JP2005015898A - 装飾品の製造方法、装飾品および時計 - Google Patents

装飾品の製造方法、装飾品および時計 Download PDF

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Koichi Yamaguchi
浩一 山口
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Abstract

【課題】アルミニウムの酸化被膜を有し、かつ、湾曲部を有する装飾品を美的外観に優れたものとして提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供すること。
【解決手段】本発明の装飾品の製造方法は、主としてAlで構成され、かつ、その表面付近の少なくとも一部にAlの酸化被膜22が形成された基材2(1a)の酸化被膜22の表面の一部に、マスク5を被覆するマスキング工程(1b)と、マスク5で被覆された基材2にエッチング処理を施し、酸化被膜22の一部を除去する酸化被膜除去工程(1c)と、酸化被膜22の一部が除去された基材2を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程(1d)と、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜22が除去された部位に、酸化被膜3を形成する酸化工程(1e)と、酸化被膜3を着色する着色工程(1f)と、マスク5を除去し、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)に封孔処理を施す工程(1g)とを有する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、装飾品の製造方法、装飾品および時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム製の基材に酸化被膜(アルマイト層)を形成(アルマイト処理)し、その後、該酸化被膜の表面の一部にマスクを被覆し、さらに、酸化被膜にエッチングや着色等の処理を施すことにより装飾品を製造する技術は、広く知られている。アルミニウムの酸化被膜は、通常、多孔性の膜として形成されるものであり、着色性に優れるため、上記のような方法により、優れた美的外観の装飾品を得ることことができる。
【0003】
しかしながら、上記のような処理は、平面部に対して施すことを前提としており、曲面部等に対して行うのは非常に困難であった。すなわち、酸化被膜に対するマスクの被覆は、通常、スクリーン印刷により行われているため、曲面部等におけるマスク形成は非常に困難であり、また、仮に、マスク形成ができた場合であっても、曲面部等(特に、微小な凹凸を有する部位)においては、十分な位置精度でパターニングするのは実質的に不可能であるため、製造される装飾品の歩留りは著しく低いものとなるという問題があった。
【0004】
また、予め平板状の基材にアルマイト処理を施し、当該アルマイト処理が施された平板状の基材を成形することにより曲面部を形成した方法も考えられるが、このような方法では、酸化被膜に大きなひびや割れを生じ易く、最終的に得られる装飾品において、十分な美的外観を得るのが非常に困難であった。
このような問題を解決する目的で、基材表面に、カーボンブラックを含む塗料を塗布することにより塗膜を形成し、該塗膜をYAGレーザーで、パターニングするという試みがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この方法では、YAGレーザーにより塗膜を確実に除去するのが困難で、塗膜が除去されるべき部位にその一部(樹脂層)が残存し易かった。一方、レーザーの出力を大きくすることにより、塗膜の完全な除去を試みると、除去されるべきではない領域の塗膜が溶融等により変形したり、酸化被膜が不均一に除去されてしまったり、さらには、下地のアルミニウムの表面まで荒らされるといった問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−316767号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルミニウムの酸化被膜を有し、かつ、湾曲部を有する装飾品を美的外観に優れたものとして提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の装飾品の製造方法は、主としてAlで構成され、かつ、その表面付近の少なくとも一部にAlの酸化被膜が形成された基材の前記酸化被膜上の一部にマスクを被覆するマスキング工程と、
前記マスクで被覆された前記基材にエッチング処理を施し、前記酸化被膜の一部を除去する酸化被膜除去工程と、
前記酸化被膜の一部が除去された前記基材を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程と、
前記成形工程の後の工程として、前記酸化被膜除去工程で前記酸化被膜が除去された部位に酸化被膜を形成する酸化工程とを有することを特徴とする。
これにより、アルミニウムの酸化被膜を有し、かつ、湾曲部を有する装飾品を美的外観に優れたものとして提供することができる。
【0009】
本発明の装飾品の製造方法は、表面の少なくとも一部にAlの酸化被膜を有し、かつ該酸化被膜の下層として主としてAlで構成されたAl層を有する基材の前記酸化被膜上の一部にマスクを被覆するマスキング工程と、
前記マスクで被覆された前記基材にエッチング処理を施し、前記酸化被膜の一部を除去する酸化被膜除去工程と、
前記酸化被膜の一部が除去された前記基材を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程と、
前記成形工程の後の工程として前記酸化被膜除去工程で前記酸化被膜が除去された部位に酸化被膜を形成する酸化工程とを有することを特徴とする。
これにより、アルミニウムの酸化被膜を有し、かつ、湾曲部を有する装飾品を美的外観に優れたものとして提供することができる。
【0010】
本発明の装飾品の製造方法では、前記酸化工程の後に、前記酸化被膜の一部を着色する着色工程を有し、さらに、該着色工程の後に、前記マスクを除去するマスク除去工程を有することが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記マスキング工程と前記エッチング工程との間に、前記酸化被膜の一部を着色する着色工程を有することが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0011】
本発明の装飾品の製造方法では、前記酸化工程の後に、前記酸化被膜を封孔する封孔工程を有することが好ましい。
これにより、装飾品の耐食性を向上させることができる。また、着色工程を有する場合、得られる装飾品は色落ちし難いものとなる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記成形工程に供される前記基材の前記酸化被膜が形成された面において、前記酸化被膜が形成されている領域の占める面積の割合が、50%以下であることが好ましい。
これにより、酸化被膜の割れやひびをより効果的に防止することができ、装飾品の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0012】
本発明の装飾品の製造方法では、前記成形工程に供される前記基材において、前記酸化被膜は、前記基材の表面の異なる複数個の領域に独立して存在するものであり、前記領域1個あたりの面積が10000mm以下であることが好ましい。
これにより、酸化被膜の割れやひびをより効果的に防止することができ、装飾品の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0013】
本発明の装飾品の製造方法では、前記湾曲部の曲率半径Rは、10〜1000mmであることが好ましい。
このように、本発明では、比較的曲率半径の小さい湾曲部を有する装飾品を好適に製造することができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記酸化被膜の平均厚さは、5〜30μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の耐久性を特に優れたものとすることができる。
【0014】
本発明の装飾品の製造方法では、前記成形工程において、打ち抜き加工と、曲げ加工とを行うことが好ましい。
これにより、装飾品の生産性が特に優れたものとなる。また、得られる装飾品は、各個体間での品質のバラツキが特に小さいものとなる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記基材から複数個の装飾品を製造することが好ましい。
これにより、装飾品をさらに生産性良く製造することができる。
【0015】
本発明の装飾品は、本発明の方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、アルミニウムの酸化被膜を有し、かつ、湾曲部を有する装飾品を美的外観に優れたものとして提供することができる。
