JP2003277979A - 装飾品の表面処理方法、装飾品および時計 - Google Patents

装飾品の表面処理方法、装飾品および時計

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JP2003277979A
JP2003277979A JP2002252138A JP2002252138A JP2003277979A JP 2003277979 A JP2003277979 A JP 2003277979A JP 2002252138 A JP2002252138 A JP 2002252138A JP 2002252138 A JP2002252138 A JP 2002252138A JP 2003277979 A JP2003277979 A JP 2003277979A
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JP2002252138A
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Atsushi Kawakami
淳 川上
Yoshiyuki Koo
慶幸 小尾
Wataru Tsukamoto
亙 塚本
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】白っぽい金色の色彩を有し、長期間にわたって
優れた美的外観を保持することができる装飾品を提供す
ること、前記装飾品を提供することができる表面処理方
法を提供すること、前記装飾品を備えた時計を提供する
こと。 【解決手段】本発明の装飾品の表面処理方法は、基材2
の表面の少なくとも一部に(1b)、下地層40を形成
する工程(2b)と、湿式めっき法により、0.1〜1
5wt%のInを含むAu−In系合金で構成される被
膜3を形成する工程(3b)を有することを特徴とす
る。下地層40は、基材2と被膜3との電位差を緩和す
る緩衝層であるのが好ましい。被膜3は、浴温:50〜
60℃、電流密度:0.5〜2.0A/dmの条件の
電解めっきで形成されたものであるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、装飾品の表面処理
方法、装飾品および時計に関する。
【0002】
【従来の技術】時計用外装部品のような装飾品には、優
れた美的外観が要求される。従来、このような目的を達
成するために、例えば、装飾品の構成材料として、Au
等の金色の金属材料や、Pd、Rh、Pt等の銀白色の
金属材料を用いてきた。ところで、近年、装飾品には、
その色彩の多様化が求められており、例えば、前記の金
属材料では得ることのできない、美的外観に優れた色彩
の材料が求められている。例えば、白っぽい金色の装飾
品を得る目的で、Au−Fe系合金が用いられている。
しかしながら、Au−Fe系合金を用いた場合、高級感
に劣り、CEN規格のEN28654で規定される1N
−14色のような比較的白みの強い色の装飾品を得るの
が困難であった。また、Au−Fe系合金は、耐食性等
に劣るため、長期間にわたって安定した外観を保持する
のが困難であった。また、CEN規格のEN28654
で規定される1N−14色の近似色は、Au−Ag−C
u系合金を用いることにより得られるが、色彩の経時変
化が著しく、装飾品に適用するのは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、白っ
ぽい金色の色彩を有し、長期間にわたって優れた美的外
観を保持することができる装飾品を提供すること、前記
装飾品を提供することができる表面処理方法を提供する
こと、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(23)の本発明により達成される。また、
(24)〜(32)であるのが好ましい。
【0005】(1) 基材の表面の少なくとも一部に、
湿式めっき法により、0.1〜15wt%のInを含む
Au−In系合金で構成される被膜を形成する工程を有
することを特徴とする装飾品の表面処理方法。 (2) 前記被膜を形成する工程の前に、前記基材の表
面の少なくとも一部に、清浄化処理を施す工程を有する
上記(1)に記載の装飾品の表面処理方法。
【0006】(3) 基材の表面の少なくとも一部に、
少なくとも1層の下地層を形成する工程と、前記下地層
上に、湿式めっき法により、0.1〜15wt%のIn
を含むAu−In系合金で構成される被膜を形成する工
程を有することを特徴とする装飾品の表面処理方法。 (4) 前記下地層を形成する工程の前に、前記基材の
表面の少なくとも一部に、清浄化処理を施す工程を有す
る上記(3)に記載の装飾品の表面処理方法。 (5) 前記被膜を形成する工程の前に、前記下地層の
表面の少なくとも一部に、清浄化処理を施す工程を有す
る上記(3)または(4)に記載の装飾品の表面処理方
法。
【0007】(6) 前記下地層のうち少なくとも1層
は、その一方の面側と他方の面側との電位差を緩和する
緩衝層である上記(3)ないし(5)のいずれかに記載
の装飾品の表面処理方法。 (7) 前記下地層のうち少なくとも1層は、Cu、C
o、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Z
n、Al、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Irまたは
これらのうち少なくとも1種を含む合金で構成されるも
のである上記(3)ないし(6)のいずれかに記載の装
飾品の表面処理方法。
【0008】(8) 前記装飾品は、前記下地層を2層
以上有するものである上記(3)ないし(7)のいずれ
かに記載の装飾品の表面処理方法。 (9) 隣接する前記下地層は、互いに共通の元素を含
む材料で構成されたものである上記(8)に記載の装飾
品の表面処理方法。 (10) 前記共通の元素は、Cuである上記(9)に
記載の装飾品の表面処理方法。
【0009】(11) 前記被膜は、電解めっきにより
形成されたものである上記(1)ないし(10)のいず
れかに記載の装飾品の表面処理方法。 (12) 前記被膜は、CEN規格のEN28654で
規定される1N−14色の近似色を有するものである上
記(1)ないし(11)のいずれかに記載の装飾品の表
面処理方法。
【0010】(13) 前記基材は、Cu、Zn、N
i、Ti、Al、Mg、Nbまたはこれらのうち少なく
とも1種を含む合金で構成されるものである上記(1)
ないし(12)のいずれかに記載の装飾品の表面処理方
法。
【0011】(14) 前記被膜を形成する工程の後、
さらに、前記被膜の表面の一部に、マスキングを形成す
る工程と、剥離剤を用いて、前記マスキングが被覆され
ていない部位の前記被膜を除去する工程と、前記マスキ
ングを除去する工程とを有する上記(1)ないし(1
3)のいずれかに記載の装飾品の表面処理方法。
【0012】(15) 上記(1)ないし(14)のい
ずれかに記載の装飾品の表面処理方法を用いて製造され
たことを特徴とする装飾品。
【0013】(16) 基材と、該基材の少なくとも一
部を覆う被膜とを有する装飾品であって、前記被膜は、
0.1〜15wt%のInを含むAu−In系合金で構
成されるものであることを特徴とする装飾品。
【0014】(17) 前記基材と前記被膜との間に、
少なくとも1層の下地層を有する上記(16)に記載の
装飾品。 (18) 前記下地層のうち少なくとも1層は、その一
方の面側と他方の面側との電位差を緩和する緩衝層であ
る上記(17)に記載の装飾品。 (19) 前記下地層のうち少なくとも1層は、Cu、
Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Z
n、Irまたはこれらのうち少なくとも1種を含む合金
で構成されるものである上記(17)または(18)に
記載の装飾品。
【0015】(20) 前記被膜は、CEN規格のEN
28654で規定される1N−14色の近似色を有する
ものである上記(16)ないし(19)のいずれかに記
載の装飾品。 (21) 少なくともその一部が皮膚に接触して用いら
れる上記(15)ないし(20)のいずれかに記載の装
飾品。 (22) 装飾品は、時計用外装部品である上記(1
5)ないし(21)のいずれかに記載の装飾品。
【0016】(23) 上記(15)ないし(22)の
いずれかに記載の装飾品を備えたことを特徴とする時
計。
【0017】(24) 前記下地層の平均厚さは、0.
1〜50μmである上記(3)ないし(7)のいずれか
に記載の装飾品の表面処理方法。 (25) 前記電解めっき時における浴温は、50〜6
0℃である上記(11)に記載の装飾品の表面処理方
法。 (26) 前記電解めっき時における電流密度は、0.
5〜2.0A/dmである上記(11)に記載の装飾
品の表面処理方法。 (27) 前記マスキングの平均厚さは、100〜20
00μmである上記(14)に記載の装飾品の表面処理
方法。 (28) 前記被膜の平均厚さが0.1〜10μmであ
る上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の装飾品
の表面処理方法。
【0018】(29) 前記基材は、主として、ステン
レス鋼で構成されるものである上記(1)ないし(1
4)のいずれかに記載の装飾品の表面処理方法。 (30) 前記基材は、鋳造または金属粉末射出成形に
より作製されたものである上記(1)ないし(14)の
いずれかに記載の装飾品の表面処理方法。 (31) 前記基材は、その表面の少なくとも一部に、
鏡面加工、スジ目加工、梨地加工から選択される表面加
工が施されたものである上記(1)ないし(14)のい
ずれかに記載の装飾品の表面処理方法。 (32) 前記被膜の平均厚さが0.1〜10μmであ
る上記(16)ないし(22)のいずれかに記載の装飾
品。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の装飾品の表面処理
方法、装飾品および時計の好適な実施形態について、添
付図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の表面処
理方法の第1実施形態を示す断面図である。図1に示す
ように、本実施形態の表面処理方法は、基材2の表面の
少なくとも一部(1a)に、湿式めっき法により、Au
−In系合金で構成される被膜3を形成する工程(1
b)を有する。
【0020】[基材2]基材2は、いかなる材料で構成
されるものであってもよく、金属材料で構成されるもの
であっても、非金属材料で構成されるものであってもよ
い。
【0021】基材2が金属材料で構成される場合、特に
優れた強度特性を有する装飾品1Aを提供することがで
きる。また、基材2が金属材料で構成される場合、基材
2の表面粗さが比較的大きい場合であっても、後述する
被膜3を形成する際のレベリング効果により、得られる
装飾品1Aの表面粗さを小さくすることができる。例え
ば、基材2の表面に対する切削加工、研磨加工などによ
る機械加工を省略しても、鏡面仕上げを行うことが可能
となったり、基材2がMIM法により成形されたもの
で、その表面が梨地面である場合でも、容易に鏡面にす
ることができる。これにより、光沢に優れた装飾品を得
ることができる。
【0022】基材2が非金属材料で構成される場合、比
較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾
品1Aを提供することができる。また、基材2が非金属
材料で構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成
形することができる。このため、直接成形するのが困難
な形状の装飾品1Aであっても、比較的容易に提供する
ことができる。また、基材2が非金属材料で構成される
場合、電磁ノイズを遮蔽する効果も得られる。
【0023】基材2を構成する金属材料としては、例え
ば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、M
o、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、
Ag等の各種金属や、これらのうち少なくとも1種を含
む合金等が挙げられる。この中でも特に、Cu、Zn、
Ni、Ti、Al、Mg、Nbまたはこれらのうち少な
くとも1種を含む合金で構成されることにより、基材2
と、後述する被膜3との密着性が特に優れたものとな
る。また、基材2が、Cu、Zn、Niまたはこれらの
うち少なくとも1種を含む合金で構成されたものである
と、基材2と、後述する被膜3との密着性が特に優れた
ものとなるとともに、基材2の加工性が向上し、基材2
の成形の自由度がさらに増す。
【0024】また、基材2が、主として、ステンレス鋼
で構成されるものである場合、基材2と、後述する被膜
3との密着性が特に優れたものとなるとともに、基材2
の加工性が向上し、基材2の成形の自由度がさらに増
す。なお、ステンレス鋼としては、Fe−Cr系合金、
Fe−Cr−Ni系合金等が挙げられる。Fe−Cr−
Ni系合金としては、例えば、SUS304、SUS3
03、SUS316、SUS316L、SUS316J
1、SUS316J1L等が挙げられ、Fe−Cr系合
金としては、例えば、SUS405、SUS430、S
US434、SUS444、SUS429、SUS43
0F等が挙げられる。
【0025】また、基材2を構成する非金属材料として
は、例えば、プラスチックやセラミックス、石材、木
材、ガラス等が挙げられる。プラスチックとしては、各
種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられる。基材
2がプラスチックで構成される場合、比較的軽量で携帯
し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品1Aを得るこ
とができる。また、基材2がプラスチックで構成される
場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができ
る。このため、複雑な形状を有する装飾品1Aであって
も、比較的容易に製造することができる。また、基材2
がプラスチックで構成される場合、電磁ノイズを遮蔽す
る効果が得られる。
【0026】セラミックスとしては、例えば、Al
23、SiO2、TiO2、Ti23、ZrO2、Y
23、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の
酸化物系セラミックス、AlN、Si34、SiN、T
iN、BN、ZrN、HfN、VN、TaN、NbN、
CrN、Cr2N等の窒化物系セラミックス、グラファ
イト、SiC、ZrC、Al43、CaC2、WC、T
iC、HfC、VC、TaC、NbC等の炭化物系のセ
ラミックス、ZrB、MoB等のホウ化物系のセラミ
ックス、あるいは、これらのうちの2以上を任意に組合
せた複合セラミックスが挙げられる。基材2が前記のよ
うなセラミックスで構成される場合、高強度、高硬度の
装飾品1Aを得ることができる。
【0027】基材2の製造方法は、特に限定されない。
基材2が金属材料で構成される場合、その製造方法とし
ては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造
加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロ
ストワックス法等が挙げられるが、この中でも特に、鋳
造加工または金属粉末射出成形(MIM)が好ましい。
鋳造加工、金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工
性に優れている。このため、これらの方法を用いた場
合、複雑な形状の基材2を比較的容易に得ることができ
る。
【0028】金属粉末射出成形(MIM)は、通常、以
下のようにして行われる。まず、金属粉と有機バインダ
ーとを含む材料を混合、混練して混練物を得る。次に、
この混練物を射出成形することにより成形体を形成す
る。その後、この成形体に対して、脱脂処理(脱バイン
ダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理は、通
常、減圧条件下で、加熱することにより行われる。さら
に、得られた脱脂体を焼結することにより、焼結体を得
る。この焼結処理は、通常、前記脱脂処理より高温で加
熱することにより行われる。本発明では、以上のように
して得られる焼結体を基材として用いることができる。
【0029】また、基材2が前記のようなプラスチック
で構成される場合、その製造方法としては、例えば、圧
縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
【0030】また、基材2が前記のようなセラミックス
で構成される場合、その製造方法は、特に限定されない
が、金属粉末射出成形(MIM)であるのが好ましい。
金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れて
いるため、複雑な形状の基材2を比較的容易に得ること
ができる。
【0031】また、基材2の表面に対しては、例えば、
鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施され
ているのが好ましい。これにより、得られる装飾品1A
の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可
能となり、得られる装飾品1Aの装飾性をさらに向上さ
せることができる。また、このような表面加工を施した
基材2を用いて製造される装飾品1Aは、被膜3に対し
て前記表面加工を直接施すことにより得られるものに比
べて、被膜3のギラツキ等が抑制されたものとなり、特
に美的外観に優れたものとなる。
【0032】また、基材2と被膜3との密着性の向上等
を目的として、後述する被膜3の形成に先立ち、基材2
に対して、前処理を施してもよい。前処理としては、例
えば、ブラスト処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、有
機溶剤洗浄、ボンバード処理等の清浄化処理、エッチン
グ処理等が挙げられるが、この中でも特に、清浄化処理
が好ましい。基材2の表面に、清浄化処理を施すことに
より、基材2と被膜3との密着性が特に優れたものとな
る。
【0033】[被膜3の形成]基材2の表面に、被膜3
を形成する(1b)。本発明は、被膜3が、0.1〜1
5wt%のInを含むAu−In系合金で構成されると
いう点に特徴を有する。被膜3が、前記のような組成を
有するものであることにより、白っぽい金色の、美的外
観に優れた装飾品1Aを得ることができる。また、被膜
3が、前述のような組成であることにより、装飾品1A
は、十分な耐食性を有するものとなる。一方、Au−I
n系合金において、Inの含有量(含有率)が前記範囲
外の値であると、白っぽい金色の色彩を有し、美的外観
に優れた装飾品1Aを得るのが困難となる。
【0034】また、被膜3が、前述のような組成である
ことにより、従来用いられてきたAu−Fe系合金で
は、製造するのが困難であった比較的白味の強い金色の
装飾品も、容易に製造することができる。また、Auお
よびInは、アレルギー反応を極めて起こし難い材料で
ある。したがって、本発明は、皮膚に接触して用いられ
る装飾品(例えば、時計等)に好適に適用することがで
きる。
【0035】上述したように、本発明においては、被膜
3を構成する合金中のInの含有量は、0.1〜15w
