JP2005146402A - 装飾品、およびその製造方法 - Google Patents

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一己 濱野
Yukio Tanokura
幸夫 田野倉
Koichi Naoi
孝一 直井
Toshiichi Sekine
敏一 関根
Hiroyuki Hayashi
裕行 林
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Abstract

【課題】 ステンレス、チタン、あるいはチタン合金から成る基材と、この基材の上に被覆される、金色色調と黒色色調とから成るいぶし調被膜と、を備える装飾品であって、耐傷性や耐摩耗性に優れ、長期にわたって外観品質を維持でき、かつ使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない、装飾品を提供することである。
【解決手段】 本発明におけるいぶし調被膜は、基材の上に被覆される金色色調を呈する金色被膜と、この金色被膜の上に斑状に分布するように被覆される黒色色調を呈する黒色被膜とを含み、
黒色被膜が、乾式めっき法により被覆される、チタンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物のいずれか1つと、チタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、不可避成分と、を含む被膜である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、いぶし調被膜を備える装飾品、およびその製造方法に関する。
腕時計、ブレスレット、ネクタイピン、眼鏡、指輪、あるいはライターなどの装飾品の分野では、装飾品の外観が、古びた風味であることを望む嗜好が少なからずある。この市場からの要求に答えるため、装飾品の外装部品に、装飾品の外観を古物に視認させるような被膜を被覆させる技術が発達してきた。そのような被膜の1つに、古くから「いぶし調」と呼ばれる被膜が知られている。(たとえば、特許文献1参照)。
このいぶし調被膜は、金色色調を呈する部分と黒色色調を呈する部分が、微細な斑状に分布する被膜であり、装飾品の外観に、何年も時を経たような古びた趣きを与えることができる。また、いぶし調被膜として、白色色調を呈する部分と黒色色調を呈する部分が、微細な斑状に分布する被膜が採用されることもある。
特に、腕時計の外装部品である、ムーブメントを収納するケース、ベゼル、裏蓋、あるいはバンドや中留、あるいは文字板などには、このいぶし調被膜が多用されてきた。
特公平3−68690号公報(第1〜2頁、第1図および第2図)
特許文献1は、外装部品の表面上に、湿式めっき法により、色調の異なる被膜を積層させて、いぶし調被膜を得ることを教示する。
すなわち、この文献では、部品の表面上に、まず湿式めっき法により、金色色調を呈する金めっき被膜が下層として被覆される。次いで、湿式めっき法により、黒色色調を呈する黒クロムめっき被膜が、この金めっき被膜の上に上層として被覆される。そして、上層の黒クロムめっき被膜が、ホーニング処理によって部分的に除去されることで、下層の金めっき被膜が部分的に露出する。よって、金色色調を呈する被膜の上に、黒色色調を呈する被膜が斑状に分散して分布する、いぶし調被膜が形成される。
(第1の課題)
しかしながら、いぶし調被膜を得るために、上記のような従来手法を採用すると、様々な問題が生じる。
まず、湿式めっき法により被覆される黒クロムめっき被膜は柔らかく、耐摩耗性や耐傷性に著しく欠ける。この黒クロムめっき被膜が摩耗すると、その下にある金めっき被膜が露出していく。そして、黒クロムめっき被膜の摩耗にともなって、金めっき被膜が露出する面積が広くなり、ついには装飾品の外観のほとんどが金色色調を呈するようになる。このように、金色色調が占める面積が大きくなれば、装飾品の外観は、もはや「いぶし調」としては視認されない。
このように、従来のいぶし調被膜は、その外観を長期にわたり維持することができなかった。
特に、装飾品においても、腕時計、ブレスレット、ネクタイピン、眼鏡、あるいは指輪などのように、身体に装着される装身具、またあるいはライターなどのように携帯される携帯品においては、上層の黒クロムめっき被膜の摩耗が顕著に進行する。よって、購入時にはいぶし調であった外観が、すぐに単なる金色色調の外観になってしまった。
(第2の課題)
また、黒クロムめっき被膜と同じく、その下に被覆される金めっき被膜も柔らかく、耐摩耗性や耐傷性に欠ける。金めっき被膜が摩耗すると、その下にある装飾品の外装部品そのものの外表面が露出する。たとえば、この外装部品がステンレス鋼であるならば、金めっき被膜が摩耗した部分には、ステンレス鋼の銀白色色調が露出する。金めっき被膜が摩耗するほど、ステンレス鋼の銀白色色調が露出する面積が広くなり、ついには装飾品の外観は、もはや「いぶし調」としては視認されなくなってしまう。
(第3の課題)
また、従来のいぶし調被膜は、上層として、湿式めっき法による黒クロムめっき被膜を採用していたので、装飾品の使用者に金属アレルギーを誘発させることがあった。