本発明の装飾品では、装飾品は、時計用外装部品であることが好ましい。
このように、装飾品としての外観の美しさとともに、実用品としての耐久性、耐食性、耐磨耗性等が求められる時計用外装部品に、本発明は好適に適用することができる。
【0016】
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、アルミニウムの酸化被膜を有し、かつ、湾曲部を有する装飾品を備えた時計を得ることができる。また、本発明は、外観の美しさとともに、実用品としての耐久性、耐食性、耐磨耗性等が求められる時計に、より好適に適用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の装飾品の製造方法、装飾品および時計の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の装飾品の製造方法、装飾品および時計の第1実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の装飾品の製造方法の第1実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、主としてAlで構成され、かつ、その表面付近の少なくとも一部にAlの酸化被膜22が形成された基材2(1a)の酸化被膜22の表面の一部に、マスク5を被覆するマスキング工程(1b)と、マスク5で被覆された基材2にエッチング処理を施し、酸化被膜22の一部を除去する酸化被膜除去工程(1c)と、酸化被膜22の一部が除去された基材2を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程(1d)と、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜22が除去された部位に、酸化被膜3を形成する酸化工程(1e)と、酸化被膜3を着色する着色工程(1f)と、マスク5を除去し、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)に封孔処理を施す工程(1g)とを有する。
【0019】
[基材]
基材2は、主としてAlで構成される基部21と、基部21の表面側に形成されたAlの酸化被膜22とを有している(1a)。
基部21は、主としてAlで構成されるものであればいかなるものであってもよい。例えば、基部21は、実質的にAlのみで構成されるものであってもよいし、Al以外の元素(例えば、Cu、Mn、Si、Mg、Zn等)を含む合金や化合物等を含むものであってもよい。前記のような元素を含むことにより、例えば、基材2の強度、加工性、耐食性、光沢度等の特性を向上させることができる。
【0020】
基材2は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、通常、Alで構成される部材を用意し、この部材に酸化処理(アルマイト処理)を施すことにより得られる。
基材2の製造に用いられる前記部材は、いかなる方法で製造されたものでもよいが、その製造方法としては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワックス法等が挙げられる。
【0021】
また、前記部材に対する酸化処理(アルマイト処理)の方法としては、例えば、陽極酸化処理等が挙げられる。
陽極酸化により、酸化被膜22を形成する場合、電解液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液、リン酸溶液、クロム酸溶液等を用いることができる。
電解液として、硫酸溶液を用いる場合、硫酸溶液(水溶液)の濃度は10〜20wt%程度、電流密度は0.5〜2A/dm程度、電解液温度は15〜25℃程度、処理時間は30〜60分程度であるのが好ましい。
【0022】
また、電解液として、シュウ酸溶液を用いる場合、シュウ酸溶液(水溶液)の濃度は2〜5wt%程度、電流密度は1〜20A/dm程度、電解液温度は3〜5℃程度、処理時間は30〜60分程度であるのが好ましい。
酸化被膜22の平均厚さは、特に限定されないが、5〜30μmであるのが好ましく、20〜30μmであるのがより好ましい。酸化被膜22の平均厚さが前記下限値未満であると、最終的に得られる装飾品1Aの耐久性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、酸化被膜22の平均厚さが前記上限値を超えると、酸化被膜22の各部位における膜厚のバラツキが大きくなる傾向を示す。また、酸化被膜22の内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0023】
[マスキング工程]
上記のような基材2の酸化被膜22の表面の一部に、マスク5を被覆する(1b)。このマスク5は、後述する酸化被膜除去工程において、被覆した部位の酸化被膜22を保護する機能を有する。
マスク5としては、酸化被膜除去工程において、被覆した部位の酸化被膜22を保護する機能を有するものであればいかなるものでもよいが、後述するマスク5を除去する工程において、容易に除去することができるものであるのが好ましい。
【0024】
このようなマスク5を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、エポキシ系、フッ素系等の樹脂材料や、Au、Ni、Pd、Cu、Ag、Ti、Cr等の金属材料を用いることができる。
マスク5の形成方法は、特に限定されず、例えば、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射等が挙げられる。
【0025】
マスク5の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、100〜2000μmであるのが好ましく、500〜1000μmであるのがより好ましい。マスク5の平均厚さが前記下限値未満であると、マスク5にピンホールが発生し易くなる傾向がある。このため、後述する酸化被膜除去工程において、マスク5としての機能(被覆した部位の酸化被膜22を保護する機能)を十分に発揮するのが困難となり、得られる装飾品1Aの美的外観が低下する可能性がある。一方、マスク5の平均厚さが前記上限値を超えると、マスク5の各部位における膜厚のバラツキが大きくなる傾向を示す。また、マスク5の内部応力が高くなり、結果として、マスク5と酸化被膜22との密着性が低下したり、クラックが発生し易くなる。
【0026】
また、マスク5は、実質的に透明であるのが好ましい。これにより、酸化被膜22との密着状態を外部から容易に視認することができる。
マスク5は、例えば、スクリーン印刷、タコ印刷(パッド印刷)、フォトレジスト、レーザーによるパターニング等の印刷法等により、好適に形成することができる。
【0027】
また、マスク5は、酸化被膜22の表面に、直接、所望の形状となるように形成されるものに限定されない。例えば、酸化被膜22の表面のほぼ全面に、マスク5の構成材料を被覆した後、その一部を除去することにより、所望のパターンを有するマスク5としてもよい。
酸化被膜22の表面のほぼ全面に被覆されたマスク5の一部を除去する方法としては、例えば、除去したい部位のマスク5に、レーザー光を照射する方法等が挙げられる。このとき用いられるレーザーとしては、例えば、Ne−Heレーザー、Arレーザー、COレーザー等の気体レーザーや、ルビーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー、YVOレーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。
【0028】
また、酸化被膜22の表面のほぼ全面に、マスク5の構成材料を被覆した後、フォトリソグラフィー法等によりその一部を硬化させ、その後、未硬化の部位を除去することにより、所望のパターンを有するマスク5としてもよい。
また、上記のようなマスク5の形成に先立ち、酸化被膜22に対して、下地処理を施してもよい。下地処理の目的は、いかなるものであってもよいが、例えば、下地処理により、酸化被膜22とマスク5との密着性の向上等を図ることができる。前処理としては、例えば、ブラスト処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、有機溶剤洗浄、ボンバード処理等の清浄化処理、エッチング処理等が挙げられるが、この中でも特に、清浄化処理が好ましい。酸化被膜22の表面に、清浄化処理を施すことにより、酸化被膜22とマスク5との密着性が特に優れたものとなる。
【0029】
[酸化被膜除去工程]
次に、マスク5が被覆されていない部位の酸化被膜22をエッチングにより除去する(1c)。このように、酸化被膜22の一部を除去することにより、基部21上に残存する酸化被膜22は、1個当たりの面積が小さいものとなる。その結果、後に詳述するように、成形工程において湾曲部を形成する際に、酸化被膜22に割れやひびが生じるのを好適に防止することができる。また、酸化被膜22の一部を除去することにより、基材2は、その表面に凹凸のパターンが形成される。その結果、最終的に得られる装飾品1Aも、これに対応する凹凸パターンを有するものとなり、装飾品1Aの美的外観は、特に優れたものとなる。
