JP2001073110A - 時計外装部品およびその製造方法 - Google Patents

時計外装部品およびその製造方法

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JP2001073110A JP25290099A JP25290099A JP2001073110A JP 2001073110 A JP2001073110 A JP 2001073110A JP 25290099 A JP25290099 A JP 25290099A JP 25290099 A JP25290099 A JP 25290099A JP 2001073110 A JP2001073110 A JP 2001073110A
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田 八 郎 串
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の時計外装部品は、ステンレス鋼からな
り、その表面に炭素が固溶された時計外装部品であっ
て、該浸炭層の表面に、ヒ゛ッカース硬さが500以上の研磨面
あるいは機械的仕上げ加工面が形成されてなる。たとえ
ば腕時計ハ゛ント゛は、好ましくは複数個のオーステナイト系ステンレス
鋼製の駒を複数個のオーステナイト系ステンレス鋼製の連結部品で連
結した後に、連結された駒および連結部品に、フッ素系カ゛
ス雰囲気下に250〜600℃でフッ化処理を施した後、一酸化
炭素を含む浸炭性カ゛ス雰囲気下に400〜500℃で浸炭処理
を施し、次いで、酸洗処理を施した後、水洗処理を施
し、次いで、該駒の表面をハ゛レル研磨することにより得ら
れる。本発明の時計外装部品たとえば腕時計ハ゛ント゛の製
造方法は、上記の各処理工程からなる。 【効果】本発明によれば、ステンレス鋼、特にオーステナイト系ステンレ
ス鋼が本来有する優れた耐食性を損なうことなく、耐傷
付き性に優れた、鏡面仕上げ加工、または機械的仕上げ
加工が施されたステンレス鋼、特にオーステナイト系ステンレス鋼製の腕
時計ハ゛ント゛等の時計外装部品を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、時計外装部品およびその
製造方法に関し、さらに詳しくは、浸炭処理されたステ
ンレス鋼製の時計外装部品、特にガス浸炭処理されたオ
ーステナイト系ステンレス製の腕時計バンド、ベゼル、
ケーシング、裏蓋、文字盤等の時計外装部品、および時
計外装部品である腕時計バンドの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】腕時計バンド、ベゼル、ケーシン
グ、裏蓋、文字盤等の時計外装部品には、ステンレス
鋼、特に耐食性と装飾性に優れるオーステナイト系ステ
ンレス鋼が多用されている。しかしながら、オーステナ
イト系ステンレス鋼の鏡面は、傷付きやすいため、オー
ステナイト系ステンレス鋼をそのまま用いた腕時計用バ
ンド、ベゼル、ケーシング、裏蓋、文字盤等の時計外装
部品は、その美観が容易に損なわれてしまうという欠点
がある。
【0003】このような欠点を解決するために、オース
テナイト系ステンレス鋼などのステンレス鋼表面を浸炭
処理によって硬質化する技術が検討されているが、浸炭
処理されたステンレス鋼表面は、炭素原子の浸透により
結晶格子に歪みが生じ、粗い面となってしまうため、さ
らにその浸炭処理されたステンレス鋼表面を研磨するこ
とによって鏡面とする技術も試みられている。
【0004】たとえば、特開昭54−86441号公報
には、オーステナイト系ステンレスとは記載されていな
いが、低炭素鋼、低合金肌焼鋼などを用いた歯車、ネ
ジ、軸類等の精密微小部品を900℃の温度で固体浸炭
処理を施し、その部品の表面をバレル研磨して簡単に鏡
面を得ることができると記載されている。しかしなが
ら、オーステナイト系ステンレスのように多量のクロム
を含有する金属を、700℃以上の高温で浸炭処理する
と、そのステンレス鋼表面にクロム炭化物が析出する。
その結果、ステンレス鋼自体のクロム含有量が減少し、
ステンレス鋼の耐食性が著しく低下する。しかも、この
クロム炭化物は粗大化するため、ステンレス鋼の浸炭さ
れた領域に高い硬度は得られないという問題がある。
【0005】上記のようなクロム炭化物の析出を防止す
るために、オーステナイト系ステンレス鋼に、700℃
未満の低温で浸炭処理を施す方法が考えられるが、この
ような低温で浸炭処理を行なうと、ステンレス鋼表面に
炭素原子の浸透を妨げる不動態皮膜ができるため、ステ
ンレス鋼表面を硬質化することができない。特開平9−
71854号公報、特開平9−268364号公報およ
び特開平9−302456号公報には、オーステナイト
系ステンレス鋼に、フッ素系ガス雰囲気下で300〜5
00℃というような低温でフッ化処理を施して上記不動
態皮膜を炭素原子の浸透が容易なフッ化皮膜に変化さ
せ、その後、浸炭性ガス雰囲気下で400〜500℃と
いうような低温でオーステナイト系ステンレス鋼にガス
浸炭処理を施し、さらに酸洗処理または機械的研磨(ソ
フトブラスト、バレル研磨、バフ研磨など)を施す技術
が開示されている。
【0006】これらの公報に記載されている技術では、
オーステナイト系ステンレス鋼を低温で浸炭処理するた
