JP2002187398A - 表面処理方法および装飾品 - Google Patents

表面処理方法および装飾品

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JP2002187398A
JP2002187398A JP2000387879A JP2000387879A JP2002187398A JP 2002187398 A JP2002187398 A JP 2002187398A JP 2000387879 A JP2000387879 A JP 2000387879A JP 2000387879 A JP2000387879 A JP 2000387879A JP 2002187398 A JP2002187398 A JP 2002187398A
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mirror
masking film
treatment method
surface treatment
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JP2000387879A
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Shigemi Sasaki
茂實 佐々木
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非鏡面部と鏡面部とを有する、美的外観に優れ
た装飾品を提供すること、および前記装飾品を得ること
が可能な表面処理方法を提供すること。 【解決手段】本発明の表面処理方法は、非鏡面部21を
有する基材2の非鏡面部21の少なくとも一部に、マス
キング被膜3を形成する工程(2a、2b)と、レーザ
ー光を照射することにより、マスキング被膜3をパター
ニングする工程(2c)と、マスキング被膜3を用いて
基材2にエッチング処理を施す工程(2d)と、基材2
の前記エッチング処理を施された部位に、鏡面加工を施
す工程(2e)と、マスキング被膜3を除去する工程
(2f)とを有する。マスキング被膜3は、金属メッキ
または電着塗装により形成されたものである。前記鏡面
加工は、化学研磨、機械研磨、光沢メッキ、または電解
研磨によるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、表面処理方法およ
び装飾品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】時計用外装部品のような装飾品には、優
れた美的外観が要求される。
【0003】従来、このような目的を達成するために、
鏡面部と、スジ目、梨地、曇面等の非鏡面部とを併存さ
せ、これらを所定のパターンに配し、目的とする模様、
文字、目盛り等を形成することが広く行われていた。
【0004】特に、スジ目の表面に一部の鏡面部を有す
る装飾品は、例えば、以下に説明するような方法で製造
されてきた。
【0005】まず、基材の表面処理が施される側の面の
全体に、鏡面加工を施す。また、所定のパターンの凸部
が形成された金型のプレス面にも鏡面加工を施す。
【0006】この金型を用いて、鏡面加工が施された基
材をプレスし、基材の表面に、金型の凸部の形状に対応
するパターンの凹部を形成する。
【0007】その後、基材の凹部以外の部位にスジ目加
工を施すことにより、スジ目の表面の一部に、凹状の鏡
面部を有する装飾品が得られる。
【0008】しかし、このような方法では、プレスによ
るダレを生じ易い。また、鏡面加工後にスジ目加工を施
すため、最終的に得られる装飾品に、スジ目加工による
バリ、ビレが残存し易い。
【0009】したがって、前述した従来の方法で得られ
る装飾品は美的外観に劣ったものになり易い。また、基
材および金型に対して、鏡面加工を施さなければならな
いため、装飾品の生産性が低い。
【0010】また、このような方法では、凹部の深さが
小さい場合、スジ目加工の工程において、凹部が粗面化
されること等により、鏡面部と非鏡面部との境界が不明
瞭になったり、さらには、鏡面部と非鏡面部とを併存さ
せること自体が困難となる場合がある。また、このよう
な方法では、梨地仕上げが困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、非鏡
面部と鏡面部とを有する、美的外観に優れた装飾品を提
供すること、および前記装飾品を提供することができる
表面処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の本発明により達成される。
【0013】(1) 非鏡面部を有する基材の前記非鏡
面部の少なくとも一部に、マスキング被膜を形成する工
程と、レーザー光を照射することにより、前記マスキン
グ被膜をパターニングする工程と、前記基材の前記マス
キング被膜が除去された部位に、鏡面加工を施す工程と
を有することを特徴とする表面処理方法。
【0014】(2) 非鏡面部を有する基材の前記非鏡
面部の少なくとも一部に、マスキング被膜を形成する工
程と、レーザー光を照射することにより、前記マスキン
グ被膜をパターニングする工程と、前記マスキング被膜
を用いて前記基材にエッチング処理を施す工程と、前記
基材の前記エッチング処理を施された部位に、鏡面加工
を施す工程とを有することを特徴とする表面処理方法。
【0015】(3) 前記エッチングにより前記基材に
形成された凹部の深さが20μm以上である上記(2)
に記載の表面処理方法。
【0016】(4) 前記エッチングは、ウェットエッ
チングである上記(2)または(3)に記載の表面処理
方法。
【0017】(5) 前記エッチングは、シャワーエッ
チングである上記(4)に記載の表面処理方法。
【0018】(6) 前記マスキング被膜の形成は、金
属メッキによる上記(1)ないし(5)のいずれかに記
載の表面処理方法。
【0019】(7) 前記マスキング被膜の形成は、電
着塗装による上記(1)ないし(5)のいずれかに記載
の表面処理方法。
【0020】(8) 前記鏡面加工は、化学研磨、機械
研磨、または光沢メッキによる上記(1)ないし(7)
のいずれかに記載の表面処理方法。
【0021】(9) 前記鏡面加工は、電解研磨による
