JP4668443B2 - 硬質層を有する装飾部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレススチールからなる腕時計、ネックレス、指輪、ブレスレット、眼鏡等の装飾部材に関するものであり、本発明では装飾部材は携帯電話、ライター、カメラ、ラジオ等の機器のケース等も含むものである。更に詳しくは本発明は、内部硬化層と硬質透明ガラス層とを有する装飾部材または、内部硬化層と硬質装飾層と硬質透明ガラス層とを有する装飾部材及び、それぞれの製造方法の技術に係わる。
【0002】
【従来の技術】
現在、腕時計、ネックレス、指輪、ブレスレット、眼鏡、携帯電話、ライター、カメラ、ラジオ等の装飾部材は、耐食性や装飾性等によりオーステナイト系ステ
ンレス鋼が多用されている。また、これらの装飾部材は装飾性をアップさせるため、表面に細かな凹凸からなる何らかの模様が施されている。
また、この素材は硬度が低いため傷が入りやすく、その上、色も白色色調で装飾性に劣るものであった。
たとえば、腕時計バンドの駒は、オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS316系材、あるいはSUS304系材より成る板材に冷間鍛造を施し、さらに、任意に切削加工や孔開け加工を施し、駒の形状に仕上げられている。
【0003】
近年、このようなオーステナイト系ステンレス鋼の優れた耐食性を維持したまま、そのステンレス鋼表面を硬質化させる技術が試みられている。たとえば、特開平9−71854号公報、特開平9−268364号公報、および特開平9−302456号公報に開示された技術では、オーステナイト系ステンレス鋼に、フッ素系ガス雰囲気下で300〜500℃というような低温でフッ化処理を施し、不動態皮膜を炭素原子の浸透が容易なフッ化皮膜に変化させるようにしている。そして、浸炭性ガス雰囲気下で400〜500℃というような低温でオーステナイト系ステンレス鋼にガス浸炭処理が施され、さらに酸洗処理または機械的研磨、たとえばバレル研磨、が施される。
【0004】
このようにして得られた部材、たとえば腕時計のバンドは、耐食性を維持したまま、表面から5〜50μmの深さで硬質な内部硬化層、すなわち内部硬化層が形成される。よって、部材は美しい鏡面を呈すると共に、その鏡面の表面硬度はビッカース硬度(HV)で500〜700というステンレス鋼では得られない高い硬度を有する。
このように表面が硬質化された装身具は、傷つきにくいため、長い間にわたり美観を維持できるという利点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように表面が硬質化されたステンレス鋼部材であっても、鋭利で大きな外力が負荷されると傷つくことがあり、より高い表面硬度が望まれていた。
【0006】
また、腕時計の外装部材やブレスレットなどにおいては、装身具として、他の装飾品と同じく装飾的な価値を求められる。そのために、このような装身具の表面には、しばしば装飾的な被膜が被覆される。装飾的な被膜としては、湿式メッキ法によって被覆される金合金被膜などが広く使われる。
しかしながら、これらの金合金被膜は軟らかく、傷つきやすい。従って、硬質化された装身具の表面に、このような軟らかい金合金被膜を被覆しても、金合金被膜に傷がつくため、装飾品としての美観を損ねてしまい、表面を硬質化したという利点が生かされないという問題があった。
更に装飾部材表面の細かな凹凸模様に汚れ、特に手の指紋が入り込み、汚れを落とすことが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、装飾部材の表面に傷が入らないことはもとより、汚れを着きにくくすると共に、付着した汚れを簡単に除去することのできる、硬質層を有する携帯用部材を提供することにある。
本発明の別の目的は、被膜表面に強い力が加わっても、装飾部材表面に傷が入らないことはもとより、装飾部材表面に凹凸ができないようにすると共に、被膜の剥がれを極力少なくすることができ、長期間使用しても表面を美しく保つことのできる優れた外観品質を有するステンレススチールからなる硬質層を有する装飾部材用を提供することにある。
本発明の別の目的は、上記目的を達成する装飾部材の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による装飾部材はステンレススチールからなり、かつ表面に凹凸模様を有し、また、前記装飾部材は表面から内部に向かって任意の深さに形成された炭素を固溶する内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質透明ガラス層とから構成されており、前記内部硬化層と前記硬質透明ガラス層との間には被覆形成された硬質装飾層を有し、前記硬質装飾層は硬質カーボン被膜であり、前記内部硬化層と前記硬質装飾層との間にはクロムまたはチタンを主体とする下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層とからなる2層構造の中間層を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
(内部硬化層の具体的説明)
まず、本発明における内部の内部硬化層の形成について具体的に説明する。
本発明に係る装飾部材は、ステンレス鋼よりなり、特にオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
【0010】
本発明においては、装飾部材の表面内部に固溶原子を固溶させて内部硬化層が形成される。
固溶原子としては、炭素原子が用いられる。
ステンレス鋼、たとえばオーステナイト系ステンレス鋼に炭素原子を固溶させる。
【0011】
内部硬化層は、装飾部材の表面から5〜50μmの深さにわたって形成することが好ましい。
内部硬化層の鏡面の表面硬度は、ビッカース硬度(HV)で500以上であることが好ましい。
【0012】
オーステナイト系ステンレス鋼からなる装飾部材に、内部硬化層として浸炭層を形成する場合、以下のような工程を経ることが好ましい。
【0013】
(1)フッ化処理
内部硬化層を形成する前に、フッ素系ガス雰囲気下に100〜500℃、好ましくは150〜300℃で、装飾部材にフッ化処理を施し表面にフッ化被膜を形成することが好ましい。即ちこのフッ化被膜は内部硬化層を形成するための炭素原子の浸透を良好にするからである。オーステナイト系ステンレス鋼は、たとえばFe−Cr−Ni−Mo系ステンレス鋼、Fe−Cr−Mn系ステンレス鋼などが挙げられる。本発明で用いられるオーステナイト系ステンレス鋼としては、浸炭内部硬化層深さおよび価格の面からは、Ni含有量が出来るだけ小さい安定型のステンレス鋼が望ましい。耐食性の面からは、Ni含有量が多く、しかも、有価元素であるMoを1.5〜4重量%程度含有するステンレス鋼が望ましい。また、最も好適なオーステナイト系ステンレス鋼としては、クロム含有量が15〜25重量%で、常温で加工してもオーステナイト相の安定な安定型ステンレス鋼に、Moを1.5〜4重量%添加したものが挙げられる。