これは、汗などの電解液を媒体として、黒クロムめっき被膜よりクロムイオンが遊離して、使用者の皮膚に浸入することが原因と考えられている。クロムイオンが浸入した皮膚は、それに対する抗体を生成するため、これが皮膚にかぶれ、湿疹、あるいは腫れを生じさせる。
よって、装飾品に接触した者に金属アレルギーを誘発させない、いぶし調被膜が望まれている。特に、装飾品においても、腕時計、ブレスレット、ネックレス、イヤリングなどのように、直接使用者の肌に接触する装身具では、この金属アレルギーに対する改善の要望が強い。
(第4の課題)
さらに、近年、自然環境に悪影響を与えない、低公害の表面処理技術が、社会的に望まれている。しかしながら、従来のいぶし調被膜が採用している、黒クロムめっき被膜の湿式めっき処理には、有害薬品が多く使用される。特に、湿式めっき処理工程から排出される、6価クロムを含む廃液の無害化処理に手間がかかるばかりか、その廃液処理設備そのものにも、多額な建設費用と運転費用がかかる。これらの費用は、被膜の被覆処理をも高価にしてしまう。
本発明は、これらの課題の解決を目的とするものであって、その目的は、以下の通りである。
(1)本発明の第1の目的は、上述の欠点を解消し、長期にわたって外観品質を維持できる、いぶし調被膜を備える装飾品を提供することである。
(2)本発明の第2の目的は、上述の欠点を解消し、耐傷性や耐摩耗性に優れた、いぶし調被膜を備える装飾品を提供することである。
(3)本発明の第3の目的は、上述の欠点を解消し、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない、いぶし調被膜を備える装飾品を提供することである。
(4)本発明の第4の目的は、上述の欠点を解消し、低公害な被覆処理で被覆される、いぶし調被膜を備える装飾品を提供することである。
(乾式めっき法により被覆される黒色被膜)
本発明の装飾品は、上記目的を達成するため、
基材と、この基材の上に被覆される、金色色調と黒色色調とから成るいぶし調被膜と、
を備える装飾品であって、
いぶし調被膜は、基材の上に被覆される金色色調を呈する金色被膜と、この金色被膜の上に斑状に分布するように被覆される黒色色調を呈する黒色被膜と、を含み、
黒色被膜が、乾式めっき法により被覆される、乾式めっき法により被覆される、チタンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物のいずれか1つと、チタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、を含む被膜である。
このように、本発明の装飾品における黒色被膜は、乾式めっき法により被覆される、チ
タンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物、すなわち窒化チタン、炭化チタン、あるいは炭窒化チタンのいずれか1つを含む。
さらに、この黒色被膜は、蒸発源から取り込まれるチタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分とを含む。ここで反応ガスとは、この黒色被膜の成膜時に、蒸発源から誘導されるチタンと反応させるために乾式めっき装置内に導入されるガスである。
さらに、この黒色被膜は、上記の成分以外に不可避成分を含む。ここで、不可避成分とは、乾式メッキ装置内に不可避的に残存する酸素、窒素、炭素の中の少なくとも1つが、被覆時に被膜の中に不可避的に取り込まれて成る成分である。
この黒色被膜は、蒸発源から誘導されるチタンと反応ガスとが反応して得られる、窒化チタン、炭化チタン、あるいは炭窒化チタンのいずれか1つと、反応ガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、不可避成分とから成ることが特徴である。
たとえば、反応ガスとして窒素ガスを採用すれば、この黒色被膜は、蒸発源から誘導されるチタンと窒素ガスとが反応して得られる、窒化チタンを含む。さらに、この黒色被膜は、窒素ガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンを含む。さらに、この黒色被膜は、窒素ガスより取り込まれるガス成分として大量の窒素を含む。さらに、この黒色被膜は、不可避成分を含んで構成される。
たとえば、反応ガスとしてエチレンガスを採用すれば、この黒色被膜は、蒸発源から誘導されるチタンと、エチレンガスとが反応して得られる、炭化チタンを含む。さらに、この黒色被膜は、エチレンガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンを含む。
さらに、この黒色被膜は、エチレンガスより取り込まれるガス成分として大量の炭素を含む。さらに、この黒色被膜は、不可避成分を含んで構成される。
たとえば、反応ガスとして窒素ガスとエチレンガスの混合ガスを採用すれば、この黒色被膜は、蒸発源から誘導されるチタンと混合ガスとが反応して得られる、炭窒化チタンを含む。さらに、この黒色被膜は、混合ガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンを含む。さらに、この黒色被膜は、混合ガスより取り込まれるガス成分として大量の窒素と炭素を含む。さらに、この黒色被膜は、不可避成分を含んで構成される。
