JP2005274464A - 時計外装部品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの材料からなる時計外装部品において、使用中に傷が発生しない高硬度で腐蝕が発生しない金色色調の時計外装部品とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 時計外装部品の表面にAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を形成させるか、または時計外装部品の表面にTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層と、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を形成させることにより衝撃によるキズが発生しない高硬度で腐蝕が発生しない高耐蝕性で金色色調の時計外装部品が達成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 時計外装部品の表面にAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を形成させるか、または時計外装部品の表面にTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層と、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を形成させることにより衝撃によるキズが発生しない高硬度で腐蝕が発生しない高耐蝕性で金色色調の時計外装部品が達成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、表面にAuを含有する金色色調の硬化層を有する時計外装部品とその製造方法に関するものである。
時計バンド、時計ケ−ス、べゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズなどの時計外装部品には、部品加工が容易な材料であるステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などが広く採用されている。しかしながらこれらの材料を加工した時計外装部品は使用中のキズ発生などによる外観品質の低下が大きな問題として指摘されている。これは主に、軟質材料自身の表面硬度がビッカ−ス硬度でHv=200程度の低硬度であることに起因するものであり、解決を目指して種々の表面硬化処理が試みられている。
また上記の時計バンド、時計ケ−ス、べゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズなどの時計外装部品には高い装飾性能・外観品質が要求され、特に高級感のある金色色調を確保した表面硬化処理技術が種々試みられている。
ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの材料からなる時計外装部品の表面に簡便に被膜を被覆形成する方法として湿式メッキが広く採用され。とくに時計外装部品に対してはNiメッキ、Ni−Pメッキ、Ni−Pdメッキ、Au−Pdメッキなどが広く行われているが、いずれのメッキ被膜も軟らかく使用中の傷が解消するまでには至っていない。またこれらメッキ被膜の色調は金色色調ではなく金属色調であるため高級質感に劣る欠点がある。
94.0〜98.5wt%Au、1.0〜3.0wt%Fe、0.5〜3.0wt%Pdの3元素からなるAu合金仕上げ層が提案されている(例えば特許文献1または特許文献2参照)が、これは金属アレルギーが起こらずAu色調を確保した金色装飾部品を達成することを目的としてFeとPdを添加したもので、硬度、強度に関しては一切言及されていない。筆者らが追試験を行ったところ、Hv250以下の低硬度の被膜しか得ることができなかった。
ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの材料からなる時計バンド、時計ケ−ス、べゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズなどの時計外装部品を硬化する方法としてはイオン注入、イオン窒化、ガス窒化、浸炭などが知られているが、いずれの場合も硬化処理時間が長く生産性に難点があることや処理温度が高いため、時計外装部品の結晶粒が粗大化して表面粗れが発生し外観品質が大幅に低下する。特に表面粗れの問題は深刻で、鏡面研磨処理を施した時計外装部品に対してガス窒化処理や浸炭処理した場合、処理後の時計外装部品表面の結晶粒は粗大化し200〜300μmの表面粗れが発生し鏡面が消失してしまい、後研磨加工を施しても浸炭処理前の鏡面状態を回復することができなくなり、外観品質の顕著な低下、劣化を引き起こす。
本発明の目的は、ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの材料からなる時計外装部品において、使用中に傷が発生しない高硬度で腐蝕が発生しない高耐蝕性の金色色調の時計外装部品とその製造方法を提供することにある。
本発明において上記課題を解決するために種々の表面処理を検討した結果、ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの材料からなる時計外装部品の表面がAuを含有する硬化層を有することにより、衝撃によるキズが発生しない高硬度で腐蝕が発生しない高耐蝕性で金色色調の時計外装部品が達成される。
硬化層の構造と製造方法を種々検討した結果、以下に記す構造と製造方法を採用することにより、効果的に金色色調の硬化層を形成させることを見出した。
具体的には、ステンレス、AlおよびAl合金材、TiおよびTi合金、黄銅などの基材からなる時計外装部品の表面にAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した単層構造の硬化層を有することである。さらにより高硬度の硬化層を得るためには、時計外装部品の表面にTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層と、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を有することが好ましい。
具体的な硬化層を有する時計外装部品の製造方法は、真空装置内に基材を配置する工程と、真空装置内を真空排気する工程と、真空装置内に不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させる工程と、不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスプラズマ中で任意の元素を蒸発させて基材表面に硬化層を形成させる工程から構成される。
また2層構造の硬化層を形成させる製造方法は、真空装置内に基材を配置する工程と、真空装置内を真空排気する工程と、真空装置内に不活性ガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種の元素からなる窒化物または炭化物を蒸発させてTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1硬化層を形成させるか、または真空装置内に不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種の元素を蒸発させてTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1硬化層を形成させる工程と、真空装置内に不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させる工程と、不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスプラズマ中で任意の元素を蒸発させて第1の硬化層上に第2の硬化層を形成させる工程とからなる方法を採用することである。
(作用)
AuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層は、ビッカース硬度が高く、酸やアルカリに対して長時間の浸漬でも腐蝕が全く発生せず、機械的強度が高いことが大きな特徴である。
AuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層は、ビッカース硬度が高く、酸やアルカリに対して長時間の浸漬でも腐蝕が全く発生せず、機械的強度が高いことが大きな特徴である。
Au、FeおよびSiを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)SiZとしたときに6>Zat%では硬化層は形成されない。また20≧Z≧6at%であっても、16>Yat%の領域では同様に硬化層が形成されない。20≧Z≧6at%でもY>30at%の領域では硬化層は形成されるが、硬化層の色調は金色ではなく金属色調となり金色色調ではなくなってしまう。Z>20at%の領域では硬化層は形成されるが、硬化層の色調は
金色ではなく金属色調から青色色調に変遷し金色色調ではなくなる。金色色調が得られ、かつ硬化層が形成されるAuとFeの含有範囲を詳細に検討した結果、78≧X≧50at%および30≧Y≧16at%で、かつ94≧X+Y≧80at%であることが好ましい。