t%であるが、1〜13wt%であるのが好ましく、5
〜10wt%であるのがより好ましい。Inの含有量が
前記範囲内の値であると、被膜3は、特に優れた耐食性
を有し、硬度が高いものとなる。
【0036】なお、被膜3を構成する合金は、Auおよ
びIn(以下、「必須元素」ともいう。)以外の元素を
含むものであってもよい。また、このような元素として
は、例えば、Pd、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、C
r、Mn、Mo、Nb、W、Al、Ag、V、Zr、S
n、Pt等が挙げられ、これらのうち1種または2種以
上を組み合わせて含有することもできる。被膜3が必須
元素以外の元素を含むものである場合、前述した元素の
中でも特にSnが好ましい。また、このように、被膜3
を構成する合金が必須元素以外の元素を含むものである
場合、その含有量(2種以上の元素を含む場合はその総
量)は、7wt%以下であるのが好ましく、5wt%以
下であるのがより好ましい。
【0037】また、本発明は、被膜3を湿式めっき法に
より形成する点に特徴を有する。湿式めっき法を用いて
被膜3を形成することにより、比較的簡易な装置、方法
で、均質で、かつ基材1との密着性に優れた被膜3を容
易に形成することができる。特に、基材1が複雑な形状
を有するものであっても、均質で、かつ基材1との密着
性に優れた被膜3を容易に形成することができる。この
ように、基材1と被膜3との密着性が優れたものとなる
ため、得られる装飾品1Aの耐久性は、特に優れたもの
となる。
【0038】また、湿式めっき法では、めっき液の組成
を調節することにより、形成される被膜3中のIn含有
量を容易に調節することができる。その結果、例えば、
被膜3の色彩や、耐食性等の物性を容易に調節すること
ができる。また、湿式めっき法を用いることにより、バ
ッチ処理による被膜3の形成を容易に行うことができ
る。
【0039】湿式めっき法としては、例えば、電解めっ
き、無電解めっき、浸漬めっき等が挙げられるが、この
中でも特に、電解めっきが好ましい。湿式めっき法とし
て電解めっきを用いることにより、安定した組成、物性
の被膜3を、より確実に形成することができる。また、
電解めっきでは、めっき液の組成を調節することによ
り、形成される被膜3中のIn含有量を、さらに容易に
調節することができる。その結果、例えば、被膜3の色
彩や、耐食性等の物性を容易に調節することができる。
【0040】電解めっきは、例えば、以下のような条件
で行うのが好ましい。電解めっき時における浴温は、特
に限定されないが、50〜60℃であるのが好ましく、
55〜60℃であるのがより好ましい。浴温が、前記下
限値未満であると、Au−In系合金の析出効率が低下
し、形成される被膜3の光沢が低下する傾向を示す。一
方、浴温が、前記上限値を超えると、形成される被膜3
の光沢が低下する傾向を示す。
【0041】また、電解めっき時における電流密度は、
特に限定されないが、0.5〜2.0A/dmである
のが好ましく、1.0〜1.5A/dmであるのがよ
り好ましい。電流密度が、前記下限値未満であると、被
膜3の形成に要する時間が長くなり、装飾品1Aの生産
性が低下する。一方、電流密度が、前記上限値を超える
と、いわゆる、クモリ、カブリといった光沢不良を生じ
る場合がある。
【0042】電解めっきに用いるめっき液中におけるA
uの濃度は、特に限定されないが、8.0〜11.0
[g/リットル]であるのが好ましく、9.0〜11.
0[g/リットル]であるのがより好ましい。めっき液
中におけるAuの濃度が前記下限値未満であると、電解
めっき時における電流密度が低下し、Au−In系合金
の析出効率が低下する傾向を示す。一方、めっき液中に
おけるAuの濃度が前記上限値を超えると、ドラックア
ウトが増加する傾向を示す。
【0043】また、電解めっきに用いるめっき液中にお
けるInの濃度は、特に限定されないが、1〜5[g/
リットル]であるのが好ましく、3〜4[g/リット
ル]であるのがより好ましい。めっき液中におけるIn
の濃度が前記下限値未満であると、形成される被膜3の
硬度が低下する傾向を示す。一方、めっき液中における
Inの濃度が前記上限値を超えると、Au−In系合金
の析出効率が低下する傾向を示す。
【0044】また、電解めっきに用いるめっき液中にお
けるAuの濃度をCAu[g/リットル]、Inの濃度
をCIn[g/リットル]としたとき、下記式(I)を
満足するのが好ましい。これにより、特に安定した耐食
性、色調、硬度を有する被膜3を形成することができ
る。一方、CAu/CInの値が前記範囲から外れる
と、前述した組成の被膜3を形成するのが困難となる場
合がある。 2.2≦CAu/CIn≦11 ・・・(I)
【0045】また、式(I)に代わり、下記式(II)を
満足するのがより好ましく、下記式(III)を満足する
のがさらに好ましい。これにより、前述した効果はより
顕著なものとなる。 2.50≦CAu/CIn≦5.5 ・・・(II) 2.75≦CAu/CIn≦3.7 ・・・(III)
【0046】また、電解めっきに用いるめっき液は、硫
酸を含むものを用いるのが好ましい。この場合、めっき
液中における硫酸濃度は、1〜5vol%であるのが好
ましく、2〜4vol%であるのがより好ましい。めっ
き液中における硫酸濃度が前記範囲外の値であると、A
u−In系合金の析出効率が低下したり、形成される被
膜3の厚さのバラツキが大きくなる傾向を示す。
【0047】湿式めっき法により形成される被膜3の平
均厚さは、特に限定されないが、0.1〜10μmであ
るのが好ましく、0.1〜5μmであるのがより好まし
い。被膜3の平均厚さが前記下限値未満であると、被膜
3にピンホールが発生し易くなり、本発明の効果が十分
に発揮されない可能性がある。一方、被膜3の平均厚さ
が前記上限値を超えると、被膜3の内部応力が高くな
り、被膜3と基材2との密着性が低下したり、クラック
が発生し易くなる。
【0048】また、被膜3が前記のような合金組成を有
することにより、容易に、その表面の滑り性を優れたも
のにすることができる。これにより、表面のザラツキ感
を軽減、防止することができ、装飾品1Aが皮膚等に接
触したときの違和感、不快感を軽減、防止することがで
きる。
【0049】以上説明したような本発明によれば、白っ
ぽい金色の装飾品1Aを得ることができる。被膜3の色
彩は、特に限定されるものではないが、ISO規格に基
づくCEN(Comite Europeen de Normalisation)規格
のEN28654で規定される1N−14色の近似色で
あるのが好ましい。被膜3の色彩が1N−14色の近似
色であると、装飾品1Aは、美的外観が特に優れたもの
となり、高級感がさらに向上する。なお、「1N−14
色の近似色」とは、例えば、JIS Z 8729で規
定されるL表示の色度図において、aが−
3.0〜2.0であり、かつ、bが19〜25の範囲
とすることができる。
【0050】なお、被膜3の各部位における組成は、一
定であっても、一定でなくてもよい。例えば、被膜3
は、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するもの
(傾斜材料)であってもよい。また、被膜3は、例え
ば、組成の異なる複数の層の積層体であってもよい。ま
た、被膜3は、図示の構成では基材2の全面に形成され
ているが、基材2の表面の少なくとも一部に形成される
ものであればよい。
【0051】以上説明したような表面処理方法により、
装飾品1Aが得られる。装飾品1Aは、装飾性を備えた
物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等
のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース
(胴、裏蓋等)、時計バンド、文字盤、時計用針等の時
計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、
回転錘等の時計用内装部品、メガネ、ネクタイピン、カ
フスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンク
レット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等
の装身具、ライターまたはそのケース、ゴルフクラブ等
のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジン
グ等を含む各種機器部品、各種容器等が挙げられる。こ
の中でも特に、少なくともその一部が皮膚に接触して用
いられるものが好ましく、時計用外装部品がより好まし
い。時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要
求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐
摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明の表面
処理方法によればこれらの要件を全て満足することがで
きる。
【0052】また、本発明の時計は、上述したような本
発明の装飾品を有するものである。上述したように、本
発明の装飾品は、美的外観に優れた色彩を有し、耐食性
に優れたものである。このため、このような装飾品を備
えた本発明の時計は、時計としての求められる要件を十
分に満足することができる。すなわち、本発明の時計
は、特に優れた審美性を長期間にわたって保持すること
ができる。また、変色を生じにくいため、視認しやすい
状態を長期間にわたって維持することができる。特に、
本発明によれば、特別な気密構造を必要とすることな
く、上記のような効果が得られる点に特徴を有する。な
お、本発明の時計を構成する前記装飾品以外の部品とし
ては、公知のものを用いることができる。
【0053】次に、本発明の表面処理方法、装飾品およ
び時計の第2実施形態について説明する。図2は、本発
明の表面処理方法の第2実施形態を示す断面図である。
以下、第2実施形態の表面処理方法および該方法を用い
て製造される第2実施形態の装飾品について、前記第1
実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明
については、その説明を省略する。
【0054】図2に示すように、本実施形態の表面処理
方法は、基材2の表面の少なくとも一部(2a)に、下
地層40を形成する工程(2b)と、下地層40の表面
の少なくとも一部に、乾式めっき法により、Au−In
系合金で構成される被膜3を形成する工程(3c)とを
有する。すなわち、被膜3の形成に先立ち、基材2の表
面の少なくとも一部に、下地層40を形成する以外は、
前述した第1実施形態と同様である。以下、下地層40
について詳細に説明する。
【0055】[下地層40]下地層40は、いかなる目
的で形成するものであってもよいが、以下のような機能
を有するものであるのが好ましい。
【0056】下地層40は、例えば、基材2と被膜3と
の電位差を緩和する緩衝層として機能するものであるの
が好ましい。これにより、基材2と被膜3との電位差に
よる腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防
止することが可能となる。
【0057】また、下地層40は、例えば、基材2、被
膜3との密着性を向上させる機能を有するものであるの
が好ましい。このように、基材2、被膜3との密着性が
向上することにより、装飾品1Bの耐食性がさらに優れ
たものとなる。その結果、装飾品1Bは、特に耐久性に
優れたものとなる。また、下地層40は、例えば、基材
2の孔、キズ等をレベリング(ならし)により補修する
機能等を有するものであってもよい。
【0058】下地層40の形成方法としては、例えば、
電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき
法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プラズマC
VD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、イオ
ンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、金属箔の接
合等が挙げられるが、この中でも特に、湿式めっき法ま
たは乾式めっき法が好ましい。下地層40の形成方法と
して、湿式めっき法または乾式めっき法を用いることに
より、形成される下地層40は、基材2との密着性に特
に優れたものとなる。その結果、得られる装飾品1Bの
長期耐久性は、特に優れたものとなる。
【0059】また、下地層40は、例えば、基材2の表
面に、酸化処理、窒化処理、クロメート処理、炭化処
理、酸浸漬、酸電解処理、アルカリ浸漬処理、アルカリ
電解処理等の化学処理を施すことにより形成された被
膜、特に、不動態膜であってもよい。
【0060】下地層40の構成材料は、特に限定されな
いが、Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、N
i、Ti、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、Rh、R
u、Ir等の金属材料や、前記金属材料のうち少なくと
も1種を含む合金、前記金属材料のうち少なくとも1種
による金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒化物、
金属炭化物等)、またはこれらを2種以上組み合わせた
もの等が挙げられる。
【0061】下地層40が、Cu、Co、Pd、Au、
Ag、In、Sn、Ni、Ti、Zn、Al、Fe、C
r、Pt、Rh、Ru、Irまたはこれらのうち少なく
とも1種を含む合金で構成されるものである場合、基材
2と被膜3との電位差による腐食の発生を、さらに効果
的に防止することができる。
【0062】また、下地層40が上記のような材料で構
成されたものである場合、基材2、被膜3との密着性も
向上する。このように、基材2、被膜3との密着性が向
上することにより、装飾品1Bの耐食性がさらに優れた
ものとなる。その結果、装飾品1Bは、特に耐久性に優
れたものとなる。
【0063】また、下地層40が、Cu、Co、Pd、
Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Znまたはこれ
らのうち少なくとも1種を含む合金で構成されたもので
ある場合、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0064】下地層40の平均厚さは、例えば、0.1
〜50μmであるのが好ましく、1〜30μmであるの
がより好ましい。下地層40の平均厚さが前記下限値未
満であると、上述した下地層40の効果が十分に発揮さ
れない可能性がある。一方、下地層40の平均厚さが前
記上限値を超えると、下地層40の各部位における膜厚
のバラツキが大きくなる傾向を示す。また、下地層40
の内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0065】また、下地層40の構成材料は、基材2を
構成する材料または被膜3を構成する材料のうち少なく
とも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、
基材2、被膜3との密着性がさらに向上する。このよう
に、基材2、被膜3との密着性が向上することにより、
装飾品1Bの耐食性がさらに優れたものとなる。その結
果、装飾品1Bは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0066】また、下地層40の標準電位は、基材2の
標準電位と被膜3の標準電位との間の値であるのが好ま
しい。すなわち、下地層40は、その標準電位が、基材
2の構成材料の標準電位と、被膜3の構成材料の標準電
位との間の値である材料で構成されたものであるのが好
ましい。これにより、基材2と被膜3との電位差による
腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防止す
ることが可能となる。
【0067】なお、下地層40は、図示の構成では基材
2の全面に形成されているが、基材2の表面の少なくと
も一部に形成されるものであればよい。また、下地層4
0の各部位における組成は、一定であっても、一定でな
くてもよい。例えば、下地層40は、その厚さ方向に沿
って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であっても
よい。また、下地層40は、前記のような機能を有する
ものに限定されない。例えば、下地層40は、保管時
(被膜3の形成の工程までの間)等に腐食が発生するの
を防止する機能等を有するものであってもよい。
【0068】次に、本発明の表面処理方法、装飾品およ
び時計の第3実施形態について説明する。図3は、本発
明の表面処理方法の第3実施形態を示す断面図である。
以下、第3実施形態の表面処理方法および該方法を用い
て製造される第3実施形態の装飾品について、前記第
1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事
項の説明については、その説明を省略する。
【0069】図3に示すように、本実施形態の表面処理
方法は、基材2の表面の少なくとも一部(3a)に、下
地層(基材側から順に、第1の下地層41、第2の下地
層42)を形成する工程(3b、3c)と、前記下地層
の表面の少なくとも一部に、乾式めっき法により、Au
−In系合金で構成される被膜3を形成する工程(3
d)とを有する。すなわち、被膜3の形成に先立ち、基
材2の表面の少なくとも一部に、形成する下地層を2層
(第1の下地層41aおよび第2の下地層42b)にし
た以外は、前述した第2実施形態と同様である。以下、
第1の下地層41a、第2の下地層42bについて説明
する。
【0070】[第1の下地層41a]基材2の表面に、
第1の下地層41aを形成する。第1の下地層41a
は、いかなる目的で形成するものであってもよいが、以
下のような機能を有するものであるのが好ましい。
【0071】第1の下地層41aは、例えば、基材2と
後述する第2の下地層42aとの電位差を緩和する緩衝
層として機能するものであるのが好ましい。これによ
り、基材2と第2の下地層42aとの電位差による腐食
(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防止するこ
とが可能となる。
【0072】また、第1の下地層41aは、例えば、基
材2、第2の下地層42aとの密着性を向上させる機能
を有するものであるのが好ましい。このように、基材
2、第2の下地層42aとの密着性が向上することによ
り、装飾品1Cの耐食性がさらに優れたものとなる。そ
の結果、装飾品1Cは特に耐久性に優れたものとなる。
また、第1の下地層41aは、例えば、基材2の孔、キ
ズ等をレベリング(ならし)により補修する機能等を有
するものであるのが好ましい。
【0073】第1の下地層41aの形成方法としては、
例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿
式めっき法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プ
ラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CV