この黒色被膜は、従来採用されていた湿式めっき法により被覆される黒クロムめっき被膜に比べて、硬度に勝り、耐摩耗性や耐傷性に優れる。よって、従来のいぶし調被膜のように、黒色被膜が短期間で簡単に摩耗してしまうことがないので、長期間にわたって、黒色被膜の黒色色調と、金色被膜の金色色調が斑状に分布する、いぶし調の外観が維持される。
また、チタンは、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない金属の1つであるため、本発明における黒色被膜もまた、金属アレルギーを誘発させる危険性が少ない。よって、本発明の装飾品は、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない、いぶし調被膜を実現できる。
さらに、この黒色被膜は、乾式めっき法により被覆されるので、低公害な被覆処理で被覆される。本発明で採用される乾式めっき法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法およびアーク法などが好ましい。
この黒色被膜としては、窒化チタンと、チタンと、ガス成分としての窒素と、不可避成分と、を含む黒色被膜が、被覆が容易で、黒色色調が安定して得られ、かつ耐摩耗性や耐傷性に優れるので好ましい。
また、この本発明の装飾品は、基材の材質として、ステンレス、チタン、あるいはチタン合金などを採用できる。
(乾式めっき法により被覆される金色被膜)
また、本発明の装飾品は、上記目的を達成するため、
金色被膜が、乾式めっき法により被覆される金合金被膜であることが好ましい。
この金色被膜は、従来採用されていた湿式めっき法により被覆される金めっき被膜に比べて、硬度に勝り、耐摩耗性や耐傷性に優れる。よって、従来のいぶし調被膜のように、金色被膜が短期間で簡単に摩耗して基材の色調が露出してしまうことがないので、長期間にわたって、黒色被膜の黒色色調と、金色被膜の金色色調が斑状に分布する、いぶし調の外観が維持される。
このように、本発明の装飾品は、いぶし調被膜を得るに、黒色被膜と金色被膜双方を乾式めっき法により被覆される被膜にすることにより、極めて耐摩耗性や耐傷性に優れ、長期間にわたって、いぶし調の外観を維持できるいぶし調被膜を実現できる。
さらに、本発明の装飾品は、金色被膜として、乾式めっき法により被覆される金−鉄合金被膜を採用できる。金−鉄合金被膜は、金合金被膜の中でも、被覆が容易で、金色色調が安定して得られ、かつ耐摩耗性や耐傷性に優れるので好ましい。
加えて、金色被膜として金−鉄合金被膜を採用することにより、従来採用されていた湿式めっき法により被覆される金めっき被膜に比べて、被覆に使用される金の量が少なくてすむので、被覆処理が安価になる。
特に、金は、使用者に金属アレルギーを誘発させた症例の無い金属であり、かつ鉄も、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の少ない、数少ない金属の1つである。よって、本発明の装飾品は、黒色被膜ばかりか、金色被膜までも、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性が少ない。
このように、本発明の装飾品は、いぶし調被膜を得るに、上層の黒色被膜と下層の金色被膜双方に、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性が少ない被膜を採用できる。上層の黒色被膜は、金属アレルギーを誘発させる危険性が少なく、かつ摩耗しにくいが、たとえ摩耗したとしても、その下から露出する下層の金色被膜もまた、金属アレルギーを誘発させる危険性が少ない。よって、本発明の装飾品は、極めて金属アレルギーを引き起こしにくい、いぶし調被膜を実現できる。
(硬質下地被膜)
さらにまた、本発明の装飾品は、基材と金色被膜との間に、乾式めっき法により被覆される硬質下地被膜を含むことができる。この硬質下地被膜としては、周期律表の4、5、6族元素(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用することができる。これらの中でも、金色色調を呈する窒化チタン被膜が、被覆が容易で、金色色調が安定して得られ、かつ耐摩耗性や耐傷性に優れるので好ましい。
この金色色調を呈する硬質下地被膜を採用することにより、たとえ金色被膜が摩耗しようとも、その部分的な摩耗は何ら視認されない。なぜならば、金色被膜が摩耗した部分の下から、同様に金色色調を呈する硬質下地被膜が現れるからである。よって、金色被膜の摩耗を懸念して、金色被膜を厚く被覆する必要はない。
このように、本発明の装飾品は、金色被膜の厚みを薄くすることができるので、被覆に使用される金の量が少なくてすむので、被覆処理が安価になる。
さらに、前述したように、チタンは、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない金属の1つであるため、窒化チタン被膜は、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない被膜である。
よって、たとえ金合金被膜としての金−鉄合金被膜が摩耗したとしても、その下から露出する硬質下地被膜としての窒化チタン被膜もまた、金属アレルギーを誘発させる危険性
が少ない。これにより、本発明におけるいぶし調被膜を備える装飾品は、金属アレルギーの危険性が極めて少ないことが理解される。
