JP2004269916A - 金色装飾品用金色硬質積層被膜、その積層被膜を有する金色装飾品およびその製造方法 - Google Patents

金色装飾品用金色硬質積層被膜、その積層被膜を有する金色装飾品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】本発明の金色装飾品用金色硬質積層被膜は、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜が交互に繰り返し積層されてなる。該窒化物被膜は、金属の含有量が40〜60atm%、窒素の含有量が30〜50atm%である、Ti、Zr、HfまたはTaの窒化物からなるのが望ましい。該積層被膜は、積層周期が20〜40nm、全体の膜厚が0.1〜3.0μmであることが望ましい。本発明の金色装飾品は、表面にTi被膜等を有していてもよい装飾品用基材上面に、上記積層被膜が形成されてなる。積層被膜表面に金(合金)からなる金色被膜、また、積層被膜と金色被膜との間に、特定の混合層が形成されていてもよい。
【効果】本発明によれば、耐摩耗性、耐食性、耐傷付き性に優れる金色装飾品の製造を可能にする金色装飾品用金色硬質積層被膜、その被膜を有する金色装飾品およびその製造方法を提供できる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、金色色調を有する時計外装部品等の金色装飾品用金色硬質積層被膜、その積層被膜を有する金色装飾品およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
金色の時計外装部品においては、従来、その表面に形成される金色被膜として湿式メッキ法により形成される金メッキ被膜が使用されていたため、コスト、および品質の面で問題がある。そこで、これらの問題を解決するために、基材表面に窒化チタンを主体とする金色被覆層をイオンプレーティング法により形成し、次いで、この層上に金または金合金を主体とする金色被覆層をイオンプレーティング法により形成する金色外装部品(たとえば腕時計のケース、バンド)が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、上記の時計外装部品は、耐食性、耐摩耗性には非常に優れているが、傷に対しては強固ではなく、金属との接触でうっすらと傷が入り易いという欠点がある。上層として形成された金または金合金薄膜の硬さは傷に対して充分ではないし、また下地層として形成された窒化チタン被膜の硬さも傷に対しては充分ではない。
【0004】
したがって、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れる金色色調を有する時計外装部品等の金色装飾品(完成品のみならず、装飾部品をも含む)およびその製造方法の出現が望まれている。
なお、近年、切削工具、耐摩耗工具等の硬質部材表面に形成するコーティング材としてTiNとAlNとを交互に繰り返し積層してなる超薄膜積層部材が提案されている(特許文献2参照。)。このような超薄膜積層部材を装飾品に適用した例はない。
【0005】
また従来、時計外装部品において、タングステンカーバイドまたはタンタルカーバイドからなる基材表面に窒化チタン被膜を形成し、この被膜表面に金−鉄合金からなる被膜を形成した金色色調を有する時計外装部品が提案されているが、この時計外装部品は脆く、誤って落とした場合に割れるという問題がある。
したがって、基材としてタングステンカーバイドまたはタンタルカーバイドを用いた時計外装部品等の金色装飾品であって、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れるとともに、強靱で誤って落としても割れることのない金色装飾品およびその製造方法の出現が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特公昭59−26664号公報(第1〜3頁)
【特許文献2】
特許第2979922号公報(特許請求の範囲、段落[0013])
【0007】
【発明の目的】
本発明の目的は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れる金色装飾品の製造を可能にする金色装飾品用金色硬質積層被膜、その積層被膜を有する金色装飾品およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係る金色装飾品用金色硬質積層被膜は、
少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜が交互に繰り返し積層されてなることを特徴としている。
前記金属窒化物被膜を形成する金属窒化物としては、金属の含有量が40〜60atm%、窒素の含有量が30〜50atm%である、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化タンタル(TaN)が望ましい。
【0009】
本発明に係る金色硬質積層被膜としては、前記の窒化チタンからなる被膜と、前記の窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたは窒化タンタルからなる被膜とが交互に繰り返し積層されてなる金色硬質積層被膜が好ましい。
前記金色硬質積層被膜の積層周期(λ)が20〜40nmであり、かつ、該積層被膜全体の膜厚が0.1〜3.0μmであることが望ましい。
【0010】
本発明に係る金色装飾品は、
装飾品用基材と、
該基材の上面に形成された、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜が交互に繰り返し積層された金色硬質積層被膜からなる仕上げ被膜層と
からなることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る金色装飾品は、前記装飾品用基材と前記仕上げ被膜層との間に、少なくとも1層の下地層が形成されていてもよい。
また、本発明に係る金色装飾品は、前記仕上げ被膜層が、前記金色硬質積層被膜と、該被膜表面に形成された厚み0.005〜0.1μmの金または金合金からなる金色被膜とからなる金色装飾品であってもよい。
【0012】
前記下地層としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはタンタルからなる被膜が望ましい。
