JP2007248398A - 装飾品および時計 - Google Patents
装飾品および時計 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007248398A JP2007248398A JP2006075675A JP2006075675A JP2007248398A JP 2007248398 A JP2007248398 A JP 2007248398A JP 2006075675 A JP2006075675 A JP 2006075675A JP 2006075675 A JP2006075675 A JP 2006075675A JP 2007248398 A JP2007248398 A JP 2007248398A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- decorative article
- base material
- decorative
- layer
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Abstract
【課題】 長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供すること。
【解決手段】 本発明の装飾品1は、主としてFe−Cr系合金で構成された基材2と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜3とを有している。基材2は、基部21と、窒素原子が添加されることにより、オーステナイト化されたオーステナイト化層22とを有している。オーステナイト化層22の厚さは、5〜500μmであるのが好ましい。また、オーステナイト化層22中における窒素の含有率は、0.3〜1.2wt%であるのが好ましい。また、基材2中におけるNiの含有率は、0.05wt%以下であるのが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の装飾品1は、主としてFe−Cr系合金で構成された基材2と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜3とを有している。基材2は、基部21と、窒素原子が添加されることにより、オーステナイト化されたオーステナイト化層22とを有している。オーステナイト化層22の厚さは、5〜500μmであるのが好ましい。また、オーステナイト化層22中における窒素の含有率は、0.3〜1.2wt%であるのが好ましい。また、基材2中におけるNiの含有率は、0.05wt%以下であるのが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、装飾品および時計に関する。
時計用外装部品のような装飾品には、優れた美的外観が要求される。
従来、このような目的を達成するために、例えば、装飾品の構成材料として、Pd、Rd、Pt等の銀白色の金属材料を用いてきた。しかし、これらの金属材料は、いずれも貴金属であり、装飾品の製造コストが高くなる等の問題点を有していた。また、前述の貴金属に代わる銀白色の材料としては、Tiやステンレス鋼等が用いられている。
従来、このような目的を達成するために、例えば、装飾品の構成材料として、Pd、Rd、Pt等の銀白色の金属材料を用いてきた。しかし、これらの金属材料は、いずれも貴金属であり、装飾品の製造コストが高くなる等の問題点を有していた。また、前述の貴金属に代わる銀白色の材料としては、Tiやステンレス鋼等が用いられている。
また、前述したように装飾品には、優れた美的外観が要求されるが、前記のような材料で構成された装飾品(特に、時計用外装部品や装身具等)は、その表面に傷が付き易く、長期間使用することにより美的外観が著しく低下する等の問題点を有していた。
一方、フェライト系ステンレス鋼の合金粉末と有機バインダーとを混練し、これを射出成形法により成形して、その後、脱脂、焼結することにより時計用外装部品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような方法では、十分に優れた美的外観の時計用外装部品を得るのが困難である。また、このような方法で得られる時計用外装部品でも、十分な硬度を有しておらず、比較的大きな外力が加わることにより、容易に傷が付いてしまう。
一方、フェライト系ステンレス鋼の合金粉末と有機バインダーとを混練し、これを射出成形法により成形して、その後、脱脂、焼結することにより時計用外装部品を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような方法では、十分に優れた美的外観の時計用外装部品を得るのが困難である。また、このような方法で得られる時計用外装部品でも、十分な硬度を有しておらず、比較的大きな外力が加わることにより、容易に傷が付いてしまう。
本発明の目的は、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の装飾品は、主としてFe−Cr系合金で構成された基材と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜とを有し、
前記基材は、その表面付近に、窒素原子が添加されることにより、オーステナイト化されたオーステナイト化層を有するものであり、
前記被膜の厚さが0.01〜1.00μmであることを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品は、主としてFe−Cr系合金で構成された基材と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜とを有し、
前記基材は、その表面付近に、窒素原子が添加されることにより、オーステナイト化されたオーステナイト化層を有するものであり、
前記被膜の厚さが0.01〜1.00μmであることを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品では、前記オーステナイト化層の厚さが5〜500μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記オーステナイト化層中における窒素の含有率が0.3〜1.2wt%であることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
これにより、装飾品の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記オーステナイト化層中における窒素の含有率が0.3〜1.2wt%であることが好ましい。
これにより、装飾品の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品では、前記基材中におけるNiの含有率が0.05wt%以下であることが好ましい。
これにより、装飾品の磁気遮蔽性が優れたものとなり、時計用外装部品として適用したときに、時計のムーブメントが外部磁場によって悪影響を受けるのをより確実に防止することができる。また、金属アレルギーの発生等をより効果的に防止することができる。
これにより、装飾品の磁気遮蔽性が優れたものとなり、時計用外装部品として適用したときに、時計のムーブメントが外部磁場によって悪影響を受けるのをより確実に防止することができる。また、金属アレルギーの発生等をより効果的に防止することができる。
本発明の装飾品は、時計用外装部品であることが好ましい。
時計用外装部品は、一般に、外部からの衝撃を受け易い装飾品であり、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐擦傷性、耐摩耗性等が求められるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる時計を提供することができる。
時計用外装部品は、一般に、外部からの衝撃を受け易い装飾品であり、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐擦傷性、耐摩耗性等が求められるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる時計を提供することができる。
本発明によれば、長期間にわたって優れた硬度および美的外観を保持することができる装飾品を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
[装飾品]
まず、本発明の装飾品の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の装飾品の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
