JP2999360B2 - 金色装飾部品およびその製造方法 - Google Patents

金色装飾部品およびその製造方法

Info

Publication number
JP2999360B2
JP2999360B2 JP1842094A JP1842094A JP2999360B2 JP 2999360 B2 JP2999360 B2 JP 2999360B2 JP 1842094 A JP1842094 A JP 1842094A JP 1842094 A JP1842094 A JP 1842094A JP 2999360 B2 JP2999360 B2 JP 2999360B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
atomic
dry plating
gold
film
nitrogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1842094A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0711462A (ja
Inventor
田 信 二 池
形 亮 倉
橋 重 之 高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Citizen Watch Co Ltd filed Critical Citizen Watch Co Ltd
Priority to JP1842094A priority Critical patent/JP2999360B2/ja
Publication of JPH0711462A publication Critical patent/JPH0711462A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2999360B2 publication Critical patent/JP2999360B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adornments (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、かぶれなどの金属アレル
ギー性の皮膚炎を起こす虞のない金色装飾部品およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、時計バンドなどの時計部
品、指輪、ネックレス、イヤリング等の装飾部品は、そ
の最外層に、湿式あるいは乾式メッキの手法を用いて金
被膜を形成することにより、高級感あるいは優れた耐食
性を付与している。しかしながら、純金の被膜では、軟
らかく摩耗し易いこと、また金色が濃くなり過ぎるため
好まれず、むしろ淡い金色が好まれる傾向にある等の理
由により、純金の被膜に変えて金−ニッケル合金膜、金
−パラジウム合金膜等が装飾部品の最外層に形成される
ようになった。
【0003】しかしながら、近年、貴金属製のネックレ
スやイヤリングなどの装飾品で、金属と皮膚の接触でか
ぶれができるアレルギー性の皮膚炎が増加しており、ほ
とんどの金属でその事例が報告されている。中でも、金
−ニッケル合金膜、金−パラジウム合金膜はアレルギー
性の皮膚炎の発生が多く報告されている。
【0004】また、鉄は、アレルギー性の皮膚炎になる
事例の極めて少ない金属であるが、上記のような装飾部
品の最外層に被膜をイオンプレーティング法で形成する
と、得られる金−鉄合金膜の色調が一定せず、しかも、
黒ずんでしまう等の問題点があった。この原因が何であ
るか鋭意研究した結果、鉄が活性であるために、イオン
プレーティング装置内に存在する酸素、炭素、窒素が被
膜中に多量に取り込まれるためであることが判明した。
【0005】したがって、従来より、皮膚と接触しても
かぶれなどのアレルギー性皮膚炎が生じることがなく、
かつ、均一な金色調を有する金色装飾部品の出現が望ま
れている。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、皮膚と接触し
てもかぶれなどのアレルギー性皮膚炎が生じることが極