すなわち、この場合、本発明の装飾品は、基材から、硬質下地被膜−金色被膜−黒色被膜の順に積層されて、いぶし調被膜を構成する。積層される被膜のいずれも、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の少ない被膜である。
よって、本発明の装飾品は、たとえ黒色被膜や金色被膜が摩耗したとしても、極めて金属アレルギーを引き起こしにくい、いぶし調被膜を実現できる。
かつ、金色色調の窒化チタン被膜は、黒色被膜、あるいは金色被膜としての金−鉄合金被膜に比べれば、はるかに硬度に優れる、耐摩耗性や耐傷性が高い被膜として被覆され得る。よって、硬質下地被膜としての金色色調の窒化チタン被膜は、基材表面が露出することを防ぎ、長期間にわたって、いぶし調被膜の外観を維持させる機能を果たす。
また、基材がステンレスの場合、硬質下地被膜としての金色色調の窒化チタン被膜は、ステンレス基材の表面が露出することを防ぎ、ステンレスとの接触による金属アレルギーを使用者に誘発させない機能をも果たす。
(装飾的な目付け面)
さらに、本発明の装飾品は、基材の表面が、ホーニング面、あるいはヘアーライン面であることが好ましい。
基材の表面を、このような微細な凹凸が連続する装飾的な目付け面にすることにより、装飾品のいぶし調の外観がさらに装飾される。
また、このような微細な凹凸が形成されると、基材の表面に被膜に対するアンカー機能が生じるので、基材表面と金色被膜との密着性が高まる。あるいは、金色被膜の下に硬質下地被膜を採用すれば、基材表面と硬質下地被膜との密着性が高まる。
よって、金色被膜、もしくは硬質下地被膜が基材表面から剥離することがないので、本発明の装飾品は、基材に対して密着性に優れた、いぶし調被膜を実現できる。
(製造方法)
他方、本発明の装飾品の製造方法は、上記目的を達成するため、
(1)基材の上に、乾式めっき法により、窒化チタンより成る、金色色調を呈する硬質下地被膜を被覆する硬質下地被膜被覆工程と、
(2)次いで、硬質下地被膜の上に、乾式めっき法により、金−鉄合金より成る、金色色調を呈する金色被膜を被覆する金色被膜被覆工程と、
(3)次いで、金色被膜の上に、乾式めっき法により、チタンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物のいずれか1つと、チタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、を含む、黒色色調を呈する黒色被膜を被覆する黒色被膜被覆工程と、
(4)次いで、黒色被膜が斑状に分布するように、物理的除去手段によって黒色被膜を除去する黒色被膜除去工程と、
を含む。
本発明で採用される乾式めっき法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法およびアーク法などが好ましい。特に、イオンプレーティング法は、真空中で被膜を形成させるときに蒸発粒子をイオン化して運動エネルギーを増加させる方法であり、被膜特性、密着性、反応性を高められる点で大変優れているので好ましい。
(硬質下地被膜被覆工程)
乾式メッキ法で被覆される金色色調の硬質下地被膜として、周期律表の4、5、6族元素(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用することができる。
周期律表の4、5、6族元素をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、窒化
度を示すxの値が1より小さくなるにしたがって、Mの窒化物MNxの被膜の色調は金色から淡黄色に近づく。また、窒化度を示すxの値が1より大きくなるにしたがって、被膜の金色は、赤味を帯びてくる。また、窒化度を示すxの値が、0.9〜1.1の範囲であれば、金、あるいは金合金の色調に近い金色色調を窒化物MNxの被膜に付与することができる。特に、窒化度を示すxの値が、x=1の時、Mの窒化物MNxの被膜は、充分な硬度を備える硬質被膜であると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈する。
周期律表の4、5、6族元素Mの炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても、それらの炭化度、酸化度、窒化度を所定の範囲に制御することにより、それらの被膜に金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を付与できる。
窒化チタン被膜と窒化ジルコニウム被膜は、充分な硬度を備える硬質被膜であると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色色調を呈するので好ましい。特に、窒化チタン被膜は、被覆が容易で、金色色調が安定して得られ、かつ耐摩耗性や耐傷性に優れるので好ましい。
この窒化チタン被膜の被覆には、どのような乾式めっき法を用いても良いが、複雑な形状の部材に、均一な厚さの被膜形成でき、特に硬質被膜形成に向いているイオンプレーティング法が好ましく用いられる。
たとえば、窒化チタン被膜は、メッキ装置内で、窒素ガス雰囲気下にチタンを蒸発源として被覆される。あるいは、この窒化チタン被膜は、窒素ガスと、窒素以外のアルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下に被覆されてもかまわない。