装飾品1は、主としてFe−Cr系合金で構成された基材2と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜3とを有している。
[装飾品]
まず、本発明の装飾品の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の装飾品の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
装飾品1は、主としてFe−Cr系合金で構成された基材2と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜3とを有している。
基材2は、基部21と、オーステナイト化層22とを有している。オーステナイト化層22は、基材2の表面付近に窒素原子を添加し、オーステナイト化することにより設けられたものである。
基部21(装飾品1の製造に用いる基材2)は、Fe−Cr系合金で構成されたものであり、主としてフェライト相で構成されるものである。これにより、基材2の成形時において優れた成形性を確保するとともに、後に詳述するオーステナイト化層22を、美的外観に優れ、かつ、高硬度で、耐擦傷性(傷の付き難さ)、耐打痕性(打痕の付き難さ)、耐食性等に優れるものとして好適に形成することができる。これにより、時計用外装部品のような複雑な形状の装飾品であっても、所望の形状を有し、かつ、長期間にわたって優れた美的外観、優れた硬度を保持することができるものとすることができる。また、Fe−Cr系合金は、一般に、磁気遮蔽性に優れているため、装飾品を時計用外装部品等に適用した場合に、時計のムーブメントを外部磁場から効果的に保護することができる。
基部21(装飾品1の製造に用いる基材2)は、Fe−Cr系合金で構成されたものであり、主としてフェライト相で構成されるものである。これにより、基材2の成形時において優れた成形性を確保するとともに、後に詳述するオーステナイト化層22を、美的外観に優れ、かつ、高硬度で、耐擦傷性(傷の付き難さ)、耐打痕性(打痕の付き難さ)、耐食性等に優れるものとして好適に形成することができる。これにより、時計用外装部品のような複雑な形状の装飾品であっても、所望の形状を有し、かつ、長期間にわたって優れた美的外観、優れた硬度を保持することができるものとすることができる。また、Fe−Cr系合金は、一般に、磁気遮蔽性に優れているため、装飾品を時計用外装部品等に適用した場合に、時計のムーブメントを外部磁場から効果的に保護することができる。
基材2を構成するFe−Cr系合金は、FeとCrとを含むものであればいかなるものであってもよいが、以下のような条件を満足するものであるのが好ましい。
基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金は、Crの含有率が15〜25wt%であるのが好ましく、17〜22wt%であるのがより好ましい。Crの含有率が前記範囲内の値であると、特に良好な耐食性、耐磁性、加工性および外観が得られる。これに対し、Crの含有率が前記下限値未満であると、装飾品1の耐食性、外観が十分に得られない可能性がある。一方、Crの含有率が前記上限値を超えると、磁気遮蔽性が十分に得られず、例えば、装飾品1を時計用外装部品として用いた場合に、時計のムーブメントが外部磁場によって悪影響を受けるのを十分に防止するのが困難になる可能性がある。
基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金は、Crの含有率が15〜25wt%であるのが好ましく、17〜22wt%であるのがより好ましい。Crの含有率が前記範囲内の値であると、特に良好な耐食性、耐磁性、加工性および外観が得られる。これに対し、Crの含有率が前記下限値未満であると、装飾品1の耐食性、外観が十分に得られない可能性がある。一方、Crの含有率が前記上限値を超えると、磁気遮蔽性が十分に得られず、例えば、装飾品1を時計用外装部品として用いた場合に、時計のムーブメントが外部磁場によって悪影響を受けるのを十分に防止するのが困難になる可能性がある。
また、基材2を構成するFe−Cr系合金は、Fe、Cr以外の成分(元素)を含むものであってもよい。これにより、各成分(元素)に応じた固有の効果が発揮される。このような成分(元素)としては、例えば、Mo、Nb、Mn、Si、Zr、Ti等が挙げられる。
例えば、基材2を構成するFe−Cr系合金がMoを含むものであると、後述するオーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を効率良く進行させることができるとともに、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるMoの含有率は、1.0〜4.0wt%であるのが好ましく、1.5〜3.5wt%であるのがより好ましい。Moの含有率が前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観を特に優れたものとしつつ、オーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を効率良く進行させることができるとともに、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。これに対し、Moの含有率が前記下限値未満であると、装飾品1の他成分の含有率等によっては、装飾品1の耐食性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。また、Moの含有率が前記下限値未満であると、オーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を十分に効率良く進行させるのが困難になる可能性がある。一方、Moの含有率が前記上限値を超えると、オーステナイト化層22の構成組織の不均質化が顕著になり、さらにはFeとCrとMoにより析出物ができてしまい装飾品1の審美性が低下する可能性がある。
例えば、基材2を構成するFe−Cr系合金がMoを含むものであると、後述するオーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を効率良く進行させることができるとともに、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるMoの含有率は、1.0〜4.0wt%であるのが好ましく、1.5〜3.5wt%であるのがより好ましい。Moの含有率が前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観を特に優れたものとしつつ、オーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を効率良く進行させることができるとともに、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。これに対し、Moの含有率が前記下限値未満であると、装飾品1の他成分の含有率等によっては、装飾品1の耐食性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。また、Moの含有率が前記下限値未満であると、オーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を十分に効率良く進行させるのが困難になる可能性がある。一方、Moの含有率が前記上限値を超えると、オーステナイト化層22の構成組織の不均質化が顕著になり、さらにはFeとCrとMoにより析出物ができてしまい装飾品1の審美性が低下する可能性がある。
また、基材2を構成するFe−Cr系合金がNbを含むものであると、装飾品1(オーステナイト化層22)の硬度が向上し、装飾品1(オーステナイト化層22)の耐擦傷性、耐打痕性等を特に優れたものとすることができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるNbの含有率は、0.08〜0.28wt%であるのが好ましく、0.10〜0.25wtであるのがより好ましい。Nbの含有率が前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観を特に優れたものとしつつ、耐久性(耐擦傷性、耐打痕性等)を特に優れたものとすることができる。これに対し、Nbの含有率が前記下限値未満であると、上記のようなNbを含むことによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、Nbの含有率が前記上限値を超えると、装飾品1の耐食性が低下するという問題が発生する可能性がある。
