JP4504059B2 - 金色被膜を有する装飾品 - Google Patents

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Description

本発明は、金色被膜を有する装飾品(装身具)およびその製造方法に関し、特に、金色色調を呈する硬質な金合金色調の被膜を有する装飾品およびその製造方法に関するものである。また、本発明は、かぶれなどの金属アレルギー性の皮膚炎を起こす虞のない金色装飾部品およびその製造方法に関する。
近年、時計を始めとした装飾品は、TPOに対応した要求、デザインのバリエーションと共に多種多様化傾向にあり、これに伴い、長期携帯による耐傷性に富んだ硬質化の製品の要求が絶えない。
従来、装飾品(装身具)である時計、ネックレス、ペンダント、ブローチ等は、加工性、材料価格等により銅合金が多く使用されている。
また、時計バンドなどの時計部品、指輪、ネックレス、イヤリング等の装飾部品は、その最外層に、湿式あるいは乾式メッキの手法を用いて金被膜を形成することにより、高級感あるいは優れた耐食性を付与している。しかしながら、純金の被膜では、軟
らかく摩耗し易いこと、また金色が濃くなり過ぎるため好まれず、むしろ淡い金色が好まれる傾向にある等の理由により、純金の被膜に変えて金−ニッケル合金膜、金
−パラジウム合金膜等が装飾部品の最外層に形成されるようになった。
しかしながら、近年、貴金属製のネックレスやイヤリングなどの装飾品で、金属と皮膚の接触でかぶれができるアレルギー性の皮膚炎が増加しており、ほとんどの金属でその事例が報告されている。中でも、金−ニッケル合金膜、金−パラジウム合金膜はアレルギー性の皮膚炎の発生が多く報告されている。
したがって、従来より、皮膚と接触してもかぶれなどのアレルギー性皮膚炎が生じることがなく、かつ、均一な金色調を有する金色装飾部品の出現が望まれている。
さらに、上記のような装飾品においては、耐食性を得るため高価な貴金属を含むメッキ被膜を最外層メッキ被膜として形成しているため、装飾品の価格が高くなるという、コスト面での問題がある。したがって、低価格品の装飾品では、最外層メッキ被膜が薄くなり、長期間における耐食性が問題となる。しかも、低価格品の装飾品の製造に際し、安定した薄い最外層メッキ被膜を得るため、貴金属メッキ浴の維持管理が作業上の大きな問題となっている。さらには、安定した色調の最外層メッキ被膜を得るためには、作業者の熟練度も問題となっている。
これらの問題を解決するために、窒化チタン、窒化タンタルあるいは炭化タンタルの中から選ばれる金色硬質化合物上に金または金合金からなる金色被覆層をイオンプレーティング法で形成する方法がある(特許文献1参照)。
また、上記を改良し、皮膚と接触してもかぶれなどのアレルギー性皮膚炎が生じることが極めて少なく、かつ、均一な金色調を有する部品およびその製造方法に関する発明がある(特許文献2参照)。
特許第1328014号 特許第2999360号
しかしながら、上記はいずれも耐食性、耐摩耗性には非常に優れている反面、最表面である金色被覆層が耐傷性には弱いため、携帯使用時に傷が入ってしまう欠点がある。
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、耐食性、耐摩耗性、耐傷性のいずれも優れている金色被膜を有する製品およびその製造方法を提供する。
本発明の金色被膜を有する装飾品は、貴金属または貴金属の合金からなる被膜が形成された装飾品において、金属またはセラミックスからなる装飾品用基材と、前記基材表面に形成された下地層と、前記下地層の表面に乾式メッキ法により金と、金と共晶となる元素からなる金合金を形成する装飾被膜層とから構成されており、前記装飾被膜層は、10から20原子%のシリコンと80から90原子%の金からなる金合金であることを特徴とする。また、貴金属または貴金属の合金からなる被膜が形成された装飾品において、金属またはセラミックスからなる装飾品用基材と、前記基材表面に形成された下地層と、前記下地層の表面に乾式メッキ法により金と、金と共晶となる元素からなる金合金を形成する装飾被膜層とから構成されており、前記装飾被膜層は、1から15原子%のゲルマニウムと85から99原子%の金からなる金合金であることを特徴とする
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステンカーバイドおよびタンタルカーバイドの中から選ばれる少なくとも1つの金属ないし合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾品用基材が、ジルコニアセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y22)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化剤を3から7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈していることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾品用基材が、銅および銅合金以外の金属、またはセラミックスからなり、かつ、前記基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜であることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾品用基材が、銅および銅合金以外の金属、またはセラミックスからなり、かつ、前記基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブまたはタンタルの炭化物(炭素原子含有量が5から15原子%)、窒化物、窒炭化物からなる金属化合物被膜であることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記下地層が、乾式メッキ法により形成された厚み0.02から2μmの被膜であることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層が好ましくは18から19原子%のシリコンと、81から82原子%の金からなる金合金である
