JP7224033B2 - 金属製洋食器の表面処理方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、金属製洋食器の表面に重厚なヴィンテージ感を形成した金属製洋食器の表面処理方法に関するものである。
従来、金属製洋食器に用いられている金属には、一般的には、耐食性、耐腐食性、耐錆性、防錆性、耐酸化性、などを備えた金属が用いられ、比較的硬度の低い金属材料としては、美観や質感に優れた錫や銀などが知られており、比較的硬度の高い金属材料としては、耐久性に優れたステンレスやステンレス鋼やチタンやチタン合金などが知られている。
また、従来、金属製洋食器には、上述した比較的硬度の高い金属材料の表面に、美観の向上、質感の向上、装飾性の向上、耐久性の向上、耐食性の向上、耐腐食性の向上、耐錆性の向上、防錆性の向上、硬度の向上、などを目的にして、メッキや塗装や酸化皮膜形成手段や鏡面仕上げ研磨なの表面処理が行われてきた。
しかしながら、ヴィンテージ食器という市場は存在しているが、ヴィンテージ感を備えた金属製洋食器は存在しなく、本願発明者が出願した特開2017-18542「金属製洋食器の表面処理方法」(特許文献1)及び特許第6059787号「金属製洋食器の表面処理方法」(特許文献2)に係る商品が存在していた。
前記特許文献1の発明は、新製品としての金属製洋食器の表面に、かつその種類の制限を受けずに、ダメージ加工感、アンティーク風、オールド感、年代物感、という感性や古物感や高級感を感じさせる金属製洋食器及びその形成手段の提供を目的とし、
「金属製洋食器の表面に、ダメージ加工感、アンティーク風、オールド感、年代物感、などの感性や古物感を形成させる手段であり、前記感性古物感の形成手段がバレル研磨で用いる研磨材によって生じる打痕や凹凸痕を利用し、前記金属製洋食器表面に不連続で不均質に凹凸面や凹凸模様を形成させる方法、である。
また、前記特許文献2の発明は、「金属製洋食器の表面にヴィンテージ感を形成させるヴィンテージ感形成手段が、バレル研磨で用いる研磨材によって生じる打痕や凹凸痕を利用し、前記金属製洋食器表面に不連続で不均質に凹凸面や凹凸模様を形成させることでヴィンテージ感を形成させる金属製洋食器の表面処理方法であって、
前記ヴィンテージ感形成手段に前工程を設ける場合に、下地処理としてバレル研磨を選択し、前記下地処理のバレル研磨で用いる研磨材の粒子が前記ヴィンテージ感形成手段バレル研磨で用いる研磨材の粒子よりは小さめ又は比重の軽いものとすることを特徴とする金属製洋食器の表面処理方法。」である。
特開2017-18542 特許第6059787号
しかしながら、上記従来技術の製品では、ヴィンテージ感としてはフラットな感じで、重みのあるヴィンテージ感が無かった。
よって、本願発明では重厚なヴィンテージ感を有する金属製洋食器を提供することを目的とする。
本願発明者は鋭意研究の結果、下記手段によって重厚なヴィンテージ感を有する金属製洋食器を提供することに成功した。
[1]金属製洋食器の基材表面に、重厚なヴィンテージ感を形成させる金属製洋食器の表面処理方法であって、
前記基材表面をバレル研磨して、研磨材によって生じる打痕や凹凸痕を基材表面に形成する第1のバレル研磨処理工程と、
前記第1のバレル研磨処理面に黒染めによる酸化処理を行う酸化処理工程と、更に、前記酸化処理面に再度バレル研磨をして打痕や凹凸痕を形成する第2のバレル研磨処理工程とからなることを特徴とする金属製洋食器の表面処理方法。
[2]金属製洋食器が、ステンレススチール製のものであることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の金属製洋食器の表面処理方法。
[3]金属製洋食器が、以下に記載の中から選択されるいずれか1つであることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の金属製洋食器の表面処理方法。