また、基材2を構成するFe−Cr系合金は、実質的にNiを含まないかその含有率が十分に小さいものであるのが好ましい。これにより、オーステナイト化層22の形成時における、基材2の表面付近への窒素原子の導入(例えば、結晶粒界への拡散)を効率良く進行させることができ、装飾品1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、装飾品1の磁気遮蔽性が優れたものとなり、例えば、装飾品1を時計用外装部品として適用したときに、時計のムーブメントが外部磁場によって悪影響を受けるのをより確実に防止することができる。また、金属アレルギーの発生等をより効果的に防止することができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるNiの含有率は、0.05wt%以下であるのが好ましく、0.01wt%以下であるのがより好ましい。これにより、前述した効果がさらに顕著なものとして発揮される。
また、基材2を構成するFe−Cr系合金は、実質的にCを含まないかその含有率が十分に小さいものであるのが好ましい。これにより、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるCの含有率は、0.02wt%以下であるのが好ましく、0.01wt%以下であるのがより好ましい。これにより、前述した効果がさらに顕著なものとして発揮される。
また、基材2を構成するFe−Cr系合金は、実質的にSを含まないかその含有率が十分に小さいものであるのが好ましい。これにより、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるSの含有率は、0.02wt%以下であるのが好ましく、0.01wt%以下であるのがより好ましい。これにより、前述した効果がさらに顕著なものとして発揮される。
また、基材2を構成するFe−Cr系合金は、実質的にPを含まないかその含有率が十分に小さいものであるのが好ましい。これにより、装飾品1の耐食性を特に優れたものとすることができる。基材2(基部21)を構成するFe−Cr系合金中におけるPの含有率は、0.07wt%以下であるのが好ましく、0.05wt%以下であるのがより好ましい。これにより、前述した効果がさらに顕著なものとして発揮される。
上述したように、基材2の表面付近には、窒素原子が添加されることにより、オーステナイト化されたオーステナイト化層22が設けられている。
このようなオーステナイト化層22を有することにより、装飾品1は、優れた硬度を有し、耐擦傷性(傷の付き難さ)、耐打痕性(打痕の付き難さ)等に優れたものとなる。特に、基材2が主としてFe−Cr系合金で構成されたものであるとともに、オーステナイト化層22を有するものであることにより、装飾品1は、優れた美的外観を有するとともに、高硬度で、耐擦傷性、耐打痕性、耐食性等に優れたものとなる。したがって、装飾品1は、耐久性に優れ、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
このようなオーステナイト化層22を有することにより、装飾品1は、優れた硬度を有し、耐擦傷性(傷の付き難さ)、耐打痕性(打痕の付き難さ)等に優れたものとなる。特に、基材2が主としてFe−Cr系合金で構成されたものであるとともに、オーステナイト化層22を有するものであることにより、装飾品1は、優れた美的外観を有するとともに、高硬度で、耐擦傷性、耐打痕性、耐食性等に優れたものとなる。したがって、装飾品1は、耐久性に優れ、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができる。
オーステナイト化層22の厚さは、特に限定されないが、5〜500μmであるのが好ましく、150〜350μmであるのがより好ましい。オーステナイト化層22の厚さが前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、オーステナイト化層22の厚さが前記下限値未満であると、オーステナイト化層22中における窒素の含有率等によっては、装飾品1としての硬度、耐久性(耐擦傷性、耐打痕性、耐食性等)を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、オーステナイト化層22の厚さが前記上限値を超えると、オーステナイト化層22中における窒素の含有率等によっては、装飾品を時計用外装部品等に適用した場合に、時計のムーブメントを外部磁場から効果的に保護することが困難になる可能性がある。また、オーステナイト化層22の厚さが前記上限値を超えると、オーステナイト化層22中における窒素の含有率等によっては、窒素の含有量をコントロールすることが困難になり窒素を添加するのに長時間あるいは複雑な設備が必要になる。
また、オーステナイト化層22中における窒素の含有率は、0.3〜1.2wt%であるのが好ましく、0.8〜1.2wt%であるのがより好ましい。オーステナイト化層22中における窒素の含有率が前記範囲内の値であると、装飾品1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、オーステナイト化層22中における窒素の含有率が前記下限値未満であると、オーステナイト化層22の厚さ等によっては、装飾品1としての硬度、耐久性(耐擦傷性、耐打痕性、耐食性等)を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、オーステナイト化層22中における窒素の含有率が前記上限値を超えると、オーステナイト化層22の厚さ等によっては、窒素の含有量をコントロールすることが困難になり窒素を添加するのに長時間あるいは複雑な設備が必要になる。
オーステナイト化層22の表面には、被膜3が設けられている。
被膜3は、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成されたものである。なお、ここでの「主として」は、被膜3の全構成材料(構成成分)のうち最も含有率が高いものであることを指すが、全構成材料(構成成分)中、50wt%以上含まれるものであるのが好ましく、90wt%以上含まれるものであるのがより好ましく、99wt%以上含まれるものであるのがさらに好ましい。
被膜3は、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成されたものである。なお、ここでの「主として」は、被膜3の全構成材料(構成成分)のうち最も含有率が高いものであることを指すが、全構成材料(構成成分)中、50wt%以上含まれるものであるのが好ましく、90wt%以上含まれるものであるのがより好ましく、99wt%以上含まれるものであるのがさらに好ましい。
このような被膜3を有することにより、装飾品1全体としての美的外観は優れたものとなり、特に、高級感のある白色、銀白色または金色の色調を有するものとなる。また、被膜3を構成するMは、基材2(オーステナイト化層22)を構成する材料との親和性が特に高いものであるため、装飾品1において、基材2(オーステナイト化層22)と被膜3との密着性は特に優れたものとなる。このため、装飾品1の耐久性は特に優れたものとなる。なお、被膜3を有さない場合、装飾品1全体としての美的外観は不十分である。より具体的には、被膜3を有さないと、装飾品1は、高級感に欠けたものとなる。
そして、被膜3は、その厚さが0.01〜1.00μmである。これにより、装飾品1全体としての美的外観を特に優れたものとしつつ、装飾品1全体としての硬度を特に高いものとすることができる。その結果、装飾品1は、より長期間にわたり、安定して、優れた美的外観を保持することができる。これに対し、被膜の厚さが前記下限値未満であると、装飾品としての外観を十分に優れたものとするのが困難になる。また、被膜の厚さが前記上限値を超えると、前述したオーステナイト化層を有することによる効果を十分に発揮させるのが困難となり、装飾品の硬度が低下し、十分な耐久性が得られない。さらには、基材2および被膜3の構成組織中における原子間距離の違いにより被膜3の膜内に内部応力が発生し、被膜3の厚みに応じて被膜3の外観にくもりが生じる場合がある。この場合には、目的の外観を得るために、研磨工程などを追加してこのくもりを除去する対応が必要となる。このように、被膜3の厚さは、0.01〜1.00μmであるが、特に、0.10〜0.80μmであるのが好ましく、0.15〜0.50μmであるのがより好ましい。これにより、上述したような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
装飾品1は、オーステナイト化層22、被膜3が設けられた部位におけるビッカース硬度Hvが、350以上であるのが好ましく、400以上であるのがより好ましく、450以上であるのがさらに好ましい。ビッカース硬度Hvが前記下限値未満であると、装飾品1の用途によっては、十分な耐擦傷性等が得られない可能性がある。