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層が好ましくは2から4原子%のゲルマニウムと、96から98原子%の金からなる金合金である。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層の厚さが0.001から1.0μmであることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層の表面硬度(HV;マイクロビッカース硬度計、5mN荷重)が、700から2000であることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層からなる金色被膜表面の一部に、乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成された、前記装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜からなる仕上げ被膜層を有することを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記仕上げ被膜層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層と前記仕上げ被膜層の間に混合層を有していることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記混合層は前記装飾被膜層および前記仕上げ被膜層を形成する金属またはその合金からなることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記混合層の厚みが0.005から0.1μmであることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記下地層、混合層、装飾被膜層、仕上げ被膜層の各層が、スパッタリング法、イオンプレーティング法、アーク法の中の少なくとも1つの方式で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の金色被膜を有する装飾品は、前記装飾品が時計外装部品であることを特徴とする。
本発明によれば、高級感があり、硬質で耐傷性に優れ、傷等による外観品質の劣化が起きにくく、しかも、金色色調を有する装飾品およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る金色被膜を有する装飾品およびその製造方法について具体的に説明する。
本発明に係る金色被膜を有する装飾品は、装飾品用基材と、下地層と装飾被膜層とから構成されている。本発明に係る金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層である金色被膜表面の一部に、この層の色調と異なる少なくとも1つの被膜を有していても良い。
〔装飾品用基材〕
本発明に係る金色被膜を有する装飾品で用いられる装飾品用基材は、金属またはセラミックスから形成される基材である。
上記金属(合金を含む)としては、具体的には、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステン、タングステンカーバイド、タンタル、タンタルカーバイドなどが挙げられる。これらの金属は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記セラミックスとしては、具体的には、ジルコニアセラミックスなどが挙げられる。このジルコニアセラミックスは、その組成が酸化イットリウム(Y)または他の安定化剤(たとえば酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO))を3から7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈している。より具体的に説明すると、このジルコニアセラミックスは、ジルコニアおよびバインダーを主成分とし、酸化イットリウム等の安定剤を3から7重量%含んだ安定化ジルコニア粉末100重量部に対して、バインダーを20から25重量部含んでおり、焼成後に白色色調を呈する。バインダーとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート、ブチルメタクリレート、ポリアセタール、ワックスおよびステアリン酸の中から選ばれる少なくとも2種を混合したものがよい。
本発明において、酸化イットリウム(イットリア)等の安定化剤を3から7重量%含むジルコニアセラミックスを選択した理由は、イットリア等の安定化剤が3重量%より少なくなると、成形したジルコニアセラミックスの耐衝撃性が低下し(脆くなる)、外部からの衝撃で割れ等が発生し易くなり、また、安定化剤が7重量%より多くなっても耐衝撃性が低下し、外部からの衝撃で割れ等が発生し易くなるからである。安定化剤が上記範囲内にあると、ジルコニアセラミックスの結晶構造が立方晶と単斜晶の2相混合組織となっているため、耐衝撃性が安定していると考えられる。
また、バインダーの含有量を、ジルコニア粉末100重量部に対して20から25重量
部としたのは、バインダーが20重量部より少なくなると、射出成形が悪くなり、金型内に素材が完全に充填されにくくなり、また、25重量部より多くなると、脱脂工程に時間がかかり量産性が悪くなるとともに、成形された形が壊れやすくなるからである。
金属からなる装飾品用基材は、上記の金属から従来公知の機械加工により調製される。また、装飾品用基材には、必要に応じて各種手段により、鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様、エッチング模様の中の少なくとも1つの表面仕上げが施されている。
また、セラミックスからなる装飾品用基材、たとえば時計ケース用基材は、ジルコニアおよびバインダーを主成分とする素材を用いて射出成形により時計ケースの形状を有する成形体を作った後、この成形体を機械加工により粗加工、さらに、この粗加工した成形体を脱脂および焼成して時計ケースの粗基材を作り、次いで、この粗基材を研削および研磨等の機械加工することにより製造される。
本発明における装飾品(部品も含む)としては、たとえば腕時計ケース、腕時計バンド、腕時計のリューズ、腕時計の裏蓋等の時計外装部品、さらにはベルトのバックル、指輪、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ペンダント、ブローチ、カフスボタン、ネクタイ止め、バッジ、メダル、眼鏡のフレーム、カメラのボディ、ドアノブなどが挙げられる。