また、本発明に係る金色装飾品は、前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜と金色被膜との間に、該金色硬質積層被膜を形成する金属窒化物と、該金色被膜を形成する金または金合金とからなる混合層を有する金色装飾品であってもよい。
【0013】
前記混合層は、厚みが0.005〜0.1μmであることが好ましく、またスパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成されていることが好ましい。
本発明に係る金色装飾品においては、前記下地層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成されていることが好ましい。また、前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜の各層が、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる少なくとも1つの乾式メッキ法により形成されていることが好ましい。また、前記仕上げ被膜層を金色硬質積層被膜とともに構成する金色被膜が、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る金色装飾品は、前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜または金色被膜表面の一部に、異なる色調を有する有色被膜が形成されていてもよい。
本発明に係る金色装飾品としては、たとえば時計外装部品などが挙げられる。
本発明に係る金色装飾品の製造方法は、
装飾品用基材上に、乾式メッキ装置内で窒素ガス雰囲気下に、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜を交互に繰り返し積層して金色硬質積層被膜を仕上げ被膜層として形成することを特徴としている。
【0015】
本発明に係る金色装飾品の製造方法においては、装飾品用基材上に、前記金色硬質積層被膜を形成する前に、装飾品用基材上に、乾式メッキ装置内で窒素以外の不活性ガス雰囲気下に、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはタンタルを蒸発させて金属被膜を下地層として形成し、
次いで、この下地層表面に、この乾式メッキ装置内で窒素ガス雰囲気下に、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜を交互に繰り返し積層して金色硬質積層被膜を仕上げ被膜層として形成することができる。
【0016】
また、前記金色硬質積層被膜の表面に、前記乾式メッキ装置内で窒素以外の不活性ガス雰囲気下に、金または金合金からなる金色被膜を形成することができる。
本発明においては、前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜と金色被膜との間に、該金色硬質積層被膜を形成する金属窒化物と、該金色被膜を形成する金または金合金とからなる混合層を形成することができる。
【0017】
前記装飾品用基材として、チタンおよび/またはチタン合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されている基材を用いる場合には、これらの基材上に下地層を形成する必要は特にないが、下地層を形成することもできる。
【0018】
前記装飾品用基材として、ステンレス鋼、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステンカーバイドおよびタンタルカーバイドの中から選ばれる少なくとも1つの金属ないし合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されている基材を用いる場合には、これらの基材上に下地層を形成する。
【0019】
また、前記装飾品用基材として、ジルコニウムセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化材を3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈している基材、あるいはガラスまたはプラスチックからなる基材を用いる場合も、これらの基材上に下地層を形成する。
【0020】
本発明によれば、高級感があり、耐傷付き性に優れ、傷等による外観品質の劣化が起き難く、しかも、ハミルトンゴールドのような色調を有する装飾品を提供することができる。
【0021】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る金色装飾品用金色硬質積層被膜、その積層被膜を有する金色装飾品およびその製造方法について具体的に説明する。
本発明に係る金色装飾品用金色硬質積層被膜は、本発明に係る金色装飾品の仕上げ被膜層として使用される被覆用部材であり、装飾品用基材あるいはその基材上に形成された下地層の表面に形成される。
【0022】
本発明に係る金色装飾品は、上記したように、装飾品用基材と金色硬質積層被膜とからなり、さらに下地層を有していてもよく、また金色硬質積層被膜以外の仕上げ層として、金色被膜、混合層、金色硬質積層被膜さらには金色被膜の色調と異なる有色被膜を有していてもよい。
装飾品用基材
本発明で用いられる装飾品用基材としては、通常、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステンカーバイドおよびタンタルカーバイドの中から選ばれる少なくとも1つの金属ないし合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されている基材;
ジルコニウムセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化材を3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈している基材;
ガラスまたはプラスチックからなる基材などが用いられる。
【0023】