なお、図示の構成では、オーステナイト化層22、被膜3は、基材2の全面に設けられているが、これらは、基材2の表面の少なくとも一部に設けられていればよい。
なお、図示の構成では、オーステナイト化層22、被膜3は、基材2の全面に設けられているが、これらは、基材2の表面の少なくとも一部に設けられていればよい。
装飾品1は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、装飾品1としては、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等が挙げられる。この中でも特に、時計用外装部品がより好ましい。時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐擦傷性、耐打痕性、耐摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。また、本発明によれば、装飾品の磁気遮蔽性を優れたものとしつつ、上記のような特性を優れたものとすることができるため、本発明の装飾品を時計用外装部品に適用した場合、時計のムーブメントを外部磁場から効果的に保護することができる。
[装飾品の製造方法]
次に、上述したような装飾品1の製造方法の好適な実施形態について説明する。
図2は、本発明の装飾品の製造方法の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の製造方法は、基材2を用意する基材準備工程(2a)と、基材2の表面付近にオーステナイト化層22を形成するオーステナイト化工程(2b)と、基材2のオーステナイト化層22上に被膜3を形成する被膜形成工程(2c)とを有する。
次に、上述したような装飾品1の製造方法の好適な実施形態について説明する。
図2は、本発明の装飾品の製造方法の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の製造方法は、基材2を用意する基材準備工程(2a)と、基材2の表面付近にオーステナイト化層22を形成するオーステナイト化工程(2b)と、基材2のオーステナイト化層22上に被膜3を形成する被膜形成工程(2c)とを有する。
<基材準備工程>
基材2は、主として、上述したようなFe−Cr系合金で構成されたものである。基材2は、通常、製造すべき装飾品1に対応する形状を有している。
Fe−Cr系合金(窒素原子が添加される前のFe−Cr系合金)は、一般に成形性に優れるため、時計用外装部品のような複雑で微細な形状の基材2であっても、容易かつ確実に成形することができる。
基材2は、主として、上述したようなFe−Cr系合金で構成されたものである。基材2は、通常、製造すべき装飾品1に対応する形状を有している。
Fe−Cr系合金(窒素原子が添加される前のFe−Cr系合金)は、一般に成形性に優れるため、時計用外装部品のような複雑で微細な形状の基材2であっても、容易かつ確実に成形することができる。
装飾品1の製造に用いられる基材2に対しては、オーステナイト化工程に先立ち、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる装飾品1の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる装飾品1の装飾性をさらに向上させることができる。鏡面加工は、例えば、周知の研磨方法を用いて行うことができ、例えば、バフ(羽布)研磨、バレル研磨、その他の機械研磨等を採用することができる。
<オーステナイト化工程>
次に、基材2に対して、オーステナイト化処理を施す(2b)。これにより、基材2の表面付近にオーステナイト化層22が形成され、それ以外の部位が基部21となる。
オーステナイト化処理は、いかなる方法で行うものであってもよいが、窒素雰囲気下で熱処理を施し、その後、急冷する急冷処理を施すことにより行うのが好ましい。これにより、基材2の表面荒れ等の不都合の発生を十分に防止しつつ、効率良くオーステナイト化層22を形成することができる。
また、本工程での熱処理は、基材2が置かれた空間を、所定の速度で昇温し、その後、所定の温度(保持温度)Tに保持することにより行うのが好ましい。
次に、基材2に対して、オーステナイト化処理を施す(2b)。これにより、基材2の表面付近にオーステナイト化層22が形成され、それ以外の部位が基部21となる。
オーステナイト化処理は、いかなる方法で行うものであってもよいが、窒素雰囲気下で熱処理を施し、その後、急冷する急冷処理を施すことにより行うのが好ましい。これにより、基材2の表面荒れ等の不都合の発生を十分に防止しつつ、効率良くオーステナイト化層22を形成することができる。
また、本工程での熱処理は、基材2が置かれた空間を、所定の速度で昇温し、その後、所定の温度(保持温度)Tに保持することにより行うのが好ましい。
熱処理時の昇温速度は、特に限定されないが、5〜20℃/分であるのが好ましく、5〜15℃/分であるのがより好ましい。昇温速度が前記範囲内の値であると、構成組織が肥大化するのをより効果的に防止することができるとともに、熱処理設備への負荷も抑制することができる。これに対し、昇温速度が前記下限値未満であると、熱処理の時間が長くなり構成組織が肥大化し易くなるとともに、装飾品1の生産コストが高くなる傾向を示す。一方、昇温速度が前記上限値を超えると、熱処理設備への負荷が大きくなる可能性がある。
また、熱処理時における保持温度Tは、特に限定されないが、950〜1300℃であるのが好ましく、1000〜1200℃であるのがより好ましい。保持温度が前記範囲内の値であると、基材2の変形、表面荒れ等の不都合の発生を十分に防止しつつ、好適なオーステナイト化層22を効率良く形成することができる。これに対し、保持温度が前記下限値未満であると、基材2のオーステナイト化が十分に進行しない可能性がある。一方、保持温度が前記上限値を超えると、基材2の変形、表面荒れ等の不都合の発生を十分に防止するのが困難となり、装飾品の美的外観が低下する可能性がある。なお、保持温度Tは、所定の温度範囲で変動するものであってもよい。このような場合、保持温度Tの最大値と最小値とがいずれも上記範囲内の値であるのが好ましい。
また、熱処理時において基材2を950℃以上に保持する時間としての保持時間は、3〜48時間であるのが好ましく、10〜30時間であるのがより好ましい。保持時間が前記範囲内の値であると、基材2の変形、表面荒れ等の不都合の発生を十分に防止しつつ、好適なオーステナイト化層22を効率良く形成することができる。これに対し、保持時間が前記下限値未満であると、基材2のオーステナイト化が十分に進行しない可能性がある。一方、保持時間が前記上限値を超えると、基材2の変形、表面荒れ等の不都合の発生を十分に防止するのが困難となり、装飾品の美的外観が低下する可能性がある。また、保持時間が前記上限値を超えると、装飾品の生産性が低下する。
また、急冷処理時の冷却速度(例えば、基材2の温度が、保持温度Tから30℃になる際の冷却速度)は、特に限定されないが、80℃/秒以上であるのが好ましく、100〜300℃/秒であるのがより好ましい。これにより、硬度が特に高く、より均質なオーステナイト化層22を形成することができ、装飾品1の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。これに対し、冷却速度が前記下限値未満であると、冷却時に基材を構成するCrが窒素と不本意な反応を起こしてしまい、耐食性が低下するという問題が生じる可能性がある。
<被膜形成工程>
次に、オーステナイト化層22の表面に、被膜3を形成する(2c)。これにより、装飾品1が得られる。
被膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。被膜3の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2(オーステナイト化層22)との密着性が特に優れた被膜3を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、被膜3の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1の信頼性を向上させる上でも有利である。
次に、オーステナイト化層22の表面に、被膜3を形成する(2c)。これにより、装飾品1が得られる。
被膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。被膜3の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2(オーステナイト化層22)との密着性が特に優れた被膜3を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、被膜3の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、装飾品1の信頼性を向上させる上でも有利である。