本発明においては、装飾品用基材の表面に下地層を形成する前に、予め装飾品用基材表面を従来公知の有機溶剤等で洗浄・脱脂しておくことが好ましい。
〔下地層〕
本発明に係る金色被膜を有する装飾品を構成している下地層は、湿式メッキ法および/または乾式メッキ法により形成される少なくとも1つのメッキ被膜からなる。
装飾品用基材が銅および銅合金以外の金属、またはセラミックスからなる場合、この基材表面に形成される下地層としては、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)からなる金属被膜が望ましい。
下地層は、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5から15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜であることが特に好ましい。この金属化合物被膜において、装飾用基材表面に近づくに従って、上記金属化合物の炭素原子含有量が徐々に少なくなっており、この金属化合物被膜は、いわゆる傾斜膜と呼ばれる。また、金属化合物被膜は、上記金属の窒化物、窒炭化物でもよい。
これらの金属被膜および金属化合物被膜(下地層)の厚みは0.02から2μmであることが望ましく、特に0.05から0.1μmであることが好ましい。
乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
また、本発明に係る金色被膜を有する装飾品において、装飾品用基材が銅または銅合金からなる場合、下地層としては、この基材表面に湿式メッキ法により形成された厚み1か
ら10μm、好ましくは1から5μmのニッケル被膜と、このニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成された厚み3から10μm、好ましくは3から5μmのアモルファスのニッケル−リン合金被膜とからなることが好ましい。
また、ニッケルアレルギー防止の面からは、装飾品用基材が銅または銅合金からなる場合、下地層としては、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金および銅−錫−パラジウム合金の中の少なくとも1つからなる厚み2から9μm、好ましくは2から3μmの被膜であることが好ましい。
また、これらの金属化合物被膜は乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成された上記以外のニッケルを含まない合金であっても良い。
〔装飾被膜層〕
本発明に係る金色被膜を有する装飾品を構成する最外層である装飾被膜層は、下地層の表面に、乾式メッキ法により形成される金と、金と共晶となる元素からなる金合金の被膜からなる。乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
本発明では、金の色調を保ちつつ、硬質化が可能で、耐傷性が向上する組成を検討した結果、金と共晶点を持つ元素を金と組み合わせた合金を被膜とすることで、目的が達成できることが判明した。
共晶組成近傍では、ランダムな構造を好むような原子間の相互作用があることを示唆する。これは、液化生成のエンタルピーが負で大きいことに起因する。
共晶を持つ系は、液体急冷法で、実際にアモルファス相が得られていることから、
共晶となることでアモルファス構造を持ち、機械的特性が通常の(共晶ではない)金合金の結晶よりも飛躍的に硬度、耐摩耗性が向上する。
上記の点を踏まえて鋭意検討した結果、金と共晶を持つ元素の中でも、シリコンおよびゲルマニウムが最も適していることが判明した。
状態図から、金とシリコンはシリコンが18.6原子%、残部が金のとき、また、
金とゲルマニウムは、ゲルマニウムが3.0原子%、残部が金のとき、または、ゲルマニウムが28.0原子%、残部が金のときに共晶点を持つ。
鋭意検討の結果、共晶点とその近傍点であれば硬度、耐摩耗性が向上し、その値は、装飾被膜層が、10から20原子%のシリコンと、80から90原子%の金からなる金合金、好ましくは18から19原子%のシリコンと、81から82原子%の金からなる金合金から形成されていればよい。
また、前記装飾被膜層が、1から15原子%のゲルマニウムと、5から99原子%の金からなる金合金、好ましくは2から4原子%のゲルマニウムと、96から98原子%の金からなる金合金から形成されていてもよい。
さらに、前記装飾被膜層を、20から35原子%のゲルマニウムと、65から80原子%の金からなる金合金、好ましくは25から30原子%のゲルマニウムと、70から75原子%の金からなる金合金から形成することで、金色色調を淡いものとすることが可能となる。
装飾被膜層の厚みは、0.001から1.0μm、好ましくは0.05から0.1μmである。
また、前記装飾被膜層の表面硬度(HV;マイクロビッカース硬度計、5mN荷重)は700から2000である。
〔仕上げ被膜層〕
本発明に係る金色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層からなる金色調または金合金合金色調を有する金色被膜表面の一部に、装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜として、仕上げ被膜層が乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成されていてもよい。
仕上げ被膜層としては、ステンレス鋼色調やプラチナ色調である白色色調または、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる被膜が望ましい。この被膜は、装飾被膜層を形成する最外層とともに装飾品の外観に現れる。したがって、本発明に係る装飾品には、いわゆるツートーンの装飾品等も含まれる。
仕上げ被膜層の厚みは、通常0.1から1.0μm、好ましくは0.2から0.5μmである。
また、仕上げ被膜層と前記装飾被膜層の間に混合層を有していてもよく、前記混合層は、仕上げ被膜層と装飾被膜層を形成する金属またはその合金であることが好ましい。
この混合層の厚みは0.005から0.1μmであることが好ましい。
さらにまた、この仕上げ被膜層は、装飾被膜層表面の一部に、チタン被膜とシリコン被膜とダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜とがこの順で形成されていてもよい。この場合、下層の厚みは、通常0.05から0.3μm、好ましくは0.08から0.2μmであり、中間層の厚みは、通常0.05から0.3μm、好ましくは0.08から0.2μmであり、上層の厚みは、通常0.5から3.0μm、好ましくは0.8から1.5μmである。