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の表面処理方
法。
【0022】(10) 前記マスキング被膜の平均厚さ
は、1〜30μmである上記(1)ないし(9)のいず
れかに記載の表面処理方法。
【0023】(11) 前記鏡面加工を施す工程の後、
さらに、前記マスキング被膜を除去する工程を有する上
記(1)ないし(10)に記載の表面処理方法。
【0024】(12) 前記非鏡面部における前記基材
の表面粗さRaは、0.3〜3μmである上記(1)な
いし(11)のいずれかに記載の表面処理方法。
【0025】(13) 前記鏡面加工を施した部位にお
ける前記基材の表面粗さRaは、0.01〜1μmであ
る上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の表面処
理方法。
【0026】(14) 上記(1)ないし(13)のい
ずれかに記載の表面処理方法を用いて製造されたことを
特徴とする装飾品。
【0027】(15) 装飾品は、時計用外装部品であ
る上記(14)に記載の装飾品。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の表面処理方法およ
び装飾品の好適な実施形態について、添付図面を参照し
つつ説明する。
【0029】図1は、本発明の表面処理方法の第1実施
形態を示す断面図である。図1に示すように、本実施形
態の表面処理方法は、非鏡面部21を有する基材2の非
鏡面部21の少なくとも一部(1a)に、マスキング被
膜3を形成する工程(1b)と、レーザー光を照射する
ことにより、マスキング被膜3をパターニングする工程
(1c)と、基材2のマスキング被膜3が除去された部
位に、鏡面加工を施す工程(1d)と、マスキング被膜
3を除去する工程(1e)とを有する。
【0030】<基材>基材2としては、いかなる材料か
らなるものであってもよく、例えば、腕時計のような時
計用外装部品の材料の場合、耐食性、強度、製造コスト
等との観点から選択され、例えば、ステンレス鋼(SU
S)、黄銅(Bs)、洋白(NS)等の合金、Tiおよ
びTi系合金、Au、Ag、Pt等の貴金属、またはこ
れらの貴金属を含む合金等の金属材料が挙げられる。
【0031】基材2の製造方法は、特に限定されず、例
えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉
末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワッ
クス法等が挙げられる。
【0032】基材2は、その表面の少なくとも一部に非
鏡面部21を有する。非鏡面部21は、スジ目、梨地、
曇面等の非鏡面となっている。
【0033】非鏡面部21の表面粗さRaは、特に限定
されないが、例えば、0.3〜3μmであるのが好まし
く、0.3〜1.5μmであるのがより好ましく、0.
6〜1.2μmであるのがさらに好ましい。
【0034】非鏡面部21の表面粗さRaが前記範囲の
値であると、後述する鏡面部22における鏡面光沢度
と、非鏡面部21における鏡面光沢度との差が大きくな
る。その結果、鏡面部22と非鏡面部21とが形成する
パターンが鮮明なものとなり、得られる装飾品1Aの美
的外観がさらに優れたものとなる。
【0035】また、後述するマスキング被膜3の形成に
先立ち、基材2に対して、例えば、アルカリ洗浄、酸洗
浄、水洗、有機溶剤洗浄等の洗浄処理や、ブラスト処
理、ボンバード処理等の前処理が施されていてもよい。
これにより、基材2とマスキング被膜3との密着性が向
上する。
【0036】なお、基材2は、全体にわたって均一な組
成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよ
い。例えば、基材2は、その表面付近の少なくとも一部
に、基材2の耐食性を向上させる保護層、後述する鏡面
加工時における保護性を向上させる下地層、マスキング
被膜3等との密着性を向上させる接着強化層等の被覆層
を有するもの等であってもよい。
【0037】また、基材2は、全体にわたって均一な色
彩を有するものであってもよいし、そうでなくてもよ
い。例えば、基材2は、その表面を形成する部位の少な
くとも一部に、基材2のそれ以外の部位とは色彩の異な
る材料で構成された異色層を有するもの等であってもよ
い。また、例えば、基材2は、その表面の各部位におい
て、色彩が連続的または非連続的(段階的)に変化する
ものであってもよい。
【0038】<マスキング被膜の形成>このような基材
2の非鏡面部21の少なくとも一部に、マスキング被膜
3を形成する(1b)。このマスキング被膜3は、後述
する鏡面加工の工程において、被覆した部位の基材2を
保護するマスクとして機能する。
【0039】マスキング被膜3は、レーザー光が照射さ
れるとアブレーションする材料から構成される。これに
よりレーザー光によるマスクパターニングが可能とな
る。
【0040】このようなマスキング被膜3を構成する材
料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹
脂、ポリスルホン系樹脂、エポキシ系、フッ素系等の樹
脂材料や、Au、Ni、Pd、Cu、Ag、Ti、Cr
等の金属材料を用いることができる。
【0041】マスキング被膜3の塗装形成方法は、特に
限定されず、例えば、電解メッキ、無電解メッキ、浸漬
メッキ等の湿式メッキや、化学蒸着法(CVD)、真空
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式
メッキ等のメッキ、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の
塗装、溶射等が挙げられる。
【0042】上述したマスキング被膜3の形成方法の中
でも特に、電着塗装を選択した場合、マスキング被膜3
の各部位における膜厚のバラツキをより小さくすること
が可能となる。マスキング被膜3は、後に詳述するよう
に、鏡面加工を施した後、マスキング被膜除去液を用い
ること等により除去されるが、このとき、マスキング被
膜3の各部位における膜厚のバラツキが小さいと、マス
キング被膜3が均一に溶解し除去されるため、膜厚が大
きい部分のマスキング被膜3の残留や、膜厚が小さい部
分が長時間剥離液に晒される等のために生じる基材2の