また、上記のような乾式めっき法(気相成膜法)の中でも、イオンプレーティングが特に好ましい。被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。すなわち、被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基材2(オーステナイト化層22)との密着性が特に優れた被膜3をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる装飾品1の審美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、被膜3の形成方法としてイオンプレーティングを適用することにより、形成すべき被膜3が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができるため、装飾品1の信頼性を向上させる上でも有利である。
[時計]
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の装飾品を備えたものである。上述したように、本発明の装飾品は、高硬度で、耐擦傷性、耐打痕性、耐食性等に優れ、かつ、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができるものである。すなわち、本発明の装飾品は、優れた美的外観と優れた耐久性とを兼ね備えたものである。このため、このような装飾品を備えた本発明の時計は、時計としての求められる要件を十分に満足することができる。すなわち、本発明の時計は、特に優れた審美性を長期間にわたって保持することができる。なお、本発明の時計を構成する前記装飾品以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の装飾品を備えたものである。上述したように、本発明の装飾品は、高硬度で、耐擦傷性、耐打痕性、耐食性等に優れ、かつ、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができるものである。すなわち、本発明の装飾品は、優れた美的外観と優れた耐久性とを兼ね備えたものである。このため、このような装飾品を備えた本発明の時計は、時計としての求められる要件を十分に満足することができる。すなわち、本発明の時計は、特に優れた審美性を長期間にわたって保持することができる。なお、本発明の時計を構成する前記装飾品以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図3は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を模式的に示す部分断面図である。
図3に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)32と、裏蓋33と、ベゼル(縁)34と、ガラス板35とを備えている。また、ケース32内には、図示しないムーブメント(例えば、文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴32には巻真パイプ36が嵌入・固定され、この巻真パイプ36内にはりゅうず37の軸部371が回転可能に挿入されている。
図3に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)32と、裏蓋33と、ベゼル(縁)34と、ガラス板35とを備えている。また、ケース32内には、図示しないムーブメント(例えば、文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴32には巻真パイプ36が嵌入・固定され、この巻真パイプ36内にはりゅうず37の軸部371が回転可能に挿入されている。
胴32とベゼル34とは、プラスチックパッキン38により固定され、ベゼル34とガラス板35とはプラスチックパッキン39により固定されている。
また、胴32に対し裏蓋33が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)60が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
また、胴32に対し裏蓋33が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)60が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず37の軸部371の途中の外周には溝372が形成され、この溝372内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)40が嵌合されている。ゴムパッキン40は巻真パイプ36の内周面に密着し、該内周面と溝372の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず37と巻真パイプ36との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず37を回転操作したとき、ゴムパッキン40は軸部371と共に回転し、巻真パイプ36の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
本発明の腕時計100は、ベゼル34、胴32、りゅうず37、裏蓋33、時計バンド等の装飾品(特に、時計用外装部品)のうち少なくとも1つが前述したような本発明の装飾品で構成されたものである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、基材は、その全体が、主としてFe−Cr系合金で構成されたものとして説明したが、本発明において、基材は、その表面付近(オーステナイト化層が設けられる側の表面付近)が主としてFe−Cr系合金で構成されたものであればよい。例えば、基材は、Fe−Cr系合金以外の金属材料や非金属材料で構成された部材の表面に、Fe−Cr系合金で構成された表面層を有するものであってもよい。このような場合、表面層は500μm以上の厚さを有するものであるのが好ましい。
また、前述した実施形態では、装飾品は、基材と被膜とからなるものであるとして説明したが、本発明の装飾品は、基材、被膜以外の構成を有するものであってもよい。例えば、被膜の表面に少なくとも1層のコート層を有していてもよい。これにより、例えば、装飾品の耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐打痕性、耐摩耗性、耐変色性、防錆性、防汚性、防曇性等の特性をさらに優れたものとすることができる。
また、本発明の装飾品は、前述したような方法により製造されたものに限定されるものではない。
また、本発明の装飾品は、前述したような方法により製造されたものに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、Feを主成分とするFe−Cr系合金を用意した。このFe−Cr系合金は、Fe−18.3wt%Cr−2.25wt%Mo−0.15wt%Nb−0.26wt%Mn−0.006wt%C−0.001wt%S−0.022wt%P−0.21wt%Siという組成を有するものであり、主としてフェライト相で構成されたものであった。なお、これら以外の不可避的不純物として含まれる各元素の含有率は、いずれも、0.001wt%未満であった。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、Feを主成分とするFe−Cr系合金を用意した。このFe−Cr系合金は、Fe−18.3wt%Cr−2.25wt%Mo−0.15wt%Nb−0.26wt%Mn−0.006wt%C−0.001wt%S−0.022wt%P−0.21wt%Siという組成を有するものであり、主としてフェライト相で構成されたものであった。なお、これら以外の不可避的不純物として含まれる各元素の含有率は、いずれも、0.001wt%未満であった。
次に、このFe−Cr系合金を用いて、鍛造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
次に、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
このようにして洗浄を行った基材の表面に、オーステナイト化層を形成するオーステナイト化処理を施した。
オーステナイト化処理は、以下に説明するような方法により行った。
まず、グラファイトファイバー等の断熱材で囲まれた処理室と、処理室内を加熱する加熱手段と、処理室内を減圧する(排気する)減圧手段と、処理室内に窒素ガスを導入する窒素ガス導入手段とを有するオーステナイト化処理装置を用意した。