フォーク、デザートフォーク、ナイフ、ディナーナイフ、バターナイフ、スプーン、ティースプーン、デザートスプーン、テーブルスプーン、スープスプーン、ティーカップ、コーヒーカップの受け皿として用いられるソーサー(saucer)、スープ皿(soup plate)、スープボウル(スープ鉢)、スープカップ、シチュー皿、カレー皿、グラタン皿、ステーキ皿、ドリンクウェア(コップなどの飲料に用する食器)として知られるコップ(カップ)、ティーカップ、コーヒーカップ、マグ(取っ手の付いた円筒形のコップ)、ビアマグ(ビール用のマグ)、ジョッキ(取っ手の付いた寸胴形の容器でマグよりも大きい)、ビールジョッキ、タンブラー(寸胴型のコップ)又はタンブラーグラス
[4]金属製洋食器が、以下に記載の中から選択されるいずれか1つであることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の金属製洋食器の表面処理方法。
ケトル、、カクテルシェーカー、メジャーカップ、包丁、パンスライサー、果物ナイフ、ペティナイフ、鍋、又はトレー(Tray)。
本願発明によれば、従来のヴィンテージ感の金属製洋食器に比較して、外面が非常に渋い光沢のある薄黒色で重厚なヴィンテージ感を有し、かつ優れた耐食性を有する金属製洋食器を提供することができる。
(写真1)本願実施例3で得られたコーヒーカップの写真 (写真2)従来例である比較例3で得られたコーヒーカップの写真
以下、本願発明の実施の形態について説明する。
本願発明における金属製洋食器としては、例えば、フォーク、デザートフォーク、ナイフ、ディナーナイフ、バターナイフ、スプーン、ティースプーン、デザートスプーン、テーブルスプーン、スープスプーン、ティーカップ、コーヒーカップの受け皿として用いられるソーサー(saucer)、スープ皿(soup plate)、スープボウル(スープ鉢)、スープカップ、シチュー皿、カレー皿、グラタン皿、ステーキ皿、ドリンクウェア(コップなどの飲料に用する食器)として知られるコップ(カップ)、ティーカップ、コーヒーカップ、マグ(取っ手の付いた円筒形のコップ)、ビアマグ(ビール用のマグ)、ジョッキ(取っ手の付いた寸胴形の容器でマグよりも大きい)、ビールジョッキ、タンブラー(寸胴型のコップ)、タンブラーグラス、などがある。
また例えば金属製調理器具に本願発明技術を適用して良いが、金属製調理器具としては、カクテルシェーカー、メジャーカップ、包丁、パンスライサー、果物ナイフ、ペティナイフ、鍋、トレー(Tray)、ケトルなどが挙げられる。
そして、前記金属製食器類や前記金属製調理器具に用いられる金属材料としては、酸化処理によって重厚なヴィンテージ感を現す色調の酸化物皮膜を形成する材料が使用できる。例えば、鉄、銅、アルミニウム、錫、亜鉛、チタン、銀、ニッケル又はコバルトから選ばれる単体金属、あるいはそれら金属の合金が使用できる。
酸化処理としては、化成処理や陽極酸化処理が挙げられる。
化成処理は、硫化や酸化などの化学反応を利用して溶液中で品物の表面に薄い硫化物や酸化物の皮膜を作成するものであり、鉄鋼の塗装下地用としてリン酸皮膜処理(パーカライジング)や亜鉛めっき等の後処理(クロメート)、銅や鉄の黒染め処理などがある。
陽極酸化処理は、硫酸や蓚酸などの電解溶液中で品物を陽極とし、通電して表面に酸化皮膜を生成させるもので、アルマイトと称されることが多く、各種サッシュやドア、筆記具、カメラ圧板、ネームプレートから、航空機や精密機械、計測機器など広く利用されている。
本願発明では特に、酸化処理によって表面に黒色の酸化物被膜を形成できる材料、例えばステンレス、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、チタン合金などから選択される。