上記の単層構造、二層構造、三層構造を構成する各層は、通常、乾式メッキ法により形成される。乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
このような装飾被膜層と色調の異なる被膜を装飾被膜層表面の一部に有する装飾品は、たとえば以下のような方法により調製することができる。
まず、装飾品用基材表面に下地層を形成し、この下地層表面に、前記装飾被膜層を形成した後、この装飾被膜層表面の一部にマスキング処理を施し、この装飾被膜層およびマスク表面に装飾被膜層と色調の異なるメッキ被膜を乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成し、その後、このマスクおよびマスクの上のメッキ被膜を除去する工程を少なくとも1回行うことにより、金色調もしくは金合金色調を有する金色被膜と、この金色被膜と色調の異なる少なくとも1つのメッキ被膜とからなる、2以上の色調を有する装飾被膜層を得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
次いで、これらの基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
次いで、これらの基材表面に形成されたチタンメッキ被膜表面に、金色色調を有する窒化物である窒化チタンメッキ被膜をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成した。<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
ガス:アルゴンガス、窒素ガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
次いで、これらの基材表面に形成された窒化チタンの混合メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの金色色調を有する金とシリコンによる金合金被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成し、金色色調の腕時計ケースおよび腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:金−シリコン合金
スパッタリング供給電力:0.4kW
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
なお、このとき、金−シリコン合金ターゲットは、成膜した膜の組成が共晶点となるように調整する。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金合金被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は1000であった。これらの腕時計ケースおよび腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも金色色調で、高級感のある金色被膜が形成されていた。
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
次いで、これらの基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜(下地層)をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
次いで、これらの基材表面に形成されたチタンメッキ被膜表面に、金色色調を有する窒化物である窒化チタンメッキ被膜をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成した。<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
ガス:アルゴンガス、窒素ガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
次いで、これらの基材表面に形成された窒化チタンの混合メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの金色色調を有する金とゲルマニウムによる金合金被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成し、金色色調の腕時計ケースおよび腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:金−ゲルマニウム合金
スパッタリング供給電力:0.4kW
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
なお、このとき、金−ゲルマニウム合金ターゲットは、成膜した膜の組成が共晶点となるように調整する。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金合金被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は900であった。これらの腕時計ケースおよび腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも金色色調で、高級感のある金色被膜が形成されていた。
まず、黄銅(銅合金)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
次いで、これらの基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキをして厚さ2μmの銅−錫合金メッキ被膜(下地層1)基材表面に形成し、水洗した。
《銅−錫合金メッキ》
<メッキ液の組成>
シアン化銅 15g/l(銅換算)
錫酸ナトリウム 15g/l(錫換算)
シアン化亜鉛 1g/l(亜鉛換算)
KOH 20g/l
KCN(フリー) 30g/l
光沢剤 10ml/l
<メッキ条件>
pH 12.5(at50℃)
液温 50℃
電流密度(Dk) 2A/dm
成膜速度 3分/1μm
次いで、これらの銅−錫合金メッキ被膜を有する基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚み2μmの銅−錫−亜鉛合金メッキ被膜(下地層2)を銅−錫合金メッキ被膜表面に形成し、水洗した。
