JP2001355094A - 装飾被膜を有する基材およびその製造方法 - Google Patents

装飾被膜を有する基材およびその製造方法

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JP2001355094A
JP2001355094A JP2000176565A JP2000176565A JP2001355094A JP 2001355094 A JP2001355094 A JP 2001355094A JP 2000176565 A JP2000176565 A JP 2000176565A JP 2000176565 A JP2000176565 A JP 2000176565A JP 2001355094 A JP2001355094 A JP 2001355094A
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plating film
nickel
plating
film
finish
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JP2000176565A
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Takeshi Inoue
上 健 井
Masakado Aihara
原 正 矩 相
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Citizen Watch Co Ltd
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Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】装飾被膜を有する基材は、表面に、少なく
ともNiメッキ被膜とNi−P合金メッキ被膜と仕上げ
メッキ被膜とがこの順で形成されている基材であり、該
基材が銅、銅合金またはステンレス鋼からなり、該Ni
−P合金メッキ被膜が硬質化された被膜であることを特
徴とする。該基材の製造方法の一つは、上記基材表面に
湿式メッキ法によりNiメッキ被膜およびNi−P合金
メッキ被膜をこの順で形成し、その上に乾式メッキによ
り、Rh、Pd、Pd合金、Pt、AuおよびAu合金
のうちの少なくとも1種からなる仕上げメッキ被膜を形
成すると同時に時効硬化処理を施してNi−P合金メッ
キ被膜を硬質化するものである。 【効果】上記装飾被膜を有する基材は、物にぶつけた
り、あるいは落としたりしても仕上げメッキ被膜が容易
に陥没せず、耐食性および密着性に優れ、高級感があ
る。また、上記製造方法は量産性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、主として装身具(部品も
含む)の用途に用いられる装飾被膜を有する基材および
その製造方法に関し、さらに詳しくは、表面に仕上げメ
ッキ被膜としてニッケル−リン合金メッキ被膜以外のメ
ッキ被膜を有する、銅、銅合金、ステンレス鋼等の硬度
の低い基材であって、物にぶつけたり、あるいは落とし
た場合でも仕上げメッキ被膜が容易に陥没しない装飾被
膜を有する基材およびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、装飾被膜を有する基材とし
て、たとえば黄銅からなる基材表面にニッケルメッキ被
膜を形成した後、このニッケルメッキ被膜の上に、仕上
げメッキ被膜としてニッケル−リン合金メッキ被膜を形
成し、その後真空中で熱処理を施すことにより、仕上げ
メッキ被膜の硬度を上げた時計用ケースが、特開昭50
−137835号公報に開示されている。この公報に記
載されている発明は、クロムメッキに代わる、無公害
で、耐蝕性、耐摩耗性、密着性、更に外観の優れたメッ
キを有する時計用ケースを提供することを目的としてい
る。
【0003】しかしながら、基材表面に形成される仕上
げメッキ被膜がニッケル−リン合金被膜だけであると、
耐食性が必ずしも充分でなく、しかも、仕上げメッキ被
膜であるニッケル−リン合金被膜の色調に高級感がない
ため、外観に問題がある。そこで、本発明者らは、ニッ
ケル−リン合金被膜の上に、さらに仕上げメッキ被膜と
して耐食性と高級感を有するロジウムメッキ被膜等のニ
ッケル−リン合金メッキ被膜以外のメッキ被膜を形成す
ることで上記問題を解決することを検討した。
【0004】しかしながら、上記のような方法で得られ
る装飾被膜を有する基材は、上記問題は解決することが
できるが、表面に仕上げメッキ被膜としてニッケル−リ
ン合金メッキ以外のメッキ被膜を有する基材、たとえば
仕上げメッキ被膜としてロジウム、パラジウム−ニッケ
ル合金、金等のメッキ被膜を有する基材であって、基材
が銅、銅合金、ステンレス鋼等の硬度の低い金属からな
る場合、基材表面に形成されている装飾被膜がたとえば
タングステン合金被膜のような硬質被膜であっても、こ
の装飾被膜を有する基材を物にぶつけたり、あるいは落
としたりすると、基材の硬度が低いため装飾被膜が容易
に陥没するという問題が生じた。
【0005】したがって、従来より、表面に仕上げメッ
キ被膜としてニッケル−リン合金メッキ被膜以外のメッ
キ被膜を有する、銅、銅合金、ステンレス鋼等の硬度の
低い金属からなる基材であって、物にぶつけたり、ある
いは落としたりしても仕上げメッキ被膜が容易に陥没し
ない、高級感のある装飾被膜を有する基材およびその製
造方法の出現が望まれている。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、表面に仕上げメ
ッキ被膜としてニッケル−リン合金メッキ被膜以外のメ
ッキ被膜を有する、銅、銅合金、ステンレス鋼等の硬度
の低い金属からなる基材であって、物にぶつけたり、あ
るいは落としたりしても仕上げメッキ被膜が容易に陥没
しない、高級感のある装飾被膜を有する基材およびその
製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る装飾被膜を有する基材は、
表面に、少なくともニッケルメッキ被膜とニッケル−リ
ン合金メッキ被膜と仕上げメッキ被膜とがこの順で形成
されている基材であり、該基材が、銅、銅合金およびス
テンレス鋼からなる群から選ばれる一の金属からなり、
かつ、該ニッケル−リン合金メッキ被膜が、仕上げメッ
キ被膜形成と同時あるいは形成後に時効硬化処理を施し
て得られる硬質被膜であることを特徴としている。
【0008】また、本発明に係る他の装飾被膜を有する
基材は、表面に、少なくともニッケルメッキ被膜とニッ
ケル−リン合金メッキ被膜と仕上げメッキ被膜とがこの
順で形成されている基材であり、該基材が、銅、銅合金
およびステンレス鋼からなる群から選ばれる一の金属か
らなり、かつ、該ニッケル−リン合金メッキ被膜が、仕
上げメッキ被膜形成前に時効硬化処理を施して得られる
硬質被膜であることを特徴としている。
【0009】本発明に係る装飾被膜を有する基材におい
ては、通常、前記ニッケルメッキ被膜の厚さが1〜5μ
mの範囲内にあり、前記ニッケル−リン合金メッキ被膜
の厚さが1〜20μmの範囲内にあり、かつ、前記仕上
げメッキ被膜の厚さが0.1〜5μmの範囲内にある。
前記ニッケル−リン合金メッキ被膜中のリン含有量は、
13〜15重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0010】本発明に係る装飾被膜を有する基材におい
ては、時効硬化処理により、前記基材表面と前記ニッケ
ルメッキ被膜との接触面、前記ニッケルメッキ被膜と前
記ニッケル−リン合金メッキ被膜との接触面および前記
ニッケル−リン合金メッキ被膜と前記仕上げメッキ被膜
との接触面のうち、2以上の接触面において拡散浸透層
が形成されている。
【0011】前記仕上げメッキ被膜として、ロジウム、
パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金および金合
金の群から選ばれる少なくとも1種の金属からなる被膜
を用いることができる。この仕上げメッキ被膜は、いわ
ゆる湿式メッキ法により形成することができるし、ま
た、イオンプレーティング、スパッタリング等の乾式メ
ッキ法により形成することもできる。この仕上げメッキ
被膜が2種以上の金属からなる場合、その仕上げメッキ
被膜表面には、2種以上の金属メッキ被膜が部分的に露
出し、たとえばモザイク模様のような模様を呈する。
【0012】また、前記仕上げメッキ被膜は、乾式メッ
キ法で形成された、チタン、ジルコニウムおよびハフニ
ウムからなる群から選ばれる一の金属の窒化物からなる
被膜であってもよい。さらに、前記仕上げメッキ被膜
は、ロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチ
ナ、金および金合金からなる群から選ばれる一の金属か
らなる仕上げメッキ被膜(I)と、該仕上げメッキ被膜
(I)の表面に、乾式メッキ法で形成された、チタン、
ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれる
一の金属の窒化物からなる仕上げメッキ被膜(II)とか
ら構成される二層構造、または乾式メッキ法で形成され
た、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群
から選ばれる一の金属の窒化物からなる仕上げメッキ被
膜(II)と、該仕上げメッキ被膜(II)の表面に、ロジ
ウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金およ
び金合金からなる群から選ばれる一の金属からなる仕上
げメッキ被膜(I)とから構成される二層構造であって
もよい。
【0013】本発明に係る装飾被膜を有する基材の第1
の製造方法は、銅、銅合金およびステンレス鋼からなる
群から選ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂
する工程と、該基材表面に湿式メッキ法によりニッケル
メッキ被膜を形成する工程と、該ニッケルメッキ被膜表
面に湿式メッキ法によりニッケル−リン合金メッキ被膜
を形成する工程と、該ニッケル−リン合金メッキ被膜表
面にロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチ
ナ、金および金合金からなる群から選ばれる少なくとも
1種の金属からなる仕上げメッキ被膜を形成する工程
と、該仕上げメッキ被膜形成後の基材に時効硬化処理を
施して前記ニッケル−リン合金メッキ被膜を硬質化する
工程とを含むことを特徴としている。この仕上げメッキ
被膜が2種以上の金属からなる場合、その仕上げメッキ
被膜表面には、2種以上の金属メッキ被膜が部分的に露
出し、たとえばモザイク模様のような模様を呈する。
【0014】本発明に係る装飾被膜を有する基材の第2
の製造方法は、銅、銅合金およびステンレス鋼からなる
群から選ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂
する工程と、該基材表面に湿式メッキ法によりニッケル
メッキ被膜を形成する工程と、該ニッケルメッキ被膜表
面に湿式メッキ法によりニッケル−リン合金メッキ被膜
を形成する工程と、乾式メッキ法であるイオンプレーテ
ィングまたはスパッタリングにより、該ニッケル−リン
合金メッキ被膜表面にロジウム、パラジウム、パラジウ
ム合金、プラチナ、金および金合金からなる群から選ば
れる少なくとも1種の金属からなる仕上げメッキ被膜を
形成すると同時に、時効硬化処理を施して前記ニッケル
−リン合金メッキ被膜を硬質化する工程とを含むことを
特徴としている。
【0015】前記ニッケルメッキ被膜を湿式メッキ法に
より形成する際に用いられるニッケルメッキ浴として
は、たとえば硫酸ニッケル150〜400g/l、塩化
ニッケル20〜60g/l、硼酸10〜50g/lおよ
び光沢剤を含有してなるワット浴が挙げられ、また、前
記ニッケル−リン合金被膜を湿式メッキ法により形成す
る際に用いられるニッケル−リン合金メッキ浴として
は、たとえば硫酸ニッケル100〜200g/l、水酸
化ニッケル10〜40g/l、次亜リン酸ナトリウム1
〜10g/l、リン酸50〜90ml/lおよびクエン
酸ナトリウム50〜150g/lを含有してなるメッキ
浴が挙げられる。
【0016】前記仕上げメッキ被膜として、乾式メッキ
法であるイオンプレーティングまたはスパッタリングに
より、チタン、ジルコニウムおよびハウニウムからなる
群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応さ
せて硬質の窒化被膜を形成することが好ましい。また、
前記仕上げメッキ被膜として、前記ニッケル−リン合金
メッキ被膜の表面に、ロジウム、パラジウム、パラジウ
ム合金、プラチナ、金および金合金からなる群から選ば
れる一の金属からなる仕上げメッキ被膜(I)を形成し
た後、該仕上げメッキ被膜(I)の表面に、乾式メッキ
法であるイオンプレーティングまたはスパッタリングに
より、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる
群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応さ
せて硬質の窒化被膜からなる仕上げメッキ被膜(II)を
形成することも好ましい。
【0017】さらに、前記仕上げメッキ被膜として、前
記ニッケル−リン合金メッキ被膜の表面に、乾式メッキ
法であるイオンプレーティングまたはスパッタリングに
より、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる
群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応さ
せて硬質の窒化被膜からなる仕上げメッキ被膜(II)を
形成した後、該仕上げメッキ被膜(II)の表面に、ロジ
ウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金およ
び金合金からなる群から選ばれる一の金属からなる仕上
げメッキ被膜(I)を形成することも好ましい。
【0018】本発明に係る装飾被膜を有する基材の第3
の製造方法は、銅、銅合金およびステンレス鋼からなる
群から選ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂
する工程と、前記基材表面に湿式メッキ法によりニッケ
ルメッキ被膜を形成する工程と、該ニッケルメッキ被膜
表面に湿式メッキ法によりニッケル−リン合金メッキ被
膜を形成する工程と、乾式メッキ法であるイオンプレー
ティングまたはスパッタリングの真空装置内で前記ニッ
ケル−リン合金メッキ被膜に時効硬化処理を施し、その
後、イオンプレーティングまたはスパッタリングによ
り、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群
から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応させ
て硬質の窒化物からなる仕上げメッキ被膜を形成する工
程とを含むことを特徴としている。
【0019】この第3の製造方法の一工程である、前記
仕上げメッキ被膜を形成する工程において、前記時効硬
化処理後で前記硬質の窒化物からなる仕上げメッキ被膜
を形成する前に、前記ニッケル−リン合金メッキ被膜の
表面に、ロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラ
チナ、金および金合金からなる群から選ばれる一の金属
からなる仕上げメッキ被膜を形成することもできる。
【0020】なお、本発明における「仕上げメッキ被
膜」は、ニッケル−リン合金以外の金属(合金を含む)
からなるメッキ被膜を指すものとする。
【0021】
【発明の具体的説明】以下に、本発明に係る装飾被膜を
有する基材およびその製造方法について具体的に説明す
る。本発明に係る装飾被膜を有する基材は、表面に、少
なくともニッケルメッキ被膜とニッケル−リン合金メッ
キ被膜と仕上げメッキ被膜とがこの順で形成されている
基材であり、該基材が、銅、銅合金およびステンレス鋼
からなる群から選ばれる一の金属からなり、かつ、該ニ
ッケル−リン合金メッキ被膜が、仕上げメッキ被膜形成
と同時あるいは形成後に時効硬化処理を施して得られる
硬質被膜である。
【0022】本発明に係る装飾被膜を有する基材の仕上
げメッキ被膜側の表面硬度(HV;ビッカース硬度計、
25g荷重、保持時間10秒)は、通常700以上、好
ましくは800以上である。基 材 本発明で用いられる基材は、硬度の低い金属、具体的に
は銅、銅合金(たとえば黄銅、洋白)、ステンレス鋼
(たとえばオーステナイト系ステンレス鋼)からなり、
主として装身具用に用いられる。
【0023】装身具(部品も含む)としては、たとえば
時計ケース、時計バンド、時計のリューズ、時計の裏
蓋、ベルトのバックル、指輪、ネックレス、ブレスレッ
ト、イヤリング、ペンダント、ブローチ、カフスボタ
ン、ネクタイ止め、バッジ、メダル、眼鏡などが挙げら
れる。なお、装身具用基材の表面は、予め従来公知の前
処理を施しておくことが好ましい。
【0024】このような前処理方法としては、たとえば
市販の浸漬脱脂液、市販の電解脱脂液、シアン液、ある
いは硫酸とフッ化物との混合液の中に、基材を浸漬し、
その後水洗する方法などが挙げられる。ニッケルメッキ被膜 上記のような基材表面に形成されるニッケルメッキ被膜
の厚さは、通常1〜5μm、好ましくは3〜5μmであ
る。この範囲内の厚さを有するニッケルメッキ被膜は光
沢性と防食性を向上させる効果がある。
【0025】ニッケルメッキ被膜は、基材の表面に湿式
メッキ法によって形成されるが、具体的には、ニッケル
金属イオンを含むメッキ液を用いて形成することができ
る。本発明におけるニッケルメッキ被膜の態様として
は、たとえば以下のような態様が挙げられる。 <第1の態様>本発明におけるニッケルメッキ被膜の第
1の態様として、上記基材表面に、硫酸ニッケル(Ni
SO4・6H2O)150〜400g/l、最も好ましく
は250〜300g/l、塩化ニッケル(NiCl2
6H2O)20〜60g/l、最も好ましくは40〜5
0g/l、ホウ酸(H3BO3)10〜50g/l、最も
好ましくは30〜40g/l、および光沢剤[たとえば
エバラユージライト社製の光沢剤#61(標準添加量
0.5ml/l)、#62(標準添加量4ml/l)、
#63(標準添加量10ml/l)などの市販品]を含
有してなる光沢ニッケルメッキ液(ワット浴)中で電気
メッキして形成された光沢ニッケルメッキ被膜が挙げら
れる。
【0026】このメッキ液は、pHが4.0〜4.5、
好ましくは4.2〜4.3の酸性溶液である。このニッ
ケルメッキ被膜は、上記のようなメッキ液を用い、浴温
40〜50℃、電流密度(Dk)1〜3A/dm2 の条
件で電気メッキを行なうことにより形成することができ
る。 <第2の態様>本発明におけるニッケルメッキ被膜の第
2の態様として、上記基材表面に、硫酸ニッケル(Ni
SO4・6H2O)150〜400g/l、最も好ましく
は250〜300g/l、塩化ニッケル(NiCl2
6H2O)20〜60g/l、最も好ましくは40〜5
0g/l、ホウ酸(H3BO3)10〜50g/l、最も
好ましくは30〜40g/l、および半光沢剤[たとえ
ば日本鉱業社製の半光沢剤レベノンA(標準添加量5m
l/l)などの市販品]を含有してなる半光沢ニッケル
メッキ液中で電気メッキして形成された半光沢ニッケル
メッキ被膜が挙げられる。
【0027】このメッキ液は、pHが4.0〜4.5、
好ましくは4.2〜4.3の酸性溶液である。このニッ
ケルメッキ被膜は、上記のようなメッキ液を用い、浴温
40〜50℃、電流密度(Dk)1〜3A/dm2 の条
件で電気メッキを行なうことにより形成することができ
る。 <第3の態様>本発明におけるニッケルメッキ被膜の第
3の態様として、上記基材表面に、塩化ニッケル(Ni
Cl2・6H2O)150〜300g/l、最も好ましく
は200〜250g/l、および塩酸(HCl)100
〜150ml/l、最も好ましくは125±10ml/
lを含有してなるニッケルストライクメッキ液中で電気
メッキして形成されたニッケルメッキ被膜が挙げられ
る。
【0028】このメッキ液は、pHが1.0±0.1の
酸性溶液である。このニッケルメッキ被膜は、上記のよ
うなメッキ液を用い、浴温25±〜2℃、電流密度(D
k)3〜5A/dm2 の条件で電気メッキを行なうこと
により形成することができる。ニッケル−リン合金メッキ被膜 上記のニッケルメッキ被膜上に形成されるニッケル−リ
ン合金メッキ被膜は、被膜形成時にあってはアモルファ
スのニッケル−リン合金から形成されているが、後の時
効硬化処理により結晶質化され硬質被膜になる。この時
効硬化処理は、仕上げメッキ被膜形成と同時あるいは仕
上げメッキ被膜形成後に行なってもよいし、ニッケル−
リン合金被膜形成後にイオンプレーティングもしくはス
パッタリングによる仕上げメッキ被膜形成前にイオンプ
レーティングもしくはスパッタリング装置内で行なうこ
ともできる。
【0029】本発明におけるニッケル−リン合金メッキ
被膜の厚さは、通常1〜20μm、好ましくは5〜20
μm、さらに好ましくは5〜10μmである。ニッケル
−リン合金メッキ被膜中のリン含有量は13〜15重量
%の範囲内にあることが好ましい。本発明におけるニッ
ケル−リン合金メッキ被膜としては、たとえば上記ニッ
ケルメッキ被膜表面に、硫酸ニッケル(NiSO4・7
2O)100〜200g/l、最も好ましくは140
〜160g/l、水酸化ニッケル[Ni(OH)2・H
2O]10〜40g/l、最も好ましくは20〜30g
/l、次亜リン酸ナトリウム(NaH2PO2・H2O)1
〜10g/l、最も好ましくは4〜6g/l、リン酸
(H3PO4)50〜90ml/l、最も好ましくは65〜
75ml/l、およびクエン酸ナトリウム50〜150
g/l、最も好ましくは90〜110g/lを含有して
なるメッキ液中で電気メッキして形成されるニッケル−
リン合金メッキ被膜などが挙げられる。
【0030】このメッキ液は、pHが2.8〜3.2の
酸性溶液である。このニッケル−リン合金メッキ被膜
は、上記のようなメッキ液を用い、浴温60〜80℃、
電流密度(Dk)1.0〜3.0A/dm2 、最も好ま
しくは2.0±0.5A/dm 2 の条件で電気メッキを
行なうことにより形成することができる。本発明におい
ては、メッキ液中の次亜リン酸濃度、メッキ液を構成す
るクエン酸ナトリウムの濃度、メッキ液のpH、および
電流密度等を上記のように選択することにより、リン含
有量が13〜15重量%であるニッケル−リン合金メッ
キ被膜を形成することができる。
【0031】上記次亜リン酸ナトリウムおよびリン酸
は、還元剤として用いられ、ニッケル−リン合金メッキ
被膜層を構成するリン供給源である。上記水酸化ニッケ
ルはpH調整剤として用いられ、クエン酸ナトリウムは
錯化剤として用いられる。仕上げメッキ被膜 本発明では、上記ニッケル−リン合金メッキ被膜上に形
成される仕上げメッキ被膜は、単層構造または2層以上
の多層構造になっている。
【0032】本発明における仕上げメッキ被膜全体の厚
さは、通常0.1〜5μm、好ましくは0.5〜2μm
の範囲内にある。本発明における仕上げメッキ被膜は、
湿式メッキ法または乾式メッキ法により形成された、ロ
ジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金お
よび金合金の群から選ばれる少なくとも1種の金属から
なる被膜であってもよいし、また、乾式メッキ法で形成
された、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからな
る群から選ばれる一の金属の窒化物からなる被膜であっ
てもよい。
【0033】また、本発明における仕上げメッキ被膜
は、湿式メッキ法または乾式メッキ法により形成され
た、ロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチ
ナ、金および金合金からなる群から選ばれる一の金属か
らなる仕上げメッキ被膜(I)と、該仕上げメッキ被膜
(I)の表面に、乾式メッキ法で形成された、チタン、
ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ばれる
一の金属の窒化物からなる仕上げメッキ被膜(II)とか
ら構成される二層構造であってもよいし、また、ロジウ
ム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金および
金合金からなる群から選ばれる一の金属からなる仕上げ
メッキ被膜(I)と、該仕上げメッキ被膜(I)の表面
に、乾式メッキ法で形成された、チタン、ジルコニウム
およびハフニウムからなる群から選ばれる一の金属の窒
化物からなる仕上げメッキ被膜(II)とから構成される
二層構造であってもよい。
【0034】上記の乾式メッキ法としては、具体的に
は、イオンプレーティング法、スパッタリング法、イオ
ンビーム法等の物理的蒸着法(PVD)、CVD法など
が挙げられる。中でも、イオンプレーティング法、スパ
ッタリング法が好ましく用いられ、イオンプレーティン
グ法が特に好ましく用いられる。仕上げメッキ被膜がた
とえばロジウムメッキ被膜である場合、ロジウムメッキ
被膜は、たとえば硫酸ロジウム[Rh2 (SO4)3
1.3〜3.0g/l、最も 好ましくは1.5±0.
5g/l、硫酸(H2SO4)5〜20ml/l、最も好
ましくは10±5ml/l、光沢剤5〜30ml/l、
最も好ましくは10±3ml/lを含有してなるメッキ
液中で電気メッキすることにより形成することができ
る。
【0035】このメッキ液は、pHが1.0±0.1の
酸性溶液である。このロジウムメッキ被膜は、上記のよ
うなメッキ液を用い、浴温25〜35℃、電流密度(D
k)0.7〜1.5A/dm2 、最も好ましくは1.0
±0.1A/dm2 の条件で電気メッキを行なうことに
より形成することができる。また、仕上げメッキ被膜が
パラジウム−ニッケル合金メッキ被膜である場合、パラ
ジウム−ニッケル合金メッキ被膜は、ジクロロジアミン
パラジウム[Pd(NH3)2Cl2]10〜40g/l、最
も好ましくは25±5g/l、スルファミン酸ニッケル
[Ni(NH2SO32]50〜100g/l、最も好ま
しくは70±10g/l、硫酸アンモニウム[(NH4)2
SO4]40〜80g/l、最も好ましくは60±10g
/l、光沢剤としてマレイン酸[C22(COOH)2
1〜3g/l、最も好ましくは2.0±0.5g/l、
およびピット防止剤1〜3ml/l、最も好ましくは
2.0±0.5ml/lを含有してなるメッキ液中で電
気メッキすることにより形成することができる。
【0036】このメッキ液は、pHが8.0±0.2の
アルカリ性溶液である。このパラジウム−ニッケル合金
メッキ被膜は、上記のようなメッキ液を用い、浴温30
〜38℃、最も好ましくは35±1℃、電流密度(D
k)1.0〜3.0A/dm2、最も好ましくは1.5
±0.5A/dm2 の条件で電気メッキを行なうことに
より形成することができる。
【0037】また、仕上げメッキ被膜が金−ニッケル合
金メッキ被膜である場合、金−ニッケル合金メッキ被膜
は、シアン化第一金カリウム[KAu(CN)2]5〜1
5g/l、最も好ましくは10±2g/l、スルファミン
酸ニッケル[Ni(NH2SO3)2]10〜40g/l、最
も好ましくは20±10g/l、硫酸インジウム[In
2(SO4)3・9H2O]0.5〜1.5g/l、最も好ま
しくは1.0±0.2g/l、クエン酸ナトリウム(N
3657)70〜140g/l、最も好ましくは1
00±15g/l、およびクエン酸(C687)40〜
80g/l、最も好ましくは60±10g/lを含有し
てなるメッキ液中で電気メッキすることにより形成する
ことができる。
【0038】このメッキ液は、pHが3.8〜4.2の
酸性溶液である。この金−ニッケル合金メッキ被膜は、
上記のようなメッキ液を用い、浴温40〜50℃、最も
好ましくは42±2℃、電流密度(Dk)0.8〜1.