めて少なく、かつ、均一な金色調を有する装飾部品およ
びその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る第1の金色装飾部品は、基
材と、この基材表面に窒素以外の不活性ガス中で乾式メ
ッキ法により形成された、不可避成分を含有するTi系
被膜と、このTi系被膜上に乾式メッキ法により形成さ
れた最外層被膜とからなり、かつ、最外層被膜が、金6
0〜99原子%と鉄0.5〜20原子%と不可避成分
0.5〜20原子%とを含有してなることを特徴として
いる。
【0008】また、本発明に係る第2の金色装飾部品
は、基材と、この基材表面に乾式メッキ法により形成さ
れたTiN被膜と、このTiN被膜上に乾式メッキ法に
より形成された最外層被膜とからなり、かつ、最外層被
膜が、金60〜99原子%と鉄0.5〜20原子%と不
可避成分0.5〜20原子%とを含有してなることを特
徴としている。
【0009】さらに、本発明に係る第3の金色装飾部品
は、基材と、この基材表面に窒素以外の不活性ガス中で
乾式メッキ法により形成された、不可避成分を含有する
Ti系被膜と、このTi系被膜上に乾式メッキ法により
形成されたTiN被膜と、このTiN被膜上に乾式メッ
キ法により形成された最外層被膜とからなり、かつ、最
外層被膜が、金60〜99原子%と鉄0.5〜20原子
%と不可避成分0.5〜20原子%とを含有してなるこ
とを特徴としている。
【0010】前記乾式メッキ法において、基材を含む、
成膜前の乾式メッキ装置内の初期排気が、5×10 -5
1.0×10 -6 Torrまで行なわれていることが望ま
しい。
【0011】最外層被膜に取り込まれる不可避成分の量
を出来るだけ少なくするという観点からは、本発明に係
る第3の金色装飾部品であって、前記Ti系被膜が、基
材を含む、成膜前の乾式メッキ装置内の初期排気を5×
10 -5 〜1.0×10 -6 Torrまで行ない、該装置内
に置かれた基材表面に窒素以外の不活性ガス中で乾式メ
ッキ法により形成され、かつ、膜厚が0.1〜0.5μ
mであることが望ましい。
【0012】本発明に係る金色装飾部品の第の製造方
法は、基材上に、乾式メッキ装置内で窒素以外の不活性
ガス雰囲気下にチタンを蒸発させて乾式メッキ装置内に
存在する不可避成分を含有するTi系被膜を形成させ、
次いで、この乾式メッキ装置内で、このTi系被膜の上
に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子
%と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原
子%とを含有してなる最外層被膜を形成することを特徴
としている。
【0013】また、本発明に係る金色装飾部品の第
製造方法は、基材上に、乾式メッキ装置内で窒素ガス雰
囲気下にチタンを蒸発させてTiN被膜を形成させ、次
いで、この乾式メッキ装置内で、このTiN被膜の上
に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子
%と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原
子%とを含有してなる最外層被膜を形成することを特徴
としている。
【0014】さらに、本発明に係る金色装飾部品の第
の製造方法は、基材上に、窒素以外の不活性ガス雰囲気
下にチタンを蒸発させて乾式メッキ装置内に存在する不
可避成分を含有するTi系被膜を形成させ、次いで、こ
の乾式メッキ装置内で、このTi系被膜の上に、窒素ガ
ス雰囲気下にチタンを蒸発させてTiN被膜を形成さ
せ、次いで、この乾式メッキ装置内で、このTiN被膜
の上に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99
原子%と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜2
0原子%とを含有してなる最外層被膜を形成することを
特徴としている。最外層被膜に取り込まれる不可避成分
の量を出来るだけ少なくするという観点からは、本発明
に係る第3の金色装飾部品の製造方法において、前記T
i系被膜が、基材を含む、成膜前の乾式メッキ装置内の
