JPH09256121A - 高硬度金合金 - Google Patents

高硬度金合金

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JPH09256121A
JPH09256121A JP6111996A JP6111996A JPH09256121A JP H09256121 A JPH09256121 A JP H09256121A JP 6111996 A JP6111996 A JP 6111996A JP 6111996 A JP6111996 A JP 6111996A JP H09256121 A JPH09256121 A JP H09256121A
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JP
Japan
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gold
hardness
color tone
atomic
gold alloy
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Application number
JP6111996A
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English (en)
Inventor
Kazumitsu Itabashi
一光 板橋
Akihisa Inoue
明久 井上
Hisamichi Kimura
久道 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanaka Denshi Kogyo KK
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Tanaka Denshi Kogyo KK
Research Development Corp of Japan
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Publication date
Application filed by Tanaka Denshi Kogyo KK, Research Development Corp of Japan filed Critical Tanaka Denshi Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】日常の取扱い中で材料の変形や疵を防止出来る
よう高強度、高硬度としても美麗な色調を有し、しかも
経時劣化を小さくできる金合金を提供する。 【解決手段】希土類元素の内少なくとも1種を1〜12
原子%、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)の
内少なくとも1種を8〜30原子%を含有し、残部が金
(Au)及び不可避不純物からなる組成を有するように
容湯を急冷凝固させることによって、物質構造の中に少
なくともアモルファス相を有するようになり、しかも該
アルモファス相が安定して生成される。これによって安
定して高強度、高硬度であり且つ美麗な色調を有し経時
劣化も小さい高硬度金合金を得る事が出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、美麗な色調を呈す
ると共に高硬度を有する金合金に関し、詳しくは、軟ら
かく変形しやすい純金の硬度を高める様にしても美麗な
色調を呈する為、装飾用材料として好適な金合金に関す
る。
【0002】
【従来の技術とその問題点】金及び金合金はその独特の
色調を生かし、古くから装飾品として利用されて来た。
その装飾品としては、ネックレス、ピアス、冠、万年
筆、時計ケース、メダル、貨幣等、飾り物から装飾性を
兼ねた実用品まで身近に多くの商品が知られている。
【0003】この様な金及び金合金にも古くから問題点
が指摘されている。それは装飾用材料として純金を用い
た場合、軟らかすぎて疵がつきやすく、変形し易いとい
う事である。即ち、所定の工程を経て表面仕上げして美
麗な商品を作っても、すぐ疵がついたり、変形して商品
価値がなくなってしまうという欠点を有している。この
為、純金に他の元素を含有させて金合金としたり、銅合
金等に金めっきして上記装飾品として用いられてきた。
【0004】しかしながら金合金とした場合、金の純度
が所定の範囲では美麗な色調が保たれているが、硬度の
改善効果は得られていない。また、他の元素を増加させ
て金の純度を更に低くするにつれてある程度の硬度上昇
は得られるが、純金のもつ色調が失われ、他の元素の種