め、ステンレス鋼のクロム炭化物の析出・粗大化は生じ
ないが、主としてステンレス鋼中のFeとCが共存する
層、おそらくはFe23などの鉄の酸化物を含む「黒
皮」が、浸炭された層の最外表面に形成される。これら
の公報に記載されている技術では、酸洗処理または機械
的研磨により黒皮を除去する。
【0007】しかしながら、上記の低温下においてガス
浸炭処理されたステンレス鋼の時計外装部品に、バレル
研磨やバフ研磨などの機械的研磨を施すのみでは、その
表面に形成された黒皮を完全に除去して、時計外装部品
の表面を鏡面にすることはできない。なぜならば、ほと
んどの時計外装部品は、装飾的な美観を得るために、複
雑な形状を成しており、孔の内壁、あるいは凹部の内壁
や底面などの研磨できない箇所が存在するからである。
また、複数の部品を連結して成る時計外装部品において
は、該部品と他の部品が相対する面も研磨が困難であ
る。たとえば多数の駒を連結部品で連結して成る腕時計
バンドにおいて、互いに隣接する駒と駒の隙間が少ない
ほど、研磨が困難であるからである。
【0008】また、酸洗処理のみでも、時計外装部品の
表面を鏡面とすることはできない。上記公報に記載され
ている酸洗処理は、強酸溶液によって黒皮に含まれる鉄
を熔解させ、時計外装部品の表面から黒皮を剥離させ
る。しかしながら、ステンレス鋼自体にも鉄が含まれて
いるので、この強酸溶液により、浸炭処理された層の表
面が侵される。その結果、浸炭処理された層の酸洗処理
後の表面は、粗面化され、鏡面にはならない。
【0009】さらに、ステンレス鋼製の時計外装部品の
表面に必要とされる仕上げは、鏡面ばかりではない。装
飾的な美観を得るために、様々な機械的な仕上げ加工が
要求される。たとえば多数の平行な筋目を彫り込むヘア
ーラインや、多数の微細な凹部を刻むホーニングなどの
仕上げが要求される。しかしながら、浸炭処理されたス
テンレス鋼の表面は、硬質であるが故に、上記のような
機械的な仕上げ加工が困難であるという問題がある。
【0010】したがって、オーステナイト系ステンレス
鋼等のステンレス鋼が本来有する優れた耐食性を損なう
ことなく、耐傷付き性に優れ、かつ表面が鏡面を呈する
ステンレス鋼製の時計外装部品、およびオーステナイト
系ステンレス等のステンレス鋼が本来有する優れた耐食
性を損なうことなく、耐傷付き性に優れ、かつ表面にヘ
アーライン加工、ホーニング加工などの機械的な仕上げ
加工が施されているステンレス鋼製の時計外装部品、な
らびにそれらの製造方法の出現が望まれている。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、オーステナイト
系ステンレス鋼等のステンレス鋼が本来有する優れた耐
食性を損なうことなく、耐傷付き性に優れ、かつ表面が
鏡面を呈するステンレス鋼製の時計外装部品、およびオ
ーステナイト系ステンレス鋼等のステンレス鋼が本来有
する優れた耐食性を損なうことなく、耐傷付き性に優
れ、かつ表面にヘアーライン加工、ホーニング加工など
の機械的な仕上げ加工が施されたステンレス鋼製の時計
外装部品、ならびにそれらの製造方法を提供することを
目的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係る時計外装部品は、ステンレ
ス鋼からなり、その表面に炭素が固溶された浸炭層が形
成された時計外装部品であって、該浸炭層の表面に、ビ
ッカース硬さ(HV)が500以上の研磨面が形成され
てなることを特徴としている。
【0013】前記研磨面が鏡面を呈していることが好ま
しい。また、本発明に係る時計外装部品は、ステンレス
鋼からなり、その表面に炭素が固溶された浸炭層が形成
された時計外装部品であって、該浸炭層の表面に、機械
的仕上げ加工面が形成されてなることを特徴としてい
る。
【0014】前記機械的仕上げ加工面のビッカース硬さ
(HV)は500以上であることが好ましい。前記の時
計外装部品は、時計外装部品の表面に機械的仕上げ加工
面を形成し、次いで、浸炭処理を施して得られる。本発
明に係る腕時計バンドは、互いに連結された、ステンレ
ス鋼からなる複数の駒を含む腕時計バンドであって、該
駒の表面に炭素が固溶された浸炭層が形成され、該浸炭
層の表面に、ビッカース硬度(HV)が500以上の研
磨面が形成されてなることを特徴としている。
【0015】前記研磨面が鏡面を呈していることが好ま
しい。また、本発明に係る腕時計バンドは、互いに連結
された、ステンレス鋼からなる複数の駒を含む腕時計バ
ンドであって、該駒の表面に炭素が固溶された浸炭層が
形成され、該浸炭層の表面に、機械的仕上げ加工面が形
成されてなることを特徴としている。
【0016】これらの腕時計バンドは、駒と駒とを互い
に連結するステンレス鋼からなる連結部品を含み、該連
結部品の表面の少なくとも一部に、炭素が固溶された浸
炭層が形成されていてもよい。本発明に係る腕時計バン
ドとしては、駒と駒とを互いに連結部品で連結した後、
該駒および該連結部品に浸炭処理を施し、次いで、該駒
の表面を研磨して得られる腕時計バンドが好ましい。
【0017】本発明に係る腕時計バンドは、浸炭層が形
成されていない連結部品をさらに含んでいてもよい。本
発明に係る腕時計バンドの製造方法は、複数個のステン
レス鋼製の駒を複数個のステンレス鋼製の連結部品で連
結した後、該駒および該連結部品に、フッ素系ガス雰囲