初期排気を5×10 -5 〜1.0×10 -6 Torrまで行
ない、該装置内に置かれた基材表面に窒素以外の不活性
ガス中で乾式メッキ法により形成され、かつ、膜厚が
0.1〜0.5μmであることが望ましい。
【0015】本発明では、金色装飾部品の最外層被膜の
直下に上記TiN被膜を有していることが好ましく、ま
た、基材上にTi系被膜を有していることが好ましい。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る金色装飾部品
およびその製造方法について具体的に説明する。
【0017】まず、本発明に係る金色装飾部品について
説明する。本発明に係る金色装飾部品は、基材と、この
基材上に乾式メッキ法である真空蒸着法、スパッタ法あ
るいはイオンプレーティング法により形成された最外層
被膜とからなり、かつ、最外層被膜が、金と鉄と不可避
成分とを特定の割合で含有してなる。
【0018】また、本発明に係る金色装飾部品では、上
記の基材と最外層被膜との間にTiN被膜が存在してい
てもよい。特にTiN被膜を有する金色装飾部品は、最
外層被膜と基材との密着性に優れている。
【0019】さらに、本発明に係る金色装飾部品は、上
記の基材と最外層被膜との間に、あるいは上記の基材と
TiN被膜との間に、窒素以外のアルゴン、ヘリウム、
ネオンなどの不活性ガス中で形成された、乾式メッキ装
置内に存在する不可避成分(窒素、酸素、炭素)を含有
するTi系被膜が存在していてもよい。
【0020】本発明で用いられる基材としては、装飾部
品の種類によって異なるが、金属、プラスチック、セラ
ミックなどの材料が挙げられる。本発明に係る金色装飾
部品では、最外層被膜は、金が60〜99原子%、好ま
しくは81.5〜96.5原子%、さらに好ましくは8
8〜96.5原子%存在しており、鉄が0.5〜20原
子%、好ましくは2.5〜7原子%、さらに好ましくは
3〜7原子%存在しており、酸素、炭素、窒素のうち少
なくとも一種類からなる不可避成分が0.5〜20原子
%、好ましくは0.5〜12原子%、さらに好ましくは
0.5〜5原子%存在している。
【0021】上記最外層被膜中に金と鉄と不可避成分と
を上記のような割合で存在させると、上記不可避成分に
よる被膜の色調への悪影響を防止することができ、金色
の均一な色調を有する金色装飾部品が得られる。特に最
外層被膜の下に上記Ti系被膜が形成されている金色装
飾部品は、上記Ti系被膜の形成の際に乾式メッキ装置
内に存在する不可避成分がTi系被膜中に取り込まれて
いるため、最外層被膜に取り込まれる不可避成分の量
が、最外層被膜の下に上記Ti系被膜が形成されていな
い金色装飾部品と比較して顕著に少なく、最外層被膜の
色調がより均一となる。また、金が88〜96.5原子
%、鉄が3〜7原子%、不可避成分が0.5〜5原子%
の割合の最外層被膜を有する金色装飾部品の金色の色調
は、スイス金メッキ色規格で1N−14〜2N−18の
範囲である。また、金色の色調がスイス金メッキ色規格
で1N−14〜2N−18の範囲にある金色装飾部品
は、鏡面光沢でL*(10.0〜90.0)a*(6.
0)b*(3.0)〜L*(10.0〜90.0)a
*(1.0)b*(15.0)の範囲の金色調を示してい
る。ここに、L*は国際照明委員会(CIE)のCIE
1976 (L***)色空間における明度指数であ
り、a*、b*はクロマティクネス指数を表わす。上記金
色調のL*、a*およびb*の測定は、CIEの規格で定
められている0度視野XYZ系による物体色の測定方法
に従って、鏡面光沢の試験片について、スガ試験機
(株)製色差計SM−2−SCH[積分球方式、測定方
式:反射、測定口径:12mm]を用いて行なわれる。
【0022】なお、上記金、鉄、不可避成分が上記割合
から外れる最外層被膜を有する金色装飾部品でも、1N
−14〜2N−18の範囲に入る金色の色調を有するこ
とがある。
【0023】最外層被膜が金と鉄と不可避成分とから形
成されている本発明に係る金色装飾部品は、皮膚と接触
しても上記のようなアレルギー性皮膚炎が生じることが
極めて少ない。
【0024】本発明に係る金色装飾部品の最外層被膜
は、厚みが通常0.05〜0.5μm、好ましくは0.