上記ジルコニアセラミックスは、ジルコニアおよびバインダーを主成分とし、酸化イットリウム等の安定剤を3〜7重量%含んだ安定化ジルコニア粉末100重量部に対して、バインダーを20〜25重量部含んでおり、焼成後に白色色調を呈する。バインダーとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート、ブチルメタクリレート、ポリアセタール、ワックスおよびステアリン酸からなる群から選ばれる少なくとも2種を混合したものがよい。
【0024】
本発明において、酸化イットリウム(イットリア)等の安定化剤を3〜7重量%含むジルコニアセラミックスを選択した理由は、イットリア等の安定化剤が3重量%より少なくなると、成形したジルコニアセラミックスの耐衝撃性が低下し(脆くなる)、外部からの衝撃で割れ等が発生し易くなり、また、安定化剤が7重量%より多くなっても耐衝撃性が低下し、外部からの衝撃で割れ等が発生し易くなるからである。安定化剤が上記範囲内にあると、ジルコニアセラミックスの結晶構造が立方晶と単斜晶の2相混合組織となっているため、耐衝撃性が安定していると考えられる。
【0025】
また、バインダーの含有量を、ジルコニア粉末100重量部に対して20〜25重量部としたのは、バインダーが20重量部より少なくなると、射出成形が悪くなり、金型内に素材が完全に充填されにくくなり、また、25重量部より多くなると、脱脂工程に時間がかかり量産性が悪くなるとともに、成形された形が壊れやすくなるからである。
【0026】
金属ないし合金からなる装飾品用基材は、上記の金属ないし合金から従来公知の機械加工、表面仕上げ加工により調製され、基材表面が少なくとも鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様あるいはエッチング模様、およびこれらの2以上の模様を有する。
また、セラミックスからなる装飾品用基材、たとえば時計ケース用基材は、ジルコニアおよびバインダーを主成分とする素材を用いて射出成形法により時計ケースの形状を有する成形体を作った後、この成形体を機械加工により粗加工、さらに、この粗加工した成形体を脱脂および焼成して時計ケースの粗基材を作り、次いで、この粗基材を研削および研磨等の機械加工することにより製造される。
【0027】
ガラスからなる装飾品用基材は、ガラスから従来公知の機械加工、表面仕上げ加工により調製される。
プラスチックからなる装飾品用基材は、従来公知の方法、たとえば射出成形法により製造される。
本発明における装飾品(完成品とその部品も含む)としては、たとえば腕時計ケース、腕時計バンド、腕時計のリューズ、腕時計の裏蓋等の時計外装部品、さらにはベルトのバックル、指輪、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ペンダント、ブローチ、カフスボタン、ネクタイ止め、バッジ、メダル、眼鏡のフレーム、カメラのボディ、ドアノブなどが挙げられる。
【0028】
本発明に係る装飾品用基材は、上記のような装飾品の基材である。
本発明においては、装飾品用基材の表面に下地層または金色硬質積層被膜を形成する前に、予め装飾品用基材表面を従来公知の有機溶剤等で洗浄・脱脂しておくことが好ましい。
下地層
本発明で用いられる装飾品用基材表面に形成されることがある下地層は、湿式メッキ法および/または乾式メッキ法により形成される少なくとも1つのメッキ被膜からなる。下地層により、基材と金色硬質積層被膜との間の密着性を向上させることができる。
【0029】
装飾品用基材がチタンおよびチタン合金以外の金属ないし合金、セラミックス、ガラス、またはプラスチックからなる場合、この基材表面に形成される下地層としては、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)からなる被膜が望ましい。中でも、チタン被膜が好ましい。この場合、この被膜の厚みは0.02〜0.2μmであることが望ましく、特に0.05〜0.1μmであることが好ましい。
【0030】
装飾品用基材がチタンまたはチタン合金からなる場合には、下地層を特に形成する必要はないが、下地層を乾式メッキ法により形成することもできる。
乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、イオンプレーティング法またはアーク式イオンプレーティング法が望ましい。
また、本発明に係る金色装飾品において、装飾品用基材が銅または銅合金からなる場合、上記以外の下地層としては、この基材表面に湿式メッキ法により形成された厚み1〜10μm、好ましくは1〜5μmのニッケル被膜と、このニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成された厚み3〜10μm、好ましくは3〜5μmのアモルファスのニッケル−リン合金被膜とからなる下地層、さらには、この合金被膜表面に乾式メッキ法により厚み0.02〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmのチタン被膜を形成した3層からなる下地層が好ましい。
【0031】
また、ニッケルアレルギー防止の面からは、装飾品用基材が銅または銅合金からなる場合、上記以外の下地層としては、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金および銅−錫−パラジウムからなる群から選ばれる金属または合金からなる少なくとも1層の被膜からなる厚み2〜9μm、好ましくは2〜3μmの下地層、さらには、この被膜表面に乾式メッキ法により厚み0.02〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmのチタン被膜を形成した下地層が好ましい。
【0032】
金色硬質積層被膜
本発明に係る金色装飾品を構成する装飾品用基材あるいは下地層の表面に仕上げ被膜層として形成される金色硬質積層被膜は、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜が交互に繰り返し積層されている。
上記金属窒化物被膜を形成する金属窒化物としては、金属の含有量が40〜60atm%、窒素の含有量が30〜50atm%である、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化タンタル(TaN)が望ましい。窒素の含有量が上記範囲内にあると、その窒化物被膜は金色色調を呈し、しかも硬質である。
【0033】
