JP2007084867A - 装飾部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの軟質基材からなる時計外装部品、ピアス、イヤリング、指輪、メガネフ−ム、ペンダント、ネックレス、ブレスレット、ブロ−チなどの装飾部品の表面に、Hf、Ti、Zrのうちから少なくとも1種類以上の金属からなる窒化物層とAu合金層が交互に繰り返し積層され、最表層がAu合金層である多層積層構造の硬化層を形成させることにより衝撃によるキズが発生しない高硬度、高耐傷性で腐蝕が発生しない高耐蝕性で金色色調の装飾部品が達成される。
【選択図】 図1
Description
金合金を主体とする硬化層は各種あるが、その特徴はいずれも酸やアルカリに対して長時間の浸漬でも腐蝕が全く発生せず、純Auに比べ機械的強度が高いことである。また、HfN、TiN、ZrNなどの窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層膜間の密着は良好で剥離が発生することはない。本発明はこれらの特徴を活かして上記課題を解決させたものである。すなわち、HfN、TiN、ZrNなどの窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層し、最表層がAu合金層である多層積層構造の硬化層を形成することで、さらにより高硬度、高耐傷性の硬化層が形成され、耐衝撃によるキズが発生しない高硬度、高耐傷性、高耐蝕性の装飾部品が達成されるのである。
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素を添加したガスプラズマ雰囲気中で任意組成の金属と金合金を交互に蒸発させ、装飾部品表面に任意組成の窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層構造の硬化層を形成させる手法を採用した。
図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図1は軟質基材からなる平板の表面にHf、Ti、Zrのうちから少なくとも1種類以上の金属からなる窒化物層とAu合金層が交互に繰り返し積層され、最表層がAu合金層である多層積層構造の硬化層を示す模式図である。図2は時計外装部品である時計ケース2の断面模式図である。時計ケース2を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArと窒素を導入してArと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.2Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のHfタ−ゲットとAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により時計ケースの表面に、HfN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層4を形成させた。膜厚は設定値でHfN層が1層当たり0.025μm(25nm)となるように、またAu合金層も1層当たり0.025μm(25nm)となるように調整し、それぞれ16層ずつ積層し合計で膜厚が0.8μmとなるように成膜時間を調整し成膜を行なった。時計ケースの基材材質にはTiを使用した。またAu合金には任意組成のAu−Ni合金を使用した。
実施例1と同様に、真空装置内を真空排気した後にArと窒素を導入してArと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.2Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のHfタ−ゲットとAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により装飾部品の表面に、HfN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層を形成させた。膜厚は設定値でHfN層が1層当たり0.01μmから0.045μmの間の任意値となるように、またAu合金層も1層当たり0.005μmから0.025μmの間で任意の値となるように調整し、それぞれ16層ずつから、40層ずつまでの間で任意の層数を積層し合計で膜厚が0.8μmまたは0.81μmとなるように成膜時間を調整し成膜を行なった。装飾部品には時計バンド、時計ベゼル、裏蓋及び中留などの時計外装部品を使用した。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、SUS304及びSUS316Lを使用した。またAu合金には任意組成のAu−Ni合金を採用した。
本発明の実施形態の比較例1−14としてTi、Ti合金、SUS304及びSUS316Lからなる時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留の表面にAu−Ni膜、Au−Pd膜を湿式メッキ法により形成させた。
材面の露出がないものを合格とした。耐蝕性試験はCASS試験溶液に48時間浸漬を行い腐蝕が全く発生しないものを合格とした。これら3項目を全てに合格したものを総合評価結果で合格とした。
