JPH10180184A - 熱硬化性粉体塗料による物品の塗装法、およびその物品 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料による物品の塗装法、およびその物品

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JPH10180184A
JPH10180184A JP15170197A JP15170197A JPH10180184A JP H10180184 A JPH10180184 A JP H10180184A JP 15170197 A JP15170197 A JP 15170197A JP 15170197 A JP15170197 A JP 15170197A JP H10180184 A JPH10180184 A JP H10180184A
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JP
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coating
article
epoxy resin
coating material
coil
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Application number
JP15170197A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Kawada
義浩 川田
Masahiro Imaizumi
雅裕 今泉
Toyofumi Asano
豊文 浅野
Takumi Kobayashi
小林  巧
Haruki Niimoto
昭樹 新本
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Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐ヒートサイクル性、耐クラック性、含浸性に
優れる塗膜を得る熱硬化性粉体塗料の塗装法の開発。 【解決手段】静電塗装方法により物品を塗装する方法に
おいて、物品に熱硬化性粉体塗料を付着させた後、昇温
速度を調整しながら該塗料を溶融硬化させることを特徴
とする物品の塗装方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電塗装方法を利用
した、耐ヒートサイクル性、耐クラック性、含浸性等に
優れる物品の塗装方法及び該方法で製造された物品に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、バリスタ、サーミスタ、セラミッ
クコンデンサ、フィルムコンデンサ等の電子部品の塗装
方法として熱硬化性粉体塗料を利用する方法が広く知ら
れ、流動浸漬法を利用した方法が実用化されている。こ
の流動浸漬法は加熱された被塗物を流動している粉体塗
料中に浸漬し、塗料を溶融付着させ塗膜を形成する方法
である。
【0003】ところで、電子部品は、耐ヒートサイクル
試験、耐湿熱試験による電気的特性、機械的特性の劣化
が少ないものが要求されてきており、従来熱硬化性粉体
塗料の改良により対応してきている。しかし、特にバリ
スタ、セラミックコンデンサ、サーミスタに於いてはよ
り高いレベルの耐ヒートサイクル性が要求されてきてい
る。従来、エポキシ樹脂系粉体塗料の耐ヒートサイクル
性を向上する方法として、溶融シリカ等の線膨張率の低
い無機充填剤の充填率を高める方法が知られているが、
塗膜を平滑にするためには充填率に限界がある。一方、
可とう性付与効果や架橋密度低下効果を目的として、線
状脂肪族エポキシ樹脂や脂肪族酸無水物、一官能酸無水
物硬化剤を用いる方法等が知られているが、これらの場
合は耐湿性に於いて満足な特性が得られない場合が多
い。
【0004】また、モーターや発電機等の、特に、高温
下あるいは高速下で用いる回転子等のコイル部品の固着
方法としては、エポキシ樹脂系液状ワニスを使用するこ
とが知られている。この液状ワニスは、高温下における
コイルの保護、あるいは高速回転下におけるコイルの振
動およびばらけ防止を目的として、使用される。液状ワ
ニスを使用しない場合、高温下ではコイル自体の熱劣化
が、また、高速回転下ではコイルの振動・ばらけが生
じ、いずれも、回転子本来の機能に支障をきたす。この
問題点を解決するために、液状ワニスでコイルを固着す
る方法が採用されている。液状ワニスはコイルを含む回
転子コアあるいは、コア空間内に滴下し、加熱しながら
含浸および硬化させた後、該回転子コア表面から余分な
硬化樹脂をコア金属表面が露出する程度にバイト刃等で
切削処理を施して回転子とされる。
【0005】しかし、エポキシ樹脂系液状ワニスを用い
て高速回転子を生産する場合、次の工程をとる。(1)
液状ワニスが含浸しやすいように、コイルを含む回転子
コア全体を均一に加熱するため、時間をかけて昇温す
る。(2)加熱したコイルを含む回転子コアに液状ワニ
スを滴下し、液状ワニスを熱により低粘度化し、コイル
あるいはコア空間内に濡れ広がり含浸させる。(3)加