特に、黒染めができる鉄成分含有金属(鉄合金)であることが好ましい。
黒染め方法はアルカリ着色法ともよばれ、濃厚なアルカリ溶液中において化成処理を行い化学的に鉄合金表面に酸化皮膜(四三酸化鉄:Fe34)を形成する方法である。
本願発明に係る黒染め処理は、鉄合金表面を酸化させて、緻密な黒錆を作らせる処理であり、鉄合金本体の耐食性は著しく向上し、同時に美しい黒光りのする表面肌とすることができる。
そして黒染め処理は、例えば被処理鉄合金製品を黒染め剤としての濃い苛性ソーダ水溶液やシアン化合物が主剤(苛性ソーダ濃度40%程度)の好ましくは120~140℃に熱した溶液に15~30分間浸漬して、その表面に四三酸化鉄(Fe34)の黒色被膜(厚さ3μm程度)を生成させることにより行われる。
さらに、本願発明では金属製洋食器の表面に不連続で不均質に凹凸面や凹凸模様を形成させる手段として、バレル研磨が採用される。
バレル研磨で用いる研磨材によって、前記金属製洋食器表面に不連続で不均質に凹凸面や凹凸模様を形成させることができる。
バレル研磨に関しては、一般的には、バレル研磨は、工作物(本明細書では前記金属製洋食器)をバレル(barrel=樽)の中に所定寸法で所定形状の粒子状の研磨材、媒材(コンパウンド)とともに入れ、バレルを回転・上下運動させることにより研磨を行う方法であり、媒材が固形の場合を乾式バレル、また媒材に水を加えることもあり、その場合は湿式バレルと呼ばれ、本願発明では手作り感やヴィンテージ感を得るために、乾式バレルと湿式バレルを使い分ける。
また、バレル研磨に関しては、一般的には、回転形バレル研磨、振動形バレル研磨、遠心流動形バレル研磨、などが知られており、本願発明では手作り感やヴィンテージ感を得るために適宜選択する。
そして、回転形バレル研磨に関しては、バレル容器内に工作物、所定寸法で所定形状の粒子状の研磨材、コンパウンド、水等を容器の約1/2の容量を入れて回転させ、内容物の流れによって加工を行う研磨装置が知られており、例えば回転軸が水平な水平形と傾いている傾斜形があり、通常、毎分6~30回転が用いられるが、本願発明では手作り感やヴィンテージ感の表現を得るため
、研磨材の寸法や形状や回転数を選択する。
また、振動形バレル研磨に関しては、バレル容器内に工作物、所定寸法で所定形状の粒子状の研磨材、コンパウンド、水などを入れ、容器を振動させて工作物と前記研磨材との間に相対運動を生じさせて加工を行うバレル研磨装置が知られており、回転形バレル研磨に比べて数倍から数十倍の加工能率を有し、バリ取り・丸み付けなど短時間仕上げに向いているが、本願発明では手作り感やヴィンテージ感を得るため、研磨材の寸法や形状や振動レベルを選択する。
さらに、遠心流動形バレル研磨に関しては、回転形バレル研磨の1種であり、通常の回転バレルの工作物や所定寸法で所定形状の粒子状の研磨材の流れによる加工は、見かけ上の圧力が地球の重力で限定されるが、その回転バレルを毎分100~200回転するタレット上に取り付け、タレットの回転による遠心力から発生する圧力で高能率な研磨が可能になる研磨装置が知られており、研磨材の寸法や形状や回転数に関しては本願発明の手作り感やヴィンテージ感の表現の変化によって、選択するものとする。
また、一般的にバレル研磨では、工作物(本明細書では前記金属製洋食器)は比較的小さいものであり、バレル内に複数の工作物を入れ同時に研磨することも多い。バレルの回転は一様では無く、上下に動かしながら回転、あるいは振動を加えるなどして工作物と研磨材をバレル内で動かして加工を行う。
この時の研磨材の粒子によって生じる打痕を本願出願人は手作り感やヴィンテージ感の一つとして利用する。
また、バレル研磨では、研磨材粒子は小さくかつ自由に動くため、段付き面など機械で研磨しにくい場所であっても仕上げが可能であるが、工作物の角面が丸まる、バレル痕と呼ばれる僅かなへこみが発生することがあり、本願発明ではこのバレル痕も手作り感やヴィンテージ感を表現するためのものである。