金色ではなく金属色調から青色色調に変遷し金色色調ではなくなる。金色色調が得られ、かつ硬化層が形成されるAuとFeの含有範囲を詳細に検討した結果、78≧X≧50at%および30≧Y≧16at%で、かつ94≧X+Y≧80at%であることが好ましい。
Au、FeおよびGeを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)GeZとしたときにZ>34at%および20>Zat%の領域では硬化層は形成されない。また34≧Z≧20at%であっても、6>Yat%では同様に硬化層が形成されない。Y>16at%での領域では硬化層は形成されるが、硬化層の色調は金色ではなく金属色調となり金色色調ではなくなってしまう。金色色調が得られ、かつ硬化層が形成されるAuとFeの含有範囲を詳細に検討した結果、74≧X≧50at%および16≧Y≧6at%で、かつ80≧X+Y≧66at%であることが好ましい。
時計外装部品の表面にTa、Ti、Zr、NbおよびHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、AuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を第2の硬化層として形成した場合には、より高硬度となり耐傷性なども飛躍的に向上するので時計外装部品には好ましい硬化層構成である。
以上述べてきたように本発明によれば、ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などの材料からなる時計外装部品に対し、AuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を形成させることにより、衝撃によるキズが発生しない高硬度で腐蝕が発生しない高耐蝕性で金色色調の時計外装部品が得られ、時計外装部品として格別の効果がある。
ステンレス、AlおよびAl合金、TiおよびTi合金、黄銅などからなる基材を時計バンド、時計ケ−ス、べゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズなどの各種部品形状に加工した後に、不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスプラズマ雰囲気中で任意の元素を蒸発させて基材の表面にAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した単層構造からなる硬化層を形成させる手法、あるいは不活性ガスに窒素成分あるいは炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中で基材の表面にTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中または不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスプラズマ雰囲気中で任意の元素を蒸発させて第1の硬化層上に第2の硬化層としてAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうち少なくとも一方の元素を含有した硬化層を形成させる工程を経る手法を採用することにより衝撃によるキズが発生しない高硬度で腐蝕が発生しない高耐蝕性の時計外装部品が達成される。本発明の詳細を以下の実施例で説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびSiを蒸発させて、Au、FeおよびSiを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびSiを蒸発させて、Au、FeおよびSiを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例1−24)
図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図1は時計外装部品である時計ケース2の断面模式図である。時計ケース2を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.3Paに保ったAr
ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により時計ケース2の表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層4を形成させた。またこの他にも、時計ケース以外の時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、ステンレス鋼としてSUS304およびSUS316Lを使用した。
図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図1は時計外装部品である時計ケース2の断面模式図である。時計ケース2を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.3Paに保ったAr
ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により時計ケース2の表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層4を形成させた。またこの他にも、時計ケース以外の時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、ステンレス鋼としてSUS304およびSUS316Lを使用した。
(比較例1−10)
本発明の実施形態の比較例として、Ti、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケースの表面にAu−Pdメッキ膜を湿式メッキ法により形成させた。
本発明の実施形態の比較例として、Ti、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケースの表面にAu−Pdメッキ膜を湿式メッキ法により形成させた。
第1の実施形態の実施例1−24、比較例1−10で得られたTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケース、時計ベゼルの硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表1と表2に示す。
硬化層の組成はEPMA(X線マイクロアナリシス)分析を行い特定した。硬度試験はマイクロビッカ−ス硬度計により測定し、負荷荷重5mNでビッカ−ス硬度Hv=500以上を合格とした。密着性試験は引っかき試験を行い、剥離開始荷重を測定し剥離開始荷重400gf以上を合格とした。耐蝕性試験はCASS試験溶液に48時間浸漬を行い腐蝕が全く発生しないものを合格とした。これら3項目を全てに合格したものを総合評価結果で合格とした。
表1に示すように、Ti、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にはAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例1−24の硬化層を形成した。これら実施例1−24の全てが、硬度試験ではビッカ−
ス硬度がHv=510以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が410gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例1〜24の全てが合格であった。
ス硬度がHv=510以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が410gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例1〜24の全てが合格であった。
これらに対し比較例1−10のTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケースの表面にAu−Pdメッキを施したものは、CASS試験後に腐蝕は発生しなかったので、耐蝕性試験は合格であったが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=300以下で不合格、密着性試験でも引っかき試験による剥離開始荷重が200gf以下で不合格であった。従って総合評価結果では比較例1〜10の全てが不合格であった。
(第2の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびGeを蒸発させて、Au、FeおよびGeを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびGeを蒸発させて、Au、FeおよびGeを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例25−48)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.35Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋を使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.35Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋を使用した。