熱により低粘度化した液状ワニスをゲル化させる。
(4)完全硬化させるために通常1〜2時間更に加熱さ
せる。(5)完全硬化後余分な硬化樹脂をコア金属表面
が露出する程度にバイト刃等で切削処理を施して製品と
する。この為、生産工程が長く生産効率が低い。一方、
生産効率を上げる目的でゲル化時間を早めると、液状ワ
ニスの含浸性が不十分となりコイルの固着力が低下し不
良品となる。また、液状ワニスはポットライフが短いた
め、再利用が不可能であり、更には、粘度が低いため、
ゲル化前にワニスの垂れが生じ、液状ワニスの使用量が
増えコストがアップするという問題が挙げられていた。
これらの問題に加えて、液状ワニスの垂れや有機溶剤の
使用に伴う臭気等により、作業環境の汚染や作業者の安
全の問題などが挙げられる。
【0006】これらの問題点を解決するため無公害で、
塗料の再利用が可能でコスト的に非常に有利な粉体塗装
が注目されている。エポキシ樹脂系粉体塗料を用いて高
速回転子コイルを固着する場合、流動浸漬法や粉体塗料
を負電荷に帯電させるコロナ帯電式静電塗装法により塗
布することが採用されている。流動浸漬法の場合、コイ
ルを含む高速回転子を粉体塗料の溶融温度以上に加熱
し、これを流動浸漬槽に数回浸漬して塗装する。従っ
て、コア表面に付着した粉体塗料は、そのコア表面上で
溶融する。次に、この高速回転子を更に加熱することに
より、溶融物を完全硬化させる。しかしながら、従来の
粉体塗料では溶融粘度が高く、液状ワニスと同様なコイ
ル部への含浸性を得ることが困難であり、本来目的とし
ているコイル固着能力を低減させる。また、生産効率を
上げるため加熱硬化後の回転子を、例えば180℃から
室温に強制冷却するために、塗膜内部に応力が生じ塗膜
にクラックを生じる、あるいは、クラックが入らなくて
もヒートサイクル試験でクラックが入るという問題が発
生する。
【0007】コロナ帯電式静電塗装法の場合、アースを
施したコイルを含む高速回転子に負電荷に帯電させた粉
体塗料を室温下で噴霧し付着させる。従って、コア表面
に付着した粉体塗料は、そのコア表面上で溶融すること
なく付着している。次に、この高速回転子を高周波誘導
加熱発信器等により加熱することにより、付着した粉体
塗料を溶融し、完全硬化させる。この場合、被塗物及び
粉体塗料はほぼ同様な昇温速度で加熱硬化されるため、
冷却後に生じる塗膜内部の熱歪みは前記した流動浸漬法
ほど大きいものではなく、クラック発生率は低くなる。
しかしながら、コロナ帯電した粉体塗料は、アースされ
た被塗物の表面から付着する性質を有しており、コイル
を含むコア空間部やコイル空間部と入った空間への付着
性が悪い為、流動浸漬法よりも含浸性やコイル固着性に
乏しく、本来目的としているコイル固着能力を低減させ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐ヒートサ
イクル性の良好な物品及び又は耐クラック性、含浸性の
良好な物品を得るための該物品の塗装方法を見出すこと
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
ような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、耐ヒー
トサイクル性の良好な電子部品を得るための該部品の塗
装方法及び耐ヒートサイクル性、耐クラック性、含浸性
の良好なコイル部品を得るための該部品の固着方法を見
いだし、本発明を完成したものである。即ち、本発明
は、(1)静電塗装方法により物品を塗装する方法にお
いて、物品に熱硬化性粉体塗料を付着させた後、昇温速
度を調整しながら該塗料を溶融硬化させることを特徴と
する物品の塗装方法、(2)昇温速度を80℃/分以下
に調整しながら熱硬化性粉体塗料を溶融硬化させること
を特徴とする(1)の塗装方法、(3)熱硬化性粉体塗
料が(a)エポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)硬化促
進剤、(d)無機充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂
組成物である(1)または(2)の塗装方法、(4)硬
化剤(b)がカルボン酸無水物、フェノール系硬化剤又
はジシアンジアミドである(3)の塗装方法、(5)熱
硬化性粉体塗料が正電荷に荷電されている(1)ないし
(4)のいずれか一項の塗装方法、(6)熱硬化性粉体
塗料が負電荷に荷電されている(1)ないし(4)のい
ずれか一項の塗装方法、(7)物品が電子部品である
(1)ないし(6)のいずれか一項の塗装方法、(8)
電子部品がバリスタ、サーミスタ、セラミックコンデン
サ又はフィルムコンデンサである(7)の塗装方法、
(9)物品がコイル部品である(1)ないし(6)の塗
装方法、(10)コイル部品が高速回転子である(9)
の塗装方法、(11)(1)ないし(6)のいずれか一
項の方法で塗装された物品(12)塗膜の厚さが0.2
〜1.5mmである(11)の物品、(13)物品が電
子部品である(11)または(12)の物品、(14)
電子部品がバリスタ、サーミスタ、セラミックコンデン
サ又はフィルムコンデンサである(13)の物品、(1
