JP3064908B2 - 浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類およびそれらの製法 - Google Patents
浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類およびそれらの製法Info
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Description
い表面硬度の双方を備えた浸炭硬化時計部材もしくは装
飾品類およびそれらの製法に関するものである。
材、もしくは、装飾用ブレスレット等の装飾品類等にお
いては、従来から、耐蝕性を向上させるため、Niメッ
キや金メッキなどの湿式メッキ、あるいは、PVD(物
理蒸着法)等によるTiNコーティング等の硬質メッキ
が施されることが多かった。ところが、これらのコーテ
ィング方法では、上記メッキ皮膜やコーティング皮膜の
密着性が低いことから、皮膜剥離を起こしやすく、時計
部材や装飾品類の寿命が短くなるという問題がある。ま
た、ステンレスらしい本来の質感が失われて見栄えが悪
いという問題もある。そこで、耐蝕性の良いオーステナ
イト系ステンレス材を、上記のようなメッキ等を施さず
にそのまま用いた時計部材や装飾品類等が多くなってき
ている。
ようなオーステナイト系ステンレス材をそのまま用いた
時計部材や装飾品類は、耐蝕性に富んでおり錆にくい反
面、表面剛性に欠けることから、製品表面に引っかき傷
や打撲傷が付きやすく、それらが目立って外観品質が早
期に低下するという欠点を有している。
用いた時計部材や装飾品類について、窒化等のような浸
透硬化処理を適用することも検討されている。このう
ち、窒化処理は、オーステナイト系ステンレス材の表面
から、内部に窒素原子を拡散浸透させて、その表面層を
硬質窒化層に形成するという方法である。この方法で
は、製品の表面硬度は向上するものの、肝心の耐蝕性が
低下するという大きな問題がある。そのうえ、磁性を帯
びたり、製品の表面粗度が悪くなるという難点もあるた
め、特に、時計部材や装飾品類に適用するのは不適当で
ある。このように、窒化によって耐蝕性が低下するの
は、窒化層中において、オーステナイト系ステンレス材
自体に固溶するクロム原子(このクロム原子によって耐
蝕性の向上が実現される)が、窒化により、CrN,C
r2 N等のクロム窒化物となって消費され、母材中の固
溶量が減少することによるものと考えられる。また、こ
のような窒化物の生成により、表面が膨れたり、表面粗
度が悪くなる等の問題が生じる。これらのような問題か
ら、オーステナイト系ステンレス材の時計部材や装飾品
類について、窒化処理は適用されていないのが実情であ
る。
て、浸炭法が存在する。従来の浸炭法は、金属材の表面
を、炭素分を含有する浸炭性ガスと接触させ、表面層中
に炭素原子を拡散浸透させ、硬質な浸炭層を形成すると
いうものである。このような浸炭法においては、炭素原
子の浸透性と固溶限度を考慮し、一般に鉄のA1 変態点
である700℃以上の温度で浸炭処理が行われる。しか
し、通常、ステンレスのように高濃度のクロムを含有す
る金属を700℃以上の高温で浸炭すると、Cr
23C6 ,Cr7 C3 等のような熱力学的に安定なクロム
炭化物が、粒界や積層欠陥に多量に析出することが知ら
れている。これらの炭化物が析出すると、母材中に固溶
するクロム量が減少して耐蝕性がはなはだしく低下す
る。さらに、鉄の再結晶温度をはるかに越えた温度(鉄
の再結晶温度は略450℃)に長時間保持されることと
なり、母材が軟化して材料の芯部の強度も著しく低下す
るうえ、析出したクロム炭化物も粗大化するため、浸炭
層の硬度は一般的に低く、せいぜい表面硬度でHv60
0〜650程度のものしか得られない。
化やクロム炭化物の粗大化を防止するため、例えば、浸
炭温度を500℃以下に設定した場合には、オーステナ
イト系ステンレス材の表面に形成されている不働態酸化
皮膜の存在により、N,C等の浸入型固溶元素の浸透が
困難で、充分な硬化層を得ることができないという問題
がある。また、上記のような低温度域においては、炭素
源ガスとして使用されるCOが、〔2CO→C+C
O2 〕の反応(いわゆる、ブードアー反応)を生じるた
め、炉内に多量のカーボンが析出するという問題があ
る。一方、グロー放電を利用したイオン窒化法によれ