D)、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、
金属箔の接合等が挙げられるが、この中でも特に、湿式
めっき法または乾式めっき法が好ましい。第1の下地層
41aの形成方法として、湿式めっき法または乾式めっ
き法を用いることにより、形成される第1の下地層41
aは、基材2との密着性に特に優れたものとなる。その
結果、得られる装飾品1Cの長期耐久性は、特に優れた
ものとなる。
【0074】また、第1の下地層41aは、例えば、基
材2の表面に、酸化処理、窒化処理、クロメート処理、
炭化処理、酸浸漬、酸電解処理、アルカリ浸漬処理、ア
ルカリ電解処理等の化学処理を施すことにより形成され
た被膜、特に、不動態膜であってもよい。
【0075】第1の下地層41aの構成材料は、特に限
定されないが、Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、
Sn、Ni、Ti、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、R
h、Ru、Ir等の金属材料や、前記金属材料のうち少
なくとも1種を含む合金、前記金属材料のうち少なくと
も1種による金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒
化物、金属炭化物等)、またはこれらを2種以上組み合
わせたもの等が挙げられるが、この中でも特に、Cu、
Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Z
n、Al、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Irまたは
これらのうち少なくとも1種を含む合金であるのが好ま
しい。第1の下地層41aがこのような材料で構成され
たものである場合、基材2と第2の下地層42aとの電
位差による腐食の発生を、さらに効果的に防止すること
ができる。
【0076】また、第1の下地層41aが上記のような
材料で構成されたものであると、基材2、第2の下地層
42aとの密着性も向上する。このように、基材2、第
2の下地層42aとの密着性が向上することにより、装
飾品1Cの耐食性がさらに優れたものとなる。その結
果、装飾品1Cは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0077】特に、第2の下地層42aが後述するよう
な材料で構成される場合、第1の下地層41aは、C
u、Co、In、Sn、Ni、Zn、Al、Feまたは
これらのうち少なくとも1種を含む合金で構成されたも
のであるのが好ましい。これにより、上述した効果はさ
らに顕著なものとなる。
【0078】第1の下地層41aの平均厚さは、例え
ば、0.1〜50μmであるのが好ましく、1〜30μ
mであるのがより好ましい。第1の下地層41aの平均
厚さが前記下限値未満であると、上述した第1の下地層
41aの効果が十分に発揮されない可能性がある。一
方、第1の下地層41aの平均厚さが前記上限値を超え
ると、第1の下地層41aの各部位における膜厚のバラ
ツキが大きくなる傾向を示す。また、第1の下地層41
aの内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0079】また、第1の下地層41aの構成材料は、
基材2を構成する材料または第2の下地層42aを構成
する材料のうち少なくとも1種を含むものであるのが好
ましい。これにより、基材2、第2の下地層42aとの
密着性がさらに向上する。このように、基材2、第2の
下地層42aとの密着性が向上することにより、装飾品
1Cの耐食性がさらに優れたものとなる。その結果、装
飾品1Cは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0080】また、第1の下地層41aの標準電位は、
基材2の標準電位と、第2の下地層42aの標準電位と
の間の値であるのが好ましい。すなわち、第1の下地層
41aは、その標準電位が、基材2の構成材料の標準電
位と、第2の下地層42aの構成材料の標準電位との間
の値である材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、基材2と第2の下地層42aとの電位差に
よる腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防
止することが可能となる。
【0081】なお、第1の下地層41aは、図示の構成
では基材2の全面に形成されているが、基材2の表面の
少なくとも一部に形成されるものであればよい。また、
第1の下地層41aの各部位における組成は、一定であ
っても、一定でなくてもよい。例えば、第1の下地層4
1aは、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するも
の(傾斜材料)であってもよい。また、第1の下地層4
1aは、前記のような機能を有するものに限定されな
い。例えば、第1の下地層41aは、保管時(被膜3の
形成の工程までの間)等に腐食が発生するのを防止する
機能等を有するものであってもよい。
【0082】[第2の下地層42a]次に、第1の下地
層41aの表面に、第2の下地層42aを形成する。第
2の下地層42aは、いかなる目的で形成するものであ
ってもよいが、以下のような機能を有するものであるの
が好ましい。
【0083】第2の下地層42aは、例えば、第1の下
地層41aと被膜3との電位差を緩和する緩衝層として
機能するものであるのが好ましい。これにより、第1の
下地層41aと被膜3との電位差による腐食(異種金属
接触腐食)の発生をより効果的に防止することが可能と
なる。
【0084】また、第2の下地層42aは、例えば、第
1の下地層41a、被膜3との密着性を向上させる機能
を有するものであるのが好ましい。このように、第1の
下地層41a、被膜3との密着性が向上することによ
り、装飾品1Cの耐食性がさらに優れたものとなる。そ
の結果、装飾品1Cは特に耐久性に優れたものとなる。
また、第2の下地層42aは、例えば、第1の下地層4
1aの孔、キズ等をレベリング(ならし)により補修す
る機能等を有するものであってもよい。
【0085】第2の下地層42aの形成方法としては、
例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿
式めっき法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プ
ラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CV
D)、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、
金属箔の接合等が挙げられるが、この中でも特に、湿式
めっき法または乾式めっき法が好ましい。第2の下地層
42aの形成方法として、湿式めっき法または乾式めっ
き法を用いることにより、形成される第2の下地層42
aは、第1の下地層41aとの密着性に特に優れたもの
となる。その結果、得られる装飾品1Cの長期耐久性
は、特に優れたものとなる。
【0086】また、第2の下地層42aは、例えば、第
1の下地層41aの表面に、酸化処理、窒化処理、クロ
メート処理、炭化処理、酸浸漬、酸電解処理、アルカリ
浸漬処理、アルカリ電解処理等の化学処理を施すことに
より形成された被膜、特に、不動態膜であってもよい。
【0087】第2の下地層42aの構成材料は、特に限
定されないが、Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、
Sn、Ni、Ti、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、R
h、Ru、Ir等の金属材料や、前記金属材料のうち少
なくとも1種を含む合金、前記金属材料のうち少なくと
も1種による金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒
化物、金属炭化物等)、またはこれらを2種以上組み合
わせたもの等が挙げられる。
【0088】第2の下地層42aが、Cu、Co、P
d、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Zn、A
l、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Irまたはこれら
のうち少なくとも1種を含む合金で構成されるものであ
る場合、第1の下地層41aと被膜3との電位差による
腐食の発生を、さらに効果的に防止することができる。
【0089】また、第2の下地層42aが上記のような
材料で構成されたものであると、第1の下地層41a、
被膜3との密着性も向上する。このように、第1の下地
層41a、被膜3との密着性が向上することにより、装
飾品1Cの耐食性がさらに優れたものとなる。その結
果、装飾品1Cは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0090】特に、第1の下地層41aが前述したよう
な材料で構成される場合、第2の下地層42aは、P
d、Au、Ag、Sn、Ni、Ti、Cr、Pt、R
h、Ruまたはこれらのうち少なくとも1種を含む合金
で構成されたものであるのが好ましい。これにより、上
述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0091】第2の下地層42aの平均厚さは、例え
ば、0.1〜30μmであるのが好ましく、1〜20μ
mであるのがより好ましい。第2の下地層42aの平均
厚さが前記下限値未満であると、上述した第2の下地層
42aの効果が十分に発揮されない可能性がある。一
方、第2の下地層42aの平均厚さが前記上限値を超え
ると、第2の下地層42aの各部位における膜厚のバラ
ツキが大きくなる傾向を示す。また、第2の下地層42
aの内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0092】また、第2の下地層42aの構成材料は、
第1の下地層41aを構成する材料または被膜3を構成
する材料のうち少なくとも1種を含むものであるのが好
ましい。これにより、第1の下地層41a、被膜3との
密着性がさらに向上する。このように、第1の下地層4
1a、被膜3との密着性が向上することにより、装飾品
1Cの耐食性がさらに優れたものとなる。その結果、装
飾品1Cは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0093】また、第2の下地層42aの標準電位は、
第1の下地層41aの標準電位と、被膜3の標準電位と
の間の値であるのが好ましい。すなわち、第2の下地層
42aは、その標準電位が、第1の下地層41aの構成
材料の標準電位と、被膜3の構成材料の標準電位との間
の値である材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、第1の下地層41aと被膜3との電位差に
よる腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防
止することが可能となる。
【0094】なお、第2の下地層42aは、図示の構成
では第1の下地層41aの全面に形成されているが、第
1の下地層41aの表面の少なくとも一部に形成される
ものであればよい。また、第2の下地層42aの各部位
における組成は、一定であっても、一定でなくてもよ
い。例えば、第2の下地層42aは、その厚さ方向に沿
って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であっても
よい。また、第2の下地層42aは、前記のような機能
を有するものに限定されない。例えば、第2の下地層4
2aは、保管時(被膜3の形成の工程までの間)等に腐
食が発生するのを防止する機能等を有するものであって
もよい。
【0095】次に、本発明の表面処理方法、装飾品およ
び時計の第4実施形態について説明する。図4は、本発
明の表面処理方法の第4実施形態を示す断面図である。
以下、第4実施形態の表面処理方法および該方法を用い
て製造される第4実施形態の装飾品について、前記第
1、第2、第3実施形態との相違点を中心に説明し、同
様の事項の説明については、その説明を省略する。
【0096】図4に示すように、本実施形態の表面処理
方法は、基材2の表面の少なくとも一部(4a)に、下
地層(基材側から順に、第1の下地層41b、第2の下
地層42b、第3の下地層43b)を形成する工程(4
b、4c、4d)と、前記下地層の表面の少なくとも一
部に、乾式めっき法により、Au−In系合金で構成さ
れる被膜3を形成する工程(4e)とを有する。すなわ
ち、被膜3の形成に先立ち、基材2の表面の少なくとも
一部に、形成する下地層を3層(第1の下地層41b、
第2の下地層42bおよび第3の下地層43b)にした
以外は、前述した第2、第3実施形態と同様である。以
下、第1の下地層41b、第2の下地層42bおよび第
3の下地層43bについて説明する。
【0097】[第1の下地層41b]基材2の表面に、
第1の下地層41bを形成する。第1の下地層41b
は、いかなる目的で形成するものであってもよいが、以
下のような機能を有するものであるのが好ましい。
【0098】第1の下地層41bは、例えば、基材2と
後述する第2の下地層42bとの電位差を緩和する緩衝
層として機能するものであるのが好ましい。これによ
り、基材2と第2の下地層42bとの電位差による腐食
(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防止するこ
とが可能となる。
【0099】また、第1の下地層41bは、例えば、基
材2、第2の下地層42bとの密着性を向上させる機能
を有するものであるのが好ましい。このように、基材
2、第2の下地層42bとの密着性が向上することによ
り、装飾品1Dの耐食性がさらに優れたものとなる。そ
の結果、装飾品1Dは特に耐久性に優れたものとなる。
また、第1の下地層41bは、例えば、基材2の孔、キ
ズ等をレベリング(ならし)により補修する機能等を有
するものであるのが好ましい。
【0100】第1の下地層41bの形成方法としては、
例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿
式めっき法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プ
ラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CV
D)、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、
金属箔の接合等が挙げられるが、この中でも特に、湿式
めっき法または乾式めっき法が好ましい。第1の下地層
41bの形成方法として、湿式めっき法または乾式めっ
き法を用いることにより、形成される第1の下地層41
bは、基材2との密着性に特に優れたものとなる。その
結果、得られる装飾品1Dの長期耐久性は、特に優れた
ものとなる。
【0101】また、第1の下地層41bは、例えば、基
材2の表面に、酸化処理、窒化処理、クロメート処理、
炭化処理、酸浸漬、酸電解処理、アルカリ浸漬処理、ア
ルカリ電解処理等の化学処理を施すことにより形成され
た被膜、特に、不動態膜であってもよい。
【0102】第1の下地層41bの構成材料は、特に限
定されないが、Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、
Sn、Ni、Ti、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、R
h、Ru、Ir等の金属材料や、前記金属材料のうち少
なくとも1種を含む合金、前記金属材料のうち少なくと
も1種による金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒
化物、金属炭化物等)、またはこれらを2種以上組み合
わせたもの等が挙げられるが、この中でも特に、Cu、
Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Z
n、Al、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Irまたは
これらのうち少なくとも1種を含む合金であるのが好ま
しい。第1の下地層41bがこのような材料で構成され
たものである場合、基材2と第2の下地層42bとの電
位差による腐食の発生を、さらに効果的に防止すること
ができる。
【0103】また、第1の下地層41bが上記のような
材料で構成されたものであると、基材2、第2の下地層
42bとの密着性も向上する。このように、基材2、第
2の下地層42bとの密着性が向上することにより、装
飾品1Dの耐食性がさらに優れたものとなる。その結
果、装飾品1Dは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0104】特に、第2の下地層42bが後述するよう
な材料で構成される場合、第1の下地層41bは、C
u、Co、In、Sn、Ni、Zn、Al、Feまたは
これらのうち少なくとも1種を含む合金で構成されたも
のであるのが好ましい。これにより、上述した効果はさ
らに顕著なものとなる。
【0105】第1の下地層41bの平均厚さは、例え
ば、0.1〜50μmであるのが好ましく、1〜30μ
mであるのがより好ましい。第1の下地層41bの平均
厚さが前記下限値未満であると、上述した第1の下地層
41bの効果が十分に発揮されない可能性がある。一
方、第1の下地層41bの平均厚さが前記上限値を超え
ると、第1の下地層41bの各部位における膜厚のバラ
ツキが大きくなる傾向を示す。また、第1の下地層41
bの内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0106】また、第1の下地層41bの構成材料は、
基材2を構成する材料または第2の下地層42bを構成
する材料のうち少なくとも1種を含むものであるのが好
ましい。これにより、基材2、第2の下地層42bとの
密着性がさらに向上する。このように、基材2、第2の
下地層42bとの密着性が向上することにより、装飾品
1Dの耐食性がさらに優れたものとなる。その結果、装
飾品1Dは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0107】また、第1の下地層41bの標準電位は、
基材2の標準電位と、第2の下地層42bの標準電位と
の間の値であるのが好ましい。すなわち、第1の下地層
41bは、その標準電位が、基材2の構成材料の標準電
位と、第2の下地層42bの構成材料の標準電位との間
の値である材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、基材2と第2の下地層42bとの電位差に
よる腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防
止することが可能となる。
【0108】なお、第1の下地層41bは、図示の構成
では基材2の全面に形成されているが、基材2の表面の
少なくとも一部に形成されるものであればよい。また、
第1の下地層41bの各部位における組成は、一定であ
っても、一定でなくてもよい。例えば、第1の下地層4
1bは、その厚さ方向に沿って、組成が順次変化するも