【0030】
エッチング法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられるが、中でも、ウェットエッチングが好ましい。酸化被膜22の除去方法として、ウェットエッチングを採用することにより、比較的簡易な装置で、マスク5で被覆されていない部位の酸化被膜22を容易かつ確実に除去することができる。
【0031】
酸化被膜22の除去をウェットエッチングにより行う場合、エッチング液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等を用いることができる。
また、エッチング液を基材2に付与する方法としては、例えば、浸漬法(エッチング液中に、マスク5で被覆された基材2を浸漬する方法)、スプレー法、刷毛塗り、インクジェット法等が挙げられる。この中でも、浸漬法は、比較的短時間で、容易かつ確実に酸化被膜22を除去できるという点で優れている。また、浸漬法では、基材2に付与されるエッチング液の温度、組成等を容易に管理することができ、また、基材2と剥離剤との接触時間(基材2のエッチング液中への浸漬時間)を制御し易いという点でも優れている。
この工程で用いるエッチング剤(エッチング液)は、マスク5を実質的に溶解、剥離せずに、マスク5が被覆されていない部位の酸化被膜22のみを選択的に除去することが可能なものを用いるのが好ましい。
【0032】
以上のような酸化被膜除去工程を終えた基材2(後述する成形工程に供される基材2)の酸化被膜22が形成された面において、酸化被膜22が形成されている領域の占める面積の割合は、50%以下であるのが好ましく、5〜10%であるのがより好ましい。酸化被膜22が形成されている領域の占める面積の割合が前記範囲内の値であると、酸化被膜22の割れやひびをより効果的に防止することができ、得られる装飾品1Aの美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0033】
また、以上のような酸化被膜除去工程を終えた基材2(後述する成形工程に供される基材2)において、酸化被膜22は、基材2の表面の異なる複数個の領域に独立して存在するものであり、前記領域1個あたりの面積が50000mm以下であるのが好ましく、30000mm以下であるのがより好ましく、20000〜5000mmであるのがさらに好ましい。このように、酸化被膜22の各領域の面積(領域1個あたりの面積)が比較的小さいものであると、酸化被膜22の割れやひびをより効果的に防止することができ、得られる装飾品1Aの美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0034】
[成形工程]
次に、酸化被膜22の一部が除去された基材2を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する(1d)。このように、本工程において湾曲部を形成することにより、最終的に得られる装飾品1Aは、湾曲部を有するものとなる。
このように、本発明では、前述したような酸化被膜除去工程の後に、基材を成形し、湾曲部を形成する工程を有する点に特徴を有する。これにより、湾曲部を有する装飾品を効率良く製造することができる。すなわち、湾曲部を有するアルミニウム製の基材を用意し、該基材に対してエッチング等の処理を施すことにより装飾品を製造する方法に比べて、本発明は装飾品の生産性に優れている。また、本発明では、前述した酸化被膜除去工程において、酸化被膜の一部を除去するので、成形工程において、酸化被膜にひびや割れ(特に、大きなひびや割れ)が発生するのを効果的に防止することができる。すなわち、酸化被膜がほぼ全面に形成された基材を用いる場合に比べて、製造される装飾品の歩留りは、飛躍的に向上する。
【0035】
本工程で形成される湾曲部の曲率半径Rは、特に限定されないが、10mm以上であるのが好ましく、10〜1000mmであるのがより好ましく、30〜1000mmであるのがさらに好ましい。このように、本発明では、湾曲部の曲率半径を比較的小さいものとすることができる。このように本発明によれば、従来では得るのが困難であった曲率半径の小さい湾曲部を有する装飾品を、容易かつ確実に得ることができる。
【0036】
また、湾曲部を形成する方法としては、例えば、プレス成形、ダイキャスト成形等が挙げられる。
上述したように、本工程(成形工程)は、少なくとも湾曲部を形成する処理(曲げ処理)を行うものであるが、本工程においては、このような曲げ処理以外の処理を行ってもよい。例えば、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜22の一部が除去された基材2から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施した後、各部材に対して、上記のような曲げ加工を施してもよい。これにより、例えば、1枚の基材2から複数個の装飾品1Aを製造することができ、装飾品1Aの生産性が特に優れたものとなる。また、このように、1枚の基材2から複数個の装飾品1Aを製造することにより、得られる装飾品1Aは、各個体間での品質のバラツキが特に小さいものとなる。
【0037】
[酸化工程]
次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜22が除去された部位に、酸化被膜3を形成する(1e)。これにより、基材2は、その表面のほぼ全体に酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)が形成されたものとなる。このように、ほぼ全表面に酸化被膜が形成されることにより、最終的に得られる装飾品1Aは、耐食性等に優れたものとなる。また、酸化被膜は、高硬度で、優れた耐磨耗性・耐擦傷性を有している。このため、基材2のほぼ全面に酸化被膜が形成されることにより、最終的に得られる装飾品1Aは、破損、損傷等を生じ難いものとなる。
【0038】
酸化被膜3は、例えば、前述した酸化被膜22と同様の方法により、形成することができる。
酸化被膜3の平均厚さは、特に限定されないが、5〜30μmであるのが好ましく、20〜30μmであるのがより好ましい。酸化被膜3の平均厚さが前記下限値未満であると、最終的に得られる装飾品1Aの耐久性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、酸化被膜3の平均厚さが前記上限値を超えると、酸化被膜3の各部位における膜厚のバラツキが大きくなる傾向を示す。また、酸化被膜3の内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0039】
[着色工程]
次に、酸化被膜3を着色することにより、着色層4を形成する(1f)。これにより、基材2は、その表面に色調の異なる複数の部位(着色された着色層4と着色されていない酸化被膜22)を有するものとなる。
着色層4は、例えば、酸化被膜3に着色剤を付与することにより形成することができる。
【0040】
酸化被膜3に着色剤を付与する方法としては、例えば、浸漬法(着色剤を含む液体中に、マスク5で被覆された基材2を浸漬する方法)、スプレー法、刷毛塗り、インクジェット法等が挙げられる。この中でも、浸漬法は、比較的短時間で、容易かつ確実に酸化被膜3を着色することができるという点で優れている。また、浸漬法では、酸化被膜3に付与される着色剤の温度、組成等を容易に管理することができ、また、酸化被膜3と着色剤との接触時間(基材2の着色液中への浸漬時間)を制御し易いという点でも優れている。
【0041】
本工程で用いることができる着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、図示の構成では、酸化被膜3の外表面側の領域に着色層4が形成される(酸化被膜3の厚さ方向の一部のみが着色される)構成となっているが、酸化被膜3は、その厚さ方向全体が着色されるものであってもよい。
【0042】
[マスク除去工程、封孔工程]
その後、マスク5を除去し、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)に封孔処理を施すことにより、装飾品1Aが得られる(1g)。
マスク5の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、マスク5を除去することが可能であり、かつ酸化被膜に対して実質的にダメージを与えないマスク除去剤を用いて行うのが好ましい。
【0043】
このようなマスク除去剤を用いることにより、マスク5の除去を容易かつ確実に行うことができる。
マスク5の除去に用いられるマスク除去剤は、特に限定されないが、液体、気体等の流体であるのが好ましく、その中でも特に、液体であるのが好ましい。これにより、マスク5の除去をさらに容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0044】