表面の荒れをより効果的に防止することができる。ま
た、レーザーを用いてマスキング被膜3を除去する際に
も、レーザーを照射した部位のマスキング被膜3が、部
分的に残留することをより効果的に防止することができ
る。
【0043】また、マスキング被膜3が金属材料で構成
される場合、マスキング被膜3の形成方法として、湿式
メッキ、乾式メッキ等のメッキ(金属メッキ)を選択す
ることにより、基材2とマスキング被膜3との密着性が
特に優れたものとなる。これにより、後述する鏡面加工
を施す工程においても、マスキングした部位の基材2を
より確実に保護することが可能となる。
【0044】マスキング被膜3の平均厚さは、マスキン
グ被膜3の構成材料等によって若干異なるが、例えば、
1〜30μmであるのが好ましく、1〜10μmである
のがより好ましく、1〜3μmであるのがさらに好まし
い。
【0045】マスキング被膜3の平均厚さが前記下限値
未満であると、マスキング被膜3にピンホールが発生し
易くなる。このため、後述する鏡面加工時において、マ
スキング被膜3が、被覆した部位の基材2を保護するマ
スクとしての機能を十分に発揮できない可能性がある。
【0046】一方、マスキング被膜3の平均厚さが前記
上限値を超えると、マスキング被膜3の各部位における
膜厚のバラツキが大きくなる傾向を示す。また、マスキ
ング被膜3の内部応力が高くなり、マスキング被膜3と
基材2との密着性が低下したり、クラックが発生し易く
なる。また、マスキング被膜3の被覆および除去の工程
に要する時間、コストが増大し、装飾品1Aの生産性が
低下し、製造コストが高くなる場合がある。
【0047】<レーザー加工>次に、レーザー光を照射
することにより、上記マスキング被膜3をパターニング
する(1c)。
【0048】レーザー光によりマスクパターニングする
ことによって、例えばフォトリソグラフィー等による場
合に比べて工程を簡略化することができる。また、レー
ザー光によれば微細精密パターンの形成も可能となり、
さらにレーザー光の照射位置や角度を任意に設定できる
ため、曲面や凹凸面上にパターンを形成する場合でも、
容易にかつ精度よく行うことができる。また、個々の装
飾品に異なるパターン(例えば、シリアルナンバー等)
を形成する場合であっても、容易に対応することができ
る。
【0049】なお、レーザー光によりマスキング被膜3
をパターニングする際、マスキング被膜3とともに、基
材2の一部がレーザーによって除去されてもよい。これ
により、基材2の表面に、マスキング被膜3に形成され
たパターンと同形状のパターンがマーキングされる。そ
の結果、後述する鏡面加工の工程で形成される鏡面部2
2と、非鏡面部21との境界がより鮮明なものとなり、
装飾品1Aの美的外観がさらに優れたものとなる。
【0050】本発明の方法において使用されるレーザー
としては、例えばNe−Heレーザー、Arレーザー、
COレーザー等の気体レーザーや、ルビーレーザー、
半導体レーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー等の
固体レーザーが挙げられる。なかでも、室温で連続発振
を容易に行うことができ、低い照射エネルギー領域にお
ける制御性の良さ等からYAGレーザーが好ましく用い
られる。
【0051】レーザー光の照射条件については、マスキ
ング被膜3の材質や膜厚、および基材2の材質等によっ
て適宜選択されるが、例えば、YAGレーザーの場合、
エネルギー強度は10〜100W程度であることが好ま
しい。
【0052】<鏡面加工>次に、レーザー光によりパタ
ーニングされた前記マスキング被膜3を用いて、基材2
の露出した部位に鏡面加工を施す(1d)。
【0053】これにより、基材2の表面には、鏡面加工
が施されていない非鏡面部21と、鏡面加工が施された
部位である鏡面部22とが併存し、かつ、非鏡面部21
と鏡面部22とが所定のパターンを形成することとな
り、後述する装飾品1Aは、美的外観に優れたものとな
る。
【0054】鏡面加工の方法は、特に限定されないが、
例えば、化学研磨、機械研磨、光沢メッキ、電解研磨等
の方法が挙げられる。
【0055】マスキング被膜3の形成を電着塗装で行っ
た場合、鏡面加工は、化学研磨、機械研磨、または光沢
メッキによるものであるのが好ましい。これにより、基
材2のマスキング被膜3が被覆された部位をより確実に
保護しつつ、鏡面部22と非鏡面部21との境界をより
鮮明なものとすることができる。
【0056】また、マスキング被膜3の構成材料として
金属を用い、かつマスキング被膜3の形成をメッキ(金
属メッキ)で行った場合、鏡面加工は、化学研磨、機械
研磨、光沢メッキ、または電解研磨により行うのが好ま
しい。これにより、マスキング被膜を、より強固な保護
膜として形成することができ、鏡面加工性を向上させる
ことができる。その結果、得られる装飾品1Aをより鏡
面性の高いものとすることが可能となる。
【0057】以下、鏡面加工の方法として、化学研磨、
機械研磨、光沢メッキ、電解研磨を用いた場合におけ
る、鏡面加工時の各種条件について詳細に説明する。
【0058】[1]化学研磨 鏡面加工を化学研磨で行う場合、用いる研磨液として
は、例えば、硝酸、硫酸、リン酸(オルトリン酸、メタ
リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、五酸化二リ
ン等)、フッ化水素、酢酸、塩化水素、ホウ酸、シュウ
酸、テトラフルオロホウ酸等の酸性物質、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム等のアルカリ性物質、酸化クロム(VI)、過酸
化水素、塩化鉄(III)、過塩素酸、過硫酸アンモニウ
ム、硝酸銅等の酸化剤、塩化鉄(III)、過硫酸アンモ
ニウム、硝酸銅、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭
酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の
塩から選択される1種または2種以上を混合したもの
や、これらのうちから選択される少なくとも1種と、メ
タノール、エタノール、ブタノール、水、硝酸、硫酸、
酢酸等から選択される少なくとも1種の液体とを含む混
合物等が挙げられる。