【0014】
上記のフッ化処理に際して用いられるフッ素系ガスとしては、具体的には、NF3、CF4、SF4、C2F6、BF3、CHF3、HF、SF6、WF6、SiF4、C1F3などのフッ素化合物ガスが挙げられる。これらのフッ素化合物ガスは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらのガス以外に、分子内にフッ素を含む他のフッ素化合物ガスも上記フッ素系ガスとして用いることができる。さらにまた、このようなフッ素化合物ガスを熱分解装置で熱分解させて生成させたF2 ガス、あるいは予め調製したF2ガスも上記フッ素系ガスとして用いることができる。このようなフッ素化合物ガスとF2ガスとは、任意に混合して用いられる。
【0015】
上記フッ素化合物ガス、F2ガス等のフッ素系ガスは、それぞれ1種単独で用いることもできるが、通常は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで希釈されて使用される。このような希釈されたガスにおけるフッ素系ガス自身の濃度は、通常10,000〜100,000容量ppm、好ましくは20,000〜70,000容量ppm、さらに好ましくは30,000〜50,000容量ppmである。
本発明で最も好ましく用いられるフッ素系ガスは、NF3である。NF3は、常温でガス状であり、化学的安定性が高く、取り扱いが容易である。このNF3ガスは、通常、窒素ガスと組み合わせて上記の濃度範囲内で用いられる。
【0016】
本発明におけるフッ化処理は、たとえば所定の形状に加工した装飾部材を、上記濃度のフッ素系ガス雰囲気下に、100〜500℃の温度で行なわれる。フッ化処理時間は、処理物の種類・大きさ等により異なるが、通常は、十数分から数時間である。
【0017】
このようなフッ化処理を行なうことにより、装飾部材表面に、炭素原子の浸透性が良好なフッ化被膜を形成することができる。従って、次に行なわれる硬化処理としてのガス浸炭処理により、ステンレス鋼表面から内部に炭素原子が浸透拡散し、浸炭内部硬化層を容易に形成することができる。
【0018】
(2)ガス浸炭処理
上記のフッ化処理が施された装飾部材に、一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下に、400〜500℃、好ましくは400〜480℃でガス浸炭処理を施す。この浸炭処理の際に用いられる浸炭性ガスとしては、炭素源ガスとして一酸化炭素を用い、通常、この一酸化炭素と水素、二酸化炭素、窒素の混合ガスの形で用いられる。
【0019】
ガス浸炭処理温度を400〜500℃という低温にすることにより、浸炭内部内部硬化層中にCr23C6等の結晶質のクロム炭化物が析出せず、オーステナイト系ステンレス鋼中のクロム原子が消費されない。従って、浸炭硬化層の優れた耐食性を維持することができ、また、浸炭処理温度が低温であるため、この浸炭処理により、Cr23C6 、Cr7C3、Cr3C2等の結晶質のクロム炭化物の粗大化も起こらず、しかも、ステンレス鋼内部の軟化による強度低下も少ない。
【0020】
このようなガス浸炭処理法によれば、オーステナイト系ステンレス鋼からなる装飾部材の表面に浸炭内部硬化層(炭素の拡散浸透層)が均一に形成される。しかも、上記ガス浸炭処理により結晶質のクロム炭化物が生成せず、基材中のクロム原子を消費しないことから、浸炭内部硬化層は、オーステナイト系ステンレス鋼が本来有している優れた耐食性と同程度の耐食性を保持する。
ガス浸炭処理後の装飾部材の表面には、主としてステンレス鋼中のFeとCが共存する層、おそらくはFe2O3などの鉄の酸化物を含む「黒皮」が形成される。
【0021】
(3)酸洗処理
次いで、上記のガス浸炭処理が施された装飾部材である時計外装部品用基材に、酸洗処理を施す。具体的には、時計外装部品用基材を酸性溶液に浸漬する。
この酸洗処理で用いられる酸性溶液としては、特に限定されるものではなく、たとえばフッ酸、硝酸、塩酸、硫酸、フッ化アンモニウムなどが用いられる。これらの酸は、単独で用いることができるが、フッ化アンモニウムと硝酸との混合液、硝酸とフッ酸との混合液、硝酸と塩酸との混合液、硫酸と硝酸との混合液として用いることもできる。
【0022】
これらの酸性溶液の濃度は、適宜決定されるが、たとえば硝酸と塩酸との混合液では、硝酸濃度が15〜40重量%程度、塩酸濃度が5〜20重量%程度であることが好ましい。また、硝酸溶液の濃度は10〜30重量%程度が好ましい。
また、これらの酸性溶液は、常温で用いることができるし、高温で用いることもできる。
【0023】
さらに、酸洗処理として、硝酸、硫酸等の電解溶液を使用して電解処理を行なってもよい。
酸性溶液への浸漬時間は、酸性溶液の種類にもよるが、通常は約15〜90分程度である。
この酸洗処理により、時計外装部品用基材の表面に形成された浸炭処理に起因する黒皮に含まれている鉄が酸化溶解し、黒皮が除去される。
【0024】
(4)水洗処理
次いで、上記酸洗処理後、装飾部材である時計外装部品用基材に水洗処理を施す。
この水洗処理により、時計外装部品用基材から剥離しかかっている黒皮を洗い流すとともに、時計外装部品用基材に付着している酸性溶液を完全に洗い流し、酸性溶液による浸炭内部硬化層の粗面化がさらに進行しないようにする。仕様により、ここで内部硬化層を形成した装飾部材が完成となり、次の硬質装飾層の形成または、硬質透明ガラス層の形成となる。
【0025】
(5)研磨処理
仕様により、鏡面とする場合、水洗処理された装飾部材である時計外装部品用基材の表面をバレル研磨する。
具体的には、時計外装部品用基材をバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置し、研磨媒体として好ましくはクルミのチップとアルミナ系研磨材をバレル槽内に入れる。そして、約10時間かけてバレル研磨を行ない、浸炭内部硬化層の最表面に残ったごくわずかな黒皮を研磨する。
【0026】
上記の酸洗処理、水洗処理およびバレル研磨を併用することにより、時計外装部品用基材の表面に残ったごくわずかな黒皮を完全に除去することができる。この時計外装部品用基材が複雑な形状を成していても、この黒皮を完全に除去することができる。また、このバレル研磨により、時計外装部品用基材の表面を鏡面とすることができる。
【0027】
なお、バレル研磨に代えてバフ研磨を行なうと、時計外装部品用基材の表面に形成された黒皮を完全に除去することは非常に困難である。
【0028】
尚、バレル研磨した時計外装部品用基材の表面を、さらにバフ研磨してもよい。かかるバレル研磨後の浸炭層の表面硬度(HV)は、50g荷重で500以上あれば、時計外装部品の硬さとしては充分である。好ましくは50g荷重で600以上あれば良い。