本願発明では次いで、バレル研磨した金属製洋食器に黒染め処理を行うことにより、それらの表面に四三酸化鉄の皮膜を形成させるため、優れた耐食性を発揮する。
さらに、同黒染め処理をした金属製洋食器に第2のバレル研磨処理を行うことによって、黒みを帯びた重厚なヴィンテージ感の金属製洋食器に変身する。
黒染めしただけのものは全面が真っ黒であって、全くヴィンテージ感が無いが、更にバレル研磨を施せば黒みを帯びた重厚なヴィンテージ感の金属製洋食器となるのである。
そしてまた、前記第1のバレル研磨処理の後に、サンドブラスト処理を行えば、基材表面に梨地模様を形成することができ趣の異なる優れた外観を呈するものとなる。
サンドブラストに関しては、一般的には、サンドブラスト(Sandblasting)は、ショット・ブラストの一種であり、工作物の表面に砂などの研磨材(硅砂などが多用されている)を吹き付ける加工法のことである。
サンドブラストは、一般的には、塗装スケールの除去、錆取りや塗装剥がしなどの塗装前処理(下地処理)のほか、接着面の下地処理や、梨地仕上、シボ金型の表面仕上、鋳物、陶磁器、ガラス工芸品、石材などに表面処理、装飾、彫刻を施す為にも用いられている。
サンドブラストは、元々は硅砂などが多用されており、今日でも使用されているが、近年のサンドブラストに使われる研磨材はアルミナ粉末やガラスビーズなどが多く使用されているが、アルミナ粉末以外の金属製の粉末やナイロンなどの樹脂系やクルミの殻や桃の種のなどの植物系などもあり、研磨材のバリエーションも多く、対象物の状態や性質に応じて、粒度や形状を変えることで多様な用途に対応可能である。
また、サンドブラストは「削る」「叩き落とす」などが最も多い処理であるが、近年では「磨く」という処理が可能なものもある。
また、サンドブラストは、ソフトブラストとハードブラストという加工法の分類も知られている。例えばソフトブラストは、研磨材にガラスビーズを使用するもので、美装のための加工方法であり、本来の金属肌とは違った光沢を出すことができ、とくに、無塗装で使用するアルミ部品(シリンダーなど)をソフトブラスト処理した場合、アルミの表面に発生しがちな白い酸化膜の発生をある程度抑えることが可能である。
また例えばハードブラストは、一般的には塗装前処理のための加工方法であり、塗装や汚れを剥離させた上で、接着面を粗面化させる事により、塗料と金属面の密着力を高めたり、サビの除去に好適であり、研磨材には、対象物の状態や性質に応じて、粒度や形状の異なる数種類のサンドやアルミナ粉末やその他金属製の粉末を使い分けるものとする。
本願発明では、ダメージ加工感、アンティーク風、オールド感、年代物感、などの感性や古物感の表現の変化によって、ソフトブラストとハードブラストを使い分けるものとする。
さらに、サンドブラスト処理は、バレル研磨では処理ができない部分、例えばカップの取っ手の付け根部分等の狭い隙間部分等を研削・研磨する場合に友好である。
本願発明において、金属製洋食器の表面にヴィンテージ感を形成させることに関しては、まず、本願明細書で使用する「ヴィンテージ感」の意味は、「ヴィンテージ物」とは異なり、新しい製品、新しい金属製洋食器ではあるが、外観や質感が「年代物」に感じられるようなものを意味する。
また、本願発明における前記「ヴィンテージ感」の形成手段は、機械装置を用いた金属製洋食器の表面処理手段の一つであるが、金型を使用しないで、バレル研磨処理だけで不連続で不均質に凹凸面や凹凸模様のヴィンテージ感を形成させるものである。
実施例1:
以下、本願発明の実施例について説明する。
まず、回転バレル研磨装置のバレル研磨槽中にステンレススチール(SUS316)製のスプーン(1本:30g)20本と研磨用メディア2,000gとを入れた。また、2,000mlの水と、洗浄剤としてのコンパウンドも入れた。