《銅−錫−亜鉛合金メッキ》
<メッキ液の組成>
シアン化銅 8.5g/l(銅換算)
錫酸ナトリウム 34.0g/l(錫換算)
シアン化亜鉛 1g/l(亜鉛換算)
KOH 20g/l
KCN(フリー) 50g/l
光沢剤1 5ml/l
光沢剤2 5ml/l
<メッキ条件>
pH 13.0(at50℃)
液温 60℃
電流密度(Dk) 2A/dm
成膜速度 3分/1μm
次いで、これらの銅−錫−亜鉛合金メッキ被膜を有する基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚み0.5μmのパラジウムストライクメッキ被膜(下地層3)を銅−錫−亜鉛合金メッキ被膜表面に形成し、水洗した。
《パラジウムストライクメッキ》
<メッキ液の組成>
純パラジウム 1から3g/l
<メッキ条件>
pH 8
液温 32℃
電流密度(Dk) 3から5A/dm
時間 30秒
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、これらの基材表面に形成されたパラジウムストライクメッキ被膜表面に、厚み0.05μmのタンタル被膜(下地層4)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:タンタル
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.4Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
次いで、これらの基材表面に形成されたチタンメッキ被膜表面に、金色色調を有する窒化物である窒化チタンメッキ被膜をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
ガス:アルゴンガス、窒素ガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
次いで、これらの基材表面に形成された窒化チタンの混合メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの金色色調を有する金とシリコンによる金合金被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成し、金色色調の腕時計ケースおよび腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:金−シリコン合金
スパッタリング供給電力:0.4kW
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
なお、このとき、金−シリコン合金ターゲットは、成膜した膜の組成が共晶点となるように調整する。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金合金被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は1000であった。これらの腕時計ケースおよび腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも金色色調で、高級感のある金色被膜が形成されていた。
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材および腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
次いで、これらの基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜(下地層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200から500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.004から0.009Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−100V
アノード電圧:50V
フィラメント電圧:7V
次いで、これらの基材表面に形成されたチタンメッキ被膜表面に、金色色調を有する窒化物である窒化チタンメッキ被膜をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成した。<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタリング供給電力:0.8kW
ガス:アルゴンガス、窒素ガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
次いで、これらの基材表面に形成された窒化チタンの混合メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの金色色調を有する金とゲルマニウムによる金合金被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法により下記の成膜条件で形成し、金色色調の腕時計ケースおよび腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:金−ゲルマニウム合金
スパッタリング供給電力:0.4kW
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.16Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−200V
なお、このとき、金−ゲルマニウム合金ターゲットは、成膜した膜の組成が共晶点となるように調整する。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金合金被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は900であった。これらの腕時計ケースおよび腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも金色色調で、高級感のある金色被膜が形成されていた。
実施例1と同様にして得た金合金被膜(装飾被膜層)表面の一部に、この被膜の色調と異なるメッキ被膜を乾式メッキ法により形成した。
すなわち、これらの金合金被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、300mA