金色硬質積層被膜としては、上記の窒化チタンからなる被膜と、上記の窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたは窒化タンタルからなる被膜とが交互に繰り返し積層された金色硬質積層被膜が好ましい。
このような金色硬質積層被膜は、上記の少なくとも2種の金属窒化物被膜を交互に繰り返し積層することにより、硬質の金色積層被膜を得ることができる。特に、ある周期で積層を重ねることにより、高硬度で耐傷付き性に優れた金色積層被膜が得られる。この金色硬質積層被膜が高硬度で耐傷付き性に優れている理由は明らかではないが、積層被膜における内部応力の蓄積効果が大きいために、高い表面硬度が得られるからではないかと推察される。
【0034】
本発明においては、金色硬質積層被膜の積層周期(λ)が10〜50nm、好ましくは20〜40nmであり、かつ、積層被膜全体の膜厚が0.3〜2.0μm、好ましくは0.5〜2.0μmであることが望ましい。ここに、積層周期(λ)とは、たとえば2種類の金属窒化物被膜が互いに繰り返し積層される場合、第1の金属窒化物被膜の膜厚と第2の金属窒化物被膜の膜厚との合計膜厚を指す。
【0035】
この金色硬質積層被膜を構成する各被膜の厚みは、通常、10〜50nmの範囲内にある。
このような金色硬質積層被膜の各層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる少なくとも1つ以上の乾式メッキ法により形成されていることが望ましい。中でも、スパッタリング法、アーク式イオンプレーティング法が好ましい。生産性の面からは、1種類の乾式メッキ法により、金色硬質積層被膜を形成することが好ましい。
【0036】
本発明においては、装飾品用基材あるいは下地層表面に形成された金色硬質積層被膜表面でのビッカース硬度(HV)は、装飾品用基材の種類、さらには下地層の種類・厚み等により異なるが、本発明に係る金色装飾品としては、超微小押し込み硬さ試験機(ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)を用いて測定されるビッカース硬度(HV)が3000以上であることが耐傷付き性の面から望ましい。
【0037】
本発明に係る金色装飾品用金色硬質積層被膜は、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れる金色装飾品の製造を可能にし、また、基材としてタングステンカーバイドまたはタンタルカーバイドを用いても、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れ、しかも、強靱で誤って落としても割れることのない金色装飾品の製造を可能にする。
【0038】
本発明に係る金色硬質積層被膜においては、金属窒化物被膜の種類・膜厚・組み合わせ等を種々変えることができるため、金色色調のバリエーションに富んでいる。
混合層
本発明においては、必要に応じて、仕上げ被膜層として形成される金色硬質積層被膜と金色被膜との間に、金色硬質積層被膜を形成する金属窒化物と金色被膜を形成する金ないし金合金とからなる混合層を形成することができる。この混合層は、金被膜の色調と同じ色調に調整することを目的としている。たとえば、仮に金被膜が経時的に摩耗して混合層が装飾品の表面に現出しても、混合層の色調が金被膜と同じであれば、その装飾品を長期に渡って使用することができる。また、このような混合層を設けることにより、金色硬質積層被膜と金色被膜との密着性がさらに向上することが期待できる。
【0039】
この混合層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法またはアーク式イオンプレーティング法により形成される。
この混合層の厚みは、0.005〜0.1μm、好ましくは0.01〜0.08μmである。
金色被膜
本発明における金色硬質積層被膜、さらには混合層とともに仕上げ被膜層を構成することがある金色被膜は、上記の金色硬質積層被膜または混合層の上に乾式メッキ法により形成される、金または金合金からなる金色色調を呈する被膜である。
【0040】
この金色被膜は、厚み0.005〜0.1μm、好ましくは0.05〜0.1μmの硬質被膜であることがコストの面から望ましい。
上記金合金としては、たとえば、Al、Si、V、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn,Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Pb、Ag、Sn、Hf、Tf、WおよびPtの中から選ばれる少なくとも1つを含むAu合金などが挙げられる。
【0041】
ニッケルアレルギー防止の面からは、ニッケルレスの被膜を形成することが好ましい。
また、この金色被膜の直下に形成される金色硬質積層被膜または混合層表面の色調は、その金色被膜の金色色調に合わせることが好ましい。
上記乾式メッキ法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法が望ましい。
【0042】
有色被膜
本発明に係る金色装飾品は、前記したように、金色硬質積層被膜あるいは金色被膜表面の一部に、異なる色調を有する有色被膜が形成されていてもよい。
本発明においては、金色硬質積層被膜あるいは混合層の全面に、金色被膜を形成することができるが、従来公知の方法たとえばマスキングテープを用いる方法を採用して、この金色硬質積層被膜あるいは混合層の表面の一部分に金色被膜を形成し、他の部分を異なる色調を有する有色被膜、たとえば黒色色調、黒青色調、黒灰色調等の黒色系被膜、銀色色調の銀色系被膜、白色系被膜、青色色調の青色系被膜、緑色色調の緑色系被膜、黄色色調の黄色系被膜、赤色色調の赤色系被膜を形成することもできる。
【0043】
この有色被膜は1層または2層以上からなり、有色被膜全体の厚みが通常0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmである。
上記のような有色被膜は、従来公知の乾式メッキ法により形成される。乾式メッキ法としては、具体的には、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタリング法等の物理的蒸着法(PVD)、CVD法などが挙げられる。中でも、イオンプレーティング法が好ましく用いられる。