マスク除去剤としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルテトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒等の有機溶媒等から選択される1種または2種以上を混合したものや、これらに、硝酸、硫酸、塩化水素、フッ化水素、リン酸等の酸性物質、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア等のアルカリ性物質、過マンガン酸カリウム(KMnO)、二酸化マンガン(MnO)、二クロム酸カリウム(KCr)、オゾン、濃硫酸、硝酸、サラシ粉、過酸化水素、キノン類等の酸化剤、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化水素、過酸化水素、ヒドロキノン類等の還元剤を混合したもの等が挙げられる。
【0045】
マスク5を除去する方法としては、例えば、マスク除去剤を噴霧する方法(スプレー法)、液体状態のマスク除去剤に浸漬する方法(液体状態のマスク除去剤に浸漬した状態で電解する方法等を含む)、インクジェット法等が挙げられるが、この中でも特に、液体状態のマスク除去剤に浸漬する方法が好ましい。これにより、マスク5の除去をさらに容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0046】
マスク5の除去を、液体状態のマスク除去剤に浸漬することにより行う場合、マスク除去剤の温度は、特に限定されないが、例えば、15〜100℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。マスク除去剤の温度が前記下限値未満であると、マスク5の厚さ等によっては、マスク5を十分に除去するのに要する時間が長くなり、装飾品1Aの生産性が低下する場合がある。一方、マスク除去剤の温度が前記上限値を超えると、マスク除去剤の蒸気圧、沸点等によっては、マスク除去剤の揮発量が多くなり、マスク5の除去に必要なマスク除去剤の量が多くなる傾向を示す。
【0047】
また、マスク除去剤への浸漬時間は、特に限定されないが、例えば、5〜60分間であるのが好ましく、5〜30分間であるのがより好ましい。マスク除去剤への浸漬時間が前記下限値未満であると、マスク5の厚さ、マスク除去剤の温度等によっては、マスク5を十分に除去するのが困難となる場合がある。一方、マスク除去剤への浸漬時間が前記上限値を超えると、装飾品1Aの生産性が低下する。
【0048】
上記のようにしてマスク5を除去した後、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)を封孔する封孔処理を行う。封孔処理を行うことにより、酸化被膜中に存在する微細孔(空孔)が閉塞、充填される。これにより、得られる装飾品1Aの長期安定性、耐食性、耐酸化性、耐硫化性、耐光性等を特に優れたものとすることができる。また、封孔処理を行うことにより、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)の空孔内への汚れの侵入を防止することができるため、装飾品1Aは、汚れの付着し難いものとなる。また、汚れが付着した場合であっても、容易に除去することができる。また、封孔処理を行うことにより、前記着色工程で酸化被膜3の空孔内に入り込んだ着色剤(着色層4中の着色剤)が確実に保持されることになり、色落ち等の問題を生じ難いものとなる。また、酸化被膜の空孔内に、後述するような潤滑剤や感光物質等を付与した場合においては、封孔処理を行うことにより、これらの材料の特性を十分長期間にわたって発揮させることができる。
【0049】
封孔処理は、いかなる方法、条件で行うものであってもよいが、例えば、水蒸気雰囲気中に基材2を放置する方法や、熱水からなる封孔浴中に、基材2を浸漬する方法等を挙げることができる。また、封孔処理は、例えば、加圧下で行ってもよい。封孔処理を加圧下で行うことにより、封孔浴である熱水の温度を、常圧下での沸点以上に熱水の温度を上げることができ、耐食性向上の効果がより大きいものとなる。
【0050】
熱水の温度は、常圧付近の圧力雰囲気下においては、85℃以上であるのが好ましく、90℃以上であるのがより好ましい。熱水の温度が85℃未満であると、封孔処理の効果が十分に得られない場合がある。
また、熱水への浸漬時間は、0.5〜5分間であるのが好ましく、1〜2分間であるのがより好ましい。熱水への浸漬時間が前記下限値未満であると、封孔処理の効果が十分に得られない場合がある。一方、熱水への浸漬時間が前記上限値を超えると、封孔処理による効果のさらなる向上を図るのが困難となり、また、装飾品1Aの生産性が低下する。
【0051】
また、本発明では、装飾品の表面付近(好ましくは、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)の空孔内)に、例えば、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、二硫化モリブデン、シリコーンオイル、黒鉛、窒化ホウ素(BN)、フッ化炭素((CF))、硫化鉛、金属石鹸等の潤滑剤、ハロゲン化銀等の感光性物質等を付与する工程を有していてもよい。これにより、得られる装飾品1Aを、付与された材料に応じた機能を有するものとすることができる。例えば、酸化被膜の空孔内に潤滑剤を付与することにより、得られる装飾品1Aの滑り性が向上し、ザラツキ感を軽減、防止することができる。その結果、装飾品1Aが皮膚等に接触したときの違和感、不快感を軽減、防止することができる。また、酸化被膜の空孔内に感光物質を付与することにより、得られる装飾品1Aは、置かれた環境の光量等の変化に伴い、酸化被膜の色調が変化するものとなる。これにより、装飾品1Aの装飾性をさらに高めることができる。
【0052】
次に、装飾品1Aについて説明する。
装飾品1Aは、湾曲部を有し、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、飾り縁等)、時計バンド(こま、バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、表示板、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等が挙げられる。この中でも特に、時計用外装部品が好ましい。時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐磨耗性等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。
【0053】
また、本発明の時計は、上述したような本発明の装飾品を有するものである。上述したように、本発明の装飾品は、高硬度で、耐擦傷性(耐磨耗性)、耐食性に優れ、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができるものである。このため、このような装飾品を備えた本発明の時計は、時計としての求められる要件を十分に満足することができる。すなわち、本発明の時計は、特に優れた審美性を長期間にわたって保持することができる。なお、本発明の時計を構成する前記装飾品以外の部品としては、公知のものを用いることができる。
【0054】
次に、本発明の装飾品および時計の具体的な構成の一例について説明する。
図4は、本発明を適用した腕時計の飾り縁を示す正面図、図5は、図4に示す飾り縁を備えた本発明の時計の一例を示す斜視図である。
図4に示すように、飾り縁10は、上記の説明のように、着色層(着色部)4を有している。図示の構成では、着色層(着色部)4以外の部位(非着色部6)が、所定の文字パターンを形成している。
【0055】
また、飾り縁10の中央部付近には、後述する時計ケース20内の文字盤を見るための窓7が形成されている。
また、飾り縁10には、時計ケース20を固定するための引っ掛け部81、82が形成されている。図示の構成では、引っ掛け部81、82は、窓7を介して対向するように配されている。
また、飾り縁10には、後述するバンド30を挿通させるための孔91、92が形成されている。
【0056】
時計100は、図5に示すように、前述した飾り縁10と、文字盤、時計用針、ムーブメント等の各種部材が収納された時計ケース20と、バンド30とを有している。
時計ケース20は、引っ掛け部81、82により、飾り縁10に固定されている。このように時計ケース20が固定されることにより、時計ケース20内の文字盤を窓7から見ることができる。
【0057】
バンド30は、バンド本体31と、バンド本体31に対して相対的に移動可能に設置された遊革32と、面ファスナ33とを有している。遊革32は、筒状の形状を有しており、その中空部にバンド本体31が挿通されている。
