JP2002285358A - 硬質層を有する装飾部材及びその製造方法 - Google Patents
硬質層を有する装飾部材及びその製造方法Info
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Abstract
材表面に凹凸ができないようにする。 【解決手段】 チタンまたはチタン合金からなる基材
は、表面から内部に向かって形成された窒素及び酸素を
固溶する第1硬化層と、該第1硬化層より内部に向かっ
て形成された第2硬化層とからなる内部硬化層と、該内
部硬化層の表面に被覆形成された硬質装飾層と、その上
に硬質透明ガラス層を有する。
Description
合金からなる腕時計、ネックレス、指輪、ブレスレッ
ト、眼鏡等の装飾部材に関するものであり、本発明での
装飾部材は、携帯電話、ライター、カメラ、ラジオ等機
器のケース等も含むものである。更に詳しくは本発明
は、内部硬化層と硬質透明ガラス層とを有する装飾部材
または内部硬化層と硬質装飾層と硬質透明ガラス層とを
有する装飾部材及びそれぞれの製造方法の技術に係わ
る。
時計ケース、携帯ラジオボディ、ビデオカメラボディ、
ライターボディ、パソコン本体ボディ等は、耐食性や軽
量化等よりチタンまたはチタン合金からなる基材が多く
使用されている。また、この素材は硬度が低いためキズ
が入りやすく、その上、色もグレー色調であった。この
問題を解決するため、基材表面に、乾式メッキ処理より
窒化チタン等の硬質被膜を被覆したものもある。
基材は、カラー色調(金色)で、キズも入りにくいもの
であった。しかしながら、この硬質被膜は、一般的に1
mμ前後の薄膜であるため、被膜表面に強い力が加わっ
た場合、被膜にキズは入らないが、素材が変形し、基材
表面に凹凸ができることがあった。また、凹凸が大きい
場合には、被膜の内部応力の関係から被膜が剥がれるこ
ともあった。
れ、特に手の指紋等が入り込み、汚れを落とすことが困
難であった。
し、装飾部材の表面に傷が入らないことはもとより、汚
れを着きにくくすると共に、付着した汚れを簡単に除去
することのできる、硬質層を有する装飾部材を提供する
ことにある。本発明の第2の目的は、被膜表面に強い力
が加わっても装飾部材表面に傷が入らないことはもとよ
り、装飾部材表面に凹凸ができないようにすると共に、
被膜の剥がれを極力少なくすることができ、長期間使用
しても表面を美しく保つことのできる優れた外観品質を
有するチタンまたはチタン合金からなる硬質層を有する
装飾品を提供することにある。本発明の第3の目的は、
上記目的を達成する製造方法を提供することにある。
する装飾部材は、該装飾部材はチタンまたはチタン合金
からなり、表面に凹凸模様を有し、前記装飾部材は、表
面から内部に向かって任意の深さに形成された窒素及び
酸素を固溶する内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被
覆形成された硬質透明ガラス層とから構成されているこ
とを特徴とする。
1の実施の形態)まず、チタンまたはチタン合金からな
る装飾部材に形成される本発明における内部硬化層、お
よびそれを形成する方法について説明する。内部硬化層
は、装飾部材の表面から内部に向かって任意の深さに形
成された窒素及び酸素を固溶する第1硬化層と、該第1
硬化層より内部に向かって任意の深さに形成された第2
硬化層とからなる。この説明には図1から図5が参照さ
れる。
ン合金からなる装飾部材100の表面部分には、内部硬
化層101が形成されている。この内部硬化層101
は、表面からほぼ20μmの深さまで広がっている。こ
の内部硬化層101は、窒素104および酸素105が
固溶している第1の硬化層102と、酸素105が固溶
している第2の硬化層103とに分けられる。第1の硬
化層102は、表面からほぼ1μmの深さまでの領域に
認められ、それ以上の深さ領域が第2の硬化層103と
なっている。窒素104および酸素105が固溶してい
る第1の硬化層102は、特に硬度が高く部材表面の傷
付きを防止する機能を有している。また、第2の硬化層
103は、部材の深部まで硬化範囲を広げ、耐衝撃性を
向上させる機能を有している。
の硬化層と、酸素が固溶した第2の硬化層とをもって内
部硬化層を形成することにより、表面粗れがなく外観品
質に優れるとともに、充分な硬度を備えることが可能と
なった。ここで、窒素および酸素の固溶可能な範囲は、
第1の硬化層において、窒素が0.6〜8.0重量%、
酸素が1.0〜14.0重量%であった。また、第2の
硬化層においては、酸素が0.5〜14.0重量%であ
った。したがって、上記の固溶可能な範囲でなるべく多
くの窒素または酸素を固溶していることが好ましい。た
だし、良好な外観品質を保持する観点から、表面粗れを
生じない範囲で窒素または酸素の固溶濃度を選定する必
要がある。
化層は、概ね部材表面から1.0μmまでの深さに形成
することが好ましい。このような深さに第1の硬化層を
形成することで、結晶粒の粗大化による表面粗れを抑制
するとともに、充分な表面硬度を得ることができた。一
方、酸素を固溶する第2の硬化層は、第1の硬化層より
深い領域で概ね20μmまでの深さに形成することが好
ましい。このような深さに第2の硬化層を形成すること
で、表面硬度を一層向上させることができる。
要について説明する。図3に示す表面処理装置は、真空
槽1を中心に構成してある。真空槽1の内部には、チタ
ン、あるいは装飾部材100を載置するトレイ2、およ
び加熱手段としてのヒータ3が配設してある。また、真
空槽1には、ガス導入管4とガス排気管5が接続してあ
る。ガス導入管4は、図示しないガス供給源と連通して
いる。このガス導入管4の中間部にはガス導入弁6が設
けてあり、このガス導入弁6の開閉操作により、真空槽
1内に所要のガスを導入することができる。一方、ガス
排気管5は真空ポンプ7と連通しており、真空ポンプ7
の吸引力で真空槽1内のガスを吸引して排気できるよう
になっている。なお、ガス排気管5の中間部には、真空
吸引動作の実行/停止を制御するための電磁弁8が設け
てある。さらに、真空槽1には大気開放管9が接続して
あり、同管9の中間部に設けたベント弁10を開放する
ことにより、真空槽1内の圧力を大気圧とすることがで
きる。
実施形態における表面処理方法は、次の行程を含むこと
を特徴とする。 (1)真空槽内にチタン、あるいは装飾部材100を配
置し、加熱して焼鈍処理する加熱工程。 (2)加熱工程の後、微量の酸素成分を含有する窒素主
体の混合ガスを前記真空槽内に導入し、所定の減圧状態
下で該真空槽1内を700〜800℃の温度で所定時間
加熱することにより、装飾部材100の表面から内部へ
窒素および酸素を拡散固溶させる硬化処理工程。 (3)硬化処理工程の後、装飾部材100を常温まで冷
却する冷却工程。
の研磨加工によって、装飾部材100の表面に発生する
加工歪層を緩和する目的で、前記装飾部材100を加熱
し焼鈍処理する行程である。研磨加工により生ずる加工
歪層は、研磨加工時の応力が格子歪として残存するもの
で、アモルファス相か、あるいは結晶性が低下した状態
となっている。研磨加工後の装飾部材100に対し、焼
鈍処理する加工工程を省略して次の硬化処理工程を実施
した場合、同硬化処理工程において、加工歪層を緩和し
ながら窒素および酸素の拡散、固溶を進行させることに
なる。
窒素と酸素との反応量が高まり、内部への拡散、固溶量
が減少するとともに、表面近傍に着色物質である窒化物
および酸化物が形成される。これら着色物質の形成は、
外観品質を低下させるため好ましくない。このため、本
実施形態においては硬化処理工程の前に加熱工程を挿入
して加工歪を事前に除去し、硬化処理工程における窒素
および酸素の固溶を促進している。この加熱工程は、真
空槽内を真空排気した減圧状態の下で行なうことが好ま
しい。あるいは、真空槽内を真空排気した後、該真空槽
内に不活性ガスを導入した減圧状態下で行なうことが好
ましい。加熱工程をこのような雰囲気下で行なうことに
より、装飾部材が窒素および酸素成分(硬化処理工程で
導入)以外の不純物と反応することを防止することがで
きる。
含有する窒素主体の混合ガスを前記真空槽内に導入し、
装飾部材100の表面から内部へ窒素および酸素を拡散
固溶させる。この硬化処理工程によって、装飾部材10
0の表面近傍に、窒素と酸素が固溶した第1の硬化層を
形成するとともに、装飾部材100の深さ方向に酸素が
深く固溶した第2の硬化層が形成される。混合ガスに含
有される微量の酸素成分としては、酸素を含有する各種
のガスを利用できる。例えば、酸素ガス、水素ガス、水
蒸気、エチルアルコールやメチルアルコールなどが上記
酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気とともに二
酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させてもよ
い。
00に対し、窒素と微量の酸素成分が化合物を形成する
ことなく装飾部材100の内部へと拡散、固溶されなけ
ればならない。そのためには、同工程における処理温度
が重要となる。そこで、この最適処理温度を求めるた
め、JIS規格で定義された鏡面外観を有するチタン第
2種材を被処理部材とし、処理温度を630〜830℃
の範囲で変化させて本発明方法に基づく表面処理を実施
した。微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスと
しては、99.4%の窒素に、2000ppm(0.2
%)の酸素と、4000ppm(0.4%)の水素とを
添加した混合ガスを用いた。真空槽内は減圧状態とし、
5時間の加熱処理を行なった。
カース硬度を測定した結果を図1に示す。同図から明ら
かなように、処理温度が700℃より低いと、ビッカー
ス硬度がHv=750以下となり、充分な硬化処理がな
されなかった。これは、700℃より低い処理温度で
は、被処理部材に対し、窒素および酸素が充分に拡散、
固溶しないため、第1の硬化層および第2の硬化層が適
正に形成されないことに起因する。一方、処理温度が8
00℃より高温の場合、被処理部材に対し窒素と酸素の
拡散、固溶速度が大きく、深い領域まで硬化層が得られ
る。このためビッカース硬度はHv=1100以上とな
った。
被処理部材の結晶粒が粗大化して表面粗れが発生するこ
とがわかった。したがって、800℃を越える処理温度
とした場合、外観品質を良好に保てない。この場合、表
面粗れが発生するため、後工程に表面研磨などを挿入す
る必要があった。以上の結果を踏まえ、700〜800
℃の温度範囲内で硬化処理工程を実施することとした。
上述した窒素主体の混合ガスにおける酸素成分の含有濃
度は任意でよいが、好ましくは窒素に対して酸素成分の
濃度を100〜30000ppmに調整する。すなわ
ち、酸素成分の濃度が100ppm(0.01%)より
小さいと酸素の固溶が充分に行なわれず、一方、酸素成
分の濃度が30000ppm(3%)を越えると、装飾
部材の表面に酸化物層が形成され、表面粗れを発生する
おそれがある。
は任意でよいが、好ましくは0.01〜10Torrの
範囲内に真空槽内の圧力を調整する。また、硬化処理工
程において用いられる混合ガスに含有される微量の酸素
成分としては、酸素を含有する各種のガスを利用でき
る。例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルアル
コールやメチルアルコールなどのアルコールガスなどが
上記酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気ととも
に二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させても
よい。
は、硬化処理工程を終了した前記装飾部材100を、速
やかに常温まで下げることを目的とする。この冷却工程
は、硬化処理工程と同一のガス雰囲気で実施しないよう
にすることが好ましい。硬化処理工程と同一のガス雰囲
気で冷却工程を実施した場合、前記装飾部材100の表
面に窒化物や酸化物が形成され、外観品質を低下させて
しまうおそれがある。そこで、この冷却工程は、アルゴ
ン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気で実施することが
好ましい。すなわち、冷却工程は、真空槽内を高真空排
気して微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを
除去し、続いて真空槽内に不活性ガスを導入した減圧状
態下で常温まで冷却することが好ましい。なお、冷却工
程は、真空雰囲気の下で実施してもよい。
具体的な処理条件について述べる。まず、基材(被処理
部材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種材
を熱間鍛造、冷間鍛造、あるいは両者の組み合わせによ
って、所望の形状に加工した装飾部材を製作した。ま
た、装飾部材100の形状が鍛造加工で得にくい場合に
は、切削加工を施しても良い。次いで、装飾部材100
をバフ研磨で研磨して、装飾部材の表面を鏡面に仕上げ
た。
前記装飾部材100の表面硬化処理を行った。まず、前
記表面処理装置の真空槽1の内部をガス排気管5を通じ
て残留ガス雰囲気の影響が排除される1×10-5Tor
r以下の圧力まで高真空排気した後、ヒータ3により装
飾部材100を650〜830℃の温度で加熱する。こ
の加熱状態を30分間保持して、装飾部材100を焼鈍
処理する(加熱工程)。
て、99.5%の窒素に5000ppm(0.5%)の
酸素を添加した混合ガスを導入する。そして、真空槽1
の内部圧力を0.2Torrに調整するとともに、焼鈍
処理したときの温度(650〜830℃)をほぼ保ちな
がら5時間の加熱を実行する。この硬化処理工程によ
り、装飾部材100の表面に窒素104および酸素10
5を吸着、拡散させるとともに、装飾部材100の表面
から内部へ窒素104および酸素105を固溶させるこ
とにより、第1の硬化層102と第2の硬化層103か
らなる内部硬化層101が形成される(図2参照)。
(硬化処理工程)。この後、上記混合ガスの供給を停止
して、真空排気を行ないながら常温まで冷却した(冷却
工程)。
る処理温度を変えた複数の結果を比較する。装飾部材と
して、JIS規格で定義されたチタン第2種材からなる
鏡面外観を有するものを使用した。加熱工程および硬化
処理工程は、650〜830℃の温度範囲で処理温度を
種々変化させて実行した。その後、硬さ、窒素および酸
素の拡散深さと濃度、表面粗れ、表面組織における結晶
粒の大きさを、それぞれ測定評価した。硬さは、ビッカ
ース硬度計により測定し、表面から1.0μmの深さで
の硬度Hv=750以上を合格とした。窒素および酸素
の拡散深さと濃度は、2次イオン質量分析計(SIM
S)により測定した。表面粗れは、表面粗さ計を使用し
て平均表面粗さRaを測定し、0.4μm以下を合格と
した。結晶粒Rcの大きさは、表面の結晶組織を電子顕
微鏡により測定し、20〜65μmの範囲内にあるもの
を合格とした。これらの測定結果を表1に示す。
熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得
られた装飾部材である。なお、試料番号Scは未処理の
純チタン製の装飾部材である。表1に示したように、試
料番号S1(処理温度650℃)は、表面処理後の平均
表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、と
もに未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と同
等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から
1.0μmの深さにおける硬さがHv=380と低い値
を示した。そこで、同深さ部分の窒素含有量をみると
0.05重量%であり、ほとんど窒素を含有していな
い。すなわち、図2に示す第1の硬化層102が形成さ
れていないことがわかる。さらに、表面から20μmの
深さ部分の酸素含有量も0.01重量%であり、第2の
硬化層103も形成されていないことがわかる。
面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1320
と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大き
く、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化して
おり、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材に用いる
には、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱してい
る。これらに対し、試料番号S2およびS3は、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=820〜93
5と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.