気下に400〜500℃でフッ化処理を施し、次いで、
一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下に400〜500
℃でガス浸炭処理を施し、次いで、酸洗処理を施した
後、水洗処理を施し、次いで、該駒の表面をバレル研磨
することを特徴としている。
【0018】前記フッ化処理の前に、前記連結部品で連
結された駒表面に機械的仕上げ加工を施すことにより、
機械的仕上げ加工表面を有する腕時計バンドを得ること
ができる。また、本発明に係る腕時計バンドの製造方法
は、複数個のステンレス鋼製の駒と複数個のステンレス
鋼製の連結部品に、フッ素系ガス雰囲気下に250〜6
00℃でフッ化処理を施し、次いで、一酸化炭素を含む
浸炭性ガス雰囲気下に400〜500℃でガス浸炭処理
を施し、次いで、酸洗処理を施した後、水洗処理を施
し、次いで、該駒の表面をバレル研磨し、次いで、該駒
を該連結部品で連結することを特徴としている。
【0019】前記フッ化処理の前に、前記の複数個の駒
表面に機械的仕上げ加工を施すことにより、機械的仕上
げ加工表面を有する腕時計バンドを得ることができる。
本発明に係る他の腕時計バンドの製造方法は、複数個の
ステンレス鋼製の駒を複数個のステンレス鋼製の連結部
品で連結した腕時計バンド以外のステンレス鋼製の時計
外装部品の母材に、フッ素系ガス雰囲気下に250〜6
00℃でフッ化処理を施し、次いで、一酸化炭素を含む
浸炭性ガス雰囲気下に400〜500℃でガス浸炭処理
を施し、次いで、酸洗処理を施した後、水洗処理を施
し、次いで、該母材表面をバレル研磨することを特徴と
している。
【0020】前記フッ化処理の前に、前記母材に機械的
仕上げ加工を施すことにより、機械的仕上げ加工表面を
有する時計外装部品を得ることができる。本発明に係る
腕時計バンドとしては、上記のような、本発明に係る腕
時計バンドの製造方法により調製される腕時計バンドが
好ましい。また、本発明に係る腕時計バンド以外の時計
外装部品としては、上記のような、本発明に係る腕時計
バンド以外の時計外装部品の製造方法により調製される
腕時計バンド以外の時計外装部品が好ましい。
【0021】本発明で用いられるステンレス鋼として
は、オーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。なお、
本明細書中の「時計外装部品」としては、腕時計バン
ド、ベゼル、ケーシング、裏蓋、文字盤などが挙げられ
る。
【0022】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る時計外装部品
およびその製造方法について具体的に説明する。本発明
に係る時計外装部品には、複数個のステンレス鋼製の駒
を複数個のステンレス鋼製の連結部品で連結してなる腕
時計バンドと、腕時計バンド以外の時計外装部品とに大
別される。前者の腕時計バンドを構成する駒および連結
部品の少なくとも駒は、浸炭処理、特に好ましくはガス
浸炭処理が施され、表面に浸炭硬化層が形成されてい
る。また、後者の腕時計バンド以外の時計外装部品も、
浸炭処理、特に好ましくはガス浸炭処理が施され、表面
に浸炭硬化層が形成されている。
【0023】上記の複数の駒を複数の連結部品で連結し
てなる腕時計バンドの製造の際に、駒だけでなく連結部
品(連結ピン、長さ調整用ピン等)も浸炭処理されるた
め、連結部品の表面から数十μmの深さの領域に硬質な
浸炭層が形成される。その結果、連結部品の硬度が高く
なり、バンドの長手方向に沿ってバンドが引っ張られて
も、連結ピンや長さ調整用ピンが曲がったり、折れたり
しにくくなる。したがって、腕時計のバンドに過大な外
力が負荷されようとも、バンドの駒が不用意に外れる危
険が少なく、多数の駒を連結したバンドの強度が高い。
【0024】なお、浸炭硬化層の形成により、長さ調整
用ピンの弾力が変化する場合があるが、その場合、長さ
調整用ピンが抜けにくくなったり、逆に抜けやすくなっ
たりすることがある。このような場合、バレル研磨処理
工程、さらにはバフ研磨処理工程を経た後、浸炭処理さ
れた長さ調整用ピンを、浸炭処理されていない長さ調整
用ピンに交換することが好ましい。上記の「前者の腕時
計バンドを構成する駒および連結部品の少なくとも駒
は、浸炭処理、特に好ましくはガス浸炭処理が施され、
表面に浸炭硬化層が形成されている。」の「少なくとも
駒は、」とは、バレル研磨処理工程、さらにはバフ研磨
処理を工程を経た後、浸炭処理された長さ調整用ピンが
浸炭処理されていない長さ調整用ピンに交換されること
があることを指している。
【0025】本発明に係る、複数個のステンレス鋼製の
駒を複数個のステンレス鋼製の連結部品で連結してなる
腕時計バンドは、複数個の駒を複数個の連結部品で連結
した後または前に、浸炭処理、特に好ましくはガス浸炭
処理が駒と連結部品に施されている。上記腕時計バンド
および腕時計バンドの構成物品(駒、連結部品)の材料
として使用されるステンレス鋼としては、特にオーステ
ナイト系ステンレス鋼が好ましい。本発明で用いられる
ステンレス鋼は、チタン金属を含まない。
【0026】上記オーステナイト系ステンレス鋼は、常
温で60重量%以上がオーステナイト相を有するステン
レスであり、たとえばFe−Cr−Ni−Mo系ステン
レス、Fe−Cr−Mn系ステンレスなどが挙げられ