の(傾斜材料)であってもよい。また、第1の下地層4
1bは、前記のような機能を有するものに限定されな
い。例えば、第1の下地層41bは、保管時(被膜3の
形成の工程までの間)等に腐食が発生するのを防止する
機能等を有するものであってもよい。
【0109】[第2の下地層42b]第1の下地層41
bの表面に、第2の下地層42bを形成する。第2の下
地層42bは、いかなる目的で形成するものであっても
よいが、以下のような機能を有するものであるのが好ま
しい。
【0110】第2の下地層42bは、例えば、第1の下
地層41bと後述する第3の下地層43bとの電位差を
緩和する緩衝層として機能するものであるのが好まし
い。これにより、第1の下地層41bと第3の下地層4
3bとの電位差による腐食(異種金属接触腐食)の発生
をより効果的に防止することが可能となる。
【0111】また、第2の下地層42bは、例えば、第
1の下地層41b、第3の下地層43bとの密着性を向
上させる機能を有するものであるのが好ましい。このよ
うに、第1の下地層41b、第3の下地層43bとの密
着性が向上することにより、装飾品1Dの耐食性がさら
に優れたものとなる。その結果、装飾品1Dは、特に耐
久性に優れたものとなる。また、第2の下地層42b
は、例えば、第1の下地層41bの孔、キズ等をレベリ
ング(ならし)により補修する機能等を有するものであ
るのが好ましい。
【0112】第2の下地層42bの形成方法としては、
例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿
式めっき法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プ
ラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CV
D)、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、
金属箔の接合等が挙げられるが、この中でも特に、湿式
めっき法または乾式めっき法が好ましい。第2の下地層
42bの形成方法として、湿式めっき法または乾式めっ
き法を用いることにより、形成される第2の下地層42
bは、第1の下地層41bとの密着性に特に優れたもの
となる。その結果、得られる装飾品1Dの長期耐久性
は、特に優れたものとなる。
【0113】また、第2の下地層42bは、例えば、第
1の下地層41bの表面に、酸化処理、窒化処理、クロ
メート処理、炭化処理、酸浸漬、酸電解処理、アルカリ
浸漬処理、アルカリ電解処理等の化学処理を施すことに
より形成された被膜、特に、不動態膜であってもよい。
【0114】第2の下地層42bの構成材料は、特に限
定されないが、Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、
Sn、Ni、Ti、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、R
h、Ru、Ir等の金属材料や、前記金属材料のうち少
なくとも1種を含む合金、前記金属材料のうち少なくと
も1種による金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒
化物、金属炭化物等)、またはこれらを2種以上組み合
わせたもの等が挙げられるが、この中でも特に、Cu、
Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Z
n、Al、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Irまたは
これらのうち少なくとも1種を含む合金であるのが好ま
しい。第2の下地層42bがこのような材料で構成され
たものである場合、第1の下地層41bと第3の下地層
43bとの電位差による腐食の発生を、さらに効果的に
防止することができる。
【0115】また、第2の下地層42bが上記のような
材料で構成されたものであると、第1の下地層41b、
第3の下地層43bとの密着性も向上する。このよう
に、第1の下地層41b、第3の下地層43bとの密着
性が向上することにより、装飾品1Dの耐食性がさらに
優れたものとなる。その結果、装飾品1Dは、特に耐久
性に優れたものとなる。
【0116】特に、第1の下地層41bが前述したよう
な材料で構成され、かつ、第3の下地層43bが後述す
るような材料で構成される場合、第2の下地層42b
は、Cu、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ti、Z
n、Fe、Crまたはこれらのうち少なくとも1種を含
む合金で構成されたものであるのが好ましい。これによ
り、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0117】第2の下地層42bの平均厚さは、例え
ば、0.1〜30μmであるのが好ましく、1〜20μ
mであるのがより好ましい。第2の下地層42bの平均
厚さが前記下限値未満であると、上述した第2の下地層
42bの効果が十分に発揮されない可能性がある。一
方、第2の下地層42bの平均厚さが前記上限値を超え
ると、第2の下地層42bの各部位における膜厚のバラ
ツキが大きくなる傾向を示す。また、第2の下地層42
bの内部応力が高くなり、クラックが発生し易くなる。
【0118】また、第2の下地層42bの構成材料は、
第1の下地層41bを構成する材料または第3の下地層
43bを構成する材料のうち少なくとも1種を含むもの
であるのが好ましい。これにより、第1の下地層41
b、第3の下地層43bとの密着性がさらに向上する。
このように、第1の下地層41b、第3の下地層43b
との密着性が向上することにより、装飾品1Dの耐食性
がさらに優れたものとなる。その結果、装飾品1Dは、
特に耐久性に優れたものとなる。
【0119】また、第2の下地層42bの標準電位は、
第1の下地層41bの標準電位と、第3の下地層43b
の標準電位との間の値であるのが好ましい。すなわち、
第2の下地層42bは、その標準電位が、第1の下地層
41bの構成材料の標準電位と、第3の下地層43bの
構成材料の標準電位との間の値である材料で構成された
ものであるのが好ましい。これにより、第1の下地層4
1bと第3の下地層43bとの電位差による腐食(異種
金属接触腐食)の発生をより効果的に防止することが可
能となる。
【0120】なお、第2の下地層42bは、図示の構成
では第1の下地層41bの全面に形成されているが、第
1の下地層41bの表面の少なくとも一部に形成される
ものであればよい。また、第2の下地層42bの各部位
における組成は、一定であっても、一定でなくてもよ
い。例えば、第2の下地層42bは、その厚さ方向に沿
って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であっても
よい。また、第2の下地層42bは、前記のような機能
を有するものに限定されない。例えば、第2の下地層4
2bは、保管時(被膜3の形成の工程までの間)等に腐
食が発生するのを防止する機能等を有するものであって
もよい。
【0121】[第3の下地層43b]次に、第2の下地
層42bの表面に、第3の下地層43bを形成する。第
3の下地層43bは、いかなる目的で形成するものであ
ってもよいが、以下のような機能を有するものであるの
が好ましい。
【0122】第3の下地層43bは、例えば、第2の下
地層42bと被膜3との電位差を緩和する緩衝層として
機能するものであるのが好ましい。これにより、第2の
下地層42bと被膜3との電位差による腐食(異種金属
接触腐食)の発生をより効果的に防止することが可能と
なる。
【0123】また、第3の下地層43bは、例えば、第
2の下地層42b、被膜3との密着性を向上させる機能
を有するものであるのが好ましい。このように、第2の
下地層42b、被膜3との密着性が向上することによ
り、装飾品1Dの耐食性がさらに優れたものとなる。そ
の結果、装飾品1Dは特に耐久性に優れたものとなる。
また、第3の下地層43bは、例えば、第2の下地層4
2bの孔、キズ等をレベリング(ならし)により補修す
る機能等を有するものであってもよい。
【0124】第3の下地層43bの形成方法としては、
例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿
式めっき法、真空蒸着、スパッタリング、熱CVD、プ
ラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CV
D)、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、
金属箔の接合等が挙げられるが、この中でも特に、湿式
めっき法または乾式めっき法が好ましい。第3の下地層
43bの形成方法として、湿式めっき法または乾式めっ
き法を用いることにより、形成される第3の下地層43
bは、第2の下地層42bとの密着性に特に優れたもの
となる。その結果、得られる装飾品1Dの長期耐久性
は、特に優れたものとなる。
【0125】また、第3の下地層43bは、例えば、第
2の下地層42bの表面に、酸化処理、窒化処理、クロ
メート処理、炭化処理、酸浸漬、酸電解処理、アルカリ
浸漬処理、アルカリ電解処理等の化学処理を施すことに
より形成された被膜、特に、不動態膜であってもよい。
【0126】第3の下地層43bの構成材料は、特に限
定されないが、Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、
Sn、Ni、Ti、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、R
h、Ru、Ir等の金属材料や、前記金属材料のうち少
なくとも1種を含む合金、前記金属材料のうち少なくと
も1種による金属化合物(例えば、金属酸化物、金属窒
化物、金属炭化物等)、またはこれらを2種以上組み合
わせたもの等が挙げられる。
【0127】第3の下地層43bが、Cu、Co、P
d、Au、Ag、In、Sn、Ni、Ti、Zn、A
l、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Irまたはこれら
のうち少なくとも1種を含む合金で構成されるものであ
る場合、第2の下地層42bと被膜3との電位差による
腐食の発生を、さらに効果的に防止することができる。
【0128】また、第3の下地層43bが上記のような
材料で構成されるものであると、第2の下地層42b、
被膜3との密着性も向上する。このように、第2の下地
層42b、被膜3との密着性が向上することにより、装
飾品1Dの耐食性がさらに優れたものとなる。その結
果、装飾品1Dは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0129】特に、第2の下地層42bが前述したよう
な材料で構成される場合、第3の下地層43bは、P
d、Au、Ag、Sn、Ni、Ti、Cr、Pt、R
h、Ruまたはこれらのうち少なくとも1種を含む合金
で構成されたものであるのが好ましい。これにより、上
述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0130】第3の下地層43bの平均厚さは、例え
ば、0.1〜20μmであるのが好ましく、0.5〜1
0μmであるのがより好ましい。第3の下地層43bの
平均厚さが前記下限値未満であると、上述した第3の下
地層43bの効果が十分に発揮されない可能性がある。
一方、第3の下地層43bの平均厚さが前記上限値を超
えると、第3の下地層43bの各部位における膜厚のバ
ラツキが大きくなる傾向を示す。また、第3の下地層4
3bの内部応力が高くなり、クラックが発生し易くな
る。
【0131】また、第3の下地層43bの構成材料は、
第2の下地層42bを構成する材料または被膜3を構成
する材料のうち少なくとも1種を含むものであるのが好
ましい。これにより、第2の下地層42b、被膜3との
密着性がさらに向上する。このように、第2の下地層4
2b、被膜3との密着性が向上することにより、装飾品
1Dの耐食性がさらに優れたものとなる。その結果、装
飾品1Dは、特に耐久性に優れたものとなる。
【0132】また、第3の下地層43bの標準電位は、
第2の下地層42bの標準電位と、被膜3の標準電位と
の間の値であるのが好ましい。すなわち、第3の下地層
43bは、その標準電位が、第2の下地層42bの構成
材料の標準電位と、被膜3の構成材料の標準電位との間
の値である材料で構成されたものであるのが好ましい。
これにより、第2の下地層42bと被膜3との電位差に
よる腐食(異種金属接触腐食)の発生をより効果的に防
止することが可能となる。
【0133】なお、第3の下地層43bは、図示の構成
では第2の下地層42bの全面に形成されているが、第
2の下地層42bの表面の少なくとも一部に形成される
ものであればよい。また、第3の下地層43bの各部位
における組成は、一定であっても、一定でなくてもよ
い。例えば、第3の下地層43bは、その厚さ方向に沿
って、組成が順次変化するもの(傾斜材料)であっても
よい。また、第3の下地層43bは、前記のような機能
を有するものに限定されない。例えば、第3の下地層4
3bは、保管時(被膜3の形成の工程までの間)等に腐
食が発生するのを防止する機能等を有するものであって
もよい。
【0134】次に、本発明の表面処理方法、装飾品およ
び時計の第5実施形態について説明する。図5は、本発
明の表面処理方法の第5実施形態を示す断面図である。
以下、第5実施形態の表面処理方法および該方法を用い
て製造される第5実施形態の装飾品について、前記第
1、第2、第3、第4実施形態との相違点を中心に説明
し、同様の事項の説明については、その説明を省略す
る。
【0135】図5に示すように、本実施形態の表面処理
方法は、基材2の表面の少なくとも一部(5a)に、下
地層(第1の下地層41b、第2の下地層42b、第3
の下地層43b)を形成する工程(5b、5c、5d)
と、前記下地層の表面の少なくとも一部に、乾式めっき
法により、主としてクロム化合物で構成される被膜3を
形成する工程(5e)と、被膜3の表面の一部にマスキ
ング5を形成する工程(5f)と、剥離剤を用いて、マ
スキング5が被覆されていない部位の被膜3を除去する
工程(5g)と、マスキング5を除去する工程(5h)
とを有する。すなわち、被膜3の形成後、被膜3の表面
の一部にマスキング5を形成する工程(5f)と、剥離
剤を用いて、マスキング5が被覆されていない部位の被
膜3を除去する工程(5g)と、マスキング5を除去す
る工程(5h)とを有する以外は、前述した第4実施形
態と同様である。
【0136】[マスキングの被覆]被膜3の形成後、被
膜3の表面の一部に、マスキング5を被覆する(5
f)。このマスキング5は、後述する被膜3を除去する
工程において、被覆した部位の被膜3を保護するマスク
として機能する。
【0137】マスキング5としては、被膜3を除去する
工程において、被覆した部位の被膜3を保護する機能を
有するものであればいかなるものでもよいが、後述する
マスキング5を除去する工程において、容易に除去する
ことができるものであるのが好ましい。
【0138】このようなマスキング5を構成する材料と
しては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、
ポリスルホン系樹脂、エポキシ系、フッ素系、ゴム系等
の樹脂材料や、Au、Ni、Pd、Cu、Ag、Ti、
Cr等の金属材料を用いることができる。
【0139】マスキング5の形成方法は、特に限定され
ず、例えば、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電
塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無
電解めっき等の湿式めっき法、真空蒸着、スパッタリン
グ、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化
学蒸着法(CVD)、イオンプレーティング等の乾式め
っき法、溶射等が挙げられる。
【0140】マスキング5の平均厚さは、特に限定され
ないが、例えば、100〜2000μmであるのが好ま
しく、500〜1000μmであるのがより好ましい。
マスキング5の平均厚さが前記下限値未満であると、マ
スキング5にピンホールが発生し易くなる傾向がある。
このため、後述する被膜3の除去の工程において、マス
キング5が被覆された部位の被膜3の一部が溶解、剥離
する等して、得られる装飾品1Eの美的外観が低下する
可能性がある。一方、マスキング5の平均厚さが前記上
限値を超えると、マスキング5の各部位における膜厚の
バラツキが大きくなる傾向を示す。また、マスキング5
の内部応力が高くなり、結果として、マスキング5と被
膜3との密着性が低下したり、クラックが発生し易くな
る。また、マスキング5は透明であることが好ましい。
これにより被膜3との密着状態を外部から視認すること
が可能となる。
【0141】マスキング5は、被膜3の表面に、直接、
所望の形状となるように形成されるものに限定されな
い。例えば、被膜3の表面のほぼ全面に、マスキング5
の構成材料を被覆した後、その一部を除去することによ
り、所望のパターンを有するマスキング5としてもよ
い。
【0142】被膜3の表面のほぼ全面に被覆されたマス
キング5の一部を除去する方法としては、例えば、除去
したい部位のマスキング5に、レーザー光を照射する方
法等が挙げられる。このとき用いられるレーザーとして
は、例えば、Ne−Heレーザー、Arレーザー、CO
レーザー等の気体レーザーや、ルビーレーザー、半導
体レーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー、YVO
レーザー、エキシマレーザー等が挙げられる。
【0143】[被膜の除去]次に、マスキング5が被覆
されていない部位の被膜3を除去する(5g)。被膜3
の除去は、被膜3を除去することが可能で、かつマスキ
ング5を実質的に溶解、剥離しない剥離剤を用いて行
う。
【0144】被膜3の除去に用いられる剥離剤は、被膜
3を除去することが可能であり、かつマスキング5を実
質的に溶解、剥離しないものであれば、特に限定されな
いが、液体、気体等の流体であるのが好ましく、その中
でも特に、液体であるのが好ましい。これにより、被膜
3の除去を容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0145】剥離剤としては、例えば、シアン化カリウ
ム(KCN)を含む剥離液を用いることができる。この
ような剥離液としては、例えば、30〜60g/リット
ル程度のシアン化カリウムを含む水溶液を用いることが
できる。なお、剥離剤中には、例えば、安定剤、剥離促
進剤、有機成分、触媒等の各種添加剤が含まれていても
よい。
【0146】被膜3を除去する方法としては、例えば、
剥離剤を噴霧する方法、液体状態の剥離剤(剥離液)に
浸漬する方法(ディッピング)、液体状態の剥離剤(剥
離液)に浸漬した状態で電解する方法等が挙げられる
が、この中でも特に、液体状態の剥離剤(剥離液)に浸
漬する方法が好ましい。これにより、被膜3の除去をさ
らに容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0147】被膜3の除去を液体状態の剥離剤(剥離
液)に浸漬することにより行う場合、剥離剤の温度は、
特に限定されないが、例えば、10〜100℃であるの
が好ましく、20〜80℃であるのがより好ましく、2