第2の実施形態の実施例25−48で得られたTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋の硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表3に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表3に示すようにTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にはAu、FeおよびGeを含有する24組成からなる実施例
25−48の硬化層を形成した。これら実施例25−48の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=520以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が420gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例25−48の全てが合格であった。
25−48の硬化層を形成した。これら実施例25−48の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=520以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が420gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例25−48の全てが合格であった。
(第3の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびSiを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびSiを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびSiを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびSiを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例49−72)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させて圧力を0.4Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物タ−ゲットまたは炭化物タ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.4Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させて圧力を0.4Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物タ−ゲットまたは炭化物タ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.4Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。
第3の実施形態の実施例49−72で得られたTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケース、時計ベゼルの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表4に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表4に示すように、Ti、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面に実施例49−72では、第1の硬化層として任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる硬化層を形成した後に、第2の硬化層として第1の実施形態の実施例1−24と同一組成であるAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例49−72の硬化層を形成した。これら実施例49−72の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=720以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が620gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS
試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例49−72の全てが合格であった。
試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例49−72の全てが合格であった。
(第4の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびGeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびGeを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびGeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびGeを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例73−96)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させて圧力を0.45Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物タ−ゲットまたは炭化物タ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.45Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋を使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させて圧力を0.45Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物タ−ゲットまたは炭化物タ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.45Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋を使用した。
第4の実施形態の実施例73−96で得られたTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋の硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表5に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表5に示すように、Ti、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面に実施例73−96では、第1の硬化層として任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる硬化層を形成した後に、第2の硬化層として第2の実施形態の実施例25−48と同一組成であるAu、FeおよびGeを含有する24組成からなる実施例73−96の硬化層を形成した。これら実施例73−96の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=730以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が620gf以上で合格、耐蝕性試験でもCAS
S試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例73−96の全てが合格であった。
S試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例73−96の全てが合格であった。
(第5の実施形態)
本実施形態は第1の実施形態と同様で任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびSiを蒸発させて、Au、FeおよびSiを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は第1の実施形態と同様で任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびSiを蒸発させて、Au、FeおよびSiを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例97−120)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.45Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.45Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
(比較例11−27)
本発明の実施形態の比較例11―27として、実施例97−120と同様にAuタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。