類に対応して赤みや白みをおびたりするようになってく
る。この為、従来からK18(金純度75重量%)やK
14(金純度58重量%)の記号で表示される純度のも
のが各々18金、14金と呼ばれ上記装飾用材料として
使用されている。
【0005】因みに、他の元素として銅及び銀を含有す
るK18の場合、純金に匹敵する色調が保たれているが
ビッカース硬度が220程度と低い為、硬度の向上が求
められている。またK14の場合、ビッカース硬度は2
60程度と向上するものの更なる硬度の向上が求められ
ていると共に、その色調も黄金色の中に薄い赤み等が見
えるようになり、硬度、色調共更なる改善が求められて
いる。
【0006】また銅合金等に金めっきした場合は、素地
材料の強度に支えられ変形に対しては強く出来るもの
の、表面に疵が付きやすくまためっきのピンホール等が
発生することから耐蝕性が悪いという欠点がある。
【0007】一方、特開昭55−141537号公報及
び特開昭55−141538号公報には、Au−Si組
成及びAu−Ge組成の非晶質合金を用いることによ
り、高い硬度と高級感あふれる光沢が得られることが開
示されている。しかしながら該材料は、純金のもつ黄金
色の色調が黒みを帯びるようになり純金独特の美麗な色
調がそこなわれること、及び生成された非晶質構造が不
安定であり室温に保存中、時間の経過とともに結晶構造
が変化して非晶質構造が結晶構造となり、強度及び硬度
が低下してくるという欠点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述したよう
な従来事情に鑑みてなされたものであり、その目的とす
るところは、装飾品等の日常の取扱い中、材料の変形や
疵を防止することが出来るように高強度、高硬度として
も美麗な色調を有し、しかも経時劣化を小さくすること
ができる金合金を提供することである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】本発明者等が鋭意研究を重
ねた結果、希土類元素の少なくとも1種と、Si,Ge
の少なくとも1種を各々所定量含有し、残部が金(A
u)からなる組成の容湯を急冷凝固させることにより、
物質構造の中に少なくともアモルファス相を有するよう
になり、しかも該アモルファス相が安定して生成される
ことによって前述の目的を達成し得ることを知見し、本
発明を完成するに至った。
【0010】即ち本願第1発明は、希土類元素の内少な
くとも1種を1〜12原子%、シリコン(Si)及びゲ
ルマニウム(Ge)の内少なくとも1種を8〜30原子
%を含有し、残部が金(Au)及び不可避不純物からな
る組成を有し、物質構造の中に少なくともアモルファス
相を有することを特徴とする高硬度金合金である。
【0011】また本願第2発明は、希土類元素の内少な
くとも1種を1〜12原子%、シリコン(Si)及びゲ
ルマニウム(Ge)の内少なくとも1種を8〜18原子
%を含有し、残部が金(Au)及び不可避不純物からな
る組成を有し、物質構造の中に少なくともアモルファス
相を有することを特徴とする高硬度金合金である。
【0012】また本願第3発明は、希土類元素の内少な
くとも1種を4〜8原子%、シリコン(Si)及びゲル
マニウム(Ge)の内少なくとも1種を10〜18原子
%を含有し、残部が金(Au)及び不可避不純物からな
る組成を有し、物質構造がアモルファス相であることを
特徴とする高硬度金合金である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細な構成とその
作用について説明する。本発明では、希土類元素とS
i,Geを上記構成になるように含有し、残部が金(A
u)からなる組成を有するように溶湯を急冷凝固させる
ことによって、物質構造の中に少なくともアモルファス
相を有するようになり、しかも該アルモファス相が安定
して生成される。これによって前記構成のものは安定し
て高強度、高硬度であり、しかも美麗な色調を有し、経
時劣化も小さい金合金を得る事が出来る。
【0014】次に、本発明になる金合金組成を上記の通
り限定した理由を説明する。 〔希土類元素〕本発明でいう希土類元素は、ランタン系
列15元素をいう。即ちLa,Ce,Pr,Nd,P
m,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Luである。本発明では希土類元素の内少な
くとも1種は、Si、Geの少なくとも1種との共存に
於いて生成された材料の物質構造の中に少なくともアモ
ルファス相を有し、しかも該アモルファス相が安定して
生成されるようになる。これによって強度及び硬度が著
しく向上すると共に美麗な色調を有し、しかも経時劣化
を小さくすることができるという優れた効果を示す。希
土類元素の内少なくとも1種の含有量が1原子%未満で
は、室温に保存中、時間の経過とともに強度及び硬度が
低下してくるようになり、数日間低下を続ける。この理
由は、材料の物質構造の中の生成されたアモルファス相
が不安定であり、室温に保存中結晶化しているものと考
えられる。また希土類元素の内少なくとも1種の含有量
が12原子%を超えると、色調の変化が大きくなり、黄
金色の中に濃い白みが見られるようになって、美麗な色
調が失われて来る。この為、希土類元素の内少なくとも
1種の含有量は1〜12原子%とした。
【0015】〔Si,Ge〕Si及びGeの内少なくと
も1種は、所定量の希土類元素の内少なくとも1種との
共存に於いて生成された材料の物質構造の中に少なくと
もアモルファス相を有し、しかも該アモルファス相が安
定して生成されるようになる。これによって強度及び硬
度が著しく向上すると共に美麗な色調を有し、しかも経
時劣化を小さくすることができるという優れた効果を示
す。Si及びGeの内少なくとも1種の含有量が8原子
%未満では、室温に保存中、時間の経過とともに強度及
び硬度が低下してくるようになり、数日間低下を続け
る。この理由は、材料の物質構造の中の生成されたアモ
ルファス相が不安定であり、室温に保存中結晶化してい
るものと考えられる。またSi及びGeの内少なくとも
1種の含有量が30原子%を超えると、色調の変化が大
きくなり黄金色の中に濃い黒みが見られるようになっ
て、美麗な色調が失われて来る。この為、Si及びGe
の内少なくとも1種の含有量は8〜30原子%とした。
【0016】また、Si及びGeの内少なくとも1種の
含有量が20〜30原子%の時、黄金色の中に薄い白み
が見られ、若干の色調低下が見られることに対して、そ
の含有量が8〜18原子%の時、純金に匹敵する黄金色
を呈するようになる。この為、Si及びGeの内少なく
とも1種の好ましい含有量は8〜18原子%である。
【0017】〔金地金〕本発明に用いる金地金は、美麗
な色調を維持する為に純度99.9重量%以上のものを
用いることが好ましい。
【0018】次に、本発明になる物質構造について説明
する。本発明に於いては、上記組成の金合金材料の物質
構造の中に少なくともアモルファス相を有している。こ
こで物質構造の中に少なくともアモルファス相を有して
いるとは、物質構造全体がアモルファス相である場合
と、アモルファス相と結晶相が混合して存在する場合が
ある。本発明になる物質構造の中に少なくともアモルフ
ァス相を有する金合金の製造方法は、所定の組成の金合
金容湯を急冷する事が必要である。
【0019】図1はその一例としての単ロールを用いた
急冷装置である。図1中の符号1は石英容器であり、そ
の下端はノズル状に形成されている。2は溶融される金
属、3は高周波加熱装置、4は溶融金属の加圧装置、5
は銅製ロール、6はロール回転方向を示す矢印、7は製
造されたテープ状材料、8は装置全体のカバーである。
以下、図1に示す急冷装置を用いた本発明になる金合金
テープの製造方法について説明する。本発明になる組成
が得られるようにAu,希土類元素、Si,Geを配合
し、図示しない別途アーク炉を用いて金合金を作製す
る。石英容器1の中に該金合金2を挿入する。次いで装
置全体のカバー8内の雰囲気をアルゴンガス雰囲気とし
た後、高周波加熱装置3により該合金2を溶融し、アル
ゴンガスを用いた溶融金属の加圧装置4により、石英容
器1の下端ノズルから溶融合金2を噴出させる。噴出さ
れた溶融金属2は高速で回転する銅製ロール5の表面で
急速に冷却されてテープ状材料7が製造される。この
時、溶融合金2の急速冷却は冷却媒体である銅製ロール
の周速度を大きくすることによって達成させる。
【0020】物質構造の中に少なくともアモルファス相
を有する為には、ロール周速度は10m/秒以上である
事が好ましい。更に好ましくは13m/秒以上である。
また物質構造全体をアモルファス相にする為には、ロー
ル周速度は35m/秒以上である事が好ましい。更に好
ましくは42m/秒以上である。
【0021】本発明になる物質構造の中に少なくともア
モルファス相を有する金合金の製造方法は、前記単ロー
ルを用いた方法以外にも双ロールを用いる急冷方法、ス
パッタリング、めっき、CVDによる少なくともアモル
ファス相の形成や、アトマイズ等による粉末の製造方法
や、冷却機構を有する鋳型を用いた加圧鋳造方法が例示
出来る。
【0022】本発明の組成になるように金合金を急冷凝
固させると、通常はアモルファス相と結晶相が混合して
存在する。ここで、アモルファス相と結晶相が混合して
存在する状態としては、アモルファス相の中に結晶相が
分散して存在する状況が一例とて透過型電子顕微鏡で観
察出来た。
【0023】また、希土類元素の内少なくとも1種の含
有量が4〜8原子%、Si及びGeの内少なくとも1種
の含有量が10〜18原子%、残部が金(Au)及び不
可避不純物からなる組成を有するように金合金容湯を凝
固する際の冷却条件を更に急冷させて、ロール周速度を
35m/秒以上にする事により、物質構造全体をアモル
ファス相にすることが出来る。そしてこの様に物質構造
全体がアモルファス相になると、アモルファス相と結晶
相が混合して存在する場合に比べて、強度及び硬度の向
上効果が更に大きくなる。この為、本発明の最も好まし
い構成は、希土類元素の内少なくとも1種の含有量が4
〜8原子%、Si及びGeの内少なくとも1種の含有量
が10〜18原子%、残部が金(Au)及び不可避不純
物からなる組成を有し、物質構造をアモルファス相とす
ることである。
【0024】上述したように、本発明になる組成の金合
金材料の物質構造の中に少なくともアモルファス相を有
してなる高硬度金合金が、本課題に対して有用である理
由は明らかではないが、Si及びGeの内少なくとも1
種を含み所定量の希土類元素を含まない場合、又は希土
類元素の内少なくとも1種を含みSi及びGeの内少な
くとも1種を含まない場合、物質構造がアモルファス相
から結晶相へ変化してこれに伴い、硬度及び引張強さが
低下してくる様になる。この様な経時劣化は2〜5日程
度で完了している。これに対して本発明のように、所定
量のSi及びGeの内少なくとも1種を含み且つ所定量
の希土類元素の少なくとも1種を含む場合、前記の様な
経時劣化は生じていない。本発明に於いては後述する実
施例中に、製造後の経過日数が7〜10日後のデータを
記載しているが、30日後に於いても経時劣化は生じて
いない事が確認されている。この為、本願の効果が安定
して得られているといえる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例について説
明する。 〔実施例1〜98/比較例1〜10〕図1に示す急冷装
置を用いて、表1,表3,表5,表7,表9,表11に
示す組成の金合金が得られる様にAu,希土類元素、S
i,Geを配合し、次いで銅製ロールを前記表中に示す
周速度で回転させて厚さ0.1mm,幅0.5mmのテ
ープ状材料を製造した。この時、Au地金の純度は9
9.999重量%のものを用い、また石英容器の下端ノ
ズル直径は0.5mm、該ノズル先端とロール面の距離
は0.5mmとした。得られたテープ状材料を用いて、
製造1日後の硬度及び7〜10日後の物質構造の同定、
引張強さ、硬度及び色調の測定、評価を行った。その結
果を表2,表4,表6,表8,表10,表12に示す。
測定方法は以下の通りとした。
【0026】〔物質構造の同定〕X線回折装置を用いて
結晶面の回折ピークから結晶相、アモルファス単相、結
晶相とアモルファス相の混合相の同定を行った。
【0027】〔色調評価方法〕目視により色調を確認
し、下記表に記すように4段階で評価した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】
【表9】
【0037】
【表10】
【0038】
【表11】
【0039】
【表12】
【0040】〔比較例11〕Cu及びAgを各々12.
5重量%、純度99.999重量%のAu75重量%を
配合してアルゴンガス雰囲気中で溶解した後、鋳型に鋳
造し空気冷却によって10mm厚さ×30mm幅×10
0mm長さのインゴットを得た。これを0.1mmまで
圧延してK18の試料とした。製造7〜10日後の物質
構造の同定、硬度及び色調の測定、評価を実施例1と同
様にして行った。その結果を表13に示す。
【0041】
【表13】
【0042】以上の測定結果から、以下のことが確認で
きた。請求項1に係る実施例1〜13、実施例25〜6
1では、希土類元素の内少なくとも1種を1〜12原子
%、Si及びGeの少なくとも1種を8〜30原子%を
含有し、残部が金(Au)及び不可避不純物からなる組
成を有する様に、金合金容湯を周速度が13m/秒の銅
製単ロールに噴射して金合金テープ材料を製造した。製
造後測定迄の経過日数が7〜10日の時の測定、評価結
果は、物質構造がアモルファス相と結晶相の混合相であ
り、引張強さは42.3〜43.9kg/mm2 、ビッ
カース硬度は420〜434と良好である。これは、現
在使用されているK18である比較例11に示すビッカ
ース硬度223、及び所定量の希土類元素を含有しない
比較例2,3,6,7に示す引張強さ36.8〜37.
2kg/mm2 、ビッカース硬度285〜293と対比
して一段と優れた効果を示した。また、製造後測定迄の
経過日数が1日と7〜10日を比較して、硬度の経時劣
化が見られない。30日後に於いても経時劣化は生じて
いない事が確認されている。このことは生成したアモル
ファス相が安定しており、本願の効果が安定して得られ
ているといえる。
【0043】またこの中でも、Si及びGeの少なくと
も1種の含有量が8〜18原子%である、請求項2に係
る実施例1〜5、実施例7〜11、実施例13、実施例
25〜61は、色調が純金と同等の黄金色であり、引張
強さ、硬度、色調共に優れた効果を示す為、より好まし
く用いられる。
【0044】請求項3に係る実施例14〜24、実施例
62〜98では、希土類元素の内少なくとも1種を4〜
8原子%、Si及びGeの少なくとも1種を10〜18
原子%を含有し、残部が金(Au)及び不可避不純物か
らなる組成を有する様に、金合金容湯を周速度が42m
/秒の銅製単ロールに噴射して金合金テープ材料を製造
した。製造後測定迄の経過日数が7〜10日の時の測
定、評価結果は物質構造がアモルファス単相であり、引
張強さは53.2〜54.8kg/mm2 、ビッカース
硬度は472〜486、色調は純金と同等の黄金色であ
る。これは物質構造がアモルファス相と結晶相の混合相
である実施例1〜13と対比して、引張強さ、硬度とも
に更に一段と優れた効果を示した。また、製造後測定迄
の経過日数が1日と7〜10日を比較して、硬度の経時
劣化が見られない。30日後に於いても経時劣化は生じ
ていない事が確認されている。このことは生成したアモ
ルファス相が安定しており、本願の効果が安定して得ら
れているといえる。この為、請求項3の構成に係る金合
金が最も好ましく用いられる。
【0045】上記した本発明の実施例に対し、比較例1
に示す純金は、Au及び不可避不純物からなる組成を有
する金容湯を、周速度が42m/秒の銅製単ロールに噴
射して金テープ材料を製造した。急冷させてもアモルフ
ァス相は得られず、引張強さ、硬度共低いものであっ
た。
【0046】また、比較例2〜3、比較例6〜7では、
Si又はGeを15又は30原子%含有するが希土類元
素を含有せず、残部がAu及び不可避不純物からなる組
成を有する様に、金合金容湯を周速度が42m/秒の銅
製単ロールに噴射して金合金テープ材料を製造した。製
造直後は高い硬度を示すものの室温に保存中、時間の経
過と共に硬度が低下してくる。表12に示すように、製
造後測定迄の経過日数が1日と7〜10日を対比して、
ビッカース硬度が428〜435から285〜293へ
と低下する事が判る。この事から、当初はアモルファス
相が生成されていたもののこれが不安定であり、室温に
保存中結晶化しているものと考えられる。この様な経時
劣化は、製造後測定迄の経過日数が2〜5日程度で完了
しており、30日後に於いても7〜10日後と差のない
ものであった。また、Si又はGe含有量が30原子%
の比較例3,7は、黄金色の中に薄い黒みがみられるよ
うになって色調評価は純金の黄金色に対して1ランク下
の○評価であり、色調が若干低下してくる。
【0047】比較例4,比較例8では、15原子%Ce
と15原子%のSi又はGeを含有し、残部がAu及び
不可避不純物からなる組成を有する様に、金合金容湯を
周速度が42m/秒の銅製単ロールに噴射して金合金テ
ープ材料を製造した。製造後測定迄の経過日数が1日と
7〜10日に於ける硬度を対比すると、何れも高い硬度
を示し、アモルファス相の劣化が生じていないことが判
る。引張強さも42.1〜43.4kg/mm2 と高い
ものであった。色調は黄金色の中に濃い白みが見られる
ようになって、色調評価は純金の黄金色に対して2ラン
ク下の△評価であり、美麗な色調が失われて来る。
【0048】比較例5,比較例9では、8原子%Ceと
35原子%のSi又はGeを含有し、残部がAu及び不
可避不純物からなる組成を有する様に、金合金容湯を周
速度が42m/秒の銅製単ロールに噴射して金合金テー
プ材料を製造した。製造後測定迄の経過日数が1日と7
〜10日に於ける硬度を対比すると、何れも高い硬度を
示し、アモルファス相の劣化が生じていないことが判
る。引張強さは37.8〜38.1kg/mm2 であ
り、この値は本発明品と対比して低いものであった。色
調は黄金色の中に濃い白みが見られるようになって、色
調評価は純金の黄金色に対して2ランク下の△評価であ
り、美麗な色調が失われて来る。