1〜0.3μmである。また、TiN被膜の膜厚は、
0.1〜10μm、好ましくは0.1〜2μmであり、
不可避成分を多く含有するTi系被膜の膜厚は、0.1
〜0.5μm、好ましくは0.2〜0.3μm程度であ
ることが望ましい。
【0025】本発明に係る金色装飾部品の最外層被膜の
表面状態は、特に限定されず、鏡面光沢であっても、ま
た梨地であってもよい。次に、本発明に係る金色装飾部
品の製造方法について説明する。
【0026】まず、基材と最外層被膜とからなる上記の
ような金色装飾部品は、たとえば基材上に、乾式メッキ
装置内で窒素以外のアルゴン、ヘリウム、ネオンなどの
不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子%と鉄0.5〜
20原子%と不可避成分0.5〜20原子%とを含有し
てなる最外層被膜を形成することにより得られる。
【0027】また、基材と、Ti系被膜と、最外層被膜
とからなる上記のような金色装飾部品は、基材上に、乾
式メッキ装置内で窒素以外のアルゴン、ヘリウム、ネオ
ンなどの不活性ガス雰囲気下にチタンを蒸発させて乾式
メッキ装置内に存在する不可避成分を含有するTi系被
膜を形成させ、次いで、この乾式メッキ装置内で、この
Ti系被膜の上に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金
60〜99原子%と鉄0.5〜20原子%と不可避成分
0.5〜20原子%とを含有してなる最外層被膜を形成
することにより得られる。
【0028】また、基材と、TiN被膜と、最外層被膜
とからなる上記のような金色装飾部品は、基材上に、乾
式メッキ装置内で窒素ガス雰囲気下にチタンを蒸発させ
てTiN被膜を形成させ、次いで、この乾式メッキ装置
内で、このTiN被膜の上に、窒素以外の不活性ガス雰
囲気下に金60〜99原子%と鉄0.5〜20原子%と
不可避成分0.5〜20原子%とを含有してなる最外層
被膜を形成することにより得られる。
【0029】また基材と、Ti系被膜と、TiN被膜
と、最外層被膜とからなる上記のような金色装飾部品
は、基材上に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下にチタン
を蒸発させて乾式メッキ装置内に存在する不可避成分を
含有するTi系被膜を形成させ、次いで、この乾式メッ
キ装置内で、このTi系被膜の上に窒素ガス雰囲気下に
チタンを蒸発させてTiN被膜を形成させ、次いで、こ
の乾式メッキ装置内で、このTiN被膜の上に、窒素以
外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子%と鉄0.
5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原子%とを含
有してなる最外層被膜を形成することにより得られる。
【0030】本発明においては、上記の最外層被膜は、
スパッタ法、真空蒸着法またはイオンプレーティング法
によって形成することができるが、特にイオンプレーテ
ィング法によって形成することが好ましい。
【0031】以下、本発明に係る金色装飾部品における
各々の被膜、特にイオンプレーティング法による最外層
被膜の形成についてより具体的に説明する。腕時計用バ
ンドなどの基材は、予め有機溶剤等で洗浄しておくこと
が好ましい。また、イオンプレーティング装置内を5×
10-5〜1.0×10-6Torr、好ましくは1.0×
10-5〜1.0×10-6Torrまで排気した後、雰囲
気ガスを8×10-4〜5×10-3Torr、好ましくは
1.0×10-3〜3.0×10-3Torrまで導入す
る。
【0032】均一な金色調を有する最外層被膜を得るに
は、成膜前の装置内部の圧力は低い方がよく、1×10
-5Torr以下、好ましくは1×10-6Torr以下に
排気することが望ましい。すなわち、装置内部の圧力が
低くなるにしたがって、装置内部の不可避成分の存在す
る量が減少し、金色調が均一化するからである。
【0033】本発明では、上記TiN被膜を形成させる
ことが金−鉄合金膜の最外層被膜と基材との密着性の面
から好ましいが、TiN被膜の代わりに、ZrN、Hf
N等の金色系の窒化物被膜を形成してもよい。
【0034】本発明では、金−鉄混合物を蒸発源として
用いてもよく、また、蒸発源を2つ設け、一方の蒸発源
として金を用い、他方の蒸発源として鉄を用い、金と鉄
を別々に蒸発させてもよい。
【0035】本発明で蒸発源として金−鉄混合物を用い
る場合には、得られる最外層被膜の組成が金60〜99
原子%、鉄0.5〜20原子%となるように金と鉄とを
用いるが、具体的には、金75〜90原子%、鉄10〜
25原子%である金−鉄混合物(あるいは金−鉄合金)
を用いることが好ましい。
【0036】このように、蒸発源における金と鉄との割
合をコントロールすることによって、得られる金色装飾
部品の最外層被膜の色調を容易にコントロールすること