また、窒化チタン被膜の膜厚が薄いと、被膜に有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を得ることができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、被覆にかかる時間が長くなって、被覆の経済性が悪化する。
よって、窒化チタン被膜の被膜の膜厚は、好ましくは0.1〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.2〜5μmの範囲に制御される。
(金色被膜被覆工程)
硬質下地被膜の上に、乾式めっき法により被覆される金−鉄合金被膜としては、金60〜99原子%と鉄0.5〜20原子%と不可避成分0.5〜20原子%とを含有する被膜であることが好ましい。ここで、不可避成分とは、乾式メッキ装置内に不可避的に残存する酸素、窒素、炭素の中の少なくとも1つが、被覆時に被膜の中に不可避的に取り込まれて成る成分である。金と鉄と不可避成分それぞれが上記の範囲より逸脱すると、有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を被膜に得ることができないばかりか、金、あるいは金合金の色調に近い金色色調を被膜に得ることが困難になる。
この金色被膜の被覆には、どのような乾式めっき法を用いても良いが、複雑な形状の部材に、均一な厚さの被膜形成できるイオンプレーティング法やスパッタ法が好ましく用いられる。たとえば、この金色被膜は、めっき装置内で、金−鉄混合物を蒸発源として、窒素以外のアルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガス雰囲気下に被覆される。一方の蒸発源として金が用いられ、他方の蒸発源として鉄が用いられてもよい。
金−鉄合金被膜の膜厚が薄いと、被膜に有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を得ることができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、被覆にかかる時間が長くなって、被覆の経済性が悪化する。
よって、金−鉄合金被膜の膜厚は、好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.08〜0.2μmである。
(黒色被膜被覆工程)
金色被膜の上に、乾式めっき法により、チタンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物のいずれか1つと、チタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、を含む、黒色色調を呈する黒色被膜が被覆される。すなわち、蒸発源から誘導されるチタンと反応ガスとが反応して得られる、窒化チタン、炭化チタン、あるいは炭窒化チタンのいずれか1つと、反応ガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、不可避成分とから成る黒色被膜が被覆される。
窒化チタンを得られる反応ガスとして、たとえば窒素ガスを採用すれば、蒸発源から誘導されるチタンと窒素ガスとが反応して得られる、窒化チタンと、窒素ガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンと、窒素ガスより取り込まれるガス成分として大量の窒素と、さらに不可避成分を含む黒色被膜が被覆される。
この場合、反応ガスは、窒化チタンを得られるガスであればよい。反応ガス以外に、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガスが、乾式めっき装置内に導入されてもかまわない。
炭化チタンを得られる反応ガスとして、たとえば、エチレンガスを採用すれば、蒸発源から誘導されるチタンと、エチレンガスとが反応して得られる、炭化チタンと、エチレンガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンと、エチレンガスより取り込まれるガス成分として大量の炭素と、さらに不可避成分を含む黒色被膜が被覆される。
この場合、反応ガスとしては、炭化チタンを得られるガスであればよく、たとえばメタンガスであってもよい。反応ガス以外に、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガスが、乾式めっき装置内に導入されてもかまわない。
炭窒化チタンを得られる反応ガスとして、たとえば、窒素ガスとエチレンガスの混合ガスを採用すれば、蒸発源から誘導されるチタンと混合ガスとが反応して得られる、炭窒化チタンと、混合ガスと反応せずに蒸発源から取り込まれるチタンと、混合ガスより取り込まれるガス成分として大量の窒素と炭素と、さらに不可避成分とから成る黒色被膜が被覆される。
この場合、反応ガスとしては、炭窒化チタンを得られるガスであればよく、たとえば窒素ガスとメタンガスの混合ガスであってもよい。反応ガス以外に、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガスが、乾式めっき装置内に導入されてもかまわない。