る。本発明で用いられるオーステナイト系ステンレスと
しては、浸炭硬化層深さおよび価格の面からは、Ni含
有量が出来るだけ小さい安定型のステンレスが望ましい
が、耐食性の面からは、Ni含有量が多く、しかも、有
価元素であるMoを1.5〜4重量%程度含有するステ
ンレスが望ましい。また、最も好適なオーステナイト系
ステンレスとしては、クロム含有量が15〜25重量%
で、常温で加工してもオーステナイト相の安定な安定型
ステンレスに、Moを1.5〜4重量%添加したものが
挙げられる。
【0027】機械的仕上げ加工 本発明においては、多数の平行な筋目を彫り込むヘアー
ライン加工、多数の凹部を刻むホーニング加工等の機械
的仕上げ加工表面を有する時計外装部品を得るために、
フッ化処理の前に、連結部品で連結された駒表面、連結
前の駒、または装身具母材の表面に、機械的仕上げ加工
を施すことができる。
【0028】ガス浸炭処理により、連結部品で連結され
た駒表面、連結前の駒、または装身具母材の表面に形成
された浸炭硬化層は非常に硬いため、機械的な仕上げ加
工をすることは非常に困難である。また、機械的仕上げ
加工は、フッ化処理前に行なうのが作業上都合がよい。
したがって、機械的仕上げ加工は、フッ化処理前に行な
われる。
【0029】この機械的仕上げ加工により、駒、または
腕時計用バンド以外の時計外装部品用母材の表面に刻ま
れるヘアーライン、ホーニングの凹部等の深さは、当然
のことながら、後述するバレル研磨、さらにはバフ研磨
を行なった後でも、ヘアーライン、ホーニングの模様が
現れるような深さにする。この機械的仕上げ加工時にお
けるヘアーライン、ホーニングの凹部等の深さは、特に
限定されないが、通常、約5〜7μm程度である。ま
た、バレル研磨、さらにはバフ研磨を行なった後のヘア
ーライン、ホーニングの凹部等の深さは、通常、1〜2
μm程度である。
【0030】また、本発明においては、上記の機械的な
加工仕上げを、後述するバレル研磨、さらにはバフ研磨
によって鏡面とした研磨面に施すこともできる。浸炭層
は、その表面から内部に向かうにつれ、固溶される炭素
の濃度が低下し、硬度も低くなる。故に、バレル研磨、
さらにはバフ研磨により、非常に硬い浸炭硬化層の表面
から1〜2μm程度の領域を除去することによって、浸
炭層の表面硬度がやや低下する。かかる研磨面に機械的
仕上げ加工を施すこともできる。
【0031】なお、連結部品で連結された駒表面、連結
前の駒、または腕時計バンド以外の時計外装部品母材の
表面を鏡面にする場合には、このような機械的仕上げ加
工は行なわない。また、鏡面と機械的仕上げ加工が施さ
れた面双方を共存させるためには、従来法に則ればよ
い。たとえば、鏡面としたい部分に予めマスキングを施
し、機械的仕上げ加工後にマスキングを除去すれば、マ
スキングされていなかった部分にのみ機械的仕上げ加工
が施され、マスキングされていた部分は鏡面を呈する。
【0032】なお、かかる機械的仕上げ加工後の浸炭層
の表面硬度(HV)は、50g荷重で500以上あれ
ば、時計外装部品の硬さとしては充分である。好ましく
は50g荷重で600以上あればよい。フッ化処理 本発明に係る、複数個のステンレス鋼製の駒を複数個の
ステンレス鋼製の連結部品で連結してなる腕時計バンド
は、複数個のステンレス鋼製の駒を複数個のステンレス
鋼製の連結部品で連結する前または連結した後に、該駒
および該連結部品に、フッ素系ガス雰囲気下に250〜
600℃、好ましくは300〜500℃でフッ化処理を
施す。
【0033】また、上記のような駒を連結部品で連結し
てなる腕時計バンド以外の時計外装部品は、その時計外
装部品の母材(時計外装部品用母材)に、フッ素系ガス
雰囲気下に250〜600℃、好ましくは300〜50
0℃でフッ化処理を施す。このフッ化処理には、フッ化
系ガスが用いられる。フッ化系ガスとしては、具体的に
は、NF3、CF4、SF4、C26、BF3、CHF3
HF、SF6、WF6、SiF4、ClF3などのフッ素系
化合物ガスが挙げられる。これらのフッ化系ガスは、1
種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることが
できる。また、これらのガス以外に、分子内にフッ素を
含む他のフッ素系ガスも上記フッ素系ガスとして用いる
ことができる。さらにまた、このようなフッ素化合物ガ
スを熱分解装置で熱分解させて生成させたF2ガス、あ
るいは予め調製したF2ガスも上記フッ素系ガスとして
用いることができる。このようなフッ素化合物ガスとF
2ガスとは、任意に混合して用いられる。
【0034】上記フッ素化合物ガス、F2ガス等のフッ
素系ガスは、それぞれ1種単独で用いることもできる
が、通常は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで
希釈されて使用される。このような希釈されたガスにお
けるフッ素系ガス自身の濃度は、通常10,000〜1
00,000容量ppm、好ましくは20,000〜7
0,000容量ppm、さらに好ましくは30,000
〜50,000容量ppmである。本発明で最も好まし
く用いられるフッ素系ガスは、NF3である。NF3は、
常温でガス状であり、化学的安定性が高く、取り扱いが
容易である。このNF3ガスは、通常、窒素ガスと組み
合わせて上記の濃度範囲内で用いられる。