0〜50℃であるのがさらに好ましい。剥離剤の温度が
前記下限値未満であると、被膜3の厚さ等によっては、
マスキング5が被覆されていない部位の被膜3を十分に
除去するのに要する時間が長くなり、装飾品1Eの生産
性が低下する場合がある。一方、剥離剤の温度が前記上
限値を超えると、剥離剤の蒸気圧、沸点等によっては、
剥離剤の揮発量が多くなり、被膜3の除去に必要な剥離
剤の量が多くなる傾向を示す。
【0148】また、剥離剤への浸漬時間は、特に限定さ
れないが、例えば、1〜40分間であるのが好ましく、
5〜20分間であるのがより好ましい。剥離剤への浸漬
時間が前記下限値未満であると、被膜3の厚さ、剥離剤
の温度等によっては、マスキング5が被覆されていない
部位の被膜3を十分に除去するのが困難となる場合があ
る。一方、剥離剤への浸漬時間が前記上限値を超える
と、装飾品1Eの生産性が低下する。なお、被膜3の除
去を液体状態の剥離剤(剥離液)に浸漬することにより
行う場合、例えば、浸漬時に、剥離液に振動(例えば、
超音波振動等)を加えてもよい。これにより、被膜3の
除去の効率をさらに向上させることができる。
【0149】[マスキングの除去]その後、マスキング
5を除去することにより、装飾品1Eが得られる。マス
キング5の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、マ
スキング5を除去することが可能であり、かつ基材2お
よび被膜3に対して、実質的にダメージを与えないマス
キング除去剤を用いて行うのが好ましい。このようなマ
スキング除去剤を用いることにより、マスキング5の除
去を容易かつ確実に行うことができる。
【0150】マスキング5の除去に用いられるマスキン
グ除去剤は、特に限定されないが、液体、気体等の流体
であるのが好ましく、その中でも特に、液体であるのが
好ましい。これにより、マスキング5の除去をさらに容
易かつ確実に行うことが可能となる。
【0151】マスキング除去剤としては、例えば、硝
酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、
四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(ME
K)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIP
K)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等の
アルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピル
エーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,
4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テト
ラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレング
リコールジメチルエーテル(ジグリム)等のエーテル系
溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニル
セロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタ
ン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶
媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素
系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオ
フェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトア
ミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、ク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合
物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエ
ステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ス
ルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロ
ピオニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリク
ロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒等の有機
溶媒等から選択される1種または2種以上を混合したも
のや、これらに、硝酸、硫酸、塩化水素、フッ化水素、
リン酸等の酸性物質、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、アンモニア等のアルカリ性物質、過マンガン酸
カリウム(KMnO)、二酸化マンガン(Mn
)、二クロム酸カリウム(KCr)、オゾ
ン、濃硫酸、硝酸、サラシ粉、過酸化水素、キノン類等
の酸化剤、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫
化水素、過酸化水素、ヒドロキノン類等の還元剤を混合
したもの等が挙げられる。
【0152】マスキング5を除去する方法としては、例
えば、マスキング除去剤を噴霧する方法、液体状態のマ
スキング除去剤に浸漬する方法、液体状態のマスキング
除去剤に浸漬した状態で電解する方法等が挙げられる
が、この中でも特に、液体状態のマスキング除去剤に浸
漬する方法が好ましい。これにより、マスキング5の除
去をさらに容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0153】マスキング5の除去を、液体状態のマスキ
ング除去剤に浸漬することにより行う場合、マスキング
除去剤の温度は、特に限定されないが、例えば15〜1
00℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがよ
り好ましい。マスキング除去剤の温度が前記下限値未満
であると、マスキング5の厚さ等によっては、マスキン
グ5を十分に除去するのに要する時間が長くなり、装飾
品1Eの生産性が低下する場合がある。一方、マスキン
グ除去剤の温度が前記上限値を超えると、マスキング除
去剤の蒸気圧、沸点等によっては、マスキング除去剤の
揮発量が多くなり、マスキング5の除去に必要なマスキ
ング除去剤の量が多くなる傾向を示す。
【0154】また、マスキング除去剤への浸漬時間は、
特に限定されないが、例えば、5〜60分間であるのが
好ましく、5〜30分間であるのがより好ましい。マス
キング除去剤への浸漬時間が前記下限値未満であると、
マスキング5の厚さ、マスキング除去剤の温度等によっ
ては、マスキング5を十分に除去するのが困難となる場
合がある。一方、マスキング除去剤への浸漬時間が前記
上限値を超えると、装飾品1Eの生産性が低下する。
【0155】なお、マスキング5の除去を液体状態のマ
スキング除去剤に浸漬することにより行う場合、例え
ば、浸漬時に、マスキング除去剤に振動(例えば、超音
波振動等)を加えてもよい。これにより、マスキング5
の除去の効率をさらに向上させることができる。
【0156】以上説明したように、被膜3の一部を除去
することにより、被膜3を所定の形状にパターニングし
易くなる。また、被膜3の一部を除去することにより、
例えば、被膜3が残存する部位と、被膜3が除去された
部位とで、凹凸のパターンを形成したり、色彩の違いが
顕著なものとなる。その結果、装飾品1Eの美的外観は
さらに優れたものとなる。
【0157】以上、本発明の表面処理方法、装飾品およ
び時計の好適な実施形態について説明したが、本発明
は、これらに限定されるものではない。例えば、前述し
た第2実施形態においては1層(下地層40)の下地層
を形成しており、第3実施形態においては2層の下地層
(第1の下地層41a、第2の下地層42a)を形成し
ており、第4、第5実施形態においては3層の下地層
(第1の下地層41b、第2の下地層42b、第3の下
地層43b)を形成しているが、形成する下地層は、4
層以上であってもよい。この場合、下地層の少なくとも
1層がその片方の面側と他方側との電位差を緩和する作
用を有するものであるのが好ましい。
【0158】また、下地層が4層以上の場合であって
も、前述したように、隣接する2つの下地層は、互いに
共通の元素を含む材料で構成されたものであるのが好ま
しい。これにより、隣接する下地層同士の密着性がさら
に向上する。また、前記共通の元素がCuであると、隣
接する下地層同士の密着性は、特に優れたものとなる。
【0159】また、装飾品の表面の少なくとも一部に
は、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐摩耗性、耐変
色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向
上する保護層等が形成されていてもよい。
【0160】また、第5実施形態においては、被膜3の
一部を除去しているが、被膜3とともに、その部位にお
ける下地層(第1の下地層、第2の下地層、第3の下地
層)の少なくとも一部を除去してもよい。例えば、下地
層がTiまたはTi化合物で構成されるものである場
合、この下地層の除去には、フッ酸と、硝酸とを含む溶
液を用いることができる。
【0161】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。 1.装飾品の製造 (実施例1) 以下に示すような表面処理を施すことにより、装飾品
(腕時計用針)を製造した。
【0162】まず、ステンレス鋼(SUS444)を用
いて、鋳造により、腕時計用針の形状を有する基材を作
製し、その後、必要箇所を切削した後、ダイヤカットに
より、鏡面加工を施した。次に、この基材を洗浄した。
基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒
間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。
その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を
10秒間行った。
【0163】このようにして洗浄を行った基材の表面
(鏡面加工を施した側の面)に、Au−In系合金(A
u:91.0wt%、In:9.0wt%)で構成され
る被膜を形成した。被膜の形成は、以下に説明するよう
な電解めっきにより行った。
【0164】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
11.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:2.5分という条件で、電解めっき
を行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、0.5μmであった。被膜の厚さは、JIS H
5821の顕微鏡断面試験方法により測定した。
【0165】(実施例2)基材の構成材料を、Cu−Z
n系合金(合金組成:Cu60wt%−Zn40wt
%)とした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を
製造した。
【0166】(実施例3)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計ケース(胴))を製造
した。まず、金属粉末射出成形(MIM)により、腕時
計ケース(胴)の形状を有するTi製の基材を作製し
た。Ti製の基材は、以下のようにして作製した。
【0167】まず、ガスアトマイズ法により製造された
平均粒径52μmのTi粉末を用意した。このTi粉
末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポ
リプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:1
0vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練
には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温
度は60℃であった。次に、得られた混練物を粉砕、分
級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレット
を用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)
し、腕時計用針の形状を有する成形体を製造した。この
とき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考
慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型
温度40℃、射出圧力80kgf/cm、射出時間2
0秒、冷却時間40秒であった。次に、前記成形体に対
して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体
を得た。この脱バインダー処理は、1×10−3Tor
rのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、
10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時
におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなっ
た時点を脱バインダー終了時点とした。次に、このよう
にして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行
い、基材を得た。この焼結は、1×10−5〜1×10
−6Torrのアルゴンガス雰囲気中で、900〜11
00℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。以上
のようにして得られた基材について、その必要箇所を切
削、研磨した後、この基材を洗浄した。基材の洗浄とし
ては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次い
で、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和
を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行っ
た。
【0168】このようにして洗浄を行った基材の表面
に、Au−In系合金(Au:89.8wt%、In:
10.2wt%)で構成される被膜を形成した。被膜の
形成は、以下に説明するような電解めっきにより行っ
た。
【0169】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
10.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:2.5分という条件で、電解めっき
を行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、0.5μmであった。被膜の厚さは、JIS H
5821の顕微鏡断面試験方法により測定した。
【0170】また、基材および得られた装飾品につい
て、JIS B 0601で規定される表面粗さR
maxを測定した。基材の、切削および研磨を行った箇
所の表面粗さRmaxは、0.2〜0.4μmであっ
た。被膜の形成後においては、これに対応する箇所の表
面粗さRmaxは、0.05〜0.1μm(鏡面)とな
っていた。また、基材の、切削、研磨を施さなかった箇
所の表面粗さRmaxは、1.5〜3.0μm(梨地)
であった。被膜の形成後においては、これに対応する箇
所の表面粗さRmaxは、1.0〜1.2μm(半鏡
面)となっていた。このように、被膜を電解めっきによ
り形成したことにより、表面が平滑化されたことが分か
る。
【0171】(実施例4)めっき液として、濃硫酸と、
シアン化第二金カリウムと、硫酸インジウムと、硫酸ス
ズと、水とを用いて調製したものを用いた以外は、前記
実施例2と同様にして装飾品を製造した。電解めっきに
用いためっき液中におけるAuの濃度CAuは8.0
[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0[g/リ
ットル]、Snの濃度CSnは1.0[g/リット
ル]、硫酸濃度は3vol%であった。また、被膜を形
成するための電解めっきは、めっき液を用いて、浴温:
55℃、電流密度:1.0A/dm、時間:15分と
いう条件で行った。電解めっきにより形成された被膜の
平均厚さは、5.0μmであった。
【0172】(実施例5)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計ケース(胴))を製造
した。まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、
鋳造により、腕時計ケース(胴)の形状を有する基材を
作製し、その後、必要箇所を切削した後、ダイヤカット
により、鏡面加工を施した。次に、この基材を洗浄し
た。基材の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を3
0秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒
間、純水洗浄を10秒間行った。
【0173】次に、この基材の鏡面加工を施した側の面
に、Auで構成される下地層を形成した。下地層の形成
は、電解めっきにより、浴温:30℃、電流密度:3A
/dm、時間:0.5分間という条件で行った。この
ようにして形成された下地層の平均厚さは、0.5μm
であった。次に、下地層が形成された基材を洗浄した。
この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間
行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。そ
の後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を1
0秒間行った。
【0174】このようにして洗浄を行った下地層の表面
に、Au−In系合金(Au:94.9wt%、In:
5.1wt%)で構成される被膜を形成した。被膜の形
成は、以下に説明するような電解めっきにより行った。
【0175】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
9.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は3vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:15分という条件で、電解めっきを
行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、3.0μmであった。下地層、被膜の厚さは、JI
S H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定し
た。
【0176】(実施例6)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計用文字盤)を製造し
た。まず、Cu−Zn系合金(合金組成:Cu60wt
%−Zn40wt%)を用いて、鋳造により、腕時計用
文字盤の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所
を切削、研磨した。次に、この基材を洗浄した。基材の
洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行
い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その
後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10
秒間行った。
【0177】次に、この基材の表面に、Auで構成され
る下地層を形成した。下地層の形成は、電解めっき(ス
トライクめっき)により、浴温:30℃、電流密度:3
A/dm、時間:0.5分間という条件で行った。こ
のようにして形成された下地層の平均厚さは、0.5μ
mであった。次に、下地層が形成された基材を洗浄し
た。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30
秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行っ
た。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗
浄を10秒間行った。
【0178】このようにして洗浄を行った下地層の表面
に、Au−In系合金(Au:87.7wt%、In:
12.3wt%)で構成される被膜を形成した。被膜の
形成は、以下に説明するような電解めっきにより行っ
た。
【0179】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
8.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:9分という条件で、電解めっきを行
った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
2.0μmであった。下地層、被膜の厚さは、JIS
H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定した。
【0180】また、基材および得られた装飾品につい
て、JIS B 0601で規定される表面粗さR
maxを測定した。基材の、切削および研磨を行った箇
所の表面粗さRmaxは、0.2〜0.4μmであっ
た。被膜の形成後においては、これに対応する箇所の表
面粗さRmaxは、0.03〜0.07μm(鏡面)と
なっていた。また、基材の、切削、研磨を施さなかった
箇所の表面粗さRmaxは、1.5〜3.0μm(梨
地)であった。被膜の形成後においては、これに対応す
る箇所の表面粗さRmaxは、0.8〜1.0μm(半
鏡面)となっていた。このように、被膜を電解めっきに
より形成したことにより、表面が平滑化されたことが分
かる。
【0181】(実施例7)前記実施例3で用いたTi製
の基材を、前記と同様に製造し、さらに、この基材に、
以下に示すような表面処理を施すことにより、装飾品
(腕時計ケース(胴))を製造した。
【0182】まず、前記と同様にして製造したTi製の
基材について、その必要箇所を切削、研磨した後、この
基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ
電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を
30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10
秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0183】次に、この基材の表面に、Auで構成され
る下地層を形成した。下地層の形成は、電解めっきによ
り、浴温:30℃、電流密度:3A/dm、時間:
0.5分間という条件で行った。このようにして形成さ
れた下地層の平均厚さは、0.5μmであった。次に、
下地層が形成された基材を洗浄した。この洗浄として
は、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、
アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を1
0秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0184】このようにして洗浄を行った下地層の表面
に、Au−In系合金(Au:91.0wt%、In:
9.0wt%)で構成される被膜を形成した。被膜の形
成は、以下に説明するような電解めっきにより行った。
【0185】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
11.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:2.5分という条件で、電解めっき
を行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、0.5μmであった。下地層、被膜の厚さは、JI
S H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定し
た。
【0186】また、基材および得られた装飾品につい
て、JIS B 0601で規定される表面粗さR
maxを測定した。基材の、切削および研磨を行った箇
所の表面粗さRmaxは、0.1〜0.3μmであっ
た。被膜の形成後においては、これに対応する箇所の表
面粗さRmaxは、0.08〜0.1μm(鏡面)とな
っていた。また、基材の、切削、研磨を施さなかった箇
所の表面粗さRmaxは、1.3〜2.5μm(梨地)
であった。被膜の形成後においては、これに対応する箇
所の表面粗さRmaxは、0.9〜1.1μm(半鏡
面)となっていた。このように、被膜を電解めっきによ
り形成したことにより、表面が平滑化されたことが分か
る。
【0187】(実施例8)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計ケース(胴))を製造
した。まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、
鋳造により、腕時計ケース(胴)の形状を有する基材を
作製し、その後、必要箇所を切削した後、ダイヤカット
により、鏡面加工を施した。次に、この基材を洗浄し
た。基材の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を3
0秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒
間、純水洗浄を10秒間行った。
【0188】次に、この基材の鏡面加工を施した側の面
に、Auで構成される第1の下地層を形成した。第1の
下地層の形成は、電解めっきにより、浴温:30℃、電
流密度:3.0A/dm、時間:0.5分間という条
件で行った。このようにして形成された第1の下地層の
平均厚さは、0.5μmであった。次に、第1の下地層
が形成された基材を洗浄した。この洗浄としては、ま
ず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカ
リ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒
間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0189】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Au−Feで構成される第2の下地層を形成
した。第2の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:40℃、電流密度:1.0A/dm、時間:24
分間という条件で行った。このようにして形成された第
2の下地層の平均厚さは2.0μmであった。次に、第
1の下地層、第2の下地層が積層された基材を洗浄し
た。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30
秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行っ
た。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗
浄を10秒間行った。
【0190】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:98.9wt%、
In:1.1wt%)で構成される被膜を形成した。被
膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより行
った。
【0191】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
8.0[g/リットル]、Inの濃度CInは2.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:5分という条件で、電解めっきを行
った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
1.0μmであった。
【0192】(実施例9)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計用文字盤)を製造し
た。まず、Cu−Zn系合金(合金組成:Cu60wt
%−Zn40wt%)を用いて、鋳造により、腕時計用
文字盤の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所
を切削、研磨した。次に、この基材を洗浄した。基材の
洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行
い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その
後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10
秒間行った。
【0193】次に、この基材の表面に、Auで構成され
る第1の下地層を形成した。第1の下地層の形成は、電
解めっき(ストライクめっき)により、浴温:30℃、
電流密度:3A/dm、時間:0.5分間という条件
で行った。このようにして形成された第1の下地層の平
均厚さは、0.5μmであった。次に、第1の下地層が
形成された基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、
アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸
漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水
洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0194】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Au−Ag系合金で構成される第2の下地層
を形成した。第2の下地層の形成は、電解めっきによ
り、浴温:35℃、電流密度:2.0A/dm、時
間:3分間という条件で行った。このようにして形成さ
れた第2の下地層の平均厚さは、2.0μmであった。
次に、第1の下地層、第2の下地層が積層された基材を
洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂
を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間
行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純
水洗浄を10秒間行った。
【0195】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:89.2wt%、
In:10.8wt%)で構成される被膜を形成した。
被膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより
行った。まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウムと、
硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製し
た。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
9.0[g/リットル]、Inの濃度CInは5.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:5分という条件で、電解めっきを行
った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
1.0μmであった。
【0196】(実施例10)以下に示すような表面処理
を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を
製造した。まず、鋳造により、腕時計ケースの形状を有
する、アルミニウム製の基材を作製し、その後、必要箇
所を切削、研磨した。次に、この基材の表面に、エメリ
ー#180研磨にて、スジ目加工を施した。 その後、
スジ目加工を施した基材を洗浄した。この洗浄として
は、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、
アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を1
0秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0197】次に、基材のスジ目加工を施した側の表面
に、TiNで構成される第1の下地層、Au−Fe−P
d系合金(Au:96.3wt%、Fe:1.95wt
%、Pd:1.75wt%)で構成される第2の下地層
を、以下に説明するような真空蒸着により形成した。ま
ず、洗浄を行った基材を、チャンバー内に取付け、その
後、装置内を予熱しながら、チャンバー内を2×10
−5Torrまで排気(減圧)した。さらに、チャンバ
ー内を2×10−6Torrまで排気(減圧)し、アル
ゴンガス流量470ml/分で、ボンバード処理を5分
間行った。次に、チャンバー内を2×10−6Torr
まで排気(減圧)し、この状態で、チャンバー内のTi
を電子ビームにより融解、気化させた。次いで、アルゴ
ンガスの導入を停止し、これに代わってチャンバー内に
窒素ガスを導入し、ARE法によりTiNで構成される
第1の下地層を形成した。第1の下地層形成時における
窒素ガス流量は160ml/分、雰囲気圧は5×10
−4Torrであった。
【0198】引き続き、タングステンボードを用いた抵
抗加熱により、ターゲットを溶解、蒸着させ、第1の下
地層の表面に、Au−Fe−Pd系合金で構成される第
2の下地層を形成した。なお、形成された第1の下地
層、第2の下地層の平均厚さは、それぞれ、1.0μ
m、0.5μmであった。次に、第1の下地層、第2の
下地層が積層された基材を洗浄した。この洗浄として
は、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、
アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を1
0秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0199】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:91.3wt%、
In:8.7wt%)で構成される被膜を形成した。被
膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより行
った。
【0200】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
10.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は3vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:10分という条件で、電解めっきを
行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、2.0μmであった。
【0201】(実施例11)以下に示すような表面処理
を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を
製造した。まず、鍛造により、腕時計ケースの形状を有
する、Ni製の基材を作製し、その後、必要箇所を切
削、研磨した。次に、この基材の表面に、エメリー#1
80研磨にて、スジ目加工を施した。
【0202】次に、スジ目加工を施した基材の表面に、
Niで構成される第1の下地層を形成した。第1の下地
層の形成は、電解めっきにより、浴温:60℃、電流密
度:3A/dm、時間:10分間という条件で行っ
た。このようにして形成された第1の下地層の平均厚さ
は、5.0μmであった。次に、第1の下地層が形成さ
れた基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカ
リ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂
を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を1
0秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0203】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Auで構成される第2の下地層を形成した。
第2の下地層の形成は、電解めっきにより、浴温:30
℃、電流密度:3A/dm、時間:0.5分間という
条件で行った。このようにして形成された第2の下地層
の平均厚さは、0.5μmであった。次に、第1の下地
層、第2の下地層が積層された基材を洗浄した。この洗
浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、
次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、
中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間
行った。
【0204】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:94.3wt%、
In:5.7wt%)で構成される被膜を形成した。被
膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより行
った。
【0205】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
8.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:15分という条件で、電解めっきを