【0029】
本発明においては、上記のように形成された浸炭内部硬化層の上に直接、又はその浸炭内部硬化層の上に硬質装飾層を形成し、その上に最上層として硬質透明ガラス層が形成されている。本発明による硬質透明ガラス層は硬質ガラス保護層とその上に形成されたシリカ層とよりなる。
(硬質透明ガラス層形成)
表面処理された装飾部材表面に、けい酸ナトリウムとシリカゾルとの水性混合液(SiO2/Na2O=4〜10)を塗布し、これを空気中で加熱乾燥して硬質ガラス保護層が形成され、その硬質ガラス保護層表面にけい酸アルキエステル類から誘導されるシリカ層を形成して硬質透明ガラス層が形成される。更に詳しくは装飾部材表面を、脱脂・洗浄等により表面処理し、これを空気中で乾燥した後、その表面にSiO220〜21重量%とNa20を3.8〜4.4重量%を含んだコロイド液を純水で4〜8倍に希釈して塗布し、加熱乾燥して硬質ガラス保護層を形成し、更に、その表面に有機けい酸エステルの部分加水分解溶液を塗布し、加熱、焼成してシリカ層を形成することを特徴とする。
【0030】
その最上層のシリカ層の形成に用いられる処理剤は、けい酸アルキルエステルの部分加水分解溶液であって、下記式
R´nSi(OR)4-n
(式中、Rは低級アルキル基から選択され、R´はメチル基又はフェニル基であり、nは0、1、2又は3である。)
で表わされる有機けい酸アルキルエステル類を部分加水分解して調整される。その最上層の形成に用いられる有機けい酸アルキルエステル類原料として最も好ましいものは、エチルシリケート系のものである。この表層は望ましくは膜厚が約1〜3μmであって、これに関連して、その部分加水分解溶液の濃度は、約20〜40重量%程度が好適に採用される。また、これらの溶液は、同様に浸漬、スプレー等の通常の方法により塗布され、150℃〜300℃の温度で、30分ないし120分間加熱乾燥後、焼成して所望の薄いシリカ層のSiO2被膜に形成される。この最上層は、硬度が9Hのレベルで、それ自身は傷の防止には充分な効果がないが、下地の薄い硬質ガラス保護層との組合せ二重層によって傷の付かない表層が形成される。
【0031】
(実施例1)
オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS316系材から成る基材に、熱間鍛造、冷間鍛造、切削加工、孔開け加工などを施し、装飾部材である腕時計のバンドの駒基材を作製した。
次いで、各駒に穿設されたピン孔に連結ピンを挿入し、複数の駒と駒とを互いに回動可能に連結し、かかる駒の表面をバフ研磨などで研磨して鏡面に仕上げ、腕時計のバンド用基材を作成した。
【0032】
なお、この多数の駒を連結して成る腕時計のバンドの幾つかの駒は、携帯者の手首の太さに合わせてバンドの長さを調整できるように、隣接する駒から取り外し可能な駒、いわゆる長さ調整用駒である。長さ調整用駒以外の駒は、隣接する駒から容易に分離できないように連結される駒である。
また、連結部品として、長さ調整用駒に用いられる長さ調整用ピンと、その他の駒に用いられる連結ピンを使用した。
【0033】
次いで、この腕時計のバンド基材を、金属製のマッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次いで、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%のN2との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フッ化処理を行なった。
次いで、フッ素系ガスを排出した後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量%のH2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との混合ガス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理を行なって内部硬化層を形成した後、バンドをマッフル炉より取り出した。
【0034】
取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒皮が形成されていた。
次いで、このバンドを、フッ化アンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性水溶液に20分間浸漬した。
この酸洗処理により、バンドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内壁、さらに駒と駒とを連結する連結部品である、連結ピン、割パイプ、長さ調整用ピンにも、黒皮は観察されなかった。
【0035】
しかしながら、バンドの駒の表面、すなわち、浸炭処理により形成された内部硬化層の表面は、酸性水溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。
次いで、水洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバレル研磨を行ない、駒の内部硬化層の最表面に形成された粗い面を研磨した。これにより、内部硬化層の表面から1〜2μmの深さの領域が除去され、駒の表面、すなわち内部硬化層の最表面が鏡面となった。
【0036】
以上の工程により、得られた鏡面を呈する腕時計バンドは、耐傷付き性に優れ、SUS316系材が本来有している優れた耐食性と同等の耐食性を保持していた。内部硬化層の表面硬度(HV)は、50g荷重で700に達した。
【0037】
上記のように、予め多数の駒をまとめてバンドの形態にしてから、フッ化処理、ガス浸炭処理、酸洗処理、水洗処理およびバレル研磨処理を行なうので、これらの処理工程における駒の取り扱いが容易で生産性に優れる。処理作業にかかる人手と時間が削減され、処理コストを安価にすることができる。
【0038】
また、連結部品も浸炭処理されるため、連結部品の表面から数十μmの深さの領域に硬質な内部硬化層が形成された。その結果、連結部品の硬度が高くなり、バンドの長手方向に沿ってバンドが引っ張られても、連結ピンや長さ調整用ピンが曲がったり、折れたりしにくくなった。
【0039】
しかしながら、連結ピンや長さ調整用ピンなどの連結部品は、各駒に穿設されたピン孔内に留まっているので、酸洗処理や研磨処理を施しても、連結部品に形成された黒皮は除去しにくい。酸洗処理や研磨処理の後、なお連結部品に黒皮が残存するときは、黒皮が残存する連結部品を新しい連結部品と交換すれば良い。
即ち、連結部品のみ内部硬化層が形成されていないバンド基材を得る。
【0040】
特に、連結部品のうち、長さ調整用ピンに黒皮が残存すると、このピンが駒より抜けにくくなる。すると、携帯者の手首の太さに合わせてバンドの長さを調整することが困難になる。この場合、連結部品のうち、長さ調整用の連結部品のみを新しい部品と交換すれば良い。これにより、長さ調整用の連結部品のみ内部硬化層が形成されていないバンドが得られる。かくて、図1(a)に示すようにバンド基材1の表面部内に内部硬化層2が形成される。