ガス:メタンガスとアルゴンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.02Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−100V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:プラチナ
電子銃:10kV、500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Groundから−50V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
次いで、このプラチナ被膜表面の一部にマスキング処理(マスク材としてエポキシ系レジストを使用した)を施し、プラチナ被膜、炭化チタンメッキ被膜を順次エッチング液で
除去し、最後にマスクを除去することにより、金色色調の被膜と、プラチナ色調の被膜とからなる、2つの色調の異なる装飾被膜層を有する腕時計ケースおよび腕時計バンドを得た。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は、1200であり、金合金メッキ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は、1000であった。これらの腕時計ケースおよび腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、金色色調とプラチナ色調を併せ持つ、高級感のある被膜が形成されていた。
実施例4と同様にして得た金合金被膜(装飾被膜層)表面の一部に、この被膜の色調と異なるメッキ被膜を乾式メッキ法により形成した。
すなわち、この被膜表面の一部にマスク材(エポキシ系レジスト)を塗布し乾燥させた後、被膜表面およびマスク材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.02Pa
ターゲット印加電力:0.3から0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50から−100V
次いで、このチタンメッキ被膜表面に、厚み0.1μmのシリコンメッキ被膜をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:シリコン
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.05Pa
ターゲット印加電力:0.3から0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50から−100V
次いで、このシリコンメッキ被膜表面に、厚み0.1μmの黒色のダイヤモンドライクカーボン(DLC)メッキ被膜をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ガ ス :ベンゼン
成膜圧力:0.2Pa
フィラメント電流:20A
アノード電流:2.0A
カソード電圧(加速電圧):−1.0から−5.0kV
次いで、塩化メチレンでマスキング材をエッチングし、マスキング材直上に形成されているチタンメッキ被膜、シリコンメッキ被膜およびDLC被膜をリフトオフすることにより、金色色調の被膜と黒色のDLCメッキ被膜とからなる、2つの色調の異なる装飾被膜層を有する腕時計ケースおよび腕時計バンドを得た。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている金色被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は
、900であり、DLCメッキ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5mN荷重、保持時間10秒)は、1800であった。これらの腕時計ケースおよび腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、金色色調と黒色色調を併せ持つ、高級感のある被膜が形成されていた。
上記のようにして得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドの表面に形成されている仕上げ被膜層の表面硬度は、フィッシャー硬度計(フィッシャー社製、ビッカース圧子、荷重5mN、保持時間10秒)でHV900を示した。なお、試験サンプル数は5個で、表面硬度の数値はその平均値で表わした。
また、得られた腕時計ケースおよび腕時計バンドについて、耐食性試験および摩耗試験を下記方法に従って行なった。
(1)耐食性試験
耐食性試験は、JIS H 8502(キャス(CASS)試験)に従って行なった。試験時間は96時間とし、その試験面の耐食性評価は、レイティングナンバ標準図表によってレイティングナンバが9.8以上のとき、合格とした。実施例1から6における耐食性試験の結果は、レイティングナンバの値が9.8以上、つまり合格であった。
(2)摩耗試験
被膜形成した試験片をその被膜形成面側を下向きにして、試験片押さえ板と試験片押さえネジとによって、試験片取付台の開口部に固定する。そして、摩耗輪に研磨紙を貼り付ける。この摩耗輪に、天秤機構によって研磨紙を試験片に押しつけるような上向きの荷重を加える。
そして、試験片取付台を、モータの回転運動を往復運動に変換する機構によって往復運動させ、さらに摩耗輪を試験片取付台の1往復ごとに角度0.9゜ずつ矢印方向に回転させる。その回転によって、試験片を摩耗輪に貼り付けられた研磨紙の摩耗していない新しい領域に常に接触することになる。試験片取付台の往復回数は自動設定することができ、設定した回数で摩耗試験機は自動停止する。
さらに、摩耗輪に貼り付ける研磨紙としては、ラッピングフィルム(フィルム表面に粒子径12μmのAl23粒子があるもの)を用い、この研磨紙と試験片との接触荷重は500gとし、試験片取付台の往復運動回数は100回を条件として、摩耗試験を行なった。試験条件を下記に示す。
本発明の被膜を試験片(SUS304)に形成したものと、窒化チタンを主体とした金色被覆層をイオンプレーティング法により形成し、次いで、この層上に金または金合金を主体とする金色被覆層をイオンプレーティング法により形成した従来の技術による被覆構成を試験片(SUS304)に形成したものを摩耗試験機により比較試験を行なった。
<試験条件>
摩耗試験機:スガ試験機株式会社製、
NUS−ISO−2