コンパウンドの濃度は、水との混合液中で2%とした。全内容物の装入量はバレル研磨槽容積の55%とし、バレル研磨槽を20rpmで10時間回転させて、第1のバレル研磨処理を終えた。
次いで、前記第1のバレル研磨処理済みのスプーンを黒染め処理した。
処理は、同スプーンを120~140℃の苛性ソーダ水溶液(濃度40%)に20~30分間浸漬して、その表面に四三酸化鉄(Fe34)の黒色被膜(厚さ3μm程度)を生成させることにより実施した。
最後に、前記黒染め処理をしたスプーンに対して、第2のバレル研磨処理を行った。処理条件は第1のバレル研磨処理と同様にして行った。
実施例2:
まず、回転バレル研磨装置のバレル研磨槽中にステンレススチール(SUS316)製の楕円形の皿(3枚:300g)2枚と研磨用メディア2,000gとを入れた。また、2,000mlの水と、洗浄剤としてのコンパウンドも入れた。
コンパウンドの濃度は、水との混合液中で2%とした。全内容物の装入量はバレル研磨槽容積の55%とし、バレル研磨槽を20rpmで10時間回転させて、第1のバレル研磨処理を終えた。
次いで、前記第1のバレル研磨処理済みの楕円形の皿を黒染め処理した。
処理は、同楕円形の皿を120~140℃の苛性ソーダ水溶液(濃度40%)に20~30分間浸漬して、その表面に四三酸化鉄(Fe34)の黒色被膜(厚さ3μm程度)を生成させることにより実施した。
最後に、前記黒染め処理をした楕円形の皿に対して、第2のバレル研磨処理を行った。処理条件は第1のバレル研磨処理と同様にして行った。
比較例1:
回転バレル研磨装置のバレル研磨槽中にステンレススチール(SUS316)製のスプーン(1本:30g)20本と研磨用メディア2,000gとを入れた。また、2,000mlの水と、洗浄剤としてのコンパウンドも入れた。
コンパウンドの濃度は、水との混合液中で2%とした。全内容物の装入量はバレル研磨槽容積の55%とし、バレル研磨槽を20rpmで10時間回転させた。
比較例:2
回転バレル研磨装置のバレル研磨槽中にステンレススチール(SUS316)製の楕円形の皿(1枚:300g)2枚と研磨用メディア2,000gとを入れた。また、2,000mlの水と、洗浄剤としてのコンパウンドも入れた。
コンパウンドの濃度は、水との混合液中で2%とした。全内容物の装入量はバレル研磨槽容積の55%とし、バレル研磨槽を20rpmで10時間回転させた。
次に、5名のモニター(A(35歳男)、B(29歳女)、C(45歳男)、D(56歳男)、E(25歳女)、F(62歳男))により、前記実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2で製作されれたスプーン及び楕円形の皿の「ヴィンテージ感」の観察会を実施した。
その結果結果は表1のとおりであった。
Figure 0007224033000001
以上の結果から、本願発明方法で製作された金属製洋食器のスプーンや楕円形の皿は、従来のヴィンテージ感の金属製洋食器に比較して、重厚なヴィンテージ感を有するものであることが理解される。
実施例3:
以下、本願発明の実施例について説明する。
まず、回転バレル研磨装置のバレル研磨槽中にステンレススチール(SUS316)製二重壁のコーヒーカップ(1個:140g)5個と研磨用メディア2,000gとを入れた。また、2,000mlの水と、洗浄剤としてのコンパウンドも入れた。
コンパウンドの濃度は、水との混合液中で2%とした。全内容物の装入量はバレル研磨槽容積の55%とし、バレル研磨槽を20rpmで10時間回転させて、第1のバレル研磨処理を終えた。
次いで、前記第1のバレル研磨処理済みのコーヒーカップを黒染め処理した。
処理は、同コーヒーカップを120~140℃の苛性ソーダ水溶液(濃度40%)に20~30分間浸漬して、その表面に四三酸化鉄(Fe34)の黒色被膜(厚さ3μm程度)を生成させることにより実施した。