2A/dm2 の条件で電気メッキを行なうことにより形
成することができる。時効硬化処理 本発明におけるニッケル−リン合金メッキ被膜の時効硬
化処理は、上記したように、仕上げメッキ被膜形成と同
時あるいは仕上げメッキ被膜形成後に行なってもよい
し、また、ニッケル−リン合金被膜形成後にイオンプレ
ーティングもしくはスパッタリングによる仕上げメッキ
被膜形成前にイオンプレーティングもしくはスパッタリ
ング装置内で行なうこともできる。
【0039】これらの時効硬化処理における処理温度
は、通常200〜600℃、好ましくは300〜500
℃、さらに好ましくは350〜400℃、最も好ましく
は370〜390℃であり、処理時間は、通常8〜12
5分、好ましくは10〜120分、さらに好ましくは8
0〜100分、最も好ましくは85〜95分である。イ
オンプレーティングもしくはスパッタリングによる仕上
げメッキ被膜の形成条件を、上記時効硬化処理の熱処理
条件と一致するように選択すれば、仕上げメッキ被膜の
形成と同時にニッケル−リン合金メッキ被膜の時効硬化
処理を施すことができる。また、イオンプレーティング
もしくはスパッタリングによる仕上げメッキ被膜の形成
条件として、上記時効硬化処理の熱処理条件の下限値を
下回るような条件を選択する場合には、仕上げメッキ被
膜形成後に、時効硬化処理を上記熱処理条件で行なうこ
とになる。本発明では、仕上げメッキ被膜の形成と同時
にニッケル−リン合金メッキ被膜の時効硬化処理を施す
ことが生産性の面から好ましい。
【0040】仕上げメッキ被膜が前記仕上げメッキ被膜
(I)と前記仕上げメッキ被膜(II)との二層構造から
なる場合であって、仕上げメッキ被膜(I)が湿式メッ
キ法により形成され、仕上げメッキ被膜(II)が乾式メ
ッキ法たとえばイオンプレーティングもしくはスパッタ
リングにより形成される場合には、この被膜(II)の形
成条件を上記の時効硬化処理条件と一致させるように選
択すれば、仕上げメッキ被膜(II)の形成と同時にニッ
ケル−リン合金メッキ被膜の時効硬化処理を施すことが
できる。イオンプレーティングもしくはスパッタリング
による仕上げメッキ被膜(II)の形成条件として、上記
時効硬化処理の熱処理条件の下限値を下回るような条件
を選択する場合には、仕上げメッキ被膜(II)形成後
に、時効硬化処理を上記熱処理条件で行なうことにな
る。本発明では、仕上げメッキ被膜(II)の形成と同時
にニッケル−リン合金メッキ被膜の時効硬化処理を施す
ことが生産性の面から好ましい。
【0041】また、仕上げメッキ被膜が前記仕上げメッ
キ被膜(I)と前記仕上げメッキ被膜(II)との二層構
造からなる場合であって、仕上げメッキ被膜(I)およ
び仕上げメッキ被膜(II)が乾式メッキ法により形成さ
れる場合には、仕上げメッキ被膜(I)または仕上げメ
ッキ被膜(II)の少なくともいずれか一方の形成条件を
上記の時効硬化処理条件と一致させるように選択すれ
ば、仕上げメッキ被膜(I)または仕上げメッキ被膜
(II)の形成と同時にニッケル−リン合金メッキ被膜の
時効硬化処理を施すことできる。仕上げメッキ被膜
(I)の形成条件および仕上げメッキ被膜(II)の形成
条件を、ともに上記時効硬化処理の熱処理条件の下限値
を下回るような条件にする場合には、仕上げメッキ被膜
(II)形成後に、時効硬化処理を上記熱処理条件で行な
うことになる。本発明では、仕上げメッキ被膜(I)ま
たは仕上げメッキ被膜(II)の形成と同時にニッケル−
リン合金メッキ被膜に時効硬化処理を施すことが生産性
の面から好ましい。
【0042】アモルファスのニッケル−リン合金メッキ
被膜に、上記のような時効硬化処理を施すと、ニッケル
−リン合金メッキ被膜中のアモルファス(非晶質)が結
晶質化され、ニッケル−リン合金メッキ被膜は硬質被膜
になる。上記のような方法で時効硬化処理を行なって得
られる、本発明に係る装飾被膜を有する基材は、基材表
面とニッケルメッキ被膜との接触面、ニッケルメッキ被
膜とニッケル−リン合金メッキ被膜との接触面およびニ
ッケル−リン合金メッキ被膜と仕上げメッキ被膜との接
触面のうち、2以上の接触面において拡散浸透層が形成
されているので、隣接するメッキ被膜同士の密着性に優
れている。
【0043】装飾被膜を有する基材 本発明に係る装飾被膜を有する基材の具体例としては、
たとえば以下のような装飾被膜を有する基材が挙げられ
る。 (1)黄銅からなる基材を前洗浄、水洗した後、この基
材表面に、ニッケルストライクメッキして厚さ0.1〜
0.3μmのニッケルメッキ被膜を形成し、次いで、こ
のニッケルメッキ被膜の上に、湿式メッキ法により厚さ
3〜5μmの光沢または半光沢ニッケルメッキ被膜を形
成した後、このニッケルメッキ被膜の表面に、湿式メッ
キ法により厚さ10〜15μmのニッケル−リン合金メ
ッキ被膜を形成し、次いで、このニッケル−リン合金メ
ッキ被膜の上に、湿式メッキ法により仕上げメッキ被膜
として厚さ0.5〜3μmのロジウムメッキ被膜を形成
し、300〜400℃で15〜60分間熱処理して得ら
れる、白色の装飾被膜を有する基材。なお、上記の各メ
ッキ被膜形成後において、それぞれの被膜を水洗する。
また、熱処理(時効硬化処理)は、水洗されたロジウム
メッキ被膜が乾燥した後に行なう。
【0044】上記ニッケル−リン合金メッキ被膜中のリ
ン含有量は、13〜15重量%である。また、この装飾
被膜を有する基材のロジウムメッキ被膜側の表面硬度
(HV;ビッカース硬度計、100g荷重、保持時間1
0秒)は、900〜1,000である。因みに、ロジウ
ムメッキ被膜自体の表面硬度(HV;ビッカース硬度
計、50g荷重、保持時間10秒)は、500〜600
であり、時効硬化処理を施す前のニッケル−リン合金メ
ッキ被膜自体の表面硬度(HV;ビッカース硬度計、2
5g荷重、保持時間10秒)は、900〜1,000で
ある。
【0045】この装飾被膜を有する基材は、ロジウムメ
ッキ被膜により、耐食性、耐変色性だけでなく耐傷付き
性の付与も期待でき、また時効硬化処理が施されたニッ
ケル−リン合金メッキ被膜により、打痕等の陥没防止を
期待できる。 (2)黄銅からなる基材を前洗浄、水洗した後、この基
材表面に、ニッケルストライクメッキして厚さ0.1〜
0.3μmのニッケルメッキ被膜を形成し、次いでこの
ニッケルメッキ被膜の上に、湿式メッキ法により厚さ3
〜5μmの光沢または半光沢ニッケルメッキ被膜を形成
した後、そのニッケルメッキ被膜の表面に、湿式メッキ
法により厚さ10〜15μmのニッケル−リン合金メッ
キ被膜を形成し、次いで、このニッケル−リン合金メッ
キ被膜の上に、湿式メッキ法により仕上げメッキ被膜と
して厚さ0.5〜3μmのパラジウム−ニッケル合金メ
ッキ被膜を形成し、300〜400℃で15〜60分間
熱処理して得られる、白色の装飾被膜を有する基材。な
お、上記の各メッキ被膜形成後において、それぞれの被
膜を水洗する。また、熱処理(時効硬化処理)は、水洗
されたパラジウム−ニッケル合金メッキ被膜が乾燥した
後に行なう。
【0046】上記ニッケル−リン合金メッキ被膜中のリ
ン含有量は、13〜15重量%である。また、パラジウ
ム−ニッケル合金メッキ被膜中におけるパラジウム相は
65%以上で、ニッケル相はその残部である。この装飾
被膜を有する基材のパラジウム−ニッケル合金メッキ被
膜側の表面硬度(HV;ビッカース硬度計、25g荷
重、保持時間10秒)は、800〜1000である。因
みに、パラジウム−ニッケル合金メッキ被膜自体の表面
硬度(HV;ビッカース硬度計、100g荷重、保持時
間10秒)は、600〜700である。
【0047】この装飾被膜を有する基材は、パラジウム
−ニッケル合金メッキ被膜により、装飾被膜表面の耐傷
付き性が期待でき、また時効硬化処理が施されたニッケ
ル−リン合金メッキ被膜により、打痕等の陥没防止を期
待できる。 (3)黄銅からなる基材の表面に、ニッケルストライク
メッキにより厚さ3〜5μmのニッケルメッキ被膜を形
成した後、そのニッケルメッキ被膜の表面に、湿式メッ
キ法により厚さ10μmのニッケル−リン合金メッキ被
膜を形成し、次いで、このニッケル−リン合金メッキ被
膜の上に、仕上げメッキ被膜(I)として金ストライク
メッキ(フラッシュメッキ法)により厚さ0.2〜0.
3μmの金メッキ被膜を形成し、さらに、この金メッキ
被膜の上に、仕上げメッキ被膜(II)としてイオンプレ
ーティングにより、温度200℃、時間30分、真空度
1×10-5〜1×10-3Torrの条件で厚さ0.1〜
0.3μmの金メッキ被膜を形成して得られる、金色の
装飾被膜を有する基材。
【0048】上記イオンプレーティングにより金メッキ
被膜を形成すると同時にニッケル−リン合金メッキ被膜
に時効硬化処理が施されている。この装飾被膜を有する
基材の金メッキ被膜側の表面硬度(HV;ビッカース硬
度計、25g荷重、保持時間10秒)は、800〜10
00である。因みに、金メッキ被膜自体の表面硬度(H
V;ビッカース硬度計、100g荷重、保持時間10
秒)は、200〜250である。
【0049】この装飾被膜を有する基材は、時効硬化処
理が施されたニッケル−リン合金メッキ被膜により、打
痕等の陥没防止を期待できる。また、この装飾被膜を有
する基材は、ニッケル−リン合金メッキ被膜とイオンプ
レーティングにより形成した金メッキ被膜との間に湿式
メッキ法により形成した薄い金メッキ被膜を有するの
で、ニッケル−リン合金メッキ被膜とイオンプレーティ
ングにより形成した金メッキ被膜との密着性に優れてい
る。 (4)ステンレス鋼たとえばオーステナイト系ステンレ
ス鋼(SUS)からなる基材の表面に、ニッケルストラ
イクメッキにより厚さ3〜5μmのニッケルメッキ被膜
を形成した後、そのニッケルメッキ被膜の表面に、湿式
メッキ法により厚さ10μmのニッケル−リン合金メッ
キ被膜を形成し、次いで、このニッケル−リン合金メッ
キ被膜の上に、仕上げメッキ被膜としてイオンプレーテ
ィングにより、温度200℃、時間30分、真空度1×
10-5〜1×10-3Torrの条件で厚さ1〜2μmの
金メッキ被膜を形成して得られる、金色の装飾被膜を有
する基材。
【0050】上記イオンプレーティングにより金メッキ
被膜を形成すると同時にニッケル−リン合金メッキ被膜
に時効硬化処理が施されている。オーステナイト系ステ
ンレス鋼(SUS)自体の表面硬度(HV;ビッカース
硬度計、25g荷重、保持時間10秒)は、300〜3
50程度であるが、時効硬化処理により、ニッケル−リ
ン合金メッキ被膜が硬質化し、基材の金メッキ被膜側の
表面硬度(HV;ビッカース硬度計、25g荷重、保持
時間10秒)が800〜1000という、高硬度の装飾
被膜を有する基材が得られる。 (5)ステンレス鋼たとえばオーステナイト系ステンレ
ス鋼(SUS)からなる基材の表面に、ニッケルストラ
イクメッキにより厚さ3〜5μmのニッケルメッキ被膜
を形成した後、そのニッケルメッキ被膜の表面に、湿式
メッキ法により厚さ10μmのニッケル−リン合金メッ
キ被膜を形成し、次いで、このニッケル−リン合金メッ
キ被膜の上に、仕上げメッキ被膜としてイオンプレーテ
ィングにより、温度200℃、時間30分、真空度1×
10-5〜1×10-3Torrの条件で厚さ1〜2μmの
ロジウムメッキ被膜を形成して得られる、白色の装飾被
膜を有する基材。
【0051】上記イオンプレーティングによりロジウム
メッキ被膜を形成すると同時にニッケル−リン合金メッ
キ被膜に時効硬化処理が施されている。この時効硬化処
理により、ニッケル−リン合金メッキ被膜が硬質化し、
基材のロジウムメッキ被膜側の表面硬度(HV;ビッカ
ース硬度計、100g荷重、保持時間10秒)が800
〜1000という、高硬度の装飾被膜を有する基材が得
られる。
【0052】この装飾被膜を有する基材は、ロジウムメ
ッキ被膜により、耐食性、耐変色性だけでなく耐傷付き
性の付与も期待できる。 (6)ステンレス鋼たとえばオーステナイト系ステンレ
ス鋼(SUS)からなる基材の表面に、ニッケルストラ
イクメッキにより厚さ3〜5μmのニッケルメッキ被膜
を形成した後、そのニッケルメッキ被膜の表面に、湿式
メッキ法により厚さ10μmのニッケル−リン合金メッ
キ被膜を形成し、次いで、このニッケル−リン合金メッ
キ被膜の上に、仕上げメッキ被膜としてイオンプレーテ
ィングにより、温度200℃、時間30分、真空度1×
10-5〜1×10-3Torrの条件で厚さ1〜2μmの
パラジウム−ニッケル合金メッキ被膜を形成して得られ
る、白色の装飾被膜を有する基材。
【0053】上記イオンプレーティングによりパラジウ
ム−ニッケル合金メッキ被膜を形成すると同時にニッケ
ル−リン合金メッキ被膜に時効硬化処理が施されてい
る。時効硬化処理により、ニッケル−リン合金メッキ被
膜が硬質化し、基材のパラジウム−ニッケル合金メッキ
被膜側の表面硬度(HV;ビッカース硬度計、25g荷
重、保持時間10秒)が800〜1000という、高硬
度の装飾被膜を有する基材が得られる。
【0054】この装飾被膜を有する基材は、パラジウム
−ニッケル合金メッキ被膜により、打痕等の陥没防止を
期待できる。装飾被膜を有する基材の製造方法 上記の装飾被膜を有する基材の具体例で示されているよ
うに、本発明に係る装飾被膜を有する基材は、銅、銅合
金およびステンレス鋼からなる群から選ばれる一の金属
からなる基材表面を洗浄・脱脂する工程と、該基材表面
に湿式メッキ法によりニッケルメッキ被膜を形成する工
程と、該ニッケルメッキ被膜表面に湿式メッキ法により
ニッケル−リン合金メッキ被膜を形成する工程と、該ニ
ッケル−リン合金メッキ被膜表面に、湿式メッキ法また
は乾式メッキ法(イオンプレーティング、スパッタリン
グ等)により、ロジウム、パラジウム、パラジウム合
金、プラチナ、金および金合金からなる群から選ばれる
少なくとも1種の金属からなる仕上げメッキ被膜を形成
する工程と、該仕上げメッキ被膜形成後の基材に時効硬
化処理を施して前記ニッケル−リン合金メッキ被膜を硬
質化する工程とを経ることにより、あるいは銅、銅合金
およびステンレス鋼からなる群から選ばれる一の金属か
らなる基材表面を洗浄・脱脂する工程と、該基材表面に
湿式メッキ法によりニッケルメッキ被膜を形成する工程
と、該ニッケルメッキ被膜表面に湿式メッキ法によりニ
ッケル−リン合金メッキ被膜を形成する工程と、乾式メ
ッキ法であるイオンプレーティングまたはスパッタリン
グにより、該ニッケル−リン合金メッキ被膜表面にロジ
ウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金およ
び金合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属
からなる仕上げメッキ被膜を形成すると同時に、時効硬
化処理を施して前記ニッケル−リン合金メッキ被膜を硬
質化する工程とを経て調製することができる。
【0055】上記仕上げメッキ被膜として、乾式メッキ
法であるイオンプレーティングまたはスパッタリングに
より、チタン、ジルコニウムおよびハウニウムからなる
群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応さ
せて硬質の窒化被膜を形成することができるし、また、
ニッケル−リン合金メッキ被膜の表面に、湿式メッキ法
または乾式メッキ法により、ロジウム、パラジウム、パ
ラジウム合金、プラチナ、金および金合金からなる群か
ら選ばれる一の金属からなる仕上げメッキ被膜(I)を
形成した後、この仕上げメッキ被膜(I)の表面に、乾
式メッキ法であるイオンプレーティングまたはスパッタ
リングにより、チタン、ジルコニウムおよびハフニウム
からなる群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中
で反応させて硬質の窒化被膜からなる仕上げメッキ被膜
(II)を形成することもできる。また、ニッケル−リン
合金メッキ被膜の表面に、仕上げメッキ被膜(II)を形
成した後、この仕上げメッキ被膜(II)の表面に、上記
の仕上げメッキ被膜(i)を形成することもできる。
【0056】さらに、本発明に係る装飾被膜を有する基
材は、銅、銅合金およびステンレス鋼からなる群から選
ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂する工程
と、前記基材表面に湿式メッキ法によりニッケルメッキ
被膜を形成する工程と、該ニッケルメッキ被膜表面に湿
式メッキ法によりニッケル−リン合金メッキ被膜を形成
する工程と、乾式メッキ法であるイオンプレーティング
またはスパッタリングの真空装置内で前記ニッケル−リ
ン合金メッキ被膜に時効硬化処理を施し、その後、イオ
ンプレーティングまたはスパッタリングにより、チタ
ン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から選ば
れる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応させて硬質の
窒化物からなる仕上げメッキ被膜を形成する工程とを経
て調製することもできる。また、この仕上げメッキ被膜
を形成する工程において、時効硬化処理後で上記硬質の
窒化物からなる仕上げメッキ被膜(仕上げメッキ被膜
(II))を形成する前に、ニッケル−リン合金メッキ被
膜の表面に、湿式メッキ法または乾式メッキ法により、
ロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金
および金合金からなる群から選ばれる一の金属からなる
仕上げメッキ被膜(I)を形成することもできる。
【0057】上記のような本発明に係る装飾被膜を有す
る基材の製造方法により得られる装飾被膜を有する基材
としては、装飾被膜を有する基材の仕上げメッキ被膜側
の表面硬度(HV;ビッカース硬度計、100g荷重、
保持時間10秒)が800以上であることが望ましい。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る装飾被膜を有する基材は、
硬度の低い基材表面に、ニッケルメッキ被膜、ニッケル
−リン合金メッキ被膜および仕上げメッキ被膜がこの順
で形成され、ニッケル−リン合金メッキ被膜が時効硬化
処理により硬質被膜になっているので、基材が硬度の低
い金属からなるが、物にぶつけたり、あるいは落とした
りしても仕上げメッキ被膜が容易に陥没せず、装飾被膜
の耐食性および密着性に優れ、高級感がある。
【0059】本発明に係る装飾被膜を有する基材は、ニ
ッケル−リン合金メッキ被膜への時効硬化処理が、仕上
げメッキ被膜形成と同時あるいは形成後に行なわれてい
るので、基材表面とニッケルメッキ被膜との接触面、ニ
ッケルメッキ被膜とニッケル−リン合金メッキ被膜との
接触面およびニッケル−リン合金メッキ被膜と仕上げメ
ッキ被膜との接触面のうち、2以上の接触面において拡
散浸透層が形成され、その結果、隣接するメッキ被膜同
士の密着性に優れている。
【0060】本発明に係る装飾被膜を有する基材の製造
方法によれば、上記のような効果を有する、本発明に係
る装飾被膜を有する基材を提供することができる。ま
た、本発明においては、仕上げメッキ被膜形成と同時あ
るいは形成後に、ニッケル−リン合金メッキ被膜に時効
硬化処理を施したり、または仕上げメッキ被膜形成前
に、仕上げメッキ被膜形成の際に使用するイオンプレー
ティング、スパッタリング等の乾式メッキ装置内で、ニ
ッケル−リン合金メッキ被膜に時効硬化処理を施すた
め、装飾被膜を有する基材の量産性に優れている。特
に、乾式メッキ法により、仕上げメッキ被膜を形成する
と同時にニッケル−リン合金メッキ被膜に時効硬化処理
を施すと、より量産性に優れている。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0062】
【実施例1】黄銅からなる腕時計バンド用基材をシアン
液に浸漬した後、水洗した。次いで、この腕時計バンド
用基材を、下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下
記のメッキ条件で電気メッキして厚さ5μmの光沢ニッ
ケルメッキ被膜を基材表面に形成し、水洗した。 《ニッケルメッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 300g/l 塩化ニッケル 50g/l ホウ酸 30g/l 光沢剤(エバラユージライト社製の光沢剤#61) 0.5ml/l <メッキ条件> pH 4.2 浴温 43℃ 電流密度(Dk) 2.0A/dm2 次いで、このニッケルメッキ被膜を有する腕時計バンド
用基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記
のメッキ条件で電気メッキして厚さ10μmのニッケル
−リン合金メッキ被膜をニッケルメッキ被膜表面に形成
し、水洗した。 《ニッケル−リン合金メッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 150g/l 水酸化ニッケル 30g/l 次亜リン酸ナトリウム 4g/l リン酸 70ml/l クエン酸ナトリウム 100g/l <メッキ条件> pH 3.0 浴温 70℃ 電流密度(Dk) 1.5A/dm2 次いで、このニッケル−リン合金メッキ被膜を有する腕
時計バンド用基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸
漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚さ0.3μ
mの白色色調のロジウムメッキ被膜をニッケル−リン合
金メッキ被膜表面に形成し、水洗、乾燥した。 《ロジウムメッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ロジウム 1.5g/l 硫酸 10ml/l 光沢剤(エバラユージライト社製の光沢剤#61) 0.5ml/l <メッキ条件> pH 1.0 浴温 30℃ 電流密度(Dk) 1.5A/dm2 次いで、ニッケルメッキ被膜、ニッケル−リン合金メッ
キ被膜およびロジウムメッキ被膜を有する腕時計バンド
用基材に、第1表に示すように、処理温度と処理時間を
変えて熱処理を行なった。
【0063】得られた基材のロジウムメッキ被膜側の表
面硬度(HV−1;ビッカース硬度計、25g荷重、保
持時間10秒)と、ロジウムメッキ被膜を形成せずに熱
処理して得られた基材のニッケル−リン合金メッキ被膜
側の表面硬度(HV−2;ビッカース硬度計、25g荷
重、保持時間10秒)を第1表に示す。なお、ロジウム
メッキ被膜の表面の一部に有機マスク処理を施し、次い
で、湿式メッキ処理または乾式メッキ処理によりロジウ
ムメッキ被膜および有機マスク表面に金メッキ被膜また
は金合金メッキ被膜を形成し、その後、有機溶剤剥離液
に腕時計バンド用基材を浸漬し、有機マスクおよび有機
マスク上の金メッキ被膜または金合金メッキ被膜を剥離
し、白色色調(ロジウムメッキ被膜)と金色色調(金メ
ッキ被膜または金合金メッキ被膜)の2トーンの時計バ
ンド用基材を得ることもできる。
【0064】
【表1】
【0065】上記第1表より、ニッケル−リン合金メッ
キ被膜表面から測定した表面硬度と、ロジウムメッキ被
膜表面から測定した表面硬度との差が殆どないが、これ
は、ロジウムメッキ被膜(仕上げメッキ被膜)が大変薄
いため、25g荷重で表面硬度を測定しても、実質上、
下層のニッケル−リン合金メッキ被膜表面から硬度を測
定しているのと同じであるためと考えられる。
【0066】
【実施例2】ステンレス鋼(SUS304)からなる腕
時計バンド用基材をシアン液に浸漬した後、水洗した。
次いで、この腕時計バンド用基材を、下記の組成を有す
るメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条件で電気メッキ
して厚さ5μmの光沢ニッケルメッキ被膜を基材表面に
形成し、水洗した。 《ニッケルメッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 300g/l 塩化ニッケル 50g/l ホウ酸 30g/l 光沢剤(エバラユージライト社製の光沢剤#61) 0.5ml/l <メッキ条件> pH 4.2 浴温 43℃ 電流密度(Dk) 2.0A/dm2 次いで、このニッケルメッキ被膜を有する腕時計バンド
用基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記
のメッキ条件で電気メッキして厚さ10μmのニッケル
−リン合金メッキ被膜をニッケルメッキ被膜表面に形成
し、水洗した。 《ニッケル−リン合金メッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 150g/l 水酸化ニッケル 30g/l 次亜リン酸ナトリウム 4g/l リン酸 70ml/l クエン酸ナトリウム 100g/l <メッキ条件> pH 3.0 浴温 70℃ 電流密度(Dk) 1.5A/dm2 次いで、このニッケル−リン合金メッキ被膜を有する腕
時計バンド用基材を、イオンプレーティング装置内に入
れ、イオンプレーティングの条件を第2表に示す処理温
度と処理時間にして、上記ニッケル−リン合金メッキ被
膜表面に、厚さ0.3μmのグレー色調のTiNメッキ
被膜を形成すると同時にニッケル−リン合金メッキ被膜
に時効硬化処理を施した。
【0067】得られた腕時計バンド用基材のTiNメッ
キ被膜側の表面硬度(HV−3;ビッカース硬度計、2
5g荷重、保持時間10秒)を第2表に示す。また、上
記のようにして得られたニッケル−リン合金メッキ被膜
を有する腕時計バンド用基材を、イオンプレーティング
装置内に入れ、処理温度と処理時間を変えて熱処理を行
ない、TiNメッキ被膜を有しない基材を得た。
【0068】得られた基材のニッケル−リン合金メッキ
被膜側の表面硬度(HV−4;ビッカース硬度計、25
g荷重、保持時間10秒)を第2表に示す。なお、上記
ステンレス鋼(SUS304)からなる腕時計バンド用
基材の場合と同じ条件で、ステンレス鋼(SUS316
L)からなる腕時計バンド用基材の表面に、ニッケルメ
ッキ被膜、時効硬化処理が施されたニッケル−リン合金
メッキ被膜、TiNメッキ被膜がこの順で形成されてい
る腕時計バンドを調製することができる。
【0069】
【表2】
【0070】上記第2表より、ニッケル−リン合金メッ
キ被膜表面から測定した表面硬度と、TiNメッキ被膜
表面から測定した表面硬度との差が殆どないが、これ
は、TiNメッキ被膜(仕上げメッキ被膜)が大変薄い
ため、25g荷重で表面硬度を測定しても、実質上、下
層のニッケル−リン合金メッキ被膜表面から硬度を測定
しているのと同じであるためと考えられる。
【0071】
【実施例3】黄銅からなる腕時計ケース用基材をシアン
液に浸漬した後、水洗した。次いで、この腕時計ケース
用基材を、下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下
記のメッキ条件で電気メッキして厚さ5μmの光沢ニッ
ケルメッキ被膜を基材表面に形成し、水洗した。 《ニッケルメッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 300g/l 塩化ニッケル 50g/l ホウ酸 30g/l 光沢剤(エバラユージライト社製の光沢剤#61) 0.5ml/l <メッキ条件> pH 4.2 浴温 43℃ 電流密度(Dk) 2.0A/dm2 次いで、このニッケルメッキ被膜を有する腕時計ケース
用基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記
のメッキ条件で電気メッキして厚さ10μmのニッケル
−リン合金メッキ被膜をニッケルメッキ被膜表面に形成
し、水洗した。 《ニッケル−リン合金メッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 150g/l 水酸化ニッケル 30g/l 次亜リン酸ナトリウム 4g/l リン酸 70ml/l クエン酸ナトリウム 100g/l <メッキ条件> pH 3.0 浴温 70℃ 電流密度(Dk) 1.5A/dm2 次いで、このニッケル−リン合金メッキ被膜を有する腕
時計ケース用基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸
漬し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚さ0.3μ
mの金ストライクメッキ被膜をニッケル−リン合金メッ
キ被膜表面に形成し、水洗、乾燥した。 《金ストライクメッキ》 <メッキ液の組成> シアン化第2金カリウム(KAu(CN)4) 3.5g/l (金原子換算で2.0g/l) 硫酸 100g/l <メッキ条件> pH 1.0 浴温 約20℃ 電流密度(Dk) 3.0A/dm2 次いで、この金ストライクメッキ被膜を有する腕時計ケ
ース用基材を、イオンプレーティング装置内に入れ、第
3表に示すように、処理温度と処理時間を変えて熱処理
を行なった。
【0072】また、金ストライクメッキ被膜を形成せず
に、上記のニッケル−リン合金メッキ被膜を有する腕時
計ケース用基材を、イオンプレーティング装置内に入
れ、第3表に示すように、処理温度と処理時間を変えて
熱処理を行なった。得られた基材のニッケル−リン合金
メッキ被膜側の表面硬度(HV−5;ビッカース硬度
計、25g荷重、保持時間10秒)を第3表に示す。
【0073】次いで、上記の熱処理を行なった金ストラ
イクメッキ被膜を有する腕時計ケース用基材を、このイ
オンプレーティング装置内で、イオンプレーティング法
により、上記金ストライクメッキ被膜表面に、厚さ0.
2μmの金色色調のTiNメッキ被膜を形成し、さらに
このTiNメッキ被膜の上に、厚さ0.1μmの金メッ
キ被膜を形成した。
【0074】より具体的には、上記イオンプレーティン
グ装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、ア
ルゴンガスを3×10-3Torrまで導入し、次に、装
置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極
を駆動させてアルゴンのプラズマを形成させた。同時に
基材である腕時計ケース用基材に−50Vの電位を印加
して、10分間ボンバードクリーニングを行なった。
【0075】次いで、装置内を1.0×10-5Torr
まで排気し、窒素ガスを2.0×10-3Torrまで装
置内に導入して装置内部に備えられたプラズマ銃でプラ
ズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させて上記
金ストライクメッキ被膜の表面に厚さ0.2μmのTi
Nメッキ被膜を形成させた。次いで、チタンの蒸発と窒
素ガスの導入を止め、装置内を1.0×10-5Torr
まで排気し、装置内にアルゴンガスを1.0×10-3
orrまで導入してプラズマを発生させた後、金75原
子%と鉄25原子%とからなる金−鉄混合物を蒸発さ
せ、金−鉄合金膜の厚みが0.1μmになったところで
金−鉄混合物の蒸発を止めた。
【0076】得られた腕時計バンド用基材の金−鉄合金
メッキ被膜側の表面硬度(HV−6;ビッカース硬度
計、25g荷重、保持時間10秒)を第3表に示す。
【0077】
【表3】
【0078】上記第3表より、TiNメッキ被膜表面か
ら測定した表面硬度と、Au−Fe合金メッキ被膜表面
から測定した表面硬度との差が殆どないが、これは、A
u−Fe合金メッキ被膜(仕上げメッキ被膜)が大変薄
いため、25g荷重で表面硬度を測定しても、実質上、
下層のTiNメッキ被膜表面から硬度を測定しているの
と同じであるためと考えられる。
【0079】
【実施例4】黄銅からなるペンダント用基材をシアン液
に浸漬した後、水洗した。次いで、このペンダント用基
材を、下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記の
メッキ条件で電気メッキして厚さ5μmの光沢ニッケル
メッキ被膜を基材表面に形成し、水洗した。 《ニッケルメッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 300g/l 塩化ニッケル 50g/l ホウ酸 30g/l 光沢剤(エバラユージライト社製の光沢剤#61) 0.5ml/l <メッキ条件> pH 4.2 浴温 43℃ 電流密度(Dk) 2.0A/dm2 次いで、このニッケルメッキ被膜を有するペンダント用
基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記の
メッキ条件で電気メッキして厚さ10μmのニッケル−
リン合金メッキ被膜をニッケルメッキ被膜表面に形成
し、水洗した。 《ニッケル−リン合金メッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ニッケル 150g/l 水酸化ニッケル 30g/l 次亜リン酸ナトリウム 4g/l リン酸 70ml/l クエン酸ナトリウム 100g/l <メッキ条件> pH 3.0 浴温 70℃ 電流密度(Dk) 1.5A/dm2 次いで、このニッケル−リン合金メッキ被膜を有するペ
ンダント用基材を下記の組成を有するメッキ液中に浸漬
し、下記のメッキ条件で電気メッキして厚さ0.3μm
の金ストライクメッキ被膜をニッケル−リン合金メッキ
被膜表面に形成し、水洗、乾燥した。 《金ストライクメッキ》 <メッキ液の組成> シアン化第2金カリウム(KAu(CN)4) 3.5g/l (金原子換算で2.0g/l) 硫酸 100g/l <メッキ条件> pH 1.0 浴温 約20℃ 電流密度(Dk) 3.0A/dm2 次いで、この金ストライクメッキ被膜を有するペンダン
ト用基材を、スパッタ装置内に取り付け、この装置内の
空気を1.0×10-5Torrまで排気した後、アルゴ
ンガスを3×10-3Torrまで導入し、アルゴン雰囲
気中でペンダント用基材表面をボンバードクリーニング
した。
【0080】次いで、この基材表面に形成されている金
ストライクメッキ被膜表面に、厚さ0.3μmの金色色
調のTiNメッキ被膜をスパッタリング法(反応性スパ
ッタ方式)により下記の条件で形成した。 《スパッタリング》 <成膜条件> ターゲット :Ti スパッタガス :アルゴンガス、窒素ガス 成膜圧力 :1.5×10-3〜7×10-3Torr ターゲット電力:1.0〜2.0kW バイアス電圧 :Grand〜−300V 次いで、このスパッタ装置内で、上記TiNメッキ被膜
を有するペンダント用基材に対し、第4表に示すよう
に、処理温度と処理時間を変えて熱処理を行なった。
【0081】得られた基材のニッケル−リン合金メッキ
被膜側の表面硬度(HV−7;ビッカース硬度計、25
g荷重、保持時間10秒)を第4表に示す。次いで、上
記熱処理を行なったTiNメッキ被膜を有するペンダン
ト用基材の表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂からな
る有機マスク剤を印刷して、有機マスクを施した。その
後、硬化した有機マスクを有するペンダント用基材を下
記の組成を有するメッキ液中に浸漬し、下記のメッキ条
件で電気メッキして厚さ0.3μmの白色色調のロジウ
ムメッキ被膜をTiNメッキ被膜表面に形成し、水洗、
乾燥した。 《ロジウムメッキ》 <メッキ液の組成> 硫酸ロジウム 1.5g/l 硫酸 10ml/l 光沢剤(エバラユージライト社製の光沢剤#61) 0.5ml/l <メッキ条件> pH 1.0 浴温 30℃ 電流密度(Dk) 1.5A/dm2 次いで、このロジウムメッキ被膜を有するペンダント用
基材をエチルメチルケトン(EMK)に各種溶剤を混合
した剥離液中に浸漬し、有機マスクを膨潤させながら溶
解し、金色色調のTiNメッキ被膜と白色色調のロジウ
ムメッキ被膜との2トーンからなるペンダント用基材を
得た。
【0082】得られたペンダント用基材のロジウムメッ
キ被膜側の表面硬度(HV−8;ビッカース硬度計、2
5g荷重、保持時間10秒)を第4表に示す。
【0083】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 3/56 101 C25D 3/56 101 5/12 5/12 5/50 5/50 Fターム(参考) 4K023 AA01 AA03 AA12 AA25 AA27 AA28 AA29 AB01 AB03 AB21 AB41 AB46 BA06 BA08 BA16 BA19 CB05 4K024 AA03 AA11 AA12 AA14 AA24 AB03 AB15 AB19 BA04 BA09 BB03 BB20 BC10 CA01 DB01 GA01 GA02 GA04 GA16 4K029 AA02 BA02 BA21 BA22 BA58 BB02 BD06 BD07 CA03 CA04 CA05 CA06 EA01 FA07 GA01

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に、少なくともニッケルメッキ被膜と
    ニッケル−リン合金メッキ被膜と仕上げメッキ被膜とが
    この順で形成されている基材であり、 該基材が、銅、銅合金およびステンレス鋼からなる群か
    ら選ばれる一の金属からなり、かつ、 該ニッケル−リン合金メッキ被膜が、仕上げメッキ被膜
    形成と同時あるいは形成後に時効硬化処理を施して得ら
    れる硬質被膜であることを特徴とする装飾被膜を有する
    基材。
  2. 【請求項2】表面に、少なくともニッケルメッキ被膜と
    ニッケル−リン合金メッキ被膜と仕上げメッキ被膜とが
    この順で形成されている基材であり、 該基材が、銅、銅合金およびステンレス鋼からなる群か
    ら選ばれる一の金属からなり、かつ、 該ニッケル−リン合金メッキ被膜が、仕上げメッキ被膜
    形成前に時効硬化処理を施して得られる硬質被膜である
    ことを特徴とする装飾被膜を有する基材。
  3. 【請求項3】前記ニッケルメッキ被膜の厚さが1〜5μ
    mの範囲内にあり、前記ニッケル−リン合金メッキ被膜
    の厚さが1〜20μmの範囲内にあり、かつ、前記仕上
    げメッキ被膜の厚さが0.1〜5μmの範囲内にあるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の装飾被膜を有
    する基材。
  4. 【請求項4】前記ニッケル−リン合金メッキ被膜中のリ
    ン含有量が13〜15重量%の範囲内にあることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の装飾被膜を有す
    る基材。
  5. 【請求項5】前記基材表面と前記ニッケルメッキ被膜と
    の接触面、前記ニッケルメッキ被膜と前記ニッケル−リ
    ン合金メッキ被膜との接触面および前記ニッケル−リン
