JP4658843B2 - チタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法 - Google Patents

チタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は表面に硬化層を有するチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法に関するものである。
近年、チタンおよびチタン合金は軽い、錆びない、メタルアレルギーを起こさないといった特徴を利用して様々な分野に利用されており、これまで時計材料、指輪、ネックレスといった装飾品としても応用展開が図られてきた。また、最近では整形外科用インプラント等の医療部品への応用も始まっている。
しかし、チタンまたはチタン合金はそのままでは軟質で表面が傷つき易い欠点を持っている。特に鏡面を与えて美しさを訴求する部品では、表面に付いた傷は部品の価値の低下をもたらす。そのために従来はホーニング仕上げ等を行って傷を目立たなくしていた。そのために、チタンまたはチタン合金からなる装飾部材は表面が灰色にくすんだ暗い印象を与えていた。
チタンまたはチタン合金が傷つき易いという性質は部材が持つ表面硬度が低いからにほかならず、チタンまたはチタン合金に対し耐磨耗性、耐傷性を付与するために様々な硬化処理が提案されてきた。
その硬化処理方法としては、硬質Crメッキに代表される湿式メッキ、TiN、TiCに代表される乾式物理メッキが採用されてきたが、いずれも部材との密着性に難があり膜剥離等の問題は完全に解決されていない。
一方、チタンまたはチタン合金の基材を硬化させる方法としては、イオン注入、イオン窒化、ガス浸炭、ガス窒化などの方法が提案されてきた。ところが、イオン注入では多大な設備の割には処理能力が小さく工業的には成り立たないという欠点を有している。
また、簡便な方法としては古くからガス窒化法、すなわち窒素雰囲気下において加熱、保持することにより表面に硬度の高い窒化物を形成して表面の耐摩耗性、耐傷性を向上させる方法である。しかし、上記ガス窒化法では、変態点近くの温度(850℃〜870℃)に加熱するために、結晶粒が粗大化し、結晶粒界では結晶が隆起し、肉眼で見た場合に表面が荒れたように感じられ、外観品質が劣化し、特に鏡面の装飾部材には応用できないという問題があった。
さらに一方では、表面粗さの増加を生ぜずに表面硬度および耐摩耗性を高める方法として、不純物の極めて少ない高圧窒素雰囲気中で、比較的低温長時間加熱保持する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、チタンまたはチタン合金基材の表面下0.001〜0.01μmの深さに窒素、酸素、炭素が拡散固溶し硬化領域を形成し、表面には観測可能な窒化チタン(TiN等)は形成せず、表面硬度は向上するが表面粗さの増加を生ぜず、インプラントに適用した場合の対ポリマーの磨耗損傷を低減できるとしている。
しかし、この方法において提供されるインプラント用表面硬化部材は表面荒れの無い極めて平滑な硬化表面が得られるが、硬化深さは0.01μm程度であり、時計材料、指輪、ネックレスといった装飾品部材に適用するには硬化深さが不足しており実用的に耐傷性に優れた装飾部材は得られない。時計材料、指輪、ネックレスといった装飾品部材では、
人間が身に着けた使用状態で傷が発生しないような高い表面硬度が要求される。そのための実用的な硬化深さは10μm以上であること、また、表面硬度としてはビッカース硬度で700Hv(荷重50gw)以上であることが好ましい。また、表面粗さは、Rmaxで1μm以下であることが好ましい。
特許第3181946号公報(図2)
本発明の目的は、チタンまたはチタン合金の軟質材料からなる装飾部品において、使用中に傷が発生しないような高い表面硬度を与え、さらに装飾性を損なわないような表面荒れのない装飾部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明において上記課題を解決するために種々の表面処理を検討した結果、チタンまたはチタン合金の基材表面に貴金属薄膜を形成する工程と、基材を真空加熱炉内に配置し真空加熱炉内を排気する工程と、真空加熱炉内に窒素主体のガスを導入し減圧状態下で加熱する工程とを有することを特徴とするチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法を見出した。
また、基材表面に形成する貴金属薄膜は、Pt、Rh、PdまたはRuのうちの1種類以上の金属からなることが好ましい。
さらに、真空加熱炉内に導入する窒素主体のガスは、酸素と水素とを含む混合ガスであることが好ましい。
(作用)
チタンまたはチタン合金に対して古くから知られているガス窒化法、すなわち常圧の窒素雰囲気下において加熱、保持する方法では、800℃以上の高温で処理するので、極めて高硬度の窒化チタンが形成され、表面の硬化は達成されるが、窒化物の形成および再結晶により表面の荒れも激しく起こる。
一方、表面荒れを無くすために、大気圧またはそれ以上の窒素雰囲気下で400℃〜600℃の比較的低温で長時間処理すれば、窒化物の形成がなく表面荒れのない表面硬化部材が得られるが、その硬化深さは極めて小さい。
本発明では、上述の欠点を解消するために、チタンまたはチタン合金装飾基材表面に触媒作用を有する貴金属を表面に形成する。すなわち、貴金属の触媒作用によって窒素、酸素または水素が活性化され、貴金属を表面に形成しない場合に比べ、チタンまたはチタン合金表面との相互作用を促進させる。すなわち、チタンまたはチタン合金表面での窒素、酸素または水素との化学的反応および拡散が比較的低温で達成される。具体的には、加熱温度を620℃〜700℃と比較的低温に設定するだけで、チタンまたはチタン合金表面において貴金属とチタンの合金層を形成し、その下層に窒素、酸素の拡散層を形成させることが可能となり、その合金層と拡散層が硬化層となる。
また、チタンまたはチタン合金は窒素、酸素、水素、炭素等のガスとは極めて反応性が高く、加熱槽の不純物ガスの存在は製造上の安定性を脅かすものであることから、加熱槽は一旦十分排気した後、窒素主体のガスを導入し所定の圧力で加熱保持することが必要となる。これにより、表面荒れの原因となる窒化物の形成が抑えられると同時に、窒素、酸素の拡散もおこり表面硬化層を有する理想的な装飾部材が得られる。
すなわち、本発明によって得られるチタンまたはチタン合金装飾部材は、表面にチタンまたはチタン合金と貴金属からなる合金層、その下層に窒素、酸素の拡散層および下地層とからなる。合金層は高硬度の金属間化合物を形成し、拡散層は窒素と酸素の固溶体層(高硬度)を形成する。この合金層と拡散層とが硬化層であり、硬化層の深さは10μm以上、表面硬度は700Hv以上となる。また、表面粗さは、Rmaxで1μm以下となる。
また、表面に形成されるチタンまたはチタン合金と貴金属の合金層は貴金属の明るい色合いを呈し、装飾性に優れた部材を提供できるものである。