【0044】
本発明に係る金色装飾品としては、超微小押し込み硬さ試験機(ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)を用いて測定されるビッカース硬度(HV)が3000以上、好ましくは3500〜5000、さらに好ましくは4000〜5000であることが耐傷付き性の面から望ましい。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係る金色装飾品用金色硬質積層被膜は、積層された各金属窒化物被膜単体よりも表面硬度が高く、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れている。したがって、本発明に係る金色装飾品のうち、表面に下地層が形成されることがある装飾品用基材と、その表面に形成された金色硬質積層被膜とからなる金色装飾品は、表面硬度が高く、耐傷付き性に優れ、しかも、耐摩耗性、耐食性に優れている。
【0046】
また、上記金色硬質積層被膜の上に、さらに少なくとも金被膜が形成されてなる本発明に係る金色装飾品も、表面硬度が高く、耐傷付き性に優れ、しかも、耐摩耗性、耐食性に優れている。
さらに、基材としてタングステンカーバイドまたはタンタルカーバイドが用いた本発明に係る金色装飾品は、上記の金色硬質積層被膜を有しているので、強靱で誤って落としても割れることがなく、しかも、耐摩耗性、耐食性および耐傷付き性に優れている。
【0047】
本発明に係る金色装飾品の製造方法によれば、上記のような効果を有する金色装飾品が得られる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例における耐食性試験および摩耗試験は、下記の方法に従って行なった。
(1)耐食性試験
耐食性試験は、JIS H 8502(キャス(CASS)試験)に従って行なった。試験時間は96時間とし、その試験面の耐食性評価は、レイティングナンバ標準図表によってレイティングナンバが9.8以上のとき、合格とした。実施例1〜13における耐食性試験の結果は、全てがレイティングナンバの値が9.8以上であった。
(2)摩耗試験
図1に示すように、被膜形成した試験片1をその被膜形成面側を下向きにして、試験片押さえ板2と試験片押さえネジ3とによって、試験片取付台4の開口部に固定する。そして、摩耗輪5に研磨紙(図示せず)を貼り付ける。この摩耗輪5に、図示しない天秤機構によって研磨紙を試験片1に押しつけるような上向きの荷重を加える。
【0049】
そして、試験片取付台4を、図示しないモータの回転運動を往復運動に変換する機構によって往復運動させ、さらに摩耗輪5を試験片取付台4の1往復ごとに角度0.9゜ずつ矢印方向に回転させる。その回転によって、試験片1を摩耗輪5に貼り付けられた研磨紙の摩耗していない新しい領域に常に接触することになる。試験片取付台4の往復回数は自動設定することができ、設定した回数で摩耗試験機は自動停止する。
【0050】
さらに、摩耗輪5に貼り付ける研磨紙としては、ラッピングフィルム(フィルム表面に粒子径12μmのAl粒子があるもの)を用い、この研磨紙と試験片1との接触荷重は500gとし、試験片取付台4の往復運動回数は100回を条件として、摩耗試験を行なった。試験条件を下記に示す。
本発明の被膜を試験片(SUS304)に形成したものと、従来の技術である窒化チタンを主体とした金色被覆層をイオンプレーティング法により形成し、次いで、この層上に金または金合金を主体とする金色被覆層をイオンプレーティング法により形成する金色外装部品(特許文献1)と同様な被覆構成を試験片(SUS304)に形成したものを摩耗試験機により比較試験を行なった。
Figure 2004269916
摩耗試験を行った結果、本発明品は表面状態の変化はなかった。これに対し、従来品は、最外層の金合金が取れかかり、窒化チタンの金色被覆層にて摩耗キズが無数に入った。
【0051】
【実施例1】
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が21nmで積層被膜全体の膜厚が0.68μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0052】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4110を示した。なお、試験サンプル数は5個で、表面硬度の数値はその平均値で表わした(以下の実施例においても同じである。)。
【0053】
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0054】
【実施例2】
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴン
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ハフニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が34nmで積層被膜全体の膜厚が0.76μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ハフニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色硬質積層被膜は、42層で、最外層被膜が窒化ハフニウム被膜であった。
【0055】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4754を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0056】
【実施例3】
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴン
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化タンタル被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が35nmで積層被膜全体の膜厚が0.79μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、タンタル