本発明の実施形態の比較例11―27として、実施例97−120と同様にAuタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。
比較例11−20は、Au、FeおよびSiを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)SiZとしたときにZ<6at%の組成範囲にあり、また同様に比較例22−27はY<16at%の組成範囲にある合金組成である。
第5の実施形態の実施例97−120、比較例11−27で得られたTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表6と表7に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表6に示すようにTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にはAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例97−120の硬化層を形成した。これら実施例97−120の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=520以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が420gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例97−120の全てが合格であった。
これらに対し表7に示すTi合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にAu、FeおよびSiを含有する17組成からなる硬化層を形成した比較例11−27では、全ての比較例において耐蝕性試験ではCASS試験後に腐蝕が発生せず合格であったが、硬度試験でビッカ−ス硬度がHv=490以下で不合格、密着性試験でも引っかき試験による剥離開始荷重が380gf以下で不合格であった。従って総合評価結果は比較例11−27の全てが不合格であった。
以上から、Au、FeおよびSiを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)SiZとしたときにZ<6at%およびY<16at%では充分な硬化層が形成されないのである。
(第6の実施形態)
本実施形態は第2の実施形態と同様で任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびGeを蒸発させて、Au、FeおよびGeを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は第2の実施形態と同様で任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面にAu、FeおよびGeを蒸発させて、Au、FeおよびGeを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例121−140)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.4Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、裏蓋、尾錠、リューズを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させ圧力を0.4Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、裏蓋、尾錠、リューズを使用した。
(比較例28−47)
本発明の実施形態の比較例28―47として、実施例121−140と同様にAuタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。
本発明の実施形態の比較例28―47として、実施例121−140と同様にAuタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、時計ケース、時計ベゼルを使用した。
比較例28−37は、Au、FeおよびGeを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)GeZとしたときにY<6at%の組成範囲にあり、比較例38−42はZ<20at%の組成範囲にあり、比較例43−47はZ>34at%の組成範囲にある合金組成である。
第6の実施形態の実施例121−140、比較例28−47で得られたTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計バンド、時計ケース、時計ベゼル、裏蓋、尾錠、リューズの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表8と表9に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表8に示すようにTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にはAu、FeおよびGeを含有する20組成からなる実施例121−140の硬化層を形成した。これら実施例121−140の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=520以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が430gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例121−140の全てが合格であった。
これらに対し表9に示すTi合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にAu、FeおよびGeを含有する15組成からなる硬化層を形成した比較例28−47では、全ての比較例において耐蝕性試験ではCASS試験後に腐蝕が発生せず合格であったが、硬度試験でビッカ−ス硬度がHv=470以下で不合格、密着性試験でも引っかき試験による剥離開始荷重が380gf以下で不合格であった。従って総合評価結果は比較例28−47の全てが不合格であった。
以上から、Au、FeおよびGeを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)GeZとしたときにY<6at%、Z<20at%およびZ>34at%では充分な硬化層が形成されないのである。
(第7の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有させたガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびSiを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびSiを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有させたガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびSiを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびSiを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例141−164)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入して、Arに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマを発生させて圧力を0.35Paに保ったArに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中でTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種のタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により時計外装部品の表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.35Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入して、Arに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマを発生させて圧力を0.35Paに保ったArに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中でTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種のタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により時計外装部品の表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.35Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Siチップを載せ、任意のAu−Fe−Si組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