25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μ
mで、未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と
同等な良好の外観品質を保持していた。
ら1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%(具体
的には、0.8〜1.6重量%)の窒素、および1.0
〜14.0重量%(具体的には、1.7〜2.6重量
%)の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1
の硬化層102が形成されていることがわかる。さら
に、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重
量%(具体的には、0.7〜1.0重量%)の酸素を含
有しており、図2に示した第2の硬化層103も形成さ
れていることがわかる。図4は、表面からの深さに対す
る窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図
である。測定対象は、試料番号S2の基材を用いた。
硬化処理された試料番号S2の装飾部材は、表面から深
さ1μmまでの領域に多くの窒素および酸素を固溶して
おり、さらに深い領域では多くの酸素を固溶しているこ
とがわかる。かくして、内部硬化層を備える装飾部材を
得ることができた。前記試料番号S2、S3の装飾部材
は、表面硬化処理前の装飾部材と同等の鏡面品質を保持
していた。
バレル研磨でさらに研磨した。研磨方法について以下に
述べる。まず、遠心バレル研磨機のバレル層内に装飾部
材を配置する。次いで研磨媒体として、くるみのチップ
とアルミナ系研磨剤をバレル層内に入れる。そして、約
10時間かけてバレル研磨を行ない、前記装飾部材の表
面に形成された硬質層における、その表面から0.7μ
mの部分を除去する。これによって、前記装飾部材の表
面にあった微細な歪みが除去され、前記装飾部材の表面
がさらに円滑に均一化された。よって、さらに均一な銀
白色の光沢を放つ鏡面を備えた装飾部材を得た。従っ
て、装飾部材の鏡面の美観を向上させ、装飾的価値を高
めるために、かかるバレル研磨は重要である。
いたが、研磨手段としては、バフ研磨、あるいはバレル
研磨とバフ研磨の組み合わせなど、公知のの機械的研磨
手段を用いればよい。また、第1の硬化層の表面を内部
に向かって深く研磨しすぎると、窒素及び酸素の含有
量、特に窒素の含有量が少ない領域が表面に露呈してし
まう。すなわち、研磨すればするほど、硬度の低い領域
が露呈するため、装飾部材の表面の硬度は低下してしま
う。逆に、研磨する深さが浅いと、美しい鏡面を得るこ
とができない。故に、研磨する深さは、第1の硬化層の
表面から、0.1〜3.0μmに設定される。好ましく
は、0.2〜2.0μm、さらに好ましくは、0.5〜
1.0μmである。研磨する深さを上記の範囲に設定す
ることにより、装飾部材の表面硬度を実用に耐えられる
硬さに維持しつつ、平滑な鏡面を得ることが出来る。詳
しくは、研磨後の装飾部材に、100g荷重で500〜
800Hvの硬度が得られれば良い。
入、イオン窒化、浸炭などの硬化処理と比べ、処理時間
が短く、生産性に優れる。かつ、上記の表面硬化処理を
経た装飾部材は、その表面から20μmもの深い領域ま
で達する硬化層を備えるので、長い間使用しても傷がつ
かない。特に、バレル研磨によって均一な光沢を放つ鏡
面を備えることができるため、装飾的な価値を高めるこ
とができる。
1内に導入する微量の酸素成分を含有する窒素主体の反
応ガスとして、下記の混合ガスを選択しても、同等の結
果が得られた。以下にこれらの測定結果を示す。まず、
混合ガスとして、99.7%の窒素に3000ppm
(0.3%)の水蒸気を添加した混合ガスを選択した場
合の測定結果を表2に示す。
熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得
られた装飾部材である。表2に示したように、試料番号
S5(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗
さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未
処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と同等な良
好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0
μmの深さにおける硬さがHv=405と低い値を示し
た。そこで、同深さ部分の窒素含有量をみると0.06
重量%であり、ほとんど窒素を含有していない。すなわ
ち、図2に示す第1の硬化層102が形成されていない
ことがわかる。さらに、表面から20μmの深さ部分の
酸素含有量も0.01重量%であり、第2の硬化層10
3も形成されていないことがわかる。
面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1400
と高いものの、平均表面粗さがRa=1.2μmと大き
く、また結晶粒もRc=80〜250μmに粗大化して
おり、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材を装飾品
に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱
している。これらに対し、試料番号S6およびS7は、
表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=820
〜940と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa
=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜
60μmで、未処理の純チタン製装飾部材(試料番号S
c)と未処理の純チタンと同等な良好の外観品質を保持
していた。
ら1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%(具体
的には、0.9〜1.6重量%)の窒素、および1.0
〜14.0重量%(具体的には、2.0〜2.5重量
%)の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1
の硬化層102が形成されていることがわかる。さら
に、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重
量%(具体的には、0.8〜1.2重量%)の酸素を含
有しており、図2に示した第2の硬化層103も形成さ
れていることがわかる。図5は、表面からの深さに対す
る窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図
である。測定対象は、試料番号S6の装飾部材を用い
た。同図から明らかなように、本実施例で表面硬化処理
された試料番号S6の装飾部材は、表面から深さ1.0
μmまでの領域に多くの窒素および酸素を固溶してお
り、さらに深い領域では多くの酸素を固溶していること
がわかる。
に2000ppm(0.2%)の酸素、および4000
ppm(0.4%)の水素を添加した混合ガスを選択し
た場合の測定結果を表3に示す。
加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて
得られた装飾部材である。表3に示したように、試料番
号S9(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面
粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに
未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と同等な
良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.
0μmの深さにおける硬さがHv=370と低い値を示
した。試料番号S12(処理温度830℃)は、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=1300と高
いものの、平均表面粗さがRa=1.1μmと大きく、
また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化してお
り、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材を装飾品に
用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱し
ている。これらに対し、試料番号S10およびS11
は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=8
10〜920と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さ
Ra=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=3
0〜60μmで、未処理の純チタン製装飾部材(試料番
号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
2は、先に示した実施例における試料番号S2、S3の
装飾部材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.
6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量
%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の
硬化層102を形成していることが容易に推測できる。
さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.
0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬
化層103を形成していることも容易に推測できる。
に2500ppm(0.25%)の水蒸気、および50
0ppm(0.05%)の二酸化炭素を添加した混合ガ
スを選択した場合の測定結果を表4に示す。
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られた装飾部材である。表4に示したように、試
料番号S13(処理温度650℃)は、表面処理後の平
均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、
ともに未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と
同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=340と低い
値を示した。試料番号S16(処理温度830℃)は、
表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=124
0と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大
きく、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化し
ており、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材を装飾
品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸
脱している。これらに対し、試料番号S14およびS1
5は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=
800〜850と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗
さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=
30〜60μmで、未処理の純チタン製装飾部材(試料
番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
5は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3
の装飾部材と同様、表面から1.0μmまでの深さに
0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0
重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第
1の硬化層102を形成していることが容易に推測でき
る。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜1
4.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2
の硬化層103を形成していることも容易に推測でき
る。
に、7000ppm(0.3%)のエチルアルコールガ
スを添加した混合ガスを選択した場合の測定結果を表5
に示す。
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られた装飾部材である。表5に示したように、試
料番号S17(処理温度650℃)は、表面処理後の平
均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、
ともに未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と
同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=330と低い
値を示した。
表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=120
0と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大
きく、また結晶粒もRc=80〜180μmに粗大化し
ており、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材を装飾
品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸
脱している。これらに対し、試料番号S18およびS1
9は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=
780〜830と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗
さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=
30〜55μmで、未処理の純チタン製装飾部材(試料
番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
9は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3
の装飾部材と同様、表面から1.0μmまでの深さに
0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0
重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第
1の硬化層102を形成していることが容易に推測でき
る。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜1
4.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2
の硬化層103を形成していることも容易に推測でき
る。
排気した後、真空雰囲気中で加熱し焼鈍処理を実施した
が、真空雰囲気に限らず、この加熱工程を装飾部材が反
応しないヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中
で実施してもよい。ただし、この場合にも真空槽内は減
圧状態とすることが好ましい。