    合金メッキ被膜と前記仕上げメッキ被膜との接触面のう
    ち、2以上の接触面において拡散浸透層が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装
    飾被膜を有する基材。
  6. 【請求項6】前記仕上げメッキ被膜が、ロジウム、パラ
    ジウム、パラジウム合金、プラチナ、金および金合金の
    群から選ばれる少なくとも1種の金属からなる被膜であ
    ることを特徴とする請求項1〜3および5のいずれかに
    記載の装飾被膜を有する基材。
  7. 【請求項7】前記仕上げメッキ被膜が、乾式メッキ法に
    より形成された、チタン、ジルコニウムおよびハフニウ
    ムからなる群から選ばれる一の金属の窒化物からなる被
    膜であることを特徴とする請求項1〜3および5のいず
    れかに記載の装飾被膜を有する基材。
  8. 【請求項8】前記仕上げメッキ被膜が、ロジウム、パラ
    ジウム、パラジウム合金、プラチナ、金および金合金か
    らなる群から選ばれる一の金属からなる仕上げメッキ被
    膜(I)と、該仕上げメッキ被膜(I)の表面に、乾式
    メッキ法で形成された、チタン、ジルコニウムおよびハ
    フニウムからなる群から選ばれる一の金属の窒化物から
    なる仕上げメッキ被膜(II)とから構成される二層構造
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の装飾被膜を有する基材。
  9. 【請求項9】前記仕上げメッキ被膜が、乾式メッキ法で
    形成された、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムか
    らなる群から選ばれる一の金属の窒化物からなる仕上げ
    メッキ被膜(II)と、該仕上げメッキ被膜(II)の表面
    に、ロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチ
    ナ、金および金合金からなる群から選ばれる一の金属か
    らなる仕上げメッキ被膜(I)とから構成される二層構
    造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の装飾被膜を有する基材。
  10. 【請求項10】前記装飾被膜を有する基材の仕上げメッ
    キ被膜側の表面硬度(HV;ビッカース硬度計、25g
    荷重、保持時間10秒)が800以上であることを特徴
    とする請求項1〜9のいずれかに記載の装飾被膜を有す
    る基材。
  11. 【請求項11】銅、銅合金およびステンレス鋼からなる
    群から選ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂
    する工程と、 該基材表面に湿式メッキ法によりニッケルメッキ被膜を
    形成する工程と、 該ニッケルメッキ被膜表面に湿式メッキ法によりニッケ
    ル−リン合金メッキ被膜を形成する工程と、 該ニッケル−リン合金メッキ被膜表面にロジウム、パラ
    ジウム、パラジウム合金、プラチナ、金および金合金か
    らなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなる仕
    上げメッキ被膜を形成する工程と、 該仕上げメッキ被膜形成後の基材に時効硬化処理を施し
    て前記ニッケル−リン合金メッキ被膜を硬質化する工程
    とを含むことを特徴とする装飾被膜を有する基材の製造
    方法。
  12. 【請求項12】銅、銅合金およびステンレス鋼からなる
    群から選ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂
    する工程と、 該基材表面に湿式メッキ法によりニッケルメッキ被膜を
    形成する工程と、 該ニッケルメッキ被膜表面に湿式メッキ法によりニッケ
    ル−リン合金メッキ被膜を形成する工程と、 乾式メッキ法であるイオンプレーティングまたはスパッ
    タリングにより、該ニッケル−リン合金メッキ被膜表面
    にロジウム、パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、
    金および金合金からなる群から選ばれる少なくとも1種
    の金属からなる仕上げメッキ被膜を形成すると同時に、
    時効硬化処理を施して前記ニッケル−リン合金メッキ被
    膜を硬質化する工程とを含むことを特徴とする装飾被膜
    を有する基材の製造方法。
  13. 【請求項13】前記ニッケルメッキ被膜を湿式メッキ法
    により形成する際に用いられるニッケルメッキ浴が、硫
    酸ニッケル150〜400g/l、塩化ニッケル20〜
    60g/l、硼酸10〜50g/lおよび光沢剤を含有
    してなるワット浴であり、前記ニッケル−リン合金被膜
    を湿式メッキ法により形成する際に用いられるニッケル
    −リン合金メッキ浴が、硫酸ニッケル100〜200g
    /l、水酸化ニッケル10〜40g/l、次亜リン酸ナ
    トリウム1〜10g/l、リン酸50〜90ml/lお
    よびクエン酸ナトリウム50〜150g/lを含有して
    なるメッキ浴であることを特徴とする請求項11または
    12に記載の装飾被膜を有する基材の製造方法。
  14. 【請求項14】前記仕上げメッキ被膜として、乾式メッ
    キ法であるイオンプレーティングまたはスパッタリング
    により、チタン、ジルコニウムおよびハウニウムからな
    る群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応
    させて硬質の窒化被膜を形成することを特徴とする請求
    項11または12に記載の装飾被膜を有する基材の製造
    方法。
  15. 【請求項15】前記仕上げメッキ被膜として、前記ニッ
    ケル−リン合金メッキ被膜の表面に、ロジウム、パラジ
    ウム、パラジウム合金、プラチナ、金および金合金から
    なる群から選ばれる一の金属からなる仕上げメッキ被膜
    (I)を形成した後、該仕上げメッキ被膜(I)の表面
    に、乾式メッキ法であるイオンプレーティングまたはス
    パッタリングにより、チタン、ジルコニウムおよびハフ
    ニウムからなる群から選ばれる一の金属と窒素ガスとを
    真空中で反応させて硬質の窒化被膜からなる仕上げメッ
    キ被膜(II)を形成することを特徴とする請求項11ま
    たは12に記載の装飾被膜を有する基材の製造方法。
  16. 【請求項16】前記仕上げメッキ被膜として、前記ニッ
    ケル−リン合金メッキ被膜の表面に、乾式メッキ法であ
    るイオンプレーティングまたはスパッタリングにより、
    チタン、ジルコニウムおよびハフニウムからなる群から
    選ばれる一の金属と窒素ガスとを真空中で反応させて硬
    質の窒化被膜からなる仕上げメッキ被膜(II)を形成し
    た後、該仕上げメッキ被膜(II)の表面に、ロジウム、
    パラジウム、パラジウム合金、プラチナ、金および金合
    金からなる群から選ばれる一の金属からなる仕上げメッ
    キ被膜(I)を形成することを特徴とする請求項11ま
    たは12に記載の装飾被膜を有する基材の製造方法。
  17. 【請求項17】銅、銅合金およびステンレス鋼からなる
    群から選ばれる一の金属からなる基材表面を洗浄・脱脂
    する工程と、 前記基材表面に湿式メッキ法によりニッケルメッキ被膜
    を形成する工程と、 該ニッケルメッキ被膜表面に湿式メッキ法によりニッケ
    ル−リン合金メッキ被膜を形成する工程と、 乾式メッキ法であるイオンプレーティングまたはスパッ
    タリングの真空装置内で前記ニッケル−リン合金メッキ
    被膜に時効硬化処理を施し、その後、イオンプレーティ
    ングまたはスパッタリングにより、チタン、ジルコニウ
    ムおよびハフニウムからなる群から選ばれる一の金属と
    窒素ガスとを真空中で反応させて硬質の窒化物からなる
    仕上げメッキ被膜を形成する工程とを含むことを特徴と
    する装飾被膜を有する基材の製造方法。
  18. 【請求項18】前記仕上げメッキ被膜を形成する工程に
    おいて、前記時効硬化処理後で前記硬質の窒化物からな
    る仕上げメッキ被膜を形成する前に、前記ニッケル−リ
    ン合金メッキ被膜の表面に、ロジウム、パラジウム、パ
    ラジウム合金、プラチナ、金および金合金からなる群か
    ら選ばれる一の金属からなる仕上げメッキ被膜を形成す
    ることを特徴とする請求項17に記載の装飾被膜を有す
    る基材の製造方法。
  19. 【請求項19】前記時効硬化処理における処理温度が2
    00〜600℃であり、処理時間が8〜125分である
    ことを特徴とする請求項11、12および17のいずれ
    かに記載の装飾被膜を有する基材の製造方法。
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