ば、400〜700℃の広い温度範囲で処理が行われる
ため、強固な不働態酸化皮膜を有するオーステナイト系
ステンレス材でも窒化は可能であるが、上記のような浸
炭処理の場合には、500℃以下という低温度域では、
析出したカーボンにより炉内が汚染されるため、放電作
用が不調となって実用的には処理不可能である。これら
のような理由から、オーステナイト系ステンレス材の時
計部材や装飾品類に対して浸炭処理を行うという技術の
適用は考慮されていない。
硬度の高い時計部材もしくは装飾品類は開発されていな
いのが実情である。
もので、オーステナイト系金属本来の耐蝕性を失わず、
かつ、高い表面硬度を有する浸炭硬化時計部材もしくは
装飾品類およびそれらの製法の提供をその目的とする。
め、本発明は、母材が、オーステナイト系金属からなる
時計部材もしくは装飾品類であって、浸炭処理後の最表
層の黒色酸化異常層を取り除いて得られる表面から10
〜50μmの深さの表面層が炭素原子の浸入によって硬
化して浸炭硬化層に形成され、この浸炭硬化層中には粗
大クロム炭化物粒子が存在していない浸炭硬化時計部材
もしくは装飾品類を第1の要旨とし、オーステナイト系
金属からなる材料を、所定の時計部材もしくは装飾品類
の形状に成形加工し、フッ素系ガス雰囲気下で加熱状態
で保持することによりフッ化処理し、ついで一酸化炭素
を含む浸炭性ガス雰囲気下に加熱状態で保持して浸炭処
理することにより表面に浸炭硬化層を形成し、浸炭処理
後の最表層の黒色酸化異常層を取り除く浸炭硬化時計部
材もしくは装飾品類の製法を第2の要旨とし、オーステ
ナイト系金属からなる材料を、所定の時計部材もしくは
装飾品類の形状に成形加工し、フッ素系ガス雰囲気下で
加熱状態で保持することによりフッ化処理し、ついでN
H 3 を含むガス雰囲気下で加熱状態で保持し、そののち
一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下に加熱状態で保持
して浸炭処理することにより表面に浸炭硬化層を形成す
る浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類の製法を第3の要
旨とする。
する表面硬度を向上させるため、一連の研究を重ねる過
程で、浸炭処理に際し、フッ素系ガスで前処理すると、
オーステナイト系ステンレス等のオーステナイト系金属
に対し、鋼のA1 変態点以下の低温での浸炭処理が可能
になるのではないかと着想し、これに基づき一連の研究
を重ねた。この研究の過程で、前記の着想のように、浸
炭処理に先立ち、または、浸炭処理と同時に、フッ素系
ガスで処理すると、オーステナイト系金属表面の不働態
酸化皮膜がフッ化膜に変換され、従来、不可能視されて
いた低温域での浸炭処理が可能になるのである。そし
て、その浸炭処理の温度も従来のような700℃以上の
温度ではなく500℃以下の温度にすると、形成される
浸炭硬化層中には粗大クロム炭化物粒子が存在しなくな
ることを見いだした。さらに、炭素の浸入固溶により、
浸炭硬化層にはオーステナイト相の結晶格子に大きな歪
みが生じ、浸炭層の硬度が非常に高くなることを突き止
めた。そして、時計部材もしくは装飾品類をオーステナ
イト系金属により形成し、上記のような処理を施すこと
により、その表面から10〜50μmの深さの表面層が
浸炭硬化層に形成され、しかも、オーステナイト系金属
自体の有する耐蝕性が殆ど損なわれないことを見いだ
し、本発明に到達した。このようにして得られた浸炭硬
化時計部材および装飾品類は、表面層が硬質で耐蝕性に
優れ、しかも、従来のように表面が膨れたり、表面粗度
が悪くなる等の難点もない。
物粒子が存在していないとは、金属材料の結晶構造解析
に一般に使用されるX線回折計(X−Ray Diff
raction meter)によって、Cr23C6 ,
Cr7 C3 ,Cr3 C2 等の結晶質のクロム炭化物が確
認できない状態をいう。すなわち、オーステナイト系金
属の基相であるオーステナイト相(γ−相)は、その結
晶構造が面心立方格子で格子定数がa=3.59Åであ
ることから、X線回折により特定の回折ピークが得られ
る。これに対し、Cr23C6 は、同じ面心立方格子であ
っても、格子定数がa=10.6Åであり、Cr7 C3
は、三方晶で格子定数がa=14.0Å,c=4.53
Åであり、Cr3 C2 は、斜方晶で格子定数がa=5.