また、バンド30の端部34は、図5に示すように、飾り縁10の孔91に挿入されている。このように、バンド30が挿入されることにより、例えば、時計100を腕に巻く際のバンドの長さを容易に調節することができる。そして、バンド30は、端部34付近において、遊革32の中空部内に挿入され、固定される構成になっている。上記のように、バンド30が挿入、固定されることにより、例えば、図5中の矢印方向に引っ張りの力が加わった場合においても、バンド30が飾り縁10から脱離したり、バンドの長さが変化するのを効果的に防止することができる。また、バンド30の端部34付近が遊革32の中空部内に挿入されることにより、バンド30の飾り縁10からの脱離等はより効果的に防止される。
【0058】
また、バンド30の他方の端部35は、孔92に挿入されている。孔92に挿入されたバンド本体31は、面ファスナ33により固定することが可能な構成になっている。これにより、例えば、使用時において、時計100を腕等に確実に装着することができる。また、端部35付近には、ストッパ351が設けられている。これにより、端部35の孔92からの不本意な脱離を効果的に防止することができる。なお、上記の説明では、バンドを挿通させるための孔を2つ有するものについて説明したが、例えば、このような孔は3つ以上形成されていてもよい。これにより、バンドを飾り縁により確実に固定し、飾り縁からのバンドの不本意な脱離をより確実に防止することができる。
【0059】
次に、本発明の装飾品の製造方法、装飾品および時計の第2実施形態について説明する。
図2は、本発明の装飾品の製造方法の第2実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態の装飾品の製造方法および該方法を用いて製造される第2実施形態の装飾品について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、主としてAlで構成され、かつ、その表面付近の少なくとも一部にAlの酸化被膜22が形成された基材2(2a)の酸化被膜22を着色する着色工程(2b)と、着色された基材2の表面の一部にマスク5を被覆するマスキング工程(2c)と、マスク5で被覆された基材2にエッチング処理を施し、着色された酸化被膜22(着色層4)の一部を除去する酸化被膜除去工程(2d)と、酸化被膜22の一部が除去された基材2を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程(2e)と、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜22が除去された部位に、酸化被膜3を形成する酸化工程(2f)と、マスク5を除去し、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)に封孔処理を施す工程(2g)とを有する。すなわち、本実施形態の製造方法は、前述した第1実施形態においては、酸化工程(1e)とマスク除去工程・封孔工程(1g)との間で行う着色工程を、マスキング工程(2b)の前に行うものとした以外は、前記実施形態と同様である。
【0060】
このように、着色工程(2b)を、マスキング工程(2c)の前に行うことにより、最終的に得られる装飾品1Bは、凸状に形成された酸化被膜22が着色されたものとなる。すなわち、前述した第1実施形態では、装飾品1A表面の凹部に着色層4が形成されたのに対し、本実施形態では、装飾品1B表面の凸部に着色層4が形成される。
【0061】
また、図示の構成では、酸化工程(2f)の後、マスク除去工程・封孔工程(2g)を行うものとしているが、例えば、これらの工程に、前述した第1実施形態での着色工程(1f)と同様の工程を有していてもよい。これにより、例えば、装飾品1B表面の凹部に、着色層(着色部)4とは異なる色に着色された着色部(着色層)を形成することができる。その結果、得られる装飾品1Bの美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0062】
次に、本発明の装飾品の製造方法、装飾品および時計の第3実施形態について説明する。
図3は、本発明の装飾品の製造方法の第3実施形態を示す断面図である。
以下、第3実施形態の装飾品の製造方法および該方法を用いて製造される第3実施形態の装飾品について、前記第1実施形態および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については、その説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の装飾品の製造方法は、基部本体211の表面側に主としてAlで構成されたAl層212を有し、かつ、該Al層212の表面付近の少なくとも一部にAlの酸化被膜22が形成された基材2(3a)の酸化被膜22の表面の一部に、マスク5を被覆するマスキング工程(3b)と、マスク5で被覆された基材2にエッチング処理を施し、酸化被膜22の一部を除去する酸化被膜除去工程(3c)と、酸化被膜22の一部が除去された基材2を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程(3d)と、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜22が除去された部位に、酸化被膜3を形成する酸化工程(3e)と、酸化被膜3を着色する着色工程(3f)と、マスク5を除去し、酸化被膜(酸化被膜22、酸化被膜3)に封孔処理を施す工程(3g)とを有する。すなわち、本実施形態の製造方法は、基材2として、基部本体211と、Al層212と、Alの酸化被膜22とを有するものを用いた以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0063】
このように、本発明では、主としてAlで構成された部位(層)を少なくとも一部に有するものであれば、いかなるものを基材として用いてもよい。言い換えると、基材2全体としては、Al以外の成分を主成分とする材料で構成されたものであってもよい。
このように、基材2として、基部本体211と、Al層212と、酸化被膜22とを有するものを用いることにより、装飾品1Cの用途等に応じて、基部本体211の構成材料やAl層212の厚さ等を選択することにより、基材2の性質(例えば、機械的強度、加工性、耐熱性、重量感等)を、容易に調整することができる。
【0064】
基部本体211は、いかなる材料で構成されるものであってもよく、金属材料で構成されるものであっても、非金属材料で構成されるものであってもよい。
基部本体211が金属材料で構成される場合、特に優れた強度特性を有する装飾品1Cを提供することができる。
基部本体211が非金属材料で構成される場合、比較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品1Cを提供することができる。
【0065】
また、基部本体211が非金属材料で構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。
基部本体211を構成する金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag等の各種金属や、これらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。この中でも特に、基部本体211が、Cu、Zn、Niまたはこれらのうち少なくとも1種を含む合金で構成されたものであると、基部本体211の加工性が向上し、基部本体211の成形の自由度がさらに増す。
【0066】
また、基部本体211を構成する非金属材料としては、例えば、プラスチックやセラミックス、石材、木材等が挙げられる。
プラスチックとしては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
基部本体211がプラスチックで構成される場合、比較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品1Cを得ることができる。
また、基部本体211がプラスチックで構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。このため、複雑な形状を有する装飾品1Cであっても、比較的容易に製造することができる。
【0067】
Al層212は、主としてAlで構成されるものであればいかなるものであってもよい。例えば、Al層212は、実質的にAlのみで構成されるものであってもよいし、Al以外の元素(例えば、Cu、Mn、Si、Mg、Zn等)を含む合金や化合物等を含むものであってもよい。前記のような元素を含むことにより、例えば、Al層212の強度、加工性、耐食性、光沢度等の特性を向上させることができる。
【0068】
また、Al層212は、いかなる方法で形成されたものであってもよいが、Al層212の形成方法としては、例えば、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射、金属箔(Al箔)の接合等が挙げられる。
【0069】
また、Al層212の平均厚さは、特に限定されないが、5〜30μmであるのが好ましく、20〜30μmであるのがより好ましい。Al層212の平均厚さが前記下限値未満であると、酸化工程(3e)において、十分な厚さの酸化被膜3を形成するのが困難になる可能性がある。一方、Al層212の平均厚さが前記上限値を超えると、Al層212の各部位における膜厚のバラツキが大きくなる傾向を示す。また、Al層212の内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0070】
