JP2001081544A - チタン、あるいはチタン合金製食器およびその表面処理方法 - Google Patents

チタン、あるいはチタン合金製食器およびその表面処理方法

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JP2001081544A
JP2001081544A JP25869999A JP25869999A JP2001081544A JP 2001081544 A JP2001081544 A JP 2001081544A JP 25869999 A JP25869999 A JP 25869999A JP 25869999 A JP25869999 A JP 25869999A JP 2001081544 A JP2001081544 A JP 2001081544A
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tableware
titanium alloy
nitrogen
oxygen
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Hachiro Kushida
八郎 串田
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Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 美観を損なわず外観品質が優れたチタンおよ
びチタン合金製食器およびその表面処理方法を提供す
る。 【解決手段】 真空槽内にチタン、あるいはチタン合金
製食器を配置し、加熱して焼鈍処理した後、微量の酸素
成分を含有する窒素主体の混合ガスを真空槽内に導入
し、所定の減圧状態下で該真空槽内を700〜800℃
の温度で所定時間加熱し、チタン、あるいはチタン合金
製食器の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶させ
た後、チタン、あるいはチタン合金製食器を常温まで冷
却する。この結果、チタン、あるいはチタン合金製食器
に、窒素および酸素を固溶する第1の硬化層と、酸素を
固溶する第2の硬化層とを含む表面硬化層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食器(刃物類、あ
るいはナイフ、フォーク、スプーンなどの食卓用金物
等)に関する。詳しくは、チタン、あるいはチタン合金
製食器を硬質化する技術に係わる。
【0002】
【従来の技術】現在、食器として、ステンレススティー
ル製のナイフ、フォーク、スプーンなどが広く使われて
いる。しかしながら、ステンレススティール製の食器は
重いため、食事がしにくかった。特に、幼児や高齢者に
は、重いステンレススティール製の食器は、はなはだ扱
いにくかった。
【0003】また、ステンレススティール製の食器は、
酢やマヨネーズを用いた料理に使用していると、ステン
レススティールから鉄イオンなどが微量に遊離する。よ
って、料理に鉄の匂いが混ざってしまい、料理の味が落
ちるおそれがあった。
【0004】このため、近年、チタン、あるいはチタン
合金製の食器が使われ出した。かかる食器は、軽く、か
つイオン化しにくいという長所をもつ。しかしながら、
チタン、あるいはチタン合金製の食器は、その表面硬度
が低いため傷つきやすく、長い間使用していると、食器
の鏡面が傷で曇ってしまい、外観が劣ってくるという問
題があった。
【0005】そこで、チタン、あるいはチタン合金の表
面硬度の低さを補うため、種々の表面硬化処理が試みら
れている。チタン、あるいはチタン合金製の食器自体を
硬化処理する技術としては、イオン注入、イオン窒化、
浸炭などが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
表面硬化処理では、処理時間が長く、生産性が悪いとい
う問題があった。また、処理温度が高いため、表面の結
晶粒が粗大化したり、窒素や酸素などの固容される元素
とチタンが化合物層を形成して表面が粗くなってしま
い、食器の表面を美しい鏡面に保つことができない欠点
があった。さらに、表面から深い領域に達する硬化層を
得ることが難しいので、長い間使用していると、傷が生
じ、食器の外観品質が低下するという問題があった。
【0007】本発明は、上記従来の間題点を解決し、表
面から深い領域に達する硬化層を得ることによって、長
時間の使用しても表面を美しい鏡面に保つことができる
優れた外観品質を有するチタン、あるいはチタン合金製
食器を提供することを目的とする。また、前記優れた外
観品質を得るために、チタン、あるいはチタン合金製食
器に施す生産性の高い表面処理方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1の発明に係わるチタ
ン、あるいはチタン合金製食器は、表面から任意の深さ
で表面硬質層が形成されたチタン、あるいはチタン合金
製食器であつて、前記表面硬質層は、表面から任意の深
さまでの領域に形成された窒素および酸素を固溶する第
1の硬化層と、該第1の硬化層より深い任意の領域に形
成された第2の硬化層とを含むことを特徴とする。
【0009】また、請求項2の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器は、請求項1記載のチタン、あ
るいはチタン合金製食器において、前記第1の硬化層
が、0.6〜8.0重量%の窒素と1.0〜14.0重
量%の酸素とを固溶しており、前記第2の硬化層が、
0.5〜14.0重量%の酸素とを固溶していることを
特徴とする。
【0010】また、請求項3の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器は、請求項1記載のチタン、あ
るいはチタン合金製食器において、前前記第1の硬化層
が、表面からほぼ1μmの深さの領域に形成され、前記
第2の硬化層が、前記第1の硬化層よりも深く、表面か
らほぼ20μmの深さの領域に形成されていることを特
徴とする。
【0011】また、請求項4の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の表面処理方法は、真空槽内に
チタン、あるいはチタン合金製食器を配置して、加熱し
て焼鈍処理する加熱行程と、前記加熱行程の後、微量の
酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを前記真空槽内
に導入し、所定の減圧状態下該で真空槽内を700〜8
00℃の温度で所定時間加熱することにより、前記チタ
ン、あるいはチタン合金製食器の表面から内部へ窒素お
よび酸素を拡散固溶させる硬化処理工程と、前記硬化処
理工程の後、前記チタン、あるいはチタン合金製食器を
常温まで、冷却する冷却冷却工程と、前記冷却工程の
後、前記カラトリーを研磨する研磨工程とを含むことを
特徴とする。
【0012】また、請求項5の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4記
載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法
おいて、前記加熱工程は、前記真空槽内を真空排気した
減圧状態の下で行うことを特徴とする。
【0013】また、請求項6の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4記
載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法
おいて、前記加熱工程は、前記真空槽内を真空排気した
後、該真空槽内に不活性ガスを導入した減圧状態の下で
行うことを特徴とする。
【0014】また、請求項7の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4記
載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法
おいて、前記冷却工程は、前記真空槽内を高真空排気し
て前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを
除去するとともに、該真空雰囲気の下で行うことを特徴
とする。
【0015】また、請求項8の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4記
載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法
おいて、前記冷却工程は、前記真空槽内を高真空排気し
て前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを
除去し、続いて前記真空槽内に不活性ガスを導入した減
圧状態の下で行うことを特徴とする。
【0016】また、請求項9の発明に係わるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4記
載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法
おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合
ガスが、窒素ガスに、微量の酸素ガスを含有したもので
あることを特徴とする。
【0017】また、請求項10の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項9
記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方
法おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混
合ガスが、微量の水素ガスを含有したものであることを
特徴とする。
【0018】また、請求項11の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4
記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方
法おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混
合ガスが、窒素ガスに、微量の水蒸気を含有したもので
あることを特徴とする。
【0019】また、請求項12の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
1記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の
混合ガスが、微量の二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガ
スを含有したものであることを特徴とする。
【0020】また、請求項13の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項4
記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方
法おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混
合ガスが、窒素に、微量のアルコールガスを含有したも
のであることを特徴とする。
【0021】また、請求項14の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、真空槽内
にチタン、あるいはチタン合金製食器を配置して、加熱
して焼鈍処理する加熱行程と、前記加熱行程の後、前記
真空槽内を真空排気して前記不活性ガスを除去し、続い
て微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを前記
真空槽内に導入するとともに同真空槽内を大気圧に調整
し、かつ該真空槽内を700〜800℃の温度で所定時
間加熱することにより、前記チタン、あるいはチタン合
金製食器の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶さ
せる硬化処理工程と、前記硬化処理工程の後、前記チタ
ン、あるいはチタン合金製食器を常温まで、冷却する冷
却冷却工程と、前記冷却工程の後、前記カラトリーを研
磨する研磨工程とを含むことを特徴とする。
【0022】また、請求項15の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法において、前記加熱工程が、前記真空槽内を真空排
気した減圧状態の下で行われることを特徴とする。
【0023】また、請求項16の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法おいて、前記加熱工程が、前記真空槽内を真空排気
した後、該真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧に調
整した雰囲気の下で行われることを特徴とする。
【0024】また、請求項17の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法おいて、前記冷却工程が、前記真空槽内を高真空排
気して前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガ
スを除去するとともに、該真空雰囲気の下で行われるこ
とを特徴とする。
【0025】また、請求項18の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法おいて、前記冷却工程が、前記真空槽内を高真空排
気して前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガ
スを除去し、続いて前記真空槽内に不活性ガスを導入し
て大気圧に調整した雰囲気の下で行われることを特徴と
する。
【0026】また、請求項19の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の
混合ガスが、窒素ガスに、微量の酸素ガスを含有したも
のであることを特徴とする。
【0027】また、請求項20の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器の表面処理方法は、請求項1
4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
方法おいて、前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の
混合ガスが、窒素ガスに、微量の水蒸気を含有したもの
であることを特徴とする。
【0028】また、請求項21の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器は、請求項1から請求項3の
いずれか1項に記載のチタン、あるいはチタン合金製食
器において、前記第1の硬化層の上に、硬質被膜が被覆
されていることを特徴とする。
【0029】また、請求項22の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器は、請求項21に記載のチタ
ン、あるいはチタン合金製食器において、前記硬質被膜
が、周期律表の4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化
物、酸化物、窒炭化物あるいは窒炭酸化物であることを
特徴とする。
【0030】また、請求項23の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器は、請求項21又は請求項2
2に記載のチタン、あるいはチタン合金製食器におい
て、前記硬質被膜が、金色色調を呈することを特徴とす
る。
【0031】また、請求項24の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器は、請求項23に記載のチタ
ン、あるいはチタン合金製食器において、前記硬質被膜
の上に金合金被膜が被覆されることを特徴とする。
【0032】また、請求項25の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器は、請求項24に記載のチタ
ン、あるいはチタン合金製食器において、前記金合金被
膜が、Al、Si、V、Cr、Ti、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、
Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、
W、Ir、Ptから選ばれた少なくとも1つの金属と金
との合金であることを特徴とする。
【0033】また、請求項26の発明に係わるチタン、
あるいはチタン合金製食器は、請求項1から3のいずれ
か1項に記載のチタン、あるいはチタン合金製食器にお
いて、前記第1の硬化層の表面を研磨処理したことを特
徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1、図
2、図3及び図4を用いて本発明の第1の実施の形態を
説明する。図1は、本発明方法により表面硬化処理した
被処理部材のビッカース硬度を測定した結果を示す図で
ある。図2は、本実施形態におけるチタン、あるいはチ
タン合金製食器の表面部分の断面状態を示す模式図であ
る。図3は、本実施形態で使用した表面処理装置の概要
を示す模式図である。図4は、チタン、あるいはチタン
合金製食器の表面からの深さに対する窒素含有量及び酸
素含有量を測定した結果を示す図である。以下図を用い
て詳細に説明する。
【0035】図2に示すように、チタン、あるいはチタ
ン合金製食器100の表面部分には、表面硬化層101
が形成されている。この表面硬化層101は、表面から
ほぼ20μmの深さまで広がっている。この表面硬化層
101は、窒素104および酸素105が固溶している
第1の硬化層102と、酸素105が固溶している第2
の硬化層103とに分けられる。第1の硬化層102
は、表面からほぼ1μmの深さまでの領域に認められ、
それ以上の深さ領域が第2の硬化層103となってい
る。窒素104および酸素105が固溶している第1の
硬化層102は、特に硬度が高く部材表面の傷付きを防
止する機能を有している。また、第2の硬化層103
は、部材の深部まで硬化範囲を広げ、耐衝撃性を向上さ
せる機能を有している。
【0036】このように窒素および酸素が固溶した第1
の硬化層と、酸素が固溶した第2の硬化層とをもって表
面硬化層を形成することにより、表面粗れがなく外観品
質に優れるとともに、充分な硬度を備えることが可能と
なった。ここで、窒素および酸素の固溶可能な範囲は、
第1の硬化層において、窒素が0.6〜8.0重量%、
酸素が1.0〜14.0重量%であった。また、第2の
硬化層においては、酸素が0.5〜14.0重量%であ
った。したがって、上記の固溶可能な範囲でなるべく多
くの窒素または酸素を固溶していることが好ましい。た
だし、良好な外観品質を保持する観点から、表面粗れを
生じない範囲で窒素または酸素の固溶濃度を選定する必
要がある。
【0037】また、窒素および酸素を固溶する第1の硬
化層は、概ね部材表面から1.0μmまでの深さに形成
することが好ましい。このような深さに第1の硬化層を
形成することで、結晶粒の粗大化による表面粗れを抑制
するとともに、充分な表面硬度を得ることができた。一
方、酸素を固溶する第2の硬化層は、第1の硬化層より
深い領域で概ね20μmまでの深さに形成することが好
ましい。このような深さに第2の硬化層を形成すること
で、表面硬度を一層向上させることができる。
【0038】次に本実施形態に用いた表面処理装置の概
要について説明する。図3に示す表面処理装置は、真空
槽1を中心に構成してある。真空槽1の内部には、チタ
ン、あるいはチタン合金製食器100を載置するトレイ
2、および加熱手段としてのヒータ3が配設してある。
また、真空槽1には、ガス導入管4とガス排気管5が接
続してある。ガス導入管4は、図示しないガス供給源と
連通している。このガス導入管4の中間部にはガス導入
弁6が設けてあり、このガス導入弁6の開閉操作によ
り、真空槽1内に所要のガスを導入することができる。
一方、ガス排気管5は真空ポンプ7と連通しており、真
空ポンプ7の吸引力で真空槽1内のガスを吸引して排気
できるようになっている。なお、ガス排気管5の中間部
には、真空吸引動作の実行/停止を制御するための電磁
弁8が設けてある。さらに、真空槽1には大気開放管9
が接続してあり、同管9の中間部に設けたベント弁10
を開放することにより、真空槽1内の圧力を大気圧とす
ることができる。
【0039】次に、表面処理方法について説明する。本
実施形態における表面処理方法は、次の行程を含むこと
を特徴とする。 (1)真空槽内にチタン、あるいはチタン合金製食器1
00を配置し、加熱して焼鈍処理する加熱工程。 (2)加熱工程の後、微量の酸素成分を含有する窒素主
体の混合ガスを前記真空槽内に導入し、所定の減圧状態
下で該真空槽1内を700〜800℃の温度で所定時間
加熱することにより、チタン、あるいはチタン合金製食
器100の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶さ
せる硬化処理工程。 (3)硬化処理工程の後、チタン、あるいはチタン合金
製食器100を常温まで冷却する冷却工程。
【0040】前記加熱行程は、熱間鍛造加工や、その後
の研磨加工によって、前記チタン、あるいはチタン合金
製食器100の表面に発生する加工歪層を緩和する目的
で、前記チタン、あるいはチタン合金製食器100を加
熱し焼鈍処理する行程である。研磨加工により生ずる加
工歪層は、研磨加工時の応力が格子歪として残存するも
ので、アモルファス相か、あるいは結晶性が低下した状
態となっている。研磨加工後のチタン、あるいはチタン
合金製食器100に対し、焼鈍処理する加工工程を省略
して次の硬化処理工程を実施した場合、同硬化処理工程
において、加工歪層を緩和しながら窒素および酸素の拡
散、固溶を進行させることになる。
【0041】その結果、チタン、あるいはチタン合金製
食器100の表面における窒素と酸素との反応量が高ま
り、内部への拡散、固溶量が減少するとともに、表面近
傍に着色物質である窒化物および酸化物が形成される。
これら着色物質の形成は、外観品質を低下させるため好
ましくない。このため、本実施形態においては硬化処理
工程の前に加熱工程を挿入して加工歪を事前に除去し、
硬化処理工程における窒素および酸素の固溶を促進して
いる。この加熱工程は、真空槽内を真空排気した減圧状
態の下で行なうことが好ましい。あるいは、真空槽内を
真空排気した後、該真空槽内に不活性ガスを導入した減
圧状態下で行なうことが好ましい。加加熱工程をこのよ
うな雰囲気下で行なうことにより、チタン、あるいはチ
タン合金製食器が窒素および酸素成分(硬化処理工程で
導入)以外の不純物と反応することを防止することがで
きる。
【0042】次に硬化処理工程では、微量の酸素成分を
含有する窒素主体の混合ガスを前記真空槽内に導入し、
チタン、あるいはチタン合金製食器100の表面から内
部へ窒素および酸素を拡散固溶させる。この硬化処理工
程によって、前記チタン、あるいはチタン合金製食器1
00の表面近傍に、窒素と酸素が固溶した第1の硬化層
を形成するとともに、前記チタン、あるいはチタン合金
製食器100の深さ方向に酸素が深く固溶した第2の硬
化層が形成される。混合ガスに含有される微量の酸素成
分としては、酸素を含有する各種のガスを利用できる。
例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルアルコー
ルやメチルアルコールなどが上記酸素成分としてあげら
れる。さらに、水蒸気とともに二酸化炭素ガスまたは一
酸化炭素ガスを含有させてもよい。
【0043】この硬化処理工程においては、前記チタ
ン、あるいはチタン合金製食器ン100に対し、窒素と
微量の酸素成分が化合物を形成することなく前記チタ
ン、あるいはチタン合金製食器100の内部へと拡散、
固溶されなければならない。そのためには、同工程にお
ける処理温度が重要となる。そこで、この最適処理温度
を求めるため、JIS規格で定義された鏡面外観を有す
るチタン第2種材を被処理部材とし、処理温度を630
〜830℃の範囲で変化させて本発明方法に基づく表面
処理を実施した。微量の酸素成分を含有する窒素主体の
混合ガスとしては、99.4%の窒素に、2000pp
m(0.2%)の酸素と、4000ppm(0.4%)
の水素とを添加した混合ガスを用いた。真空槽内は減圧
状態とし、5時間の加熱処理を行なった。
【0044】硬化処理後の被処理部材に対し、そのビッ
カース硬度を測定した結果を図1に示す。同図から明ら
かなように、処理温度が700℃より低いと、ビッカー
ス硬度がHv=750以下となり、充分な硬化処理がな
されなかった。これは、700℃より低い処理温度で
は、被処理部材に対し、窒素および酸素が充分に拡散、
固溶しないため、第1の硬化層および第2の硬化層が適
正に形成されないことに起因する。一方、処理温度が8
00℃より高温の場合、被処理部材に対し窒素と酸素の
拡散、固溶速度が大きく、深い領域まで硬化層が得られ
る。このためビッカース硬度はHv=1100以上とな
った。
【0045】しかし、処理温度が800℃を越えると、
被処理部材の結晶粒が粗大化して表面粗れが発生するこ
とがわかった。したがって、800℃を越える処理温度
とした場合、外観品質を良好に保てない。この場合、表
面粗れが発生するため、後工程に表面研磨などを挿入す
る必要があった。以上の結果を踏まえ、700〜800
℃の温度範囲内で硬化処理工程を実施することとした。
上述した窒素主体の混合ガスにおける酸素成分の含有濃
度は任意でよいが、好ましくは窒素に対して酸素成分の
濃度を100〜30000ppmに調整する。すなわ
ち、酸素成分の濃度が100ppm(0.01%)より
小さいと酸素の固溶が充分に行なわれず、一方、酸素成
分の濃度が30000ppm(3%)を越えると、チタ
ン、あるいはチタン合金製食器の表面に酸化物層が形成
され、表面粗れを発生するおそれがある。
【0046】また、上述した硬化処理工程の減圧の程度
は任意でよいが、好ましくは0.01〜10Torrの
範囲内に真空槽内の圧力を調整する。また、硬化処理工
程において用いられる混合ガスに含有される微量の酸素
成分としては、酸素を含有する各種のガスを利用でき
る。例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルアル
コールやメチルアルコールなどのアルコールガスなどが
上記酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気ととも
に二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させても
よい。
【0047】次に冷却行程について説明する。冷却工程
は、硬化処理工程を終了した前記チタン、あるいはチタ
ン合金製食器100を、速やかに常温まで下げることを
目的とする。この冷却工程は、硬化処理工程と同一のガ
ス雰囲気で実施しないようにすることが好ましい。硬化
処理工程と同一のガス雰囲気で冷却工程を実施した場
合、前記チタン、あるいはチタン合金製食器100の表
面に窒化物や酸化物が形成され、外観品質を低下させて
しまうおそれがある。そこで、この冷却工程は、アルゴ
ン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気で実施することが
好ましい。すなわち、冷却工程は、真空槽内を高真空排
気して微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを
除去し、続いて真空槽内に不活性ガスを導入した減圧状
態下で常温まで冷却することが好ましい。なお、冷却工
程は、真空雰囲気の下で実施してもよい。
【0048】以下、本実施形態における表面処理方法の
具体的な処理条件について述べる。まず、チタン、ある
いはチタン合金製食器(被処理部材)として、JIS規
格で定義されたチタン第2種材を熱間鍛造、冷間鍛造、
あるいは両者の組み合わせによって、所望の形状に加工
したチタン、あるいはチタン合金製食器を製作した。ま
た、チタン、あるいはチタン合金製食器100の形状が
鍛造加工で得にくい場合には、切削加工を施しても良
い。次いで、前記チタン、あるいはチタン合金製食器1
00をバフ研磨で研磨して、食器の表面を鏡面に仕上げ
た。
【0049】次に、図3に示す表面処理装置を用いて、
前記チタン、あるいはチタン合金製食器100の表面硬
化処理を行った。まず、前記表面処理装置の真空槽1の
内部をガス排気管5を通じて残留ガス雰囲気の影響が排
除される1×10-5Torr以下の圧力まで高真空排気
した後、ヒータ3によりチタン、あるいはチタン合金製
食器100を650〜830℃の温度で加熱する。この
加熱状態を30分間保持して、チタン、あるいはチタン
合金製食器100を焼鈍処理する(加熱工程)。
【0050】次いで、ガス導入管4から反応ガスとし
て、99.5%の窒素に5000ppm(0.5%)の
酸素を添加した混合ガスを導入する。そして、真空槽1
の内部圧力を0.2Torrに調整するとともに、焼鈍
処理したときの温度(650〜830℃)をほぼ保ちな
がら5時間の加熱を実行する。この硬化処理工程によ
り、チタン、あるいはチタン合金製食器100の表面に
窒素104および酸素105を吸着、拡散させるととも
に、チタン、あるいはチタン合金製食器100の表面か
ら内部へ窒素104および酸素105を固溶させること
により、第1の硬化層102と第2の硬化層103から
なる表面硬化層101が形成される(図2参照)。(硬
化処理工程)。この後、上記混合ガスの供給を停止し
て、真空排気を行ないながら常温まで冷却した(冷却工
程)。
【0051】本実施形態では、チタン、あるいはチタン
合金製食器(被処理部材)として、図13に示すJIS
規格で定義されたチタン第2種材からなる鏡面外観を有
するスプーンを使用した。加熱工程および硬化処理工程
は、650〜830℃の温度範囲で処理温度を種々変化
させて実行した。その後、硬さ、窒素および酸素の拡散
深さと濃度、表面粗れ、表面組織における結晶粒の大き
さを、それぞれ測定評価した。硬さは、ビッカース硬度
計により測定し、表面から1.0μmの深さでの硬度H
v=750以上を合格とした。窒素および酸素の拡散深
さと濃度は、2次イオン質量分析計(SIMS)により
測定した。表面粗れは、表面粗さ計を使用して平均表面
粗さRaを測定し、0.4μm以下を合格とした。結晶
粒Rcの大きさは、表面の結晶組織を電子顕微鏡により
測定し、20〜65μmの範囲内にあるものを合格とし
た。これらの測定結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1において、試料番号S1〜S4は、加
熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得
られたチタン、あるいはチタン合金製食器としてのスプ
ーンである。なお、試料番号Scは未処理の純チタン製
食器である。表1に示したように、試料番号S1(処理
温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよ
び結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チ
タン製食器(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を
保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにお
ける硬さがHv=380と低い値を示した。そこで、同
深さ部分の窒素含有量をみると0.05重量%であり、
ほとんど窒素を含有していない。すなわち、図2に示す
第1の硬化層102が形成されていないことがわかる。
さらに、表面から20μmの深さ部分の酸素含有量も
0.01重量%であり、第2の硬化層103も形成され
ていないことがわかる。
【0054】試料番号S4(処理温度830℃)は、表
面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1320
と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大き
く、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化して
おり、表面粗れが顕著に認められた。チタン、あるいは
チタン合金製食器に用いるには、かかる表面粗れの程度
は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試料番号S
2およびS3は、表面から1.0μmの深さにおける硬
さがHv=820〜935と充分に高い値を示し、かつ
平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大
きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製食器
(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持してい
た。
【0055】これら試料番号S2およびS3は、表面か
ら1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%(具体
的には、0.8〜1.6重量%)の窒素、および1.0
〜14.0重量%(具体的には、1.7〜2.6重量
%)の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1
の硬化層102が形成されていることがわかる。さら
に、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重
量%(具体的には、0.7〜1.0重量%)の酸素を含
有しており、図2に示した第2の硬化層103も形成さ
れていることがわかる。図4は、表面からの深さに対す
る窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図
である。測定対象は、試料番号S2のチタン、あるいは
チタン合金製食器を用いた。
【0056】同図から明らかなように、本実施例で表面
硬化処理された試料番号S2のチタン、あるいはチタン
合金製の食器は、表面から深さ1μmまでの領域に多く
の窒素および酸素を固溶しており、さらに深い領域では
多くの酸素を固溶していることがわかる。かくして、表
面硬化層を備えるチタン、あるいはチタン合金製食器を
得ることができた。前記試料番号S2、S3のチタン、
あるいはチタン合金製食器は、表面硬化処理前のチタ
ン、あるいはチタン合金製食器と同等の鏡面品質を保持
していた。
【0057】次に、前記表面硬化層を備えるチタン、あ
るいはチタン合金製食器をバレル研磨でさらに研磨し
た。研磨方法について以下に述べる。まず、遠心バレル
研磨機のバレル層内に食器を配置する。次いで研磨媒体
として、くるみのチップとアルミナ系研磨剤をバレル層
内に入れる。そして、約10時間かけてバレル研磨を行
ない、前記チタン、あるいはチタン合金製食器の表面に
形成された硬質層における、その表面から0.7μmの
部分を除去する。これによって、前記チタン、あるいは
チタン合金製食器の表面にあった微細な歪みが除去さ
れ、前記チタン、あるいはチタン合金製食器の表面がさ
らに円滑に均一化された。よって、さらに均一な銀白色
の光沢を放つ鏡面を備えたチタン、あるいはチタン合金
製食器を得た。従って、チタン、あるいはチタン合金製
食器の鏡面の美観を向上させ、装飾的価値を高めるため
に、かかるバレル研磨は重要である。
【0058】なお、上記の実施形態ではバレル研磨を用
いたが、研磨手段としては、バフ研磨、あるいはバレル
研磨とバフ研磨の組み合わせなど、公知のの機械的研磨
手段を用いればよい。また、第1の硬化層の表面を内部
に向かって深く研磨しすぎると、窒素及び酸素の含有
量、特に窒素の含有量が少ない領域が表面に露呈してし
まう。すなわち、研磨すればするほど、硬度の低い領域
が露呈するため、食器の表面の硬度は低下してしまう。
逆に、研磨する深さが浅いと、美しい鏡面を得ることが
できない。故に、研磨する深さは、第1の硬化層の表面
から、0.1〜3.0μmに設定される。好ましくは、
0.2〜2.0μm、さらに好ましくは、0.5〜1.
0μmである。研磨する深さを上記の範囲に設定するこ
とにより、食器の表面硬度を実用に耐えられる硬さに維
持しつつ、平滑な鏡面を得ることが出来る。詳しくは、
研磨後の食器に、100g荷重で500〜800Hvの
硬度が得られれば良い。
【0059】上記の表面硬化処理は、従来のイオン注
入、イオン窒化、浸炭などの硬化処理と比べ、処理時間
が短く、生産性に優れる。かつ、上記の表面硬化処理を
経たチタン、あるいはチタン合金製食器は、その表面か
ら20μmもの深い領域まで達する硬化層を備えるの
で、長い間使用しても傷がつかない。特に、図15に示
すナイフなどに応用した場合は、刃先が鈍らないので、
切れ味が劣化することがない。また、図14に示すフォ
ークの刃先についても同様の効果を奏する。以上のよう
に、バレル研磨によって均一な光沢を放つ鏡面を備える
ことができるため、装飾的な価値を更に高めることがで
きる。
【0060】また、前記硬化処理工程において、真空槽
1内に導入する微量の酸素成分を含有する窒素主体の反
応ガスとして、下記の混合ガスを選択しても、同等の結
果が得られた。以下にこれらの測定結果を示す。まず、
混合ガスとして、99.7%の窒素に3000ppm
(0.3%)の水蒸気を添加した混合ガスを選択した場
合の測定結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2において、試料番号S5〜S8は、加
熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得
られたチタン、あるいはチタン合金製食器である。表2
に示したように、試料番号S5(処理温度650℃)
は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大き
さRcについては、ともに未処理の純チタン製食器(試
料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv
=405と低い値を示した。そこで、同深さ部分の窒素
含有量をみると0.06重量%であり、ほとんど窒素を
含有していない。すなわち、図2に示す第1の硬化層1
02が形成されていないことがわかる。さらに、表面か
ら20μmの深さ部分の酸素含有量も0.01重量%で
あり、第2の硬化層103も形成されていないことがわ
かる。
【0063】試料番号S8(処理温度830℃)は、表
面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1400
と高いものの、平均表面粗さがRa=1.2μmと大き
く、また結晶粒もRc=80〜250μmに粗大化して
おり、表面粗れが顕著に認められた。チタン、あるいは
チタン合金製食器を装飾品に用いるには、かかる表面粗
れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試
料番号S6およびS7は、表面から1.0μmの深さに
おける硬さがHv=820〜940と充分に高い値を示
し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結
晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタ
ン製食器(試料番号Sc)と未処理の純チタンと同等な
良好の外観品質を保持していた。
【0064】これら試料番号S6およびS7は、表面か
ら1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%(具体
的には、0.9〜1.6重量%)の窒素、および1.0
〜14.0重量%(具体的には、2.0〜2.5重量
%)の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1
の硬化層102が形成されていることがわかる。さら
に、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重
量%(具体的には、0.8〜1.2重量%)の酸素を含
有しており、図2に示した第2の硬化層103も形成さ
れていることがわかる。図5は、表面からの深さに対す
る窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図
である。測定対象は、試料番号S6のチタン、あるいは
チタン合金製食器を用いた。同図から明らかなように、
本実施例で表面硬化処理された試料番号S6のチタン、
あるいはチタン合金製食器は、表面から深さ1.0μm
までの領域に多くの窒素および酸素を固溶しており、さ
らに深い領域では多くの酸素を固溶していることがわか
る。
【0065】次に、混合ガスとして、99.4%の窒素
に2000ppm(0.2%)の酸素、および4000
ppm(0.4%)の水素を添加した混合ガスを選択し
た場合の測定結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】表3において、試料番号S9〜S12は、
加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて
得られたチタン、あるいはチタン合金製食器である。表
3に示したように、試料番号S9(処理温度650℃)
は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大き
さRcについては、ともに未処理の純チタン製食器(試
料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv
=370と低い値を示した。試料番号S12(処理温度
830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さ
がHv=1300と高いものの、平均表面粗さがRa=
1.1μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜200
μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。
チタン、あるいはチタン合金製食器を装飾品に用いるに
は、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。
これらに対し、試料番号S10およびS11は、表面か
ら1.0μmの深さにおける硬さがHv=810〜92
0と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.
25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μ
mで、未処理の純チタン製食器(試料番号Sc)と同等
な良好の外観品質を保持していた。
【0068】この結果から、試料番号S11およびS1
2は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3
のチタン、あるいはチタン合金製食器と同様、表面から
1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、
および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有し
ており、図2に示した第1の硬化層102を形成してい
ることが容易に推測できる。さらに、表面から20μm
までの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有して
おり、図2に示した第2の硬化層103を形成している
ことも容易に推測できる。
【0069】次に、混合ガスとして、99.7%の窒素
に2500ppm(0.25%)の水蒸気、および50
0ppm(0.05%)の二酸化炭素を添加した混合ガ
スを選択した場合の測定結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】表4において、試料番号S13〜S16
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られたチタン、あるいはチタン合金製食器であ
る。表4に示したように、試料番号S13(処理温度6
50℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶
粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製
食器(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持し
ていた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬
さがHv=340と低い値を示した。試料番号S16
(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さに
おける硬さがHv=1240と高いものの、平均表面粗
さがRa=1.0μmと大きく、また結晶粒もRc=8
0〜200μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認
められた。チタン、あるいはチタン合金製食器を装飾品
に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱
している。これらに対し、試料番号S14およびS15
は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=8
00〜850と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さ
Ra=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=3
0〜60μmで、未処理の純チタン製食器(試料番号S
c)と同等な良好の外観品質を保持していた。
【0072】この結果から、試料番号S14およびS1
5は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3
のチタン、あるいはチタン合金製食器と同様、表面から
1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、
および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有し
ており、図2に示した第1の硬化層102を形成してい
ることが容易に推測できる。さらに、表面から20μm
までの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有して
おり、図2に示した第2の硬化層103を形成している
ことも容易に推測できる。
【0073】次に、混合ガスとして、99.3%の窒素
に、7000ppm(0.3%)のエチルアルコールガ
スを添加した混合ガスを選択した場合の測定結果を表5
に示す。
【0074】
【表5】
【0075】表5において、試料番号S17〜S20
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られたチタン、あるいはチタン合金製食器であ
る。表5に示したように、試料番号S17(処理温度6
50℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶
粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製
食器(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持し
ていた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬
さがHv=330と低い値を示した。
【0076】試料番号S20(処理温度830℃)は、
表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=120
0と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大
きく、また結晶粒もRc=80〜180μmに粗大化し
ており、表面粗れが顕著に認められた。チタン、あるい
はチタン合金製食器を装飾品に用いるには、かかる表面
粗れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、
試料番号S18およびS19は、表面から1.0μmの
深さにおける硬さがHv=780〜830と充分に高い
値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μ
m、結晶粒の大きさRc=30〜55μmで、未処理の
純チタン製食器(試料番号Sc)と同等な良好の外観品
質を保持していた。
【0077】この結果から、試料番号S18およびS1
9は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3
のチタン、あるいはチタン合金製食器と同様、表面から
1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、
および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有し
ており、図2に示した第1の硬化層102を形成してい
ることが容易に推測できる。さらに、表面から20μm
までの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有して
おり、図2に示した第2の硬化層103を形成している
ことも容易に推測できる。
【0078】上述した実施形態では、加熱工程を高真空
排気した後、真空雰囲気中で加熱し焼鈍処理を実施した
が、真空雰囲気に限らず、この加熱工程をチタン、ある
いはチタン合金製食器が反応しないヘリウム、アルゴン
などの不活性ガス雰囲気中で実施してもよい。ただし、
この場合にも真空槽内は減圧状態とすることが好まし
い。
【0079】また、上述した実施形態では、冷却工程を
真空排気しながら実施したが、真空雰囲気に限らず、こ
の冷却工程をチタン、あるいはチタン合金製食器が反応
しないヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で
実施してもよい。ただし、この場合にも真空槽1内は減
圧状態とすることが好ましい。
【0080】(第2の実施形態)次に第2の実施形態に
ついて説明する。第2の実施形態における各工程の目的
および基本的作用は、先に説明した第1の実施形態と同
じである。第2の実施形態は、先の第1の発明方法と大
気圧の下において加熱工程および硬化処理工程を実施す
る点で異なっている。また、大気圧の下で加熱工程を実
施する際、チタン、あるいはチタン合金製食器が活性な
金属であることから、同部材が窒素および酸素成分以外
の不純物成分と反応することを防止するために真空槽内
に不活性ガスを導入している点である。この第2の実施
形態においても、加熱工程は、真空槽内を真空排気した
後、該真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧に調整し
た雰囲気の下で行なうことが好ましいが、真空槽内を真
空排気した減圧状態の下で行なっても良い。加熱工程を
このような雰囲気下で行なうことにより、チタン、ある
いはチタン合金製食器が窒素および酸素成分(硬化処理
工程で導入)以外の不純物と反応することを防止するこ
とができる。
【0081】加熱工程の後の硬化処理工程は、真空槽内
を高真空排気して不活性ガスを除去し、続いて微量の酸
素成分を含有する窒素主体の混合ガスを真空槽内に導入
するとともに同真空槽内を大気圧に調整し、かつ該真空
槽1内を700〜800℃の温度で所定時間加熱するこ
とにより、チタン、あるいはチタン合金製食器の表面か
ら内部へ窒素および酸素を拡散固溶させる。この硬化処
理工程において用いられる混合ガスに含有される微量の
酸素成分としては、酸素を含有する各種のガスを利用で
きる。例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルア
ルコールやメチルアルコールなどのアルコールガスなど
が上記酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気とと
もに二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させて
もよい。
【0082】硬化処理工程の後、チタン、あるいはチタ
ン合金製食器を常温まで冷却する冷却工程は、第1の実
施形態と同様、硬化処理工程と同一のガス雰囲気で実施
しないようにすることが好ましい。すなわち、冷却工程
は、真空槽内を高真空排気して微量の酸素成分を含有す
る窒素主体の混合ガスを除去し、続いて真空槽内に不活
性ガスを導入して大気圧に調整し、常温まで冷却するこ
とが好ましい。なお、冷却工程は、真空雰囲気の下で実
施してもよい。
【0083】以下、本実施形態における表面処理方法の
具体的な処理条件について述べる。まず、第1の実施形
態と同様に、チタン、あるいはチタン合金製食器(被処
理部材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種
材を熱間鍛造、冷間鍛造、あるいは両者の組み合わせに
よって、所望の形状に加工したチタン、あるいはチタン
合金製食器を製作した。次いで、前記チタン、あるいは
チタン合金製食器100をバフ研磨で研磨して、食器の
表面を鏡面に仕上げた。次に、図3に示す表面処理装置
を用いて、前記チタン、あるいはチタン合金製食器10
0の表面硬化処理を行った。まず、真空槽1の内部をガ
ス排気管5を通して真空ポンプ7により真空吸引し、残
留ガス雰囲気の影響が排除される1×10-2Torr以
下の圧力まで真空排気した後、電磁弁8を閉じる。続い
て、ガス導入弁6を開き、ガス導入管4を通して真空槽
1内へアルゴンガス(不活性ガス)を導入するととも
に、大気開放管9のベント弁10を開いて真空槽1内の
圧力を大気圧に調整する。この雰囲気の下で、ヒータ3
によりチタン、あるいはチタン合金製食器100を65
0〜830℃まで30分間加熱し焼鈍処理する(加熱工
程)。次いで、大気開放管9のベント弁10およびガス
導入管4のガス導入弁6を閉塞するとともに、ガス排気
管5の電磁弁8を開いて真空ポンプ7による真空排気を
実行する。真空排気は、真空槽1内が1×10-2Tor
r以下の圧力になるまで続ける。
【0084】その後、ガス排気管5の電磁弁8を閉塞す
るとともに、ガス導入管4のガス導入弁6を開き、真空
槽1内へ99.7%の窒素に3000ppm(0.3
%)の水蒸気を添加した混合ガスを導入する。このと
き、大気開放管9のベント弁10を開き、真空槽1内の
圧力を大気圧に調整する。そして、焼鈍処理したときの
温度(650〜830℃)をほぼ保ちながら5時間の加
熱を実行する(硬化処理工程)。この硬化処理工程によ
り、チタン、あるいはチタン合金製食器100の表面に
窒素104および酸素105を吸着、拡散させるととも
に、同部材100の表面から内部へ窒素104および酸
素105を固溶させることにより、第1の硬化層102
と第2の硬化層103からなる表面硬化層101が形成
される(図2参照)。
【0085】硬化処理工程を終了した後、大気開放管9
のベント弁10およびガス導入管4のガス導入弁6を閉
じるとともに、ガス排気管5の電磁弁8を開いて、真空
ポンプ7により真空槽1内を1×10-2Torr以下の
圧力まで真空排気して、上記混合ガスを除去する。続い
て、ガス排気管5の電磁弁8を閉じるとともに、ガス導
入管4のガス導入弁6を開き、アルゴンガスを導入す
る。同時に大気開放管9のベント弁10を開き、真空槽
1内の圧力を大気圧に調整する。この雰囲気中でチタ
ン、あるいはチタン合金製食器を常温まで冷却した(冷
却工程)。
【0086】この第2の実施形態では、チタン、あるい
はチタン合金製食器(被処理部材)として、図14に示
すJIS規格で定義されたチタン第2種材からなる鏡面
外観を有するフォークを使用した。加熱工程および硬化
処理工程は、650〜830℃の温度範囲で処理温度を
種々変化させて実行した。その後、硬さ、表面粗れ、表
面組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定評価し
た。硬さは、ビッカース硬度計により測定し、表面から
1.0μmの深さでの硬度Hv=750以上を合格とし
た。表面粗れは、表面粗さ計を使用して平均表面粗さR
aを測定し、0.4μm以下を合格とした。結晶粒Rc
の大きさは、表面の結晶組織を電子顕微鏡により測定
し、20〜65μmの範囲内にあるものを合格とした。
これらの測定結果を表6に示す。
【0087】
【表6】
【0088】表6において、試料番号S21〜S24
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られたチタン、あるいはチタン合金製食器であ
る。表6に示したように、試料番号S21(処理温度6
50℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶
粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製
食器(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持し
ていた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬
さがHv=360と低い値を示した。試料番号S24
(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さに
おける硬さがHv=1410と高いものの、平均表面粗
さがRa=1.3μmと大きく、また結晶粒もRc=8
0〜250μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認
められた。チタン、あるいはチタン合金製食器を装飾品
に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱
している。
【0089】これらに対し、試料番号S22およびS2
3は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=
840〜1050と充分に高い値を示し、かつ平均表面
粗さRa=0.25〜0.35μm、結晶粒の大きさR
c=30〜60μmで、未処理の純チタン製食器(試料
番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。こ
の結果から、試料番号S22およびS23は、先に示し
た実施例1における試料番号S2、S3のチタン、ある
いはチタン合金製食器と同様、表面から1.0μmまで
の深さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜
14.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に
示した第1の硬化層102を形成していることが容易に
推測できる。
【0090】さらに、表面から20μmまでの深さに
0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に
示した第2の硬化層103を形成していることも容易に
推測できる。かくして、表面硬化層を備える食器を得
る。試料番号S22、S23の食器は、表面硬化処理前
の食器と同等の鏡面品質を保持していた。また、硬化処
理工程において、真空槽1内に導入する不活性ガスとし
て、ヘリウムガスを選択しても、同等の結果が得られ
た。なお、加熱工程および硬化処理工程は、第2の実施
形態と同じく650〜830℃の温度範囲で処理温度を
種々変化させて実行し、その後、硬さ、表面粗れ、表面
組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定評価し
た。以下、不活性ガスとしてヘリウムガスを選択した場
合の測定結果を表7に示す。
【0091】
【表7】
【0092】表7において、試料番号S25〜S28
は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変
えて得られたチタン、あるいはチタン合金製食器であ
る。表7に示したように、試料番号S25(処理温度6
50℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶
粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製
食器(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持し
ていた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬
さがHv=330と低い値を示した。試料番号S28
(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さに
おける硬さがHv=1220と高いものの、平均表面粗
さがRa=1.0μmと大きく、また結晶粒もRc=8
0〜200μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認
められた。チタン、あるいはチタン合金製食器を装飾品
に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱
している。
【0093】これらに対し、試料番号S26およびS2
7は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=
780〜840と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗
さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=
30〜60μmで、未処理の純チタン製食器(試料番号
Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。この結
果から、試料番号S26およびS27は、先に示した実
施例1における試料番号S2、S3のチタン、あるいは
チタン合金製食器と同様、表面から1.0μmまでの深
さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜1
4.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示
した第1の硬化層102を形成していることが容易に推
測できる。
【0094】さらに、表面から20μmまでの深さに
0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に
示した第2の硬化層103を形成していることも容易に
推測できる。なお、本実施形態では加熱工程を大気圧の
アルゴン雰囲気で、または大気圧のヘリウム雰囲気で実
施したが、これらの雰囲気に限らず、この加熱工程を真
空雰囲気で実施してもよい。また、本実施形態では冷却
工程を大気圧のアルゴン雰囲気で、または大気圧のヘリ
ウム雰囲気で実施したが、これらの雰囲気に限らず、こ
の冷却工程を真空雰囲気で実施してもよい。
【0095】なお、本発明は上述した各実施形態に限定
されるものではない。上記各実施形態では、ヒータ3を
用いてチタン、あるいはチタン合金製食器を加熱し、窒
素および酸素を固溶させていたが、その他にも例えば、
プラズマを利用してチタン、あるいはチタン合金製食器
へ窒素および酸素を固溶させてもよい。また、硬化処理
工程において真空槽1内に導入する微量の酸素成分を含
有する窒素主体の混合ガスとしては、上記各実施例で使
用したものに限定されず、例えば、窒素ガスに一酸化窒
素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの酸素成
分を含むガスを添加したものであってもよい。さらに加
えて、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスや、
水素成分、ホウ素成分、炭素成分を含むガスを微量添加
してもよい。
【0096】また、各実施形態において、加熱工程の処
理時間は30分間に設定したが、これに限定されるもの
ではなく、例えば30分〜2時間の範囲で任意に設定す
ることができる。さらに、各実施形態において、硬化処
理工程の処理時間は5時間に設定したが、これに限定さ
れるものではなく必要に応じて任意に設定することがで
きる。ただし、硬化処理工程の処理時間が1時間に満た
ないと、窒素および酸素の拡散固溶が充分に進行せず、
必要な硬度を得られないおそれがある。一方、硬化処理
工程の処理時間が10時間を越えるとチタン、あるいは
チタン合金製食器に表面粗れを生じるおそれがある。し
たがって、硬化処理工程の処理時間は、1〜10時間の
範囲内に設定することが好ましい。
【0097】(第3の実施形態)次に、第3の実施形態
について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態に
よって得られるチタン、あるいはチタン合金製食器の構
造を示す模式図である。本実施形態は、第1の実施形
態、あるいは第2のの実施形態で得られたチタン、ある
いはチタン合金製食器100の表面硬化層101の上
に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法
によって金色の硬質被膜としての窒化チタンから成るT
iN被膜201を形成し、チタン、あるいはチタン合金
製食器200を得たことを特徴とする。
【0098】以下、本実施形態における金色の硬質被膜
としての窒化チタンから成るTiN被膜201の形成方
法を説明する。まず、第1の実施形態、または第2の実
施形態で得られた前記チタン、あるいはチタン合金製食
器100をイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄
し、イオンプレティーング装置内に配置した。(図示せ
ず)なお、イオンプレティーング装置は、一般に使用さ
れているものであり、装置の説明は省略する。次いで、
装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、アル
ゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。
【0099】次に、装置内部に備えられた熱電子フィラ
メントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズ
マを形成した。同時に前記チタン、あるいはチタン合金
製食器100に−50Vの電位を印加して、10分間ボ
ンバードクリーニングを行った。次に、アルゴンガスの
導入を止めた後、装置内に窒素ガスを2.0×10-3
orrまで導入した。そして、装置内部の備えられたプ
ラズマ銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間
蒸発させて、前記チタン、あるいはチタン合金製食器1
00の表面全体、即ち前記チタン、あるいはチタン合金
製食器100の表面硬化層101の上にTiN被膜20
1を0.5μmの膜厚で形成し、チタン、あるいはチタ
ン合金製食器200を得た。
【0100】このようにして得られたチタン、あるいは
チタン合金製食器200は、TiN被膜201が金と同
じような光学的特性を備えるが故に、均一な金色色調を
呈した。これにより、チタン、あるいはチタン合金製食
器の装飾的な価値をさらに高めることができた。また、
硬質であるTiN被膜201は、優れた耐摩耗性、耐食
性、耐擦傷性を備えるため、表面硬化処理を施した食器
がさらに傷つきにくくなった。なお、乾式メッキ法とし
ては、上記したイオンプレティーング法に限らず、スパ
ッタ法や真空蒸着法などの公知の手段を用いることがで
きる。
【0101】また、乾式メッキ法で被覆される金色の硬
質被膜として、周期律表の4a、5a、6a族元素(T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)の
窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用
することができる。周期律表の4a、5a、6a族元素
をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、窒
化度を示すxの値が1より小さくなるにしたがって、前
記Mの窒化物MNxの被膜の色調は金色から淡黄色に近
づく。また、窒化度を示すxの値が1より大きくなるに
したがって、被膜の金色は、赤味を帯びてくる。また、
窒化度を示すxの値が、0.9〜1.1の範囲であれ
ば、金、あるいは金合金の色調に近い金色を窒化物MN
xの被膜上形成することができる。特に、窒化度を示す
xの値が、x=1の時、Mの窒化物MNxの被膜は、充
分な硬度を備える硬質被膜であると同時に、金、あるい
は金合金の色調に最も近い金色を呈する。
【0102】前記周期律表の4a、5a、6a族元素M
の炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても、
それらの炭化度、酸化度、窒化度を所定の範囲に制御す
ることにより、それらの被膜に金、あるいは金合金の色
調に最も近い金色を付与できる。特に、TiN被膜とZ
rN被膜は、充分な硬度を備える硬質被膜であると同時
に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈する
ので好ましい。また、前記Mの窒化物MNxの膜厚が薄
いと、被膜に有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を得る
ことができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、被膜にか
かる時間が長くなって、被膜のコストが高くなる。よっ
て、Mの窒化物MNxの被膜の膜厚は、好ましくは0.
1〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.2〜5μm
の範囲に制御される。
【0103】(第4の実施形態)次に、第4の実施形態
について図7、図8、及び図9用いて説明する。図7と
図8は、硬質被膜を部分的に被覆する工程を示す図であ
り、図9は、本実施形態によってチタン、あるいはチタ
ン合金製食器に硬質被膜が部分的に被覆形成された状態
を示す構造模式図である。本実施形態は、第1の実施形
態、あるいは第2のの実施形態で得られたチタン、ある
いはチタン合金製食器100の表面硬化層101の上
に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法
によって窒化チタンから成る金色の硬質被膜301を部
分的に形成し、チタン、あるいはチタン合金製食器30
0を得たことを特徴とする。以下、本実施形態における
窒化チタンから成る金色の硬質被膜301の部分的形成
方法について説明する。
【0104】まず、第1の実施形態、あるいは第2の実
施形態で得られたチタン、あるいはチタン合金製食器1
00の表面硬化層101の上、即ち、前記チタン、ある
いはチタン合金製食器100の表面の所望の部分に、エ
ポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキン
グインクを印刷して、マスキング層302を形成した。
次に、マスキング層302を形成した前記チタン、ある
いはチタン合金製食器100をイソプロピルアルコール
等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に
配置した。(図示せず)なお、イオンプレティーング装
置は、一般に使用されているものであり、装置の説明は
省略する。
【0105】次いで、装置内を1.0×10-5Torr
まで排気した後、アルゴンガスを3.0×10-3Tor
rまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フ
ィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプ
ラズマを形成した。同時に前記チタン、あるいはチタン
合金製食器100に−50Vの電位を印加して、10分
間ボンバードクリーニングを行った。次に、アルゴンガ
スの導入を止めた後、装置内に窒素ガスを2.0×10
-3Torrまで導入した。そして、装置内部の備えられ
たプラズマ銃でプラズマを発生させた後、チタンを10
分間蒸発させて、前記チタン、あるいはチタン合金製食
器100の表面硬化層101の表面、およびマスキング
層302の表面にTiN被膜301、301aを0.5
μmの膜厚で形成した。
【0106】次に、エチルメチルケトン(EMK)、あ
るいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸
化水素を添加した剥離溶液によりマスキング層302を
膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層302お
よびその上に積層されたTiN被膜301aを剥離し
た。よって、TiN被膜301が被覆された金色色調を
呈する部分と、TiN被膜が被覆されていない銀白色を
呈する部分とを有するツートーンのチタン、あるいはチ
タン合金製食器300を得た。これにより、さらに、チ
タン、あるいはチタン合金製食器の美観を向上させ、装
飾的価値を高めることができた。
【0107】なお、前記マスキング手段としては、本実
施形態で説明したような化学的マスキング層を設ける他
に、機械的なマスキング手段を用いても良い。すなわ
ち、窒化チタン被膜を被覆する前に、予めチタン、ある
いはチタン合金製食器の任意の部分に金属製のキャップ
を被せておき、窒化チタン被膜を被覆後、かかるキャッ
プを取除けば良い。すると、キャップが被せられていた
前記チタン、あるいはチタン合金製食器の部分には窒化
チタン被膜が被覆されず、キャップが被せられなかった
部分には窒化チタン被膜が被覆される。また、本実施形
態では、硬質被膜として窒化チタン被膜を用いた例で説
明したが、第3の実施形態で説明したように、乾式メッ
キ法で被覆される金色の硬質被膜として、周期律表の4
a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭
化物、窒炭酸化物を採用することができる。
【0108】(第5の実施形態)次に、第5の実施形態
について図10を用いて説明する。図10は、本実施形
態によって得られるチタン、あるいはチタン合金製食器
の構造を示す模式図である。本実施形態は、第1の実施
形態、あるいは第2のの実施形態で得られたチタン、あ
るいはチタン合金製食器100の表面硬化層101の上
に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法
によって窒化チタンから成る金色の硬質被膜201を形
成し、前記硬質被膜201の上に金合金被膜としての金
−チタン金合被膜401を形成することによって、チタ
ン、あるいはチタン合金製食器400を得たことを特徴
とする。以下、本実施形態における窒化チタンから成る
金色の硬質被膜201、及び金合金被膜401の形成方
法を説明する。
【0109】まず、第1の実施形態、あるいは第2のの
実施形態で得られた前記チタン、あるいはチタン合金製
食器100をイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗
浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。(図示
せず)なお、イオンプレティーング装置は、一般に使用
されているものであり、装置の説明は省略する。次い
で、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、
アルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。
次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラ
ズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成し
た。同時にチタン、あるいはチタン合金製食器100に
−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリー
ニングを行った。次に、アルゴンガスの導入を止めた
後、装置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導
入した。
【0110】そして、装置内部の備えられたプラズマ銃
でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させ
て、チタン、あるいはチタン合金製食器100の表面全
体にTiN被膜102を0.5μmの膜厚で形成した。
次いで、チタンの蒸発と窒素ガスの導入を止め、装置内
を1.0×10-5Torrまで排気した。次いで、装置
内にアルゴンガスを1.0×10-3Torrまで導入し
てプラズマを発生させた後、金50原子%とチタン50
原子%とからなる金−チタン混合物を蒸発させ、金合金
被膜としての金−チタン金合被膜401を形成した。そ
して、前記金−チタン金合被膜401の厚みが0.3μ
mになったところで金−チタン混合物の蒸発を止め、前
記硬質被膜201、及び金−チタン金合被膜401が形
成されたチタン、あるいはチタン合金製食器400を得
た。
【0111】このようにして得られたチタン、あるいは
チタン合金製食器400は、均一な金色色調を呈した。
これにより、チタン、あるいはチタン合金製食器の装飾
的な価値をさらに高めることができた。また、最外層被
膜に金−チタン金合被膜401を被覆したことにより、
窒化チタン被膜201よりさらに暖かみのある金色色調
を呈するチタン、あるいはチタン合金製食器を得た。こ
れにより、さらにチタン、あるいはチタン合金製食器の
美観を向上させ、装飾的価値を高めることができた。
【0112】一般的に金合金被膜自体は、10μmを越
える厚い膜厚でなければ、有効な耐摩耗性、耐食性、あ
るいは耐擦傷性を得ることができない。金は、非常に高
価な金属である。よって、かかる金合金被膜を厚く被覆
することは、被膜のコストを大幅に高くしてしまう。し
かしながら、本実施形態においては、金合金被膜からな
る最外層被膜の下に、硬質なTiN被膜を設けた。Ti
N被膜が、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備える
ため、金合金被膜からなる最外層被膜は薄くても良い。
これにより、高価な金の使用量が減るため、被膜のコス
トが安価にすることができるという利点がある。
【0113】また、薄く被覆された金合金被膜からなる
最外層被膜が部分的に摩耗して、その下のTiN被膜が
露見する可能性があるが、いかなる局部的な最外層被膜
の摩耗も決して目立つことはない。なぜならば、TiN
被膜は、金と同じような光学的特性を備え、金色色調を
有するからである。金色色調の金合金被膜からなる最外
層被膜が摩耗した部分の下から、同じ金色色調のTiN
被膜が現れる。従って、金合金被膜からなる最外層被膜
を薄くしても、その摩耗が視認されなく、チタン、ある
いはチタン合金製食器の美観、及び装飾的価値を維持す
ることができる。
【0114】また、本実施形態では、硬質被膜として窒
化チタン被膜を用いたが、この他に乾式メッキ法で被覆
される金色の硬質被膜として、周期律表の4a、5a、
6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭
酸化物を採用することができる。また、金合金被膜とし
ては、上記した金−チタン合金層以外にも、Al、S
i、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、
Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、C
d、In、Sn、Hf、Ta、W、Ir、Ptから選ば
れた少なくとも1つと金との合金を形成させることがで
きる。
【0115】さらに、第4の実施形態に記載したよう
に、前記チタン、あるいはチタン合金製食器100の表
面に部分的に被覆された窒化チタン被膜の上に、かかる
金合金被膜を被覆しても良い。この例を図11と、図1
2に示す。図11は、前記チタン、あるいはチタン合金
製食器100の表面に硬質被膜を部分的に被覆し、前記
部分的に被覆された硬質被膜の表面に金合金被膜を被覆
する工程を示す図であり、図12は、前記チタン、ある
いはチタン合金製食器100の表面に硬質被膜、及び金
合金被膜が部分的に被覆形成された状態を示す構造模式
図である。
【0116】以下、硬質被膜、及び金合金被膜を部分的
に形成する方法について簡単に説明する。まず、第1の
実施形態、あるいは第2の実施形態で得られたチタン、
あるいはチタン合金製食器100の表面硬化層101の
上、即ち、前記チタン、あるいはチタン合金製食器10
0の表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機
マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷して、マス
キング層502を形成した。次に、マスキング層502
を形成した前記チタン、あるいはチタン合金製食器10
0をイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イ
オンプレティーング装置内に配置した。
【0117】次にイオンプレティーング法を用いて、本
実施形態と同じ作業条件で前記チタン、あるいはチタン
合金製食器100の表面硬化層101の表面、およびマ
スキング層502の表面に金色の硬質被膜である窒化チ
タンから成るTiN被膜501、501aを0.5μm
の膜厚で形成し、前記TiN被膜501、501aの上
に金合金被膜としての金−チタン金合被膜503、50
3aを0.3μmの膜厚で形成した。
【0118】次に、エチルメチルケトン(EMK)、あ
るいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸
化水素を添加した剥離溶液によりマスキング層502を
膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層502お
よびその上に積層されたTiN被膜501a、及び金−
チタン金合被膜503aを剥離した。よって、金−チタ
ン金合被膜503が被覆された金色色調を呈する部分
と、金−チタン金合被膜503及び、TiN被膜501
が被覆されていない銀白色を呈する部分とを有するツー
トーンのチタン、あるいはチタン合金製食器500を得
た。
【0119】なお、上記の第3、第4、及び第5の実施
形態では、金色色調の硬質被膜を採用したが、周期律表
の4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、
窒炭化物、窒炭酸化物における炭化度、酸化度、窒化度
を低くすることにより、かかる硬質被膜の色調を銀白色
に近い色調にすることもできる。この結果、硬質被膜が
被覆されていないチタン、あるいはチタン合金製食器の
金属色と同じ色調の硬質被膜を被覆できる。さらに、か
かる銀白色の硬質被膜の上に、金の含有量を低くした同
じく銀白色の金合金被膜を被覆することもできる。
【0120】なお、本発明において、チタンとは、純チ
タンを主体とする金属材料を意味し、JIS規格で定義
されているチタン第1種、チタン第2種、チタン第3種
などをいう。また、チタン合金とは、純チタンを主体と
する金属にアルミニウム、バナジウム、鉄などを添加し
た金属材料を意味し、JIS規格で定義されているチタ
ン60種、チタン60E種などをいう。この他にも、各
種チタン合金および各種チタン基の金属間化合物が、チ
タン合金材料に含まれる。
【0121】また、本実施形態においては、チタン、あ
るいはチタン合金製食器として、スプーン、ナイフ、フ
ォーク等を例として説明したが、これに限定されるもの
ではなく、箸、皿、コップ等の多くの食器に適用するこ
とが可能である。
【0122】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、表面
から深い領域に達する硬化層を得ることによって、長時
間の使用しても傷が付きにくく、表面を美しい鏡面に保
つことができる優れた外観品質を有するチタン、あるい
はチタン合金製食器を得ることが出来る。特にナイフな
どに応用した場合は、刃先が鈍らないので、切れ味が劣
化することがない。また、TiN被膜が被覆された金色
色調を呈する部分と、TiN被膜が被覆されていない銀
白色を呈する部分とを有するツートーンのチタン、ある
いはチタン合金製食器を得ることが可能となり、チタ
ン、あるいはチタン合金製食器の美観を更に向上させ、
装飾的価値を高めることができる。また、前記優れた外
観品質を有するチタン、あるいはチタン合金製食器を得
るための生産性の高い表面処理方法を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により表面硬化処理した被処理部材
のビッカース硬度を測定した結果を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に
おけるチタン、あるいはチタン合金製食器の構造を示す
模式図である。
【図3】本発明者の実施形態において使用した表面処理
装置の概要を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるチタン、ある
いはチタン合金製食器の表面からの深さに対する窒素含
有量および酸素含有量を測定した結果を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるチタン、ある
いはチタン合金製食器の表面からの深さに対する窒素含
有量および酸素含有量を測定した結果を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるチタン、ある
いはチタン合金製食器の構造を示す模式図である。
【図7】本発明の第4の実施形態におけるチタン、ある
いはチタン合金製食器の表面処理工程を示す模式図であ
る。
【図8】本発明の第4の実施形態におけるチタン、ある
いはチタン合金製食器の表面処理工程を示す模式図であ
る。
【図9】本発明の第4の実施形態におけるチタン、ある
いはチタン合金製食器の構造を示す模式図である。
【図10】本発明の第5の実施形態におけるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の構造を示す模式図である。
【図11】本発明の第5の実施形態におけるチタン、あ
るいはチタン合金製食器に部分的に硬質被膜を形成する
行程を示す模式図である。
【図12】本発明の第5の実施形態において、部分的な
硬質被膜を形成したチタン、あるいはチタン合金製食器
の構造を示す模式図である。
【図13】本発明の第1の実施形態におけるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の具体例を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施形態におけるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の具体例を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施形態におけるチタン、あ
るいはチタン合金製食器の具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 真空槽 3 ヒ−タ− 4 ガス導入管 5 ガス排気管 6 ガス導入弁 7 真空ポンプ 8 電磁弁 9 大気解放管 10 ベント弁 100 チタン、あるいはチタン合金製食器 101 表面硬化層 102 第1の硬化層 103 第2の硬化層 104 窒素 105 酸素 201 TiN 被膜 302 マスキング層 401 金ーチタン合金被膜

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面から任意の深さで表面硬質層が形成
    されたチタン、あるいはチタン合金製食器であつて、前
    記表面硬質層は、表面から任意の深さまでの領域に形成
    された窒素および酸素を固溶する第1の硬化層と、該第
    1の硬化層より深い任意の領域に形成された第2の硬化
    層とを含むことを特徴とするチタン、あるいはチタン合
    金製食器。
  2. 【請求項2】 前記第1の硬化層が、0.6〜8.0重
    量%の窒素と1.0〜14.0重量%の酸素とを固溶し
    ており、前記第2の硬化層が、0.5〜14.0重量%
    の酸素とを固溶していることを特徴とする請求項1記載
    のチタン、あるいはチタン合金製食器。
  3. 【請求項3】 前記第1の硬化層が、表面からほぼ1μ
    mの深さの領域に形成され、前記第2の硬化層が、前記
    第1の硬化層よりも深く、表面からほぼ20μmの深さ
    の領域に形成されていることを特徴とする請求項1記載
    のチタン、あるいはチタン合金製食器。
  4. 【請求項4】 真空槽内にチタン、あるいはチタン合金
    製食器を配置して、加熱して焼鈍処理する加熱行程と、
    前記加熱行程の後、微量の酸素成分を含有する窒素主体
    の混合ガスを前記真空槽内に導入し、所定の減圧状態下
    該で真空槽内を700〜800℃の温度で所定時間加熱
    することにより、前記チタン、あるいはチタン合金製食
    器の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶させる硬
    化処理工程と、前記硬化処理工程の後、前記チタン、あ
    るいはチタン合金製食器を常温まで、冷却する冷却冷却
    工程と、前記冷却工程の後、前記カラトリーを研磨する
    研磨工程とを含むチタン、あるいはチタン合金製食器の
    表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱工程は、前記真空槽内を真空排
    気した減圧状態の下で行うことを特徴とする請求項4記
    載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方
    法。
  6. 【請求項6】 前記加熱工程は、前記真空槽内を真空排
    気した後、該真空槽内に不活性ガスを導入した減圧状態
    の下で行うことを特徴とする請求項4記載のチタン、あ
    るいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  7. 【請求項7】 前記冷却工程は、前記真空槽内を高真空
    排気して前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合
    ガスを除去するとともに、該真空雰囲気の下で行うこと
    を特徴とする請求項4記載のチタン、あるいはチタン合
    金製食器の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 前記冷却工程は、前記真空槽内を高真空
    排気して前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合
    ガスを除去し、続いて前記真空槽内に不活性ガスを導入
    した減圧状態の下で行うことを特徴とする請求項4記載
    のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主体
    の混合ガスが、窒素ガスに、微量の酸素ガスを含有した
    ものであることを特徴とする請求項4記載のチタン、あ
    るいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主
    体の混合ガスが、微量の水素ガスを含有したものである
    ことを特徴とする請求項9記載のチタン、あるいはチタ
    ン合金製食器の表面処理方法。
  11. 【請求項11】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主
    体の混合ガスが、窒素ガスに、微量の水蒸気を含有した
    ものであることを特徴とする請求項4記載のチタン、あ
    るいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  12. 【請求項12】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主
    体の混合ガスが、微量の二酸化炭素ガスまたは一酸化炭
    素ガスを含有したものであることを特徴とする請求項1
    1記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
    方法。
  13. 【請求項13】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主
    体の混合ガスが、窒素に、微量のアルコールガスを含有
    したものであることを特徴とする請求項4記載のチタ
    ン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  14. 【請求項14】 真空槽内にチタン、あるいはチタン合
    金製食器を配置して、加熱して焼鈍処理する加熱行程
    と、前記加熱行程の後、前記真空槽内を真空排気して前
    記不活性ガスを除去し、続いて微量の酸素成分を含有す
    る窒素主体の混合ガスを前記真空槽内に導入するととも
    に同真空槽内を大気圧に調整し、かつ該真空槽内を70
    0〜800℃の温度で所定時間加熱することにより、前
    記チタン、あるいはチタン合金製食器の表面から内部へ
    窒素および酸素を拡散固溶させる硬化処理工程と、前記
    硬化処理工程の後、前記チタン、あるいはチタン合金製
    食器を常温まで、冷却する冷却冷却工程と、前記冷却工
    程の後、前記カラトリーを研磨する研磨工程とを含むこ
    とを特徴とするチタン、あるいはチタン合金製食器の表
    面処理方法。
  15. 【請求項15】 前記加熱工程は、前記真空槽内を真空
    排気した減圧状態の下で行うことを特徴とする請求項1
    4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
    方法。
  16. 【請求項16】 前記加熱工程は、前記真空槽内を真空
    排気した後、該真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧
    に調整した雰囲気の下で行うことを特徴とする請求項1
    4記載のチタン、あるいはチタン合金製食器の表面処理
    方法。
  17. 【請求項17】 前記冷却工程は、前記真空槽内を高真
    空排気して前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混
    合ガスを除去するとともに、該真空雰囲気の下で行うこ
    とを特徴とする請求項14記載のチタン、あるいはチタ
    ン合金製食器の表面処理方法。
  18. 【請求項18】 前記冷却工程は、前記真空槽内を高真
    空排気して前記微量の酸素成分を含有する窒素主体の混
    合ガスを除去し、続いて前記真空槽内に不活性ガスを導
    入して大気圧に調整した雰囲気の下で行うことを特徴と
    する請求項14記載のチタン、あるいはチタン合金製食
    器の表面処理方法。
  19. 【請求項19】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主
    体の混合ガスが、窒素ガスに、微量の酸素ガスを含有し
    たものであることを特徴とする請求項14記載のチタ
    ン、あるいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  20. 【請求項20】 前記微量の酸素成分を含有する窒素主
    体の混合ガスが、窒素ガスに、微量の水蒸気を含有した
    ものであることを特徴とする請求項14記載のチタン、
    あるいはチタン合金製食器の表面処理方法。
  21. 【請求項21】 前記第1の硬化層の上に、硬質被膜が
    被覆されていることを特徴とする請求項1から3のいず
    れか1項に記載のチタン、あるいはチタン合金製食器。
  22. 【請求項22】 前記硬質被膜が、周期律表の4a、5
    a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物あ
    るいは窒炭酸化物であることを特徴とする請求項21に
    記載のチタン、あるいはチタン合金製食器。
  23. 【請求項23】 前記硬質被膜が、金色色調を呈するこ
    とを特徴とする請求項21又は請求項22に記載のチタ
    ン、あるいはチタン合金製食器。
  24. 【請求項24】 前記硬質被膜の上に金合金被膜が被覆
    されることを特徴とする請求項23に記載のチタン、あ
    るいはチタン合金製食器。
  25. 【請求項25】 前記金合金被膜が、Al、Si、V、
    Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、
    Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、C
    d、In、Sn、Hf、Ta、W、Ir、Ptから選ば
    れた少なくとも1つの金属と金との合金であることを特
    徴とする請求項24に記載のチタン、あるいはチタン合
    金製食器。
  26. 【請求項26】 前記第1の硬化層の表面を研磨処理し
    たことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記
    載のチタン、あるいはチタン合金製食器。
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