たとえば、乾式めっき法として、イオンプレーティング法を採用した場合、前述の硬質下地被膜被覆工程において、硬質下地被膜として、金色色調を呈する窒化チタン被膜を被覆する場合と比べて、この黒色被膜被覆工程においては、めっき装置内に過剰の反応ガスが導入される。よって、この黒色被膜被覆工程における装置内の成膜時の圧力は、硬質下地被膜被覆工程における装置内の成膜時の圧力より高めになる。
さらに、アノード電圧を低くして、めっき装置内に発生するプラズマを抑制して、蒸発したチタンと反応ガスの反応を抑制する。
これにより、蒸発源から蒸発したチタンが反応ガスと反応せずに被膜中に過剰に取り込まれる。かつ、反応ガスがチタンと反応することなく被膜中に過剰に取り込まれる。
さらに、蒸発源から蒸発したチタンと反応ガスとが反応して得られる化合物と、不可避成分を取り込んで被膜が構成される。
この被膜の表面は、極めて微細な凹凸が形成された、荒れた面に形成される。この被膜は、黒色色調を呈する黒色被膜として視認される。
黒色被膜被覆工程において、めっき装置内に導入される反応ガスの量は、硬質下地被膜被覆工程において、めっき装置内に導入される反応ガスの量に比べ、好ましくは1.5〜4倍、より好ましくは2〜3倍である。
より具体的には、黒色被膜被覆工程において、めっき装置内に導入される反応ガスの量
は、好ましくは150〜400SCCM(standard cc/min)、さらに好ましくは200〜300SCCMである。
この黒色被膜の被覆には、どのような乾式めっき法を用いても良いが、複雑な形状の部材に、均一な厚さの被膜形成できるイオンプレーティング法やスパッタ法が好ましく用いられる。黒色被膜としては、被覆が容易で、黒色色調が安定して得られ、かつ耐摩耗性や耐傷性に優れる窒化チタン被膜が好ましい。
これら黒色被膜の膜厚が薄いと、安定した黒色色調が被膜に得られないばかりか、有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を被膜に得ることができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、後述の黒色被膜除去工程における黒色被膜の除去に手間がかかり、経済性が悪化する。
よって、黒色被膜の膜厚は、好ましくは0.05〜0.5μmの範囲、さらに好ましくは0.06〜0.2μmの範囲、もっとも好ましくは0.07〜0.15μmの範囲に制御される。
(黒色被膜除去工程)
黒色被膜除去工程では、黒色被膜が斑状に分布するように、物理的除去手段によって黒色被膜が除去される。よって、金色被膜が呈する金色色調と、黒色被膜が呈する黒色色調とが斑状に分布するいぶし調被膜が形成される。
黒色被膜を除去する物理的除去手段としては、ホーニングによる除去手段、布や砂消しゴムなどの摩擦による除去手段、バフ研磨による除去手段、粉体や粒体によるバレル研磨による除去手段、サンドブラストによる除去手段、粘着テープを貼り付けて剥がすことによる除去手段、水などの流体を高圧で吹きつけることによる除去手段、超音波振動を加える除去手段、プラスチックスメディアを使用した湿式バレルによる除去手段などが挙げられる。
(基材表面加工工程)
硬質下地被膜被覆工程に先立って、基材の表面にホーニング面、あるいはヘアーライン面などの装飾的な目付け面を形成する基材表面加工工程が採用されてもよい。
前述した通り、基材の表面を、このような微細な凹凸が連続する装飾的な目付け面にすることにより、装飾品のいぶし調の外観がさらに装飾されるばかりか、基材に対して密着性に優れた、いぶし調被膜を実現できる。
また、この基材における装飾的目付け面の微細な凹凸は、その上に被覆される被膜の表面にも反映される。すなわち、最外層の黒色被膜の表面も、装飾的目付け面に対応した微細な凹凸が形成される。よって、黒色被膜除去工程において、物理的除去手段によって黒色被膜が除去される際、かかる凹凸の凹部に被覆された黒色被膜は除去されにくく、凸部に被覆された黒色被膜は除去されやすくなる。
このように、凸部に被覆された黒色被膜が優先的に除去されるので、黒色被膜の除去は極めて均一に達成される。よって、金色被膜が呈する金色色調と、黒色被膜が呈する黒色色調とが斑状に分布する、いぶし調被膜が極めて容易に形成される。
以上、説明したごとく、本発明は下記の効果を奏する。
(1)本発明によれば、長期にわたって外観品質を維持できる、いぶし調被膜を備える装飾品が提供される。
(2)本発明によれば、耐傷性や耐摩耗性に優れた、いぶし調被膜を備える装飾品が提供される。
(3)本発明によれば、使用者に金属アレルギーを誘発させる危険性の極めて少ない、いぶし調被膜を備える装飾品が提供される。
(4)本発明によれば、低公害な被覆処理で被覆される、いぶし調被膜を備える装飾品が
提供される。
(5)加えて、本発明によれば、基材に対して密着性に優れた、いぶし調被膜を備える装飾品が提供される。
(6)さらに加えて、本発明によれば、安価に、かつ容易に被覆される、いぶし調被膜を備える装飾品が提供される。
以下、本発明の最良の実施形態について説明するが、本発明は、これらの実施形態により何ら限定されるものではない。
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の装飾品に係わる模式断面図である。