ができる。
【0037】
【発明の効果】本発明に係る金色装飾部品は、最外層被
膜が、金と鉄と不可避成分とを含有してなるので、皮膚
と接触してもかぶれなどのアレルギー性皮膚炎が生じる
ことが極めて少なく、かつ、均一な金色調を有する。特
に、最外層の金−鉄合金膜の下にTi系被膜を有する金
色装飾部品は、均一な金色調とすることができる。ま
た、TiN被膜を有する金色装飾部品は、最外層被膜と
基材との密着性に優れている。また、乾式メッキ法の中
でも、特にイオンプレーティング法で形成された最外層
被膜を有する金色装飾部品は、耐摩耗性に優れている。
【0038】本発明に係る金色装飾部品の製造方法によ
れば、上記のような効果を有する金色装飾部品が得られ
る。以下、本発明を実施例により説明するが、本発明
は、これら実施例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例1】まずステンレススチールにより加工した腕
時計用ケースを有機溶剤で洗浄し、この腕時計用ケース
をイオンプレーティング装置に配置した。
【0040】次いで、装置内を1.0×10-5Torr
まで排気した後、アルゴンガスを3×10-3Torrま
で導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラ
メントとプラズマ電極を駆動させてアルゴンのプラズマ
を形成させた。同時に基材である腕時計用ケースに−5
0Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニン
グを行なった。
【0041】次いで、アルゴンガスの導入を止め、装置
内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入した。
次いで、装置内部に備えられたプラズマ銃でプラズマを
発生させた後、チタンを10分間蒸発させてTiN被膜
を0.5μmの膜厚に形成させた。
【0042】次いで、チタンの蒸発と窒素ガスの導入を
止め、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した。
次いで、装置内にアルゴンガスを1.0×10-3Tor
rまで導入してプラズマを発生させた後、金75原子%
と鉄25原子%とからなる金−鉄混合物を蒸発させ、金
−鉄合金膜の厚みが0.3μmになったところで金−鉄
混合物の蒸発を止めた。
【0043】得られた腕時計用ケースは、均一な金色調
を有していた。この金色調は、スイス金メッキ色規格で
1N−14であった。また、得られた色調は、L*20
*1.0b*15.0であった。
【0044】得られた腕時計用ケースの最外層被膜は、
X線光電子分光法による分析の結果、金85原子%、鉄
8原子%、窒素1原子%、酸素3原子%、および炭素3
原子%からなっていた。
【0045】この腕時計用ケースを他の時計部品ととも
に組み立てて腕時計とし、この腕時計を90日間にわた
って合計1080時間携帯しても、アレルギー性皮膚炎
は全く生じなかった。
【0046】
【実施例2】まずステンレススチールにより加工して表
面に鏡面加工を施して得られた腕時計用ケースを有機溶
剤で洗浄し、この腕時計用ケースをイオンプレーティン
グ装置に配置した。
【0047】次いで、装置内を1.0×10-5Torr
まで排気した後、アルゴンガスを3×10-3Torrま
で導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラ
メントとプラズマ電極を駆動させてアルゴンのプラズマ
を形成させた。同時に基材である腕時計用ケースに−5
0Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニン
グを行なった。
【0048】次いで、装置内部に備えられたプラズマ銃
でプラズマを発生させた後、チタンを5分間蒸発させて
腕時計用ケース表面にTi系被膜を0.25μmの膜厚
に形成し、装置内を1.0×10-5Torrまで排気し
た。このTi系被膜には、微量の窒素、酸素、炭素が含
まれていた。
【0049】次いで、窒素ガスを2.0×10-3Tor
rまで装置内に導入して装置内部に備えられたプラズマ
銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発さ
せて上記Ti系被膜の表面にTiN被膜を0.5μmの
膜厚に形成させた。
【0050】次いで、チタンの蒸発と窒素ガスの導入を
止め、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した。
次いで、装置内にアルゴンガスを1.0×10-3Tor
rまで導入してプラズマを発生させた後、金75原子%
と鉄25原子%とからなる金−鉄混合物を蒸発させ、金
−鉄合金膜の厚みが0.3μmになったところで金−鉄
混合物の蒸発を止めた。
【0051】得られた腕時計用ケースは、均一な金色調