また、基部本体211は、異なる組成、特性を有する複数の層からなる積層体であってもよい。また、基部本体211とAl層212との間には、少なくとも1層の中間層が設けられていてもよい。これにより、例えば、基部本体211とAl層212との密着性を向上させることができる。また、基部本体211とAl層212との間に中間層が設けられることにより、基部本体211とAl層との電位差を緩和し、電位差による腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防止することもできる。
【0071】
以上、本発明の装飾品の製造方法、装飾品および時計の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、着色工程、封孔工程、マスク除去工程を有するものとして説明したが、これらの工程は省略しても構わない。また、マスキング工程、酸化被膜除去工程、着色工程等の工程を、複数回くり返して行ってもよい。これにより、複雑な凹凸パターン、着色パターンを有する装飾品を得ることができる。
【0072】
また、装飾品の表面の少なくとも一部には、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐磨耗性、耐変色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向上する保護層等が形成されていてもよい。
また、本発明の装飾品および時計は、前記実施形態で説明したような構成のものに限定されるものではない。例えば、本発明の装飾品は、前述したような飾り縁に限定されるものではなく、いかなるものであってもよい。
【0073】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1. 装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の飾り縁)を製造した。
【0074】
[A1] まず、50cm×50cm×2mmの平板状のAl製の板材を用意し、その表面に酸化被膜を形成し、Al製の基部と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0075】
[A2] 次に、前記[A1]の工程で得られた基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
【0076】
[A3] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0077】
また、このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程後において、酸化被膜は基部の表面の異なる複数個の領域に独立して存在しており、かつ、前記領域1個あたりの面積は1000〜2000mmであった。
【0078】
[A4] 次に、前記工程[A3]で酸化被膜の一部が除去された基材から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施し、さらに、各部材に対して、曲げ加工を施すことにより、1枚の基材から、湾曲部を有する部材を複数個(約100個)得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、30mmであった。
【0079】
[A5] 次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:60分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、20μmであった。
【0080】
[A6] 次に、前記工程[A5]で形成された酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記部材を15分浸漬することにより行った。
【0081】
[A7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の飾り縁)を得た。
【0082】
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
【0083】
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0084】
(実施例2)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の飾り縁)を製造した。
[B1] まず、50cm×50cm×2mmの平板状のAl製の板材を用意し、その表面に酸化被膜を形成し、Al製の基部と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0085】
[B2] 次に、基材の酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記基材を15分浸漬することにより行った。
[B3] 次に、基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
【0086】
[B4] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0087】
また、このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程後において、酸化被膜は基部の表面の異なる複数個の領域に独立して存在しており、かつ、前記領域1個あたりの面積は1000〜2000mmであった。
【0088】
[B5] 次に、前記工程[B4]で酸化被膜の一部が除去された基材から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施し、さらに、各部材に対して、曲げ加工を施すことにより、1枚の基材から、湾曲部を有する部材を複数個(約100個)得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、30mmであった。
【0089】
[B6] 次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:60分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、20μmであった。
【0090】
[B7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の飾り縁)を得た。
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0091】
(実施例3)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の飾り縁)を製造した。
[C1] まず、50cm×50cm×2mmの平板状のチタン合金製の板材を用意した。
この板材の表面に、主としてAlで構成されたAl層を形成した。Al層は、半溶融圧延(クラット材)により形成した。形成されたAl層の平均厚さは、1000μmであった。
【0092】
このようにして形成されたAl層の表面に酸化被膜を形成し、チタン合金製の基部本体と、Al層と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0093】
[C2] 次に、前記[C1]の工程で得られた基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
【0094】
[C3] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0095】
また、このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程後において、酸化被膜は基部の表面の異なる複数個の領域に独立して存在しており、かつ、前記領域1個あたりの面積は1000〜2000mmであった。
【0096】
[C4] 次に、前記工程[C3]で酸化被膜の一部が除去された基材から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施し、さらに、各部材に対して、曲げ加工を施すことにより、1枚の基材から、湾曲部を有する部材を複数個(約100個)得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、30mmであった。
【0097】
[C5] 次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:60分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、20μmであった。
【0098】
[C6] 次に、前記工程[C5]で形成された酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記部材を15分浸漬することにより行った。
【0099】
[C7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の飾り縁)を得た。
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0100】
(実施例4)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の文字盤)を製造した。
[D1] まず、50cm×50cm×2mmの平板状のAl製の板材を用意し、その表面に酸化被膜を形成し、Al製の基部と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0101】
[D2] 次に、前記[D1]の工程で得られた基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
【0102】
[D3] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0103】
このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程後において、酸化被膜は基部の表面の異なる複数個の領域に独立して存在しており、かつ、前記領域1個あたりの面積は500〜1000mmであった。
【0104】
[D4] 次に、前記工程[D3]で酸化被膜の一部が除去された基材から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施し、さらに、各部材に対して、曲げ加工を施すことにより、1枚の基材から、湾曲部を有する部材を複数個(100個)得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、10000mmであった。
【0105】
[D5] 次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0106】
[D6] 次に、前記工程[D5]で形成された酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記部材を15分浸漬することにより行った。
【0107】
[D7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の文字盤)を得た。
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0108】
(実施例5)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の文字盤)を製造した。
[E1] まず、50cm×50cm×2mmの平板状のAl製の板材を用意し、その表面に酸化被膜を形成し、Al製の基部と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0109】
[E2] 次に、基材の酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記基材を15分浸漬することにより行った。
[E3] 次に、基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
【0110】
[E4] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0111】
また、このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程後において、酸化被膜は基部の表面の異なる複数個の領域に独立して存在しており、かつ、前記領域1個あたりの面積は500〜1000mmであった。
【0112】
[E5] 次に、前記工程[E4]で酸化被膜の一部が除去された基材から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施し、さらに、各部材に対して、曲げ加工を施すことにより、1枚の基材から、湾曲部を有する部材を複数個(100個)得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、10000mmであった。
【0113】
[E6] 次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0114】
[E7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の文字盤)を得た。
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0115】
(実施例6)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の文字盤)を製造した。
[F1] まず、50cm×50cm×2mmの平板状のチタン合金製の板材を用意した。
この板材の表面に、主としてAlで構成されたAl層を形成した。Al層は、半溶融圧延(クラット材)により形成した。形成されたAl層の平均厚さは、1000μmであった。
【0116】
このようにして形成されたAl層の表面に酸化被膜を形成し、チタン合金製の基部本体と、Al層と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0117】
[F2] 次に、前記[F1]の工程で得られた基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
【0118】
[F3] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0119】
また、このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程後において、酸化被膜は基部の表面の異なる複数個の領域に独立して存在しており、かつ、前記領域1個あたりの面積は500〜1000mmであった。
【0120】
[F4] 次に、前記工程[F3]で酸化被膜の一部が除去された基材から、複数個の部材を打ち抜く、打ち抜き加工を施し、さらに、各部材に対して、曲げ加工を施すことにより、1枚の基材から、湾曲部を有する部材を複数個(100個)得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、10000mmであった。
【0121】
[F5] 次に、前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0122】
[F6] 次に、前記工程[F5]で形成された酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記部材を15分浸漬することにより行った。
【0123】
[F7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の文字盤)を得た。
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0124】
(比較例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計の飾り縁)を製造した。
[G1] まず、6.5cm×2.5cm×2mmの平板状のAl製の板材を用意し、曲げ加工を施すことにより、湾曲部を有する部材を得た。本工程における打ち抜き加工、曲げ加工は、プレス加工により行った。また、本工程で得られた部材の湾曲部の曲率半径Rは、30mmであった。
【0125】
[G2] その表面に酸化被膜を形成し、Al製の基部と、Alの酸化被膜とで構成される基材を得た。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:30分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、10μmであった。
【0126】
[G3] 次に、前記[A2]の工程で得られた基材の表面の一部に、マスクを所定の形状に形成した。
マスクは、スクリーン印刷法により、アクリル系樹脂で構成されたマスク剤を基材の表面に所定のパターンに印刷し、その後乾燥させることにより形成した。このようにして形成されたマスクの平均厚さは、500μmであった。
スクリーン印刷は製品が湾曲している為、4回に分けて行った。
【0127】
[G4] 次に、マスクが被覆されていない部位の酸化被膜をウェットエッチングにより除去した(酸化被膜除去工程)。酸化被膜の除去は、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に、マスクで被覆された基材を浸漬することにより行った。基材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
このような酸化被膜除去工程を終えた基材の、酸化被膜の一部が除去された側の面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