、装飾部品と同じ基材材質の平板状の試験片に窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し成膜した硬化層面を下向きにして、試験片押さえ板と試験片押さえねじとによって試験片取り付け台の開口部に固定する。次いで、摩耗輪に研磨紙を取り付ける。この摩耗輪に対し、天秤機構によって研磨紙を試験片に押し付けるような上向きの加重を印加する。その後、試験片取り付け台を、モーターの回転運動を往復運動に変換する機構によって往復運動させ、さらに摩耗輪を試験片取り付け台の1往復ごとに角度0.9°ずつ回転させる。この回転によって、試験片を摩耗輪に取り付けた研磨紙の摩耗していない新しい領域と常に接触することになる。試験取り付け台の往復回数は自動設定することが可能で、設定した往復回数で摩耗試験機が停止するようになっている。摩耗輪に取り付ける研磨紙としては、ラッピングフィルム(フィルム表面に粒子径12μm程度のアルミナ粒子がある#1200)を用いた。試験片と研磨紙間の接触加重は100gfとし、試験片取り付け台の往復運動回数は50回とした。
摩耗性試験では摩耗試験後に下地基材面の露出があり不合格、硬度試験ではビッカース硬度がHv=500以下と低硬度で不合格であった。従って総合評価は全ての比較例が不合格であった。
本実施形態も第1の実施形態と同様、任意の不活性ガスに窒素を添加したガスプラズマ雰囲気中で任意組成の金属と金合金を交互に蒸発させ、装飾部品表面に任意組成の窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層構造の硬化層を形成させる手法を採用した。
第1の実施形態と同様に、真空装置内を真空排気した後にHeと窒素を導入してHeと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.14Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のHfタ−ゲット、Tiターゲット及びAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により装飾部品の表面に、HfN膜またはTiN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層を形成させた。膜厚は設定値でHfN層またはTiN層が1層当たり0.025μmから0.045μmの間の任意値となるように、またAu合金層も1層当たり0.005μmから0.025μmの間で任意の値となるように調整し、それぞれ12層ずつから、20層ずつまでの間で任意の層数を積層し合計で膜厚が0.6μmまたは1.0μmとなるように成膜時間を調整し成膜を行なった。装飾部品には時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、リューズ及び尾錠などの時計外装部品を使用した。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、SUS304及びSUS316Lを使用した。実施例15−24では窒化物層にHfN膜を、実施例25−34では窒化物層にTiN膜を採用した。またAu合金には任意組成のAu−Ni合金を採用した。
本実施形態も第1の実施形態と同様、任意の不活性ガスに窒素を添加したガスプラズマ雰囲気中で任意組成の金属と金合金を交互に蒸発させ、装飾部品表面に任意組成の窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層構造の硬化層を形成させる手法を採用した。
第1の実施形態と同様に、真空装置内を真空排気した後にArと窒素を導入してArと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.27Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のHfタ−ゲット、及びAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により装飾部品の表面に、HfN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層を形成させた。膜厚は設定値でHfN層が1層当たり0.01μmから0.035μmの間の任意値となるように、またAu合金層も1層当たり0.005μmから0.02μmの間で任意の値となるように調整し、それぞれ14層ずつから、50層ずつまでの間で任意の層数を積層し合計で膜厚が0.4μmから1.0μm間の膜厚となるように成膜時間を調整し成膜を行なった。装飾部品には時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、リューズ及び尾錠などの時計外装部品を使用した。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304及びSUS316Lを使用した。またAu合金には任意組成のAu−Ni合金を採用した。
本実施形態も第1の実施形態と同様、任意の不活性ガスに窒素を添加したガスプラズマ雰囲気中で任意組成の金属と金合金を交互に蒸発させ、装飾部品表面に任意組成の窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層構造の硬化層を形成させる手法を採用した。