53Å,b=2.821Å,c=11.49Åである。
このように、これらのクロム炭化物は、上記オーステナ
イト相とは結晶構造や格子定数が異なるため、上記オー
ステナイト相で得られるX線回折ピークとは異なるX線
回折ピークを生じる。したがって、浸炭硬化層に粗大ク
ロム炭化物粒子が存在すると、X線回折によってオース
テナイト相単相の場合には見られないクロム炭化物のX
線回折ピークが現出することになる。一方、本発明にお
ける浸炭硬化層は、母材の格子原子の間に炭素原子が侵
入固溶することによりクロム炭化物を形成せず母材同様
のオーステナイト相から形成されている。また、上記炭
素原子の侵入固溶によっては、クロム炭化物だけでな
く、他の鉄系の粗大炭化物粒子も形成されない。このた
め、X線回折によってもクロム炭化物等の炭化物のX線
回折ピークが現れないのである。ここで、上記粗大クロ
ム炭化物粒子および粗大炭化物粒子とは、通常、粒径が
0.1〜5μmの粒状のものをいうが、これより微細な
クロム炭化物等の炭化物であれば、浸炭硬化層中に含有
されていたとしても表面硬度や耐食性の向上等の効果に
は支障がなく、X線回折によってもクロム炭化物等の炭
化物のX線回折ピークは現れない。すなわち、本発明に
おいて粗大クロム炭化物粒子が存在していないとは、粒
径が0.1μm以下の超微細なクロム炭化物等の炭化物
が含有されたものを含むものとする。
るオーステナイト系金属が、クロムを15〜25重量%
含有するオーステナイト系ステンレスである場合には、
常温での冷間加工によっても、オーステナイト相が安定
であり、各種形状に加工した後においても炭素原子が侵
入固溶して起こる格子歪みによる硬化作用が充分得られ
る。さらに、オーステナイト系金属が、モリブデンを
1.5〜4重量%含有するオーステナイト系ステンレス
である場合には、浸炭による耐蝕性の低下が一層小さく
なるという効果が得られるようになる。また、上記浸炭
硬化層中の最大炭素濃度を、1.2〜2.6重量%にし
た場合には、オーステナイト相の格子歪みがさらに大き
くなり、表面硬度が一層高くなる。なお、フッ化処理終
了後、浸炭処理の前に、中間処理としてNH3 を含むガ
ス雰囲気下で加熱保持した場合には、浸炭硬化層の形成
が安定化する。
ついて詳しく説明する。
された時計部材もしくは装飾品類(以下「時計部材等」
と称する)に対して、フッ素系ガスを用いフッ化処理し
たのち、浸炭処理を施すことにより、その表面に浸炭硬
化層を形成するものである。
計用バンドやケーシング,文字盤外周のリング、あるい
は時計本体とベルトとを接続するピン類等各種のものが
あげられる。また、装飾品類としては、装飾用のブレス
レット,髪留め(いわゆる「バレッタ」),キーホルダ
ー等各種のものがあげられる。これらの時計部材もしく
は装飾品類には、オーステナイト系ステンレス材等のオ
ーステナイト系金属材料が多く使用されている。
ステナイト系ステンレス、例えば鉄分を50重量%(以
下「wt%」と略す)以上含有し、クロム分を10wt
%以上含有するオーステナイト系ステンレス等が挙げら
れる。具体的には、SUS316、SUS304等の1
8−8系ステンレス材や、クロムを23wt%、ニッケ
ルを13wt%含有するオーステナイト系ステンレスで
あるSUS310や309、さらに、クロム含有量が2
3wt%、モリブデンを2wt%含むオーステナイト−
フェライト2相系ステンレス材等が挙げられる。さら
に、耐熱鋼であるインコロイ(Ni30〜45wt%−
Cr10wt%以上,残部Fe等)も含まれる。また、
上記オーステナイト系金属には、ニッケル45wt%以
上、クロム20wt%、鉄30wt%、その他モリブデ
ン等を含むニッケル基合金も含まれる。このように、本
発明においてオーステナイト系金属とは、常温で実質的
(実質的とは、60wt%以上がオーステナイト相を有
することをいう)に、オーステナイト相を呈する全ての
金属を意味し、従って、ニッケルをオーステナイト安定
化元素であるマンガンで置換したような、Fe−Cr−
Mn系金属も含まれる。これらの中でも、浸炭硬化層深
さの点と素材価格の点からは、Ni含有量の出来るだけ
小さい安定型ステンレスが望ましいが、耐蝕性の観点か
らは、Ni含有量が多く、しかも、有価元素であるMo
を1.5〜4wt%程度までの範囲で含有するステンレ