を有していた。この金色調は、スイス金メッキ色規格で
1N−14であった。また、得られた色調は、L*80
*1.0b*15.0であった。
【0052】得られた腕時計用ケースの最外層被膜は、
X線光電子分光法による分析の結果、金87原子%、鉄
8.5原子%、窒素0.5原子%、酸素1.5原子%、
および炭素2.5原子%からなっていた。
【0053】この腕時計用ケースを他の時計部品ととも
に組み立てて腕時計とし、この腕時計を90日間にわた
って合計1080時間携帯しても、アレルギー性皮膚炎
は全く生じなかった。
【0054】
【実施例3】まずステンレススチールにより加工して表
面に鏡面加工を施して得られた腕時計用ケースを有機溶
剤で洗浄し、この腕時計用ケースをイオンプレーティン
グ装置に配置した。
【0055】次いで、装置内を1.0×10-5Torr
まで排気した後、アルゴンガスを1.0×10-3Tor
rまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フ
ィラメントとプラズマ電極を駆動させてアルゴンのプラ
ズマを形成させた。同時に基材である腕時計用ケースに
−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリー
ニングを行なった。
【0056】次いで、装置内部に備えられたプラズマ銃
でプラズマを発生させた後、チタンを5分間蒸発させて
腕時計用ケース表面にTi系被膜を0.25μmの膜厚
に形成し、装置内を1.0×10-5Torrまで排気し
た。このTi系被膜には、微量の窒素、酸素、炭素が含
まれていた。
【0057】次いで、装置内にアルゴンガスを1.0×
10-3Torrまで導入してプラズマを発生させた後、
金90原子%と鉄10原子%とからなる金−鉄混合物を
蒸発させ、金−鉄合金膜の厚みが0.3μmになったと
ころで金−鉄混合物の蒸発を止めた。
【0058】上記のようにして得られた腕時計用ケース
は、均一な金色調を有していた。この金色調は、スイス
金メッキ色規格で2N−18であった。また、得られた
色調は、L*60a*6.0b*3.0であった。
【0059】得られた腕時計用ケースの最外層被膜は、
X線光電子分光法による分析の結果、金91原子%、鉄
3.5原子%、窒素0.5原子%、酸素2原子%、およ
び炭素3原子%からなっていた。
【0060】この腕時計用ケースを他の時計部品ととも
に組み立てて腕時計とし、この腕時計を90日間にわた
って合計1080時間携帯しても、アレルギー性皮膚炎
は全く生じなかった。
【0061】
【実施例4】まずステンレススチールにより加工して表
面に鏡面加工を施して得られた腕時計用ケースを有機溶
剤で洗浄し、この腕時計用ケースをイオンプレーティン
グ装置に配置した。
【0062】次いで、装置内を1.0×10-6Torr
まで排気した後、アルゴンガスを1.0×10-3Tor
rまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フ
ィラメントとプラズマ電極を駆動させてアルゴンのプラ
ズマを形成させた。同時に基材である腕時計用ケースに
−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリー
ニングを行なった。
【0063】次いで、装置内部に備えられたプラズマ銃
でプラズマを発生させた後、チタンを5分間蒸発させて
腕時計用ケース表面にTi系被膜を0.25μmの膜厚
に形成し、装置内を1.0×10-5Torrまで排気し
た。このTi系被膜には、微量の窒素、酸素、炭素が含
まれていた。
【0064】次いで、装置内にアルゴンガスを1.0×
10-3Torrまで導入してプラズマを発生させた後、
金90原子%と鉄10原子%とからなる金−鉄混合物を
蒸発させ、金−鉄合金膜の厚みが0.3μmになったと
ころで金−鉄混合物の蒸発を止めた。
【0065】上記のようにして得られた腕時計用ケース
は、均一な金色調を有していた。この金色調は、スイス
金メッキ色規格で2N−18であった。また、得られた
色調は、L*70a*6.0b*3.0であった。
【0066】得られた腕時計用ケースの最外層被膜は、
X線光電子分光法による分析の結果、金92原子%、鉄
4原子%、窒素0.5原子%、酸素1.5原子%、およ
び炭素2原子%からなっていた。
【0067】この腕時計用ケースを他の時計部品ととも
に組み立てて腕時計とし、この腕時計を90日間にわた
って合計1080時間携帯しても、アレルギー性皮膚炎
は全く生じなかった。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−144443(JP,A) 特開 昭59−190340(JP,A) 特開 平1−132728(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 30/00