【0035】本発明におけるフッ化処理は、たとえば所
定の形状に加工した、腕時計バンド用のステンレス鋼製
の駒および連結部品、または腕時計用ベゼル、ケーシン
グ、裏蓋、文字盤などをフッ化処理用の炉内に入れ、上
記濃度のフッ素系ガス雰囲気下に、250〜600℃の
温度で行なわれる。フッ化処理時間は、処理物の種類・
大きさ等により異なるが、通常は、十数分から数十分で
ある。
【0036】このようなフッ化処理を行なうことによ
り、処理物表面に形成されたCr23を含む不動態皮膜
がフッ化皮膜に変化する。このフッ化皮膜は、炭素原子
の浸透性が良好であるので、次に行なわれるガス浸炭処
理により、ステンレス鋼表面から内部に炭素原子が浸透
拡散し、浸炭硬化層を容易に形成することができる。ガス浸炭処理 上記のフッ化処理が施された駒、連結部品、または腕時
計外装部品用母材に、一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲
気下に400〜500℃、好ましくは400〜480℃
でガス浸炭処理を施す。
【0037】この浸炭処理の際に用いられる浸炭性ガス
としては、炭素源ガスとして一酸化炭素を用い、通常、
この一酸化炭素と水素、二酸化炭素、窒素の混合ガスの
形で用いられる。この浸炭性ガスの浸炭能力(カーボン
ポテンシャル:Pc 値)は、通常、ガス雰囲気中のCO
およびCO2の分圧値Pco、Pco2を用いて次式で示され
る。
【0038】Pc =(Pco)2/Pco2 このPc 値が大きくなると、浸炭能力が大きくなり、ス
テンレス鋼たとえばオーステナイト系ステンレス鋼の表
面炭素濃度が高くなって表面硬度が高くなるが、ガス浸
炭処理用炉内のすすの発生が多くなる。ただし、このP
c 値をある一定の限界点以上に設定しても、形成される
浸炭硬化層の表面硬度には限界がある。一方、このPc
値が小さくなると、浸炭能力が小さくなり、オーステナ
イト系ステンレス鋼の表面炭素濃度が低くなって表面硬
度が低くなる。
【0039】本発明では、ガス浸炭処理温度を400〜
500℃という低温にすることにより、浸炭硬化層中に
Cr236 等の結晶質のクロム炭化物が析出せず、オー
ステナイト系ステンレス鋼中のクロム原子が消費されな
いため、浸炭硬化層の優れた耐食性を維持することがで
きる。また、浸炭処理温度が低温であるため、この浸炭
処理によりクロム炭化物の粗大化も起こらず、しかも、
ステンレス鋼内部の軟化による強度低下も少ない。
【0040】このようなガス浸炭処理法によれば、オー
ステナイト系ステンレス鋼からなる駒およびその連結部
品、またはオーステナイト系ステンレス鋼からなる時計
外装部品用母材の表面に浸炭硬化層(炭素の拡散浸透
層)が均一に形成される。これらの浸炭硬化層には、C
236 、Cr73、Cr32 等の結晶質のクロム炭
化物は生成されておらず、透過型電子顕微鏡での観察よ
れば、粒径0.1μm以下の超微細な金属炭化物が認め
られるのみである。この超微細な金属炭化物は、透過型
電子顕微鏡のスペクトル分析によれば、母材と同一の化
学組成を有しており、結晶質のクロム炭化物ではない。
これらの浸炭硬化層は、炭素原子が母材の金属格子中に
侵入固溶クロム炭化物を形成せず、母材と同様のオース
テナイト相から形成されている。この多量の炭素原子の
侵入固溶により、浸炭硬化層は大きな格子歪みを起こし
ている。上記の超微細な金属炭化物と格子歪みとの複合
効果により、浸炭硬化層の硬度の向上を実現し、ビッカ
ース硬度(HV)700〜1050という高硬度を得る
ことができる。しかも、上記ガス浸炭処理により結晶質
のクロム炭化物が生成せず、母材中のクロム原子を消費
しないことから、浸炭硬化層は、オーステナイト系ステ
ンレス鋼が本来有している優れた耐食性と同程度の耐食
性を保持している。
【0041】ガス浸炭処理後の駒、その連結部品、また
は時計外装部品用母材の表面には、極薄い黒皮が形成さ
れている。酸洗処理 上記のガス浸炭処理が施された駒、その連結部品、また
は時計外装部品用母材に、酸洗処理を施す。具体的に
は、駒、その連結部品、または時計外装部品用母材を酸
性溶液に浸漬する。
【0042】この酸洗処理で用いられる酸性溶液として
は、特に限定されるものではなく、たとえばフッ酸、硝
酸、塩酸、硫酸、フッ化アンモニウムなどが用いられ
る。これらの酸は、単独で用いることができるが、フッ
化アンモニウムと硝酸との混合液、硝酸とフッ酸との混
合液、硝酸と塩酸との混合液、硫酸と硝酸との混合液と
して用いることもできる。
【0043】これらの酸性溶液の濃度は、適宜決定され
るが、たとえば硝酸と塩酸との混合液では、硝酸濃度が
15〜40重量%程度、塩酸濃度が5〜20重量%程度
であることが好ましい。また、硝酸溶液の濃度は10〜
30重量%程度が好ましい。また、これらの酸性溶液
は、常温で用いることができるし、高温で用いることも
できる。
【0044】さらに、酸洗処理として、硝酸、硫酸等の
電解溶液を使用して電解処理を行なってもよい。酸性溶
液への浸漬時間は、酸性溶液の種類にもよるが、通常は
約15〜90分程度である。この酸洗処理により、駒、
その連結部品、または時計外装部品用母材の表面に形成
された浸炭処理に起因する黒皮に含まれている鉄が酸化
溶解し、黒皮が除去されるが、この酸洗処理のみでは、
黒皮を完全に除去することはできない。しかも、駒等の