以上、述べてきたように本発明によれば、比較的低温で加熱するだけで必要な高硬度、高耐傷性を有し、しかも装飾性に優れたチタンまたはチタン合金装飾部材を提供する方法として格別の効果がある。
チタンまたはチタン合金の母材を各種装飾部品の形状に加工した後に、基材表面に貴金属薄膜を形成し、この基材を真空加熱槽に配置し排気し、さらに窒素主体のガスを導入し所定の圧力に保ち加熱することにより高硬度、高耐傷性の装飾部材を製造した。本発明の詳細を以下の実施例で説明する。
(第1の実施の形態)
本実施形態は母材として純チタン(JIS2種)を用い、その基材表面に貴金属薄膜を形成し、真空加熱槽に配置し、真空加熱槽を排気した後、窒素主体のガスを導入し所定の圧力に保って加熱保持する方法を採用した。
(実施例1)
図1は本発明の製造方法工程図を示すが、図面を参照して本発明の第1の形態を説明する。母材として純チタン(JIS2種)のφ20mm×t5mmのテストピースを用い、その片平面はRmax<0.1μmとなるように鏡面研磨を施した。
薄膜形成工程では、この基材であるテストピース片面にスパッタリング法を用いてPtからなる貴金属薄膜を50nmの厚さに形成した。膜厚は水晶膜厚モニタにより制御した。ここでPtからなる貴金属膜厚は20nm〜80nmが望ましい。これは、膜厚が20nm未満では触媒効果が小さく窒素、酸素の活性化が十分でないために基材表面での相互作用が小さい。また、膜厚が80nmを越えるとPt貴金属薄膜が純チタン表面からの窒素、酸素の拡散の抵抗として作用し拡散が抑えられるためである。
次に排気工程では、上記テストピースを真空加熱槽へ配置した後真空排気を行い、2×10-3Paまで排気した。排気のレベルとしては、残留ガスの影響をできるだけ抑えるために、拡散ポンプまたは分子ターボポンプで排気し、5×10-5Pa以下まで排気することが望ましい。
さらに加熱工程では、排気した真空加熱槽内へ酸素と水素を各500ppm含有する窒素混合ガスを導入し1.5Paの圧力に保ち加熱を開始した。ここで、酸素と水素の代わりに水蒸気ガスを含む窒素混合ガスを用いてもよい。なお、酸素と水素、または水蒸気の濃度は、最終処理部材の表面粗さが規定以下になるように適宜決めてよい。次に昇温速度10℃/分で所定の温度まで加熱した。本実施例での加熱温度は620℃〜680℃まで10℃おきに設定した。所定温度で3時間加熱した後Heガスを導入し常温になるまで冷却しテストピースを取り出した。なお、最終処理部材の特性に対する昇温速度および冷却
速度の影響はない。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表1に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとPtの合金層1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとPtの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例1と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表5に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲
で不合格の判定であった。
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度650℃で処理を行った結果、硬度、表面粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(実施例2)
薄膜形成工程においてPt金属薄膜を形成する代わりにRh金属薄膜を形成すること以外は実施例1と同様の図1に示す製造方法をとった。なお、本実施例での加熱温度は630℃〜680℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表2に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析
により、合金層1においてはチタンとRhの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例1と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表5に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度650℃で処理を行った結果、硬度、表面粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(実施例3)
薄膜形成工程においてPt金属薄膜を形成する代わりにPd金属薄膜を形成すること以外は実施例1と同様の図1に示す製造方法をとった。なお、本実施例での加熱温度は620℃〜680℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表3に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとPdの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例1と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表5に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度650℃で処理を行った結果、硬度、表面
粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(実施例4)
薄膜形成工程においてPt金属薄膜を形成する代わりにRu金属薄膜を形成すること以外は実施例1と同様の図1に示す製造方法をとった。なお、本実施例での加熱温度は630℃〜680℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表4に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層
1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとRuの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例1と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表5に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
Figure 0004658843
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度650℃で処理を行った結果、硬度、表面粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(第2の実施の形態)