第1の実施形態と同様に、真空装置内を真空排気した後にArと窒素を導入してArと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.14Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のHfタ−ゲット及びAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により装飾部品の表面に、HfN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層を形成させた。膜厚は設定値でHfN層が1層当たり0.01μmから0.045μmの間の任意値となるように、またAu合金層も1層当たり0.005μmから0.025μmの間で任意の値となるように調整し、それぞれ15層ずつから、40層ずつまでの間で任意の層数を積層し合計で膜厚が0.6μmまたは0.8μm前後となるように成膜時間を調整し成膜を行なった。装飾部品には時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、リューズ及び尾錠などの時計外装部品とピアス、イヤリング、指輪、メガネフレーム、ペンダント、ブローチ、ネックレス、ブレスレットなどの装飾部品を使用した。装飾部品の基材材質にはTi、Ti合金、Al合金、黄銅、SUS304及びSUS316Lを使用した。またAu合金には任意組成のAu−Pd合金、Au−Pt合金、Au−Cr合金、Au−Ta合金、Au−Nb合金、Au−Ti合金、Au−Zr合金、Au−Hf合金を採用した。
本実施形態も第1の実施形態と同様、任意の不活性ガスに窒素を添加したガスプラズマ雰囲気中で任意組成の金属と金合金を交互に蒸発させ、装飾部品表面に任意組成の窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層構造の硬化層を形成させる手法を採用した。
第1の実施形態と同様に、真空装置内を真空排気した後にArと窒素を導入してArと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.14Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTiターゲット及びAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により装飾部品の表面に、TiN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層を形成させた。膜厚は設定値でTiN層が1層当たり0.01μmから0.045μmの間の任意値となるように、またAu合金層も1層当たり0.005μmから0.025μmの間で任意の値となるように調整し、それぞれ15層ずつから、40層ずつまでの間で任意の層数を積層し合計で膜厚が0.6μmまたは0.8μm前後となるように成膜時間を調整し成膜を行なった。装飾部品には時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、リューズ及び尾錠などの時計外装部品とピアス、イヤリング、指輪、メガネフレーム、ペンダント、ブローチ、ネックレス、ブレスレットなどの装飾部品を使用した。装飾部品の基材材質にはTi、Ti合金、Al合金、黄銅、SUS304及びSUS316Lを使用した。またAu合金には任意組成のAu−Pd合金、Au−Pt合金、Au−Cr合金、Au−Ta合金、Au−Nb合金、Au−Ti合金、Au−Zr合金、Au−Hf合金を採用した。
本実施形態も第1の実施形態と同様、任意の不活性ガスに窒素を添加したガスプラズマ雰囲気中で任意組成の金属と金合金を交互に蒸発させ、装飾部品表面に任意組成の窒化物層とAu合金層を交互に繰り返し積層させた多層構造の硬化層を形成させる手法を採用した。
第1の実施形態と同様に、真空装置内を真空排気した後にArと窒素を導入してArと窒素の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.14Paに保った混合ガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のZrターゲット及びAu合金ターゲットを使用し、DCスパッタ法により装飾部品の表面に、ZrN膜とAu合金膜を交互に繰り返し成膜し硬化層を形成させた。膜厚は設定値でTiN層が1層当たり0.01μmから0.045μmの間の任意値となるように、またAu合金層も1層当たり0.005μmから0.025μmの間で任意の値となるように調整し、それぞれ15層ずつから、40層ずつまでの間で任意の層数を積層し合計で膜厚が0.6μmまたは0.8μm前後となるように成膜時間を調整し成膜を行なった。装飾部品には時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、リューズ及び尾錠などの時計外装部品とピアス、イヤリング、指輪、メガネフレーム、ペンダント、ブローチ、ネックレス、ブレスレットなどの装飾部品を使用した。装飾部品の基材材質にはTi、Ti合金、Al合金、黄銅、SUS304及びSUS316Lを使用した。またAu合金には任意組成のAu−Ni合金、Au−Pd合金、Au−Pt合金、Au−Cr合金、Au−Ta合金、Au−Nb合金、Au−Ti合金、Au−Zr合金、Au−Hf合金を採用した。
不活性ガスにArを、第2の実施形態では不活性ガスにHeを使用しているが不活性ガスはプラズマを発生させるために使用したもので、ArやHeに限らずXe、Krなどの他の不活性ガスに替えても構わない。
4 硬化層
Claims (3)
- 表面に硬化層を有する装飾部品であって、前記硬化層はHf、Ti、Zrのうちから少なくとも1種類以上の金属からなる窒化物層とAu合金層とが交互に繰り返し積層され、最表層が該Au合金層である装飾部品。
- 前記窒化物層はHfN、TiNまたはZrNであることを特徴とする請求項1に記載の装飾部品。
- 前記Au合金層はAu−Ni合金、Au−Pd合金、Au−Pt合金、Au−Cr合金、Au−Ta合金、Au−Nb合金、Au−Ti合金、Au−Zr合金またはAu−Hf合金を主体とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装飾部品。
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