表面、すなわちガス浸炭処理により形成された浸炭硬化
層の表面は、酸性溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗面
化される。
【0045】水洗処理 上記酸洗処理後、駒、その連結部品、または時計外装部
品用母材に水洗処理を施す。この水洗処理により、駒、
その連結部品、または時計外装部品用母材から剥離しか
かっている黒皮を洗い流すとともに、駒、その連結部
品、または時計外装部品用母材に付着している酸性溶液
を完全に洗い流し、酸性溶液による浸炭硬化層の粗面化
がさらに進行しないようにする。上記の酸洗処理および
水洗処理により、駒、その連結部品、または時計外装部
品用母材の表面に形成された黒皮を完全に除去すること
はできない。
【0046】バレル研磨 水洗処理された、駒、その連結部品、または時計外装部
品用母材の表面をバレル研磨する。具体的には、駒を連
結部品で連結して得られた腕時計用バンド、連結されて
いない駒、連結部品、または時計外装部品用母材をバレ
ル研磨装置のバレル槽の内部に設置し、研磨媒体として
好ましくはクルミのチップとアルミナ系研磨材をバレル
槽内に入れる。そして、約10時間かけてバレル研磨を
行ない、駒の浸炭硬化層の最表面に形成された粗い面
と、残っている黒皮を研磨する。
【0047】上記の酸洗処理、水洗処理およびバレル研
磨を併用することにより、連結された駒、連結されてい
ない駒、駒の連結に使用が予定されている連結部品、ま
たは時計外装部品用母材の表面に形成された黒皮を完全
に除去することができる。この時計外装部品用母材が複
雑な形状を成していても、この黒皮を完全に除去するこ
とができる。また、このバレル研磨により、ヘアーライ
ン加工等の機械的仕上げ加工が施されていない、連結さ
れた駒、連結されていない駒、駒の連結に使用が予定さ
れている連結部品、または時計外装部品用母材の表面を
鏡面とすることができる。
【0048】なお、バレル研磨に代えてバフ研磨を行な
うと、連結された駒、連結されていない駒、駒の連結に
使用が予定されている連結部品、または時計外装部品用
母材の表面に形成された黒皮を完全に除去することは非
常に困難である。なお、かかるバレル研磨後の浸炭層の
表面硬度(HV)は、50g荷重で500以上あれば、
時計外装部品の硬さとしては充分である。好ましくは5
0g荷重で600以上あればよい。
【0049】バフ研磨 バレル研磨した駒、連結されている駒、または時計外装
部品用母材の表面を、さらにバフ研磨してもよい。な
お、かかるバフ研磨後の浸炭層の表面硬度(HV)は、
50g荷重で500以上あれば、時計外装部品の硬さと
しては充分である。好ましくは50g荷重で600以上
あればよい。
【0050】複数の駒の連結 連結されていない駒は、連結部品で連結し、腕時計バン
ドを完成させる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、ステンレス鋼、特にオ
ーステナイト系ステンレス鋼が本来有する優れた耐食性
を損なうことなく、耐傷付き性に優れ、かつ表面が鏡面
を呈するオーステナイト系ステンレス鋼製の時計外装部
品(腕時計バンドを含む)、およびステンレス鋼、特に
オーステナイト系ステンレスが本来有する優れた耐食性
を損なうことなく、耐傷付き性に優れ、かつ表面にヘア
ーライン加工、ホーニング加工などの機械的仕上げ加工
が施されたオーステナイト系ステンレス製の時計外装部
品(腕時計バンドを含む)、ならびにこれらの時計外装
部品の製造方法を提供することができる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0053】
【実施例1】オーステナイト系ステンレス鋼であるSU
S316系材から成る母材に、熱間鍛造、冷間鍛造、切
削加工、孔開け加工などを施し、腕時計のバンドの駒を
作製した。次いで、各駒に穿設されたピン孔に連結部品
を挿入し、複数の駒と駒とを互いに回動可能に連結し、
かかる駒の表面をバフ研磨などで研磨して鏡面に仕上
げ、腕時計のバンドを完成した。
【0054】なお、この多数の駒を連結して成る腕時計
のバンドの幾つかの駒は、携帯者の手首の太さに合わせ
てバンドの長さを調整できるように、隣接する駒から取
り外し可能な駒、いわゆる長さ調整用駒であり、長さ調
整用駒以外の駒は、隣接する駒から容易に分離できない
ように連結される駒である。また、連結部品として、長
さ調整用駒に用いられる連結部品(長さ調整用ピン)
と、その他の駒に用いられる連結部品(連結ピンと割パ
イプ、ローレットピン)を使用した。
【0055】次いで、この腕時計のバンドを、金属製の
マッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次
いで、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%の
2との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込
み、フッ化処理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排
出した後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量