オーステナイト化処理は、以下に説明するような方法により行った。
まず、グラファイトファイバー等の断熱材で囲まれた処理室と、処理室内を加熱する加熱手段と、処理室内を減圧する(排気する)減圧手段と、処理室内に窒素ガスを導入する窒素ガス導入手段とを有するオーステナイト化処理装置を用意した。
次に、このオーステナイト化処理装置の処理室内に基材を設置し、その後、減圧手段により処理室内を2Paまで減圧した。
次に、減圧手段により処理室内の排気を行いつつ、窒素ガス導入手段により2リットル/分の速度で窒素ガスを処理室内に導入し、処理室内の圧力を0.08〜0.12MPaに保持した。この状態で、加熱手段により処理室内の温度を5℃/分の速度で、1200℃まで上昇させた。
次に、減圧手段により処理室内の排気を行いつつ、窒素ガス導入手段により2リットル/分の速度で窒素ガスを処理室内に導入し、処理室内の圧力を0.08〜0.12MPaに保持した。この状態で、加熱手段により処理室内の温度を5℃/分の速度で、1200℃まで上昇させた。
処理室内の温度を1200℃で12時間保持した後、基材を水冷により30℃まで急冷した。基材を1200℃から30℃までの冷却する際の冷却速度は、平均150℃/秒であった。形成されたオーステナイト化層の厚さは350μmであった。また、オーステナイト化層中の窒素の含有率は0.9wt%であった。
次に、オーステナイト化層が形成された基材に対して、イオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、主としてPtで構成される被膜を形成し、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た(被膜形成工程)。
次に、オーステナイト化層が形成された基材に対して、イオンプレーティング装置を用いて、以下のようにして、主としてPtで構成される被膜を形成し、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た(被膜形成工程)。
まず、イオンプレーティング装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を2×10−3Paまで排気(減圧)した。その後、アルゴンガスを、100ml/分の流量で導入し、処理室内における雰囲気圧を5.0×10−3Paとした。このような状態(アルゴンガスを導入し続けた状態)で、ターゲットとしてPtを用い、イオン化電圧:30V、イオン化電流:25Aに設定し、この状態で10分間気相成膜(イオンプレーティング)を行った。その結果、Ptで構成され、平均厚さが0.3μmの被膜が形成された。これにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))が得られた。
(実施例2〜8)
基材(装飾品の製造に用いる基板)を構成するFe−Cr系合金の組成、オーステナイト化処理の条件を表1に示すようにするとともに、被膜形成工程で用いるターゲットの材料、成膜時間等を変更することにより被膜の構成を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材(装飾品の製造に用いる基板)を構成するFe−Cr系合金の組成、オーステナイト化処理の条件を表1に示すようにするとともに、被膜形成工程で用いるターゲットの材料、成膜時間等を変更することにより被膜の構成を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例1)
被膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。すなわち、本比較例では、オーステナイト化処理が施された基材をそのまま装飾品とした。
被膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。すなわち、本比較例では、オーステナイト化処理が施された基材をそのまま装飾品とした。
(比較例2)
オーステナイト化処理を施さなかった以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。すなわち、本比較例では、鍛造により得られた基材に対して直接被膜を形成し、装飾品とした。
(比較例3)
被膜形成工程を省略した以外は、前記比較例2と同様にして装飾品を製造した。すなわち、本比較例では、鍛造により得られた基材をそのまま装飾品とした。
(比較例4、5)
被膜形成工程での成膜時間を変更することにより、被膜の厚さを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。
オーステナイト化処理を施さなかった以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。すなわち、本比較例では、鍛造により得られた基材に対して直接被膜を形成し、装飾品とした。
(比較例3)
被膜形成工程を省略した以外は、前記比較例2と同様にして装飾品を製造した。すなわち、本比較例では、鍛造により得られた基材をそのまま装飾品とした。
(比較例4、5)
被膜形成工程での成膜時間を変更することにより、被膜の厚さを表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品を製造した。
(比較例6)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、フェライト系ステンレス鋼(主としてFeで構成され、Fe−21.63wt%Cr−2.28wt%Mo−0.12wt%Nb−0.06wt%S−0.45wt%Mn−0.8wt%Si−0.018wt%P−0.04wt%Cという組成を有するもの)の金属粉末を用意した。この金属粉末の平均粒径は、10μmであった。
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、フェライト系ステンレス鋼(主としてFeで構成され、Fe−21.63wt%Cr−2.28wt%Mo−0.12wt%Nb−0.06wt%S−0.45wt%Mn−0.8wt%Si−0.018wt%P−0.04wt%Cという組成を有するもの)の金属粉末を用意した。この金属粉末の平均粒径は、10μmであった。
この金属粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm2、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm2、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、前記成形体に対して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体を得た。この脱バインダー処理は、1.0×10−1Paのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなった時点を脱バインダー終了時点とした。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨し、その後、前記実施例と同様にして、被膜を形成することにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨し、その後、前記実施例と同様にして、被膜を形成することにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
(比較例7)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、オーステナイト系ステンレス鋼(主としてFeで構成され、Fe−18wt%Cr−2.5wt%Mo−0.03wt%S−2wt%Mn−0.8wt%Si−0.04wt%P−0.03wt%C−15wt%Niという組成を有するもの)の金属粉末を用意した。この金属粉末の平均粒径は、10μmであった。
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、オーステナイト系ステンレス鋼(主としてFeで構成され、Fe−18wt%Cr−2.5wt%Mo−0.03wt%S−2wt%Mn−0.8wt%Si−0.04wt%P−0.03wt%C−15wt%Niという組成を有するもの)の金属粉末を用意した。この金属粉末の平均粒径は、10μmであった。