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材と、この基材表面に窒素以外の不活
    性ガス中で乾式メッキ法により形成された、不可避成分
    を含有するTi系被膜と、このTi系被膜上に乾式メッ
    キ法により形成された最外層被膜とからなり、かつ、 最外層被膜が、金60〜99原子%と鉄0.5〜20原
    子%と不可避成分0.5〜20原子%とを含有してなる
    ことを特徴とする金色装飾部品。
  2. 【請求項2】 基材と、この基材表面に乾式メッキ法に
    より形成されたTiN被膜と、このTiN被膜上に乾式
    メッキ法により形成された最外層被膜とからなり、か
    つ、 最外層被膜が、金60〜99原子%と鉄0.5〜20原
    子%と不可避成分0.5〜20原子%とを含有してなる
    ことを特徴とする金色装飾部品。
  3. 【請求項3】 基材と、この基材表面に窒素以外の不活
    性ガス中で乾式メッキ法により形成された、不可避成分
    を含有するTi系被膜と、このTi系被膜上に乾式メッ
    キ法により形成されたTiN被膜と、このTiN被膜上
    に乾式メッキ法により形成された最外層被膜とからな
    り、かつ、 最外層被膜が、金60〜99原子%と鉄0.5〜20原
    子%と不可避成分0.5〜20原子%とを含有してなる
    ことを特徴とする金色装飾部品。
  4. 【請求項4】 前記最外層被膜が、イオンプレーティン
    グ法によって形成されてなることを特徴とする請求項1
    のいずれかに記載の金色装飾部品。
  5. 【請求項5】 前記Ti系被膜の膜厚が0.1〜0.5
    μmであることを特徴とする請求項1または3に記載の
    金色装飾部品。
  6. 【請求項6】 前記TiN被膜の膜厚が0.1〜10μ
    mであることを特徴とする請求項2または3に記載の金
    色装飾部品。
  7. 【請求項7】 前記乾式メッキ法において、基材を含
    む、成膜前の乾式メッキ装置内の初期排気が、5×10
    -5〜1.0×10-6Torrまで行なわれていることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金色装飾部
    品。
  8. 【請求項8】 前記Ti系被膜が、基材を含む、成膜前
    の乾式メッキ装置内の初期排気を5×10-5〜1.0×
    10-6Torrまで行ない、該装置内に置かれた基材表
    面に窒素以外の不活性ガス中で乾式メッキ法により形成
    され、かつ、膜厚が0.1〜0.5μmであることを特
    徴とする請求項3に記載の金色装飾部品。
  9. 【請求項9】 基材上に、乾式メッキ装置内で窒素以外
    の不活性ガス雰囲気下にチタンを蒸発させて乾式メッキ
    装置内に存在する不可避成分を含有するTi系被膜を形
    成させ、 次いで、この乾式メッキ装置内で、このTi系被膜の上
    に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子
    %と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原
    子%とを含有してなる最外層被膜を形成することを特徴
    とする金色装飾部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 基材上に、乾式メッキ装置内で窒素ガ
    ス雰囲気下にチタンを蒸発させてTiN被膜を形成さ
    せ、 次いで、この乾式メッキ装置内で、このTiN被膜の上
    に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子
    %と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原
    子%とを含有してなる最外層被膜を形成することを特徴
    とする金色装飾部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 基材上に、窒素以外の不活性ガス雰囲
    気下にチタンを蒸発させて乾式メッキ装置内に存在する
    不可避成分を含有するTi系被膜を形成させ、 次いで、この乾式メッキ装置内で、このTi系被膜の上
    に、窒素ガス雰囲気下にチタンを蒸発させてTiN被膜
    を形成させ、 次いで、この乾式メッキ装置内で、このTiN被膜の上
    に、窒素以外の不活性ガス雰囲気下に金60〜99原子
    %と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原
    子%とを含有してなる最外層被膜を形成することを特徴
    とする金色装飾部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記Ti系被膜の膜厚が0.1〜0.
