JP2005253893A - 装飾品、装飾品の製造方法および時計 - Google Patents

装飾品、装飾品の製造方法および時計 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、また、前記装飾品を提供することができる製造方法を提供すること。
【解決手段】装飾品1Aは、少なくとも表面付近の一部が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された基材2と、基材2上に設けられた、主としてTiCNで構成された被膜3とを有している。被膜3は、基材2側に設けられた第1の層31と、第1の層31の基材2に対向する面とは反対の面側に設けられた第2の層32とを有する積層体であり、第1の層31中におけるCの含有率とNの含有率との和が、第2の層32中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さい。第1の層31中におけるCの含有率とNの含有率との和をX[wt%]、第2の層32中におけるCの含有率とNの含有率との和をX[wt%]としたとき、5≦X−X≦25の関係を満足するのが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、装飾品、装飾品の製造方法および時計に関する。
時計用外装部品のような装飾品には、優れた美的外観が要求される。従来、このような目的を達成するために、一般に、装飾品の構成材料として、Pt、Ag等の金属材料を用いてきた。
しかし、金属材料の硬度は、一般に比較的低く、前記のような材料で構成された装飾品(特に、時計用外装部品や装身具等)は、その表面に傷が付き易く、長期間使用することにより美的外観が著しく低下する等の問題点を有していた。
このような問題を解決するために、基材を硬質化する技術として、例えばステンレス鋼やTiからなる基材の表面を、窒素により窒化する技術(例えば、特許文献1参照)が用いられている。
しかしながら、窒化処理は、表面荒れをおこすので、研磨外観が変わってしまう。鏡面品は特に荒れて、くもりとなってしまい、そのままでは、装飾品としては使用できない。
そこで、後工程として、機械的研磨により、鏡面に磨く方法がとられていた。しかし、この方法は、研磨により固い硬化層を削り取りすぎて硬度が落ちたり、後研磨できない形状(バフが当たらないような形状)のものは処理不可であるといった欠点がある。
特開平11−318520号公報
本発明の目的は、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、前記装飾品を提供することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の装飾品は、少なくとも表面付近の一部が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された基材と、
前記基材上に設けられた、主としてTiCNで構成された被膜とを有する装飾品であって、
前記被膜は、少なくとも、第1の層と、該第1の層の前記基材に対向する面とは反対の面側に設けられた第2の層とを有する積層体であり、
前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和が、前記第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さいことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品では、前記被膜の平均厚さは、1.5〜5.0μmであることが好ましい。
これにより、被膜の内部応力が大きくなるのを十分に防止しつつ、装飾品を、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
本発明の装飾品では、前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和は、5〜20wt%であることが好ましい。
これにより、被膜の硬度を十分に高いものとしつつ、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記第1の層の平均厚さは、0.05〜3.5μmであることが好ましい。
これにより、被膜の硬度を十分に高いものとしつつ、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和は、10〜30wt%であることが好ましい。
これにより、装飾品は傷等が特に付き難いものとなり、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記第2の層の平均厚さは、0.05〜1.5μmであることが好ましい。
これにより、装飾品は傷等が特に付き難いものとなり、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和をX[wt%]、前記第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和をX[wt%]としたとき、5≦X−X≦25の関係を満足することが好ましい。
これにより、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止しつつ、装飾品を、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
本発明の装飾品では、複数の前記被膜を有することが好ましい。
これにより、装飾品は傷等が特に付き難いものとなり、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、複数の前記被膜は、互いに隣接して設けられていることが好ましい。
これにより、被膜−被膜間の密着性を特に優れたものとすることができ、また、打痕等の凹みを特に生じ難いものとなる。
本発明の装飾品では、複数の前記被膜の厚さの和は、1.5〜5.0μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の生産性を十分に良好なものとしつつ、装飾品を、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができる。また、被膜(被膜の積層体)の内部応力が大きくなるのを十分に防止することができる。
本発明の装飾品では、前記基材と前記被膜との間に、少なくとも1層の下地層を有することが好ましい。
これにより、例えば、基材と被膜との密着性を向上させることができ、装飾品の信頼性、耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記下地層として、主としてTiで構成された層を有することが好ましい。
これにより、例えば、基材と被膜との密着性をさらに向上させることができ、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記下地層の平均厚さは、0.1〜2.0μmであることが好ましい。
これにより、例えば、下地層の内部応力が大きくなり、クラック等が発生するのを十分に防止しつつ、基材と被膜との密着性をさらに向上させることができる。
本発明の装飾品は、時計用外装部品であることが好ましい。
時計用外装部品は、一般に、外部からの衝撃を受け易い装飾品であり、装飾品としての外観の美しさが要求されるとともに、実用品としての耐久性も求められるが、本発明によればこれらの要件を同時に満足することができる。
本発明の装飾品の製造方法は、上記のような本発明の装飾品を製造する方法であって、
少なくとも表面付近の一部が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された基材上に、主としてTiCNで構成された第1の層を形成する第1の工程と、
前記第1の層上に、主としてTiCNで構成され、かつ、Cの含有率とNの含有率との和が、前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和より大きい第2の層を形成する第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第1の工程を、気相成膜法により行うことが好ましい。
これにより、均一な膜厚を有し、かつ、基材との密着性(下地層を介しての基材との密着性を含む)が特に優れた第1の層を確実に形成することができる。その結果、装飾品としての審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、形成すべき第1の層が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができるため、装飾品の信頼性を向上させる上でも有利である。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第1の工程を、イオンプレーティングにより行うことが好ましい。
これにより、均一な膜厚を有し、かつ、基材との密着性が特に優れた第1の層をより確実に形成することができる。その結果、装飾品としての審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、形成すべき第1の層が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができるため、装飾品の信頼性を向上させる上でも有利である。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第2の工程を、気相成膜法により行うことが好ましい。
これにより、均一な膜厚を有し、かつ、第1の層との密着性が特に優れた第2の層を確実に形成することができる。その結果、装飾品としての審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、形成すべき第2の層が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができるため、装飾品の信頼性を向上させる上でも有利である。
本発明の装飾品の製造方法では、前記第2の工程を、イオンプレーティングにより行うことが好ましい。
これにより、均一な膜厚を有し、かつ、第1の層との密着性が特に優れた第2の層をより確実に形成することができる。その結果、装飾品としての審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、形成すべき第2の層が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができるため、装飾品の信頼性を向上させる上でも有利である。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる時計を提供することができる。