さらに、前記黒染め処理をしたコーヒーカップに対して、第2のバレル研磨処理を行った。処理条件は第1のバレル研磨処理と同様にして行った。
最後に、コーヒーカップの内面に、粒径180~250μm、モース硬度:12、比重:3.96の褐色アルミナセラミック粒子よりなるメデイァを使用してサンドブラスト処理を行った。
以上の方法で得られたコーヒーカップを図1(写真1)に示す。
図1(写真1)で見受けられるごとく、外面が非常に渋い光沢のある薄黒色で重厚なヴィンテージ感を呈し、かつ内側面は光沢のある梨地の金属素地面を備えた斬新なコーヒーカップであった。
なお、メディアとして、モース硬度6程度のガラスビーズを使用すると、ソフトな外観の物が得られるので好ましい。
比較例3:
回転バレル研磨装置のバレル研磨槽中にステンレススチール(SUS316)製二重壁のコーヒーカップ(1個:140g)5個と研磨用メディア2,000gとを入れた。また、2,000mlの水と、洗浄剤としてのコンパウンドも入れた。
コンパウンドの濃度は、水との混合液中で2%とした。全内容物の装入量はバレル研磨槽容積の55%とし、バレル研磨槽を20rpmで10時間回転させた。
以上の方法で得られたコーヒーカップは図2(写真2)に示すごとくヴィンテージ感を有するけれども、フラットな感じで重厚感は全くないのものであった。
以上の結果から、本実施例3方法で製作された金属製洋食器のコーヒーカップは、従来の比較例3で製作されたフラットなヴィンテージ感のコーヒーカップに比較して、非常に渋みのある重厚なヴィンテージ感を有する斬新なものであることが理解される。
以上の説明では金属製洋食器を対象としているが、本願発明技術は他の金属製家具調度類等にも適用して重厚なヴィンテージ感を形成することもできる。

Claims (4)

  1. 金属製洋食器の基材表面に、重厚なヴィンテージ感を形成させる金属製洋食器の表面処理方法であって、
    前記基材表面をバレル研磨して、研磨材によって生じる打痕や凹凸痕を基材表面に形成する第1のバレル研磨処理工程と、
    前記第1のバレル研磨処理面に黒染めによる酸化処理を行う酸化処理工程と、
    更に、前記酸化処理面に再度バレル研磨をして打痕や凹凸痕を形成する第2のバレル研磨処理工程とからなることを特徴とする金属製洋食器の表面処理方法。
  2. 金属製洋食器が、ステンレススチール製のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製洋食器の表面処理方法。
  3. 金属製洋食器が、以下に記載の中から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製洋食器の表面処理方法。
    フォーク、デザートフォーク、ナイフ、ディナーナイフ、バターナイフ、スプーン、ティースプーン、デザートスプーン、テーブルスプーン、スープスプーン、ティーカップ、コーヒーカップの受け皿として用いられるソーサー、スープ皿、スープボウル(スープ鉢)、スープカップ、シチュー皿、カレー皿、グラタン皿、ステーキ皿、ドリンクウェア(コップなどの飲料に用する食器)として知られるコップ(カップ)、ティーカップ、コーヒーカップ、マグ(取っ手の付いた円筒形のコップ)、ビアマグ(ビール用のマグ)、ジョッキ(取っ手の付いた寸胴形の容器でマグよりも大きい)、ビールジョッキ、タンブラー(寸胴型のコップ)又はタンブラーグラス。
  4. 金属製洋食器が、以下に記載の中から選択されるいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製洋食器の表面処理方法。
    ケトル、、カクテルシェーカー、メジャーカップ、包丁、パンスライサー、果物ナイフ、ペティナイフ、鍋、又はトレー。
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