行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、3.0μmであった。
【0206】(実施例12)前記実施例3で用いたTi
製の基材を、前記と同様に製造し、さらに、この基材
に、以下に示すような表面処理を施すことにより、装飾
品(腕時計ケース(胴))を製造した。まず、前記と同
様にして製造したTi製の基材について、その必要箇所
を切削、研磨した後、この基材を洗浄した。基材の洗浄
としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次
いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中
和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行
った。
【0207】次に、この基材の表面に、Auで構成され
る第1の下地層を形成した。第1の下地層の形成は、電
解めっきにより、浴温:30℃、電流密度:3.0A/
dm 、時間:0.5分間という条件で行った。このよ
うにして形成された第1の下地層の平均厚さは、0.5
μmであった。次に、第1の下地層が形成された基材を
洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂
を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間
行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純
水洗浄を10秒間行った。
【0208】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Au−Agで構成される第2の下地層を形成
した。第2の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:40℃、電流密度:2.0A/dm、時間:3分
間という条件で行った。このようにして形成された第2
の下地層の平均厚さは、2.0μmであった。次に、第
1の下地層、第2の下地層が積層された基材を洗浄し
た。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30
秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行っ
た。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗
浄を10秒間行った。
【0209】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Au−Feで構成される第3の下地層を形成
した。第3の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:40℃、電流密度:1.0A/dm、時間:24
分間という条件で行った。このようにして形成された第
3の下地層の平均厚さは、2.0μmであった。次に、
第1の下地層、第2の下地層、第3の下地層が積層され
た基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ
電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を
30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10
秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0210】このようにして洗浄を行った第3の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:91.0wt%、
In:9.0wt%)で構成される被膜を形成した。被
膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより行
った。
【0211】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
11.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:5分という条件で、電解めっきを行
った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
1.0μmであった。
【0212】(実施例13)以下に示すような表面処理
を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を
製造した。まず、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の
形状を有する、ステンレス鋼(SUS444)製の基材
を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。次に、
この基材の表面に、エメリー#180研磨にて、スジ目
加工を施した。
【0213】次に、スジ目加工を施した基材の表面に、
Auで構成される第1の下地層を形成した。第1の下地
層の形成は、電解めっきにより、浴温:30℃、電流密
度:3.0A/dm、時間:0.5分間という条件で
行った。このようにして形成された第1の下地層の平均
厚さは、0.5μmであった。次に、第1の下地層が形
成された基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、ア
ルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬
脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗
を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0214】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Au−Agで構成される第2の下地層を形成
した。第2の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:40℃、電流密度:2.0A/dm、時間:3分
間という条件で行った。このようにして形成された第2
の下地層の平均厚さは、2.0μmであった。次に、第
1の下地層、第2の下地層が積層された基材を洗浄し
た。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30
秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行っ
た。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗
浄を10秒間行った。
【0215】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Au−Feで構成される第3の下地層を形成
した。第3の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:40℃、電流密度:1.0A/dm、時間:24
分間という条件で行った。このようにして形成された第
3の下地層の平均厚さは、2.0μmであった。次に、
第1の下地層、第2の下地層、第3の下地層が積層され
た基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ
電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を
30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10
秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0216】このようにして洗浄を行った第3の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:91.0wt%、
In:9.0wt%)で構成される被膜を形成した。被
膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより行
った。
【0217】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
11.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:5分という条件で、電解めっきを行
った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
1.0μmであった。
【0218】(実施例14)めっき液中におけるAuの
濃度CAuを8.0[g/リットル]、Inの濃度C
Inを3.0[g/リットル]、硫酸濃度を3vol%
とすることにより、形成する被膜の合金組成を表2に示
すように変更した以外は、前記実施例13と同様に装飾
品を製造した。
【0219】(実施例15)めっき液中におけるAuの
濃度CAuを9.0[g/リットル]、Inの濃度C
Inを1.0[g/リットル]、硫酸濃度を2vol%
とすることにより、形成する被膜の合金組成を表2に示
すように変更した以外は、前記実施例13と同様に装飾
品を製造した。
【0220】(実施例16)以下に示すような表面処理
を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を
製造した。まず、Cu−Zn系合金(合金組成:Cu6
0wt%−Zn40wt%)を用いて、鋳造により、腕
時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その
後、必要箇所を切削、研磨した。次に、この基材の表面
に、梨地加工を施した。梨地加工は、基材表面に、ガラ
スビーズを2kg/cmの圧力で吹き付けることによ
り行った。次に、梨地加工を施した基材を洗浄した。基
材の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間
行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水
洗浄を10秒間行った。
【0221】次に、梨地加工を施した基材の表面に、C
uで構成される第1の下地層を形成した。第1の下地層
の形成は、電解めっきにより、浴温:30℃、電流密
度:3.0A/dm、時間:10分間という条件で行
った。このようにして形成された第1の下地層の平均厚
さは、10μmであった。次に、第1の下地層が形成さ
れた基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカ
リ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂
を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を1
0秒間、純水洗浄を10秒間行った。
【0222】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Cu−Snで構成される第2の下地層を形成
した。第2の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:45℃、電流密度:2.0A/dm、時間:3分
間という条件で行った。このようにして形成された第2
の下地層の平均厚さは、1.5μmであった。次に、第
1の下地層、第2の下地層が積層された基材を洗浄し
た。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30
秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行っ
た。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗
浄を10秒間行った。
【0223】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Auで構成される第3の下地層を形成した。
第3の下地層の形成は、電解めっきにより、浴温:30
℃、電流密度:3.0A/dm、時間:0.5分間と
いう条件で行った。このようにして形成された第3の下
地層の平均厚さは、0.5μmであった。次に、第1の
下地層、第2の下地層、第3の下地層が積層された基材
を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱
脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒
間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、
純水洗浄を10秒間行った。
【0224】このようにして洗浄を行った第3の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:90.2wt%、
In:9.8wt%)で構成される被膜を形成した。被
膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより行
った。
【0225】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
10.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:25分という条件で、電解めっきを
行った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さ
は、5.0μmであった。
【0226】(実施例17)めっき液中におけるAuの
濃度CAuを11.0[g/リットル]、Inの濃度C
Inを4.0[g/リットル]、硫酸濃度を3vol%
とすることにより、形成する被膜の合金組成を表2に示
すように変更した以外は、前記実施例16と同様に装飾
品を製造した。
【0227】(実施例18)めっき液中におけるAuの
濃度CAuを9.0[g/リットル]、Inの濃度C
Inを3.0[g/リットル]、硫酸濃度を2vol%
とすることにより、形成する被膜の合金組成を表2に示
すように変更した以外は、前記実施例16と同様に装飾
品を製造した。
【0228】(実施例19)めっき液として、濃硫酸
と、シアン化第二金カリウムと、硫酸インジウムと、硫
酸パラジウムと、水とを用いて調製したものを用いた以
外は、前記実施例16と同様にして装飾品を製造した。
電解めっきに用いためっき液中におけるAuの濃度C
Auは9.0[g/リットル]、Inの濃度CIn
3.0[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であっ
た。また、被膜を形成するための電解めっきは、めっき
液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0A/dm
、時間:25分という条件で行った。電解めっきによ
り形成された被膜の平均厚さは、5.0μmであった。
【0229】(実施例20)めっき液として、濃硫酸
と、シアン化第二金カリウムと、硫酸インジウムと、ク
エン酸鉄(III)と、水とを用いて調製したものを用い
た以外は、前記実施例16と同様にして装飾品を製造し
た。電解めっきに用いためっき液中におけるAuの濃度
Auは10.0[g/リットル]、Inの濃度CIn
は4.0[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であ
った。また、被膜を形成するための電解めっきは、めっ
き液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0A/d
、時間:25分という条件で行った。電解めっきに
より形成された被膜の平均厚さは、5.0μmであっ
た。
【0230】(実施例21)めっき液として、濃硫酸
と、シアン化第二金カリウムと、硫酸インジウムと、硫
酸スズと、水とを用いて調製したものを用いた以外は、
前記実施例20と同様にして装飾品を製造した。電解め
っきに用いためっき液中におけるAuの濃度CAu
9.0[g/リットル]、Inの濃度CInは4.0
[g/リットル]、Snの濃度CSnは1.0[g/リ
ットル]、硫酸濃度は2vol%であった。また、被膜
を形成するための電解めっきは、めっき液を用いて、浴
温:55℃、電流密度:1.0A/dm、時間:25
分という条件で行った。電解めっきにより形成された被
膜の平均厚さは、5.0μmであった。
【0231】(実施例22)第3の下地層の表面に形成
した被膜の一部を、以下のようにして、除去した以外
は、前記実施例19と同様にして、装飾品を製造した。
まず、被膜の表面の一部に、マスキングを所定の形状に
形成した。マスキングの形成は、ゴム系樹脂を刷毛塗り
することにより、被膜の表面の一部を被覆し、その後、
180〜200℃で、30分間乾燥することにより行っ
た。このようにして形成されたマスキングの平均厚さ
は、500μmであった。
【0232】次に、マスキングが被覆されていない部位
の被膜の除去を行った。被膜の除去は、液体状態の剥離
剤に浸漬することにより行った。剥離剤としては、シア
ン化カリウムを50g/リットル含む水溶液を用いた。
本工程における剥離剤の温度、剥離剤への浸漬時間は、
それぞれ30℃、10分であった。また、本工程は、剥
離剤に28kHzの超音波振動を与えながら行った。
【0233】その後、ハロゲン化合物系溶媒、ケトン系
溶媒よりなるマスキング除去剤に浸漬することにより、
マスキングを除去した。また、本工程におけるマスキン
グ除去剤の温度、マスキング除去剤への浸漬時間は、そ
れぞれ30℃、30分であった。また、本工程は、マス
キング除去剤に28kHzの超音波振動を与えながら行
った。
【0234】(実施例23)以下に示すような表面処理
を施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を
製造した。まず、Cu−Zn系合金(合金組成:Cu6
0wt%−Zn40wt%)を用いて、鋳造により、腕
時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その
後、必要箇所を切削、研磨した。次に、この基材の表面
に、梨地加工を施した。梨地加工は、基材表面に、ガラ
スビーズを2kg/cmの圧力で吹き付けることによ
り行った。次に、梨地加工を施した基材を洗浄した。基
材の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間
行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水
洗浄を10秒間行った。
【0235】次に、梨地加工を施した基材の表面に、C
uで構成される第1の下地層を形成した。第1の下地層
の形成は、電解めっきにより、浴温:30℃、電流密
度:3.0A/dm、時間:3分間という条件で行っ
た。このようにして形成された第1の下地層の平均厚さ
は、3μmであった。次に、第1の下地層が形成された
基材を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ電
解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を3
0秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒
間、純水洗浄を10秒間行った。