本発明によれば、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、前記装飾品を提供することができる製造方法を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の装飾品、装飾品の製造方法および時計の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の装飾品の第1実施形態、およびその製造方法の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の装飾品の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の装飾品1Aは、基材2と、主としてTiCNで構成された被膜3とを有している。
[基材]
基材(金属基材)2は、少なくとも表面付近の一部が、主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成されたものである。主としてTiで構成される材料としては、例えば、Ti(単体としてのTi)、Ti合金等が挙げられる。また、ステンレス鋼としては、例えば、Fe−Cr系合金、Fe−Cr−Ni系合金等が挙げられ、より具体的には、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F等、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L等が挙げられる。なお、窒化処理または浸炭処理が可能な材料としては、上記のようなTiおよび/またはステンレス鋼で構成されたもの以外の材料も挙げられるが、このような材料(主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された材料)を用いた場合には、最終的に得られる装飾品の硬度を十分に高めることが困難である。また、主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された材料を用いなかった場合、最終的に得られる装飾品において、十分長期間にわたって優れた美的外観(特に、時計用外装部品等の装飾品において求められる美的外観)を保持するのが困難となる。
また、基材2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、基材2は、基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。基材2がこのような構成のものであると、基部の構成材料の選択により、例えば、基材2の成形の自由度を増すことができ、より複雑な形状の装飾品1Aであっても、比較的容易に製造することができる。基材2が基部と表面層とを有するものである場合、表面層の厚さ(平均値)は、特に限定されないが、0.1〜50μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましい。表面層の厚さが前記範囲内の値であると、硬化処理後における基材2の強度を特に優れたものとすることができるとともに、表面層の基部からの不本意な剥離等をより確実に防止することができる。
基材2が基部と表面層とを有するものである場合、表面層の構成材料としては、例えば、前述したような材料を好適に用いることができる。また、基部の構成材料としては、例えば、金属材料、非金属材料等を用いることができる。
基部が金属材料で構成される場合、特に優れた強度特性を有する装飾品1Aを提供することができる。
また、基部が金属材料で構成される場合、基部の表面粗さが比較的大きい場合であっても、表面層や、後述する被膜3等を形成する際のレベリング効果により、得られる装飾品1Aの表面粗さを小さくすることができる。例えば、基部の表面に対する切削加工、研磨加工などによる機械加工を省略しても、鏡面仕上げを行うことが可能となったり、基部がMIM法により成形されたもので、その表面が梨地面である場合でも、容易に鏡面にすることができる。これにより、光沢に優れた装飾品を得ることができる。
基部が非金属材料で構成される場合、比較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品1Aを提供することができる。
また、基部が非金属材料で構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。
また、基部が非金属材料で構成される場合、電磁ノイズを遮蔽する効果も得られる。
基部を構成する金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Ti、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag等の各種金属や、これらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。この中でも特に、Cu、Zn、Ni、Ti、Alまたはこれらのうち少なくとも1種を含む合金が好ましい。基部が前述したような材料で構成されることにより、基部と、表面層との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、基部の加工性が向上し、基材2全体としての成形の自由度がさらに増す。
また、基部を構成する非金属材料としては、例えば、セラミックス、プラスチック(特に耐熱性プラスチック)、石材、木材等が挙げられる。
セラミックスとしては、例えば、Al、SiO、TiO、Ti、ZrO、Y、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の酸化物系セラミックス、AlN、Si、SiN、TiN、BN、ZrN、HfN、VN、TaN、NbN、CrN、CrN等の窒化物系セラミックス、グラファイト、SiC、ZrC、Al、CaC、WC、TiC、HfC、VC、TaC、NbC等の炭化物系のセラミックス、ZrB、MoB等のホウ化物系のセラミックス、あるいは、これらのうちの2以上を任意に組み合わせた複合セラミックスが挙げられる。
基部が前記のようなセラミックスで構成される場合、特に優れた強度、硬度を有する装飾品1Aを得ることができる。
また、基部を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
また、基材2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、装飾品1Aの形状、大きさに基づいて決定される。
[被膜]
基材2の表面には、主としてTiCNで構成された被膜3が設けられている。
この被膜3は、基材2に接触するようにして設けられた第1の層31と、第1の層31の基材2に対向する面とは反対の面側に設けられた第2の層32とを有している。言い換えると、被膜3は、第1の層31と、第2の層32とを有する積層体として設けられている。
そして、第1の層31中におけるCの含有率とNの含有率との和が、第2の層32中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さい。
このように、本発明は、被膜が、少なくとも、第1の層と、該第1の層の基材に対向する面とは反対の面側に設けられた第2の層とを有し、第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和が、第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さい点に特徴を有する。これにより、被膜の硬度(被膜の外表面側における硬度)を十分に大きいものとしつつ、被膜の内部応力が大きくなるのを効果的に防止することができ、結果として、装飾品は、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる。これは以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、装飾品の外表面側に、Cの含有率とNの含有率との和が比較的大きい第2の層を有していることにより、被膜の硬度を特に優れたものとし、傷や打痕等の凹み等を付き難くすることができるとともに、基材と第2の層との間に、Cの含有率とNの含有率との和が比較的小さい第1の層を有していることにより、被膜の内部応力が大きくなるのを防止することができる(すなわち、第1の層が被膜の内部応力を緩和する、応力緩和層として機能することができる)。その結果、装飾品は、優れた硬度、美的外観を有するとともに、内部応力による被膜の割れ等を効果的に防止することができる。したがって、本発明の装飾品は、長期間にわたり、安定して、優れた硬度、美的外観を保持することができる。
これに対し、被膜(TiCN被膜)が単一の層で構成されている場合、本発明のような効果は得られない。すなわち、被膜が単一の層で構成されたものである場合、TiCNで構成された被膜を有する効果が十分に発揮されず、装飾品の耐久性を十分に高めるのが困難となり、傷や打痕等の凹み等が付き易くなる。
また、被膜の厚さを比較的大きいものとすることにより、装飾品を、傷や打痕等の凹み等が生じ難いものとすることもできるが、このような場合、被膜の内部応力が大きくなり、成膜時に形成中の被膜に割れ等が生じ易くなる。また、成膜時に形成中の被膜に割れ等が生じるのを防止することができたとしても、被膜の内部応力が高い状態になっているため、比較的小さな外力が加わることにより、容易に被膜に割れ等が生じ易く、装飾品としての安定性(耐久性)は極めて低いものとなる。したがって、このような装飾品は、長期間にわたって優れた美的外観を保持するのが極めて困難である。
また、被膜が積層体であっても、当該被膜が、基材側に設けられた第1の層と、当該第1の層の外表面側に設けられかつ第1の層よりCの含有率とNの含有率との和が小さい第2の層とからなるものである場合、すなわち、図1に示す装飾品1Aでの第1の層31と第2の層32とを置換したような構成の装飾品では、上記のような効果は得られない。これは以下のような理由による。すなわち、このような構成の装飾品では、装飾品の外表面にCの含有率とNの含有率との和が小さい層が露出している。このように、Cの含有率とNの含有率との和が小さい層が露出していると、装飾品に傷や打痕等が付くのを十分に防止するのが困難になる。
第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和は、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和よりも小さいものであれば、特に限定されないが、5〜20wt%であるのが好ましく、7〜18wt%であるのがより好ましく、10〜15wt%であるのがさらに好ましい。第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和が前記範囲内の値であると、被膜3の硬度を十分に高いものとしつつ、被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品1Aの信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和が、前記下限値未満であると、第1の層31、第2の層32の厚さ等によっては、装飾品1Aとしての硬度を十分に高いものとするのが困難になる可能性がある。また、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和が、前記上限値を超えると、第1の層31の厚さ等によっては、第1の層31の内部応力が大きくなる傾向を示す。
また、第1の層31の平均厚さは、特に限定されないが、0.05〜3.5μmであるのが好ましく、0.1〜3.0μmであるのがより好ましい。第1の層31の平均厚さが前記範囲内の値であると、被膜3の硬度を十分に高いものとしつつ、被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品1Aの信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第1の層31の平均厚さが前記下限値未満であると、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)、Nの含有率(X1N)等によっては、第1の層31の機能(被膜3の内部応力を緩和する機能)を十分に発揮するのが困難となる場合がある。また、第1の層31の平均厚さが前記上限値を超えると、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)、Nの含有率(X1N)等によっては、第1の層31の内部応力が大きくなる傾向を示す。
第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和は、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和よりも大きいものであれば、特に限定されないが、10〜30wt%であるのが好ましく、12〜30wt%であるのがより好ましく、14〜28wt%であるのがさらに好ましい。第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和が前記範囲内の値であると、装飾品1Aは傷等が特に付き難いものとなり、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品1Aの信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和が、前記下限値未満であると、装飾品1Aは傷等が比較的付き易くなり、装飾品1Aの用途によっては、十分な耐久性を得るのが困難になる可能性がある。また、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和が、前記上限値を超えると、第2の層32の厚さ等によっては、第2の層32の内部応力が大きくなる傾向を示す。
また、第2の層32の平均厚さは、特に限定されないが、0.05〜1.5μmであるのが好ましく、0.1〜1.5μmであるのがより好ましい。第2の層32の平均厚さが前記範囲内の値であると、装飾品1Aは傷等が特に付き難いものとなり、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品1Aの信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、第2の層32の平均厚さが前記下限値未満であると、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)、Nの含有率(X2N)等によっては、装飾品1Aを打痕等が十分に付き難いものとするのが困難となる場合がある。また、第2の層32の平均厚さが前記上限値を超えると、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)、Nの含有率(X2N)等によっては、第2の層32の内部応力が大きくなる傾向を示す。
上述したように、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和は、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和よりも小さいものであるが、以下のような関係を満足するのが好ましい。
すなわち、第1の層31中におけるCの含有率(X1C)とNの含有率(X1N)との和をX[wt%]、第2の層32中におけるCの含有率(X2C)とNの含有率(X2N)との和をX[wt%]としたとき、5≦X−X≦25の関係を満足するのが好ましく、5≦X−X≦23の関係を満足するのがより好ましく、5≦X−X≦18の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、被膜3の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止しつつ、装飾品1Aを、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
また、被膜3の平均厚さは、1.5〜5.0μmであるのが好ましく、2.0〜4.0μmであるのがより好ましい。被膜3の平均厚さが前記範囲内の値であると、被膜3の内部応力が大きくなるのを十分に防止しつつ、装飾品1Aを、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができ、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
ところで、被膜3は、前述したように、主としてTiCNで構成されたものである。このように、被膜3がTiCNで構成されたものであると、装飾品1Aは、通常の使用条件(例えば、温度:−50〜120℃、湿度:0〜100%RH)においては十分な安定性を有しつつ、特定の薬品を用いることにより、基材2に対して実質的な損傷を与えることなく、被膜3の除去を容易かつ確実に行うことができる。したがって、装飾品1Aの被膜3に汚損が生じた場合等には、当該被膜3を除去し、再度、被膜3を好適に形成することができる。このように、本発明の装飾品においては、特定の薬品を用いることによる被膜の剥離および被膜の再形成を、容易かつ確実に行うことができるため、極めて長期間にわたって、その特性を発揮しつづけることができる。被膜3の剥離に使用することができる剥離剤としては、例えば、硝酸(HNO)と硫酸(HSO)とを含む溶液等が挙げられる。剥離剤がこのような溶液である場合、当該溶液中における硝酸(HNO)の濃度は10〜30vol%程度であるのが好ましく、硫酸(HSO)の濃度は10〜30vol%程度であるのが好ましい。これにより、基材2等に対する実質的な損傷を与えることなく、比較的短時間で、被膜3を容易かつ確実に除去することができる。
なお、図示の構成では、被膜3は、第1の層31と第2の層32とからなるものであるが、第1の層31、第2の層32以外の層(第3の層)を1層以上有していてもよい。このような層(第3の層)は、例えば、基材2と第1の層31との間に設けられるものであってもよいし、第1の層31と第2の層32との間に設けられるものであってもよいし、第2の層32の外表面側(第1の層31と対向する面とは反対の面側)に設けられるものであってもよい。
[装飾品]
以上説明したような装飾品1Aは、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、時計用外装部品がより好ましい。時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐擦傷性、耐摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。なお、本明細書中での「時計用外装部品」とは、外部から視認可能なものであればいかなるものであってもよく、時計の外部に露出しているものに限らず、時計の内部に内蔵されたものも含む。
次に、上述した装飾品1Aの製造方法について説明する。
図2は、図1に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基材2の表面の少なくとも一部(2a)に、第1の層31を形成する第1の工程(2b)と、第1の層31の表面の少なくとも一部に、第2の層32を形成する第2の工程(2c)とを有する。
[基材]
基材2としては、前述したようなものを用いることができる。
また、基材2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基材2の成形方法としては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワックス法等が挙げられる。
また、基材2が前述したような基部と表面層とを有するものである場合、基材2は、以下のようにして製造することができる。すなわち、前述したような方法により製造した基部上に、表面層を形成することにより基材2を得ることができる。表面層の形成方法としては、例えば、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射等が挙げられる。
また、基材2の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる装飾品1Aの表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる装飾品1Aの装飾性をさらに向上させることができる。鏡面加工は、例えば、周知の研磨方法を用いて行うことができ、例えば、バフ(羽布)研磨、バレル研磨、その他の機械研磨等を採用することができる。
また、このような表面加工を施した基材2を用いて製造される装飾品1Aは、被膜3に対して前記表面加工を直接施すことにより得られるものに比べて、被膜3のギラツキ等が抑制されたものとなり、特に美的外観に優れたものとなる。また、前述したように、被膜3は硬質材料であるTiCNで構成されているため、被膜3に対して表面加工を直接施す場合には、当該表面加工を施す際に被膜3にカケ等の欠陥を生じ易く、装飾品1Aの製造の歩留りが著しく低下する場合があるが、基材2に対して表面処理を行うことにより、このような問題の発生も効果的に防止することができる。また、基材2に対する表面処理は、被膜3に対する表面加工に比べて、温和な条件で容易に行うことができる。
[第1の工程]
基材2の表面に、TiCNで構成された第1の層31を形成する(2b)。
上述したように、第1の層31は、被膜3の内部応力を緩和する機能を有している。また、このような第1の層31が設けられることにより、後に詳述する第2の工程における被膜3(第2の層32)の割れ等も、より確実に防止することができる。
第1の層31の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。第1の層31の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた第1の層31を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1Aの審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第1の層31の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき第1の層31が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1Aの信頼性を向上させる上でも有利である。また、第1の層31の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、第1の層31中におけるCの含有率およびNの含有率をより確実に制御することができる。
また、上記のような乾式めっき法(気相成膜法)の中でも、イオンプレーティングが特に好ましい。第1の層31の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、第1の層31の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2との密着性が特に優れた第1の層31をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1Aの審美的外観、耐久性をさらに優れたものとすることができる。また、第1の層31の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、形成すべき第1の層31が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを特に小さいものとすることができる。また、第1の層31の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、第1の層31中におけるCの含有率およびNの含有率をより確実に制御することができる。
なお、上記のような乾式めっき法を適用する場合、例えば、Tiをターゲットとして用い、C(炭素)およびN(窒素)を含む雰囲気中で処理を行うことにより、第1の層31を容易かつ確実に形成することができる。このような雰囲気ガスとしては、例えば、窒素ガス(Nガス)と、アセチレン等の炭化水素ガスとの混合ガスを用いることができる。そして、これらの配合比率等を適宜調整することにより、形成される第1の層31の組成(C、Nの含有率)等を調節することができる。
なお、雰囲気ガス中には、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが含まれていてもよい。これにより、第1の層31中におけるCの含有率およびNの含有率を、容易かつ確実に比較的低く制御することができる。また、雰囲気ガス中には、例えば、酸素ガス(O)等が含まれていてもよい。これにより、酸素を含む組成(TiCNO)の第1の層31を容易かつ確実に形成することができる。
[第2の工程]
次に、上記のようにして形成された第1の層31の表面に、TiCNで構成された第2の層32を形成する(2c)。前述したように、第2の層32は、Cの含有率とNの含有率との和が、第1の層31中のCの含有率とNの含有率との和より大きい。
上述したように、基材2上に第1の層31が設けられることにより、本工程における被膜3(第2の層32)の割れ等の不都合が、より確実に防止される。
第2の層32の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。第2の層32の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、第1の層31との密着性が特に優れた第2の層32を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1Aの審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第2の層32の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき第2の層32が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1Aの信頼性を向上させる上でも有利である。また、第2の層32の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、第2の層32中におけるCの含有率およびNの含有率をより確実に制御することができる。
また、上記のような乾式めっき法(気相成膜法)の中でも、イオンプレーティングが特に好ましい。第2の層32の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、第2の層32の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、第1の層31との密着性が特に優れた第2の層32をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1Aの審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、第2の層32の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、形成すべき第2の層32が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができるため、装飾品1Aの信頼性を向上させる上でも有利である。また、第2の層32の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、第2の層32中におけるCの含有率およびNの含有率をより確実に制御することができる。
なお、上記のような乾式めっき法を適用する場合、例えば、Tiをターゲットとして用い、C(炭素)およびN(窒素)を含む雰囲気中で処理を行うことにより、第2の層32を容易かつ確実に形成することができる。このような雰囲気ガスとしては、例えば、窒素ガス(Nガス)と、アセチレン等の炭化水素ガスとの混合ガスを用いることができる。そして、これらの配合比率等を適宜調整することにより、形成される第2の層32の組成(C、Nの含有率)等を調節することができる。
なお、雰囲気ガス中には、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが含まれていてもよい。また、雰囲気ガス中には、例えば、酸素ガス(O)等が含まれていてもよい。これにより、酸素を含む組成(TiCNO)の第2の層32を容易かつ確実に形成することができる。
また、上述した第1の工程を乾式めっき法により行う場合、例えば、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成(例えば、窒素ガスと炭化水素ガスとの配合比)を変更することにより、同一装置内で、第1の工程と第2の工程とを、(基材2を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、基材2、第1の層31、第2の層32の密着性が特に優れたものとなるとともに、装飾品1Aの生産性も向上する。
次に、本発明の装飾品の第2実施形態、およびその製造方法の好適な実施形態について説明する。
図3は、本発明の装飾品の第2実施形態を示す断面図、図4、図5は、図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態の装飾品およびその製造方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の装飾品1Bは、基材2と、基材2の表面に設けられた下地層4と、下地層4の表面に設けられた被膜3と、主としてTiCNで構成され、被膜3の表面に設けられた被膜3’とを有している。すなわち、装飾品1Bは、基材2と被膜3との間に下地層4を有し、さらに、被膜(第1の被膜)3の外表面側に被膜(第2の被膜)3’を有している以外は、前述した装飾品1Aと同様である。したがって、以下、下地層4および被膜3’について説明する。
まず、下地層4について説明する。
[下地層]
下地層4は、例えば、基材2と被膜3との密着性を向上させる機能(密着性向上層としての機能)や、基材2の傷をレベリング(ならし)により補修する機能(レベリング層としての機能)、得られる装飾品において、外部からの衝撃を緩和する機能(クッション層としての機能)等、いかなる機能を有するものであってもよい。
下地層4の構成材料としては、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Alやこれらのうち少なくとも1種を含む合金等の金属材料等が挙げられるが、中でも、Tiが好ましい。下地層4が主としてTiで構成されたものであると、例えば、基材2と被膜3との密着性をさらに向上させることができ、装飾品1Bの信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、下地層4が主としてTiで構成されたものであると、基材2の表面の凹凸を緩和するレベリング層としての機能がより顕著に発揮される。また、下地層4が主としてTiで構成されたものであると、得られる装飾品1Bにおいて、下地層4が外部からの衝撃を緩和するクッション層としてより効果的に機能し、その結果、装飾品1Bは、打痕等の凹みが特に生じ難いものとなる。
下地層4の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜2.0μmであるのが好ましく、0.5〜1.0μmであるのがより好ましい。下地層4の平均厚さが前記範囲内の値であると、下地層4の内部応力が大きくなるのを十分に防止しつつ、上記のような下地層4の機能をより効果的に発揮することができる。
次に、被膜(第2の被膜)3’について説明する。
[被膜(第2の被膜)]
被膜3の表面(下地層4と対向する面とは反対の面側)には、被膜3’が設けられている。被膜3’は、被膜3と同様、主としてTiCNで構成されたものであり、基材2に近い側に設けられた第1の層31’と、装飾品1Bの外表面側に設けられた第2の層32’とを有している。そして、第1の層31’中におけるCの含有率とNの含有率との和は、第2の層32’中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さい。
このように、本発明の装飾品は、複数の被膜(積層された複数の被膜)を有するものであってもよい。装飾品が複数の被膜を備えたものであると、装飾品は傷等が特に付き難いものとなり、より長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。また、被膜の内部応力が大きくなるのをより効果的に防止することができ、結果として、装飾品の信頼性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
このように、複数の被膜を有する場合(複数の被膜が積層されている場合)、これら複数の被膜の厚さ(平均厚さ)の和は、被膜の積層回数にもよるが、通常、1.5〜5.0μmであるのが好ましく、2.0〜4.5μmであるのがより好ましく、2.0〜4.0μmであるのがさらに好ましい。複数の被膜の厚さ(平均厚さ)の和が前記範囲内の値であると、装飾品の生産性を十分に良好なものとしつつ、装飾品を、傷や打痕等の凹み等が特に付き難いものとすることができる。また、被膜(被膜の積層体)の内部応力が大きくなるのを十分に防止することができる。
また、図示のように、装飾品が複数の被膜を有する場合、各被膜は隣接して設けられているのが好ましい。すなわち、各被膜は、下地層等を介さずに、互いに接触するように設けられているのが好ましい。これにより、被膜−被膜間の密着性を特に優れたものとすることができ、また、打痕等の凹みを特に生じ難いものとなる。
上述したように、被膜3’は、前述した被膜3と同様の構成(厚さ、組成等)を有するものであり、その厚さ、組成(第1の層31’、第2の層32’の厚さ、組成)等は、前記第1実施形態で述べた条件を満足するのが好ましいが、装飾品1Bにおいて、被膜3と被膜3’とは、実質的に同一の構成(厚さ、組成等)を有するものであってもよいし、異なる構成(厚さ、組成等)を有するものであってもよい。
次に、上述した装飾品1Bの製造方法について説明する。
図4、図5は、図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図4、図5に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基材2の表面の少なくとも一部(4a)に、下地層4を形成する工程(4b)と、下地層4の表面の少なくとも一部に第1の層31を形成する第1の工程(4c)と、第1の層31の表面の少なくとも一部に第2の層32を形成する第2の工程(4d)と、第2の層32の表面の少なくとも一部に第1の層31’を形成する第1の工程(5a)と、第1の層31’の表面の少なくとも一部に第2の層32’を形成する第2の工程(5b)とを有する。
[下地層形成工程]
本実施形態では、基材2の表面に下地層4を形成する(4b)。
下地層4の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられる。
[第2の被膜の形成工程]
被膜(第2の被膜)3’は、前述した被膜3と同様にして形成することができる。すなわち、第1の層31’は、第1の層31と同様にして形成することができ、また、第2の層32’は、第1の層32と同様にして形成することができる。
このように、被膜3’は、前述した被膜3と同様にして形成することができるが、装飾品1Bにおいて、被膜3の形成条件と被膜3’の形成条件とは、実質的に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
次に、本発明の装飾品の第3実施形態、およびその製造方法の好適な実施形態について説明する。
図6は、本発明の装飾品の第3実施形態を示す断面図、図7、図8は、図6に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
以下、第3実施形態の装飾品およびその製造方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の装飾品1Cは、基材2と、基材2の表面に設けられた下地層4と、下地層の表面に設けられた被膜(第1の被膜)3と、被膜3の表面に設けられた被膜(第2の被膜)3’と、主としてTiCNで構成され、被膜3’の表面に設けられた被膜(第3の被膜)3’’とを有している。すなわち、装飾品1Cは、被膜3’の外表面側に被膜3’’を有している以外は、前述した装飾品1Bと同様である。したがって、以下、被膜3(第3の被膜)’’について説明する。
[被膜(第3の被膜)]
被膜3’の表面(被膜3と対向する面とは反対の面側)には、被膜3(第3の被膜)’’が設けられている。被膜3’’は、被膜3、被膜3’と同様、主としてTiCNで構成されたものであり、基材2に近い側に設けられた第1の層31’’と、装飾品1Cの外表面側に設けられた第2の層32’’とを有している。そして、第1の層31’’中におけるCの含有率とNの含有率との和は、第2の層32’’中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さい。
このように、本発明の装飾品は、3つ以上の被膜(積層された3つ以上の被膜)を有するものであってもよい。これにより、前記実施形態で述べた、被膜が積層されることによる効果は、より顕著なものとなる。
上述したように、被膜3’’は、前述した被膜3、被膜3’と同様の構成(厚さ、組成等)を有するものであり、その厚さ、組成(第1の層31’’、第2の層32’’の厚さ、組成)等は、前記第1実施形態で述べた条件を満足するのが好ましいが、装飾品1Cにおいて、被膜3と被膜3’と被膜3’’とは、実質的に同一の構成(厚さ、組成等)を有するものであってもよいし、異なる構成(厚さ、組成等)を有するものであってもよい。
次に、上述した装飾品1Cの製造方法について説明する。
図7、図8は、図6に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図7、図8に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基材2の表面の少なくとも一部(7a)に、下地層4を形成する工程(7b)と、下地層4の表面の少なくとも一部に第1の層31を形成する第1の工程(7c)と、第1の層31の表面の少なくとも一部に第2の層32を形成する第2の工程(7d)と、第2の層32の表面の少なくとも一部に第1の層31’を形成する第1の工程(7e)と、第1の層31’の表面の少なくとも一部に第2の層32’を形成する第2の工程(8a)と、第2の層32’の表面の少なくとも一部に第1の層31’’を形成する第1の工程(8b)と、第1の層31’’の表面の少なくとも一部に第2の層32’’を形成する第2の工程(8c)とを有する。
[第2の被膜の形成工程]
被膜(第3の被膜)3’’は、前述した被膜3、被膜3’と同様にして形成することができる。すなわち、第1の層31’’は、第1の層31、第1の層31’と同様にして形成することができ、また、第2の層32’’は、第1の層32、第1の層32’と同様にして形成することができる。
このように、被膜3’’は、前述した被膜3、被膜3’と同様にして形成することができるが、装飾品1Cにおいて、被膜3の形成条件と被膜3’の形成条件と被膜3’’の形成条件とは、実質的に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
図9は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図9に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)10は、胴(ケース)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス板25とを備えている。また、ケース22内には、図示しないムーブメント(例えば文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴22には巻真パイプ26が嵌入・固定され、この巻真パイプ26内にはりゅうず27の軸部271が回転可能に挿入されている。
胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とはプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)40が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず27の軸部271の途中の外周には溝272が形成され、この溝272内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)30が嵌合されている。ゴムパッキン30は巻真パイプ26の内周面に密着し、該内周面と溝272の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず27と巻真パイプ26との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず27を回転操作したとき、ゴムパッキン30は軸部271と共に回転し、巻真パイプ26の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
本発明の腕時計10は、ベゼル24、胴22、りゅうず27、裏蓋23、時計バンド等の装飾品(特に、時計用外装部品)のうち少なくとも1つが前述したような本発明の装飾品で構成されたものである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の装飾品の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。例えば、第1の工程と第2の工程との間に、洗浄等の中間処理を施してもよい。また、基材に対しては、切削、研削、研磨、ホーニング等の前処理を施してもよい。
また、前述した第2、第3実施形態では、積層された被膜が互いに隣接するものとして説明したが、これらの間には、少なくとも1層の中間層があってもよい。例えば、第1の被膜と第2の被膜との間には、実質的にTiCNを含まない金属材料で構成された層を有していてもよい。
また、装飾品の表面の少なくとも一部には、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向上するコート層(保護層)等が形成されていてもよい。このようなコート層は、装飾品の使用時等において除去されるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、イオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、主としてTiCNで構成される被膜を形成した。
まず、イオンプレーティング装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して、5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
次に、処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、35ml/分、30ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.2×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:35分間に設定することにより、TiCNで構成される第1の層を形成した(第1の工程)。形成された第1の層の平均厚さは、1.0μmであった。また、第1の層中におけるCの含有率は5.5wt%、Nの含有率は5.0wt%であった。
次に、第1の層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティングを用いて、以下のようにして第2の層を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、50ml/分、40ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を4.0×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:40V、イオン化電流:30A、処理時間:15分間に設定することにより、TiCNで構成される第2の層を形成し(第2の工程)、装飾品を得た。形成された第2の層の平均厚さは、0.5μmであった。また、第2の層中におけるCの含有率は8.5wt%、Nの含有率は7.5wt%であった。
第1の層、第2の層、被膜の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜4)
第1の工程および第2の工程の処理時間を変更することにより、第1の層、第2の層の平均厚さを表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例5〜8)
基材として、Tiで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1〜4と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材としては、以下に述べるような金属粉末射出成形(MIM)により作製したものを用いた。
まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径52μmのTi粉末を用意した。
このTi粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケースの形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、前記成形体に対して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体を得た。この脱バインダー処理は、1.0×10−1Paのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなった時点を脱バインダー終了時点とした。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨した後、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
(実施例9)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、イオンプレーティング装置を用いて、以下のようにしてTiで構成される下地層を形成した。
まず、イオンプレーティング装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して、5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
その後、処理室内にアルゴンガスを導入し、400Vの直流電圧を印加して30〜60分保持した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:30V、イオン化電流:20A、処理時間:20分間に設定することにより、Tiで構成される下地層を形成した(下地層形成工程)。形成された下地層の平均厚さは、0.5μmであった。
次に、下地層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、第1の層と第2の層とで構成される第1の被膜を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、35ml/分、35ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.0×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:20A、処理時間:20分間に設定することにより、TiCNで構成される第1の層を形成した(第1の工程)。形成された第1の層の平均厚さは、0.5μmであった。また、第1の層中におけるCの含有率は4.5wt%、Nの含有率は6.0wt%であった。
次に、第1の層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティングを用いて、以下のようにして第2の層を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、40ml/分、30ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.5×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:15分間に設定することにより、TiCNで構成される第2の層を形成した(第2の工程)。形成された第2の層の平均厚さは、0.5μmであった。また、第2の層中におけるCの含有率は7.5wt%、Nの含有率は6.5wt%であった。
次に、下地層および第1の被膜が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、第1の層と第2の層とで構成される第2の被膜を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、35ml/分、35ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.0×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:20A、処理時間:15分間に設定することにより、TiCNで構成される第1の層を形成した(第1の工程)。形成された第1の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第1の層中におけるCの含有率は4.5wt%、Nの含有率は6.0wt%であった。
次に、第1の層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティングを用いて、以下のようにして第2の層を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、40ml/分、30ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.5×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:10分間に設定することにより、TiCNで構成される第2の層を形成し(第2の工程)、装飾品を得た。形成された第2の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第2の層中におけるCの含有率は7.5wt%、Nの含有率は6.5wt%であった。
下地層、第1の被膜(第1の層、第2の層)、第2の被膜(第1の層、第2の層)の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例10、11)
下地層形成工程、第1の被膜の形成工程(第1の工程、第2の工程)、第2の被膜の形成工程(第1の工程、第2の工程)の処理時間を変更することにより、下地層、第1の層、第2の層の平均厚さを表1に示すようにした以外は、前記実施例9と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例12〜14)
基材として、Tiで構成されたものを用いた以外は、前記実施例9〜11と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。なお、基材は、前記実施例5と同様にして作製した。
(実施例15)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、イオンプレーティング装置を用いて、以下のようにしてTiで構成される下地層を形成した。
まず、イオンプレーティング装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して、5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
その後、処理室内にアルゴンガスを導入し、400Vの直流電圧を印加して30〜60分保持した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:30V、イオン化電流:20A、処理時間:20分間に設定することにより、Tiで構成される下地層を形成した(下地層形成工程)。形成された下地層の平均厚さは、0.5μmであった。
次に、下地層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、第1の層と第2の層とで構成される第1の被膜を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、25ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を2.8×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:14分間に設定することにより、TiCNで構成される第1の層を形成した(第1の工程)。形成された第1の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第1の層中におけるCの含有率は4.5wt%、Nの含有率は5.0wt%であった。
次に、第1の層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティングを用いて、以下のようにして第2の層を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、40ml/分、30ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.5×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:30A、処理時間:12分間に設定することにより、TiCNで構成される第2の層を形成した(第2の工程)。形成された第2の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第2の層中におけるCの含有率は8.5wt%、Nの含有率は8.0wt%であった。
次に、下地層および第1の被膜が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、第1の層と第2の層とで構成される第2の被膜を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、25ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を2.8×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:14分間に設定することにより、TiCNで構成される第1の層を形成した(第1の工程)。形成された第1の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第1の層中におけるCの含有率は4.5wt%、Nの含有率は5.0wt%であった。
次に、第1の層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティングを用いて、以下のようにして第2の層を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、40ml/分、30ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.5×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:30A、処理時間:12分間に設定することにより、TiCNで構成される第2の層を形成した(第2の工程)。形成された第2の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第2の層中におけるCの含有率は8.5wt%、Nの含有率は8.0wt%であった。
次に、下地層、第1の被膜および第2の被膜が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、第1の層と第2の層とで構成される第3の被膜を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、30ml/分、25ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を2.8×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:14分間に設定することにより、TiCNで構成される第1の層を形成した(第1の工程)。形成された第1の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第1の層中におけるCの含有率は4.5wt%、Nの含有率は5.0wt%であった。
次に、第1の層が形成された基材に対して、引き続き、上記のイオンプレーティングを用いて、以下のようにして第2の層を形成した。
処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した後、窒素ガス、アセチレンガスを、それぞれ、40ml/分、30ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧(全圧)を3.5×10−2Paとした。このような状態(窒素ガス、アセチレンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:35V、イオン化電流:25A、処理時間:12分間に設定することにより、TiCNで構成される第2の層を形成し(第2の工程)、装飾品を得た。形成された第2の層の平均厚さは、0.3μmであった。また、第2の層中におけるCの含有率は8.5wt%、Nの含有率は8.0wt%であった。
下地層、第1の被膜(第1の層、第2の層)、第2の被膜(第1の層、第2の層)、第3の被膜(第1の層、第2の層)の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例16、17)
下地層形成工程、第1の被膜の形成工程(第1の工程、第2の工程)、第2の被膜の形成工程(第1の工程、第2の工程)、第3の被膜の形成工程(第1の工程、第2の工程)の処理時間を変更することにより、下地層、第1の層、第2の層の平均厚さを表2に示すようにした以外は、前記実施例15と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例18〜20)
基材として、Tiで構成されたものを用いた以外は、前記実施例15〜17と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。なお、基材は、前記実施例5と同様にして作製した。
(比較例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、前記実施例5と同様にしてTi製の基材を作製した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、浸炭処理を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
浸炭処理は、以下に説明するようなプラズマ浸炭処理により行った。
すなわち、加熱炉内にグラファイトファイバー等の断熱材で囲まれた処理室を有し、この処理室内をロッドグラファイトからなる発熱体で加熱すると共に、処理室内の上部に直流グロー放電の正極を接続し、かつ処理品の載置台に陰極を接続し、また処理室内の要所にガスマニホールドを設置して炭化水素、窒素、アルゴン、水素などのプロセスガス(浸炭用ガスおよび希釈用ガス)を適宜導入するようにした浸炭処理装置を用意した。
そして、まず、浸炭処理装置の処理室内に基材を設置し、処理室内を1.3Paまで減圧した。このように、処理室内が減圧された状態で、ヒータにより、基材を約300℃に加熱した。
その後、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
その後、処理室内にプロパンガスを導入することにより、処理室内のガス組成をほぼ100%プロパンガスとし、ガス圧力を53Paとし、400Vの直流電圧を印加して90〜180分保持することにより、プラズマ浸炭処理を行った。その後、アルゴンガスおよび窒素ガスを処理室内に圧入して基材を常温にまで冷却した。このような浸炭処理により、約15μmの厚さの浸炭層が形成された。
(比較例2)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、前記実施例5と同様にしてTi製の基材を作製した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、窒化処理を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
窒化処理は、以下に説明するようなイオン窒化処理により行った。
まず、イオン窒化処理装置の処理室内に基材を設置し、処理室内を1.3×10−3Paまで減圧した。このように、処理室内が減圧された状態で、ヒータにより基材を300℃に加熱した。
次に、処理室内に水素ガスとアンモニアガスとを導入した。導入後における、処理室内での水素ガスの分圧は、1.3×10−4Pa、アンモニアガスの分圧は、1.2×10−4Paであった。
その後、400Vの直流電圧を印加し、温度300に加熱して8時間保持しながら、グロー放電を行い、窒化処理を行い約15μmの厚さの窒化層を形成した。
(比較例3)
窒素ガスを用いずに第1の工程を行い、その後、第2の工程を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例4)
第1の工程の処理時間を変更した以外は、前記比較例3と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例5)
アセチレンガスを用いずに第1の工程を行い、その後、第2の工程を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例6)
第1の工程の処理時間を変更した以外は、前記比較例5と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例7)
第1の工程の後に、第2の工程を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例8)
第1の工程の処理時間を変更した以外は、前記比較例7と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例9)
第1の工程を行わずに、基材の表面に、第2の層を直接形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例10)
第1の工程の処理時間を変更した以外は、前記比較例9と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
各実施例および各比較例の装飾品の構成を表1〜表3にまとめて示す。なお、表1〜3中においては、ステンレス鋼をSUSで示した。
Figure 2005253893
Figure 2005253893
Figure 2005253893
2.装飾品の外観評価
前記実施例1〜20および比較例1〜10で製造した各装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
3.被膜の密着性評価
前記実施例1〜20および比較例1〜10で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、被膜の密着性を評価した。
各装飾品を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、装飾品を、20℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、20℃の環境下に1.5時間、次いで、−20℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を20℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計3回繰り返した(合計24時間)。
その後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
○:被膜の浮きがほとんど認められない。
△:被膜の浮きがはっきりと認められる。
×:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
4.被膜の耐擦傷性評価
前記実施例1〜20および比較例1〜10で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、耐擦傷性を評価した。
ステンレス製のブラシを、各装飾品の表面上に押し付け、50往復摺動させた。このときの押し付け荷重は、0.2kgfであった。
その後、装飾品表面を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:被膜の表面に、傷の発生が全く認められない。
○:被膜の表面に、傷の発生がほとんど認められない。
△:被膜の表面に、傷の発生がわずかに認められる。
×:被膜の表面に、傷の発生が顕著に認められる。
5.装飾品の耐打痕性(打痕の付き難さ)評価
前記実施例1〜20および比較例1〜10で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行うことにより、耐打痕性を評価した。
ステンレス鋼製の球(径1cm)を、各装飾品の上方で高さ50cmの位置から落下させて、装飾品表面の凹み大きさ(凹み痕の直径)の測定を行い、以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:凹み痕の直径が1mm未満、または、凹み痕が求められない。
○:凹み痕の直径が1mm以上2mm未満。
△:凹み痕の直径が2mm以上3mm未満。
×:凹み痕の直径が3mm以上。
これらの結果を、被膜のビッカース硬度Hvとともに表4に示す。なお、ビッカース硬度Hvとしては、各装飾品の被膜表面について、測定荷重10gfにて測定した値を示す。
Figure 2005253893
表4から明らかなように、本発明の装飾品は、いずれも優れた美的外観を有しており、被膜の密着性にも優れていた。また、本発明の装飾品は、耐擦傷性、耐打痕性にも優れていた。また、第1の層、第2の層および被膜の厚さが好ましい範囲の値であるものでは、特に優れた結果が得られた。
また、本発明の装飾品は、いずれも、ザラツキ感のない、優れた触感を有していた。
また、本発明においては、イオンプレーティング時の雰囲気組成を適宜選択することにより、容易に、所望の組成、特性を有する被膜を形成することができた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、比較例1、2の装飾品は、表面層の形成時における表面荒れが顕著で、審美性が特に劣っていた。また、被膜を単層として形成した比較例3〜10でも、満足な結果が得られなかった。すなわち、被膜の厚さが比較的薄い比較例3、5、7、9の装飾品では、耐擦傷性、耐打痕性が特に低かった。また、被膜の厚さが比較的薄い比較例4、6、8、10の装飾品では、被膜の内部応力が大きく、外部環境の変化により、極めて短時間で被膜のひび割れ、剥離を生じてしまった。このように、各比較例の装飾品は、装飾品としての特性と、実用品としての特性とが求められる時計用外装部品に適用するのが困難であった。
また、実施例1〜20で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、薬品による被膜の除去と被膜の再形成のし易さを評価した。
まず、硝酸(HNO):15vol%、硫酸(HSO):15vol%を含む水溶液を用意した。
次に、この水溶液中に装飾品を浸漬したところ、被膜が除去された。その後、被膜が除去された装飾品に対して、前記と同様の条件でイオンプレーティングを行ったところ、被膜を好適に再形成することができた。
これに対し、比較例1〜6の装飾品では、上記のような薬品による被膜の除去を試みたところ、被膜を除去することはできなかった。また、研削、研磨等の機械的な方法による被膜の除去を試みたところ、被膜を除去することはできたものの、基材に傷が付いてしまった。その後、被膜が除去された装飾品に対して、前記と同様の条件で被膜を再形成したところ、基材の傷による影響で、得られた装飾品は審美性が著しく低下していた。
また、前記各実施例および比較例で製造した装飾品を用いて、図9に示すような腕時計を組み立てた。これらの腕時計について、上記と同様な評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明の装飾品の第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の第2実施形態を示す断面図である。 図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 図3に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の装飾品の第3実施形態を示す断面図である。 図6に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 図6に示す装飾品の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
1A、1B、1C…装飾品 2…基材 3…被膜(第1の被膜) 3’…被膜(第2の被膜) 3’’…被膜(第3の被膜) 31、31’、31’’…第1の層 32、32’、32’’…第2の層 4…下地層 10…腕時計(携帯時計) 22…胴(ケース) 23…裏蓋 24…ベゼル(縁) 25…ガラス板 26…巻真パイプ 27…りゅうず 271…軸部 272…溝 28…プラスチックパッキン 29…プラスチックパッキン 30…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 40…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 50…接合部(シール部)

Claims (20)

  1. 少なくとも表面付近の一部が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された基材と、
    前記基材上に設けられた、主としてTiCNで構成された被膜とを有する装飾品であって、
    前記被膜は、少なくとも、第1の層と、該第1の層の前記基材に対向する面とは反対の面側に設けられた第2の層とを有する積層体であり、
    前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和が、前記第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和よりも小さいことを特徴とする装飾品。
  2. 前記被膜の平均厚さは、1.5〜5.0μmである請求項1に記載の装飾品。
  3. 前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和は、5〜20wt%である請求項1または2に記載の装飾品。
  4. 前記第1の層の平均厚さは、0.05〜3.5μmである請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品。
  5. 前記第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和は、10〜30wt%である請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品。
  6. 前記第2の層の平均厚さは、0.05〜1.5μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾品。
  7. 前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和をX[wt%]、前記第2の層中におけるCの含有率とNの含有率との和をX[wt%]としたとき、5≦X−X≦25の関係を満足する請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾品。
  8. 複数の前記被膜を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の装飾品。
  9. 複数の前記被膜は、互いに隣接して設けられている請求項8に記載の装飾品。
  10. 複数の前記被膜の厚さの和は、1.5〜5.0μmである請求項8または9に記載の装飾品。
  11. 前記基材と前記被膜との間に、少なくとも1層の下地層を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の装飾品。
  12. 前記下地層として、主としてTiで構成された層を有する請求項11に記載の装飾品。
  13. 前記下地層の平均厚さは、0.1〜2.0μmである請求項11または12に記載の装飾品。
  14. 装飾品は、時計用外装部品である請求項1ないし13のいずれかに記載の装飾品。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の装飾品の製造方法であって、
    少なくとも表面付近の一部が主としてTiおよび/またはステンレス鋼で構成された基材上に、主としてTiCNで構成された第1の層を形成する第1の工程と、
    前記第1の層上に、主としてTiCNで構成され、かつ、Cの含有率とNの含有率との和が、前記第1の層中におけるCの含有率とNの含有率との和より大きい第2の層を形成する第2の工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。
  16. 前記第1の工程を、気相成膜法により行う請求項15に記載の装飾品の製造方法。
  17. 前記第1の工程を、イオンプレーティングにより行う請求項16に記載の装飾品の製造方法。
  18. 前記第2の工程を、気相成膜法により行う請求項15ないし17のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  19. 前記第2の工程を、イオンプレーティングにより行う請求項18に記載の装飾品の製造方法。
  20. 請求項1ないし14のいずれかに記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
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