スが望ましい。また、最も好適な金属としては、クロム
含有量が15〜25wt%で、常温の加工によってもオ
ーステナイト相の安定な安定型ステンレスであり、前述
したようにこの安定型ステンレスに1.5〜4wt%の
Moを添加したものが最も好適である。
属により形成された時計部材等に対し、浸炭処理に先立
って、フッ素系ガス雰囲気下でフッ化処理が行われる。
なお、このフッ化処理は浸炭処理と同時に行ってもよ
い。このフッ化処理には、フッ素系ガスが用いられる。
上記フッ素系ガスとしては、NF3 ,CF4 ,SF4 ,
C2 F6 ,BF3 ,CHF3 ,HF,SF6 ,WF6 ,
SiF4 ,ClF3 等からなるフッ素化合物ガスが挙げ
られ、これらは、単独でもしくは2種以上併せて使用さ
れる。また、これらのガス以外に、分子内にフッ素
〔F〕を含む他のフッ素系ガスも上記フッ素系ガスとし
て用いることができる。また、このようなフッ素化合物
ガスを熱分解装置で熱分解させて生成させたF2 ガス
や、あらかじめ作られたF2 ガスも上記フッ素系ガスと
して用いることができる。このようなフッ素化合物ガス
とF2 ガスとは、場合によって混合使用される。そし
て、上記フッ素化合物ガス,F2 ガス等のフッ素系ガス
は、それのみで用いることもできるが、通常はN2 ガス
等の不活性ガスで希釈されて使用される。このような希
釈されたガスにおけるフッ素系ガス自身の濃度は、容量
基準で、例えば、10000〜100000ppmであ
り、好ましくは20000〜70000ppm、より好
ましくは、30000〜50000ppmである。この
フッ素系ガスとして最も実用性を備えているのはNF3
である。上記NF3 は、常温でガス状であり、化学的安
定性が高く、取扱いが容易である。このようなNF3 ガ
スは、通常、上記N2 ガスと組み合わせて、上記の濃度
範囲内で用いられる。
と、本発明では、まず、オーステナイト系金属を所定の
形状に加工した時計部材等を未処理のまま炉内に入れ、
上記濃度のフッ素系ガス雰囲気下に、加熱状態で保持
し、フッ化処理する。この場合、加熱温度は、250〜
600℃、好適には、300〜500℃の温度範囲で行
われる。上記フッ素系ガス雰囲気中での上記時計部材等
の保持時間は、通常は、10数分〜数十分に設定され
る。上記時計部材等をこのようなフッ素系ガス雰囲気下
で処理することにより、その表面に形成されたCr2 O
3 を含む不働態皮膜がフッ化膜に変化する。このフッ化
膜は、上記不働態皮膜に比べ、浸炭の際の炭素原子の浸
透を容易にすると予想され、時計部材等の表面は、上記
フッ化処理によって炭素原子の浸透の容易な表面状態に
なるものと推測される。
後、浸炭処理を行う。浸炭処理は上記時計部材等を40
0〜500℃の温度、好適には400〜480℃の温度
に加熱し、炉内を浸炭用ガス雰囲気にして行われる。浸
炭温度を上記のように低い温度範囲に設定することによ
り、浸炭層中にCr23C6 等の結晶質のクロム炭化物が
析出せず、母材中のクロム原子が消費されないため、浸
炭硬化層の耐蝕性が維持される。また、低温度域での処
理であるため、炭化物の粗大化も起こらず、しかも、母
材芯部の軟化による強度低下も少ない。上記浸炭用ガス
としては、炭素源ガスとしてCOを用い、通常、このC
OとH2 ,CO2 ,N2 の混合ガスの形で使用される。
この浸炭性ガスの浸炭能力(カーボンポテンシャル:P
C 値)は、通常、雰囲気中のCOおよびCO2 の分圧値
PCO,PCO2 を用いて下記の式で表される。このPC 値
が大きいと、浸炭能力が大きくなり、表面炭素濃度が高
くなって表面硬度が高くなるが、炉内のすすの発生が多
くなる。それとは反対に、上記PC 値が小さいと浸炭能
力が小さくなり、表面炭素濃度が低くなって表面硬度は
低くなる。また、上記PC 値は、一定の限界点以上に設
定したとしても、形成される浸炭硬化層の表面硬度には
限界があることも判明している。
ナイト系金属から形成された時計部材等の表面に「炭
素」の拡散浸透層(浸炭硬化層)が均一に形成される。
この浸炭硬化層には、Cr23C6 ,Cr7 C3 ,Cr3
C2 等のような結晶質のクロム炭化物は生成されず、
T.E.M.(透過型電子顕微鏡)での観察によれば、
粒径0.1μm以下の極めて微細な金属の炭化物が認め
られるのみである。また、この超微細炭化物は、T.