この金属粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm2、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、前記成形体に対して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体を得た。この脱バインダー処理は、1.0×10−1Paのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなった時点を脱バインダー終了時点とした。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨し、その後、前記実施例と同様にして、被膜を形成することにより、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。
各実施例および各比較例について、装飾品の製造に用いた基材の組成、オーステナイト化処理の条件、オーステナイト化層の条件、被膜の条件を表1にまとめて示す。なお、前記各実施例および比較例2、4〜7については、被膜中におけるMの含有率は、いずれも、99.9wt%以上であった。
各実施例および各比較例について、装飾品の製造に用いた基材の組成、オーステナイト化処理の条件、オーステナイト化層の条件、被膜の条件を表1にまとめて示す。なお、前記各実施例および比較例2、4〜7については、被膜中におけるMの含有率は、いずれも、99.9wt%以上であった。
2.装飾品の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
3.被膜の耐擦傷性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、耐擦傷性を評価した。
真鍮製のブラシを、各装飾品の表面上に押し付け、50往復摺動させた。このときの押し付け荷重は、0.2kgfであった。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、耐擦傷性を評価した。
真鍮製のブラシを、各装飾品の表面上に押し付け、50往復摺動させた。このときの押し付け荷重は、0.2kgfであった。
その後、装飾品表面を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:被膜の表面に、傷の発生が全く認められない。
○:被膜の表面に、傷の発生がほとんど認められない。
△:被膜の表面に、傷の発生がわずかに認められる。
×:被膜の表面に、傷の発生が顕著に認められる。
◎:被膜の表面に、傷の発生が全く認められない。
○:被膜の表面に、傷の発生がほとんど認められない。
△:被膜の表面に、傷の発生がわずかに認められる。
×:被膜の表面に、傷の発生が顕著に認められる。
4.装飾品の耐打痕性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行うことにより、耐打痕性を評価した。
SUS鉱製の球(径1cm)を、各装飾品の上方で高さ50cmの位置から落下させて、装飾品表面の凹み大きさ(凹み痕の直径)の測定を行い、以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:凹み痕の直径が1mm未満、または、凹み痕が求められない。
○:凹み痕の直径が1mm以上2mm未満。
△:凹み痕の直径が2mm以上3mm未満。
×:凹み痕の直径が3mm以上。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行うことにより、耐打痕性を評価した。
SUS鉱製の球(径1cm)を、各装飾品の上方で高さ50cmの位置から落下させて、装飾品表面の凹み大きさ(凹み痕の直径)の測定を行い、以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:凹み痕の直径が1mm未満、または、凹み痕が求められない。
○:凹み痕の直径が1mm以上2mm未満。
△:凹み痕の直径が2mm以上3mm未満。
×:凹み痕の直径が3mm以上。
5.装飾品の耐食性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、耐食性の評価を行った。耐食性の評価は、JIS G 0577に準拠した方法により孔食電位を測定することにより行った。孔食電位が高いほど、耐食性に優れているといえる。
6.装飾品の磁気遮蔽性(耐磁性)評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、磁気遮蔽性(耐磁性)の評価を行った。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、耐食性の評価を行った。耐食性の評価は、JIS G 0577に準拠した方法により孔食電位を測定することにより行った。孔食電位が高いほど、耐食性に優れているといえる。
6.装飾品の磁気遮蔽性(耐磁性)評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、磁気遮蔽性(耐磁性)の評価を行った。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品を、それぞれ、中心部付近を厚さ方向に打ち抜いた。打ち抜かれた部分を30℃以下の条件で粉砕し、ゼラチン製のカプセルに充填した。各カプセルについて、磁束計(QUANTUM DESIGN社製、MPMS−5S SQUID)を用いて、磁化を測定し、ヒステリシスカーブを得た。磁化の測定は、37℃の条件下、−1000G〜1000G(約−80000m/A〜80000m/A)の磁界範囲で行った。得られたヒステリシスカーブより磁界0付近の傾きを求め、これを透磁率とした。透磁率が高いほど、磁気遮蔽性に優れているといえる。
これらの結果を、ビッカース硬度Hvとともに表2に示す。なお、ビッカース硬度Hvとしては、各装飾品の表面(各実施例についてはオーステナイト化層が設けられた部位)について、測定荷重20gfにて測定した値を示す。
これらの結果を、ビッカース硬度Hvとともに表2に示す。なお、ビッカース硬度Hvとしては、各装飾品の表面(各実施例についてはオーステナイト化層が設けられた部位)について、測定荷重20gfにて測定した値を示す。
表2から明らかなように、本発明の装飾品は、いずれも優れた美的外観を有しており、耐擦傷性、耐打痕性、耐食性にも優れていた。これらの結果から、本発明の装飾品は、長期間にわたって優れた美的外観を保持することができるものであることがわかる。また、本発明の装飾品は、磁気遮蔽性にも優れていた。また、本発明の装飾品は、いずれも、ザラツキ感のない、優れた触感を有していた。これらのことから、本発明の装飾品は、時計用外装部品に好適に適用することがわかる。
これに対し、比較例の装飾品では満足な結果が得られなかった。
これに対し、比較例の装飾品では満足な結果が得られなかった。
1…装飾品 2…基材 21…基部 22…オーステナイト化層 3…被膜 100…腕時計(携帯時計) 32…胴(ケース) 33…裏蓋 34…ベゼル(縁) 35…ガラス板 36…巻真パイプ 37…りゅうず 371…軸部 372…溝 38…プラスチックパッキン 39…プラスチックパッキン 40…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 50…接合部(シール部)
Claims (6)
- 主としてFe−Cr系合金で構成された基材と、主としてM(ただし、Mは、Ti、Pt、Pd、Rd、Hf、V、Nb、Ta、Zr、Au、Ru、Cr、Cu、Fe、AlおよびInから選択される1種または2種以上)で構成された被膜とを有し、
前記基材は、その表面付近に、窒素原子が添加されることにより、オーステナイト化されたオーステナイト化層を有するものであり、
前記被膜の厚さが0.01〜1.00μmであることを特徴とする装飾品。 - 前記オーステナイト化層の厚さが5〜500μmである請求項1に記載の装飾品。
- 前記オーステナイト化層中における窒素の含有率が0.3〜1.2wt%である請求項1または2に記載の装飾品。
- 前記基材中におけるNiの含有率が0.05wt%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品。
- 装飾品は、時計用外装部品である請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006075675A JP2007248398A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 装飾品および時計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006075675A JP2007248398A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 装飾品および時計 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007248398A true JP2007248398A (ja) | 2007-09-27 |