【0041】
次に、鏡面を残す部分に印刷法、筆塗り等の手段によりエポキシ樹脂からなるマスキングインキを塗り、マスキング処理をする。マスキングインキを乾燥した後、#100〜#300のガラスビーズで圧力3ATMによりバンド基材1の内部硬化層2の表面をホーニング処理して図1(b)に示すようにホーニング仕上げ面2aを形成する(ホーニング処理した部分の要部断面図)。その後、剥離溶液に浸漬してマスキングインキを剥離する。これにより、バンド表面が鏡面とホーニングによる凹凸模様とを有したものとなる。
次に、各駒の内部硬化層2の上に、金色色調の硬質装飾層3が形成される。即ち、バンドの基材1の表面に形成された内部硬化層2の上に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色の硬質装飾層として窒化チタンから成るTiN硬質装飾層3が被覆される。
【0042】
TiN硬質装飾層3の形成方法を説明する。
まず、内部硬化層2が形成されたバンドをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。イオンプレティーング装置は、一般に使用されているものでかまわないので、その説明は図面を含めて省略する。
【0043】
次いで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガスとしてアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。
次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成した。同時にバンドに−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
【0044】
次に、アルゴンガスの導入を止めた後、装置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入した。
そして、装置内部の備えられた電子銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させて、バンドの表面全体、すなわち装飾部材である基材1の内部硬化層2の上にTiN硬質装飾層3を0.5μmの膜厚で形成した。
【0045】
このようにして得られたバンドは、TiN硬質装飾層3が金と同じような光学的特性を備えるが故に、均一な金色色調を呈した。これにより、バンドの装飾的な価値をさらに高めることができた。
また、このTiN硬質装飾層3を被覆した基材1の表面硬度(HV)は、50g荷重で800に達した。TiN硬質装飾層3を被覆した基材1は、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備えていた。
このように、内部硬化層2より硬質な硬質装飾層3を被覆することにより、表面硬化処理を施した基材1が、さらに傷つきにくくなった。
【0046】
なお、乾式メッキ法としては、上記したイオンプレティーング法に限らず、スパッタリング法や真空蒸着法などの公知の手段を用いることができる。
【0047】
また、乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾層として、周期律表の4a、5a、6a族元素(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用することができる。
周期律表の4a、5a、6a族元素をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、窒化度を示すxの値が1より小さくなるにしたがって、前記Mの窒化物MNxの被膜の色調は金色から淡黄色に近づく。また、窒化度を示すxの値が1より大きくなるにしたがって、被膜の金色は、赤味を帯びてくる。また、窒化度を示すxの値が、0.9〜1.1の範囲であれば、金、あるいは金合金の色調に近い金色を窒化物MNxの被膜上形成することができる。特に、窒化度を示すxの値が、x=1の時、Mの窒化物MNxの被膜は、充分な硬度を備える硬質装飾層であると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈する。
【0048】
周期律表の4a、5a、6a族元素Mの炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても、それらの炭化度、酸化度、窒化度を所定の範囲に制御することにより、それらの被膜に金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を付与できる。
特に、TiN硬質装飾層とZrN被膜は、充分な硬度を備える硬質装飾層であると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈するので好ましい。
また、Mの窒化物MNxの膜厚が薄いと、被膜に有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を得ることができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、被覆にかかる時間が長くなって、被膜のコストが高くなる。よって、Mの窒化物MNxの被膜の膜厚は、好ましくは0.1〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.2〜5μmの範囲に制御される。
【0049】
更に本発明によれば、硬質装飾層3の上に硬質透明ガラス層4が形成される。
即ち、硬質装飾層3を形成した後、アルカリ脱脂及び水洗予備処理を行った面3aに、20重量%のSiO2と4.0重量%のNa2Oを含んだけい酸ナトリウムとシリカゾルの混合コロイド液を、イオン交換樹脂により炭酸ガスを除去した純水で約6倍に希釈し、上記バンド基材を浸漬してその表面に付着させた。次いで約200℃の温度で約60分間乾燥して、約1.5μmの硬質ガラス保護層4aを得た。
次に、この硬質ガラス保護層の上に、エチルシリケートの部分加水分解物の60重量%の溶液を約30重量%に希釈して浸漬塗布し、約250℃の温度で約60分間乾燥、焼付けして約2.5μm厚のシリカ層4bを形成させた。
【0050】
次に、上記の硬質透明ガラス層4についての各種試験方法及びその評価は次の通りである。
(1)耐湿性:
温度60℃、相対湿度95%の雰囲気条件下に、24時間保持して、その状態を調べた。
(2)対磨耗性:
スガ試験機(NUS−ISO−1)を用いて調べた。
(3)人工汗:
下記成分を含んだ水溶液中に48時間浸漬して、その耐性を調べた。
《水溶液成分》
NaC1:9.9g/l、Na2S:0.8g/l、(NH2)2CO:1.7g/l、CH3CHOHCOOH:1.7g/l、及びNH4OH:0.2ml:
これらの各方法は、その定性的評価を次の記号で表中に示した。
◎・・・優秀 ○・・・良好 ×・・・不良
【0051】
実施例1を上記各種試験方法によりテストし、それらの結果及び評価を後記表1に示した。
(実施例2)
本実施例は、本発明を装飾部材である携帯電話のケースに適用したものである。
本実施例では、硬質装飾層3は形成されず、図2に示すように(凹凸模様は図示せず。)、基材1の上に直接硬質透明ガラス層4が形成されている。硬質透明ガラス層4は実施例1の条件と同じで、硬質ガラス保護層4aが約1.5μm、シリカ層4bが約2.5μmである。従って試験結果も第1表の実施例1と同じである。
【0052】
(実施例3)
本実施例は、装飾部材である腕時計のバンドに適用したもので、実施例1と同じ方法によって浸炭内部硬化層が形成された駒の上に、黒色色調の硬質装飾層として炭素硬質装飾層を被覆する。炭素硬質装飾層は、ダイヤモンドに似た優れた特性を備えることから、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)として、広く知られている。
図3に示すように、バンドの基材1の表面に形成された内部硬化層2の上に、乾式メッキ法によって黒色の炭素硬質装飾層5が被覆される。
【0053】
炭素硬質装飾層5の形成方法は、例えば以下の通りである。
まず、内部硬化層2が形成されたバンドをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、真空装置内に配置した。そして、高周波プラズマCVD法を用いて、以下の条件にしたがって、内部硬化層2の上に炭素硬質装飾層5を2μm形成した。
〔形成条件〕
ガス種 :メタンガス
成膜圧力 :0.1Torr
高周波電力 :300ワット
成膜速度 :毎分0.1μm
このようにして、炭素硬質装飾層5が内部硬化層2の上に密着良く被覆された。
【0054】
このようにして得られたバンドは、炭素硬質装飾層5の被覆により均一な黒色色調を呈した。これにより、バンドの装飾的な価値をさらに高めることができた。
また、この炭素硬質装飾層5を被覆した基材1の表面硬度(HV)は、3000から5000に達した。このように、内部硬化層2より硬質な装飾層5を被覆することにより、表面硬化処理を施した基材1が、さらに傷つきにくくなった。
【0055】
炭素硬質装飾層5の膜厚は、好ましくは0.1〜5μmの範囲、さらに好ましくは0.5〜3μmの範囲に制御される。
また、炭素硬質装飾層5を被覆するには、RFP−CVD法の他に、DCプラズマCVD法やECR法などの様々気相成膜法を用いることができる。また、イオンビーム法、スパッタリング法、あるいはイオンプレティーング法などの物理蒸着法を採用してもよい。
【0056】
また、図4に示すように(凹凸模様は図示せず。)、内部硬化層2と炭素硬質装飾層5との間に中間層6を形成すると、炭素硬質装飾層5が基材1の表面にさらに強く密着するので好ましい。
中間層6の形成方法は、例えば以下の通りである。
乾式メッキ法、たとえばスパッタリング法により、チタン被膜であるTi被膜6aを内部硬化層2の上に0.1μm被覆した。さらに、スパッタリング法により、シリコン被膜であるSi被膜6bをTi被膜6aの上に0.3μm被覆した。
その後、たとえば、高周波プラズマCVD法を用いて、前述の条件にしたがって、炭素硬質装飾層5をSi被膜6bの上に2μm被覆すれば良い。
【0057】
上記のTi被膜6aは、クロム(Cr)被膜に代えることができる。また、上記のSi被膜6bは、ゲルマニウム(Ge)被膜に代えることができる。
中間層としては、このような積層被膜の他にも、IVa族、あるいはVa族金属の炭化物の単層を被覆しても良い。特に、過剰な炭素を含有する炭化チタンの被膜は、炭素硬質装飾層との密着強度が高いので好ましい。
次に基材1の表面に形成される仕上げ面2a、3a(図1(b))は型打ち模様即ち金型に形成された細かな凹凸模様により形成されたもので実施例1及び2の凹凸より凹凸模様が少し浅い。即ち、凹凸模様は内部硬化層が形成される前に形成されたもので、酸洗処理及び水洗処理のみ行われており、バレル等の研磨処理は施されていない。
炭素硬質装飾層5の上に硬質透明ガラス層4が以下に記載の工程により形成された。即ち、炭素硬質装飾層5を形成した後、アルカリ脱脂及び水洗予備処理を行い、次に20重量%のSiO2と4.0重量%のNa2Oを含んだけい酸ナトリウムとシリカゾルの混合コロイド液を、イオン交換樹脂により炭酸ガスを除去した純水で約4倍に希釈し、この液を上記予備処理済表面にスプレー方式で付着させた。次いで約250℃の温度で約40分間乾燥して、約2.5μmの硬質ガラス保護層4aを得た。
次に、この硬質ガラス保護層の上に、エチルシリケートの加水分解物の60重量%の溶液を約30重量%に希釈してスプレー方式で塗布し、約200℃の温度で約80分間エチルシリケートを焼付け処理して約1.5μm厚のシリカ層4bを形成させた。
【0058】
(実施例4)
本実施例は、装飾部材である時計バンドを銀白色と金色の2トーンに仕上げたものである。
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された駒の表面の一部分に、金色色調の硬質装飾層が被覆される。
即ち、図7に示すように、バンドの基材1の表面の一部分に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色色調の硬質装飾層として窒化チタンから成るTiN硬質装飾層7が被覆される。
【0059】
以下、金色のTiN硬質装飾層7の部分的形成方法について説明する。
まず、図5に示すように、内部硬化層2が形成された基材1それぞれの表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷して、マスキング層8を形成した。次に、マスキング層8を形成したバンドの基材1をイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。
なお、イオンプレティーング装置は、一般に使用されているものでかまわないので、その説明は図面を含めて省略する。
【0060】
次いで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガスであるアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成した。同時にバンドの基材1それぞれに−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
【0061】