E.M.のスペクトル分析によれば、母材と同一の化学
組成を有しており、格別にCrとCが結合した結晶質の
炭化物で構成されていない。さらに、上記浸炭硬化層
は、炭素原子が母材格子中に侵入固溶してクロム炭化物
を形成せず母材同様のオーステナイト相から形成されて
いる。この多量の炭素原子の浸入固溶により浸炭硬化層
は大きな格子歪を起こしている。上記微細炭化物と格子
歪みとの複合効果により、浸炭硬化層の硬度の向上を実
現し、マイクロビッカース硬度でHv700〜1050
という高硬度が得られる。しかも、結晶質のクロム炭化
物が生成せず、母材中のクロム原子を消費しないことか
ら、耐蝕性も未処理材と同程度を維持している。また、
浸炭処理した後の時計部材等の表面には、最表層に極薄
い酸化異常層が形成されるため、黒色を呈するが、機械
的研磨加工あるいは酸洗等の仕上げ処理により、上記酸
化異常層を取り除くことにより、未処理材と変わらない
ステンレス特有の金属光沢のある表面外観を得ることが
できる。そして、この浸炭硬化層は、JIS 2371
による塩水噴霧試験(SST)で、2000時間以上全
く発錆しないという優れた耐蝕性を示す。
は、例えば、図1に示すような金属製のマッフル炉で行
われる。すなわち、このマッフル炉内において、まずフ
ッ化処理をし、ついで浸炭処理を行う。図1において、
1はマッフル炉、2はその外殻、3はヒータ、4は内容
器、5はガス導入管、6は排気管、7はモーター、8は
ファン、11は金網製のかご、13は真空ポンプ、14
は排ガス処理装置、15,16はボンベ、17は流量
計、18はバルブである。上記炉1内に、例えばオース
テナイト系ステンレス材からなる時計部材等10を入
れ、ボンベ16を流路に接続しNF3 等のフッ素系ガス
を炉1内に導入して加熱しながらフッ化処理をし、つい
で排気管6からそのガスを真空ポンプ13の作用で引き
出し排ガス処理装置14内で無毒化して外部に放出す
る。つぎに、ボンベ15を流路に接続し炉1内に先に述
べた浸炭用ガスを導入して浸炭処理を行い、その後、排
気管6、排ガス処理装置14を経由してガスを外部に排
出する。この一連の作業によりフッ化処理と浸炭処理が
なされる。また、浸炭処理の後には、適宜バーンアウト
等を行い、炉内に析出したカーボン等を除去することが
行われる。なお、処理に使用する炉は、図1に示すよう
な1室型の炉だけでなく、フッ化処理と浸炭処理とを別
室で行う2室型の炉を用いてもよい。
調査するため、時計部材等の原材料に使用するのと同一
のSUS316材の板状ピース(b)を、本発明の処理
方法により処理を行い、X線回折に供した。すなわち、
上記板状ピース(b)を炉内に入れ、NF3 +N2 (N
F3 3容量%(以下「vol%」と称す),N2 97v
ol%)のフッ素系ガス雰囲気下において、350℃で
10分間フッ化処理し、ついで、上記フッ素系ガスを炉
から排出したのち、浸炭性ガス(CO20vol%+C
O2 2vol%+H2 40vol%混合ガス,残部
N2 )を炉内に導入し、480℃で16時間保持し、浸
炭処理を行った。また、上記板状ピース(b)との比較
用ピースとして、未処理材ピース(a)および浸炭処理
温度を600℃として硬化層を形成させたピース(c)
を作製した。上記3種類のピース(a)(b)(c)の
X線回折結果を図2に示す。600℃で処理したピース
〔図2(c)〕には、Cr23C6 ,Mo2Cのような通
常予想される炭化物の回折線が認められるが、本発明に
よる480℃で浸炭処理したピース〔図2(b)〕に
は、上記のような炭化物のピークはなく、結晶質のクロ
ム炭化物が生成していないことがわかる。したがって、
母材中に残存するクロム成分が多く、耐蝕性が高いもの
とみられる。
子の浸入固溶によるオーステナイト相の格子歪み発生に
起因することが考えられる。これは、480℃での浸炭
処理品〔図2(b)〕の基相であるオーステナイト相の
ピーク位置は、未処理材〔図2(a)〕のそれと比べ著
しく低角側(左側)にシフトしていることから、浸炭処
理したピース〔図2(b)〕には、大きな格子歪みが生
じていることが明らかである。なお、上記X線回折は、
RINT1500装置を用い、50kV,240mA,
Cuターゲット条件下で行った。
大クロム炭化物粒子が存在せず、未硬化層と同一組織の
結晶構造をもつオーステナイト相(γ−相)のみから形
成されていて、炭素の侵入固溶によって結晶格子が等方
に拡張しているだけであることが明らかである。
(c)および440℃で浸炭処理したピース(d)の浸
炭硬化層中の炭素濃度のEPMA分析結果を図3〜図5
に示す。本発明における代表的な温度範囲である480
℃で浸炭処理したピース(b)〔図3〕および440℃
で浸炭処理したピース(d)〔図4〕では、最大炭素濃
度は、1.8〜2.0wt%にも達している。これに対