【0236】このようにして洗浄を行った第1の下地層
の表面に、Cu−Sn合金で構成される第2の下地層を
形成した。第2の下地層の形成は、電解めっきにより、
浴温:45℃、電流密度:2.0A/dm、時間:4
分間という条件で行った。このようにして形成された第
2の下地層の平均厚さは、2μmであった。次に、第1
の下地層、第2の下地層が積層された基材を洗浄した。
この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間
行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。そ
の後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を1
0秒間行った。
【0237】このようにして洗浄を行った第2の下地層
の表面に、Auで構成される第3の下地層を形成した。
第3の下地層の形成は、電解めっきにより、浴温:30
℃、電流密度:3.0A/dm、時間:0.5分間と
いう条件で行った。このようにして形成された第3の下
地層の平均厚さは、0.5μmであった。次に、第1の
下地層、第2の下地層、第3の下地層が積層された基材
を洗浄した。この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱
脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒
間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、
純水洗浄を10秒間行った。
【0238】このようにして洗浄を行った第3の下地層
の表面に、Au−Feで構成される第4の下地層を形成
した。第4の下地層の形成は、電解めっきにより、浴
温:40℃、電流密度:1.0A/dm、時間:24
分間という条件で行った。このようにして形成された第
4の下地層の平均厚さは、2μmであった。次に、第1
の下地層〜第4の下地層が積層された基材を洗浄した。
この洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間
行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。そ
の後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を1
0秒間行った。
【0239】このようにして洗浄を行った第4の下地層
の表面に、Au−In系合金(Au:86.9wt%、
In:13.1wt%)で構成される被膜を形成した。
被膜の形成は、以下に説明するような電解めっきにより
行った。
【0240】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、硫酸インジウムと、水とを用いて、めっき液を調製
した。得られためっき液中におけるAuの濃度CAu
8.0[g/リットル]、Inの濃度CInは5.0
[g/リットル]、硫酸濃度は4vol%であった。こ
のめっき液を用いて、浴温:55℃、電流密度:1.0
A/dm、時間:5分という条件で、電解めっきを行
った。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
1.0μmであった。
【0241】(比較例1)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製
造した。まず、Cu−Zn系合金(合金組成:Cu60
wt%−Zn40wt%)を用いて、鋳造により、腕時
計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その
後、必要箇所を切削、研磨した。次に、この基材を洗浄
した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を
30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行
った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水
洗浄を10秒間行った。
【0242】このようにして洗浄を行った基材の表面
に、Au−Fe系合金(Au:98.0wt%、Fe:
2.0wt%)で構成される被膜を形成した。被膜の形
成は、以下に説明するような電解めっきにより行った。
【0243】まず、濃硫酸と、シアン化第二金カリウム
と、クエン酸鉄(III)と、水とを用いて、めっき液を
調製した。得られためっき液中におけるAuの濃度C
Auは8.0[g/リットル]であった。このめっき液
を用いて、浴温:40℃、電流密度:1.0A/d
、時間:36分という条件で、電解めっきを行っ
た。電解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、
3.0μmであった。
【0244】(比較例2)基材の表面に形成する被膜
を、Au−In系合金(Au:84.0wt%、In:
16.0wt%)で構成されるものとした以外は、前記
比較例1と同様にして、装飾品を製造した。電解めっき
に用いためっき液中におけるAuの濃度C は8.0
[g/リットル]、Inの濃度CInは6.0[g/リ
ットル]、硫酸濃度は2vol%であった。電解めっき
により形成された被膜の平均厚さは、3.0μmであっ
た。
【0245】(比較例3)基材の表面に形成する被膜
を、Au−In系合金(Au:99.06wt%、I
n:0.04wt%)で構成されるものとした以外は、
前記比較例1と同様にして、装飾品を製造した。電解め
っきに用いためっき液中におけるAuの濃度C Au
8.0[g/リットル]、Inの濃度CInは1.0
[g/リットル]、硫酸濃度は2vol%であった。電
解めっきにより形成された被膜の平均厚さは、3.0μ
mであった。
【0246】(比較例4)以下に示すような表面処理を
施すことにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製
造した。まず、Cu−Zn系合金(合金組成:Cu60
wt%−Zn40wt%)を用いて、鋳造により、腕時
計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その
後、必要箇所を切削、研磨した。次に、この基材を洗浄
した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を
30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行
った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水
洗浄を10秒間行った。
【0247】このようにして洗浄を行った基材の表面
に、Au−Ag−Cu系合金(Au:58.5wt%、
Ag:24.0wt%、Cu:17.5wt%)で構成
される被膜を形成した。被膜の形成は、以下に説明する
ような真空蒸着により行った。
【0248】まず、基材をチャンバー内に取付け、その
後、装置内を予熱しながら、チャンバー内を2×10
−5Torrまで排気(減圧)した。さらに、チャンバ
ー内を2×10−6Torrまで排気(減圧)し、アル
ゴンガス流量470ml/分で、ボンバード処理を5分
間行った。次に、チャンバー内を2×10−6Torr
まで排気(減圧)し、このような状態で、タングステン
ボードを用いた抵抗加熱により、ターゲットを溶解、蒸
着させ、Au−Ag−Cu系合金で構成される被膜を形
成し、装飾品を得た。ターゲットとしては、Au−Ag
−Cu合金ターゲットを用いた。なお、形成された被膜
の平均厚さは、1.0μmであった。被膜の厚さは、J
IS H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定し
た。
【0249】各実施例および各比較例の表面処理方法の
条件を表1、表2および表3にまとめて示す。
【0250】
【表1】
【0251】
【表2】
【0252】
【表3】 2.装飾品の外観評価 上記各実施例および各比較例で製造した装飾品につい
て、被膜の色調を、色度計(ミノルタ社製、CM−20
22)を用いて測定し、以下の基準に従い、評価した。 ○:a表示で、aが−3.0〜2.0であ
り、かつ、bが19〜25の範囲内である。 ×:a表示で、aが−3.0〜2.0であ
り、かつ、bが19〜25の範囲外である。
【0253】なお、色度計の光源としては、JIS Z
8720で規定されるD65のものを用い、視野角:
2°で測定した。測定により得られた色度図を図6に示
す。図6中、本発明の装飾品(実施例1〜23)を●、
比較例の装飾品(比較例1〜4)を▲で示す。
【0254】3.被膜の長期安定性評価 上記各実施例および各比較例で製造した装飾品を、常温
(25℃)、常圧、湿度70%の環境下に、90日間放
置した後の、被膜の色調を、色度計(ミノルタ社製、C
M−2022)を用いて測定し、上記の基準に従い、評
価した。
【0255】4.装飾品の耐酸化性評価 上記各実施例および各比較例で製造した装飾品を、20
0℃、常圧の大気雰囲気下で8時間放置し、その後の被
膜の色調を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)
を用いて測定し、上記の基準に従い、評価した。
【0256】5.装飾品の耐薬品性評価 上記各実施例および各比較例で製造した装飾品につい
て、以下に示すような曝気試験を行うことにより、耐薬
品性を評価した。
【0257】デシケーター内に人工汗を入れ、40℃で
24時間放置した。その後、デシケーター内に、各装飾
品を入れ、さらに40℃で放置した。このとき、各装飾
品は、人工汗中に浸漬しないように配置した。24時間
後、各装飾品をデシケーター内から取り出し、被膜の色
調を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用い
て測定し、上記の基準に従い、評価した。これらの結果
を表4に示す。
【0258】
【表4】
【0259】表4から明らかなように、本発明の表面処
理方法を用いて製造された装飾品は、いずれも、CEN
規格のEN28654で規定される1N−14色の近似
色を有するものであり、優れた美的外観を有していた。
【0260】また、本発明の表面処理方法を用いて製造
された装飾品は、長期安定性、耐酸化性、耐薬品性にも
優れていた。これらの結果から、本発明の装飾品は、長
期間にわたって優れた美的外観を保持することができる
ものであることがわかる。また、緩衝層として機能する
下地層を有する装飾品は、特に優れた耐食性を有してい
た。
【0261】また、本発明の表面処理方法を用いて製造
された装飾品は、いずれも、ザラツキ感のない、優れた
触感を有していた。また、本発明においては、めっき液
の組成を調節することにより、所望の組成、特性を有す
る被膜を、容易に形成することができた。
【0262】これに対し、比較例1〜3の表面処理方法
では、CEN規格のEN28654で規定される1N−
14色の近似色の被膜を有する装飾品を得ることができ
なかった。また、比較例1の表面処理方法を用いて製造
された装飾品は、長期安定性、耐酸化性、耐薬品性に
も、特に劣っていた。また、比較例4の表面処理方法を
用いて製造された装飾品は、CEN規格のEN2865
4で規定される1N−14色の近似色を有するものであ
ったが、長期安定性、耐酸化性、耐薬品性に劣ってい
た。
【0263】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、白
っぽい金色の色彩を有し、美的外観に優れた装飾品、時
計を容易かつ迅速に製造することができる。特に、CE
N規格のEN28654で規定される1N−14色の近
似色を有する装飾品、時計を容易かつ迅速に製造するこ
とができる。
【0264】また、本発明の装飾品、時計は、長期安定
性、耐酸化性、耐薬品性等に優れ、長期間にわたって、
優れた美的外観を保持することができる。また、めっき
液の組成を調節することにより、所望の組成、特性を有
する被膜を、容易に形成することができる。
【0265】また、基材の構成材料等を選択することに
より、複雑な形状を有する装飾品を容易に製造すること
が可能となり、また、装飾品、時計の軽量化、製造コス
トの低減等を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の表面処理方法の第1実施形態を示す
断面図である。
【図2】 本発明の表面処理方法の第2実施形態を示す
断面図である。
【図3】 本発明の表面処理方法の第3実施形態を示す
断面図である。
【図4】 本発明の表面処理方法の第4実施形態を示す
断面図である。
【図5】 本発明の表面処理方法の第5実施形態を示す
断面図である。
【図6】 各実施例で得られた装飾品の被膜の色彩を示
す色度図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1E……装飾品 2……基材
3……被膜 40……下地層 41a……第1の下地
層 41b……第1の下地層 42a……第2の下地層
42b……第2の下地層 43b……第3の下地層
5……マスキング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 亙 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA11 AA15 AA24 AB02 AB03 AB15 BA01 BA06 BA09 BB20 CA01 CA04 CA06 DB10 GA02 GA04

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面の少なくとも一部に、湿式め
    っき法により、0.1〜15wt%のInを含むAu−
    In系合金で構成される被膜を形成する工程を有するこ
    とを特徴とする装飾品の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 前記被膜を形成する工程の前に、前記基
    材の表面の少なくとも一部に、清浄化処理を施す工程を
    有する請求項1に記載の装飾品の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 基材の表面の少なくとも一部に、少なく
    とも1層の下地層を形成する工程と、 前記下地層上に、湿式めっき法により、0.1〜15w
    t%のInを含むAu−In系合金で構成される被膜を
    形成する工程を有することを特徴とする装飾品の表面処
    理方法。
  4. 【請求項4】 前記下地層を形成する工程の前に、前記
    基材の表面の少なくとも一部に、清浄化処理を施す工程
    を有する請求項3に記載の装飾品の表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記被膜を形成する工程の前に、前記下
    地層の表面の少なくとも一部に、清浄化処理を施す工程
    を有する請求項3または4に記載の装飾品の表面処理方
    法。
  6. 【請求項6】 前記下地層のうち少なくとも1層は、そ
    の一方の面側と他方の面側との電位差を緩和する緩衝層
    である請求項3ないし5のいずれかに記載の装飾品の表
    面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記下地層のうち少なくとも1層は、C
    u、Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、T
    i、Zn、Al、Fe、Cr、Pt、Rh、Ru、Ir
    またはこれらのうち少なくとも1種を含む合金で構成さ
    れるものである請求項3ないし6のいずれかに記載の装
    飾品の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 前記装飾品は、前記下地層を2層以上有
    するものである請求項3ないし7のいずれかに記載の装
    飾品の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 隣接する前記下地層は、互いに共通の元
    素を含む材料で構成されたものである請求項8に記載の
    装飾品の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記共通の元素は、Cuである請求項
    9に記載の装飾品の表面処理方法。
  11. 【請求項11】 前記被膜は、電解めっきにより形成さ
    れたものである請求項1ないし10のいずれかに記載の
    装飾品の表面処理方法。
  12. 【請求項12】 前記被膜は、CEN規格のEN286
    54で規定される1N−14色の近似色を有するもので
    ある請求項1ないし11のいずれかに記載の装飾品の表
    面処理方法。
  13. 【請求項13】 前記基材は、Cu、Zn、Ni、T
    i、Al、Mg、Nbまたはこれらのうち少なくとも1
    種を含む合金で構成されるものである請求項1ないし1
    2のいずれかに記載の装飾品の表面処理方法。
  14. 【請求項14】 前記被膜を形成する工程の後、さら
    に、前記被膜の表面の一部に、マスキングを形成する工
    程と、 剥離剤を用いて、前記マスキングが被覆されていない部
    位の前記被膜を除去する工程と、 前記マスキングを除去する工程とを有する請求項1ない
    し13のいずれかに記載の装飾品の表面処理方法。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし14のいずれかに記載
    の装飾品の表面処理方法を用いて製造されたことを特徴
    とする装飾品。
  16. 【請求項16】 基材と、該基材の少なくとも一部を覆
    う被膜とを有する装飾品であって、 前記被膜は、0.1〜15wt%のInを含むAu−I
    n系合金で構成されるものであることを特徴とする装飾
    品。
  17. 【請求項17】 前記基材と前記被膜との間に、少なく
    とも1層の下地層を有する請求項16に記載の装飾品。
  18. 【請求項18】 前記下地層のうち少なくとも1層は、
    その一方の面側と他方の面側との電位差を緩和する緩衝
    層である請求項17に記載の装飾品。
  19. 【請求項19】 前記下地層のうち少なくとも1層は、
    Cu、Co、Pd、Au、Ag、In、Sn、Ni、T
    i、Zn、Irまたはこれらのうち少なくとも1種を含
    む合金で構成されるものである請求項17または18に
    記載の装飾品。
  20. 【請求項20】 前記被膜は、CEN規格のEN286
    54で規定される1N−14色の近似色を有するもので
    ある請求項16ないし19のいずれかに記載の装飾品。
  21. 【請求項21】 少なくともその一部が皮膚に接触して
    用いられる請求項15ないし20のいずれかに記載の装
    飾品。
  22. 【請求項22】 装飾品は、時計用外装部品である請求
    項15ないし21のいずれかに記載の装飾品。
  23. 【請求項23】 請求項15ないし22のいずれかに記
    載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
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