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色硬質積層被膜は、42層で、最外層被膜が窒化タンタル被膜であった。
【0057】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0058】
【実施例4】
まず、黄銅を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0059】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0060】
【実施例5】
まず、チタン合金を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気中で基材表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.78μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0061】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
【0062】
【実施例6】
まず、亜鉛合金を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0063】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0064】
【実施例7】
まず、アルミニウム合金を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0065】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0066】
【実施例8】
まず、マグネシウム合金を機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0067】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0068】
【実施例9】
まず、タングステンカーバイドを機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0069】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0070】
また、得られた腕時計ケースと腕時計バンドを手に持ち自然落下させたが、これらが割れることはなかった。
【0071】
【実施例10】
まず、タンタルカーバイドを機械加工して得られた鏡面仕上げの腕時計用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0072】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0073】
また、得られた腕時計ケースと腕時計バンドを手に持ち自然落下させたが、これらが割れることはなかった。
【0074】
【実施例11】
まず、ジルコニアセラミックスを用いて調製した腕時計ケースおよび腕時計バンドの形状に成形加工等を行なって得られた腕時計ケース用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。(これらの基材、たとえば腕時計ケースの製造方法については、本願出願人が平成13年10月30日に特許出願した明細書[0032]〜[0036]に、より具体的に記載されている。)
これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面に、厚み0.05μmのチタン被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス雰囲気下に、これら基材表面に形成されたチタン被膜表面に、金色を呈する窒化チタン被膜および窒化ジルコニウム被膜を、この順でスパッタリング法により下記の成膜条件で交互に繰り返し積層し、積層周期(λ)が26nmで積層被膜全体の膜厚が0.83μmである金色硬質積層被膜を形成した。
<成膜条件>
ターゲット :チタン、ジルコニウム
スパッタリング供給電力:0.8kW
スパッタガス :アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力 :0.16Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた金色積層被膜は、60層で、最外層被膜が窒化ジルコニウム被膜であった。
【0075】
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色硬質積層被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV4000を示した。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0076】
【実施例12】
スパッタリング装置内でアルゴン雰囲気下に、上記実施例1〜11と同様にして得られた腕時計ケースの金色硬質積層被膜表面に、厚み0.1μmの金合金被膜をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :金合金(金85重量%、鉄15重量%)
スパッタリング供給電力:0.4kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.4Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた腕時計ケースの表面に形成されている金色被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV3000を示した。
【0077】
また、得られた腕時計ケースについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0078】
【実施例13】
スパッタリング装置内でアルゴン雰囲気下に、上記実施例1と同様にして得られた腕時計バンドの金色硬質積層被膜表面に、厚み0.1μmの窒化ジルコニウムと金とからなる混合層(窒化ジルコニウム/金(重量比)=1/1)をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :ジルコニウム、金