【0059】化学研磨時における研磨液の温度は、研磨
液の組成等により若干異なるが、例えば、10〜200
℃程度であるのが好ましく、20〜60℃程度であるの
がより好ましい。
【0060】また、研磨液での処理時間は、研磨液の組
成等により若干異なるが、例えば、1秒〜30分程度で
あるのが好ましく、10秒〜5分程度であるのがより好
ましい。
【0061】上述したような条件で化学研磨を行うこと
により、基材2の露出した部位(マスキング被膜3が除
去された部位)のみを容易に光沢面にすることができ
る。
【0062】特に、基材2がステンレスで構成されてい
る場合、研磨液としては、例えば、35%塩酸:30容
に対し、95%硫酸:40容程度と、四塩化炭素5.5
容程度と、水:25容程度とを混合したもの(以下、
「組成Aの研磨液」と言う)、98%リン酸(HPO
):10容に対し、70%硝酸:10容程度と、35
%塩酸:5容程度と、95%硫酸:2容程度とを混合し
たもの(以下、「組成Bの研磨液」と言う)や、これら
と同様の組成を有する液体等が好ましい。
【0063】研磨液として、組成Aの研磨液を用いた場
合、化学研磨時における研磨液の温度、研磨液での処理
時間は、それぞれ、65〜80℃程度、2〜5分程度で
あるのが好ましい。
【0064】また、研磨液として、組成Bの研磨液を用
いた場合、化学研磨時における研磨液の温度、研磨液で
の処理時間は、それぞれ、15〜100℃程度、10秒
〜10分程度であるのが好ましい。
【0065】[2]機械加工 鏡面加工を機械研磨で行う場合、研磨法としては、例え
ば、バフ研磨、バレル研磨等が挙げられる。
【0066】鏡面加工をバフ研磨で行う場合、バフとし
ては、例えば、綿布、サイザル麻等で構成されたものを
用いることができる。また、研磨材としては、例えば、
酸化鉄、アルミナ、けい石、酸化クロム、酸化セリウ
ム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、ダイヤモンド、エ
メリー等の粉末を油脂等に混合した固形研磨材、前記粉
末をエマルジョン等に分散した液状研磨材等を用いるこ
とができる。
【0067】また、鏡面加工をバレル研磨で行う場合、
研磨材としては、例えば、エメリー、アルミナ、ケイ
石、炭化珪素、植物の実等を用いることができる。ま
た、研磨材に、化学研磨液や界面活性剤等を加えて用い
てもよい。
【0068】また、鏡面加工に適用できるバレル研磨と
しては、例えば、回転バレル研磨、振動バレル研磨、流
体バレル研磨等が挙げられる。また、鏡面加工に適用さ
れるバレル研磨は、乾式、湿式のいずれであってもよ
い。
【0069】[3]光沢メッキ 鏡面加工を光沢メッキで行う場合、メッキの種類として
は、例えば、光沢ニッケルメッキ、光沢銅メッキ、光沢
銀メッキ等の各種光沢メッキや、これらの光沢メッキの
表面に、Au、Pd等の色付けメッキを行ったもの等が
挙げられる。
【0070】形成される光沢メッキの平均厚さは、特に
限定されないが、例えば、5〜20μm程度であるのが
好ましく、10〜15μm程度であるのがより好まし
い。
【0071】光沢メッキの平均厚さが前記範囲内の値で
あると、低コストのメッキにて、鏡面性が高く、非鏡面
部との視認性をさらに向上させることができる。また、
パターニング部に、例えば、色付け等の処理を容易に施
すことができる。
【0072】[4]電解研磨 鏡面加工を電解研磨で行う場合、用いる研磨液として
は、例えば、硝酸、硫酸、リン酸(オルトリン酸、メタ
リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、五酸化二リ
ン等)、フッ化水素、酢酸、塩化水素、ホウ酸、シュウ
酸、テトラフルオロホウ酸等の酸性物質、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム等のアルカリ性物質、酸化クロム(VI)、過酸
化水素、塩化鉄(III)、過塩素酸、過硫酸アンモニウ
ム、硝酸銅等の酸化剤、塩化鉄(III)、過硫酸アンモ
ニウム、硝酸銅、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭
酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム等の
塩から選択される1種または2種以上を混合したもの
や、これらのうちから選択される少なくとも1種と、メ
タノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、
水、硝酸、硫酸、酢酸等から選択される少なくとも1種
の液体とを含む混合物等が挙げられる。
【0073】電解研磨時における研磨液の温度は、研磨
液の組成等により若干異なるが、例えば、10〜200
℃程度であるのが好ましく、20〜60℃程度であるの
がより好ましい。
【0074】また、電解研磨時における電流密度は、研
磨液の組成等により若干異なるが、例えば、10〜50
0A/dm程度であるのが好ましく、30〜100A
/dm程度であるのがより好ましい。
【0075】また、研磨液での処理時間は、研磨液の組
成等により若干異なるが、例えば、5秒〜60分程度で
あるのが好ましく、60秒〜20分程度であるのがより
好ましい。
【0076】上述したような条件で電解研磨を行うこと
により、前述の化学研磨を用いた場合よりも、鏡面部の
鏡面性をより高くすることができ、非鏡面部とのコント
ラストを高くできる。その結果、得られる装飾品1Bの
美的外観は、さらに優れたものとなる。
【0077】特に、基材2がステンレスで構成されてい
る場合、研磨液としては、例えば、98%リン酸(H
PO):100容に対して、95%硫酸:10〜35
容と、クロム酸(CrO):5〜15容と、シュウ酸
((COOH))とを混合したもの(以下、「組成C
の研磨液」と言う)や、この溶液と同様の組成を有する
液体等が好ましい。
【0078】研磨液として、組成Cの研磨液を用いた場
合、電解研磨時における研磨液の温度、電流密度、研磨
液での処理時間は、それぞれ、20〜100℃程度、3
0〜100A/dm程度、1〜20分程度であるのが
好ましい。
【0079】なお、本工程においては、上述した鏡面加
工の方法を2種以上組み合わせて行ってもよい。
【0080】鏡面部22の表面粗さRaは、非鏡面部2