し、600℃で処理したピース(c)〔図5〕において
は、最大炭素濃度が1.03wt%と相当低い。このよ
うに、本発明では、浸炭硬化層の炭素濃度が非常に高い
ことがもうひとつの特徴であり、高硬度の浸炭硬化層が
形成される一因となっている。なお、本発明において形
成される浸炭硬化層において、炭素濃度が最大になると
ころは、図3〜図5のEPMA分析結果からも明らかな
ように最表面である。この表面の最大炭素濃度は、浸炭
処理の際の雰囲気ガスのカーボンポテンシャル(P
C 値)によって変化するが、本発明で実施される温度領
域である400〜500℃での処理によって形成される
浸炭硬化層では、最大炭素濃度が1.2〜2.6wt%
の範囲の値をとることが判明している。
処理温度を一定とすれば処理時間に依存する。通常の浸
炭処理によれば、0.1mmから数mm程度の深さの拡
散層が形成されるものであるが、本発明では、処理温度
が500℃以下と低いために母材がそれほど軟化せず、
しかも、時計部材等という最終製品の要求からして、そ
れほど大きな面圧負荷がかからないため、0.1mm以
下、それも10〜50μm程度の浸炭硬化層が得られれ
ば充分である。本発明の方法による温度範囲では、3〜
30時間程度の処理時間で得ることができる。
械的研削研磨もしくは酸処理後バレル研磨等の最終仕上
げ処理が行われる。これらの加工によって、最表面に形
成された1〜3μmの酸化異常層が除去され、ステンレ
ス本来の金属光沢を有した表面外観が得られる。また、
本発明では、フッ化処理を施した後に浸炭処理を行うの
であるが、炉内の状況等によっては、フッ化処理の後す
ぐに浸炭処理に入るのではなく、中間処理として一旦N
H3 を20〜40分程度炉内に吹き込み、その後浸炭処
理をすることも行われる。このようなNH3 による中間
処理を行うことにより、浸炭硬化層の形成が安定すると
いう利点がある。これは、NH3 の添加により一時的に
最表層部分に微量のCrNが生成したことが影響してい
るものと推察される。上記中間処理を行った場合には、
NH3 を用いない場合と比べ、生成した浸炭硬化層表面
の、酸化異常層の厚さが若干増加する。この際の異常層
の除去は、酸処理によって行うことが望ましい。
イト系金属による時計部材等は、ステンレス本来の光沢
に由来する装飾性を備え、鋼の焼入れ品以上の表面硬度
と、高度の耐蝕性とを有している。したがって、従来の
メッキ品等に比べ、いかなる環境の下でも当初の美麗さ
を保持することができる。
12wt%−Mo2.5wt%)から成形加工した腕時
計の文字盤を複数個準備した。この文字盤を、まず、図
1に示す炉に装入したのち、480℃まで昇温した。つ
いで、フッ素系ガス(5vol%NF3 +95vol%
N2 混合ガス)を炉内に15分間吹き込み、フッ化処理
を行った。つぎに、フッ素系ガスを排出したのち浸炭性
ガス(CO10vol%+H2 20vol%+CO2 1
vol%,残部N2 の混合ガス)を吹き込み、その状態
で12時間保持して浸炭処理を行ったのち取り出した。
浸炭処理後の文字盤の外観は黒色を帯びていたが、この
内の1個をバレル研磨加工により黒色の異常層を除去し
たところ、ほぼ処理前と同様のステンレス特有の光沢を
有する外観となった。この文字盤について硬化層の状況
を調べると、表面硬度は、Hv850〜920(芯部硬
度はHv240)、硬化層の深さは、30μmであっ
た。一方、浸炭処理直後の黒色のもののうち別の1個
を、50℃に加温した15vol%HNO3 −5vol
%HF水溶液に20分間浸漬した後、バフ研磨を施した
ところ、これも処理前と同様の外観を示すようになっ
た。この文字盤についての硬化層の状況を調べると、表
面硬度はHv830〜880、硬化層の深さは29μm
であった。つぎに、これら仕上げ処理後の文字盤をSS
Tに供したところ、両者共2000時間を越しても全く
発錆せず、良好な耐蝕性を示した。これらの結果を下記
の表1に示す。
字盤に加えて、同様にSUS304材(Cr18wt%
−Ni7.5wt%),SUS310材(Cr25wt
%−Ni20wt%)から全く同一形状に加工したサン
プルをいずれも複数個準備した。これら3種類の文字盤
を図1に示す炉に入れ、450℃に加熱した。ついで、
フッ素系ガス(3vol%NF3 +97vol%N2 混
合ガス)を20分間吹き込み、フッ化処理した後、浸炭
性ガス(CO15vol%+H2 30vol%+CO2
1.5vol%,残部N2 )を21時間吹き込み浸炭処
理したのち取り出した。3種とも外観は、黒色を呈して
いたが、ソフトブラストをかけた後、研削バレル研磨加
工により黒色部を完全に除去した。硬化層の状況を調べ
たところ、表面硬度でSUS316L品がHv920〜
980(芯部硬度Hv240)、SUS304品がHv
1080〜1120(芯部硬度Hv250)、SUS3