次に、アルゴンガスの導入を止めた後、装置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入した。そして、装置内部の備えられたプラズマ銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させていた。よって、図6に示すように、バンドの基材1それぞれの内部硬化層2の表面にTiN硬質装飾層7、およびマスキング層8の表面にTiN硬質装飾層7aを共に0.5μmの膜厚で形成した。
【0062】
次に、エチルメチルケトン(EMK)、あるいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸化水素を添加した剥離溶液によりマスキング層8を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層8およびその上に積層されたTiN硬質装飾層7aを剥離した。
従って、図7に示すように、TiN硬質装飾層7が被覆された金色色調を呈する部分と、TiN硬質装飾層が被覆されていないステンレス鋼の銀白色を呈する部分とを有するバンドの駒を得た。これにより、バンドの装飾的価値をさらに高めることができた。
【0063】
なお、マスキング手段としては、本実施例で説明したような化学的マスキング層を設ける他に、機械的なマスキング手段を用いても良い。すなわち、窒化チタン被膜を被覆する前に、予め駒の任意の部分に金属製のキャップを被せておき、窒化チタン被膜を被覆後、かかるキャップを取除けば良い。すると、キャップが被せられていた駒の部分には窒化チタン被膜が被覆されず、キャップが被せられなかった部分には窒化チタン被膜が被覆される。
【0064】
また、本実施例では、基材1の表面に部分的に被覆される硬質装飾層として窒化チタン被膜を用いた例で説明した。しかしながら、実施例1で説明したように、乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾層として、周期律表の4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用できる。
更に、炭化チタン被膜を、基材1の表面に部分的に被覆することにより、炭化チタン被膜が被覆された白色色調を呈する部分と、炭化チタン被膜が被覆されていないステンレス鋼の銀白色を呈する部分とを有する駒を得る。
あるいは、実施例3で用いた炭素硬質装飾層を、部分的に被覆される硬質装飾層として採用しても良い。すると、炭素硬質装飾層が被覆された黒色色調を呈する部分と、炭素硬質装飾層が被覆されていないステンレス鋼の銀白色を呈する部分とを有する駒を得る。
次に、硬質透明ガラス保護層4aとシリカ層4bは実施例3と同じであり、ホーニング仕上げ面2a、3a、即ち凹凸模様は内部硬化層が形成される前に形成されたもので、酸洗処理及び水洗処理が行われた後、バレル等の研磨処理を短時間行ない、鏡面と凹凸模様が混在した模様となっている。
【0065】
(実施例5)
本発明を装飾部材であるライターのケースに適用したもので、実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成されたライターのケースの表面に、金色色調の硬質装飾層が被覆される。さらに、金色の硬質装飾層の上に金合金被膜が被覆される。この説明には図8が参照される。尚、図8以後の図には硬質透明ガラス層4の図示が略されている。(凹凸模様は図示せず。)
図に示す通り、内部硬化層2が形成されたライターのケース1aの表面に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色の硬質装飾層である窒化チタンから成るTiN硬質装飾層9が被覆され、TiN硬質装飾層9の上に、金合金被膜としての金−チタン合金被膜10が被覆される。
【0066】
以下、本実施例におけるTiN硬質装飾層9と金−チタン合金被膜10の形成方法を説明する。
まず、内部硬化層2が形成されたバンドをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。イオンプレティーング装置は、一般に使用されているものでかまわないので、その説明は図面を含めて省略する。
次いで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガスであるアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成した。同時にケース1aに−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
【0067】
そして、装置内部の備えられたプラズマ銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させて、ケース1aの表面全体にTiN硬質装飾層9を0.5μmの膜厚で形成した。
次いで、チタンの蒸発と窒素ガスの導入を止め、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した。次いで、装置内にアルゴンガスを1.0×10-3Torrまで導入してプラズマを発生させた後、金50原子%とチタン50原子%とからなる金−チタン混合物を蒸発させ、金−チタン合金被膜10を形成した。そして、金−チタン合金被膜10の厚みが0.3μmになったところで金−チタン混合物の蒸発を止めた。
【0068】
このようにして得られたライターのケースは、均一な金色色調を呈した。これにより、ライターの装飾的な価値を高めることができた。また、最外層被膜に金−チタン合金被膜10を被覆したことにより、TiN硬質装飾層9よりさらに暖かみのある金色色調を呈するケースを得た。これにより、ライターの美観をさらに高めることができた。
【0069】
一般的に金合金被膜自体は、10μmを越える厚い膜厚でなければ、有効な耐摩耗性、耐食性、あるいは耐擦傷性を得ることができない。金は、非常に高価な金属である。よって、かかる金合金被膜を厚く被覆することは、被膜のコストを大幅に高くしてしまう。しかしながら、本実施例においては、金合金被膜からなる最外層被膜の下に、硬質なTiN硬質装飾層を設けた。TiN硬質装飾層が、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備えるため、金合金被膜からなる最外層被膜は薄くても良い。これにより、高価な金の使用量が減るため、被膜のコストが安価にすることができるという利点がある。
【0070】
また、薄く被覆された金合金被膜からなる最外層被膜が部分的に摩耗して、その下のTiN硬質装飾層が露見する可能性があるが、いかなる局部的な最外層被膜の摩耗も決して目立つことはない。なぜならば、TiN硬質装飾層は、金と同じような光学的特性を備え、金色色調を有するからである。金色色調の金合金被膜からなる最外層被膜が摩耗した部分の下から、同じ金色色調のTiN硬質装飾層が現れる。
従って、金合金被膜からなる最外層被膜を薄くしても、その摩耗が視認されなく、ライターの美観、及び装飾的価値を維持することができる。
【0071】