第7の実施形態の実施例141−164で得られたTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる裏蓋、中留、尾錠、リューズの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表10に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表10に示すように、Ti、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面に実施例141−164では、第1の硬化層として任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる硬化層を形成した後に、第2の硬化層として第5の実施形態の実施例97−120と同一組成であるAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例141−164の硬化層を形成した。これら実施例141−164の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=720以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が630gf以上で
合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例141−164の全てが合格であった。
合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例141−164の全てが合格であった。
(第8の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有させたガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびGeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびGeを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有させたガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスプラズマ雰囲気中でAu、FeおよびGeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびGeを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例165−184)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入して、Arに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマを発生させて圧力を0.3Paに保ったArに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中でTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種のタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.3Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、裏蓋、尾錠、リューズを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入して、Arに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマを発生させて圧力を0.3Paに保ったArに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中でTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種のタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続き圧力を0.3Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFe、Geチップを載せ、任意のAu−Fe−Ge組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計バンド、裏蓋、尾錠、リューズを使用した。
第8の実施形態の実施例165−184で得られたTi、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなると時計バンド、裏蓋、尾錠、リューズの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表11に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表11に示すように、Ti、Ti合金、黄銅、Al合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面に実施例165−184では、第1の硬化層として任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる硬化層を形成した後に、第2の硬化層として第6の実施形態の実施例121−140と同一組成であるAu、FeおよびGeを含有する20組成からなる実施例165−184の硬化層を形成した。これら実施例165−184の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=720以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が620gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実
施例165−184の全てが合格であった。
施例165−184の全てが合格であった。
(第9の実施形態)
本実施形態は、任意の不活性ガスに半金属成分元素であるSiを含有するガスプラズマ雰囲気中で任意の基材表面にAuおよびFeを蒸発させて、Au、FeおよびSiを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は、任意の不活性ガスに半金属成分元素であるSiを含有するガスプラズマ雰囲気中で任意の基材表面にAuおよびFeを蒸発させて、Au、FeおよびSiを含有する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例185−208)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArに対し5%のSiH4を添加した混合ガスを導入してArとSiH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.3Paに保ったArとSiH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArに対し5%のSiH4を添加した混合ガスを導入してArとSiH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.3Paに保ったArとSiH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
第9の実施形態の実施例185−208で得られたTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表12に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表12に示すようにTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にはAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例185−208の硬化層を形成した。これら実施例185−208の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=510以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が420gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例185−208の全てが合格であった。
(第10の実施形態)
本実施形態は、任意の不活性ガスに半金属成分元素であるGeを含有するガスプラズマ雰囲気中で任意の基材表面にAuおよびFeを蒸発させて、Au、FeおよびGeを含有
する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は、任意の不活性ガスに半金属成分元素であるGeを含有するガスプラズマ雰囲気中で任意の基材表面にAuおよびFeを蒸発させて、Au、FeおよびGeを含有