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた腕時計ケース用の基材1を有機溶剤で洗浄・脱脂した。次いで、この基材1をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、この基材1の表面に、厚み0.6μmの金色色調を呈する窒化チタンめっき被膜2をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力:0.2Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:40〜50V
フィラメント電圧:7V
次いで、この窒化チタンめっき被膜2の表面に、厚み0.15μmの金色色調を呈する金−鉄合金めっき被膜3をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。
<成膜条件>
蒸発源:金−鉄合金
電子銃:8kV、500mA
ガス:アルゴンガス
成膜圧力:0.26Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:10〜30V
フィラメント電圧:7V
次いで、この金−鉄合金めっき被膜3の表面に、厚み0.1μmの黒色色調を呈する黒色被膜4をイオンプレーティング法(熱陰極法)により下記の成膜条件で形成した。この黒色被膜4は、窒化チタンと、チタンと、ガス成分としての窒素と、微量の不可避成分を含んでいた。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス
成膜圧力:0.43Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:5〜30V
フィラメント電圧:7V
次いで、黒色被膜4を、ガラスビーズを用いたホーニング処理により、黒色被膜4が斑状に分布するように除去した。
このようにして得られた腕時計ケースは、金色色調と黒色色調とが斑状に分布する、いぶし調の外観を呈した。
まず、チタンを機械加工して得られた腕時計バンドの駒用の基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。次いで、この基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、この基材の表面に、厚み0.5μmの金色色調を呈する窒化チタンめっき被膜を、実施例1と同様の成膜条件でイオンプレーティング法によりで形成した。
次いで、この窒化チタンめっき被膜表面に、厚み0.15μmの金色色調を呈する金−鉄合金めっき被膜を、実施例1と同様の成膜条件で、イオンプレーティング法により形成した。
次いで、この金−鉄合金めっき被膜表面に、厚み0.15μmの黒色色調を呈する黒色被膜をイオンプレーティング法により下記の成膜条件で形成した。この黒色被膜は、炭化チタンと、チタンと、ガス成分としての炭素と、微量の不可避成分を含んでいた。
<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガスとエチレンガスとの混合ガス
成膜圧力:0.52Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:5〜30V
フィラメント電圧:7V
次いで、黒色被膜を、砂消しゴムにより、黒色被膜が斑状に分布するように除去した。このようにして得られた腕時計ケースは、金色色調と黒色色調とが斑状に分布する、いぶし調の外観を呈した。
まず、チタン合金を機械加工して得られた腕時計のベゼル用の基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。次いで、この基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、この基材の表面に、厚み0.7μmの金色色調を呈する窒化チタンめっき被膜を、実施例1と同様の成膜条件でイオンプレーティング法によりで形成した。
次いで、この窒化チタンめっき被膜の表面に、厚み0.12μmの金色色調を呈する金−鉄合金めっき被膜を、実施例1と同様の成膜条件でイオンプレーティング法により形成した。
次いで、この金−鉄合金めっき被膜表面に、厚み0.9μmの黒色色調を呈する黒色被膜をイオンプレーティング法により下記の成膜条件で形成した。この黒色被膜は、炭窒化チタンと、チタンと、ガス成分としての炭素と窒素と、微量の不可避成分を含んでいた。<成膜条件>
蒸発源:チタン
電子銃:10kV、200〜500mA
ガス:アルゴンガスとエチレンガスと窒素ガスの混合ガス
成膜圧力:0.48Pa
加速電圧(バイアス電圧):Ground〜−100V
アノード電圧:5〜30V
フィラメント電圧:7V
次いで、黒色被膜を、バフ研磨により、黒色被膜が斑状に分布するように除去した。このようにして得られた腕時計ケースは、金色色調と黒色色調とが斑状に分布する、いぶし調の外観を呈した。
まず、ステンレス鋼(SUS316L)を機械加工して得られた腕時計ケース用の基材を表面に、さらにホーニング処理を施して微細な凹凸を形成した。次いで、この基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。次いで、この基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、実施例1と同様に、この基材表面に、厚み0.6μmの金色色調を呈する窒化チタンめっき被膜を形成した。
