JP2009222603A - 装飾品の製造方法、装飾品および時計 - Google Patents

装飾品の製造方法、装飾品および時計 Download PDF

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Abstract

【課題】 長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、前記装飾品を提供することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供すること。
【解決手段】 本発明の装飾品1の製造方法は、基材2上に、主としてTiNで構成された第1の被膜3を形成する第1の被膜形成工程と、第1の被膜3上に、99wt%以上の含有率でAuを含む第2の被膜4を形成する第2の被膜形成工程と、第2の被膜4上に、Auを主成分とし、6.0〜10.0wt%のPd、および、12.0〜15.0wt%のAgを含むAu−Pd−Ag系合金をターゲットとして用いた乾式めっき法により、第3の被膜5を形成する第3の被膜形成工程とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、装飾品の製造方法、装飾品および時計に関する。
時計用外装部品のような装飾品には、優れた美的外観が要求される。従来、このような目的を達成するために、一般に、装飾品の構成材料として、Pt、Ag等の金属材料を用いてきた。
しかし、金属材料の硬度は、一般に比較的低く、前記のような材料で構成された装飾品(特に、時計用外装部品や装身具等)は、その表面に傷が付き易く、長期間使用することにより美的外観が著しく低下する等の問題点を有していた。
このような問題を解決するために、基材を硬質化する技術として、例えばステンレス鋼からなる基材に炭素を注入する浸炭処理により、表面を固くする技術(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
しかしながら、浸炭処理は、表面荒れをおこすので、研磨外観が変わってしまう。鏡面品は特に荒れて、くもりとなってしまい、そのままでは、装飾品としては使用できない。
そこで、後工程として、機械的研磨により、鏡面に磨く方法がとられていた。しかし、この方法は、研磨により固い硬化層を削り取りすぎて硬度が落ちたり、後研磨できない形状(バフが当たらないような形状)のものは処理不可であるといった欠点がある。
また、上記のような浸炭処理を施した基材においては、その色調が高級感に欠けるため、優れた外観が要求される(特に、淡い金色の)装飾品に適用するのが困難であった。
乾式めっきにより、Au−Ni層を形成することにより、淡い金色を呈する装飾品を得ることができるが、このような装飾品においては、Au−Ni層の経時的な色調の変化が起こり易く、長期間にわたって優れた美的外観を維持することができなかった。また、Niは、近年、人体等に対する悪影響(特に、アレルギー)が指摘されており、装飾品への使用を控えることが求められている。
特開平11−229114号公報
本発明の目的は、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、前記装飾品を提供することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の装飾品の製造方法は、基材上に、主としてTiNで構成された第1の被膜を形成する第1の被膜形成工程と、
前記第1の被膜上に、99wt%以上の含有率でAuを含む第2の被膜を形成する第2の被膜形成工程と、
前記第2の被膜上に、Auを主成分とし、6.0〜10.0wt%のPd、および、12.0〜16.0wt%のAgを含むAu−Pd−Ag系合金をターゲットとして用いた乾式めっき法により、第3の被膜を形成する第3の被膜形成工程とを有することを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を製造する製造方法を提供することができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第3の被膜をスパッタリングにより形成することが好ましい。
これにより、特に優れた美的外観の装飾品を、安定して製造することができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第1の被膜形成工程に先立ち、前記基材上に、少なくとも1層の下地層を形成する下地層形成工程を有することが好ましい。
これにより、例えば、基材と第1の被膜との密着性を向上させることができ、装飾品の信頼性、耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記下地層として、主としてTiで構成された層を形成することが好ましい。
これにより、例えば、基材と第1の被膜との密着性をさらに向上させることができ、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品は、基材と、
主としてTiNで構成された第1の被膜と、
前記第1の被膜の前記基材に対向する面とは反対側の表面に設けられ、99wt%以上の含有率でAuを含む材料で構成された第2の被膜と、
前記第2の被膜の前記第1の被膜に対向する面とは反対側の表面に設けられ、Auを主成分とし、6.0〜10.0wt%のPd、および、12.0〜16.0wt%のAgを含むAu−Pd−Ag系合金で構成された第3の被膜とを有することを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品では、前記基材は、少なくともその表面付近が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成されたものであることが好ましい。
これにより、装飾品の硬度を特に優れたものとすることができ、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、基材と、第1の被膜との密着性が特に優れたものとなる。
本発明の装飾品では、前記第1の被膜中におけるNの含有率が、2〜29wt%であることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観を特に優れたものとしつつ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
本発明の装飾品では、前記第1の被膜の平均厚さは、0.1〜5.0μmであることが好ましい。
これにより、第1の被膜の内部応力が大きくなるのを十分に防止しつつ、装飾品を、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
本発明の装飾品では、前記第2の被膜の平均厚さは、0.01〜0.3μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記第3の被膜の平均厚さは、0.02〜2.0μmであることが好ましい。
これにより、装飾品としての硬度を十分に高いものとしつつ、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
本発明の装飾品では、前記第3の被膜が設けられている側の面の色調は、JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、aが0.5〜2.8であり、かつ、bが12.0〜16.8であることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観は、特に優れたものとなる。
本発明の装飾品では、前記第3の被膜が設けられている側の面の色調は、JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、Lが83.6〜88.0であることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観は、特に優れたものとなる。
本発明の装飾品は、時計用外装部品であることが好ましい。
時計用外装部品は、一般に、外部からの衝撃を受け易い装飾品であり、装飾品としての外観の美しさが要求されるとともに、実用品としての耐久性も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる時計を提供することができる。
本発明によれば、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、前記装飾品を提供することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の装飾品の第1実施形態、およびその製造方法の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の装飾品の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の装飾品1は、基材2と、第1の被膜3と、第2の被膜4と、第3の被膜5とを有している。
[基材]
基材2は、いかなる材料で構成されるものであってもよく、金属材料で構成されるものであっても、非金属材料で構成されるものであってもよい。
基材2が金属材料で構成される場合、特に優れた強度特性を有する装飾品1を提供することができる。
また、基材2が金属材料で構成される場合、基材2の表面粗さが比較的大きい場合であっても、後述する第1の被膜3、第2の被膜4、第3の被膜5を形成する際のレベリング効果により、得られる装飾品1の表面粗さを小さくすることができる。例えば、基材2の表面に対する切削加工、研磨加工等による機械加工を省略しても、鏡面仕上げを行うことが可能となったり、基材2がMIM法により成形されたもので、その表面が梨地面である場合でも、容易に鏡面にすることができる。これにより、光沢に優れた装飾品を得ることができる。
基材2が非金属材料で構成される場合、比較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品1を提供することができる。
また、基材2が非金属材料で構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。このため、直接成形するのが困難な形状の装飾品1であっても、比較的容易に提供することができる。
また、基材2が非金属材料で構成される場合、電磁ノイズを遮蔽する効果も得られる。
基材2を構成する金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag等の各種金属や、これらのうち少なくとも1種を含む合金(例えば、各種ステンレス鋼、真鍮等)等が挙げられる。
基材2の少なくとも表面付近が、主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成されたものであると、装飾品1は、特に優れた硬度を有するものとなり、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとなる。その結果、装飾品1は、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、基材2の少なくとも表面付近が、主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成されたものであると(特に、主としてTiで構成されたものであると)、基材2と、後述する第1の被膜3との密着性が特に優れたものとなる。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の70wt%以上であることが好ましく、90wt%以上であることがより好ましく、95wt%以上であることがさらに好ましい。
主としてTiで構成される材料としては、例えば、Ti(単体としてのTi)、Ti合金等が挙げられる。また、ステンレス鋼としては、Fe−Cr系合金、Fe−Cr−Ni系合金等が挙げられる。Fe−Cr−Ni系合金としては、例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L等が挙げられ、Fe−Cr系合金としては、例えば、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F等が挙げられる。
また、基材2を構成する非金属材料としては、例えば、プラスチックやセラミックス、石材、木材、ガラス等が挙げられる。
プラスチックとしては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
基材2がプラスチックで構成される場合、比較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品1を得ることができる。
また、基材2がプラスチックで構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。このため、複雑な形状を有する装飾品1であっても、比較的容易に製造することができる。
また、基材2がプラスチックで構成される場合、電磁ノイズを遮蔽する効果が得られる。
セラミックスとしては、例えば、Al、SiO、TiO、Ti、ZrO、Y、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の酸化物系セラミックス、AlN、Si、SiN、TiN、BN、ZrN、HfN、VN、TaN、NbN、CrN、CrN等の窒化物系セラミックス、グラファイト、SiC、ZrC、Al、CaC、WC、TiC、HfC、VC、TaC、NbC等の炭化物系のセラミックス、ZrB、MoB等のホウ化物系のセラミックス、あるいは、これらのうちの2以上を任意に組み合わせた複合セラミックスが挙げられる。
基材2が前記のようなセラミックスで構成される場合、高強度、高硬度の装飾品1を得ることができる。
また、基材2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、基材2は、基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。基材2がこのような構成のものであると、基部の構成材料の選択により、例えば、基材2の成形の自由度を増すことができ、より複雑な形状の装飾品1であっても、比較的容易に製造することができる。基材2が基部と、金属材料で構成された表面層とを有するものである場合、表面層の厚さ(平均値)は、特に限定されないが、0.1〜50μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましい。表面層の厚さが前記範囲内の値であると、基材2の強度を十分に優れたものとすることができるとともに、表面層の基部からの不本意な剥離等をより確実に防止することができる。
また、基材2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、装飾品1の形状、大きさに基づいて決定される。
[第1の被膜]
基材2の表面には、第1の被膜3が設けられている。第1の被膜3は、主としてTiNで構成されたものである。
このような第1の被膜3を有することにより、装飾品1全体としての硬度(第1の被膜3、第2の被膜4、第3の被膜5が設けられている面側における硬度。以下同様。)を優れたものとすることができ、傷や打痕等の凹み等を付き難くすることができる。また、このような第1の被膜3を有することにより、後述する第2の被膜4、第3の被膜5の膜厚が比較的小さい場合であっても、装飾品1全体としての美的外観を優れたものとすることができる。すなわち、後述する第2の被膜4、第3の被膜5の膜厚が比較的小さい場合には第1の被膜3の色調が装飾品1の美的外観に与える影響が大きくなるが、上記のようなTiN(第1の被膜3)の色調(色度)と、第2の被膜4、第3の被膜5の色調(色度)とは、比較的類似している(差が小さいため)ため、このような場合であっても、装飾品1全体としての美的外観を優れたものとすることができる。また、例えば、装飾品1の長期の使用により、万が一、第2の被膜4、第3の被膜5が磨耗、剥離した場合であっても、装飾品1の美的外観に与える悪影響を最小限に止めることができる。これに対し、装飾品がTiNで構成された第1の被膜を有していない場合、装飾品全体としての硬度を十分に大きいものとすることができない。その結果、装飾品は、傷や打痕等の凹み等を生じ易いものとなる。また、装飾品がTiNで構成された第1の被膜を有していない場合、基材等の色調が装飾品としての外観に及ぼす影響が大きくなる。このため、第2の被膜、第3の被膜の厚さ等によっては、装飾品としての美的外観を著しく損なう場合がある。
第1の被膜3中におけるNの含有率(X1N)は、特に限定されないが、2.0〜29.0wt%であるのが好ましく、5.0〜27.0wt%であるのがより好ましく、7.0〜24.0wt%であるのがさらに好ましく、8.0〜16.0wt%であるのが最も好ましい。第1の被膜3中におけるNの含有率が前記範囲内の値であると、装飾品1の硬度を十分に高いものとしつつ、第1の被膜3の色調(色度)を最適なものとすることができる。その結果、前述したような本発明の効果が、より顕著に発揮される。これに対し、第1の被膜3中におけるNの含有率が前記下限値未満であると、第1の被膜3の厚さや、第3の被膜5の組成等によっては、装飾品1の硬度を十分に高いものとするのが困難になる可能性がある。また、第1の被膜3中におけるNの含有率が前記上限値を超えると、第1の被膜3の色調が濃くなり過ぎ(金色っぽくなり過ぎ)、第2の被膜4、第3の被膜5の厚さ等によっては、装飾品1の美的外観に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、第1の被膜3中には、Ti、N以外の構成成分(構成元素)が含まれていてもよい。例えば、第1の被膜3中には、所定量のC(炭素)が含まれていてもよい。これにより、第1の被膜3の色調と、後述する第2の被膜4、第3の被膜5の色調との差をより小さなものとすることができるとともに、第1の被膜3の硬度等をさらに優れたものとすることができる。その結果、上述したような本発明の効果をさらに顕著なものとして発揮させることができる。
第1の被膜3が、Cを含む材料(TiCN)で構成されたものである場合、第1の被膜3中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和(X)は、特に限定されないが、5〜30wt%であるのが好ましく、10.0〜28.0wt%であるのがより好ましく、15〜25.0wt%であるのがさらに好ましい。
また、第1の被膜3中におけるCの含有率(X1C)は、0.5〜12.0wt%であるのが好ましく、1.0〜10.0wt%であるのがより好ましく、5.0〜9.0wt%であるのがさらに好ましい。第1の被膜3中におけるCの含有率が前記範囲内の値であると、装飾品1の硬度を十分に高いものとしつつ、第1の被膜3の色調(色度)を最適なものとすることができる。その結果、前述したような本発明の効果が、より顕著に発揮される。これに対し、第1の被膜3中におけるCの含有率が前記上限値を超えると、第1の被膜3の色調が濃くなり過ぎ(黒っぽくなり過ぎ)、第2の被膜4、第3の被膜5の厚さ等によっては、装飾品1の美的外観に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、第1の被膜3中におけるCの含有率X1C[wt%]は、第1の被膜3中におけるNの含有率X1N[wt%]より低いのが好ましい。これにより、第1の被膜3の色調が黒っぽくなり過ぎるのを効果的に防止することができ、結果として、(特に、第2の被膜4、第3の被膜5の厚さが比較的小さい場合であっても、)装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、第1の被膜3が、所定量のCを含むものである場合(上記のようなTiCNで構成されたものである場合)、装飾品1は、通常の使用条件(例えば、温度:−50〜120℃、湿度:0〜100%RH)においては十分な安定性を有しつつ、特定の薬品を用いることにより、基材2に対して実質的な損傷を与えることなく、第1の被膜3の除去を容易かつ確実に行うことができる。したがって、装飾品1の第1の被膜3に汚損が生じた場合等には、当該第1の被膜3を除去し、再度、第1の被膜3を好適に形成することができる。このように、特定の薬品を用いることによる被膜(第1の被膜)の剥離および被膜の再形成を、容易かつ確実に行うことができるため、極めて長期間にわたって、その特性を発揮しつづけることができる。第1の被膜3の剥離に使用することができる剥離剤としては、例えば、硝酸(HNO)と硫酸(HSO)とを含む溶液等が挙げられる。剥離剤がこのような溶液である場合、当該溶液中における硝酸(HNO)の濃度は10〜30vol%程度であるのが好ましく、硫酸(HSO)の濃度は10〜30vol%程度であるのが好ましい。これにより、基材2等に対する実質的な損傷を与えることなく、比較的短時間で、第1の被膜3を容易かつ確実に除去することができる。
また、第1の被膜3の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜5.0μmであるのが好ましく、0.2〜3.0μmであるのがより好ましく、0.3〜0.8μmであるのがさらに好ましい。第1の被膜3の平均厚さが前記範囲内の値であると、第1の被膜3の硬度を十分に高いものとしつつ、第1の被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品1の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の被膜3の平均厚さが前記下限値未満であると、第1の被膜3の組成(例えば、Nの含有率等)等によっては、上述したような第1の被膜3の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、第1の被膜3の平均厚さが前記上限値を超えると、第1の被膜3の組成(例えば、Nの含有率等)等によっては、第1の被膜3の内部応力が大きくなる傾向を示す。
また、第1の被膜3は、組成の異なる複数の領域を有していてもよい。例えば、第1の被膜3は、Nの含有率が所定値Xである第1の領域と、Nの含有率が前記Xより大きい所定値X’である第2の領域とを有するものであってもよい。このような場合、例えば、第1の領域が第2の領域よりも基材2側に設けられることにより、第1の被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止しつつ、第1の被膜3の硬度をより高いものとすることができ、基材2と第1の被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。したがって、装飾品1は、より長期間にわたり、安定して、優れた美的外観を保持することができる。また、第2の領域が第1の領域よりも基材2側に設けられている場合には、以下のような効果が得られる。Cの含有率とNの含有率との和が比較的大きい第2の領域を有することにより、第1の被膜3全体としての硬度(装飾品1全体としての硬度)を特に優れたものとしつつ、比較的濃い色調を有する第2の領域が、装飾品1の美的外観に与える影響を低減させることができる。すなわち、第2の領域よりも第2の被膜4側(装飾品の外表面側)に第1の領域を有することにより、装飾品1の外観は、第2の領域の色調による影響よりも、第1の領域の色調による影響を受け易くなるため、第1の被膜3全体としての硬度(装飾品1全体としての硬度)を特に優れたものとしつつ、装飾品1全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。したがって、装飾品1は、より長期間にわたり、安定して、優れた美的外観を保持することができる。
また、第1の被膜3が組成の異なる複数の領域を有するものである場合(例えば、上記のような第1の領域と第2の領域とを有するものである場合)、第1の被膜3は、例えば、異なる組成を有する複数の層を備えた積層体で構成されたものであってもよいし、組成がその厚さ方向に沿って傾斜的に変化するものであってもよい。
また、第1の被膜3は、図示の構成では基材2の全面に形成されているが、基材2上の少なくとも一部に形成されていればよい。
[第2の被膜]
第1の被膜3の表面(基材2に対向する面とは反対側の面)には、第2の被膜4が設けられている。
第2の被膜4は、99wt%以上の含有率でAuを含む材料で構成されたものである。このような第2の被膜4を有することにより、第1の被膜3と後述する第3の被膜5との密着性(第2の被膜4を介しての密着性)を優れたものとすることができ、その結果、装飾品1の耐久性を優れたものとすることができる。また、第1の被膜3と第3の被膜5との間に第2の被膜4を有することにより、装飾品1の美的外観を優れたものとすることができる。すなわち、第2の被膜4は、装飾品1において、第3の被膜5で覆われているものであるため、直接、装飾品1の使用者等に視認されることはないが、装飾品1の光沢感等に影響を与えるものである。
上記のように、第2の被膜4は、99wt%以上の含有率でAuを含む材料で構成されたものであるが、第2の被膜4中におけるAuの含有率は、99.7wt%以上であるのが好ましく、99.9wt%以上であるのがより好ましい。これにより、第1の被膜3と第3の被膜5との密着性(第2の被膜4を介しての密着性)を特に優れたものとすることができ、その結果、装飾品1の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
第2の被膜4の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜0.3μmであるのが好ましく、0.02〜0.20μmであるのがより好ましく、0.03〜0.10μmであるのがさらに好ましい。第2の被膜4の平均厚さが前記下限値未満であると、第2の被膜4にピンホールが発生し易くなり、本発明の効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、第2の被膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、第3の被膜5の平均厚さ等によっては、第2の被膜4が装飾品1の外観に悪影響を与え、装飾品1全体としての美的外観を十分に優れたものとすることが困難になる可能性がある。また、第2の被膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、第2の被膜4の内部応力が高くなり、第1の被膜3と第3の被膜5との密着性(第2の被膜4を介しての密着性)が低下したり、クラックが発生し易くなる。また、第2の被膜4の平均厚さが前記上限値を超えると、装飾品1としての硬度が低下する傾向を示す。
なお、第2の被膜4の各部位における組成は、一定であっても、一定でなくてもよい。例えば、第2の被膜4は、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。
また、第2の被膜4は、例えば、組成の異なる複数の層の積層体であってもよい。
また、第2の被膜4は、図示の構成では第1の被膜3の全面に形成されているが、第1の被膜3の表面の少なくとも一部に形成されるものであればよい。
[第3の被膜]
第2の被膜4の表面(第1の被膜3に対向する面とは反対側の面)には、第3の被膜5が設けられている。
第3の被膜5は、Auを主成分とし、6.0〜10.0wt%のPd、および、12.0〜16.0wt%のAgを含むAu−Pd−Ag系合金で構成されたものである。第3の被膜5がこのような組成を有するものであることにより、装飾品1は、淡い金色の、外観に優れたものとなるとともに、十分な耐食性を有するものとなる。また、第3の被膜5が上記のようなAu−Pd−Ag系合金で構成されたものであると、第2の被膜4と第3の被膜5との密着性を特に優れたものとすることができる。その結果、装飾品1を、優れた美的外観を有するとともに耐久性に優れたもの、すなわち、長期間にわたって安定的に優れた外観を呈するものとすることができる。
また、Au、PdおよびAgは、アレルギー反応を極めて起こし難い材料である。したがって、本発明は、皮膚に接触して用いられる装飾品(例えば、時計等)に好適に適用することができる。
一方、Au−Pd−Ag系合金において、各元素の含有量(含有率)が前記範囲外の値であると、十分な耐久性を有する、淡い金色の美的外観に優れた装飾品1を得るのが困難となる。
上述したように、Pdの含有量(含有率)は、6.0〜10.0wt%とされる。Pdの含有量が前記下限値未満であると、十分な硬度が得られず、耐食性にも劣ったものとなる。また、Pdの含有量が前記下限値未満であると、装飾品1の色調は、黄色味の強いものとなり、十分に優れた美的外観が得られない。一方、Pdの含有量が前記上限値を超えると、第3の被膜5の内部応力が増加し、クラックが発生し易くなる。また、Pdの含有量が前記上限値を超えると、装飾品1の色調は、白味の強いものとなり、十分に優れた美的外観が得られない。
また、上述したように、Agの含有量(含有率)は、12.0〜16.0wt%とされる。Agの含有量が前記下限値未満であると、第3の被膜5が脆くなる。また、Agの含有量が前記下限値未満であると、装飾品1の色調は、黄色味の強いものとなり、十分に優れた美的外観が得られない。一方、Agの含有量が前記上限値を超えると、十分な耐食性が得られない。また、Agの含有量が前記上限値を超えると、装飾品1の色調は、白味の強いものとなり、十分に優れた美的外観が得られない。
また、上述したように、第3の被膜5を構成するAu−Pd−Ag系合金は、Auを主成分とするものである。第3の被膜5におけるAuの含有量は、特に限定されないが、76.0〜80.0wt%であるのが好ましく、76.5〜79.5wt%であるのがより好ましく、77.0〜79.0wt%であるのがさらに好ましい。
また、上述したように、Pdの含有量は、6.0〜10.0wt%であるが、6.3〜8.5wt%であるのが好ましく、6.6〜8.1wt%であるのがより好ましい。Pdの含有量が前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、上述したように、Agの含有量は、12.0〜16.0wt%であるが、13.0〜15.8wt%であるのが好ましく、13.5〜15.5wt%であるのがより好ましい。Agの含有量が前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
なお、第3の被膜5を構成するAu−Pd−Ag系合金は、Au、Pd、および、Ag(以下、「必須元素」ともいう。)以外の元素を含むものであってもよい。このような元素(必須元素以外の元素)としては、例えば、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、W、Al、Au、Fe、V、Zr、Sn等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて含有することもできる。第3の被膜5が必須元素以外の元素を含むものである場合、前述した元素の中でも特にSnが好ましい。また、このように、第3の被膜5を構成する合金が必須元素以外の元素を含むものである場合、その含有量(2種以上の元素を含む場合はその総量)は、1.5wt%以下であるのが好ましく、1.0wt%以下であるのがより好ましい。このように、必須元素の含有率が十分に高いものであると、上述したような効果がより確実に発揮される。
また、第3の被膜5は、Niを実質的に含まないものであるのが好ましい。第3の被膜5が実質的にNiを実質的に含まないものであることにより、装飾品1は、アレルギー反応を極めて起こしにくいものとなる。その結果、例えば、装飾品1を、時計用外装部品(例えば、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン等)等の皮膚に接触して用いられるもの(特に、長時間にわたって、皮膚に接触して用いるもの)に好適に適用することができる。第3の被膜5中におけるNiの含有率は、100ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのがより好ましい。これにより、上記のような効果がより確実に発揮される。⇒実質的には含まないと記載されていますが、含有率を規定しているのはどうしてでしょうか?実際には全く含まれないので0ppmでも構いません。
上記のような第3の被膜5の平均厚さは、特に限定されないが、0.02〜2.0μmであるのが好ましく、0.03〜0.8μmであるのがより好ましく、0.05〜0.20μmであるのがさらに好ましい。第3の被膜5の平均厚さが前記下限値未満であると、第3の被膜5にピンホールが発生し易くなり、本発明の効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、第3の被膜5の平均厚さが前記上限値を超えると、第3の被膜5の内部応力が高くなり、第2の被膜4と第3の被膜5との密着性が低下したり、クラックが発生し易くなる。また、第3の被膜5の平均厚さが前記上限値を超えると、装飾品1としての硬度が低下する傾向を示す。
また、上記のような第3の被膜5を有することにより、装飾品1は、表面の滑り性に優れたものとなる。これにより、表面のザラツキ感を軽減、防止することができ、装飾品1が皮膚等に接触したときの違和感、不快感を軽減、防止することができる。
なお、第3の被膜5の各部位における組成は、一定であっても、一定でなくてもよい。例えば、第3の被膜5は、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。
また、第3の被膜5は、例えば、組成の異なる複数の層の積層体であってもよい。
また、第3の被膜5は、図示の構成では第2の被膜4の全面に形成されているが、第2の被膜4の表面の少なくとも一部に形成されるものであればよい。
[装飾品]
以上説明したような装飾品1は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、時計用外装部品がより好ましい。時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐擦傷性、耐摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。なお、本明細書中での「時計用外装部品」とは、外部から視認可能なものであればいかなるものであってもよく、時計の外部に露出しているものに限らず、時計の内部に内蔵されたものも含む。
また、装飾品1は、第3の被膜5が設けられた側の面において、10gfの荷重で測定されるビッカース硬度Hvが500〜1000であるのが好ましく、550〜800であるのがより好ましい。これにより、より長期間にわたって、装飾品としての優れた美的外観を保持することができる。
また、装飾品1の第3の被膜5が設けられている側の面の色調は、例えば、JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、aが0.5〜2.8でありかつbが12.0〜16.8の範囲のものであるのが好ましく、aが0.6〜1.4でありかつbが12.2〜14.2の範囲のものであるのがより好ましく、aが0.7〜1.2でありかつbが12.4〜13.8の範囲のものであるのがさらに好ましい。これにより、装飾品1の美的外観は、特に優れたものとなる。
また、装飾品1の第3の被膜5が設けられている側の面の色調は、例えば、JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、Lが83.6〜88.0であるのが好ましく、Lが83.7〜86.8であるのがより好ましく、Lが84.0〜85.7であるのがさらに好ましい。これにより、装飾品1の美的外観は、特に優れたものとなる。
次に、上述した装飾品1の製造方法について説明する。
図2は、図1に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基材2の表面の少なくとも一部(2a)に、第1の被膜3を形成する第1の被膜形成工程(2b)と、第1の被膜3の表面の少なくとも一部に、第2の被膜4を形成する第2の被膜形成工程(2c)と第2の被膜4の表面の少なくとも一部に、第3の被膜5を形成する第3の被膜形成工程(2d)とを有する。
[基材]
基材2としては、前述したようなものを用いることができる。
基材2の製造方法は、特に限定されない。
基材2が金属材料で構成される場合、その製造方法としては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワックス法等が挙げられるが、この中でも特に、鋳造加工または金属粉末射出成形(MIM)が好ましい。鋳造加工、金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れている。このため、これらの方法を用いた場合、複雑な形状の基材2を比較的容易に得ることができる。
金属粉末射出成形(MIM)は、通常、以下のようにして行われる。
まず、金属粉と有機バインダーとを含む材料を混合、混練して混練物を得る。
次に、この混練物を射出成形することにより成形体を形成する。
その後、この成形体に対して、脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理は、通常、減圧条件下で、加熱することにより行われる。
さらに、得られた脱脂体を焼結することにより、焼結体を得る。この焼結処理は、通常、前記脱脂処理より高温で加熱することにより行われる。
本発明では、以上のようにして得られる焼結体を基材として用いることができる。
また、基材2が前記のようなプラスチックで構成される場合、その製造方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
また、基材2が前記のようなセラミックスで構成される場合、その製造方法は、特に限定されないが、金属粉末射出成形(MIM)であるのが好ましい。金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れているため、複雑な形状の基材2を比較的容易に得ることができる。
また、基材2が前述したような基部と表面層とを有するものである場合、基材2は、以下のようにして製造することができる。すなわち、前述したような方法により製造した基部上に、表面層を形成することにより基材2を得ることができる。表面層の形成方法としては、例えば、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射等が挙げられる。
また、基材2は、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されていてもよい。これにより、得られる装飾品1の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる装飾品1の装飾性をさらに向上させることができる。また、このような表面加工が施された基材2を用いて製造される装飾品1は、第1の被膜3、第2の被膜4、第3の被膜5に対して前記表面加工を直接施すことにより得られるものに比べて、ギラツキ等が抑制されたものとなり、特に美的外観に優れたものとなる。また、前述したように、第1の被膜3は硬質材料であるTiNで構成されているため、第1の被膜3に対して表面加工を直接施す場合には、当該表面加工を施す際に第1の被膜3にカケ等の欠陥を生じ易く、装飾品1の製造の歩留りが著しく低下する場合があるが、基材2に対して表面処理を行うことにより、このような問題の発生も効果的に防止することができる。また、基材2に対する表面処理は、第1の被膜3に対する表面加工に比べて、温和な条件で容易に行うことができる。また、第2の被膜4、第3の被膜5は、通常、その厚さが比較的薄いものであるため、第2の被膜4の形成後、第3の被膜5の形成後に上記のような表面加工を施した場合、対応する部位における第2の被膜の膜厚、第3の被膜の膜厚が極端に薄くなったり、第1の被膜が露出してしまう可能性がある。このような場合、装飾品1の美的外観を著しく損なうことになる。
また、基材2と第1の被膜3との密着性の向上等を目的として、後述する第1の被膜3の形成に先立ち、基材2に対して、前処理を施してもよい。前処理としては、例えば、ブラスト処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、有機溶剤洗浄、ボンバード処理等の清浄化処理、エッチング処理等が挙げられる。この中でも、清浄化処理を施すことにより、基材2と第1の被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。
[第1の被膜形成工程]
基材2の表面に、主としてTiNで構成された第1の被膜3を形成する(2b)。
第1の被膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。第1の被膜3の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた第1の被膜3を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第1の被膜3の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、形成すべき第1の被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1の信頼性を向上させる上でも有利である。また、第1の被膜3の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、第1の被膜3中におけるNの含有率(さらにはCの含有率)をより確実に制御することができる。
また、上記のような乾式めっき法の中でも、イオンプレーティングが特に好ましい。第1の被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、第1の被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた第1の被膜3をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、第1の被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、形成すべき第1の被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを特に小さいものとすることができる。また、第1の被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、第1の被膜3中におけるNの含有率(さらにはCの含有率)をより確実に制御することができる。
なお、上記のような乾式めっき法を適用する場合、例えば、Tiをターゲットとして用い、N(窒素)を含む雰囲気中で処理を行うことにより、第1の被膜3を容易かつ確実に形成することができる。このような雰囲気ガスとしては、例えば、窒素ガス(Nガス)等を用いることができる。そして、雰囲気ガスの圧力等を適宜調整することにより、形成される第1の被膜3の組成(Nの含有率)等を調節することができる。
なお、雰囲気ガス中には、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが含まれていてもよい。これにより、第1の被膜3中におけるNの含有率を、容易かつ確実に比較的低く制御することができる。また、雰囲気ガス中に、C(炭素)を含むガス成分(例えば、アセチレン等の炭化水素ガス等)を含ませることにより、好適に、形成される第1の被膜3中に所定量のC(炭素)を含有させることができる(TiCNで構成された第1の被膜3を形成することができる)。また、雰囲気ガス中には、例えば、O(酸素)を含むガス成分(例えば、酸素ガス(O)等)等が含まれていてもよい。これにより、酸素を含む組成(例えば、TiNO、TiCNO等)の第1の被膜3を容易かつ確実に形成することができる。
[第2の被膜形成工程]
次に、上記のようにして形成された第1の被膜3の表面に、99wt%以上の含有率でAuを含む第2の被膜4を形成する(2c)。
第2の被膜4の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。第2の被膜4の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、第1の被膜3との密着性が特に優れた第2の被膜4を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第2の被膜4の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、形成すべき第2の被膜4が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1の信頼性を向上させる上でも有利である。
また、上記のような乾式めっき法の中でも、真空蒸着(特に、電子ビームまたは抵抗加熱による真空蒸着)またはスパッタリングが特に好ましい。第2の被膜4の形成方法として真空蒸着またはスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、上記のような乾式めっき法を適用する場合、例えば、Auをターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス中で処理を行うことにより、第2の被膜4を容易かつ確実に形成することができる。
[第3の被膜形成工程]
次に、上記のようにして形成された第2の被膜4の表面に、Au−Pd−Ag系合金で構成された第3の被膜5を形成する(2d)。
第3の被膜5の形成は、乾式めっき法(気相成膜法)により行うものである。
乾式めっき法を用いることにより、第2の被膜4との密着性に優れた第3の被膜5を形成することができる。その結果、得られる装飾品1は、特に優れた耐食性、耐久性を有するものとなる。また、乾式めっき法を用いることにより、高密度の第3の被膜5を形成することが可能となる。これにより、第3の被膜5は、光沢度が大きく、特に美的外観に優れたものとなる。
また、乾式めっき法を用いることにより、形成される第3の被膜5の組成を、容易かつ確実に、成膜に用いる材料(ターゲット)の組成と同一のものとすることができる。これは、上述したようなAu−Pd−Ag系合金が極めて安定性の高い合金であるため、成膜に用いる材料(ターゲット)を構成する成分(元素)のうち特定の成分が他の成分に優先して気相粒子となってしまうのを防止されるためであると考えられる。なお、形成すべき第3の被膜の組成が、上述したような条件を満足しないものであると、成膜に用いる材料(ターゲット)の組成と、形成される第3の被膜の組成とを同一にするのが困難となり、成膜に用いる材料の組成の設定、成膜条件の設定が煩雑となり、また、形成される膜は信頼性(組成の均一性等)の低いものとなる。また、形成すべき第3の被膜の組成が、上述したような条件を満足せず、安定した合金を形成することが困難なものであっても、例えば、組成の異なる複数個のターゲットを用いて乾式めっきにより第3の被膜を形成することも考えられるが、このような場合においても、第3の被膜の、各部位での不本意な組成のばらつきや、個体間での不本意な組成のばらつきの発生を確実に防止するのは困難であり、製造される装飾品の信頼性は低いものとなる。
また、乾式めっき法を用いることにより、第3の被膜5の厚さが比較的薄い場合であっても、均一な膜厚で形成することができる。
また、乾式めっき法を用いることにより、第3の被膜5が必須元素以外の元素を含む複雑な組成のものであっても、第3の被膜5を容易かつ確実に形成することができる。
乾式めっき法としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、イオンプレーティング、イオン注入等が挙げられるが、この中でも特に、スパッタリングが好ましい。乾式めっき法としてスパッタリングを用いることにより、特に優れた美的外観の装飾品1を得ることができる。また、乾式めっき法としてスパッタリングを用いることにより、ターゲットとして用いるAu−Pd−Ag系合金を構成する成分(元素)のうち特定の成分が他の成分に優先して気相粒子となってしまうことが、より確実に防止され、長期間にわたって安定した組成の第3の被膜5を形成することができる。その結果、第3の被膜5を、各部位での不本意な組成のばらつきや、個体間での不本意な組成のばらつきの発生が防止されたものとし、装飾品1の信頼性を特に高いものとすることができる。
また、上述した第1の被膜形成工程、第2の被膜形成工程を乾式めっき法により行う場合、例えば、ターゲットの種類、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成等を変更することにより、同一装置内で、第1の被膜形成工程と第2の被膜形成工程と第3の被膜形成工程とを、(基材2を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基材2、第1の被膜3、第2の被膜4、第3の被膜5の密着性が特に優れたものとなるとともに、装飾品1の生産性も向上する。
次に、本発明の装飾品の第2実施形態、およびその製造方法の好適な実施形態について説明する。
図3は、本発明の装飾品の第2実施形態を示す断面図、図4は、図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態の装飾品およびその製造方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の装飾品1は、基材2と、基材2の表面に設けられた下地層6と、下地層6の表面に設けられた第1の被膜3と、第1の被膜3の表面に設けられた第2の被膜4と、第2の被膜4の表面に設けられた第3の被膜5とを有している。すなわち、装飾品1は、基材2と第1の被膜3との間に下地層6を有している以外は、前述した第1実施形態の装飾品と同様である。したがって、以下、下地層6について説明する。
[下地層]
下地層6は、例えば、基材2と第1の被膜3との密着性を向上させる機能(密着性向上層としての機能)や、基材2の傷をレベリング(ならし)により補修する機能(レベリング層としての機能)、得られる装飾品において、外部からの衝撃を緩和する機能(クッション層としての機能)等、いかなる機能を有するものであってもよい。
下地層6の構成材料としては、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Alやこれらのうち少なくとも1種を含む合金等の金属材料等が挙げられるが、中でも、Tiが好ましい。下地層6が主としてTiで構成されたものであると、例えば、基材2と第1の被膜3との密着性をさらに向上させることができ、装飾品1の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、下地層6が主としてTiで構成されたものであると、基材2の表面の凹凸を緩和するレベリング層としての機能がより顕著に発揮される。また、下地層6が主としてTiで構成されたものであると、得られる装飾品1において、下地層6が外部からの衝撃を緩和するクッション層としてより効果的に機能し、その結果、装飾品1は、打痕等の凹みが特に生じ難いものとなる。
下地層6の平均厚さは、特に限定されないが、0.03〜1.5μmであるのが好ましく、0.1〜0.5μmであるのがより好ましい。下地層6の平均厚さが前記範囲内の値であると、下地層6の内部応力が大きくなり、クラック等が発生するのを十分に防止しつつ、上記のような下地層6の機能をより効果的に発揮することができる。
次に、上述した装飾品1の製造方法について説明する。
図4は、図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基材2の表面の少なくとも一部(4a)に、下地層6を形成する下地層形成工程(4b)と、下地層6の表面の少なくとも一部に第1の被膜3を形成する第1の被膜形成工程(4c)と、第1の被膜3の表面の少なくとも一部に第2の被膜4を形成する第2の被膜形成工程(4d)と、第2の被膜4の表面の少なくとも一部に第3の被膜5を形成する第3の被膜形成工程(4e)とを有する。すなわち、第1の被膜3の形成に先立ち、下地層6を形成する以外は、前述した実施形態と同様である。
[下地層形成工程]
本実施形態では、基材2の表面に下地層6を形成する(4b)。
下地層6の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法が好ましい。下地層6の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた下地層6を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、下地層6の形成方法として乾式めっき法を適用することにより、形成すべき下地層6が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1の信頼性を向上させる上でも有利である。
また、上述した第1の被膜形成工程を乾式めっき法により行う場合、例えば、ターゲットの種類、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成等を変更することにより、同一装置内で、下地層形成工程と第1の被膜形成工程とを、(基材2を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基材2、下地層6、第1の被膜3の密着性が特に優れたものとなるとともに、装飾品1の生産性も向上する。また、特に、下地層6がTiで構成されるものである場合、同一のターゲットを用い、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成を変更することにより、好適に、下地層6と第1の被膜3とを引き続いて(連続的に)形成することができる。
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
図5は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図5に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)10は、胴(ケース)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス板25とを備えている。また、ケース22内には、図示しないムーブメント(例えば、文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴22には巻真パイプ26が嵌入・固定され、この巻真パイプ26内にはりゅうず27の軸部271が回転可能に挿入されている。
胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とはプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)40が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず27の軸部271の途中の外周には溝272が形成され、この溝272内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)30が嵌合されている。ゴムパッキン30は巻真パイプ26の内周面に密着し、該内周面と溝272の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず27と巻真パイプ26との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず27を回転操作したとき、ゴムパッキン30は軸部271と共に回転し、巻真パイプ26の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
本発明の腕時計10は、ベゼル24、胴22、りゅうず27、裏蓋23、時計バンド等の装飾品(特に、時計用外装部品)のうち少なくとも1つが前述したような本発明の装飾品で構成されたものである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の装飾品の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。例えば、第1の被膜形成工程と第2の被膜形成工程との間や、第2の被膜形成工程と第3の被膜形成工程との間、下地層形成工程と第1の被膜形成工程との間に、洗浄等の中間処理を施してもよい。また、基材に対しては、切削、研削、研磨、ホーニング等の前処理を施してもよい。
また、前述した実施形態では、第1の被膜を気相成膜により形成する場合について中心的に説明したが、第1の被膜は、例えば、Tiで構成された被膜に対し、窒化処理を施すことにより形成されたものであってもよい。
また、装飾品の表面の少なくとも一部には、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向上するコート層(保護層)等が形成されていてもよい。このようなコート層は、装飾品の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の被膜と第2の被膜、第2の被膜と第3の被膜は、互いに隣接して設けられるものとして説明したが、第1の被膜と第2の被膜との間、第2の被膜と第3の被膜との間には、少なくとも1層の中間層が設けられていてもよい。これにより、例えば、第1の被膜と第2の被膜との密着性、第2の被膜と第3の被膜との密着性の更なる向上等を図ることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、気相成膜装置を用いて、以下のようにして、主としてTiNで構成される第1の被膜を形成した。
まず、気相成膜装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して、5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
次に、処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガスを40ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を1.8×10−3Paとした。このような状態(窒素ガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:50V、イオン化電流:40Aに設定し、この状態で19分間イオンプレーティングを行った(第1の被膜形成工程)。その結果、TiNで構成され、平均厚さが0.5μmの第1の被膜が形成された。また、形成された第1の被膜中におけるNの含有率は15.0wt%であった。
その後、上記の気相成膜装置を用いた真空蒸着により、第1の被膜の表面に、Auで構成される第2の被膜を形成した(第2の被膜形成工程)。第2の被膜の形成は、以下のようにして行った。
まず、気相成膜装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を2.7×10−3Paまで排気(減圧)した。その後、さらに、チャンバー内を8.0×10−4Paまで排気し、このような状態で、タングステンボードを用いた抵抗加熱により、鋳造により形成されたターゲットを溶解、蒸着させ、Auで構成される第2の被膜を形成した。形成された第2の被膜の平均厚さは、0.05μmであった。また、第2の被膜中におけるAuの含有率は、99.99wt%以上であった。
その後、上記の気相成膜装置を用いたスパッタリングにより、第2の被膜の表面に、Au−Pd−Ag系合金で構成される第3の被膜を形成した(第3の被膜形成工程)。第3の被膜の形成は、以下のようにして行った。
まず、気相成膜装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を1.0×10−1Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:40ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAu−Pd−Ag系合金を用い、電圧:650V、電流:2.0A、処理時間:5.0分間という条件で放電を行うことにより、Au−Pd−Ag系合金で構成される第3の被膜を形成した。このようにして形成された第3の被膜の平均厚さは、0.08μmであった。また、ターゲットとして用いたAu−Pd−Ag系合金、および、第3の被膜を構成するAu−Pd−Ag系合金は、いずれも、78.0wt%Au−7.0wt%Pd−15.0wt%Agという組成を有するものであった。
なお、第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜の厚さは、JIS H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定した。
(実施例2〜8)
第1の被膜形成工程における窒素ガスの流量および処理時間、第2の被膜形成工程の処理時間、第3の被膜形成工程で用いるターゲットの合金組成および処理時間を調整することにより、第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜の構成を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例9)
第1の被膜形成工程において、雰囲気ガスとして窒素ガスおよびアセチレンガスを用いることにより、第1の被膜をTiCNで構成されるものとして形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
第1の被膜形成工程(イオンプレーティング)は、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、20ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.0×10−3Paとし、イオン化電圧:50V、イオン化電流:40Aに設定することによりを行った。
(実施例10、11)
第1の被膜形成工程における窒素ガスおよびアセチレンガスの流量を変更し、さらに、第1の被膜形成工程の処理時間を変更することにより第1の被膜の平均厚さ、第1の被膜中におけるNの含有率、Cの含有率を表1に示すようにした以外は、前記実施例9と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例12)
基材として、Tiで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材としては、以下に述べるような金属粉末射出成形(MIM)により作製したものを用いた。
まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径52μmのTi粉末を用意した。
このTi粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケースの形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、前記成形体に対して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体を得た。この脱バインダー処理は、1.0×10−1Paのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなった時点を脱バインダー終了時点とした。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨した後、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
(実施例13〜17)
第1の被膜形成工程における窒素ガスの流量および処理時間、第2の被膜形成工程の処理時間、第3の被膜形成工程で用いるターゲットの合金組成および処理時間を調整することにより、第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜の構成を表1に示すようにした以外は、前記実施例12と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例18)
第1の被膜形成工程において、雰囲気ガスとして窒素ガスおよびアセチレンガスを用いることにより、第1の被膜をTiCNで構成されるものとして形成した以外は、前記実施例12と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
第1の被膜形成工程(イオンプレーティング)は、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、20ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.0×10−3Paとし、イオン化電圧:50V、イオン化電流:40Aに設定することによりを行った。
(実施例19、20)
第1の被膜形成工程における窒素ガスおよびアセチレンガスの流量を変更し、さらに、第1の被膜形成工程の処理時間を変更することにより第1の被膜の平均厚さ、第1の被膜中におけるNの含有率、Cの含有率を表1に示すようにした以外は、前記実施例18と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例21)
第1の被膜の形成に先立ち、基材の表面に下地層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
下地層の形成は、以下のようにして行った。
まず、前記実施例1と同様にして洗浄を行った基材を、気相成膜装置の処理室内に設置した。
次に、気相成膜装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して、5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
その後、処理室内にアルゴンガスを、ガス圧力を53Paで導入し、400Vの直流電圧を印加して30〜60分保持した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:30V、イオン化電流:20A、処理時間:20分間に設定することにより、Tiで構成される下地層を形成した(下地層形成工程)。形成された下地層の平均厚さは、0.5μmであった。
なお、第1の被膜、第2の被膜、下地層の厚さは、JIS H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定した。
(実施例22〜26)
下地層形成工程で用いるターゲットの組成および処理時間、第1の被膜形成工程における窒素ガスの流量および処理時間、第2の被膜形成工程の処理時間、第3の被膜形成工程で用いるターゲットの合金組成および処理時間を調整・選択することにより、下地層、第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜の構成を表2に示すようにした以外は、前記実施例21と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例27)
第1の被膜形成工程において、雰囲気ガスとして窒素ガスおよびアセチレンガスを用いることにより、第1の被膜をTiCNで構成されるものとして形成した以外は、前記実施例21と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
第1の被膜形成工程(イオンプレーティング)は、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、20ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.0×10−3Paとし、イオン化電圧:50V、イオン化電流:40Aに設定することによりを行った。
(実施例28、29)
下地層形成工程の処理時間を変更するとともに、第1の被膜形成工程における窒素ガスおよびアセチレンガスの流量を変更し、さらに、第1の被膜形成工程の処理時間を変更することにより下地層の平均厚さ、第1の被膜の平均厚さ、第1の被膜中におけるNの含有率、Cの含有率を表2に示すようにした以外は、前記実施例27と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例30)
基材として、Tiで構成されたものを用いた以外は、前記実施例21と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材としては、以下に述べるような金属粉末射出成形(MIM)により作製したものを用いた。
まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径52μmのTi粉末を用意した。
このTi粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケースの形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、前記成形体に対して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体を得た。この脱バインダー処理は、1.0×10−1Paのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなった時点を脱バインダー終了時点とした。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨した後、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
(実施例31〜35)
下地層形成工程で用いるターゲットの組成および処理時間、第1の被膜形成工程における窒素ガスの流量および処理時間、第2の被膜形成工程の処理時間、第3の被膜形成工程で用いるターゲットの合金組成および処理時間を調整・選択することにより、下地層、第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜の構成を表2に示すようにした以外は、前記実施例30と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例36)
第1の被膜形成工程において、雰囲気ガスとして窒素ガスおよびアセチレンガスを用いることにより、第1の被膜をTiCNで構成されるものとして形成した以外は、前記実施例30と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
第1の被膜形成工程(イオンプレーティング)は、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、20ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.0×10−3Paとし、イオン化電圧:50V、イオン化電流:40Aに設定することによりを行った。
(実施例37、38)
下地層形成工程の処理時間を変更するとともに、第1の被膜形成工程における窒素ガスおよびアセチレンガスの流量を変更し、さらに、第1の被膜形成工程の処理時間を変更することにより下地層の平均厚さ、第1の被膜の平均厚さ、第1の被膜中におけるNの含有率、Cの含有率を表2に示すようにした以外は、前記実施例36と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例39)
基材として、Cu−Zn合金(合金組成:Cu60wt%−Zn40wt%)で構成され、鋳造により成形されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例1)
第1の被膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。すなわち、本比較例では、第2の被膜を、基材の表面に直接形成した。
(比較例2)
第2の被膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。すなわち、本比較例では、第3の被膜を、第1の被膜の表面に直接形成した。
(比較例3)
第3の被膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。すなわち、本比較例で製造された装飾品は、基材、第1の被膜、および、第2の被膜からなるものであり、第3の被膜を有していないものであった。
(比較例4)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、前記実施例12と同様にしてTi製の基材を作製した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、浸炭処理を施すことにより、TiCで構成された浸炭層(TiC層)を形成した。
浸炭処理は、以下に説明するようなプラズマ浸炭処理により行った。
すなわち、加熱炉内にグラファイトファイバー等の断熱材で囲まれた処理室を有し、この処理室内をロッドグラファイトからなる発熱体で加熱すると共に、処理室内の上部に直流グロー放電の正極を接続し、かつ処理品の載置台に陰極を接続し、また処理室内の要所にガスマニホールドを設置して炭化水素、窒素、アルゴン、水素などのプロセスガス(浸炭用ガスおよび希釈用ガス)を適宜導入するようにした浸炭処理装置を用意した。
そして、まず、浸炭処理装置の処理室内に基材を設置し、処理室内を1.3Paまで減圧した。このように、処理室内が減圧された状態で、ヒータにより、基材を約300℃に加熱した。
その後、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
その後、処理室内にプロパンガスを導入することにより、処理室内のガス組成をほぼ100%プロパンガスとし、ガス圧力を53Paとし、400Vの直流電圧を印加して90〜180分保持することにより、プラズマ浸炭処理を行った。その後、アルゴンガスおよび窒素ガスを処理室内に圧入して基材を常温にまで冷却した。このような浸炭処理により、約15μmの厚さの浸炭層が形成された。
その後、浸炭層の表面に、前記実施例1と同様にして第2の被膜を形成し、さらにその後、第2の比較の表面に、前記実施例1と同様にして第3の被膜を形成することにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
(比較例5〜10)
表3に示すように、第3の被膜形成工程において用いるターゲットを変更し、第3の被膜の組成を変更した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例11)
第3の被膜形成工程において、Au−Pd−Ag系合金の代わりに、Au−Niをターゲットとして用いた以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
(比較例12)
第2の被膜形成工程を省略した以外は、前記比較例11と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
(比較例13)
第1の被膜形成工程を省略した以外は、前記比較例12と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
なお、前記各実施例および前記各比較例で形成した第3の被膜は、その形成に用いたターゲット(蒸発源)と同一の組成を有するものであった。
各実施例および各比較例の装飾品の構成を表1、表2、表3にまとめて示す。なお、表1〜表3中においては、ステンレス鋼をSUSで示し、Cu−Zn合金をBSで示した。また、表3中、比較例4については、浸炭処理により形成された浸炭層に関する値を、第1の被膜の欄に示した。また、各実施例および各比較例について、基材、下地層は、実質的に、表中に示す成分のみで構成されたものであった(表中の成分の含有率が、いずれも99.9wt%以上)。また、各実施例の装飾品の第2の被膜中におけるAuの含有率は、いずれも、99.98wt%以上であった。また、各実施例および比較例1〜10の装飾品の第3の被膜中におけるNiの含有率は、いずれも、10ppm以下であった。
Figure 2009222603
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2.目視による外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:外観優良。
B:外観良。
C:外観やや不良。
D:外観不良。
E:外観極めて不良。
3.色度計による外観評価
(3−1)aおよびbについての評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、被膜が形成された面側の色度を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、a
0.7〜1.2でありかつbが12.4〜13.8の範囲内である。
B:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、a
0.6〜1.4でありかつbが12.2〜14.2の範囲内である(ただし、
Aの範囲を除く)。
C:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、a
0.5〜2.8でありかつbが12.0〜16.8の範囲内である(ただし、
AおよびBの範囲を除く)。
D:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、a
0.4〜3.0でありかつbが11.0〜18.0の範囲内である(ただし、
A、BおよびCの範囲を除く)。
E:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、a
0.4〜3.0でありかつbが11.0〜18.0の範囲外である。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
(3−2)Lについての評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、被膜が形成された面側の色度を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、L
84.0〜85.7の範囲内である。
B:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、L
83.7〜86.8の範囲内である(ただし、Aの範囲を除く)。
C:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、L
83.6〜88.0の範囲内である(ただし、AおよびBの範囲を除く)。
D:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、L
83.2〜89.0の範囲内である(ただし、A、BおよびCの範囲を除く)。
E:JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、L
83.2〜89.0の範囲外である。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
4.長期安定性評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品を、常温(25℃)、常圧、湿度75%RHの環境下に、80日間放置した後の、装飾品の被膜が形成された面側の色調を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、当該環境下に置く前後での色差を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差ΔEが3未満である。
B:色差ΔEが3以上4未満である。
C:色差ΔEが4以上5未満である。
D:色差ΔEが5以上である。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
5.耐酸化性評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品を、200℃、常圧の大気雰囲気下で8時間放置し、その後の装飾品の被膜が形成された面側の色調を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、当該環境下に置く前後での色差を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差ΔEが3未満である。
B:色差ΔEが3以上4未満である。
C:色差ΔEが4以上5未満である。
D:色差ΔEが5以上である。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
6.耐薬品性評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、以下に示すような曝気試験を行うことにより、耐薬品性を評価した。
デシケーター内に人工汗を入れ、45℃で12時間放置した。その後、デシケーター内に、各装飾品を入れ、さらに45℃で放置した。このとき、各装飾品は、人工汗中に浸漬しないように配置した。30時間後、各装飾品をデシケーター内から取り出し、装飾品の被膜が形成された面側の色調を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、前記曝気試験を行う前後での色差を求め、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:色差ΔEが3未満である。
B:色差ΔEが3以上4未満である。
C:色差ΔEが4以上5未満である。
D:色差ΔEが5以上である。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
7.被膜の密着性評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、以下に示すような試験を行い、被膜(第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜、下地層)の密着性を評価した。
各装飾品を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、装飾品を、20℃の環境下に1.5時間、次いで、65℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−15℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
8.耐擦傷性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、耐擦傷性を評価した。
スガ磨耗試験機(スガ試験機株式会社製、NUS-ISO-1)を用いて、荷重:200gfという条件で、各装飾品の被膜が形成された側の面(基材の表面が露出しているのとは反対側の面)を、合計300DS(ダブルストローク)磨耗した後の各装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。なお、上記試験は、住友スリーエム(株)製、ラッピングフィルム(酸化アルミニウム、粒度:30μm)を用いて行った。
A:被膜の表面に、傷の発生が全く認められない。
B:被膜の表面に、傷の発生がほとんど認められない。
C:被膜の表面に、傷の発生がわずかに認められる。
D:被膜の表面に、傷の発生が顕著に認められる。または、被膜の剥離が認められる。
9.耐打痕性(打痕の付き難さ)評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行うことにより、耐打痕性を評価した。
各装飾品の被膜が形成されている側の面に向けて、ステンレス鋼製の球(径1cm)を高さ60cmの位置から落下させて、装飾品表面の凹み大きさ(凹み痕の直径)の測定を行い、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:凹み痕の直径が1mm未満、または、凹み痕が求められない。
B:凹み痕の直径が1mm以上2mm未満。
C:凹み痕の直径が2mm以上3mm未満。
D:凹み痕の直径が3mm以上。
これらの結果を、被膜のビッカース硬度Hvとともに表4、表5、表6に示す。なお、ビッカース硬度Hvとしては、各装飾品の表面(被膜が設けられている側の面)について、測定荷重10gfにて測定した値を示す。
Figure 2009222603
Figure 2009222603
Figure 2009222603
表4〜表6から明らかなように、本発明の装飾品は、優れた美的外観、特に、淡い金色を示す、優れた美的外観を有していた。また、本発明の装飾品は、長期安定性、耐酸化性、耐薬品性、被膜の密着性にも優れていた。また、本発明の装飾品は、高い硬度を有しており、耐擦傷性、耐打痕性にも優れていた。これらの結果から、本発明の装飾品は、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができるものであることがわかる。
また、本発明の装飾品は、いずれも、ザラツキ感のない、優れた触感を有していた。
これに対し、比較例では満足な結果が得られなかった。
また、前記各実施例のうち、第1の被膜が所定量のCを含むTiN(TiCN)で構成されたものについては、硝酸(HNO):15vol%、硫酸(HSO):15vol%を含む水溶液を用いることにより、被膜(第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜)の除去を好適に行うことができ、また、その後の被膜(第1の被膜、第2の被膜、第3の被膜)の再形成を好適に行うことができ、優れた美的外観の装飾品を再生することができた。
また、前記各実施例および各比較例で製造した装飾品を用いて、図5に示すような腕時計を組み立てた。これらの腕時計について、上記と同様な評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明の装飾品の第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の第2実施形態を示す断面図である。 図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
1…装飾品 2…基材 3…第1の被膜 4…第2の被膜 5…第3の被膜 6…下地層 10…腕時計(携帯時計) 22…胴(ケース) 23…裏蓋 24…ベゼル(縁) 25…ガラス板 26…巻真パイプ 27…りゅうず 271…軸部 272…溝 28…プラスチックパッキン 29…プラスチックパッキン 30…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 40…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 50…接合部(シール部)

Claims (15)

  1. 基材上に、主としてTiNで構成された第1の被膜を形成する第1の被膜形成工程と、
    前記第1の被膜上に、99wt%以上の含有率でAuを含む第2の被膜を形成する第2の被膜形成工程と、
    前記第2の被膜上に、Auを主成分とし、6.0〜10.0wt%のPd、および、12.0〜16.0wt%のAgを含むAu−Pd−Ag系合金をターゲットとして用いた乾式めっき法により、第3の被膜を形成する第3の被膜形成工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。
  2. 前記第3の被膜をスパッタリングにより形成する請求項1に記載の装飾品の製造方法。
  3. 前記第1の被膜形成工程に先立ち、前記基材上に、少なくとも1層の下地層を形成する下地層形成工程を有する請求項1または2に記載の装飾品の製造方法。
  4. 前記下地層として、主としてTiで構成された層を形成する請求項3に記載の装飾品の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする装飾品。
  6. 基材と、
    主としてTiNで構成された第1の被膜と、
    前記第1の被膜の前記基材に対向する面とは反対側の表面に設けられ、99wt%以上の含有率でAuを含む材料で構成された第2の被膜と、
    前記第2の被膜の前記第1の被膜に対向する面とは反対側の表面に設けられ、Auを主成分とし、6.0〜10.0wt%のPd、および、12.0〜16.0wt%のAgを含むAu−Pd−Ag系合金で構成された第3の被膜とを有することを特徴とする装飾品。
  7. 前記基材は、少なくともその表面付近が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成されたものである請求項5または6に記載の装飾品。
  8. 前記第1の被膜中におけるNの含有率が、2〜29wt%である請求項5ないし7のいずれかに記載の装飾品。
  9. 前記第1の被膜の平均厚さは、0.1〜5.0μmである請求項5ないし8のいずれかに記載の装飾品。
  10. 前記第2の被膜の平均厚さは、0.01〜0.3μmである請求項5ないし9のいずれかに記載の装飾品。
  11. 前記第3の被膜の平均厚さは、0.02〜2.0μmである請求項5ないし10のいずれかに記載の装飾品。
  12. 前記第3の被膜が設けられている側の面の色調は、JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、aが0.5〜2.8であり、かつ、bが12.0〜16.8である請求項5ないし11のいずれかに記載の装飾品。
  13. 前記第3の被膜が設けられている側の面の色調は、JIS Z 8729で規定されるL表示の色度図において、Lが83.6〜88.0である請求項5ないし12のいずれかに記載の装飾品。
  14. 装飾品は、時計用外装部品である請求項5ないし13のいずれかに記載の装飾品。
  15. 請求項5ないし14のいずれかに記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
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