%のH2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との
混合ガス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸
炭処理を行なった後、バンドを取り出した。
【0056】取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このバンドを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、バン
ドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が
酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互
いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内
壁、さらに駒と駒とを連結する連結部品である、連結ピ
ン、割パイプ、長さ調整用ピンにも、黒皮は観察されな
かった。
【0057】しかしながら、バンドの駒の表面、すなわ
ち、浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水
溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。次いで、水
洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置
し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨
剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバ
レル研磨を行ない、駒の浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。これにより、浸炭層の表面から1〜2
μmの深さの領域が除去され、駒の表面、すなわち浸炭
層の最表面が鏡面となった。
【0058】以上の工程により、得られた鏡面を呈する
腕時計バンドは、耐傷付き性に優れ、SUS316系材
が本来有している優れた耐食性と同等の耐食性を保持し
ていた。予め多数の駒をまとめてバンドの形態にしてか
ら上記の各処理工程を行なったので、処理作業にかかる
人手と時間が削減され、処理コストを安価にすることが
できた。
【0059】また、連結部品も浸炭処理されるため、連
結部品の表面から数十μmの深さの領域に硬質な浸炭層
が形成された。その結果、連結部品の硬度が高くなり、
バンドの長手方向に沿ってバンドが引っ張られても、連
結ピンや長さ調整用ピンが曲がったり、折れたりしにく
くなった。この実施例1では、多数の駒をまとめてバン
ドの形態にしてから、フッ化処理、ガス浸炭処理、酸洗
処理、水洗処理およびバレル研磨処理を行なうので、こ
れらの処理工程における駒の取り扱いが容易で生産性に
優れている。
【0060】
【実施例2】実施例1において、フッ化処理を行なう前
に、バンドの駒の表側の表面(手首に装着したとき、外
方を向く面)に、バンドの長さ方向に沿ったヘアーライ
ンを多数形成した以外は、実施例1と同様にして、腕時
計のバンドを得た。得られた腕時計のバンドの表面は、
ヘアーライン仕上げになっており、耐傷付き性に優れ、
SUS316系材が本来有している優れた耐食性と同等
の耐食性を保持していた。
【0061】
【実施例3】実施例1において、腕時計のバンドの代わ
りに腕時計用のベゼルを用いた以外は、実施例1と同様
にして、鏡面仕上げのベゼルを得た。得られたベゼル
は、耐傷付き性に優れ、SUS316系材が本来有して
いる優れた耐食性と同等の耐食性を保持していた。
【0062】
【実施例4】実施例1において、腕時計のバンドの代わ
りに腕時計用のケーシングを用いた以外は、実施例1と
同様にして、鏡面仕上げのケーシングを得た。得られた
ケーシングは、耐傷付き性に優れ、SUS316系材が
本来有している優れた耐食性と同等の耐食性を保持して
いた。
【0063】
【実施例5】実施例1において、腕時計のバンドの代わ
りに腕時計用の裏蓋を用いた以外は、実施例1と同様に
して、鏡面仕上げの裏蓋を得た。得られた裏蓋は、耐傷
付き性に優れ、SUS316系材が本来有している優れ
た耐食性と同等の耐食性を保持していた。
【0064】
【実施例6】実施例1において、腕時計のバンドの代わ
りに腕時計用の文字盤を用いた以外は、実施例1と同様
にして、鏡面仕上げの文字盤を得た。得られた文字盤
は、耐傷付き性に優れ、SUS316系材が本来有して
いる優れた耐食性と同等の耐食性を保持していた。
フロントページの続き (72)発明者 安 藤 益 嗣 東京都田無市本町6−1−12 シチズン時 計株式会社田無製造所内 (72)発明者 井 上 健 東京都田無市本町6−1−12 シチズン時 計株式会社田無製造所内 Fターム(参考) 4K028 AA01 AB01 AB06

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステンレス鋼からなり、その表面に炭素が
    固溶された浸炭層が形成された時計外装部品であって、 該浸炭層の表面に、ビッカース硬さ(HV)が500以
    上の研磨面が形成されてなることを特徴とする時計外装