また、本実例では、硬質被装飾層として窒化チタン被膜を用いたが、この他に乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾層として、周期律表の4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用することができる。
また、金合金被膜として、上記した金−チタン合金層以外にも、Al、Si、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Ir、Ptから選ばれた少なくとも1つと金との合金を形成させることができる。
凹凸模様は、燐青銅の金属ブラシでヘアーライン仕上げを行った。即ち、内部硬化層形成前にライターのケース表面全体に、上記金属ブラシを上下させ、模様付けを行った。更に、内部硬化層と仕上げ加工(研磨等)の後、上記と同じ金属ブラシで再び、最終的ヘアーライン仕上げ加工を行った。硬質ガラス層は実施例1の条件で行った。
【0072】
(実施例6)
本実施例では、装飾部材であるライターの表面を銀白色と金色との2トーンに仕上げた。即ち、実施例4に記載した、内部硬化層が形成されたライターのケースの表面に部分的に被覆された金色色調の硬質装飾層の上のみに、実施例5に記載した金合金被膜を被覆しても良い。この例は図9と10を参照して説明する。
(凹凸模様は図示せず。)
【0073】
以下、金色色調の硬質装飾層として窒化チタンから成るTiN硬質装飾層11、および金合金被膜として金−チタン合金被膜12を部分的に形成する方法について簡単に説明する。
内部硬化層2が形成されたライターケース1aの表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷して、マスキング層13を形成した。次に、マスキング層13を形成したバンドのケース1aをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。
【0074】
次に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法を用いて、ライターケース1aの内部硬化層2の表面、およびマスキング層13の表面にTiN硬質装飾層11、11aを0.5μmの膜厚で形成した。次いで、TiN硬質装飾層11、11aの上に金−チタン合金被膜12、12aを0.3μmの膜厚で形成した。
【0075】
次に、エチルメチルケトン(EMK)、あるいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸化水素を添加した剥離溶液によって、マスキング層13を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層13およびその上に積層されたTiN硬質装飾層11a、および金−チタン合金被膜12aを剥離した。
よって、 TiN硬質装飾層11と金−チタン合金被膜12が被覆された金色色調を呈する部分と、それらの被膜が被覆されていないステンレス鋼の銀白色を呈する部分とを有するライターのケースを得た。
【0076】
本実施例においても、実施例5に記載したように、窒化チタン被膜以外の様々な硬質装飾層を採用できる。また、金−チタン合金層以外にも、様々な金合金層を採用できる。
凹凸模様は燐青銅の金属ブラシでヘアーライン仕上げを行った。即ち、内部硬化層形成前に燐青銅の金属ブラシでライターのケース表面全体に、金属ブラシを上下させ、模様付けを行った。硬質透明ガラス層は実施例1の条件で行った。
【0077】
(実施例7)
本実施例は、装飾部材である腕時計ケースに適用したもので、ケースを金色と白色との2トーンに仕上げた。即ち、実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された腕時計ケースの表面に、第1の硬質装飾層が被覆され、さらに、第1の硬質装飾層の表面に一部分に、第1の硬質装飾層とは異なる色調の第2の硬質装飾層が被覆される。この説明には図11から13が参照される。(凹凸模様は図示せず。)
【0078】
図11に示すように、実施例1と同じ方法によって、内部硬化層2が形成された腕時計ケース1bの表面に、第1の硬質装飾層である金色色調の窒化チタンから成るTiN硬質装飾層3を被覆した。TiN硬質装飾層3の表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷するなどして、マスキング層13を形成した。
【0079】
次いで、図12に示すように、実施例2と同じ方法によって、TiN硬質装飾層3の表面に、第2の硬質装飾層である白色色調の炭化チタンから成るTiC硬質装飾層14を、マスキング層13の表面にTiC硬質装飾層14aを被覆した。
【0080】
次いで、剥離溶液によりマスキング層13を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層13およびその上に積層されたTiC硬質装飾層14aを剥離した。
よって、図13に示すように、金色のTiN硬質装飾層3の表面の一部分に、白色のTiC硬質装飾層14が積層された。このようにして、TiN硬質装飾層3に被覆された金色色調を呈する部分と、TiC硬質装飾層14が被覆された白色を呈する部分とを有する腕時計ケースを得た。
これにより、時計ケースの装飾的価値をさらに高めることができた。また、内部硬化層2より硬質な層13と14を被覆することにより、表面硬化処理を施したケースが、さらに傷つきにくくなった。
【0081】
本実施例における硬質装飾層として、実施例5に記載したように、窒化チタンや炭化チタン被膜以外の様々な硬質装飾層を採用できる。あるいは、第1の硬質装飾層と第2の硬質装飾層のいずれかを、実施例3に記載した炭素硬質装飾層とすることができる。また、それらの被膜の種類に合わせて、マスキング層13と剥離溶液の種類は適宜選択できる。
【0082】
また、周期律表の4a、5a、6a族元素をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、第1の硬質装飾層と第2の硬質装飾層を共にMNx被膜とすることもできる。この場合、第1の硬質装飾層における窒化度を示すxの値と、第2の硬質装飾層におけるxの値が異なるように被覆すれば、第1の硬質装飾層と第2の硬質装飾層の色調が異なるように被覆できる。炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても同様である。
凹凸模様は内部硬化層を形成する前に行ない、腕時計ケースの表面を#100〜#300のガラスビーズで圧力3ATMによりホーニング処理して、ホーニング仕上げを行った。また、硬質透明ガラス層4をも実施例1の条件で行った。
【0083】
(実施例8)
装飾部材である時計バンドに白色と金色との2トーン仕上げを行った。