    5μmであることを特徴とする請求項9または11に記
    載の金色装飾部品の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記TiN被膜の膜厚が0.1〜10
    μmであることを特徴とする請求項10または11に記
    載の金色装飾部品の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記乾式メッキ法において、基材を含
    む、成膜前の乾式メッキ装置内の初期排気を、5×10
    -5〜1.0×10-6Torrまで行なうことを特徴とす
    る請求項9〜11のいずれかに記載の金色装飾部品の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記Ti系被膜が、基材を含む、成膜
    前の乾式メッキ装置内の初期排気を5×10-5〜1.0
    ×10-6Torrまで行ない、該装置内に置かれた基材
    表面に窒素以外の不活性ガス中で乾式メッキ法により形
    成され、かつ、膜厚が0.1〜0.5μmであることを
    特徴とする請求項11に記載の金色装飾部品の製造方
    法。
JP1842094A 1993-04-30 1994-02-15 金色装飾部品およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2999360B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1842094A JP2999360B2 (ja) 1993-04-30 1994-02-15 金色装飾部品およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12836093 1993-04-30
JP5-128360 1993-04-30
JP1842094A JP2999360B2 (ja) 1993-04-30 1994-02-15 金色装飾部品およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0711462A JPH0711462A (ja) 1995-01-13
JP2999360B2 true JP2999360B2 (ja) 2000-01-17

Family

ID=26355093

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1842094A Expired - Fee Related JP2999360B2 (ja) 1993-04-30 1994-02-15 金色装飾部品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2999360B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005270479A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Citizen Watch Co Ltd 金色被膜を有する装飾品およびその製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2070695A4 (en) 2006-09-25 2010-06-30 Citizen Holdings Co Ltd ARTICLE AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005270479A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Citizen Watch Co Ltd 金色被膜を有する装飾品およびその製造方法
JP4504059B2 (ja) * 2004-03-26 2010-07-14 シチズンホールディングス株式会社 金色被膜を有する装飾品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0711462A (ja) 1995-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4791017A (en) Hard, gold-colored under layer for a gold or gold-containing surface layer and an article therewith
US5985469A (en) White decorative part and process for producing the same
US4707238A (en) Method of processing a metal surface
JPS58153776A (ja) 装飾部品の製造方法およびそれに用いるイオンプレ−テイング装置
US4758280A (en) Decorative black wear protection coating
US6299987B1 (en) Golden decorative part
JP3262686B2 (ja) 金色装飾品およびその製造方法
JP2999360B2 (ja) 金色装飾部品およびその製造方法
JP3179648B2 (ja) 金色装飾部品およびその製造方法
JP2001061521A (ja) 金色装飾部品およびその製造方法
GB2186000A (en) A method of processing a metal surface
JP3909092B2 (ja) 金色装飾部品及びその製造方法
GB2227756A (en) Method for the preparation of a two-tone coloured metal-made personal ornament
JPH0774428B2 (ja) 外装品
JPH03120355A (ja) 白色装身具
US11015240B2 (en) Hard decorative member and method for manufacturing the same
JPS6372866A (ja) 窒化チタンの装飾性コ−テイング方法
JPH0730676Y2 (ja) 金色外装部品
JPH02282468A (ja) 金色外装部品及びその製造方法
JPS61127858A (ja) 金色外装部品
JPS61127863A (ja) 外装部品
JPH07157869A (ja) イオンプレーティング法による窒化チタン膜の被覆方法
JPH03100161A (ja) 装飾用カラー硬質貴金属被膜
JP3020985B2 (ja) 金色層を有する外装品
JPS61133374A (ja) 金色外装部品

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071105

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091105

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091105

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111105

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111105

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 14

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees