JP2670961B2 - 装飾体の製造方法 - Google Patents

装飾体の製造方法

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JP2670961B2
JP2670961B2 JP5085423A JP8542393A JP2670961B2 JP 2670961 B2 JP2670961 B2 JP 2670961B2 JP 5085423 A JP5085423 A JP 5085423A JP 8542393 A JP8542393 A JP 8542393A JP 2670961 B2 JP2670961 B2 JP 2670961B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は装飾体の製造方法に関す
る。より詳しくは本発明は、これまで下地研磨、スケー
ルやバリの除去、表面の艶だしの目的で使用されていた
バレル研磨材を物品表面の装飾のために用いる装飾体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】物品の表面を装飾した装飾体の製造は、
従来、装飾模様を有するシート状物または装飾物を基材
に取付けることにより行われている。装飾模様を有する
シート状物は、天然の石や木材を薄く切ったものや、そ
れに類似する人工物、さらには幾何模様などを印刷した
紙や板などが多く使用されている。また、装飾物として
は二次元または三次元の彫刻、寄木細工、モザイク細工
などが用いられている。しかしながら、装飾模様を有す
るシート状物による装飾は、基材に接着剤により貼付さ
れて行われるので、平坦な基材への取付けは簡単である
ものの、湾曲部や複雑な形状の部分への取付けは難しい
という問題がある。さらに、接着剤により貼付されただ
けであるので、基材から剥離しやすい。特に、棒状の基
材に巻き付けて貼付する場合や、大きな基材に継ぎ目を
設けて貼付する場合、さらには基材が複雑な形状の場
合、剥離は一層生じやすい。また、彫刻や寄木細工など
の装飾物は製造に手間がかかり、しかも、複雑な形状の
基材への取付けは非常に困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の問題点を解決するためになされたものであり、装飾
物が堅固に基材と一体化し、かつその外観が美麗であ
り、しかも複雑な形状の基材の装飾も容易にできる装飾
体の製造方法の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の装飾
体の製造方法は、基材表面に銀、亜鉛、コバルト、クロ
ム、スズ、銅−亜鉛、銅−スズ、銅−鉛、鉛−スズ、ス
ズ−亜鉛およびスズ−コバルトからなる群から選択され
る非黒色系めっき層を1層形成し、その上に黒色ニッケ
ルおよび黒色クロムからなる群から選択される黒色系め
っき層を1層形成しためっき後の基材をバレル研磨材で
処理して前記めっき層に凹凸を形成し、基材表面に黒色
系めっき層と基材自体または非黒色系めっき層とを露出
させた後に、仕上げ塗装することを特徴とする。
【0005】本発明において使用される基材は、装飾処
理が施されるべき物品を意味し、その材質は金属であっ
てもプラスチックであってもよい。具体的には、鉄鋼、
非鉄金属、各種合金等の金属または繊維で強化されてい
てもよいビニル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂等のプラスチックからなるライター、灰皿、時
計等のフレーム、各種把手、各種容器、額縁、筆記用具
やペーパーウエイト等の文房具その他が例示されるが、
これらに限定されるものではない。
【0006】上記基材に施されるめっきは、基材に直接
形成されるめっき層は銀、亜鉛、コバルト、クロム、ス
ズ、銅−亜鉛、銅−スズ、銅−鉛、鉛−スズ、スズ−亜
鉛およびスズ−コバルトからなる群から選択される非黒
色系めっき層であり、その上に形成されるめっき層は
色ニッケルおよび黒色クロムからなる群から選択される
黒色系めっき層であり、それらめっきの種類は使用され
た基材や研磨材、および装飾後の所望の色あいなどを考
慮して適宜選択される。また、めっき方法も電気めっ
き、無電解めっき(化学めっき)、溶融めっき、衝撃め
っきなどの中から適宜選択され得る。また、上記の非黒
色系めっき層および黒色系めっき層はいずれも1層のみ
形成される。このような本発明のめっき層の構成を有す
る基材をバレル研磨処理することにより、めっき第1層
の非黒色系の金属系の色と黒色系めっきの黒色系の色と
がまだらに混じりあった大理石様の装飾模様が得られ
る。また、上記黒色系めっきは研磨処理の度合いによっ
て、黒色の他に、茶色、青色、紫色などの様々な色とす
ることができる。さらに、めっき浴の適当な選択により
赤色、紫色、青色、茶色系などのめっき層を施した後
に、研磨処理を行うと、種々の色を有し、それぞれ趣の
ある装飾体とすることも可能である。さらに、選択した
基材やめっき方法によってはめっき前に下地研磨、アル
カリ洗い、酸洗い、中間層生成の工程が必要な場合もあ
る。
【0007】本発明において使用されるバレル研磨材と
は、研削作用を有する硬質物質および加工面の仕上げや
艶出し等の琢磨作用を有する硬質物質であり、一般に研
削材、琢磨材と呼ばれるもので、かつ、めっき面に凹凸
を形成し得るもののうちバレル研磨に使用されるもの
意味し、天然品であっても、人工品であってもよい。天
然品として例えば砂石、コランダム、エメリー、ザクロ
石、フリント、金剛砂、粘土類、滑石、微晶質ケイ酸、
スピネル、ケイ砂等が挙げられ、人工品として合成ダイ
ヤ、立方晶窒化ホウ素、アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホ
ウ素、酸化クロム、酸化セリウム、酸化鉄、ケイ酸コロ
イド、人工エメリー、融解ジルコニア等を例示できる。
また、これら研磨材に慣用の結合剤や助剤等を配合し、
固めたものでもよい。上記研磨材は1種のみ、または2
種以上を組み合わせて用いることができ、その種類や粒
径・粒度等はめっきの種類や研磨法に応じて適宜選択さ
れるものである。なお、粗仕上げ用の研磨材を用いると
比較的粗い凹凸が形成され、仕上げ用の研磨材ではより
密な凹凸が形成されて、それぞれ異なった感じの模様が
得られる。また、バレル研磨材による研磨処理には、
扱いやすさや環境保護の点で乾式のバレル研磨が通常用
いられる。研磨処理の時間もまた、施すめっきや用いる
研磨材の種類、または所望の模様に応じて、通常5分な
いし2時間の間から適宜選択される。さらに、研磨処理
は、めっき面の一部のみに施すこともできる。これは通
常、研磨処理する以外の部分をマスクして行われる。こ
のような一部のみへの研磨処理により、物品の装飾にア
クセントをつけることができる。
【0008】本発明において行われる仕上げ塗装は、め
っき面に形成した凹凸模様を損なうことなく、基材表面
を保護するために行われるもので、透明であれば、無色
であっても有色であってもよい。油性塗料、酒精塗料、
セルロース誘導体塗料および合成樹脂塗料などから選ば
れる塗料が、はけ塗り、ロール塗り、吹付、静電塗装、
カーテンフローコーター、浸漬などにより塗装される。
【0009】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて図面を参照し
ながら説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 実施例1 鉄鋼板から成形して製造したライターを銀めっき浴(シ
アン化銀36g/l,シアン化カリウム60g/l,炭
酸カリウム15g/l)中に浸漬し、20〜30℃、
0.5〜1.5A/dmで電気めっきして数μmの厚
さの銀めっきを施す。次に、銀めっきをしたライターを
黒色クロムめっき浴(クロム酸200g/l,スルファ
ミン酸アンモニウム10g/l)中に浸漬し、30℃以
下の温度、50A/dmで数秒間電気めっきして黒色
クロムめっきを施す。乾式バレル装置のメディアとして
粗仕上げ用のバレル研磨材〔商品名:Gチップ(ヒシ
形),日本磨料工業株式会社製〕を用いて、上記の2層
のめっきを施したライターにバレル研磨を施し、5分、
10分、30分および1時間後に数個ずつ取り出した。
各々の時間研磨処理したライターに仕上げ塗装として、
セルロース誘導体塗料の一種であるクリアラッカーをス
プレー塗装した。研磨時間が少なかったものほど、黒色
が多かったが、いずれも、銀色の地に黒色がまだらに入
った、いわゆる大理石様の模様が施され、かつ、銀めっ
きに形成された凹凸が光を散乱させ、通常の単色のもの
に比べはるかに美麗な高級感のあるライターが得られ
た。このようにして得られた装飾体(ライター)の断面
図を図1に示す。基材1上の銀めっき層2に細かい凹凸
が形成され、その上に黒色クロムめっき層3が点在して
おり、そして最上層には仕上げ塗装4が施されている。
【0010】実施例2 アルミニウムダイカストからなるレバー型のドアノブに
慣用の方法で黄銅めっき、次に黒色ニッケルめっきを施
した後、乾式バレル装置のメディアとして仕上げ用のバ
レル研磨材〔商品名:トサリット(塊状品),宇治電化
工業株式会社製〕を用いて、ドアノブを10分間研磨処
理し、最後に熱硬化型アクリル樹脂塗料をスプレー塗装
し、加熱硬化させて仕上げ塗装を施した。金色の地に黒
色がまだらに混ざった大理石様の模様が施されたドアノ
ブが製造された。これは、単に黄銅めっきを施したもの
や、アルミニウムダイカストを研磨したものに比べ、格
段に美麗であり、重厚な感じを与えるドアノブだった。
【0012】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の装
飾体の製造方法は、物品に装飾を施すために初めてバレ
研磨材を用いたものである。つまり、従来、バレル
磨材は金属物品のめっきや塗装下地研磨、バリ、スケー
ル、カエリの除去や艷出しのために用いられていたもの
であり、本発明のように、めっきを施し、そのめっき面
に凹凸を形成して装飾模様とするためにバレル研磨材を
使用するという技術は今まで提案されたことはなかっ
た。用いるバレル研磨材により特定の凹凸が形成され、
その凹凸パターンに応じて物品表面からの光の散乱具合
がさまざまに変化し、それぞれの美観を与え、高級感を
もたらす。特に、めっき層を黒色以外の色と黒色とを組
み合わせて設けることにより、大理石様の模様を呈し、
視覚から重量感を与え、高級感はさらに向上する。ま
た、めっき層を様々な色としたり、研磨処理の度合いを
変えることにより、装飾模様は種々の色を呈するので、
それぞれ趣の異なった装飾体を得ることができる。基材
に施しためっきに直接凹凸模様を形成するので、シート
状物や装飾物を基材に取りつける方法に比べ、該模様は
堅固に基材と一体化し、剥離しない。また、湾曲部を有
する基材や複雑な形状の基材であっても、容易に、しか
も同様に堅固な装飾を施すことができる。本発明の方法
は、めっきと、研磨と、塗装とからなり、特別な操作が
なく簡単に行うことができ、従来の処理設備および装置
がそのまま使用でき、新たな設備投資が不要で、ひいて
は処理コストの低下が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1において得られた装飾体の断
面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 銀めっき層 3 黒色クロムめっき層 4 仕上げ塗装

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に銀、亜鉛、コバルト、クロ
    ム、スズ、銅−亜鉛、銅−スズ、銅−鉛、鉛−スズ、ス
    ズ−亜鉛およびスズ−コバルトからなる群から選択され
    る非黒色系めっき層を1層形成し、その上に黒色ニッケ
    ルおよび黒色クロムからなる群から選択される黒色系め
    っき層を1層形成しためっき後の基材をバレル研磨材で
    処理して前記めっき層に凹凸を形成し、基材表面に黒色
    系めっき層と基材自体または非黒色系めっき層とを露出
    させた後に、仕上げ塗装することを特徴とする装飾体の
    製造方法。
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