1の表面粗さRaより小さいものであれば特に限定され
ないが、例えば、0.01〜1μmであるのが好まし
く、0.05〜0.5μmであるのがより好ましく、
0.05〜0.1μmであるのがさらに好ましい。
【0081】鏡面部22の表面粗さRaが前記範囲の値
であると、鏡面部22における鏡面光沢度と、非鏡面部
21における鏡面光沢度との差が大きくなり、鏡面部2
2と非鏡面部21とが形成するパターンが鮮明なものと
なり、得られる装飾品1Aの美的外観がさらに優れたも
のとなる。
【0082】<マスキング被膜の除去>前述したような
鏡面加工を施した後、マスキング被膜3を除去すること
により、図に示すような装飾品1Aが得られる(1
e)。
【0083】マスキング被膜3の除去は、いかなる方法
で行ってもよいが、マスキング被膜3を除去することが
可能であり、かつ基材2に対して、実質的にダメージを
与えないマスキング被膜除去剤を用いて行うのが好まし
い。
【0084】このようなマスキング被膜除去剤を用いる
ことにより、マスキング被膜3の除去を容易かつ確実に
行うことができる。
【0085】マスキング被膜3の除去に用いられるマス
キング被膜除去剤は、特に限定されないが、液体、気体
等の流体であるのが好ましく、その中でも特に、液体で
あるのが好ましい。これにより、マスキング被膜3の除
去をさらに容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0086】マスキング被膜除去剤としては、例えば、
硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭
素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン
(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブ
チルテトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン
(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、エチレング
リコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリ
ン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DM
E)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(TH
F)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)等の
エーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサ
ン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭
化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香
族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロ
ール、チオフェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,
N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチ
ルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロ
メタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハ
ロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エ
チル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DM
SO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニト
リル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢
酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶
媒等の有機溶媒等から選択される1種または2種以上を
混合したものや、これらに、硝酸、硫酸、塩化水素、フ
ッ化水素、リン酸、ホウ酸、シュウ酸、テトラフルオロ
ホウ酸等の酸性物質、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、アンモニア等のアルカリ性物質、過マンガン酸
カリウム(KMnO)、二酸化マンガン(Mn
)、二クロム酸カリウム(KCr)、酸化
クロム(VI)、塩化鉄(III)、過塩素酸、過硫酸アン
モニウム、硝酸銅、オゾン、濃硫酸、硝酸、サラシ粉、
過酸化水素、キノン類等の酸化剤、チオ硫酸ナトリウム
(Na)、硫化水素、過酸化水素、ヒドロキ
ノン類等の還元剤、シアン化カリウム等を混合したもの
等が挙げられる。
【0087】マスキング被膜3を除去する方法として
は、例えば、マスキング被膜除去剤を噴霧する方法、液
体状態のマスキング被膜除去剤に浸漬する方法等が挙げ
られる。以上説明したような表面処理方法により、装飾
品1Aが得られる。
【0088】装飾品1Aは、装飾性を備えた物品であれ
ばいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリ
ア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース、時計バン
ド、文字盤、時計用針、裏蓋等の時計用外装部品、メガ
ネ、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、
ブレスレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピ
アス等の装身具、ライターまたはそのケース、ゴルフク
ラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハ
ウジング等を含む各種機器部品、各種容器等が挙げられ
る。この中でも特に、時計用外装部品が好ましい。時計