研磨紙:ラッピングフィルム
粒子径12μmのAl23 、#1200
接触荷重:500g
往復運動回数:100回
摩耗試験を行った結果、本発明品は発色層、仕上げ被膜層のいずれも表面状態の変化はなかった。つまり、合格であった。これに対し、従来品は、最外層の金合金が取れかかり、窒化チタンの金色被覆層にて摩耗キズが無数に入った。
なお、実施例では、腕時計ケースおよび腕時計バンドを製造しているが、実施例に記載の技術は、ネックレス、ペンダント、ブローチ等の装飾品にも適用できることは言うまでもない。

Claims (18)

  1. 貴金属または貴金属の合金からなる被膜が形成された装飾品において、
    金属またはセラミックスからなる装飾品用基材と、
    前記基材表面に形成された下地層と、
    前記下地層の表面に乾式メッキ法により金と、金と共晶となる元素からなる金合金を形成する装飾被膜層とから構成されており、
    前記装飾被膜層は、
    10から20原子%のシリコンと、80から90原子%の金からなる金合金であることを特徴とする金色被膜を有する装飾品。
  2. 貴金属または貴金属の合金からなる被膜が形成された装飾品において、
    金属またはセラミックスからなる装飾品用基材と、
    前記基材表面に形成された下地層と、
    前記下地層の表面に乾式メッキ法により金と、金と共晶となる元素からなる金合金を形成する装飾被膜層とから構成されており、
    前記装飾被膜層は、
    1から15原子%のゲルマニウムと85から99原子%の金からなる金合金であることを特徴とする金色被膜を有する装飾品。
  3. 前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、タングステンカーバイドおよびタンタルカーバイドの中から選ばれる少なくとも1つの金属ないし合金からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様およびエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の金色被膜を有する装飾品。
  4. 前記装飾品用基材が、ジルコニアセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化剤を3から7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈していることを特徴とする請求項1または2に記載の金色被膜を有する装飾品。
  5. 前記装飾品用基材が、銅および銅合金以外の金属、またはセラミックスからなり、かつ、前記基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、
    クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  6. 前記装飾品用基材が、銅および銅合金以外の金属、またはセラミックスからなり、かつ、前記基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン、クロム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブまたはタンタルの炭化物(炭素原子含有量が5から15原子%)、窒化物、窒炭化物からなる金属化合物被膜であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  7. 前記下地層が、乾式メッキ法により形成された厚み0.02から2μmの被膜であることを特徴とする請求項1、5、6のいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  8. 前記装飾被膜層が18から19原子%のシリコンと、81から82原子%の金からなる金合金であることを特徴とする請求項1記載の金色被膜を有する装飾品。
  9. 前記装飾被膜層が2から4原子%のゲルマニウムと、96から98原子%の金からなる金合金であることを特徴とする請求項に記載の金色被膜を有する装飾品。
  10. 前記装飾被膜層の厚さが0.001から1.0μmであることを特徴とする請求項1、2、8、9のいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  11. 前記装飾被膜層の表面硬度(HV;マイクロビッカース硬度計、5mN荷重)が、700から2000であることを特徴とする請求項1、2、8から10のいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  12. 前記装飾被膜層からなる金色被膜表面の一部に、乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成された、前記装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜からなる仕上げ被膜層を有することを特徴とする請求項1、2、8から11のいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  13. 前記仕上げ被膜層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなることを特徴とする請求項12に記載の金色被膜を有する装飾品。
  14. 前記装飾被膜層と前記仕上げ被膜層の間に混合層を有していることを特徴とする請求項12または13に記載の金色被膜を有する装飾品。
  15. 前記混合層は前記装飾被膜層および前記仕上げ被膜層を形成する金属またはその合金からなることを特徴とする請求項14に記載の金色被膜を有する装飾品。
  16. 前記混合層の厚みが0.005から0.1μmであることを特徴とする請求項14または15に記載の金色被膜を有する装飾品。
  17. 前記下地層、混合層、装飾被膜層、仕上げ被膜層の各層が、スパッタリング法、イオンプレーティング法、アーク法の中の少なくとも1つの方式で形成されていることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
  18. 前記装飾品が時計外装部品であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の金色被膜を有する装飾品。
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