本実施形態は母材としてチタン合金(Ti−6Al−4V)を用い、その表面に貴金属薄膜を形成し、真空加熱槽に配置し、真空加熱槽を排気した後、窒素主体のガスを導入し所定の圧力に保って加熱保持する方法を採用した。
(実施例5)
母材としての純のチタン代わりに、チタン合金(Ti−6Al−4V)を用いる以外は実施例1と同様の形状のテストピースを用い、図1に示す製造方法をとった。なお、また、薄膜形成工程ではPt貴金属薄膜を形成し、加熱温度は650℃〜700℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表6に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとPtの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例5と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表10に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度680℃で処理を行った結果、硬度、表面粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(実施例6)
薄膜形成工程においてPt金属薄膜を形成する代わりにRh金属薄膜を形成すること以外は実施例4と同様の図1に示す製造方法をとった。なお、本実施例での加熱温度は650℃〜700℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表7に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとRhの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例5と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表10に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度680℃で処理を行った結果、硬度、表面
粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(実施例7)
薄膜形成工程においてPt金属薄膜を形成する代わりにPd金属薄膜を形成すること以外は実施例4と同様の図1に示す製造方法をとった。なお、本実施例での加熱温度は650℃〜700℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表8に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層
1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとPdの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例5と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表10に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度680℃で処理を行った結果、硬度、表面粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
(実施例8)
薄膜形成工程においてPt金属薄膜を形成する代わりにRu金属薄膜を形成すること以外は実施例4と同様の図1に示す製造方法をとった。なお、本実施例での加熱温度は650℃〜700℃まで10℃おきに設定した。
本実施例で得られたテストピースの硬度試験、硬化深さ、表面粗さの測定結果を表9に示すが、これらの温度で処理した場合に表面硬度、硬化深さ、および表面粗さは良好な特性が得られ合格の判定であった。なお、表面硬度は荷重50gwでのビッカース硬度を示すが、700Hv以上を合格とし、硬化深さとして表面付近の断面における硬度測定を行い、硬度が300Hvとなる表面からの深さ(μm)を硬化深さと定義し、硬化深さとしては10μm以上で合格とした。さらに、表面粗さとしては接触式の表面粗さ計で測定し、Rmaxが0.3μm以下で合格とした。
Figure 0004658843
また、図2には本発明によって得られる装飾部材の表面近傍の断面摸式図を示す。このように、下地層3の上に窒素と酸素の拡散層2が存在し、その上にチタンとRhの合金層1が形成していることがEPMAによる分析で確認された。さらに、X線回折による分析により、合金層1においてはチタンとRuの金属間化合物の形成が確認され、拡散層2においては、チタンの回折ピークの低角度側へのシフトが見られ、窒素と酸素がチタン格子中に侵入型で固溶しているのが確認された。以上より、これら合金層1と拡散層2とにより表面の硬化層が形成されている。また、貴金属を含む合金層1により表面の明るい色合いが実現されている。
比較例として、実施例5と同じテストピースを用い貴金属薄膜を形成させることなく、本発明における薄膜形成工程以外は同一の工程で硬化処理を行った。その結果を表10に示すが、硬化深さで一部合格の加熱温度領域もあるが、表面硬度、表面粗さでは全温度範囲で不合格の判定であった。
Figure 0004658843
上記で記載した本発明による方法により、純チタンからなる時計ケース、時計バンド、ネックレス、指輪を用い、代表的な加熱温度680℃で処理を行った結果、硬度、表面粗さ、表面の色合いについて良好な装飾部材が得られた。
本発明のチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法を示す製造工程図である。 本発明のチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法によって得られる装飾部材表面の模式断面図である。
符号の説明
1 合金層
2 拡散層
3 下地層
4 薄膜形成工程
5 排気工程
6 加熱工程

Claims (3)

  1. 基材表面に貴金属薄膜を形成する薄膜形成工程と、該貴金属薄膜を形成した基材を真空加熱炉内に配置し、該真空加熱炉内を排気する排気工程と、該真空加熱炉内に窒素ガス主体のガスを導入し加熱する加熱工程とを有するチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法。
  2. 前記貴金属薄膜が、Pt、Rh、PdまたはRuのうちの1種類以上の金属からなることを特徴とする請求項1に記載のチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法。
  3. 前記窒素ガス主体のガスが、酸素と水素とを含む混合ガスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチタンまたはチタン合金装飾部材の製造方法。
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