10品がHv880〜930(芯部硬度Hv260〜2
70)であった。硬化層深さは、SUS316L品が2
8μm、SUS304品が20μm、SUS310品が
21μmであり、SUS316L品が最も硬化層が厚か
った。つぎに、これら3種類の文字盤をSSTに供し
た。その結果、SUS316L品およびSUS310品
は、2000時間を越しても発錆しなかったが、SUS
304品については、18時間で発錆した。これらの結
果を下記の表2に示す。
vol%HNO3 −5vol%HF溶液に20分間浸漬
して黒色の異常層を除去し、硬化層の状況を調べた。表
面硬度は、SUS316L品がHv850〜900、S
US304品がHv450〜500、SUS310品が
Hv830〜850、硬化層の深さは、SUS316L
品が27μm、SUS304品が6μm、SUS310
品が20μmであった。これらの結果を下記の表3に示
す。
S304材から加工した文字盤については、SUS31
6L,SUS310のものと比べて耐蝕性等に劣り、浸
炭処理にそれほど適していないことが明らかである。な
お、これら3種類の文字盤について強力永久磁石により
磁性を調べたところ、SUS316L品およびSUS3
10品は、処理前も処理後も全く磁性がなかったのに対
し、SUS304品では、処理前の段階でかなりの磁性
が認められた。すなわち、オーステナイト系相が安定で
なく、常温における加工により組織中に加工誘起マルテ
ンサイトが生成していたものと考えられ、このため、良
質な硬化層が得られなかったものと考えられる。
SUS310材の文字盤を、図1に示す炉に装入し、4
80℃に加熱した後、フッ素系ガス(5vol%NF3
+95vol%N2 混合ガス)を20分間吹き込んでフ
ッ化処理した後、さらに510℃まで昇温し、浸炭性ガ
ス(CO20vol%+H2 42vol%+CO2 2v
ol%,残部N2 )を8時間吹き込み、浸炭処理を行っ
たのち取り出した。そのままの状態で、硬化層の状況を
調査したところ、表面硬度は、SUS316L品がHv
1050〜1120、SUS310品がHv1090〜
1150であった。硬化層の深さは、SUS316L品
が45μm、SUS310品が38μmであった。これ
らの結果を下記の表4に示す。
ol%HNO3 −5vol%HF水溶液に20分間浸漬
した後取り出した。両者の硬化層の状況は、表面硬度
で、SUS316L品がHv580〜600、SUS3
10品がHv620〜630であった。硬化層の深さ
は、いずれも15〜22μmであり、しかも深さがばら
ついていた。これらの結果を下記の表5に示す。
を施したサンプルをSSTに供したが、SUS316L
品が27時間、SUS310品が32時間で共に赤錆が
発生した。これらの結果から、浸炭処理温度が510℃
に達すると硬化層の耐蝕性が著しく低下することがわか
る。
16L材より成形加工した時計ケーシングを複数個用意
した。これを図1に示す炉に装入し、480℃に加熱し
た後、フッ素系ガス(3vol%NF3 +97vol%
N2 混合ガス)雰囲気下で20分間保持してフッ化処理
を行った。ついで、20vol%NH3 +80vol%
N2 混合ガスを同温度で30分間吹き込むことにより中
間処理を行った。つぎに、NH3 ガスの吹き込みを停止
し、浸炭性ガス(CO10vol%+H2 20vol%
+CO2 0.5vol%,残部N2 )を吹き込み12時
間保持して浸炭処理を行ったのち取り出した。このサン
プルの硬化層の状況を調べたところ、最表層部に4〜5
μmの酸化異常層があり、この酸化異常層の厚さは実施
例1,2,3と比べ、2倍程度厚く形成されている。こ
れは、中間処理におけるNH3 ガスの添加により、最表
層部にCrNが生成し、その影響があったものと推察さ
れる。ついで、50℃の15vol%HNO3 −5vo
l%HF水溶液に25分間浸漬して黒色の異常層を除去
した後、硬化層の状況を調査したところ、表面硬度はH
v770〜920、硬化層の深さは31μmであり、実
施例1よりもやや厚く、上記酸化異常層は完全に除去さ
れていた。
による硬化層の耐蝕性は、浸炭温度が480℃から51
0℃に至る間で急激に変化することを示しており、この
温度範囲が遷移領域であることを物語っている。従っ
て、本発明においては、500℃以下、好ましくは48
0℃以下の温度で浸炭処理を施したものを対象とする。
一品種のワークピースを多数準備した。これらのピース
を図1に示す炉を用いて下記の表6に示す各種の処理条
件で浸炭処理を行った。そして、浸炭処理ののち、50
℃に加温した15vol%HNO3 −5vol%HF水
溶液を使用して酸洗処理を行なった。そののち、表面硬
度,硬化層深さおよびEPMA分析による表面の最大炭
素濃度の調査を行った。その結果を下記の表7に示す。