また、このような酸化被膜除去工程により、所定のパターンにエッチングされた酸化被膜が残存する面において、酸化被膜が形成されている領域の占める割合は、10%であった。
【0128】
[G5] 前記酸化被膜除去工程で酸化被膜が除去された部位に、酸化被膜を形成した。酸化被膜は、電解液として15wt%硫酸を用いた陽極酸化処理を、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm、処理時間:60分という条件で行うことにより形成した。形成された酸化被膜の平均厚さは、20μmであった。
【0129】
[G6] 次に、前記工程[A5]で形成された酸化被膜に着色剤を付与することにより着色層を形成した。
酸化被膜への着色剤の付与は、液温:70℃のアルミニウム用染料水溶液に、前記部材を15分浸漬することにより行った。
【0130】
[G7] その後、マスクを除去し、酸化被膜に封孔処理を施すことにより、装飾品(腕時計の飾り縁)を得た。
マスクの除去は、マスクが被覆された基材(装飾品)を、主として有機溶剤で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより行った。マスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ25℃、30分であった。
封孔処理は、熱水からなる封孔浴中に、マスクを除去した基材を浸漬する方法により行った。封孔処理時における封孔浴(熱水)の温度は、90℃、封孔浴(熱水)への基材の浸漬時間は、20分間であった。
【0131】
(比較例2)
マスクの形成をタコ印刷により行った以外は、前記比較例1と同様にして装飾品を製造した。
各実施例および各比較例の装飾品の構成を表1にまとめて示す。
【0132】
【表1】
Figure 2005015898
【0133】
2.装飾品の一般外観評価
上記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良(表面付近に割れ・ひびが認められない)。
○:外観良(表面付近に割れ・ひびがほとんど認められない)。
△:外観やや不良(表面付近に割れ・ひびがはっきりと認められる)。
×:外観不良(表面付近に割れ・ひびが顕著に認められる)。
【0134】
3.文字、模様部の外観評価
上記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良
○:外観良
△:外観やや不良
×:外観不良
これらの結果を表2に示す。
【0135】
【表2】
Figure 2005015898
【0136】
表2から明らかなように、本発明の装飾品は、いずれも優れた美的外観を有していた。
また、実施例1〜6の装飾品について、耐食性、耐擦傷性の評価を行った。
耐食性の評価は、以下のようにして行った。
すなわち、上記各実施例で製造した装飾品を、大気雰囲気中で、200℃×8時間の加熱を行った。その後、各装飾品を放冷し、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を評価した。
【0137】
また、耐擦傷性の評価は、以下のようにして行った。
すなわち、ステンレス製のブラシを、各装飾品の表面に押し付け、50往復摺動させた。このときの押し付け荷重は、0.2kgfであった。その後、装飾品の表面を目視により観察し、これらの外観を評価した。
上記のような耐食性、耐擦傷性の評価を行った結果、本発明の装飾品は、いずれも、優れた耐食性、耐擦傷性を示した。
また、本発明では、いずれも、装飾品の生産性に優れていた。また、本発明の装飾品は、いずれも、ザラツキ感のない、優れた触感を有していた。
【0138】
これに対し、比較例の装飾品は、美的外観に劣っていた。また、比較例では、いずれも、装飾品の生産性に劣っていた。
特に、比較例1の装飾品では、着色層(マスク)の形成部位の位置精度が低く、特に美的外観に劣っていた。また、マスクの形成をタコ印刷により行った比較例2の装飾品では、美的外観は比較例1の装飾品に比べやや改善されたものの、生産性が特に劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装飾品の製造方法の第1実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の装飾品の製造方法の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の装飾品の製造方法の第3実施形態を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の装飾品の一例を示す正面図である。
【図5】本発明の時計の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C……装飾品
2……基材
21……基部
211……基部本体
212……Al層
22……酸化被膜
3……酸化被膜
4……着色層
5……マスク
6……非着色部
7……窓
81、82……引っ掛け部
91……孔
92……孔
10……飾り縁
20……時計ケース
30……バンド
31……バンド本体
32……遊革
33……面ファスナ
34……端部
35……端部
351……ストッパ
100……時計

Claims (14)

  1. 主としてAlで構成され、かつ、その表面付近の少なくとも一部にAlの酸化被膜が形成された基材の前記酸化被膜上の一部にマスクを被覆するマスキング工程と、
    前記マスクで被覆された前記基材にエッチング処理を施し、前記酸化被膜の一部を除去する酸化被膜除去工程と、
    前記酸化被膜の一部が除去された前記基材を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程と、
    前記成形工程の後の工程として、前記酸化被膜除去工程で前記酸化被膜が除去された部位に酸化被膜を形成する酸化工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。
  2. 表面の少なくとも一部にAlの酸化被膜を有し、かつ該酸化被膜の下層として主としてAlで構成されたAl層を有する基材の前記酸化被膜上の一部にマスクを被覆するマスキング工程と、
    前記マスクで被覆された前記基材にエッチング処理を施し、前記酸化被膜の一部を除去する酸化被膜除去工程と、
    前記酸化被膜の一部が除去された前記基材を成形し、少なくとも一部に湾曲部を形成する成形工程と、
    前記成形工程の後の工程として前記酸化被膜除去工程で前記酸化被膜が除去された部位に酸化被膜を形成する酸化工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。
  3. 前記酸化工程の後に、前記酸化被膜の一部を着色する着色工程を有し、さらに、該着色工程の後に、前記マスクを除去するマスク除去工程を有する請求項1または2に記載の装飾品の製造方法。
  4. 前記マスキング工程と前記エッチング工程との間に、前記酸化被膜の一部を着色する着色工程を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  5. 前記酸化工程の後に、前記酸化被膜を封孔する封孔工程を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  6. 前記成形工程に供される前記基材の前記酸化被膜が形成された面において、前記酸化被膜が形成されている領域の占める面積の割合が、50%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  7. 前記成形工程に供される前記基材において、前記酸化被膜は、前記基材の表面の異なる複数個の領域に独立して存在するものであり、前記領域1個あたりの面積が10000mm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  8. 前記湾曲部の曲率半径Rは、10〜1000mmである請求項1ないし7のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  9. 前記酸化被膜の平均厚さは、5〜30μmである請求項1ないし8のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  10. 前記成形工程において、打ち抜き加工と、曲げ加工とを行う請求項1ないし9のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  11. 前記基材から複数個の装飾品を製造する請求項1ないし10のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする装飾品。
  13. 装飾品は、時計用外装部品である請求項12に記載の装飾品。
  14. 請求項12または13に記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
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