次いで、この窒化チタンめっき被膜表面に、実施例1と同様に、厚み0.15μmの金色色調を呈する金−鉄合金めっき被膜を形成した。
次いで、実施例1と同様に、この金−鉄合金めっき被膜表面に、厚み0.1μmの黒色色調を呈する黒色被膜を形成した。
次いで、黒色被膜を、実施例1と同様に、ガラスビーズを用いたホーニング処理により、黒色被膜が斑状に分布するように除去した。
このようにして得られた腕時計ケースは、実施例1で得られた腕時計ケースに比べて、いぶし調被膜の密着性が高く、加えて、より均一に金色色調と黒色色調とが斑状に分布する、いぶし調の外観を呈した。
まず、チタンを機械加工して得られた腕時計バンドの駒用の基材表面に、さらにヘアーライン加工を施して、多数並列する微細な線状の凹凸を形成した。この基材を有機溶剤で洗浄・脱脂した。次いで、この基材をイオンプレーティング装置内に取り付け、アルゴン雰囲気中で基材表面をボンバードクリーニングした。
次いで、この基材の表面に、実施例2と同様に、厚み0.5μmの金色色調を呈する窒化チタンめっき被膜を形成した。
次いで、この窒化チタンめっき被膜表面に、実施例2と同様に、厚み0.15μmの金色色調を呈する金−鉄合金めっき被膜を形成した。
次いで、この金−鉄合金めっき被膜表面に、実施例2と同様に、厚み0.15μmの黒色色調を呈する黒色被膜を形成した。
次いで、黒色被膜を、実施例2と同様に、砂消しゴムにより、黒色被膜が斑状に分布するように除去した。
このようにして得られた腕時計ケースは、実施例2で得られた腕時計ケースに比べて、いぶし調被膜の密着性が高く、加えて、より均一に金色色調と黒色色調とが斑状に分布する、いぶし調の外観を呈した。
本発明の装飾品に係わる模式断面図である。
符号の説明
1 基材
2 窒化チタンめっき被膜
3 金−鉄合金めっき被膜
4 黒色被膜

Claims (10)

  1. 基材と、
    この基材の上に被覆される、金色色調と黒色色調とから成るいぶし調被膜と、
    を備える装飾品であって、
    いぶし調被膜は、基材の上に被覆される金色色調を呈する金色被膜と、この金色被膜の上に斑状に分布するように被覆される黒色色調を呈する黒色被膜と、を含み、
    黒色被膜が、乾式めっき法により被覆される、チタンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物のいずれか1つと、チタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、を含む被膜である装飾品。
  2. 請求項1に記載の装飾品であって、
    基材の材質が、ステンレス、チタン、あるいはチタン合金から成る群から選ばれる1つより成る装飾品。
  3. 請求項1に記載の装飾品であって、
    黒色被膜が、窒化チタンと、チタンと、ガス成分としての窒素と、不可避成分と、を含む被膜である装飾品。
  4. 請求項1に記載の装飾品であって、
    金色被膜が、乾式めっき法により被覆される金合金被膜である装飾品。
  5. 請求項4に記載の装飾品であって、
    金色被膜が、乾式めっき法により被覆される金−鉄合金被膜である装飾品。
  6. 請求項4、あるいは5に記載の装飾品であって、
    基材と金色被膜との間に、乾式めっき法により被覆される硬質下地被膜を含み、
    硬質下地被膜が、金色色調を呈する窒化チタン被膜である装飾品。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の装飾品であって、
    基材の表面が、ホーニング面、あるいはヘアーライン面である装飾品。
  8. 基材と、
    この基材の上に被覆される、金色色調と黒色色調とから成るいぶし調被膜と、
    を備える装飾品の製造方法であって、
    基材の上に、乾式めっき法により、窒化チタンより成る、金色色調を呈する硬質下地被膜を被覆する硬質下地被膜被覆工程と、
    次いで、硬質下地被膜の上に、乾式めっき法により、金−鉄合金より成る、金色色調を呈する金色被膜を被覆する金色被膜被覆工程と、
    次いで、金色被膜の上に、乾式めっき法により、チタンの窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物のいずれか1つと、チタンと、反応ガスより取り込まれるガス成分と、を含む黒色色調を呈する黒色被膜を被覆する黒色被膜被覆工程と、
    次いで、黒色被膜が斑状に分布するように、物理的除去手段によって黒色被膜を除去する黒色被膜除去工程と、
    を含む、装飾品の製造方法。
  9. 請求項8に記載の装飾品の製造方法であって、
    硬質下地被膜被覆工程に先立って、基材の表面にホーニング面、あるいはヘアーライン面を形成する基材表面加工工程をさらに含む装飾品の製造方法。
  10. 請求項8に記載の装飾品の製造方法であって、
    物理的除去手段が、ホーニングによる除去手段、布や砂消しゴムなどの摩擦による除去手段、バフ研磨による除去手段、粉体や粒体によるバレル研磨による除去手段から選ばれる1つの手段である装飾品の製造方法。
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