用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求される
とともに、実用品として、パターンの視認性、緻密性等
が要求されるが、本発明の表面処理方法によればこれら
の要件を全て満足することができる。
【0089】次に、本発明の表面処理方法および装飾品
の第2実施形態について説明する。図2は、本発明の表
面処理方法の第2実施形態を示す断面図である。
【0090】以下、第2実施形態の表面処理方法および
該方法を用いて製造される第2実施形態の装飾品につい
て、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様
の事項については、その説明を省略する。
【0091】図2に示すように、本実施形態の表面処理
方法は、非鏡面部21を有する基材2の非鏡面部21の
少なくとも一部(2a)に、マスキング被膜3を形成す
る工程(2b)と、レーザー光を照射することにより、
マスキング被膜3をパターニングする工程(2c)と、
マスキング被膜3を用いて基材2にエッチング処理を施
す工程(2d)と、基材2の前記エッチング処理を施さ
れた部位に、鏡面加工を施す工程(2e)と、マスキン
グ被膜3を除去する工程(2f)とを有する。
【0092】すなわち、基材2のレーザー光を照射する
ことにより露出した部位に、エッチング処理を施し、そ
の後、鏡面加工を施す以外は、前記第1実施形態と同様
である。
【0093】このように、鏡面加工に先立ち、基材2の
マスキング被膜3が除去された部位にエッチング処理を
施すことにより、マスキング被膜3に所定パターンの凹
部23を形成することができる。これにより、基材2の
表面に形成された模様、文字等の所定パターンの鏡面部
22が、凹部23として立体的に現れ、視覚によって、
さらに鮮明に捉えることができる。その結果、得られる
装飾品1Bは、さらに美的外観に優れたものとなる。
【0094】エッチング方法としては、特に限定されな
いが、浸漬エッチングやシャワーエッチング等のウェッ
トエッチングが好ましく、なかでもシャワーエッチング
が好ましい。シャワーエッチングによれば、より短時間
で、基材2に所定パターンの深い凹部を鮮明に形成する
ことができる。
【0095】エッチング処理に用いるエッチング液の組
成は、特に限定されないが、例えば、硝酸、硫酸、リン
酸(オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン
酸、四リン酸、五酸化二リン等)、フッ化水素、酢酸、
塩化水素、ホウ酸、シュウ酸、テトラフルオロホウ酸等
の酸性物質、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性物
質、酸化クロム(VI)、過酸化水素、塩化鉄(III)、
過塩素酸、過硫酸アンモニウム、硝酸銅等の酸化剤、塩
化鉄(III)、過硫酸アンモニウム、硝酸銅、炭酸カリ
ウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリ
ウム、塩化アンモニウム等の塩から選択される1種また
は2種以上を混合した液体や、これらのうちから選択さ
れる少なくとも1種と、メタノール、エタノール、ブタ
ノール、水、硝酸、硫酸、酢酸等から選択される少なく
とも1種の液体とを含む混合物等が挙げられる。
【0096】エッチング処理時におけるエッチング液の
温度は、エッチング液の組成、エッチング方法等により
若干異なるが、例えば、20〜100℃程度であるのが
好ましく、20〜40℃程度であるのがより好ましい。
【0097】また、エッチング液での処理時間は、エッ
チング液の組成、エッチング方法等により若干異なる
が、例えば、5秒〜20分程度であるのが好ましく、5
秒〜10分程度であるのがより好ましい。
【0098】エッチングにより基材2に形成される凹部
23の深さは任意に設定することができるが、20μm
以上であることが好ましく、50μm以上がより好まし
い。
【0099】これにより、基材2の表面に形成された模
様、文字等の所定パターンの鏡面部22が凹部23とし
て、より立体的に現れる。その結果、基材の表面に形成
されたパターンを、さらに鮮明に捉えることが可能とな
る。また、前記レーザー加工を施された部位の凹凸や化
合物(不純物)を除去することができるので、鏡面加工
による鏡面性をより向上させることができる。
【0100】また、本実施形態の表面処理方法において
は、レーザー光によりマスキング被膜3をパターニング
する際、マスキング被膜3とともに、基材2の一部がレ
ーザーによって除去されることが好ましい。これにより
基材2の表面にマスキング被膜3に形成されたパターン
と同形状のパターンがマーキングされ、次工程のエッチ
ングをより効率よく行うことができる。すなわち、予め
レーザーにより基材2の表面に荒れた凹状のパターンが
形成されることにより、当該凹状のパターン部分にエッ
チング液が侵入して基材2の蝕刻が迅速に進行する。さ
らに、基材2の表面付近をレーザー加工するためシャー
プな加工端面が得られ、いわゆるバリ、ビレのない鮮明
なパターンが形成される。
【0101】また、本発明においては、基材2がその表
面付近の少なくとも一部に被覆層を有するものである場
合、前記被覆層は、エッチング処理またはレーザーによ
る基材2のマーキングにより除去されてもよい。これに
より、被覆層と、基材2の被覆層以外の部位とが、異な
る色彩を有するものである場合(被覆層が異色層である
場合)、得られる装飾品は、鏡面部22と非鏡面部21
とで異なる色彩を有するものとなり、美的外観が特に優
れたものとなる。
【0102】以上、本発明の表面処理方法および装飾品
の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これ
らに限定されるものではない。
【0103】例えば、装飾品の表面の少なくとも一部に
は、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐摩耗性、耐変
色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向
上する保護層等が形成されていてもよい。
【0104】また、前述した実施形態では、鏡面加工後
に、マスキング被膜を除去するものとして説明したが、
マスキング被膜は、鏡面加工後に除去されないものであ
ってもよい。
【0105】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0106】1.装飾品の製造 (実施例1)以下に示すような表面処理を施すことによ
り、装飾品(腕時計用裏蓋)を製造した。
【0107】まず、ステンレス(SUS304)を用い
て、鍛造により、腕時計用裏蓋の形状を有する基材を作
製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
【0108】その後、基材の外表面側に、エメリー#1
80研磨にて、スジ目加工を施した。
【0109】スジ目加工が施された側の面における基材
の表面粗さRaは、1μmであった。
【0110】次に、スジ目加工が施された基材の表面
に、Auで構成されるマスキング被膜を形成した。
【0111】マスキング被膜の形成は、電解メッキによ
り、液温:50℃、電流密度:3A/dm、メッキ時
間:10分という条件で行った。形成されたマスキング
被膜の平均厚さは、3μmであった。
【0112】次に、YAGレーザーを用いてマスキング
被膜を所定のパターンに加工した。YAGレーザーによ
る加工条件は、エネルギー強度:10W、周波数:4k
Hz、電流:15A、スキャン速度:50m/sとし
た。
【0113】その後、マスキング被膜が除去された部位
に、以下に示すような条件で鏡面加工を施した。
【0114】すなわち、鏡面加工は、研磨液として、9
8%リン酸:10容と、70%硝酸:10容と、35%
塩酸:5容と、95%硫酸:2容との混合溶液を用いた
化学研磨により行った。
【0115】化学研磨時における研磨液への浸漬時間、
研磨液の温度は、それぞれ、3分、80℃であった。
【0116】最後に、基材上に残存するマスキング被膜
を、25℃のシアン化カリウム溶液に2分間浸漬するこ
とにより除去し、装飾品を得た。
【0117】得られた装飾品は、表面形状がスジ目とな
っている部位(非鏡面部)における表面粗さRaが1μ
m、鏡面加工が施された部位(鏡面部)における表面粗
さRaが0.1μmであった。
【0118】(実施例2)基材の外表面側に、スジ目加
工を施す代わりに梨地加工を施した以外は、前記実施例
1と同様にして表面処理を施し、装飾品を製造した。な
お、前記梨地加工は、ガラスビーズを2kg/cm
圧力で吹き付けることにより行った。
【0119】得られた装飾品は、表面形状が梨地となっ
ている部位(非鏡面部)における表面粗さRaが1μ
m、鏡面加工が施された部位(鏡面部)における表面粗
さRaが0.1μmであった。
【0120】(実施例3)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計用裏蓋)を製造した。
【0121】まず、ステンレス(SUS304)を用い
て、鍛造により、腕時計用裏蓋の形状を有する基材を作
製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
【0122】その後、基材の外表面側に、エメリー#1
80研磨にて、スジ目加工を施した。
【0123】スジ目加工が施された側の面における基材
の表面粗さRaは、1μmであった。
【0124】次に、スジ目加工が施された基材の表面
に、Auで構成されるマスキング被膜を形成した。
【0125】マスキング被膜の形成は、電解メッキによ
り、液温:50℃、電流密度:3A/dm、メッキ時
間:10分という条件で行った。形成されたマスキング
被膜の平均厚さは、3μmであった。
【0126】次に、YAGレーザーを用いてマスキング
被膜を所定のパターンに加工した。YAGレーザーによ
る加工条件は、エネルギー強度:15W、周波数:4k
Hz、電流:15A、スキャン速度:50m/sとし
た。なお、このとき、基材にもレーザーが照射され、深
さ約15μmのパターンが形成された。
【0127】その後、マスキング被膜が除去された部位
に、エッチング処理を施し、マスキング被膜が除去され
た部位の基材に所定パターンの凹部を形成した。エッチ
ング条件は、エッチング液:塩化鉄(III)溶液、液
温:30℃、処理時間:5分とし、基材の蝕刻深さは1
00μmであった。
【0128】その後、前記凹部に、以下に示すような条
件で鏡面加工を施した。すなわち、鏡面加工は、研磨液
として、98%リン酸:10容と、70%硝酸:10容
と、35%塩酸:5容と、95%硫酸:2容との混合溶
液を用いた化学研磨により行った。
【0129】化学研磨時における研磨液への浸漬時間、
研磨液の温度は、それぞれ、3分、80℃であった。
【0130】最後に、基材上に残存するマスキング被膜
を、25℃のシアン化カリウム溶液に2分間浸漬するこ
とにより除去し、装飾品を得た。
【0131】得られた装飾品は、表面形状がスジ目とな
っている部位(非鏡面部)における表面粗さRaが1μ
m、鏡面加工が施された部位(鏡面部)における表面粗
さRaが0.1μmであった。
【0132】(実施例4)基材の外表面側に、スジ目加
工を施す代わりに梨地加工を施した以外は、前記実施例
3と同様にして表面処理を施し、装飾品を製造した。な
お、前記梨地加工は、ガラスビーズを2kg/cm
圧力で吹き付けることにより行った。
【0133】得られた装飾品は、表面形状が梨地となっ
ている部位(非鏡面部)における表面粗さRaが1μ
m、鏡面加工が施された部位(鏡面部)における表面粗
さRaが0.1μmであった。
【0134】(比較例)以下に示すような表面処理を施
すことにより、装飾品(腕時計用裏蓋)を製造した。
【0135】まず、ステンレス(SUS304)を用い
て、鍛造により、腕時計用裏蓋の形状を有する基材を作
製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
【0136】次いで、基材の外表面側の全面に、ラッピ
ング研磨を施し、表面粗さRa0.1μmの鏡面とし
た。
【0137】また、所定のパターンの凸部(基材に転写
されるパターン)が形成された金型のプレス面に、ラッ
ピング研磨を施し、表面粗さRaが0.05μmの鏡面
とした。
【0138】この金型を用いて、鏡面加工が施された基
材をプレスし、基材の外表面側に、金型の凸部の形状に
対応するパターンの凹部を形成した。
【0139】その後、基材の凹部以外の部位に、エメリ