する任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例209−228)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArに対し5%のGeH4を添加した混合ガスを導入してArとGeH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.3Paに保ったArとGeH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留を使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArに対し5%のGeH4を添加した混合ガスを導入してArとGeH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.3Paに保ったArとGeH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留を使用した。
第10の実施形態の実施例209−228で得られたTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留の硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表13に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表13に示すようにTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面にはAu、FeおよびGeを含有する20組成からなる実施例209−228の硬化層を形成した。これら実施例209−228の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=520以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が420gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例209−228の全てが合格であった。
(第11の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層
として形成させた後に、引き続き不活性ガスに半金属成分元素であるSiを含有するガスプラズマ雰囲気中でAuおよびFeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびSiを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層
として形成させた後に、引き続き不活性ガスに半金属成分元素であるSiを含有するガスプラズマ雰囲気中でAuおよびFeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびSiを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例229−252)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させて圧力を0.35Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物タ−ゲットまたは炭化物タ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続きArに対し5%のSiH4を添加した混合ガスを導入してArとSiH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.35Paに保ったArとSiH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスを導入してArガスプラズマを発生させて圧力を0.35Paに保ったArガスプラズマ雰囲気中で、任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物タ−ゲットまたは炭化物タ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続きArに対し5%のSiH4を添加した混合ガスを導入してArとSiH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.35Paに保ったArとSiH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびSiを含有する硬化層を形成させた。時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズを使用した。
第11の実施形態の実施例229−252で得られたTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留、尾錠、リューズの硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表14に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表14に示すようにTi、Ti合金、黄銅、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面には実施例229−252では、第1の硬化層として任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる硬化層を形成した
後に、第2の硬化層として第9の実施形態の実施例185−208と同一組成であるAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例229−252の硬化層を形成した。これら実施例229−252の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=710以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が610gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例229−252の全てが合格であった。
後に、第2の硬化層として第9の実施形態の実施例185−208と同一組成であるAu、FeおよびSiを含有する24組成からなる実施例229−252の硬化層を形成した。これら実施例229−252の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=710以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が610gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例229−252の全てが合格であった。
(第12の実施形態)
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有させたガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスに半金属成分元素であるGeを含有するガスプラズマ雰囲気中でAuおよびFeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびGeを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
本実施形態は任意の不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有させたガスプラズマ雰囲気中で、任意の基材表面に任意の組成からなるTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層を第1の硬化層として形成させた後に、引き続き不活性ガスに半金属成分元素であるGeを含有するガスプラズマ雰囲気中でAuおよびFeを蒸発させて、第1の硬化層上に第2の硬化層としてAu、FeおよびGeを含有した任意の組成の硬化層を形成させる手法を採用した。
(実施例253−272)
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入して、Arに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマを発生させて圧力を0.35Paに保ったArに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中でTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種のタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続きArに対し5%のGeH4を添加した混合ガスを導入してArとGeH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.35Paに保ったArとGeH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。
基材を真空装置内に配置し、真空装置内を真空排気した後にArガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入して、Arに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマを発生させて圧力を0.35Paに保ったArに窒素成分または炭素成分を含有したガスプラズマ雰囲気中でTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種のタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面に任意組成のTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、引き続きArに対し5%のGeH4を添加した混合ガスを導入してArとGeH4の混合ガスプラズマを発生させ、圧力を0.35Paに保ったArとGeH4の混合ガスプラズマ雰囲気中で、Auタ−ゲットにFeチップを載せ、任意のAu−Fe組成としたタ−ゲットを使用し、DCスパッタ法により基材表面にAu、FeおよびGeを含有する硬化層を形成させた。
時計外装部品の基材材質にはTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lを使用した。また時計外装部品として時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留を使用した。
第12の実施形態の実施例253−272で得られたTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計ケース、時計バンド、時計ベゼル、裏蓋、中留の硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験の結果および総合評価結果を表15に示す。硬化層の組成、硬度試験、密着性試験、耐蝕性試験および総合評価結果は全て第1の実施形態で評価した評価基準と全く同一の評価基準を採用した。
表15に示すようにTi、Ti合金、SUS304、SUS316Lの基材材質からなる時計外装部品の表面には実施例253−272では、第1の硬化層として任意組成のTa、Ti、Zr、NbおよびHfの窒化物または炭化物からなる硬化層を形成した後に、
第2の硬化層として第10の実施形態の実施例209−228と同一組成であるAu、FeおよびGeを含有する20組成からなる実施例253−272の硬化層を形成した。これら実施例253−272の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=720以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が630gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例253−272の全てが合格であった。
第2の硬化層として第10の実施形態の実施例209−228と同一組成であるAu、FeおよびGeを含有する20組成からなる実施例253−272の硬化層を形成した。これら実施例253−272の全てが、硬度試験ではビッカ−ス硬度がHv=720以上で合格、密着性試験では引っかき試験による剥離開始荷重が630gf以上で合格、耐蝕性試験でもCASS試験後に腐蝕は発生せず合格、従って総合評価結果は実施例253−272の全てが合格であった。
Au、FeおよびSiを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)SiZとしたときに6>Zat%では硬化層は形成されず、20≧Z≧6at%であっても、16>Yat%の領域では同様に硬化層が形成されないのである。一方で20≧Z≧6at%でもY>30at%の領域では硬化層は形成されるが、硬化層の色調は金色ではなく金属色調をとなり金色色調ではなくなってしまう。Z>20at%の領域では硬化層は形成されるが、硬化層の色調は金色ではなく金属色調から青色色調に変遷し金色色調ではなくなる。金色色調が得られ、かつ硬化層が形成されるAuとFeの含有範囲を詳細に検討した結果、78≧X≧50at%および30≧Y≧16at%で、かつ94≧X+Y≧80at%であることが好ましい。
Au、FeおよびGeを含有した硬化層の組成を(AuXFeY)GeZとしたときにZ>34at%および20>Zat%の領域では硬化層は形成されない。また34≧Z≧20at%であっても、6>Yat%では同様に硬化層が形成されないのである。一方でY>16at%での領域では硬化層は形成されるが、硬化層の色調は金色ではなく金属色調となり金色色調ではなくなってしまう。金色色調が得られ、かつ硬化層が形成されるAuとFeの含有範囲を詳細に検討した結果、74≧X≧50at%および16≧Y≧6at%で、かつ80≧X+Y≧66at%であることが好ましい。
時計外装部品の表面にTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させた後に、AuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのどちらか一方の元素を含有した硬化層を第2の硬化層として形成した場合には、より高硬度となり耐傷性なども飛躍的に向上するので時計外装部品には好ましい硬化層構成である。
全ての実施形態で不活性ガスプラズマとしてArガスプラズマを使用したが、不活性ガスプラズマはArに限らずHe、Xe、Krなどの他の不活性ガスプラズマに替えても構わない。
硬化層を形成するための圧力条件として、各実施形態では0.3〜0.45Paの圧力条件を採用したが、圧力は同条件に限定する必要はなくプラズマが発生可能であれば圧力は任意の数値でよい。
2 時計ケース
4 硬化層
4 硬化層
Claims (9)
- 表面に硬化層を有する時計外装部品であって、該硬化層がAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうちの少なくとも一方の元素を含有する時計外装部品。
- 前記硬化層を構成する物質の組成を(AuXFeY)SiZとしたときに20≧Z≧6at%および94≧X+Y≧80at%で、かつ78≧X≧50at%および30≧Y≧16at%であることを特徴とする請求項1に記載の時計外装部品。
- 前記硬化層を構成する物質の組成を(AuXFeY)GeZとしたときに34≧Z≧20at%および80≧X+Y≧66at%で、かつ74≧X≧50at%および16≧Y≧6at%であることを特徴とする請求項1に記載の時計外装部品。
- 前記硬化層は2層構造からなり、第1の硬化層がTa、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる層であり、前記第1の硬化層上に形成された第2の硬化層がAuおよびFeの2元素に、SiまたはGeのうちの少なくとも一方の元素を含有する層であることを特徴とする請求項1に記載の時計外装部品。
- 前記第2の硬化層を構成する物質の組成を(AuXFeY)SiZとしたときに20≧Z≧6at%および94≧X+Y≧80at%で、かつ78≧X≧50at%および30≧Y≧16at%であることを特徴とする請求項4に記載の時計外装部品。
- 前記第2の硬化層を構成する物質の組成を(AuXFeY)GeZとしたときに34≧Z≧20at%および80≧X+Y≧66at%で、かつ74≧X≧50at%および16≧Y≧6at%であること特徴とする請求項4に記載の時計外装部品。
- 真空装置内に基材を配置する工程と、前記真空装置内を真空排気する工程と、前記真空装置内に不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させる工程と、不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスプラズマ中で任意の元素を蒸発させて前記基材の表面に硬化層を形成させる工程とを有する時計外装部品の製造方法。
- 真空装置内に基材を配置する工程と、前記真空装置内を真空排気する工程と、前記真空装置内に不活性ガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させ、Ta、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種の元素からなる窒化物または炭化物を蒸発させて、Ta、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させるか、または前記真空装置内に不活性ガスに窒素成分または炭素成分を含有したガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させTa、Ti、Zr、NbまたはHfのうちからいずれか1種の元素を蒸発させて、Ta、Ti、Zr、NbまたはHfの窒化物または炭化物からなる第1の硬化層を形成させる工程と、前記真空装置内に不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスを導入した減圧雰囲気中でプラズマを発生させる工程と、不活性ガスまたは不活性ガスに半金属成分元素を含有するガスプラズマ中で任意の元素を蒸発させて前記第1の硬化層上に第2の硬化層を形成させる工程とを有する時計外装部品の製造方法。
- 前記半金属成分元素を含むガスはSiまたはGeを含有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の時計外装部品の製造方法。
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JP2004090775A JP2005274464A (ja) | 2004-03-26 | 2004-03-26 | 時計外装部品とその製造方法 |
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