【0049】比較例10では、8原子%Ceを含有する
がSi及びGeを含有せず、残部がAu及び不可避不純
物からなる組成を有する様に、金合金容湯を周速度が4
2m/秒の銅製単ロールに噴射して金合金テープ材料を
製造した。急冷させてもアモルファス相は得られず引張
強さ、硬度共低いものであった。
【0050】比較例11では、現在使用されているK1
8の金合金を製造したものである。ビッカース硬度22
3であり、本発明品に比べて硬度が低いものであった。
【0051】
【発明の効果】本発明の金合金は以上説明したように、
希土類元素の内少なくとも1種を1〜12原子%、Si
及びGeの内少なくとも1種を8〜30原子%含有し、
残部が金(Au)及び不可避不純物からなる組成であっ
て、且つ物質構造の中に少なくともアモルファス相を有
する構成としたので、装飾品等としての日常の取扱い
中、材料の変形や疵を防止することが出来る程度の高い
強度と硬度を備え、且つ純金と比較して遜色のない美麗
な色調を有し、しかも生成された非晶質構造が安定して
おり経時劣化がほとんど見られないという効果を奏す
る。従って、ネックレス、ピアス、冠、万年筆、時計ケ
ース、メダル、貨幣等、飾り物から装飾性を兼ねた実用
品まで幅広い用途に使用可能な、優れた高硬度金合金を
提供できた。
【0052】また、上記Si及びGeの内少なくとも1
種の含有量を8〜18原子%とした場合は、色調が純金
と同等の黄金色であり、引張強さ、硬度、色調共に優れ
た効果を示す為、より好ましく用いることが出来る。
【0053】また、希土類元素の内少なくとも1種を4
〜8原子%、Si及びGeの内少なくとも1種を10〜
18原子%含有し、残部が金(Au)及び不可避不純物
からなる組成であって、且つ物質構造がアモルファス相
である構成とした場合は、色調が純金と同等の黄金色で
あって且つ引張強さ、硬度ともに更に一段と優れた効果
を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】単ロールを用いた急冷装置の概略図。
【符号の説明】
1:石英容器 2:溶融金属 3:高周波加熱装置 4:加圧装置 5:銅製ロール 6:ロール回転方向を示す矢印 7:テープ材料 8:カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板橋 一光 東京都三鷹市下連雀8丁目5番1号 田中 電子工業株式会社三鷹工場内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806 (72)発明者 木村 久道 宮城県亘理郡亘理町荒浜字藤平橋44番地

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類元素の内少なくとも1種を1〜1
    2原子%、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)
    の内少なくとも1種を8〜30原子%を含有し、残部が
    金(Au)及び不可避不純物からなる組成を有し、物質
    構造の中に少なくともアモルファス相を有することを特
    徴とする高硬度金合金。
  2. 【請求項2】 上記シリコン(Si)及びゲルマニウム
    (Ge)の内少なくとも1種の含有量を8〜18原子%
    とすることを特徴とする請求項1記載の高硬度金合金。
  3. 【請求項3】 希土類元素の内少なくとも1種を4〜8
    原子%、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)の
    内少なくとも1種を10〜18原子%を含有し、残部が
    金(Au)及び不可避不純物からなる組成を有し、物質
    構造がアモルファス相であることを特徴とする高硬度金
    合金。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005270479A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Citizen Watch Co Ltd 金色被膜を有する装飾品およびその製造方法
WO2022210430A1 (ja) * 2021-03-29 2022-10-06 学校法人東京理科大学 金合金及び金合金の製造方法

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