スパッタリング供給電力:0.4kW
スパッタガス :アルゴンと窒素との混合ガス
成膜圧力 :0.4Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
次いで、このスパッタリング装置内でアルゴン雰囲気下に、混合層表面に、厚み0.1μmの金合金被膜をスパッタリング法により下記の製膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット :金合金(金85重量%、鉄15重量%)
スパッタリング供給電力:0.4kW
スパッタガス :アルゴンガス
成膜圧力 :0.4Pa
バイアス電圧 :Grand〜−200V
上記のようにして得られた腕時計ケースの表面に形成されている金色被膜の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV3000を示した。
【0079】
また、得られた腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を上記方法に従って行なった。その結果を第1表に示す。
【0080】
【表1】
Figure 2004269916

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、摩耗試験の方法を説明するための摩耗試験機の模式平面図である。
【符号の説明】
1・・・試験片
2・・・試験片押さえ板
3・・・試験片押さえネジ
4・・・試験片取付台
5・・・摩耗輪

Claims (39)

  1. 少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜が交互に繰り返し積層されてなることを特徴とする金色装飾品用金色硬質積層被膜。
  2. 前記金属窒化物被膜を形成する金属窒化物において、金属の含有量が40〜60atm%、窒素の含有量が30〜50atm%である、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化タンタル(TaN)であることを特徴とする請求項1に記載の積層被膜。
  3. 請求項2に記載の窒化チタンからなる被膜と、請求項2に記載の窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたは窒化タンタルからなる被膜とが交互に繰り返し積層されてなることを特徴とする請求項1に記載の積層被膜。
  4. 前記金色硬質積層被膜の積層周期(λ)が20〜40nmであり、かつ、該積層被膜全体の膜厚が0.1〜3.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層被膜。
  5. 装飾品用基材と、
    該基材の上面に形成された、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜が交互に繰り返し積層された金色硬質積層被膜からなる仕上げ被膜層と
    からなることを特徴とする金色装飾品。
  6. 前記装飾品用基材と前記仕上げ被膜層との間に、少なくとも1層の下地層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の金色装飾品。
  7. 前記仕上げ被膜層が、前記金色硬質積層被膜と、該被膜表面に形成された厚み0.005〜0.1μmの金または金合金からなる金色被膜とからなることを特徴とする請求項5または6に記載の金色装飾品。
  8. 前記金属窒化物被膜を形成する金属窒化物において、金属の含有量が40〜60atm%、窒素の含有量が30〜50atm%である、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化タンタル(TaN)であることを特徴とする請求項5に記載の金色装飾品。
  9. 前記金色硬質積層被膜が、請求項8に記載の窒化チタンからなる被膜と、請求項8に記載の窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたは窒化タンタルからなる被膜とが交互に繰り返し積層された金色硬質積層被膜であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の金色装飾品。
  10. 前記金色硬質積層被膜の積層周期(λ)が20〜40nmであり、かつ、該積層被膜全体の膜厚が0.1〜3.0μmであることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の金色装飾品。
  11. 前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステンカーバイドおよびタンタルカーバイドの中から選ばれる少なくとも1つの金属ないし合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする請求項5または6に記載の金色装飾品。
  12. 前記装飾品用基材が、ジルコニウムセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化材を3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈していることを特徴とする請求項5または6に記載の金色装飾品。
  13. 前記装飾品用基材が、ガラスまたはプラスチックであることを特徴とする請求項5または6に記載の金色装飾品。
  14. 前記下地層が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはタンタルからなるメッキ被膜からなることを特徴とする請求項6に記載の金色装飾品。
  15. 前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜と金色被膜との間に、該金色硬質積層被膜を形成する金属窒化物と、該金色被膜を形成する金または金合金とからなる混合層を有することを特徴とする請求項7に記載の金色装飾品。
  16. 前記混合層の厚みが0.005〜0.1μmであることを特徴とする請求項15に記載の金色装飾品。
  17. 前記混合層が、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成されていることを特徴とする請求項15または16に記載の金色装飾品。