Family
ID=38592840
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006075675A Pending JP2007248398A (ja) | 2006-03-17 | 2006-03-17 | 装飾品および時計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007248398A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8303168B2 (en) | 2007-09-14 | 2012-11-06 | Seiko Epson Corporation | Device and a method of manufacturing a housing material |
EP2813906A1 (fr) * | 2013-06-12 | 2014-12-17 | Nivarox-FAR S.A. | Pièce pour mouvement d'horlogerie |
CN108642437A (zh) * | 2018-05-10 | 2018-10-12 | 苏州国立塑料制品有限公司 | 一种金属模具表面强化工艺 |
CN109852894A (zh) * | 2019-03-29 | 2019-06-07 | 山东钢铁集团日照有限公司 | 一种经济型耐时效家电彩涂基板及其生产方法 |
CN110616423A (zh) * | 2018-12-17 | 2019-12-27 | 熊映明 | 铝加工厂粉末喷涂无铬钝化车间对废水处理中心零排放设计 |
JP2020139836A (ja) * | 2019-02-28 | 2020-09-03 | セイコーエプソン株式会社 | 時計用外装部品および時計 |
JP2021038449A (ja) * | 2019-09-05 | 2021-03-11 | セイコーエプソン株式会社 | 時計用部品および時計 |
-
2006
- 2006-03-17 JP JP2006075675A patent/JP2007248398A/ja active Pending
Cited By (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8303168B2 (en) | 2007-09-14 | 2012-11-06 | Seiko Epson Corporation | Device and a method of manufacturing a housing material |
EP2813906A1 (fr) * | 2013-06-12 | 2014-12-17 | Nivarox-FAR S.A. | Pièce pour mouvement d'horlogerie |
WO2014198466A3 (fr) * | 2013-06-12 | 2015-05-07 | Nivarox-Far S.A. | Pièce pour mouvement d'horlogerie |
CN105308516A (zh) * | 2013-06-12 | 2016-02-03 | 尼瓦洛克斯-法尔股份有限公司 | 用于钟表机芯的构件 |
JP2016526163A (ja) * | 2013-06-12 | 2016-09-01 | ニヴァロックス−ファー ソシエテ アノニム | 計時器ムーブメント用部品 |
RU2647756C2 (ru) * | 2013-06-12 | 2018-03-19 | Ниварокс-Фар С.А. | Компонент часового механизма |
CN105308516B (zh) * | 2013-06-12 | 2018-09-18 | 尼瓦洛克斯-法尔股份有限公司 | 用于钟表机芯的构件 |
US11079722B2 (en) | 2013-06-12 | 2021-08-03 | Nivarox-Far S.A. | Component for a timepiece movement |
CN108642437A (zh) * | 2018-05-10 | 2018-10-12 | 苏州国立塑料制品有限公司 | 一种金属模具表面强化工艺 |
CN110616423A (zh) * | 2018-12-17 | 2019-12-27 | 熊映明 | 铝加工厂粉末喷涂无铬钝化车间对废水处理中心零排放设计 |
CN111621738A (zh) * | 2019-02-28 | 2020-09-04 | 精工爱普生株式会社 | 钟表用外装部件以及钟表 |
US20200278645A1 (en) * | 2019-02-28 | 2020-09-03 | Seiko Epson Corporation | Watch exterior part and watch |
JP2020139836A (ja) * | 2019-02-28 | 2020-09-03 | セイコーエプソン株式会社 | 時計用外装部品および時計 |
JP7238468B2 (ja) | 2019-02-28 | 2023-03-14 | セイコーエプソン株式会社 | 時計用外装部品および時計 |
CN109852894A (zh) * | 2019-03-29 | 2019-06-07 | 山东钢铁集团日照有限公司 | 一种经济型耐时效家电彩涂基板及其生产方法 |
JP2021038449A (ja) * | 2019-09-05 | 2021-03-11 | セイコーエプソン株式会社 | 時計用部品および時計 |
JP7404721B2 (ja) | 2019-09-05 | 2023-12-26 | セイコーエプソン株式会社 | 金属材料、時計用部品および時計 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2007248397A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP4479812B2 (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP3642427B1 (ja) | 装飾品および時計 | |
JP6015225B2 (ja) | 装飾品および時計 | |
JP5327018B2 (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP4964892B2 (ja) | 装飾部品およびその製造方法 | |
JP2007248398A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP6451064B2 (ja) | 装飾品、皮膚接触材料、粉末冶金用金属粉末および装飾品の製造方法 | |
JP2007247035A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2008133542A (ja) | 装飾品の表面処理方法および装飾品 | |
JP2005097651A (ja) | 装飾品の表面処理方法および装飾品 | |
JPH0762466A (ja) | 装飾用チタン合金およびその装飾品 | |
JP4504059B2 (ja) | 金色被膜を有する装飾品 | |
JP2006212340A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2006212341A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2006249510A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP2013224965A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2022030784A (ja) | 時計用部品および時計 | |
JP2007275144A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2009222603A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP6786904B2 (ja) | 時計用外装部品および時計 | |
JP2009222605A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP2005146304A (ja) | 装飾被膜を有する装飾品およびその製造方法 | |
JP2005253893A (ja) | 装飾品、装飾品の製造方法および時計 | |
JP2005253894A (ja) | 装飾品、装飾品の製造方法および時計 |