JP4067434B2 - 白色被膜を有する装飾品及びその製造方法 - Google Patents

白色被膜を有する装飾品及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色被膜を有する装飾品(装身具)及びその製造方法に関し、特に、硬質でプラチナ色調またはプラチナ合金色調の白色被膜を有する装飾品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、装飾品(装身具)である時計、ネックレス、ペンダント、ブローチ等は、加工性、材料価格等により銅合金が多く使用されている。
【0003】
しかしながら、この銅合金を素材として製造された装飾品は、耐食性が悪いため基材表面に湿式メッキ法によりメッキ被膜が施されているのが現状である。このメッキ被膜は、通常、下地メッキ被膜として湿式メッキ法により形成されるニッケルメッキ被膜と、その被膜表面に湿式メッキ法により形成される最外層メッキ被膜とからなっている。この最外層メッキ被膜は、最外層を金色にする場合、ニッケルメッキ被膜表面に金メッキ被膜が湿式メッキ法により形成され、また、最外層を白色にする場合、ニッケルメッキ被膜表面にパラジウムメッキ被膜、パラジウム合金メッキ被膜またはロジウムメッキ被膜などが湿式メッキ法により形成されている。また、これらのメッキ被膜の厚みは、1〜5μmの範囲で形成されるのが一般的である。
【0004】
上記のような装飾品においては、耐食性を得るため高価な貴金属を含むメッキ被膜を最外層メッキ被膜として形成しているため、装飾品の価格が高くなるという、コスト面での問題がある。したがって、低価格品の装飾品では、最外層メッキ被膜が薄くなり、長期間における耐食性が問題となる。しかも、低価格品の装飾品の製造に際し、安定した薄い最外層メッキ被膜を得るため、貴金属メッキ浴の維持管理が作業上の大きな問題となっている。さらには、安定した色調の最外層メッキ被膜を得るためには、作業者の熟練度も問題となっている。また、プラチナもしくはプラチナ合金特有の美しい白色色調の最外層メッキ被膜を有する安価な装飾品は得られていない。
【0005】
そこで、本願出願人は、白色装飾品として、特許文献1において、金属基材表面を、白色硬質膜とこの膜表面に形成されたプラチナまたはプラチナ合金の膜とで被覆した白色装飾品を開示した。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−120355号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来技術の実施例においては、白色硬質被膜としてTiN被膜を形成しており、その被膜の色調は暗いグレー色か、または薄い金色となっている。このため、TiN被膜の上層にプラチナあるいはプラチナ合金被膜を形成しても、この白色硬質被膜(TiN被膜)の色調の影響を受け、プラチナまたはプラチナ合金特有の美しい発色は得られなかった。
【0008】
また、TiN被膜の膜厚が薄い場合は、外部からの衝撃や圧力により金属基材がへこみ、それによりプラチナまたはプラチナ合金被膜もへこみ、傷が入った状態になるという問題があった。また、プラチナ被膜の厚さが0.1μmとなっているので、コスト面での問題もあった。
【0009】
さらには、金属基材表面へのプラチナまたはプラチナ合金被膜の成膜に失敗した場合には、プラチナまたはプラチナ合金被膜を剥離して、改めてプラチナまたはプラチナ合金被膜を成膜することになるが、これらの被膜を剥離する場合は王水を使用するため、TiNからなる白色硬質被膜はもとより金属基材表面まで侵されてしまい、再生ができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決しようとするものであって、プラチナまたはプラチナ合金被膜特有の色調が得られ、よって、高級感があり、へこみや傷等による外観品質の劣化が起きにくく、しかも、比較的低コストで高級感のある白色被膜を有する装飾品及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
また、本発明の他の目的は、装飾品用基材、下地層及び炭化チタン層を侵すことなくプラチナまたはプラチナ合金被膜を剥離することができるようにして、再度プラチナ被膜またはプラチナ合金被膜を形成することによって再生が可能な装飾品及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、最外層として貴金属または貴金属の合金からなる白色色調を有する装飾被膜が乾式メッキ法により形成された装飾品において、
金属またはセラミックスからなる装飾品基材と、
該基材表面に形成された下地層と、
該下地層表面に乾式メッキ法により形成された炭化チタン層と、
該炭化チタン層の表面に、乾式メッキ法で形成されたプラチナまたはプラチナ合金からなる装飾被膜層とから構成され、
前記装飾品用基材および前記下地層は、
(1)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜、
(2)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜で形成される傾斜膜、
(3)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、該基材表面に湿式メッキ法により形成されたニッケル被膜と、該ニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成されたアモルファスのニッケル−リン合金被膜、または
(4)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中から選ばれる少なくとも1つからなる被膜であり、
前記炭化チタン層の厚みが0.5〜1.0μmであり、前記装飾被膜層が厚み0.03〜0.06μmの白色被膜であり、かつ、前記炭化チタン層が、炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜であることを特徴としている。
【0013】
また、前記下地層が、乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成されたニッケルを含まない合金からなることが望ましい。
【0014】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金及びタングステンカーバイトの中から選ばれる少なくとも1つの金属からなることを特徴とする。
【0015】
また、前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金及びタングステンカーバイトの中から選ばれる少なくとも1つの金属からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様及びエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする。
【0016】
また、前記装飾品用基材が、ジルコニアセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y22)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化剤を含んだ3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈していても良い。
【0017】
また、前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜であっても良い。
【0018】
また、前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜で形成される傾斜膜であっても良い。
【0019】
また、前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、前記下地層が、乾式メッキ法により形成された厚み0.02〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmの被膜であることを特徴とする。
【0020】
また、前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、該基材表面に湿式メッキ法により形成された厚み1〜10μmのニッケル被膜と、該ニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成された厚み3〜10μmのアモルファスのニッケル−リン合金被膜とからなっていても良い。
【0021】
また、前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中から選ばれる少なくとも1つからなる厚み2〜9μmの被膜であっても良い。
【0022】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記炭化チタン層と前記装飾被膜層との間に、前記炭化チタン層を形成する炭化チタンと、前記装飾被膜層を形成するプラチナまたはプラチナ合金とからなる、厚み0.005〜0.04μmの混合層を有していることを特徴とする。
【0023】
また、前記炭化チタン層と前記装飾被膜層との間に、乾式メッキ法により形成された厚み0.05〜1.5μmのステンレス鋼被膜層を有していても良い。
前記ステンレス鋼被膜層は、炭素0.01〜0.12容量%、シリコン0.1〜1.5容量%、マンガン1.0〜2.5容量%、ニッケル8〜22容量%、クロム15〜26容量%、残りが鉄の組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼からなる。
【0024】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層のL*、a*、b*表色系(CIE表系)による色評価が、85<L*<95、1.5<a*<4.0、4.5<b*<6.5、好ましくは88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であることを特徴とする。
【0025】
また、色々な表面仕上げが施された前記装飾品用基材に形成された装飾被膜層のL*、a*、b*のΔ値が、
ΔL*=±6.0、Δa*=±1.55、Δb*=±2.25
であることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記下地層、前記炭化チタン層、前記混合層、前記装飾被膜層の各層を形成する手段が、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びアーク法の中の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層表面の一部に、乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成された、前記装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜を有していることを特徴とする。
【0028】
前記装飾被膜層の色調と異なる被膜が、ニッケルを含まない合金であることが望ましい。
【0029】
また、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜が、金、金合金、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたはダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなっていても良い。
【0030】
また、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜として、窒化チタン、窒化ジルコニウムまたは窒化ハフニウムからなる下層と、金または金合金からなる上層との二層構造になっていても良い。
【0031】
また、前記装飾被膜層と、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜との間に、チタン被膜と該チタン被膜表面に形成されたシリコン被膜とを有していても良い。
【0032】
また、前記装飾被膜層が、炭化チタン層を形成する炭化チタンと、プラチナまたはプラチナ合金とからなる混合層であっても良い。
【0033】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重)が1000〜2000であることを特徴とする。
【0034】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾品が時計用外装部品であることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、最外層として貴金属または貴金属の合金からなる白色色調を有する装飾被膜が乾式メッキ法により形成された装飾品の製造方法において、
金属またはセラミックスからなる素材を用い、各種加工手段で装飾品用基材を製造する工程と、
該基材表面に、乾式メッキ法または湿式メッキ法により下地層を形成する工程と、
該下地層の表面に乾式メッキ法により炭化チタン層を形成する工程と、
該炭化チタン層表面に、乾式メッキ法により最外層としてプラチナまたはプラチナ合金からなる装飾被膜層を形成する工程とを含み、
前記装飾品用基材および前記下地層は、
(1)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜、
(2)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜で形成される傾斜膜、
(3)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、該基材表面
に湿式メッキ法により形成されたニッケル被膜と、該ニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成されたアモルファスのニッケル−リン合金被膜、または
(4)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中から選ばれる少なくとも1つからなる被膜であり、
前記炭化チタン層の厚みが0.5〜1.0μmであり、前記装飾被膜層が厚み0.03〜0.06μmの白色被膜であり、かつ、前記炭化チタン層が、炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜であることを特徴とする。
【0036】
また、前記下地層が、ニッケルを含まない合金からなり、乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成されることが望ましい。
【0037】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金及びタングステンカーバイトの中から選ばれる少なくとも1つの金属からなることを特徴とする。
【0038】
また、前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金及びタングステンカーバイトの中から選ばれる少なくとも1つの金属からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様及びエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする。
【0039】
また、前記装飾品用基材が、酸化イットリウム(Y22)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定剤を3〜7重量%含んだ安定化ジルコニア粉末100重量部に対して、バインダーを20〜25重量部含んだ素材を射出成形で成形し、その後、機械加工で粗加工、脱脂、焼成、研削及び研磨工程を経て形成され、白色色調を呈していることを特徴とする。
【0040】
また、銅及び銅合金以外の金属、またはセラミックスからなる前記装飾品用基材表面に、前記下地層として、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜を乾式メッキ法により形成しても良い。
【0041】
また、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなる装飾品用基材表面に、前記下地層として、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜である傾斜膜を乾式メッキ法により形成しても良い。
【0042】
また、銅及び銅合金以外の金属、またはセラミックスからなる装飾品用基材表面に、前記下地層として、厚み0.02〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmの被膜を乾式メッキ法により形成することを特徴とする。
【0043】
また、銅及び銅合金からなる装飾品用基材表面に、前記下地層として、厚み1〜10μmのニッケル被膜を湿式メッキ法により形成し、該ニッケル被膜表面に厚み3〜10μmのアモルファスのニッケル−リン合金被膜を湿式メッキ法により形成しても良い。
【0044】
また、銅または銅合金からなる装飾品用基材表面に、前記下地層として、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金からなる群から選ばれる少なくとも1つからなる厚み2〜9μmの被膜を湿式メッキ法により形成しても良い。
【0045】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記炭化チタン層と前記装飾被膜層との間に、前記炭化チタン層を形成する炭化チタンと、前記装飾被膜層を形成するプラチナまたはプラチナ合金とからなる、厚み0.005〜0.04μmの混合層を乾式メッキ法により形成することを特徴とする。
【0046】
また、前記炭化チタン層と前記装飾被膜層との間に、厚み0.05〜1.5μmのステンレス鋼被膜層を乾式メッキ法により形成しても良い。
前記ステンレス鋼被膜層は、炭素0.01〜0.12容量%、シリコン0.1〜1.5容量%、マンガン1.0〜2.5容量%、ニッケル8〜22容量%、クロム15〜26容量%、残りが鉄の組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼からなる被膜を、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びアーク法の中の少なくとも1つの方式で形成する。
【0047】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記下地層、前記炭化チタン層、前記混合層、前記装飾被膜層の各層を、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びアーク法の中の少なくとも1つの方式で形成することを特徴とする。
【0048】
また、前記炭化チタン層及び/または前記混合層の形成を、メタンガスを使用し乾式メッキ法で行っても良い。
【0049】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記装飾被膜層表面の一部に、前記装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜を乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成することを特徴とする。
【0050】
また、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜がニッケルを含まない合金からなる装飾被膜層であり、乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成することが望ましい。
【0051】
また、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜が、金、金合金、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたはダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなっていても良い。
【0052】
また、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜として、窒化チタン、窒化ジルコニウムまたは窒化ハフニウムからなる下層と、金または金合金からなる上層との二層構造の被膜を形成しても良い。
【0053】
また、前記装飾被膜層と、前記装飾被膜層の色調と異なる被膜であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜との間に、チタン被膜を形成し、さらに該チタン被膜表面にシリコン被膜を形成しても良い。
【0054】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記装飾被膜層が、炭化チタン層を形成する炭化チタンと、プラチナまたはプラチナ合金とからなる混合層であることを特徴とする。
【0055】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記装飾被膜層の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重)が1000〜2000であることを特徴とする。
【0056】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品の製造方法は、前記装飾品が時計用外装部品であることを特徴とする。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る白色被膜を有する装飾品及びその製造方法について具体的に説明する。
【0058】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、装飾品用基材と、下地層好ましくはニッケルを含まない下地層と炭化チタン層と装飾被膜層とから構成されている。さらに、炭化チタン層と装飾被膜層との間に、乾式メッキ法により形成されたステンレス鋼被膜層を有していても良い。本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層である白色被膜表面の一部に、この被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜を有していても良い。
【0059】
〔装飾品用基材〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品で用いられる装飾品用基材は、金属またはセラミックスから形成される基材である。
上記金属(合金を含む)としては、具体的には、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、タングステンなどが挙げられる。これらの金属は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0060】
上記セラミックスとしては、具体的には、ジルコニアセラミックスなどが挙げられる。このジルコニアセラミックスは、その組成が酸化イットリウム(Y22)または他の安定化剤(たとえば酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO))を3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈している。より具体的に説明すると、このジルコニアセラミックスは、ジルコニア及びバインダーを主成分とし、酸化イットリウム等の安定剤を3〜7重量%含んだ安定化ジルコニア粉末100重量部に対して、バインダーを20〜25重量部含んでおり、焼成後に白色色調を呈する。バインダーとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート、ブチルメタクリレート、ポリアセタール、ワックス及びステアリン酸の中から選ばれる少なくとも2種を混合したものがよい。
【0061】
本発明において、酸化イットリウム(イットリア)等の安定化剤を3〜7重量%含むジルコニアセラミックスを選択した理由は、イットリア等の安定化剤が3重量%より少なくなると、成形したジルコニアセラミックスの耐衝撃性が低下し(脆くなる)、外部からの衝撃で割れ等が発生し易くなり、また、安定化剤が7重量%より多くなっても耐衝撃性が低下し、外部からの衝撃で割れ等が発生し易くなるからである。安定化剤が上記範囲内にあると、ジルコニアセラミックスの結晶構造が立方晶と単斜晶の2相混合組織となっているため、耐衝撃性が安定していると考えられる。
【0062】
また、バインダーの含有量を、ジルコニア粉末100重量部に対して20〜25重量部としたのは、バインダーが20重量部より少なくなると、射出成形が悪くなり、金型内に素材が完全に充填されにくくなり、また、25重量部より多くなると、脱脂工程に時間がかかり量産性が悪くなるとともに、成形された形が壊れやすくなるからである。
【0063】
金属からなる装飾品用基材は、上記の金属から従来公知の機械加工により調製される。
また、装飾品用基材には、必要に応じて各種手段により、鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様、エッチング模様の中の少なくとも1つの表面仕上げが施されている。
【0064】
また、セラミックスからなる装飾品用基材、たとえば時計ケース用基材は、ジルコニア及びバインダーを主成分とする素材を用いて射出成形により時計ケースの形状を有する成形体を作った後、この成形体を機械加工により粗加工、さらに、この粗加工した成形体を脱脂及び焼成して時計ケースの粗基材を作り、次いで、この粗基材を研削及び研磨等の機械加工することにより製造される。
【0065】
本発明における装飾品(部品も含む)としては、たとえば腕時計ケース、腕時計バンド、腕時計のリューズ、腕時計の裏蓋等の時計外装部品、さらにはベルトのバックル、指輪、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ペンダント、ブローチ、カフスボタン、ネクタイ止め、バッジ、メダル、眼鏡のフレーム、カメラのボディ、ドアノブなどが挙げられる。
【0066】
本発明においては、装飾品用基材の表面に下地層を形成する前に、予め装飾品用基材表面を従来公知の有機溶剤等で洗浄・脱脂しておくことが好ましい。
【0067】
〔下地層〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品を構成している下地層は、湿式メッキ法及び/または乾式メッキ法により形成される少なくとも1つのメッキ被膜からなる。
【0068】
装飾品用基材が銅及び銅合金以外の金属、またはセラミックスからなる場合、この基材表面に形成される下地層としては、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、またはタンタル(Ta)からなる金属被膜が望ましい。
【0069】
下地層は、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜であることが特に好ましい。この金属化合物被膜において、装飾用基材表面に近づくに従って、上記金属化合物の炭素原子含有量が徐々に少なくなっており、この金属化合物被膜は、いわゆる傾斜膜と呼ばれる。
【0070】
これらの金属被膜及び金属化合物被膜(下地層)の厚みは0.02〜0.2μmであることが望ましく、特に0.05〜0.1μmであることが好ましい。
【0071】
乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
【0072】
また、本発明に係る白色被膜を有する装飾品において、装飾品用基材が銅または銅合金からなる場合、下地層としては、この基材表面に湿式メッキ法により形成された厚み1〜10μm、好ましくは1〜5μmのニッケル被膜と、このニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成された厚み3〜10μm、好ましくは3〜5μmのアモルファスのニッケル−リン合金被膜とからなることが好ましい。
【0073】
また、ニッケルアレルギー防止の面からは、装飾品用基材が銅または銅合金からなる場合、下地層としては、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中の少なくとも1つからなる厚み2〜9μm、好ましくは2〜3μmの被膜であることが好ましい。
【0074】
また、これらの金属化合物被膜は乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成された上記以外のニッケルを含まない合金であっても良い。
【0075】
〔炭化チタン層〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品を構成している炭化チタン層は乾式メッキ法により形成される。乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
炭化チタン層の厚みは、0.2〜1.5μm、好ましくは0.5〜1.0μmである。
【0076】
〔ステンレス鋼被膜層〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品を構成することがあるステンレス鋼被膜層は、装飾品の再生ができるようにするために、炭化チタン層と装飾被膜層との間に形成されるものである。すなわち、装飾被膜層の形成に問題(成膜した装飾被膜にムラ等がある場合)が生じた場合、装飾被膜層の剥離に王水を使用するため、装飾被膜層の剥離はもとより、炭化チタン層と下地層と装飾品基材表面とが侵されてしまい、装飾品の再生はできなかった。この問題を解決するため設けられた被膜層がステンレス鋼被膜層であり、王水で装飾被膜層を剥離しても、このステンレス鋼被膜層により炭化チタン層と下地層と装飾品基材表面とが侵されることがない。したがって、問題が生じた装飾被膜層を王水を用いて剥離した後、再度、ステンレス鋼被膜表面に装飾被膜層を形成することによって装飾品の再生を図ることができる。
【0077】
このステンレス鋼被膜層の形成は、乾式メッキ法であるスパッタリング法で行い、ステンレス鋼被膜層の厚みが0.05〜1.5μmの範囲内になるようにする。また、ステンレス鋼被膜層の組成は、炭素0.01〜0.12容量%、シリコン0.1〜1.5容量%、マンガン1.0〜2.5容量%、ニッケル8〜22容量%、クロム15〜26容量%、残りが鉄からなるオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
【0078】
〔装飾被膜層〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品を構成する最外層である装飾被膜層は、下地層表面に乾式メッキ法により形成される炭化チタン層の表面または後述の混合層の表面に、乾式メッキ法により形成される貴金属のプラチナまたはプラチナ合金の被膜からなる。乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
【0079】
また、本発明に係る白色被膜を有する装飾品においては、後述する混合層(炭化チタン層を形成する炭化チタンとプラチナもしくはプラチナ合金とからなる混合層)を装飾被膜層とすることができる。
【0080】
装飾被膜層の厚みは、0.02〜0.1μm、好ましくは0.03〜0.06μmである。
【0081】
なお、装飾被膜層の形成に用いられる上記合金としては、乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成されたニッケルを含まない合金が好ましい。
【0082】
〔混合層〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品において混合層は、必要に応じて炭化チタン層と装飾被膜層との間に形成されることがあり、乾式メッキ法により形成される被膜である。乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
【0083】
この被膜は、炭化チタン層を形成する炭化チタンと、装飾被膜層を形成するプラチナまたはプラチナ合金とからなる。この混合層の厚みは、通常、0.005〜0.04μm、好ましくは0.008〜0.03μmであることが望ましい。このような混合層を設けることにより、炭化チタン層と装飾被膜層との密着性をより強固にすることができる。
【0084】
上記のような炭化チタン層と装飾被膜層、または炭化チタン層と混合層と装飾被膜層とからなるL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、85<L*<95、1.5<a*<4.0、4.5<b*<6.5であることが望ましい。中でも、88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であることが好ましい。
【0085】
なお、鏡面仕上げが施された装飾品用基材に形成された装飾被膜層と、ヘアライン仕上げ(微細な線の模様)が施された装飾品用基材に形成された装飾被膜層のそれぞれのL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
85<L*<90、0<a*<2.0、3.5<b*<5.0と、
75<L*<85、0<a*<2.0、3.5<b*<5.0とであった。
また、色々な表面仕上げが施された装飾品用基材に形成された装飾被膜層のL*、a*、b*のΔ値は、ΔL*=±6.0、
Δa*=±1.55、Δb*=±2.25であった。
【0086】
また、炭化チタン層と装飾被膜層、または炭化チタン層と混合層と装飾被膜層とからなる表面層の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、通常700〜2000、好ましくは1000〜2000である。
【0087】
本発明に係る白色被膜を有する装飾品においては、少なくとも厚みが0.5〜1.0μmの炭化チタン被膜層と厚み0.03〜0.06μmの装飾被膜層を前記下地層表面に形成することにより、傷等による外観品質の劣化が起きにくく、しかも、高級感のある白色被膜を有する装飾品が得られる。
【0088】
また、混合層はニッケルを含まない合金であることが望ましい。
【0089】
〔装飾被膜層と異なる被膜〕
本発明に係る白色被膜を有する装飾品は、前記装飾被膜層からなるプラチナ色調またはプラチナ合金色調を有する白色被膜表面の一部に、装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜が乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成されていてもよい。
【0090】
装飾被膜層の色調と異なる被膜としては、金、金合金(好ましくはニッケルを含まない金合金)、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたはダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる被膜が望ましい。この被膜は、装飾被膜層を形成する最外層とともに装飾品の外観に現れる。したがって、本発明に係る装飾品には、いわゆるツートーンの装飾品等も含まれる。
【0091】
装飾被膜層と色調の異なるメッキ被膜の厚みは、通常0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.5μmである。
【0092】
また、この装飾被膜層と色調の異なる被膜は、窒化チタン、窒化ジルコニウムまたは窒化ハフニウムからなる下層と、金または金合金(好ましくはニッケルを含まない金合金)(たとえば金−鉄合金)からなる上層との二層構造になっていてもよい。この場合、下層の厚みは、通常0.2〜1.5μm、好ましくは0.5〜1.0μmであり、上層の厚みは、通常0.03〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmである。
【0093】
さらに、装飾被膜層と色調の異なる被膜は、チタンからなる下層と、窒化チタン、窒化ジルコニウム、または窒化ハフニウムからなる中間層と、金または金合金(好ましくはニッケルを含まない金合金)からなる上層との三層構造になっていてもよい。この場合、下層の厚みは、通常0.02〜0.1μm、好ましくは0.03〜0.08μmであり、中間層の厚みは、通常0.2〜1.5μm、好ましくは0.5〜1.0μmであり、上層の厚みは、通常0.03〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmである。
【0094】
さらにまた、この装飾被膜層と色調の異なる被膜は、装飾被膜層表面の一部に、チタン被膜とシリコン被膜とダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜とがこの順で形成されていてもよい。この場合、下層の厚みは、通常0.05〜0.3μm、好ましくは0.08〜0.2μmであり、中間層の厚みは、通常0.05〜0.3μm、好ましくは0.08〜0.2μmであり、上層の厚みは、通常0.5〜3.0μm、好ましくは0.8〜1.5μmである。
【0095】
上記の単層構造、二層構造、三層構造を構成する各層は、通常、乾式メッキ法により形成される。乾式メッキ法としては、具体的には、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法、イオンビーム等の物理的蒸着法(PVD)、CVDなどが挙げられる。中でも、スパッタリング法、アーク法、イオンプレーティング法が特に好ましく用いられる。
【0096】
また、この装飾被膜層と色調の異なる被膜は、湿式メッキ法により形成される金ストライクメッキ被膜等からなる下層と、湿式メッキ法により形成される金または金合金メッキ被膜(好ましくはニッケルを含まない金合金メッキ被膜)等からなる上層との二層構造であってもよい。この場合、下層の厚みは、通常0.05〜0.2μm、好ましくは0.05〜0.1μmであり、上層の厚みは、通常1.0〜10μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0097】
このような装飾被膜層と色調の異なる被膜を装飾被膜層表面の一部に有する装飾品は、たとえば以下のような方法により調製することができる。
【0098】
まず、装飾品用基材表面に下地層を形成し、この下地層表面に、前記装飾被膜層を形成した後、この装飾被膜層表面の一部にマスキング処理を施し、この装飾被膜層及びマスク表面に装飾被膜層と色調の異なるメッキ被膜を乾式メッキ法または湿式メッキ法で形成し、その後、このマスク及びマスクの上のメッキ被膜を除去する工程を少なくとも1回行うことにより、プラチナ色調もしくはプラチナ合金色調を有する白色被膜と、この白色被膜と色調の異なる少なくとも1つのメッキ被膜とからなる、2以上の色調を有する装飾被膜層を得ることができる。
【0099】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0101】
次いで、これらの基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0102】
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜(下地層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.004〜0.009Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:50V
フィラメント電圧:7V
【0103】
次いで、これらの基材表面に形成されたチタンメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、300mA
ガス:メタンガス
成膜圧力:0.02Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0104】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.02μmの白色色調を有する炭化チタンとプラチナとの混合メッキ被膜(混合層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン、プラチナ
電子銃:10kV、300mA(蒸発源:チタン)、
10kV、500mA(蒸発源:プラチナ)
ガス:メタンガス
成膜圧力:0.02Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−50V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0105】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンとプラチナとの混合メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
蒸発源:プラチナ
電子銃:10kV、500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−50V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0106】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1400であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0107】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0108】
(実施例2)
まず、チタンを機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0109】
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0110】
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのジルコニウム被膜(下地層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:ジルコニウム
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.5Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0111】
次いで、これらの基材表面に形成されたジルコニウムメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタガス:メタンガス
成膜圧力:0.6Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0112】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.2μmの白色色調を有するステンレス鋼メッキ被膜(ステンレス鋼被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:オーステナイト系ステンレス鋼SUS304
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2〜0.9Pa
ターゲット印加電力:0.4〜0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):Ground〜−300V
【0113】
次いで、これらの基材表面に形成されたステンレス鋼メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:プラチナ
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0114】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1300であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0115】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0116】
(実施例3)
まず、黄銅(銅合金)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0117】
次いで、これらの基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキをして厚さ2μmの銅−錫合金メッキ被膜(下地層1)基材表面に形成し、水洗した。
《銅−錫合金メッキ》
<メッキ液の組成>
シアン化銅 15g/l(銅換算)
錫酸ナトリウム 15g/l(錫換算)
シアン化亜鉛 1g/l(亜鉛換算)
KOH 20g/l
KCN(フリー) 30g/l
光沢剤 10ml/l
<メッキ条件>
pH 12.5(at50℃)
液温 50℃
電流密度(Dk) 2A/dm2
成膜速度 3分/1μm
【0118】
次いで、これらの銅−錫合金メッキ被膜を有する基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚み2μmの銅−錫−亜鉛合金メッキ被膜(下地層2)を銅−錫合金メッキ被膜表面に形成し、水洗した。
《銅−錫−亜鉛合金メッキ》
<メッキ液の組成>
シアン化銅 8.5g/l(銅換算)
錫酸ナトリウム 34.0g/l(錫換算)
シアン化亜鉛 1g/l(亜鉛換算)
KOH 20g/l
KCN(フリー) 50g/l
光沢剤1 5ml/l
光沢剤2 5ml/l
<メッキ条件>
pH 13.0(at50℃)
液温 60℃
電流密度(Dk) 2A/dm2
成膜速度 3分/1μm
【0119】
次いで、これらの銅−錫−亜鉛合金メッキ被膜を有する基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚み0.5μmのパラジウムストライクメッキ被膜(下地層3)を銅−錫−亜鉛合金メッキ被膜表面に形成し、水洗した。
《パラジウムストライクメッキ》
<メッキ液の組成>
純パラジウム 1〜3g/l
<メッキ条件>
pH 8
液温 32℃
電流密度(Dk) 3〜5A/dm2
時間 30秒
【0120】
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0121】
次いで、これらの基材表面に形成されたパラジウムストライクメッキ被膜表面に、厚み0.05μmのタンタル被膜(下地層4)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:タンタル
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.4Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0122】
次いで、これらの基材表面に形成されたタンタルメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタガス:メタンガスとアルゴンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.6Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0123】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ合金被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:プラチナ合金
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.6Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0124】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ合金被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1300であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ合金色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0125】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0126】
(実施例4)
まず、ジルコニアセラミックスを用いて製造した装飾品である腕時計ケース及び腕時計バンドの形状に成形加工等を行って得られた腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した(これらの基材、たとえば腕時計ケースの製造方法については、本願出願人が平成13年10月30日に特許出願した特願2001−333236号に係る明細書に、より具体的に記載されている)。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0127】
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0128】
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのクロムメッキ被膜(下地層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:クロム
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.4Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0129】
次いで、これらの基材表面に形成されたクロムメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタガス:メタンガス
成膜圧力:0.6Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0130】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.2μmの白色色調を有するステンレス鋼メッキ被膜(ステンレス鋼被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2〜0.9Pa
ターゲット印加電力:0.4〜0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):Ground〜−300V
【0131】
次いで、これらの基材表面に形成されたステンレス鋼メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
蒸発源:プラチナ
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0132】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1300であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0133】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、88<L*<92、
1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0134】
(実施例5)
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0135】
次いで、これらの基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0136】
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜(下地層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.004〜0.009Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:50V
フィラメント電圧:7V
【0137】
次いで、これらの基材表面に形成されたチタンメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、300mA
ガス:メタンガスとアルゴンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.02Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0138】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
蒸発源:プラチナ
電子銃:10kV、500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−50V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0139】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1200であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0140】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、88<L*<92、
1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0141】
(実施例6)
実施例5と同様にして得たプラチナ被膜(装飾被膜層)表面の一部に、この被膜の色調と異なるメッキ被膜を乾式メッキ法により形成した。
【0142】
すなわち、この被膜表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:40〜50V
フィラメント電圧:7V
【0143】
次いで、このチタンメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの金色を呈する窒化チタンメッキ被膜をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガスと窒素ガスの混合ガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:40〜50V
フィラメント電圧:7V
【0144】
次いで、この窒化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.1μmの金色を呈する金−鉄合金メッキ被膜をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:金−鉄合金
電子銃:8kV、500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.26Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:10〜30V
フィラメント電圧:7V
【0145】
次いで、この金−鉄合金メッキ被膜表面の一部にマスキング処理(マスク材としてエポキシ系レジストを使用)を施し、金−鉄合金メッキ被膜、窒化チタンメッキ被膜及びチタンメッキ被膜を順次エッチング液で除去し、最後にマスクを除去することにより、プラチナ色調の被膜と金色の金−鉄合金メッキ被膜とからなる、2つの色調の異なる装飾被膜層を有する腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
【0146】
なお、金−鉄合金メッキ被膜用剥離液として、シアンを主成分に酸化剤が含有された剥離液を用い、窒化チタンメッキ被膜及びチタンメッキ被膜用剥離液として、硝酸を主成分にフッ化アンモンが含有された剥離液を用い、マスク剥離液として塩化メチレンを用いた。
【0147】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1200であり、金−鉄合金メッキ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、120であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0148】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0149】
(実施例7)
実施例5と同様にして得たプラチナ被膜(装飾被膜層)表面の一部に、この被膜の色調と異なるメッキ被膜を湿式メッキ法により形成した。
【0150】
すなわち、この被膜が形成された基材を、前処理として電解脱脂、中和、水洗を行いクリーニングを行った。
【0151】
次いで、この被膜を有する基材を下記の組成のメッキ液に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして、厚み0.1μmの金ストライクメッキ被膜を基材表面に形成し、水洗した。
《金ストライクメッキ》
<メッキ液の組成>
金 3〜5g/l
硫酸 10g/l
<メッキ条件>
pH 0.3以上1未満
液温 25℃
電流密度(Dk) 3〜5A/dm2
時間 30秒
【0152】
次いで、この金ストライクメッキ被膜を有する基材を下記の組成のメッキ液に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして、厚み2.0μmの金−鉄合金メッキ被膜を、金ストライクメッキ被膜表面に形成し、水洗した。
《金−鉄合金メッキ》
<メッキ液の組成>
シアン化第2カリウム 8.7g/l(メタル5.0g/l)
塩化鉄 2.7g/l(メタル1.0g/l)
クエン酸 150g/l以上
クエン酸ソーダ 150g/l以上
光沢剤 10ml/l
<メッキ条件>
pH 3.5〜3.7
浴温 37〜40℃
電流密度(Dk) 1.0〜1.5A/dm2
Be(ボーメ比重) 20
【0153】
次いで、この金−鉄合金メッキ被膜表面の一部にマスキング処理を施し、金−鉄合金メッキ被膜及び金ストライクメッキ被膜を順次エッチング液で除去し、最後にマスクを除去することにより、プラテナ色調の被膜と金色の金−鉄合金メッキ被膜とからなる、2つの色調の異なる装飾被膜層を有する腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
【0154】
なお、金−鉄合金メッキ被膜及び金ストライクメッキ被膜用剥離液として、シアンを主成分に酸化剤が含有された剥離液を用い、マスク剥離液として塩化メチレンを用いた。
【0155】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は1100であり、金−鉄合金メッキ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、120であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0156】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0157】
(実施例8)
実施例5と同様にして得たプラチナ被膜(装飾被膜層)表面の一部に、この被膜の色調と異なるメッキ被膜を乾式メッキ法により形成した。
【0158】
すなわち、この被膜表面の一部にマスク材(エポキシ系レジスト)を塗布し乾燥させた後、被膜表面及びマスク材表面に、厚み0.05μmのチタンメッキ被膜をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.02Pa
ターゲット印加電力:0.3〜0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50〜−100V
【0159】
次いで、このチタンメッキ被膜表面に、厚み0.1μmのシリコンメッキ被膜をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:シリコン
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.05Pa
ターゲット印加電力:0.3〜0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50〜−100V
【0160】
次いで、このシリコンメッキ被膜表面に、厚み0.1μmの黒色のダイヤモンドライクカーボン(DLC)メッキ被膜をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ガ ス :ベンゼン
成膜圧力:0.2Pa
フィラメント電流:20A
アノード電流:2.0A
カソード電圧(加速電圧):−1.0〜−5.0kV
次いで、塩化メチレンでマスキング材をエッチングし、マスキング材直上に形成されているチタンメッキ被膜、シリコンメッキ被膜及びDLC被膜をリフトオフすることにより、プラチナ色調の被膜と黒色のDLCメッキ被膜とからなる、2つの色調の異なる装飾被膜層を有する腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
【0161】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1200であり、DLCメッキ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1800であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0162】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0163】
(実施例9)
まず、チタンを機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0164】
次いで、これらの基材をスパッタリング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0165】
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmのジルコニウム被膜(下地層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:ジルコニウム
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.5Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0166】
次いで、これらの基材表面に形成されたジルコニウムメッキ被膜表面に、厚み0.6μmの白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:チタン
スパッタガス:メタンガスとアルゴンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.6Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0167】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.2μmの白色色調を有するステンレス鋼メッキ被膜(ステンレス鋼被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
ターゲット:オーステナイト系ステンレス鋼SUS304
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2〜0.9Pa
ターゲット印加電力:0.4〜0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):Ground〜−300V
【0168】
次いで、これらの基材表面に形成されたステンレス鋼メッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をスパッタリング法(マグネトロンスパッタリング方式)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
ターゲット:プラチナ
スパッタガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
ターゲット印加電力:0.5kW
バイアス電圧(加速電圧):−50V
【0169】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1300であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0170】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、
88<L*<92、1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0171】
(実施例10)
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた装飾品である腕時計ケース用基材及び腕時計バンド用基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。なお、これらの基材の表面は、機械加工により鏡面仕上げとした。
【0172】
次いで、これらの基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
【0173】
次いで、これらの基材表面に、厚み0.05μmの炭素原子含有量が5〜15原子%の傾斜構造からなる炭化チタンメッキ被膜(下地層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガスとメタンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.004〜0.009Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:50V
フィラメント電圧:7V
【0174】
次いで、これらの基材表面に下地層として形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.6μm、炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜(炭化チタン層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、300mA
ガス:メタンガスとアルゴンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.02Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0175】
次いで、これらの基材表面に形成された炭化チタンメッキ被膜表面に、厚み0.05μmの白色色調を有するプラチナ被膜(装飾被膜層)をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成し、プラチナ色調の腕時計ケース及び腕時計バンドを得た。
<成膜条件>
蒸発源:プラチナ
電子銃:10kV、500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−50V
アノード電圧:60V
フィラメント電圧:7V
【0176】
上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドの表面に形成されているプラチナ被膜の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重、保持時間10秒)は、1200であった。これらの腕時計ケース及び腕時計バンドは、耐傷性に優れ、しかも、プラチナ色調で高級感のある白色被膜が形成されていた。
【0177】
また、装飾被膜層(白色被膜)のL*、a*、b*表示系(CIE表系)による色評価は、88<L*<92、
1.8<a*<2.5、5.0<b*<5.5であった。
【0178】
さらに、上記のようにして得られた腕時計ケース及び腕時計バンドと実施例5で得られた腕時計ケース及び腕時計バンドについて、それぞれ引っ掻き試験を行い、基材に対する被膜の密着力の比較を行った。引っ掻き試験に使用した測定機は、HEIDON−14型の表面性測定機である。
【0179】
以下、チタンメッキ被膜からなる下地層と炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜を有する実施例5の装飾部品試料と、炭素原子含有量5〜15原子%の炭化チタンメッキ被膜からなる下地層と炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜を有する実施例10の装飾部品試料を作製して被膜の密着力(後述の臨界荷重)を測定した。
【0180】
この測定条件は、先端角度が90°で先端曲率半径が50μmのダイヤモンド圧子を使用し、引っ掻き速度は30mm/分とし、引っ掻き荷重は50gfから300gfまで、50gfおきに変化させた。
【0181】
この測定結果は、引っ掻き荷重と引っ掻き後の抵抗値により、引っ掻き荷重がある値以上になると、抵抗値が急激に変化する。これは、荷重の増加とともに直線的に引っ掻き抵抗値が増加していくが、臨界荷重以上になると、基材上に形成した被膜に亀裂が発生し、チッピング剥がれが発生しているためと考えられる。そして、発生した亀裂、チッピング剥がれのために、引っ掻き抵抗値は急激な増加を示し、摩擦係数が増大する。この臨界荷重の値によって、基材に対する被膜の密着力を評価することができる。ここでは、急激に変化した引っ掻き荷重の点を光学顕微鏡で観察し、被膜の密着強度を評価した。
【0182】
実施例5では、引っ掻き荷重を200gfにしたときにチッピング剥がれが発生した。一方、実施例10では、引っ掻き荷重を250gfにしたときにチッピング剥がれが発生した。すなわち、実施例5における臨界荷重は200gfであり、実施例10における臨界荷重は250gfであった。このことから、実施例10の装飾部品は、実施例5の装飾部品よりも、被膜の密着力が25%もアップしていることが理解される。
【0183】
なお、上記実施例1〜10において、装飾用基材としてタングステンカーバイト、下地層としてクロム、ハフニウム、バナジウム、またはニオブからなるメッキ被膜を形成できることは言うまでもない。また、実施例1〜10では、腕時計ケース及び腕時計バンドを製造しているが、実施例1〜10に記載の技術はネックレス、ペンダント、ブローチ等の装飾品にも適用できることは言うまでもない。
【0184】
【発明の効果】
本発明によれば、プラチナまたはプラチナ合金被膜特有の色調が得られ、よって、高級感があり、硬質でへこみや傷等による外観品質の劣化が起きにくく、しかも、比較的低コストで高級感のある白色被膜を有する装飾品及びその製造方法を提供することができる。
【0185】
また、炭化チタン層と装飾被膜層との間にステンレス鋼被膜層が形成されていれば、プラチナまたはプラチナ合金被膜に色ムラ等の問題が生じた場合、装飾品用基材、下地層及び炭化チタン層を侵すことなくプラチナまたはプラチナ合金被膜を王水を使用して剥離することができ、その剥離後に再度、ステンレス鋼被膜層表面にプラチナ被膜またはプラチナ合金被膜を形成することによって、再生が可能な装飾品及びその製造方法を提供することができる。

Claims (25)

  1. 最外層として貴金属または貴金属の合金からなる白色色調を有する装飾被膜が乾式メッキ法により形成された装飾品において、
    金属またはセラミックスからなる装飾品用基材と、
    該基材表面に形成された下地層と、
    該下地層表面に乾式メッキ法により形成された炭化チタン層と、
    該炭化チタン層の表面に、乾式メッキ法により形成されたプラチナまたはプラチナ合金からなる装飾被膜層と
    から構成され、
    前記装飾品用基材および前記下地層は、
    (1)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜、
    (2)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜で形成される傾斜膜、
    (3)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、該基材表面に湿式メッキ法により形成されたニッケル被膜と、該ニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成されたアモルファスのニッケル−リン合金被膜、または
    (4)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中から選ばれる少なくとも1つからなる被膜であり、
    前記炭化チタン層の厚みが0.5〜1.0μmであり、前記装飾被膜層が厚み0.03〜0.06μmの白色被膜であり、かつ、
    前記炭化チタン層が、炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜
    であることを特徴とする白色被膜を有する装飾品。
  2. 前記装飾品用基材と前記下地層において、
    前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜で形成される傾斜膜であることを特徴とする請求項1に記載の白色被膜を有する装飾品。
  3. 前記下地層が、湿式メッキ法で形成されたニッケルを含まない合金からなることを特徴とする請求項1に記載の白色被膜を有する装飾品。
  4. 前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金及びタングステンカーバイトの中から選ばれる少なくとも1つの金属からなることを特徴とする請求項1に記載の白色被膜を有する装飾品。
  5. 前記装飾品用基材が、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金及びタングステンカーバイトの中から選ばれる少なくとも1つの金属からなり、かつ、基材表面が鏡面、梨地、ヘアライン模様、ホーニング模様、型打ち模様及びエッチング模様の中から選ばれる少なくとも1つの表面仕上げが施されていることを特徴とする請求項1に記載の白色被膜を有する装飾品。
  6. 前記装飾品用基材が、ジルコニアセラミックスからなり、その組成が酸化イットリウム(Y22)、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)の安定化剤を3〜7重量%含む安定化ジルコニアで、白色色調を呈していることを特徴とする請求項1に記載の白色被膜を有する装飾品。
  7. 前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、前記下地層が、乾式メッキ法により形成された厚み0.02〜0.2μmの被膜であることを特徴とする請求項1、2、4〜6のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  8. 前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、該基材表面に湿式メッキ法により形成された厚み1〜10μmのニッケル被膜と、該ニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成された厚み3〜10μmのアモルファスのニッケル−リン合金被膜とからなることを特徴とする請求項1、4、5のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  9. 前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中から選ばれる少なくとも1つからなる厚み2〜9μmの被膜であることを特徴とする請求項1、3〜5のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  10. 前記炭化チタン層と前記装飾被膜層との間に、前記炭化チタン層を形成する炭化チタンと、前記装飾被膜層を形成するプラチナまたはプラチナ合金とからなる、厚み0.005〜0.04μmの混合層を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  11. 前記炭化チタン層と前記装飾被膜層との間に、乾式メッキ法により形成された厚み0.05〜1.5μmのステンレス鋼被膜層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  12. 前記ステンレス鋼被膜層が、炭素0.01〜0.12容量%、シリコン0.1〜1.5容量%、マンガン1.0〜2.5容量%、ニッケル8〜22容量%、クロム15〜26容量%、残りが鉄の組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項11に記載の白色被膜を有する装飾品。
  13. 前記装飾被膜層のL*、a*、b*表色系(CIE表系)による色評価が、
    85<L*<95、1.5<a*<4.0、4.5<b*<6.5
    であることを特徴とする請求項1、2、10のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  14. 色々な表面仕上げが施された前記装飾品用基材に形成された装飾被膜層のL*、a*、b*のΔ値が、
    ΔL*=±6.0、Δa*=±1.55、Δb*=±2.25
    であることを特徴とする請求項1、2、10のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  15. 前記下地層、前記炭化チタン層、前記装飾被膜層の各層を形成する手段が、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びアーク法の中の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1、2、7のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  16. 記炭化チタン層、前記混合層、前記装飾被膜層の各層を形成する手段が、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びアーク法の中の少なくとも1つであることを特徴とする請求項10または11に記載の白色被膜を有する装飾品。
  17. 前記装飾被膜層表面の一部に、乾式メッキ法または湿式メッキ法により形成された、前記装飾被膜層の色調と異なる少なくとも1つの被膜を有していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  18. 前記装飾被膜層の色調と異なる被膜が、ニッケルを含まない合金からなることを特徴とする請求項17に記載の白色被膜を有する装飾品。
  19. 前記装飾被膜層の色調と異なる被膜が、金、金合金、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムまたはダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなることを特徴とする請求項17に記載の白色被膜を有する装飾品。
  20. 前記装飾被膜層の色調と異なる被膜が、窒化チタン、窒化ジルコニウムまたは窒化ハフニウムからなる下層と、金または金合金からなる上層との二層構造になっていることを特徴とする請求項17に記載の白色被膜を有する装飾品。
  21. 前記装飾被膜層の色調と異なる被膜がダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜であり、前記装飾被膜層と該装飾被膜層の色調と異なる被膜との間に、チタン被膜と該チタン被膜表面に形成されたシリコン被膜とを有していることを特徴とする請求項17または19に記載の白色被膜を有する装飾品。
  22. 前記装飾被膜層が、炭化チタン層を形成する炭化チタンと、プラチナまたはプラチナ合金とからなる混合層であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  23. 前記装飾被膜層の表面硬度(Hv:マイクロビッカース硬度計、5g荷重)が1000〜2000であることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  24. 前記装飾品が時計用外装部品であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1項に記載の白色被膜を有する装飾品。
  25. 最外層として貴金属または貴金属の合金からなる白色色調を有する装飾被膜が乾式メッキ法により形成された装飾品の製造方法において、金属またはセラミックスからなる素材を用い、各種加工手段で装飾品用基材を製造する工程と、
    該基材表面に、乾式メッキ法または湿式メッキ法により下地層を形成する工程と、
    該下地層の表面に乾式メッキ法により炭化チタン層を形成する工程と、
    該炭化チタン層表面に、乾式メッキ法により最外層としてプラチナまたはプラチナ合金からなる装飾被膜層を形成する工程と
    を含み、
    前記装飾品用基材および前記下地層は、
    (1)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)またはタンタル(Ta)からなる被膜、
    (2)前記装飾品用基材が、銅と銅合金以外の金属、または前記セラミックスからなり、かつ、該基材表面に形成される下地層が、乾式メッキ法により形成された、炭素原子含有量が5〜15原子%の炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr32)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ハフニウム(HfC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タングステン(WC)または炭化タンタル(TaC)からなる金属化合物被膜で形成される傾斜膜、
    (3)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、該基材表面に湿式メッキ法により形成されたニッケル被膜と、該ニッケル被膜表面に湿式メッキ法により形成されたアモルファスのニッケル−リン合金被膜、または
    (4)前記装飾品用基材が、銅または銅合金からなり、かつ、前記下地層が、湿式メッキ法により形成された、銅、パラジウム、銅−錫合金、銅−錫−亜鉛合金及び銅−錫−パラジウム合金の中から選ばれる少なくとも1つからなる被膜であり、
    前記炭化チタン層の厚みが0.5〜1.0μmであり、前記装飾被膜層が厚み0.03〜0.06μmの白色被膜であり、かつ、
    前記炭化チタン層が、炭素原子含有量40±10原子%の白色色調を有する炭化チタンメッキ被膜
    であることを特徴とする白色被膜を有する装飾品の製造方法。
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