として浸炭処理温度に依存し、浸炭性ガス雰囲気のカー
ボンポテンンシャル(PC 値)によってそれほど大きな
影響はうけないことがわかる。一方、表面硬度は、雰囲
気のPC 値の影響を受けて変化するため、一定レベルの
表面硬度(Hv800以上)を得るためには、雰囲気の
PC 値コントロールが必要であることがわかる。また、
上記PC 値は、表面の最大炭素濃度にも影響しているこ
とがわかる。
L板状ピースを480℃で浸炭処理した処理品(b)お
よびSUS316L板材を600℃で浸炭処理した処理
品(c)のX線回折図である。
理した処理品(b)のEPMA分析結果図である。
理した処理品(d)のEPMA分析結果図である。
理した処理品(c)のEPMA分析結果図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 母材が、オーステナイト系金属からなる
時計部材もしくは装飾品類であって、浸炭処理後の最表
層の黒色酸化異常層を取り除いて得られる表面から10
〜50μmの深さの表面層が炭素原子の浸入によって硬
化して浸炭硬化層に形成され、この浸炭硬化層中には粗
大クロム炭化物粒子が存在していないことを特徴とする
浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類。 - 【請求項2】 母材が、オーステナイト系金属からなる
時計部材もしくは装飾品類であって、浸炭処理後の最表
層の黒色酸化異常層を取り除いて得られる表面から10
〜50μmの深さの表面層が炭素原子の浸入によって硬
化して浸炭硬化層に形成され、この浸炭硬化層が、炭素
原子が母材格子中に侵入固溶してクロム炭化物を形成せ
ず母材同様のオーステナイト相から形成されていること
を特徴とする浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類。 - 【請求項3】 浸炭硬化層の硬度が、マイクロビッカー
ス硬度で700〜1050(Hv)に形成されている請
求項1または2記載の浸炭硬化時計部材もしくは装飾品
類。 - 【請求項4】 オーステナイト系金属が、クロムを15
〜25重量%含有するオーステナイト系ステンレスであ
る請求項1〜3のいずれか一項に記載の浸炭硬化時計部
材もしくは装飾品類。 - 【請求項5】 オーステナイト系金属が、モリブデンを
1.5〜4重量%含有するオーステナイト系ステンレス
である請求項1〜4のいずれか一項に記載の浸炭硬化時
計部材もしくは装飾品類。 - 【請求項6】 浸炭硬化層中の最大炭素濃度が1.2〜
2.6重量%である請求項1〜5のいずれか一項に記載
の浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類。 - 【請求項7】 オーステナイト系金属からなる材料を、
所定の時計部材もしくは装飾品類の形状に成形加工し、
フッ素系ガス雰囲気下で加熱状態で保持することにより
フッ化処理し、ついで一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲
気下に加熱状態で保持して浸炭処理することにより表面
に浸炭硬化層を形成し、浸炭処理後の最表層の黒色酸化
異常層を取り除くことを特徴とする浸炭硬化時計部材も
しくは装飾品類の製法。 - 【請求項8】 浸炭処理の際の温度が、400〜500
℃に設定されている請求項7記載の浸炭硬化時計部材も
しくは装飾品類の製法。 - 【請求項9】 フッ化処理の際の温度が、300〜50
0℃に設定されている請求項7または8記載の浸炭硬化
時計部材もしくは装飾品類の製法。 - 【請求項10】 時計部材もしくは装飾品類を、フッ化
処理終了後、浸炭処理の前に、NH3 を含むガス雰囲気
下で加熱状態で保持する請求項7〜9のいずれか一項に
記載の浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類の製法。 - 【請求項11】 オーステナイト系金属からなる材料
を、所定の時計部材もしくは装飾品類の形状に成形加工
し、フッ素系ガス雰囲気下で加熱状態で保持することに
よりフッ化処理し、ついでNH 3 を含むガス雰囲気下で
加熱状態で保持し、そののち一酸化炭素を含む浸炭性ガ
ス雰囲気下に加熱状態で保持して浸炭処理することによ
り表面に浸炭硬化層を形成することを特徴とする浸炭硬
化時計部材もしくは装飾品類の製法。 - 【請求項12】 浸炭処理の際の温度が、400〜50
0℃に設定されている請求項11記載の浸炭硬化時計部
材もしくは装飾品類の製法。 - 【請求項13】 フッ化処理の際の温度が、300〜5
00℃に設定されている請求項11または12記載の浸
炭硬化時計部材もしくは装飾品類の製法。
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