さ(ナノインデンテーション硬度)を測定した。各試料の測定において、押込み荷重は10mNとした。各試料について3点以上で測定値を得た。
試験結果を表4及び図9~12に示す。試験結果としては、各試料について最小値、最大値及び平均値を示す。本明細書では、3点以上の測定結果の平均値を「ナノインデンテーション法による押込み硬さ」とする。
Figure 0007197109000004
表4によれば、窒化鋼製品について、SUS304について処理温度が385度以下の試料における押込み硬さの平均値は15000N/mm以上であり、SUS316について処理温度が385度以下の試料における押込み硬さの平均値は15000N/mm以上であった。また、浸炭鋼製品について、SUS304について処理温度が385度以下の試料における押込み硬さの平均値は13000N/mm以上であり、SUS316について処理温度が385度以下の試料における押込み硬さの平均値は13000N/mm以上であった。
本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼に窒化処理又は浸炭処理が施されたステンレス鋼製品等に適用可能である。
10 ステンレス鋼製品
11 硬化層(窒化層、浸炭層)
11a 外側硬化層(最表層)
11b 内側硬化層
12 母材

Claims (6)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に窒化層として拡張オーステナイト相が形成されたステンレス鋼製品であって、
    前記拡張オーステナイト相の表面に、表層が除去された痕跡がなく、
    前記拡張オーステナイト相の表面は、押込み荷重を10mNとしたISO14577-1:2002に準拠したナノインデンテーション法による押込み硬さが15000N/mm 以上であり、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に外観上において錆が生じない、ステンレス鋼製品。
  2. オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に浸炭層として拡張オーステナイト相が形成されたステンレス鋼製品であって、
    前記拡張オーステナイト相の表面に、表層が除去された痕跡がなく、
    前記拡張オーステナイト相の表面は、押込み荷重を10mNとしたISO14577-1:2002に準拠したナノインデンテーション法による押込み硬さが13000N/mm 以上であり、JIS Z2371:2015(ISO 9227:2012)に準拠して中性塩水噴霧試験を168時間実施した場合に外観上において錆が生じない、ステンレス鋼製品。
  3. 前記オーステナイト系ステンレス鋼は、SUS304又はSUS316である、請求項1又は2に記載のステンレス鋼製品。
  4. 高耐食性が要求される用途で使用される、請求項1又は2に記載のステンレス鋼製品。
  5. オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に窒化層が形成されたステンレス鋼製品の製造方法であって、
    340℃以上385℃以下の温度範囲に、オーステナイト系ステンレス鋼の処理対象材の表面温度を維持しながら、前記処理対象材に対しプラズマ窒化処理を施す処理ステップを備え、
    前記処理ステップ後に前記処理対象材の表層を除去するステップを行わない、ステンレス鋼製品の製造方法。
  6. オーステナイト系ステンレス鋼の母材表面に浸炭層が形成されたステンレス鋼製品の製造方法であって、
    340℃以上385℃以下の温度範囲に、オーステナイト系ステンレス鋼の処理対象材の表面温度を維持しながら、前記処理対象材に対しプラズマ浸炭処理を施す処理ステップを備え、
    前記処理ステップ後に前記処理対象材の表層を除去するステップを行わない、ステンレス鋼製品の製造方法。
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