真空排気しながら実施したが、真空雰囲気に限らず、こ
の冷却工程を装飾部材が反応しないヘリウム、アルゴン
などの不活性ガス雰囲気中で実施してもよい。ただし、
この場合にも真空槽1内は減圧状態とすることが好まし
い。
の形態)次に第2の実施形態について説明する。第2の
実施形態における各工程の目的および基本的作用は、先
に説明した第1の実施形態と同じである。第2の実施形
態は、先の第1の発明方法と大気圧の下において加熱工
程および硬化処理工程を実施する点で異なっている。ま
た、大気圧の下で加熱工程を実施する際、装飾部材が活
性な金属であることから、同部材が窒素および酸素成分
以外の不純物成分と反応することを防止するために真空
槽内に不活性ガスを導入している点である。この第2の
実施形態においても、加熱工程は、真空槽内を真空排気
した後、該真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧に調
整した雰囲気の下で行なうことが好ましいが、真空槽内
を真空排気した減圧状態の下で行なっても良い。加熱工
程をこのような雰囲気下で行なうことにより、装飾部材
が窒素および酸素成分(硬化処理工程で導入)以外の不
純物と反応することを防止することができる。
を高真空排気して不活性ガスを除去し、続いて微量の酸
素成分を含有する窒素主体の混合ガスを真空槽内に導入
するとともに同真空槽内を大気圧に調整し、かつ該真空
槽1内を700〜800℃の温度で所定時間加熱するこ
とにより、装飾部材の表面から内部へ窒素および酸素を
拡散固溶させる。この硬化処理工程において用いられる
混合ガスに含有される微量の酸素成分としては、酸素を
含有する各種のガスを利用できる。例えば、酸素ガス、
水素ガス、水蒸気、エチルアルコールやメチルアルコー
ルなどのアルコールガスなどが上記酸素成分としてあげ
られる。さらに、水蒸気とともに二酸化炭素ガスまたは
一酸化炭素ガスを含有させてもよい。
却する冷却工程は、第1の実施形態と同様、硬化処理工
程と同一のガス雰囲気で実施しないようにすることが好
ましい。すなわち、冷却工程は、真空槽内を高真空排気
して微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを除
去し、続いて真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧に
調整し、常温まで冷却することが好ましい。なお、冷却
工程は、真空雰囲気の下で実施してもよい。
具体的な処理条件について述べる。まず、第1の実施形
態と同様に、基材(被処理部材)として、JIS規格で
定義されたチタン第2種材を熱間鍛造、冷間鍛造、ある
いは両者の組み合わせによって、所望の形状に加工した
装飾部材を製作した。次いで、前記装飾部材100をバ
フ研磨で研磨して、装飾部材の表面を鏡面に仕上げた。
次に、図3に示す表面処理装置を用いて、前記装飾部材
100の表面硬化処理を行った。まず、真空槽1の内部
をガス排気管5を通して真空ポンプ7により真空吸引
し、残留ガス雰囲気の影響が排除される1×10-2To
rr以下の圧力まで真空排気した後、電磁弁8を閉じ
る。続いて、ガス導入弁6を開き、ガス導入管4を通し
て真空槽1内へアルゴンガス(不活性ガス)を導入する
とともに、大気開放管9のベント弁10を開いて真空槽
1内の圧力を大気圧に調整する。この雰囲気の下で、ヒ
ータ3により装飾部材100を650〜830℃まで3
0分間加熱し焼鈍処理する(加熱工程)。次いで、大気
開放管9のベント弁10およびガス導入管4のガス導入
弁6を閉塞するとともに、ガス排気管5の電磁弁8を開
いて真空ポンプ7による真空排気を実行する。真空排気
は、真空槽1内が1×10-2Torr以下の圧力になる
まで続ける。
るとともに、ガス導入管4のガス導入弁6を開き、真空
槽1内へ99.7%の窒素に3000ppm(0.3
%)の水蒸気を添加した混合ガスを導入する。このと
き、大気開放管9のベント弁10を開き、真空槽1内の
圧力を大気圧に調整する。そして、焼鈍処理したときの
温度(650〜830℃)をほぼ保ちながら5時間の加
熱を実行する(硬化処理工程)。この硬化処理工程によ
り、装飾部材100の表面に窒素104および酸素10
5を吸着、拡散させるとともに、同部材100の表面か
ら内部へ窒素104および酸素105を固溶させること
により、第1の硬化層102と第2の硬化層103から
なる内部硬化層101が形成される(図2参照)。
のベント弁10およびガス導入管4のガス導入弁6を閉
じるとともに、ガス排気管5の電磁弁8を開いて、真空
ポンプ7により真空槽1内を1×10-2Torr以下の
圧力まで真空排気して、上記混合ガスを除去する。続い
て、ガス排気管5の電磁弁8を閉じるとともに、ガス導
入管4のガス導入弁6を開き、アルゴンガスを導入す
る。同時に大気開放管9のベント弁10を開き、真空槽
1内の圧力を大気圧に調整する。この雰囲気中で装飾部
材を常温まで冷却した(冷却工程)。
材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種材か
らなる鏡面外観を有するものを使用した。加熱工程およ
び硬化処理工程は、650〜830℃の温度範囲で処理
温度を種々変化させて実行した。その後、硬さ、表面粗
れ、表面組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定
評価した。硬さは、ビッカース硬度計により測定し、表
面から1.0μmの深さでの硬度Hv=750以上を合
格とした。表面粗れは、表面粗さ計を使用して平均表面
粗さRaを測定し、0.4μm以下を合格とした。結晶
粒Rcの大きさは、表面の結晶組織を電子顕微鏡により
測定し、20〜65μmの範囲内にあるものを合格とし
た。これらの測定結果を表6に示す。
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られた装飾部材である。表6に示したように、試
料番号S21(処理温度650℃)は、表面処理後の平
均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、
ともに未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と
同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=360と低い
値を示した。試料番号S24(処理温度830℃)は、
表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=141
0と高いものの、平均表面粗さがRa=1.3μmと大
きく、また結晶粒もRc=80〜250μmに粗大化し
ており、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材を装飾
品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸
脱している。
3は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=
840〜1050と充分に高い値を示し、かつ平均表面
粗さRa=0.25〜0.35μm、結晶粒の大きさR
c=30〜60μmで、未処理の純チタン製装飾部材
(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持してい
た。この結果から、試料番号S22およびS23は、先
に示した実施例1における試料番号S2、S3の装飾部
材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜
8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の
酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化
層102を形成していることが容易に推測できる。
0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に
示した第2の硬化層103を形成していることも容易に
推測できる。かくして、内部硬化層を備える装飾部材を
得る。試料番号S22、S23の装飾部材は、表面硬化
処理前の装飾部材と同等の鏡面品質を保持していた。ま
た、硬化処理工程において、真空槽1内に導入する不活
性ガスとして、ヘリウムガスを選択しても、同等の結果
が得られた。なお、加熱工程および硬化処理工程は、第
2の実施形態と同じく650〜830℃の温度範囲で処
理温度を種々変化させて実行し、その後、硬さ、表面粗
れ、表面組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定
評価した。以下、不活性ガスとしてヘリウムガスを選択
した場合の測定結果を表7に示す。
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られた装飾部材である。表7に示したように、試
料番号S25(処理温度650℃)は、表面処理後の平
均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、
ともに未処理の純チタン製装飾部材(試料番号Sc)と
同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=330と低い
値を示した。試料番号S28(処理温度830℃)は、
表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=122
0と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大
きく、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化し
ており、表面粗れが顕著に認められた。装飾部材を装飾
品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸
脱している。
7は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=
780〜840と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗
さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=
30〜60μmで、未処理の純チタン製装飾部材(試料
番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。こ
の結果から、試料番号S26およびS27は、先に示し
た実施例1における試料番号S2、S3の装飾部材と同
様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重
量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の酸素をそ
れぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102
を形成していることが容易に推測できる。
0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に
示した第2の硬化層103を形成していることも容易に
推測できる。なお、本実施形態では加熱工程を大気圧の
アルゴン雰囲気で、または大気圧のヘリウム雰囲気で実
施したが、これらの雰囲気に限らず、この加熱工程を真
空雰囲気で実施してもよい。また、本実施形態では冷却
工程を大気圧のアルゴン雰囲気で、または大気圧のヘリ
ウム雰囲気で実施したが、これらの雰囲気に限らず、こ
の冷却工程を真空雰囲気で実施してもよい。
されるものではない。上記各実施形態では、ヒータ3を
用いて装飾部材を加熱し、窒素および酸素を固溶させて
いたが、その他にも例えば、プラズマを利用して装飾部
材へ窒素および酸素を固溶させてもよい。また、硬化処
理工程において真空槽1内に導入する微量の酸素成分を
含有する窒素主体の混合ガスとしては、上記各実施例で
使用したものに限定されず、例えば、窒素ガスに一酸化
窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの酸素
成分を含むガスを添加したものであってもよい。さらに
加えて、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガス
や、水素成分、ホウ素成分、炭素成分を含むガスを微量
添加してもよい。
理時間は30分間に設定したが、これに限定されるもの
ではなく、例えば30分〜2時間の範囲で任意に設定す
ることができる。さらに、各実施形態において、硬化処
理工程の処理時間は5時間に設定したが、これに限定さ
れるものではなく必要に応じて任意に設定することがで
きる。ただし、硬化処理工程の処理時間が1時間に満た
ないと、窒素および酸素の拡散固溶が充分に進行せず、
必要な硬度を得られないおそれがある。一方、硬化処理
工程の処理時間が10時間を越えると装飾部材に表面粗
れを生じるおそれがある。したがって、硬化処理工程の
処理時間は、1〜10時間の範囲内に設定することが好
ましい。本発明においては、上記のように形成された内
部硬化層の上に直接、又は硬質装飾層を介して硬質透明
ガラス層が形成されている。その硬質透明ガラス層は硬
質ガラス保護層とその上に形成されたシリカ層とよりな
る。 (硬質透明ガラス層の形成)表面処理された装飾部材表
面に、けい酸ナトリウムとシリカゾルとの水性混合液
(SiO2/Na2O=4〜10)を塗布し、これを空気
中で加熱乾燥して硬質ガラス保護層が形成され、その硬
質ガラス保護薄層表面にけい酸アルキエステル類から誘
導されるシリカ層を形成して硬質透明ガラス層が形成さ
れる。更に詳しくは装飾部材表面を、脱脂・洗浄等によ
り表面処理し、これを空気中で乾燥した後、その表面に
SiO220〜21重量%とNa2Oを3.8〜4.4重
量%を含んだコロイド液を純水で4〜8倍に希釈して塗
布し、加熱乾燥して硬質ガラス保護薄層を形成し、更
に、その表面に有機けい酸エステルの部分加水分解溶液
を塗布し、加熱、焼成してシリカ層を形成することを特
徴とする。その最上層のシリカ層の形成に用いられる処
理剤は、けい酸アルキルエステルの部分加水分解溶液で
あって、下記式 R´nSi(OR)4-n (式中、Rは低級アルキル基から選択され、R´はメチ
ル基又はフェニル基であり、nは0、1、2又は3であ
る。)で表わされる有機けい酸アルキルエステル類を部
分加水分解して調整される。その最上層の形成に用いら
れる有機けい酸アルキルエステル類原料として最も好ま
しいものは、エチルシリケート系のものである。この表
層は望ましくは膜厚が約1〜3μmであって、これに関
連して、その部分加水分解溶液の濃度は、約20〜40
重量%程度が好適に採用される。また、これらの溶液
は、同様に浸漬、スプレー等の通常の方法により塗布さ
れ、150℃〜300℃の温度で、30分ないし120
分間加熱乾燥後、焼成して所望の薄いシリカ層のSiO
2被膜に形成される。この最上層は、硬度が9Hのレベ
ルで、それ自身は傷の防止には充分な効果がないが、下
地の薄い硬質ガラス保護層との組合せ二重層によって傷
の付かない表層が形成される。
るに、内部硬化層101を表面を#100〜#300の
ガラスビーズで圧力3ATMによりホーニング処理して
凹凸模様であるホーニング仕上げ面101aを形成す
る。次に、内部硬化層を有するチタン、あるいはチタン
合金からなる装飾部材の上に、金色色調の硬質装飾層が
形成される。図6(a)に示す通り、装飾部材100で
あるカメラボディの表面に形成された内部硬化層101
の上に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーン
グ法によって、金色の硬質装飾層として窒化チタンから
成るTiN硬質装飾層23が被覆される。
る。まず、内部硬化層101が形成されたカメラボディ
をイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオ
ンプレティーング装置内に配置した。イオンプレティー
ング装置は、一般に使用されているものでかまわないの
で、その説明は図面を含めて省略する。
まで排気した後、不活性ガスとしてアルゴンガスを3.
0×10-3Torrまで導入した。次に、装置内部に備
えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させ
て、アルゴンのプラズマを形成した。同時にカメラボデ
ィ1に−50Vの電位を印加して、10分間ボンバード
クリーニングを行った。
置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入し
た。そして、装置内部の備えられた電子銃でプラズマを
発生させた後、チタンを10分間蒸発させて、カメラボ
ディの内部硬化層101の上にTiN硬質装飾層23を
0.5μmの膜厚で形成した。
TiN硬質装飾層23が金と同じような光学的特性を備
えるが故に、均一な金色色調を呈した。これにより、カ
メラボディの装飾的な価値をさらに高めることができ
た。また、このTiN硬質装飾層23を被覆したカメラ
ボディの表面硬度(HV)は、50g荷重で800に達
した。TiN硬質装飾層23を被覆したカメラボディ
は、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備えていた。
その上、被膜表面に強い力が加わっても、装飾部材表面
に凹凸ができにくくなると共に、被膜の剥がれも無くな
った。このように、内部硬化層101より硬質なTiN
硬質装飾層23を被覆することにより、表面硬化処理を
施したカメラボディが、さらに傷つきにくくなった。
オンプレティーング法に限らず、スパッタリング法や真
空蒸着法などの公知の手段を用いることができる。
質装飾層として、周期律表の4a、5a、6a族元素
(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
W)の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物
を採用することができる。周期律表の4a、5a、6a
族元素をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたと
き、窒化度を示すxの値が1より小さくなるにしたがっ
て、前記Mの窒化物MNxの被膜の色調は金色から淡黄
色に近づく。また、窒化度を示すxの値が1より大きく
なるにしたがって、被膜の金色は、赤味を帯びてくる。
また、窒化度を示すxの値が、0.9〜1.1の範囲で
あれば、金、あるいは金合金の色調に近い金色を窒化物
MNxの被膜上形成することができる。特に、窒化度を
示すxの値が、x=1の時、Mの窒化物MNxの被膜
は、充分な硬度を備える硬質装飾層であると同時に、
金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈する。
化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても、それ
らの炭化度、酸化度、窒化度を所定の範囲に制御するこ
とにより、それらの被膜に金、あるいは金合金の色調に
最も近い金色の色調を付与できる。特に、TiN硬質装
飾層とZrN被膜は、充分な硬度を備える硬質装飾層で
あると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金
色を呈するので好ましい。また、Mの窒化物MNxの膜
厚が薄いと、被膜に有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性
を得ることができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、被
覆にかかる時間が長くなって、被膜のコストが高くな
る。よって、Mの窒化物MNxの被膜の膜厚は、好まし
くは0.1〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.2
〜5μmの範囲に制御される。
ス層14が形成される。アルカリ脱脂及び水洗予備処理
を行った面に、20重量%のSiO2と4.0重量%の
Na2Oを含んだけい酸ナトリウムとシリカゾルの混合
コロイド液を、イオン交換樹脂により炭酸ガスを除去し
た純水で約6倍に希釈し、上記カメラボディを浸漬して
その表面に付着させた。次いで約200℃の温度で約6
0分間乾燥して、約1.5μmの硬質ガラス保護層14
aを得た。
ルシリケートの部分加水分解物の60重量%溶液を焼く
30重量%に希釈して浸漬塗布し、約250℃の温度で
約60分間乾燥、焼付けして約2.5μm厚のシリカ層
14bを形成させた。次に、上記の硬質透明ガラス層1
4についての各種試験方法及びその評価は次の通りであ
る。 (1)耐湿性:温度60℃、相対湿度95%の雰囲気条
件下に、24時間保持して、その状態を調べた。 (2)耐摩耗性:スガ試験機(NUS−ISO−1)を
用いて調べた。 (3)人工汗:下記成分を含んだ水溶液中に48時間浸
漬して、その耐性を調べた。 《水溶液成分》NaCl:9.9g/l、Na2S:
0.8g/l、(NH2)2CO:1.7g/l、CH3
CHOHCOOH:1.7g/l、及びNH4OH:
0.2ml:これらの各方法は、その定性的評価を次の
記号で表中に示した。 ◎・・・優秀 ○・・・良好 ×・・・不良 実施例1を上記各種試験方法によりテストし、それらの
結果及び評価を後記表8に示した。
である携帯電話のケースに適用したものである。この実
施例では硬質装飾層は形成されず、図7に示すように内
部硬化層101の上に直接硬質透明ガラス層14が形成
されている。ホーニング仕上げ面は実施例1と同じく#
100〜#300のガラスビーズで圧力3ATMで行っ
た(凹凸模様は図示せず。)。また硬質透明ガラス層1
4も硬質ガラス保護層は約1.5μm、シリカ層は約
2.5μmで実施例1の条件と同じである。
帯ラジオのボディに適用したものである。実施例1と同
じ方法によって内部硬化層が形成された、チタン、ある
いはチタン合金からなる装飾部材100である携帯ラジ
オのボディの上に、黒色色調の硬質装飾層として硬質カ
ーボン被膜を被覆する。硬質カーボン層は、ダイヤモン
ドに似た優れた特性を備えることから、ダイヤモンド・
ライク・カーボン(DLC)として、広く知られてい
る。この説明には図8が参照される。図に示すように、
携帯ラジオのボディの表面に形成された内部硬化層10
1の上に、乾式メッキ法によって黒色の硬質カーボン層
25が被覆される。
以下の通りである。まず、内部硬化層101が形成され
た携帯ラジオボディをイソプロピルアルコール等の有機
溶剤で洗浄し、真空装置内に配置した。そして、高周波
プラズマCVD法を用いて、以下の条件にしたがって、
内部硬化層101の上に硬質カーボン層25を2μm形
成した。 〔形成条件〕 ガス種 :メタンガス 成膜圧力 :0.1Torr 高周波電力 :300ワット 成膜速度 :毎分0.1μm このようにして、硬質カーボン層25が内部硬化層10
1の上に密着良く被覆された。
は、硬質カーボン層25の被覆により均一な黒色色調を
呈した。これにより、携帯ラジオボディの装飾的な価値
をさらに高めることができた。また、この硬質カーボン
層25を被覆した携帯ラジオボディの表面硬度(HV)
は、3000から5000に達した。このように、内部
硬化層101より硬質な層25を被覆することにより、
表面硬化処理を施した携帯ラジオのボディが、さらに傷
つきにくくなった。
0.1〜3.0μmの範囲、さらに好ましくは0.5〜
2.5μmの範囲に制御される。また、硬質カーボン層
25を被覆するには、RFP−CVD法の他に、DCプ
ラズマCVD法やECR法などの様々気相成膜法を用い
ることができる。また、イオンビーム法、スパッタリン
グ法、あるいはイオンプレティーング法などの物理蒸着
法を採用してもよい。
1と硬質カーボン層25との間に中間層被膜26を形成
すると、硬質カーボン層25が装飾部材100の表面に
さらに強く密着するので好ましい。中間層26の形成方
法は、例えば以下の通りである。乾式メッキ法、たとえ
ばスパッタリング法により、チタンを主体とした下層で
あるTi被膜26aを内部硬化層101の上に0.1μ
m被覆した。さらに、スパッタリング法により、シリコ
ンを主体とした上層であるSi被膜26bをTi被膜2
6aの上に0.3μm被覆した。その後、たとえば、高
周波プラズマCVD法を用いて、前述の条件にしたがっ
て、硬質カーボン層25をSi被膜26bの上に2μm
被覆すれば良い。
被膜に代えることができる。また、上記のSi被膜26
bは、ゲルマニウム(Ge)被膜に代えることができ
る。さらに、シリコンを主体とした上層であるSi被膜
26bに代えて、タングステン、炭化タングステン、炭
化珪素、および炭化チタンのうちのいずれかを主体とす
る上層を採用することができる。中間層としては、この
ような積層被膜の他にも、IVa族、あるいはVa族金
属の炭化物の単層を被覆しても良い。特に、過剰な炭素
を含有する炭化チタンの被膜は、炭素硬質装飾層との密
着強度が高いので好ましい。
打ち模様、即ち、金型に形成された細かな凹凸模様で実
施例1及び2より凹凸模様が少し浅い(凹凸模様は図示
せず)。硬質カーボン層25の上に硬質透明ガラス層1
4が以下に記載の工程により形成された。即ち、硬質カ
ーボン層25を形成した後、アルカリ脱脂及び水洗予備
処理を行い、次に20重量%のSiO2と4.0重量%
のNa2Oを含んだけい酸ナトリウムとシリカゾルの混
合コロイド液を、イオン交換樹脂により炭酸ガスを除去
した純水で約4倍に希釈し、この液を上記予備処理済表
面にスプレー方式で付着させた。次いで約250℃の温
度で約40分間乾燥して、約2.5μmの硬質ガラス保
護層14aを得た。次に、この硬質ガラス保護層の上
に、エチルシリケートの加水分解物の60重量%の溶液
を約30重量%に希釈してスプレー方式で塗布し、約2
00℃の温度で約80分間エチルシリケートを焼付け処
理して約1.5μm厚のシリカ層14bを形成させた。
で銀白色と金色との2トーン仕上げになっている。実施
例1と同じ方法によって内部硬化層が形成されたチタ
ン、あるいはチタン合金からなる装飾部材100である
バンドの表面の一部分に、金色色調の硬質装飾層が被覆
される。この説明には図10から12が参照される。図
11に示す通り、バンドの表面の一部分に、乾式メッキ
法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色
色調の硬質装飾層として窒化チタンから成るTiN硬質
装飾層27が被覆される。
的形成方法について説明する。まず、図10に示すよう
に、内部硬化層101が形成されたバンドの表面の所望
の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、ある
いはマスキングインクを印刷して、マスキング層28を
形成した。次に、マスキング層28を形成したバンドを
イソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオン
プレティーング装置内に配置した。なお、イオンプレテ
ィーング装置は、一般に使用されているものでかまわな
いので、その説明は図面を含めて省略する。
まで排気した後、不活性ガスであるアルゴンガスを3.
0×10-3Torrまで導入した。次に、装置内部に備
えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させ
て、アルゴンのプラズマを形成した。同時にバンドに−
50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニ
ングを行った。
置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入し
た。そして、装置内部の備えられたプラズマ銃でプラズ
マを発生させた後、チタンを10分間蒸発させた。よっ
て、図11に示すように、バンドの硬化層101の表面
にTiN硬質装飾層27、およびマスキング層28の表
面にTiN硬質装飾層27aを共に0.5μmの膜厚で
形成した。
るいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸
化水素を添加した剥離溶液によりマスキング層28を膨
潤させ、リフトオフ法により、マスキング層28および
その上に積層されたTiN硬質装飾層27aを剥離し
た。よって、図12に示すように、TiN硬質装飾層2
7が被覆された金色色調を呈する部分と、TiN硬質装
飾層が被覆されていないチタン、あるいはチタン合金の
銀白色を呈する部分とを有するバンドを得た。これによ
り、バンドの装飾的価値をさらに高めることができた。
で説明したような化学的マスキング層を設ける他に、機
械的なマスキング手段を用いても良い。すなわち、窒化
チタン硬質装飾層を被覆する前に、予め駒の任意の部分
に金属製のキャップを被せておき、窒化チタン硬質装飾
層を被覆後、かかるキャップを取除けば良い。すると、
キャップが被せられていた駒の部分には窒化チタン硬質
装飾層が被覆されず、キャップが被せられなかった部分
には窒化チタン硬質装飾層が被覆される。
的に被覆される硬質装飾層として窒化チタン硬質装飾層
を用いた例で説明した。しかしながら、実施例1で説明
したように、乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾
層として、周期律表の4a、5a、6a族元素の窒化
物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用でき
る。特に、実施例3で用いた硬質カーボン層を、部分的
に被覆される硬質装飾層として採用しても良い。する
と、硬質カーボン層が被覆された黒色色調を呈する部分
と、硬質カーボン層が被覆されていないチタン、あるい
はチタン合金の銀白色を呈する部分とを有するバンドを
得る。ホーニング仕上げは実施例1と同じであり(凹凸
模様は図示せず。)、硬質透明ガラス層14は実施例3
の条件と同じである。
施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された、チ
タン、あるいはチタン合金からなる装飾部材100であ
るライターのボディの表面に、金色色調の硬質装飾層が
被覆される。さらに、金色の硬質装飾層の上に金合金被
膜が被覆される。この説明には図13が参照される。
尚、以後の図には硬質透明ガラス層14の図示を省略す
る。図に示す通り、内部硬化層101が形成されたライ
ターボディの表面に、乾式メッキ法の1つであるイオン
プレティーング法によって、金色の硬質装飾層である窒
化チタンから成るTiN硬質装飾層29が被覆される。
TiN硬質装飾層29の上に、金合金被膜としての金−
チタン合金被膜30が被覆される。
29と金−チタン合金被膜30の形成方法を説明する。
まず、内部硬化層101が形成されたライターボディを
イソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオン
プレティーング装置内に配置した。イオンプレティーン
グ装置は、一般に使用されているものでかまわないの
で、その説明は図面を含めて省略する。次いで、装置内
を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガス
であるアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入
した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメント
とプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形
成した。同時にライターボディに−50Vの電位を印加
して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させ
て、ライターボディの表面全体にTiN硬質装飾層29
を0.5μmの膜厚で形成した。次いで、チタンの蒸発
と窒素ガスの導入を止め、装置内を1.0×10-5To
rrまで排気した。次いで、装置内にアルゴンガスを
1.0×10-3Torrまで導入してプラズマを発生さ
せた後、金50原子%とチタン50原子%とからなる金
−チタン混合物を蒸発させ、金−チタン合金被膜30を
形成した。そして、金−チタン合金被膜30の厚みが
0.3μmになったところで金−チタン混合物の蒸発を
止めた。
均一な金色色調を呈した。これにより、ライターボディ
の装飾的な価値を高めることができた。また、最外層被
膜に金−チタン合金被膜30を被覆したことにより、T
iN硬質装飾層29よりさらに暖かみのある金色色調を
呈するライターボディを得た。これにより、ライターボ
ディの美観をさらに高めることができた。
える厚い膜厚でなければ、有効な耐摩耗性、耐食性、あ
るいは耐擦傷性を得ることができない。金は、非常に高
価な金属である。よって、かかる金合金被膜を厚く被覆
することは、被膜のコストを大幅に高くしてしまう。し
かしながら、本実施例においては、金合金被膜からなる
最外層被膜の下に、硬質なTiN硬質装飾層を設けた。
TiN硬質装飾層が、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷
性を備えるため、金合金被膜からなる最外層被膜は薄く
ても良い。これにより、高価な金の使用量が減るため、
被膜のコストを安価にすることができるという利点があ
る。
最外層被膜が部分的に摩耗して、その下のTiN硬質装
飾層が露見する可能性があるが、いかなる局部的な最外
層被膜の摩耗も決して目立つことはない。なぜならば、
TiN硬質装飾層は、金と同じような光学的特性を備
え、金色色調を有するからである。金色色調の金合金被
膜からなる最外層被膜が摩耗した部分の下から、同じ金
色色調のTiN硬質装飾層が現れる。従って、金合金被
膜からなる最外層被膜を薄くしても、その摩耗が視認さ
れないので、美観と装飾的価値を維持することができ
る。
チタン硬質装飾層を用いたが、この他に乾式メッキ法で
被覆される金色の硬質装飾層として、周期律表の4a、
5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化
物、窒炭酸化物を採用することができる。また、金合金
被膜として、上記した金−チタン合金層以外にも、A
l、Si、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、A
g、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Ir、Ptか
ら選ばれた少なくとも1つと金との合金を形成させるこ
とができる。
れるいくつかの金合金被膜を被覆したライターボディが
皮膚に接触すると、汗などの電解溶液により金属イオン
が溶出する。すると、ライターボディが接触する皮膚に
金属アレルギーを引き起こす可能性がある。特に、溶出
されるニッケルイオンは、金属アレルギーの症例が最も
多い金属イオンとして知られている。逆に、鉄は、金属
アレルギーの症例が極めて少ない金属である。チタンに
関する金属アレルギーの症例は、未だ報告されていな
い。よって、金属アレルギーを考慮するならば、最外層
被膜に用いる金合金被膜としては、金−鉄合金、あるい
は金−チタン合金が好ましい。本実施例において模様は
ヘアーライン模様で、内部硬化層形成前と、内部硬化層
形成後の2回行ない、青銅の金属ブラシでライターのケ
ース表面全体に、金属ブラシを上下させ、模様付けを行
った。尚、模様付を2回行なったのは、凹凸模様が非常
に浅いためで、品質の良好な模様を入れるためである
(凹凸模様は図示せず)。硬質透明ガラス層は実施例1の
条件である。
の2トーン仕上げになっている。実施例4に記載した、
装飾部材の表面に部分的に被覆された金色色調の硬質装
飾層の上のみに、実施例5に記載した金合金被膜を被覆
したもので、この例を図14と15に示す。
タンから成るTiN硬質装飾層31、および金合金被膜
として金−チタン合金被膜32を部分的に形成する方法
について簡単に説明する。内部硬化層101が形成され
た装飾部材100であるバンドの表面の所望の部分に、
エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキ
ングインクを印刷して、マスキング層33を形成した。
次に、マスキング層33を形成したバンドをイソプロピ
ルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティー
ング装置内に配置した。
レティーング法を用いて、バンドの内部硬化層101の
表面、およびマスキング層33の表面にTiN硬質装飾
層31、31aを0.5μmの膜厚で形成した。次い
で、TiN硬質装飾層31、31aの上に金−チタン合
金被膜32、32aを0.3μmの膜厚で形成した。
るいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸
化水素を添加した剥離溶液に浸漬し、よってマスキング
層33を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層
33およびその上に積層されたTiN硬質装飾層31
a、および金−チタン合金被膜32aを剥離した。よっ
て、 TiN硬質装飾層31と金−チタン合金被膜32
が被覆された金色色調を呈する部分と、それらの被膜が
被覆されていないチタン、あるいはチタン合金の銀白色
を呈する部分とを有するバンドを得た。
ように、窒化チタン硬質装飾層以外の様々な硬質装飾層
を採用できる。また、金−チタン合金層以外にも、様々
な金合金層を採用できる。ホーニング仕上げは実施例1
と同じであり(凹凸模様は図示せず。)、硬質透明ガラス
層は実施例3の条件で形成された。
2トーンに仕上げられる。実施例1と同じ方法によって
内部硬化層が形成された装飾部材の表面に、第1の硬質
装飾層が被覆される。さらに、第1の硬質装飾層の表面
に一部分に、第1の硬質装飾層とは異なる色調の第2の
硬質装飾層が被覆される。この説明には図16から18
が参照される。
によって、内部硬化層101が形成された装飾部材10
0である腕時計のケースの表面に、第1の硬質装飾層で
ある金色色調の窒化チタンから成るTiN硬質装飾層2
3を被覆した。TiN硬質装飾層23の表面の所望の部
分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいは
マスキングインクを印刷するなどして、マスキング層3
3を形成した。
装飾層23の表面に、第2の硬質装飾層である白色色調
の炭化チタンから成るTiC硬質装飾層34を、マスキ
ング層33の表面に同じくTiC硬質装飾層34aを被
覆した。
し、よってマスキング層33を膨潤させ、リフトオフ法
により、マスキング層33およびその上に積層されたT
iC硬質装飾層34aを剥離した。よって、図18に示
すように、金色のTiN硬質装飾層23の表面の一部分
に、白色のTiC硬質装飾層34が積層された。このよ
うにして、TiN硬質装飾層23に被覆された金色色調
を呈する部分と、TiC硬質装飾層34が被覆された白
色を呈する部分とを有する腕時計のケースを得た。これ
により、腕時計のケースの装飾的価値をさらに高めるこ
とができた。また、内部硬化層101より硬質な層23
と34を被覆することにより、表面硬化処理を施した腕
時計のケースが、さらに傷つきにくくなった。
例5に記載したように、窒化チタンや炭化チタン被膜以
外の様々な硬質装飾層を採用できる。あるいは、第1の
硬質装飾層と第2の硬質装飾層のいずれかを、実施例3
に記載した炭素硬質装飾層とすることができる。また、
それらの被膜の種類に合わせて、マスキング層33と剥
離溶液の種類は適宜選択できる。
をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、第
1の硬質装飾層と第2の硬質装飾層を共にMNx被膜と
することもできる。この場合、第1の硬質装飾層におけ
る窒化度を示すxの値と、第2の硬質装飾層におけるx
の値が異なるように被覆すれば、第1の硬質装飾層と第
2の硬質装飾層の色調が異なるように被覆できる。炭化
物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても同様であ
る。模様は実施例1と同じホーニング仕上げであり(凹
凸模様は図示せず。)、硬質透明ガラス層も実施例1の
条件で行った。
で金色と白色との2トーンに仕上げられている。実施例
1と同じ方法によって内部硬化層が形成された装飾部材
の表面の一部分に、第1の硬質装飾層が被覆される。さ
らに、装飾部材の表面の他の一部分に、第1の硬質装飾
層とは異なる色調の第2の硬質装飾層が被覆される。こ
の説明には図19から21が参照される。
によって、内部硬化層101が形成された装飾部材10
0であるカメラボディの表面の一部分に、第1の硬質装
飾層である金色色調の窒化チタンから成るTiN硬質装
飾層27を被覆した。TiN硬質装飾層27の表面、お
よびそれと連続するカメラボディの表面の所望の一部分
に、マスキング層35を形成した。
装飾層27、マスキング層35、および残されたカメラ
ボディの表面に、第2の硬質装飾層である白色色調の炭
化チタンから成るTiC硬質装飾層36を被覆した。
し、マスキング層35を膨潤させ、リフトオフ法によ
り、マスキング層35およびその上に積層されたTiC
硬質装飾層36を剥離した。よって、図21に示すよう
に、TiN硬質装飾層27に被覆された金色色調を呈す
る部分と、TiC硬質装飾層36が被覆された白色を呈
する部分と、カメラボディの表面が露出した部分とを有
する3色のカメラボディを得た。これにより、カメラボ
ディの装飾的価値をさらに高めることができた。
択肢、あるいは剥離溶液やマスキング層の選択肢は、実
施例7の記載に準ずる。また、第1の硬質装飾層と第2
の硬質装飾層のいずれか、あるいは双方の上に、実施例
5に記載した金合金被膜を被覆しても良い。模様は実施
例1と同じホーニング仕上げであり(凹凸模様は図示せ
ず。)、硬質透明ガラス層も実施例1の条件で行なっ
た。下記表8に本発明で実施した硬質透明ガラス層と従
来使用されていた硬質透明ガラス保護被膜の各種試験結
果を示す。
ている。 (比較例 1)比較のために、通常の表面処理(凹凸模
様と内部硬化層とを形成)を施したチタン合金製の時計
ケースに、けい酸ナトリウムとシリカゾルとの水性混合
液(SiO2/Na2O=約4.8)を塗布、加熱乾燥
し、焼成して約3μmの硬質透明ガラス保護被膜を形成
させて得られた表層についても各種試験を行い、それら
の結果を表中に併記した。下記表8から、本発明の金属
表層が、実用的に優れていることが明確に理解できよ
う。
すると共に、付着した手の指紋、汗、ホコリ等の汚れを
簡単に除去することができる。 2.装飾部材に強い力が加わっても装飾部材表面にキズ
が入らない。 3.装飾部材表面に凹凸ができないようにすると共に、
被膜の剥がれを極力少なくすることができる。 4.長期間使用しても表面を美しく保つことのできる優
れた外観品質を有するチタンまたはチタン合金からなる
硬質層を有する装飾部材とその製造方法を提供すること
ができる。
ビッカース硬度を測定した結果を示す図である。
おけるチタン、あるいはチタン合金製の装飾部材の構造
を示す模式図である。
処理装置の概要を示す模式図である。
面からの深さに対する窒素含有および酸素含有量を測定
した結果を示す図である。
面からの深さに対する窒素含有量および酸素含有量を測
定した結果を示す図である。
ィの構造を示す模式図、(b)は(a)の一部拡大図で
ある。
造を示す模式図である。
構造を示す模式図である。
構造を示す模式図である。
処理工程を示す模式図である。
処理工程を示す模式図である。
を示す模式図である。
構造を示す模式図である。
処理工程を示す模式図である。
を示す模式図である。
表面処理工程を示す模式図である。
表面処理工程を示す模式図である。
構造を示す模式図である。
面処理工程を示す模式図である。
面処理工程を示す模式図である。
造を示す模式図である。
Claims (21)
- 【請求項1】 硬質層を有する装飾部材において、該装
飾部材はチタンまたはチタン合金からなり、表面に凹凸
模様を有し、前記装飾部材は、表面から内部に向かって
任意の深さに形成された窒素及び酸素を固溶する内部硬
化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質透明
ガラス層とから構成されていることを特徴とする硬質層
を有する装飾部材。 - 【請求項2】 前記硬質透明ガラス層は、前記内部硬化
層の表面に被覆形成された硬質ガラス保護層と、該硬質
ガラス保護層の表面に被覆形成されたけい酸アルキルエ
ステル類から誘導されるシリカ層とからなることを特徴
とする請求項1記載の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項3】 前記内部硬化層と前記硬質透明ガラス層
との間に、被覆形成された硬質装飾層を有していること
を特徴とする請求項1記載の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項4】 前記硬質装飾層が前記装飾部材の内部硬
化層表面の色調とは異なる色調を呈してことを特徴とす
る請求項3記載の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項5】 前記内部硬化層は、第1硬化層に、0.
6〜0.8W%の窒素と1.0〜14.0W%の酸素と
を固溶し、第2硬化層に、0.5〜14.0W%の酸素
を固溶していることを特徴とする請求項1から請求項4
記載のいずれか1つの硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項6】 前記内部硬化層は、第1硬化層が、表面
から内部に向かって約1μmの範囲に形成され、第2硬
化層が、表面から内部に向かって約20μmの範囲に形
成されていることを特徴とする請求項1から請求項5記
載のいずれか1つの硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項7】 前記硬質装飾層は、周期律表の4a、5
a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物ま
たは窒炭酸化物であることを特徴とする請求項3または
請求項4記載の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項8】 前記硬質装飾層は、硬質カーボン被膜で
あることを特徴とする請求項3または請求項4記載の硬
質層を有する装飾部材。 - 【請求項9】 前記装飾部材に形成された内部硬化層と
硬質装飾層との間には、クロムまたはチタンを主体とす
る下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上
層とからなる2層構造の中間層を有することを特徴とす
る請求項8記載の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項10】 前記装飾部材に形成された内部硬化層
と硬質装飾層との間には、チタンを主体とする下層と、
タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、および炭
化チタンの内のいずれかを主体とする上層との2層構造
の中間層を有することを特徴とする請求項8記載の硬質
層を有する装飾部材。 - 【請求項11】 前記硬質装飾層は、0.1〜3.0μ
mの範囲に形成されていることを特徴とする請求項3、
請求項4、請求項7または請求項8記載のいずれか1つ
の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項12】 少なくとも2種類の前記硬質装飾層
が、前記装飾部材に形成された内部硬化層の表面に有す
ることを特徴とする請求項3から請求項11記載のいず
れか1つの硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項13】 前記硬質装飾層が、前記装飾部材に形
成された前記内部硬化層の表面の一部分に有することを
特徴とする請求項3から請求項11記載のいずれか1つ
の硬質層を有する装飾部材。 - 【請求項14】 前記硬質装飾層の表面には、金または
金合金からなる被膜が被覆されていることを特徴とする
請求項12または請求項13記載の硬質層を有する装飾
部材。 - 【請求項15】 前記装飾部材は、腕時計、ネックレ
ス、指輪、ブレスレット、眼鏡、携帯電話、ライター、
カメラ、ラジオに用いられる部品であることを特徴とす
る請求項1からは請求項14記載のいずれか1つの硬質
層を有する装飾部材。 - 【請求項16】 装飾部材に硬質層を形成する方法にお
いて、工程順に、表面にホーニング、ヘアーライン目付
け等の細かな凹凸模様を形成したチタンまたはチタン合
金からなる前記装飾部材を真空槽内に配置し、焼鈍処理
する加熱工程と、微量の酸素成分を含有する窒素主体の
混合ガスを真空槽内に導入し、所定の減圧下で700〜
800℃の温度で所定時間加熱し、内部硬化層を形成さ
せる硬化処理工程と、装飾部材を常温まで冷却する冷却
工程と、真空槽内より取出し前記装飾部材の表面を研磨
する研磨工程と、前記装飾部材を洗浄及び乾燥後、Si
O2 20〜21W%とNa2O3.8〜4.4W%を含
んだコロイド液を純水で希釈して表面に塗布し、加熱乾
燥して硬質ガラス保護層を形成する加熱乾燥処理工程
と、硬質ガラス保護層の表面に有機けい酸エステルの部
分加水分解溶液を塗布し、加熱、焼成してシリカ層を形
成する加熱焼成処理工程と、からなることを特徴とする
硬質層を有する装飾部材の製造方法。 - 【請求項17】 前記洗浄・乾燥工程と加熱乾燥処理工
程との間に、前記装飾部材を真空槽内に配置して排気す
る排気工程と、真空槽内にアルゴンガスを導入してイオ
ン化し装飾部材表面をイオンボンバードするイオンボン
バード工程と、前記装飾部材表面に、スパッタリング処
理により金属または金属の炭化物からなる中間層を形成
する工程と、前記真空槽内のアルゴンガスを排気して、
炭素を含むガスを導入する工程と、前記真空槽内にプラ
ズマを発生させ、プラズマCVD処理により前記中間層
の表面にダイヤモンドライク・カーボン被膜の硬質装飾
層を形成する工程と、からなることを特徴とする請求項
16記載の硬質層を有する装飾部材の製造方法。 - 【請求項18】 前記中間層を形成する工程は、前記真
空槽内にアルゴンガスを導入してイオン化し、クロムま
たはチタンをターゲットとし、クロムまたはチタンを主
体とする下層を形成する第1の中間層形成工程と、該工
程に続いて、シリコンまたはゲルマニウムをターゲット
とし、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層を
形成する第2の中間層形成工程と、からなることを特徴
とする請求項17記載の硬質層を有する装飾部材の製造
方法。 - 【請求項19】 前記中間層を形成する工程は、前記真
空槽内にアルゴンガスを導入してイオン化し、チタンを
ターゲットとし、チタンを主体とする下層を形成する第
1の中間層形成工程と、該工程に続いて、タングステン
をターゲットとし、タングステンを主体とする上層を形
成する第2の中間層形成工程と、からなることを特徴と
する請求項17記載の硬質層を有する装飾部材の製造方
法。 - 【請求項20】 前記中間層を形成する工程は、前記真
空槽内にアルゴンガスを導入してイオン化し、チタンを
ターゲットとし、前記真空槽内に炭素を含むガスを導入
し、タングステンまたはシリコンをターゲットとし、炭
化タングステンまたは炭化シリコンを主体とする上層を
形成する第2の中間層形成工程と、からなることを特徴
とする請求項17記載の硬質層を有する装飾部材の製造
方法。 - 【請求項21】 前記洗浄・乾燥工程と加熱乾燥処理工
程との間に、前記装飾部材を真空槽内に配置して排気す
る排気工程と、真空槽内にアルゴンガスを導入してイオ
ン化し装飾部材表面をイオンボンバードするイオンボン
バード工程と、前記装飾部材表面に、イオンプレーティ
ング処理またはスパッタリング処理により、周期律表の
4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒
炭化物または窒炭酸化物の硬質装飾層を形成する工程
と、からなることを特徴とする請求項16記載の硬質層
を有する装飾部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001086714A JP4668442B2 (ja) | 2001-03-26 | 2001-03-26 | 硬質層を有する装飾部材 |
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