    部品。
  2. 【請求項2】前記研磨面が鏡面を呈することを特徴とす
    る請求項1に記載の時計外装部品。
  3. 【請求項3】ステンレス鋼からなり、その表面に炭素が
    固溶された浸炭層が形成された時計外装部品であって、 該浸炭層の表面に、機械的仕上げ加工面が形成されてな
    ることを特徴とする時計外装部品。
  4. 【請求項4】前記機械的仕上げ加工面のビッカース硬さ
    (HV)が500以上であることを特徴とする請求項3
    に記載の時計外装部品。
  5. 【請求項5】時計外装部品の表面に機械的仕上げ加工面
    を形成し、次いで、浸炭処理を施して得られることを特
    徴とする請求項3または4に記載の時計外装部品。
  6. 【請求項6】互いに連結された、ステンレス鋼からなる
    複数の駒を含む腕時計バンドであって、 該駒の表面に炭素が固溶された浸炭層が形成され、 該浸炭層の表面に、ビッカース硬度(HV)が500以
    上の研磨面が形成されてなることを特徴とする腕時計バ
    ンド。
  7. 【請求項7】互いに連結された、ステンレス鋼からなる
    複数の駒を含む腕時計バンドであって、 該駒の表面に炭素が固溶された浸炭層が形成され、 該浸炭層の表面に、機械的仕上げ加工面が形成されてな
    ることを特徴とする腕時計バンド。
  8. 【請求項8】駒と駒とを互いに連結するステンレス鋼か
    らなる連結部品を含み、 該連結部品の表面の少なくとも一部に、炭素が固溶され
    た浸炭層が形成されていることを特徴とする請求項6ま
    たは7に記載の腕時計バンド。
  9. 【請求項9】駒と駒とを互いに連結部品で連結した後、
    該駒および該連結部品に浸炭処理を施し、次いで、該駒
    の表面を研磨して得られることを特徴とする請求項6ま
    たは7に記載の腕時計バンド。
  10. 【請求項10】浸炭層が形成されていない連結部品をさ
    らに含むことを特徴とする請求項9に記載の腕時計バン
    ド。
  11. 【請求項11】複数個のステンレス鋼製の駒を複数個の
    ステンレス鋼製の連結部品で連結した後、該駒および該
    連結部品に、フッ素系ガス雰囲気下に400〜500℃
    でフッ化処理を施し、 次いで、一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下に400
    〜500℃でガス浸炭処理を施し、 次いで、酸洗処理を施した後、水洗処理を施し、 次いで、該駒の表面をバレル研磨することを特徴とする
    腕時計バンドの製造方法。
  12. 【請求項12】前記駒の表面をバレル研磨した後、さら
    にバフ研磨することを特徴とする請求項11に記載の腕
    時計バンドの製造方法。
  13. 【請求項13】前記フッ化処理の前に、前記連結部品で
    連結された駒表面に機械的仕上げ加工を施すことによ
    り、機械的仕上げ加工表面を有する腕時計バンドを得る
    ことを特徴とする請求項11または12に記載の腕時計
    バンドの製造方法。
  14. 【請求項14】複数個のステンレス鋼製の駒と複数個の
    ステンレス鋼製の連結部品に、フッ素系ガス雰囲気下に
    250〜600℃でフッ化処理を施し、 次いで、一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下に400
    〜500℃でガス浸炭処理を施し、 次いで、酸洗処理を施した後、水洗処理を施し、 次いで、該駒の表面をバレル研磨し、 次いで、該駒を該連結部品で連結することを特徴とする
    腕時計バンドの製造方法。
  15. 【請求項15】前記駒の表面をバレル研磨した後、さら
    にバフ研磨することを特徴とする請求項14に記載の腕
    時計バンドの製造方法。
  16. 【請求項16】前記フッ化処理の前に、前記の複数個の
    駒表面に機械的仕上げ加工を施すことにより、機械的仕
    上げ加工表面を有する腕時計バンドを得ることを特徴と
    する請求項14または15に記載の腕時計バンドの製造
    方法。
  17. 【請求項17】複数個のステンレス鋼製の駒を複数個の
    ステンレス鋼製の連結部品で連結した腕時計バンド以外
    のステンレス鋼製の時計外装部品の母材に、フッ素系ガ
    ス雰囲気下に250〜600℃でフッ化処理を施し、 次いで、一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下に400
    〜500℃でガス浸炭処理を施し、 次いで、酸洗処理を施した後、水洗処理を施し、 次いで、該母材表面をバレル研磨することを特徴とする
    腕時計バンドの製造方法。
  18. 【請求項18】前記母材表面をバレル研磨した後、さら
    にバフ研磨することを特徴とする請求項17に記載の腕
    時計バンドの製造方法。
  19. 【請求項19】前記フッ化処理の前に、前記母材に機械
    的仕上げ加工を施すことにより、機械的仕上げ加工表面
    を有する腕時計バンドを得ることを特徴とする請求項1
    7または18に記載の腕時計バンドの製造方法。
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