  18. 前記下地層が、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成されていることを特徴とする請求項6または14に記載の金色装飾品。
  19. 前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜の各層が、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる少なくとも1つの乾式メッキ法により形成されていることを特徴とする請求項5、7、9、10、15のいずれかに記載の金色装飾品。
  20. 前記仕上げ被膜層を金色硬質積層被膜とともに構成する金色被膜が、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成されていることを特徴とする請求項7または15に記載の金色装飾品。
  21. 前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜または金色被膜表面の一部に、異なる色調を有する有色被膜が形成されていることを特徴とする請求項5、7、9、10、15、19のいずれかに記載の金色装飾品。
  22. 前記金色装飾品が時計外装部品であることを特徴とする請求項5〜21のいずれかに記載の金色装飾品。
  23. 装飾品用基材上に、乾式メッキ装置内で窒素ガス雰囲気下に、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜を交互に繰り返し積層して金色硬質積層被膜を仕上げ被膜層として形成することを特徴とする金色装飾品の製造方法。
  24. 装飾品用基材上に、乾式メッキ装置内で窒素以外の不活性ガス雰囲気下に、チタン、ジルコニウム、ハフニウムまたはタンタルを蒸発させて金属被膜を下地層として形成し、
    次いで、この下地層表面に、この乾式メッキ装置内で窒素ガス雰囲気下に、少なくとも2種の金色色調を呈する金属窒化物被膜を交互に繰り返し積層して金色硬質積層被膜を仕上げ被膜層として形成することを特徴とする金色装飾品の製造方法。
  25. 前記金色硬質積層被膜の表面に、前記乾式メッキ装置内で窒素以外の不活性ガス雰囲気下に、金または金合金からなる金色被膜を形成することを特徴とする請求項23または24に記載の製造方法。
  26. 前記金属窒化物被膜を形成する金属窒化物において、金属の含有量が40〜60atm%、窒素の含有量が30〜50atm%である、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化ハフニウム(HfN)または窒化タンタル(TaN)であることを特徴とする請求項23または24に記載の製造方法。
  27. 前記金色硬質積層被膜が、請求項26に記載の窒化チタンからなる被膜と、請求項26に記載の窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたは窒化タンタルからなる被膜とが交互に繰り返し積層された金色硬質積層被膜であることを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の製造方法。
  28. 前記金色硬質積層被膜の積層周期(λ)が20〜40nmであり、かつ、該積層被膜全体の膜厚が0.1〜3.0μmであることを特徴とする請求項23〜27のいずれかに記載の製造方法。
  29. 前記仕上げ被膜層を構成する金色硬質積層被膜と金色被膜との間に、該金色硬質積層被膜を形成する金属窒化物と、該金色被膜を形成する金または金合金とからなる混合層を形成することを特徴とする請求項25〜28のいずれかに記載の製造方法。
  30. 前記混合層の厚みが0.005〜0.1μmであることを特徴とする請求項29に記載の製造方法。
  31. 前記混合層を、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成することを特徴とする請求項29または30に記載の製造方法。
  32. 前記下地層を、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成することを特徴とする請求項24に記載の製造方法。
  33. 前記金色硬質積層被膜の各層を、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる少なくとも1つの乾式メッキ法により形成することを特徴とする請求項23〜25、27〜29のいずれかに記載の製造方法。
  34. 前記仕上げ被膜層を金色硬質積層被膜とともに構成する金色被膜を、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびアーク式イオンプレーティング法の中から選ばれる乾式メッキ法により形成することを特徴とする請求項25または29に記載の製造方法。
  35. 前記装飾品用基材が、チタンおよび/またはチタン合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする請求項23または24に記載の製造方法。
  36. 前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステンカーバイドおよびタンタルカーバイドの中から選ばれる少なくとも1つの金属ないし合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする請求項23または24に記載の製造方法。
  37. 前記装飾品用基材が、ジルコニウムセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化材を3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈していることを特徴とする請求項23または24に記載の製造方法。
  38. 前記装飾品用基材が、ガラスまたはプラスチックであることを特徴とする請求項23または24に記載の製造方法。
  39. 前記金色装飾品が時計外装部品であることを特徴とする請求項23〜38のいずれかに記載の製造方法。
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