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された駒の表面の一部分に、第1の硬質装飾層が被覆される。さらに、駒の表面の他の一部分に、第1の硬質装飾層とは異なる色調の第2の硬質装飾層が被覆される。この説明には図14から16が参照される。(凹凸模様は図示せず。)
【0084】
図14に示すように、実施例4と同じ方法によって、内部硬化層2が形成された基材1の表面の一部分に、第1の硬質装飾層である金色色調の窒化チタンから成るTiN硬質装飾層7を被覆した。TiN硬質装飾層7の表面、およびそれと連続する基材1の表面の所望の一部分に、マスキング層15を形成した。
【0085】
次いで、図15に示すように、実施例2と同じ方法によって、TiN硬質装飾層7、マスキング層15、および残された基材1の表面に、第2の硬質装飾層である白色色調の炭化チタンから成るTiN硬質装飾層16を被覆した。
【0086】
次いで、剥離溶液によりマスキング層15を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層15およびその上に積層されたTiN硬質装飾層16を剥離した。
よって、図16に示すように、TiN硬質装飾層7に被覆された金色色調を呈する部分と、TiN硬質装飾層16が被覆された白色を呈する部分と、基材1の表面が露出した部分とを有する3色のバンドの駒を得た。これにより、バンドの装飾的価値をさらに高めることができた。
【0087】
第1の硬質装飾層と第2の硬質装飾層の選択肢、あるいは剥離溶液やマスキング層の選択肢は、実施例7の記載に準ずる。また、第1の硬質装飾層と第2の硬質装飾層のいずれか、あるいは双方の上に、実施例5に記載した金合金被膜を被覆しても良い。
模様は実施例7と同じホーニング仕上げを行い、硬質透明ガラス層4は実施例3の条件で形成した。
【0088】
なお、上記の実施例2、および4から8では乾式メッキ法としてイオンプレティーング法を用いたが、スパッタリング法や真空蒸着法などの公知の被覆手段を用いることができる。
下記表1に本発明で実施した硬質透明ガラス層と従来使用されていた硬質透明ガラス保護被膜の各種試験結果を示す。
(比較例 1)
比較のために、通常の表面処理(凹凸模様と内部硬化層とを形成)を施したステンレス鋼製の時計ケースに、けい酸ナトリウムとシリカゾルとの水性混合液(SiO2/Na2O=約4.8)を塗布、加熱乾燥し、焼成して約3μmの硬質透明ガラス保護被膜を形成させて得られた表層についても各種試験を行い、それらの結果を表中に併記した。
下記表1から、本発明の金属表層が、実用的に優れていることが明確に理解できよう。
【表1】
【0089】
【発明の効果】
▲1▼装飾部材表面に汚れを着きにくくすると共に、付着した手の指紋、汗、ホコリ等の汚れを簡単に除去することができる。
▲2▼装飾部材に強い力が加わっても装飾部材表面に傷が入らない。
▲3▼装飾部材表面に凹凸ができないようにすると共に、被膜の剥がれを極力少
なくすることができる。
▲4▼長期間使用しても表面を美しく保つことのできる優れた外観品質を有す
るステンレススチールからなる硬質層を有する装飾部材とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例1におけるバンドの駒の構造を示す模式図、(b)は(a)の一部拡大図である。
【図2】本発明の実施例2の構造を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例3の構造を示す模式図である。
【図4】本発明の実施例3の構造を示す模式図である。
【図5】本発明の実施例4の表面処理工程を示す模式図である。
【図6】本発明の実施例4の表面処理工程を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例4の構造を示す模式図である。
【図8】本発明の実施例5の構造を示す模式図である。
【図9】本発明の実施例6の表面処理工程を示す模式図である。
【図10】本発明の実施例6の構造を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例7の表面処理工程を示す模式図である。
【図12】本発明の実施例7の表面処理工程を示す模式図である。
【図13】本発明の実施例7の構造を示す模式図である。
【図14】本発明の実施例8の表面処理工程を示す模式図である。
【図15】本発明の実施例8の表面処理工程を示す模式図である。
【図16】本発明の実施例8の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基材
2 内部硬化層
3 TiN硬質装飾層
4 硬質透明ガラス層
5 炭素硬質装飾層
6 中間層
7 TiN硬質装飾層
8 マスキング層
9 TiN硬質装飾層
10 金−チタン合金被膜
11 TiN硬質装飾層
1 金−チタン合金被膜
13 マスキング層
14 TiC硬質装飾層
15 マスキング層
16 TiN硬質装飾層
Claims (3)
- 硬質層を有する装飾部材において、該装飾部材はステンレススチールからなり、かつ表面に凹凸模様を有し、また、前記装飾部材は表面から内部に向かって任意の深さに形成された炭素を固溶する内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質透明ガラス層とから構成されており、前記内部硬化層と前記硬質透明ガラス層との間には被覆形成された硬質装飾層を有し、前記硬質装飾層は硬質カーボン被膜であり、前記内部硬化層と前記硬質装飾層との間にはクロムまたはチタンを主体とする下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層とからなる2層構造の中間層を有することを特徴とする硬質層を有する装飾部材。
- 硬質層を有する装飾部材において、該装飾部材はステンレススチールからなり、かつ表面に凹凸模様を有し、また、前記装飾部材は表面から内部に向かって任意の深さに形成された炭素を固溶する内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質透明ガラス層とから構成されており、前記内部硬化層と前記硬質透明ガラス層との間には被覆形成された硬質装飾層を有し、前記硬質装飾層は硬質カーボン被膜であり、前記内部硬化層と前記硬質装飾層との間にはチタンを主体とする下層と、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、および炭化チタンの内のいずれかを主体とする上層との2層構造の中間層を有することを特徴とする硬質層を有する装飾部材。
- 前記硬質装飾層が前記装飾部材の内部硬化層表面の色調とは異なる色調を呈していることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬質層を有する装飾部材。
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