ー#180研磨にて、スジ目加工を施すことにより、ス
ジ目(非鏡面部)の表面に一部の鏡面部を有する装飾品
を得た。
【0140】得られた装飾品は、スジ目加工が施された
部位(非鏡面部)における表面粗さRaが1μm、凹部
(鏡面部)における表面粗さRaが0.3μmであっ
た。
【0141】2.装飾品の外観評価 上記実施例1〜4および比較例で製造した装飾品(各5
0個)について、外観(表面および凹部の状態)を目視
および顕微鏡確認により評価した。評価項目および評価
結果を表1に示す。なお、各評価項目において以下の状
態を「良品」と判定し、3段階で表示するものとした。 ○:良品率が90%を超える。 △:良品率が50以上90%以下。 ×:良品率が50%未満。
【0142】鏡面部と非鏡面部との境界付近における
バリ、ビレ、ダレ 鏡面部と非鏡面部との境界付近におけるバリ、ビレ、ダ
レが認められない。
【0143】マスキング被膜の除去による表面の荒れ マスク除去による表面の荒れが認められない。
【0144】鏡面化不良 非鏡面部における鏡面化および鏡面部における非鏡面化
が認められない。
【0145】
【表1】
【0146】表1から明らかなように、本発明の表面処
理方法を用いて製造された装飾品は、いずれも優れた美
的外観を有している。また、非鏡面部の形状が、スジ目
以外の形状(梨地)であっても、優れた美的外観が得ら
れる。特に、実施例3、4で得られた装飾品は、所定の
形状にパターニングされた鏡面部が、凹部として立体的
に現れており、特に優れた美的外観を有するものであっ
た。
【0147】これに対し、比較例の表面処理方法により
製造された装飾品は、美的外観に劣っている。
【0148】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の表面処理方
法によれば、鏡面部と非鏡面部とで形成されたパターン
が鮮明で、美的外観に優れた装飾品を容易かつ迅速に製
造することができる。
【0149】また、基材の表面に凹凸を設けることによ
り、さらに美的外観に優れた装飾品を得ることができ
る。
【0150】また、レーザー光を用いたパターニングに
よりマスクを形成するため、複雑な形状の基材表面にも
精密にパターンを設けることができ、デザインの自由度
が大きい。さらに、工程を簡略化することができ、製造
コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面処理方法の第1実施形態を示す断
面図である。
【図2】本発明の表面処理方法の第2実施形態を示す断
面図である。
【符号の説明】
1A、1B 装飾品 2 基材 21 非鏡面部 22 鏡面部 23 凹部 3 マスキング被膜

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非鏡面部を有する基材の前記非鏡面部の
    少なくとも一部に、マスキング被膜を形成する工程と、 レーザー光を照射することにより、前記マスキング被膜
    をパターニングする工程と、 前記基材の前記マスキング被膜が除去された部位に、鏡
    面加工を施す工程とを有することを特徴とする表面処理
    方法。
  2. 【請求項2】 非鏡面部を有する基材の前記非鏡面部の
    少なくとも一部に、マスキング被膜を形成する工程と、 レーザー光を照射することにより、前記マスキング被膜
    をパターニングする工程と、 前記マスキング被膜を用いて前記基材にエッチング処理
    を施す工程と、 前記基材の前記エッチング処理を施された部位に、鏡面
    加工を施す工程とを有することを特徴とする表面処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記エッチングにより前記基材に形成さ
    れた凹部の深さが20μm以上である請求項2に記載の
    表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記エッチングは、ウェットエッチング
    である請求項2または3に記載の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記エッチングは、シャワーエッチング
    である請求項4に記載の表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記マスキング被膜の形成は、金属メッ
    キによる請求項1ないし5のいずれかに記載の表面処理
    方法。
  7. 【請求項7】 前記マスキング被膜の形成は、電着塗装
    による請求項1ないし5のいずれかに記載の表面処理方
    法。
  8. 【請求項8】 前記鏡面加工は、化学研磨、機械研磨、
    または光沢メッキによる請求項1ないし7のいずれかに
    記載の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 前記鏡面加工は、電解研磨による請求項
    1ないし6のいずれかに記載の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記マスキング被膜の平均厚さは、1
    〜30μmである請求項1ないし9のいずれかに記載の
    表面処理方法。
  11. 【請求項11】 前記鏡面加工を施す工程の後、さら
    に、前記マスキング被膜を除去する工程を有する請求項
    1ないし10に記載の表面処理方法。
  12. 【請求項12】 前記非鏡面部における前記基材の表面
    粗さRaは、0.3〜3μmである請求項1ないし11
    のいずれかに記載の表面処理方法。
  13. 【請求項13】 前記鏡面加工を施した部位における前
    記基材の表面粗さRaは、0.01〜1μmである請求
    項1ないし12のいずれかに記載の表面処理方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13のいずれかに記載
    の表面処理方法を用いて製造されたことを特徴とする装
    飾品。
  15. 【請求項15】 装飾品は、時計用外装部品である請求
    項14に記載の装飾品。
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