5)物品がコイル部品である(11)または(12)の
物品、(16)コイル部品が高速回転子である(9)の
物品、(17)(16)の高速回転子を有するモータ
ー、に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の塗装方法は、物品に熱硬
化性粉体塗料を付着させた後、昇温速度を調整しながら
該塗料を溶融硬化させることを特徴とする。昇温速度
は、良好な耐ヒートサイクル性という観点からすると、
遅い方が好ましく、例えば80℃/分以下であるが、あ
まり遅すぎると塗膜の平滑性や生産性を損なうことか
ら、好ましくは40〜75℃/分、より好ましくは45
〜70℃/分程度がよい。また、昇温速度を80℃/分
以上にすると、粉体塗料溶融物の垂れが生じたり、急激
な反応によって塗膜が発泡するため好ましくない。ここ
でいう「昇温速度」とは、塗装していない物品の表面に
熱電対を接触させておき、加熱時間と表面温度を測定す
ることにより、昇温速度勾配を算出したものである。
【0011】本発明で使用する物品としては特に制限は
なく、例えば電気・電子部品があげられるが、具体的に
は例えば、バリスタ、セラミックコンデンサ、サーミス
タ等のセラミック電子部品、フィルムコンデンサ、二輪
車や四輪車のスターターモーター用の高速回転子等の回
転子コイルや発電機やモーターにおける固定子コイル等
のコイル部を有するコイル部品があげられる。
【0012】塗装対象物品が電気・電子部品等である場
合、本発明で使用される静電塗装方法としては、例えば
静電スプレー法や静電流動槽法があげられる。静電スプ
レー法は電子部品に帯電した粉体塗料を噴霧付着させた
後加熱硬化する方法であり、帯電方法としては、例えば
コロナ放電による強制帯電方式、摩擦帯電方式等による
ものがあげられる。また静電流動槽法は、帯電した粉体
塗料の流動槽上に電子部品を通過させて粉体塗料を付着
させた後、加熱硬化する方法である。
【0013】本発明の静電塗装方法は、例えば次のよう
にして実施される。即ち、塗装対象物品がラジアルリー
ド型の電子部品である場合、熱硬化性粉体塗料を帯電用
パウダースプレーガンにより、リード線をアースした電
子部品に付着させる。電子部品は予め必要な部分に治具
またはテープによるマスキングを施すことが好ましい。
次いで塗料の付着した被塗物を赤外線ヒーターにより加
熱すると、塗膜が溶融して平滑になる。赤外線ヒーター
の加熱条件は、予め電子部品表面に接触させた熱電対で
温度を測定し、毎分80℃以下の昇温速度で上限温度を
例えば100〜165℃まで昇温される条件となるよう
調整しておく。電子部品がポリプロピレンフィルムコン
デンサである場合、上限温度は90〜105℃が望まし
い。電子部品が、半田で電極にリード線を固定したセラ
ミック電子部品の場合、上限温度は130〜165℃が
望ましく、更に好ましくは150〜165℃である。
【0014】塗料が半溶融状態の内にマスキングテープ
を外し、時間をおかずに熱風循環炉で後硬化して耐ヒー
トサイクルに優れる本発明の電子部品を得る事が出来
る。電子部品がポリプロピレンフィルムコンデンサの場
合、後硬化の条件は温度は90〜105℃が望ましく、
さらに望ましくは100〜105℃で、硬化時間は1〜
2時間が望ましい。電子部品が半田で電極にリード線を
固定したセラミック電子部品の場合、後硬化の条件は温
度は130〜165℃が望ましく、さらに望ましくは1
50〜165℃で、硬化時間は30分〜2時間が望まし
い。
【0015】塗装対象物品がスターターモーター等のモ
ーターコイルを固着する場合、より多くの粉体塗料をコ
イル空間内部まで付着させることが好ましく、本発明で
使用される静電塗装方法としては、正電荷に帯電させる
静電塗装方法が挙げられる。本発明で使用する正電荷に
帯電させる静電塗装方法としては、例えば摩擦帯電式静
電スプレー法が挙げられる。摩擦帯電式静電スプレー法
はコイル部品に正電荷に帯電した粉体塗料を噴霧付着さ
せた後加熱硬化する方法である。帯電方法としては、例
えばスプレーガン内部をテフロンチューブ等で作成し、
その内部に粉体塗料を通してテフロンと粉体塗料との摩
擦で正電荷に帯電させる方法が挙げられる。
【0016】塗装対象物品がスターターモーター等の高
速回転子コイルである場合、熱硬化性粉体塗料を帯電用
パウダースプレーガンにより、シャフト部をアースした
高速回転子に付着させる。シャフト部には予め必要な部
分にマスキング治具等によりマスキングを施すことが好
ましい。次いで塗料の付着した被塗物を赤外線ヒータ
ー、高周波誘導加熱発信器等により加熱すると、塗膜が
溶融して平滑になる。加熱条件は予め高速回転子表面上
に接触させた熱電対で温度を測定し、例えば50℃/分
以下の昇温速度で上限温度150〜200℃まで昇温さ
れる条件となるよう調整しておくのが好ましい。
【0017】本発明の熱硬化性粉体塗料としては、例え
ば、エポキシ系、エポキシ/ポリエステル系、ポリエス
テル系、アクリル系等が挙げられる。本発明で好ましい
ものとしては、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)硬
化剤、(c)硬化促進剤及び(d)無機充填剤を含有す
る組成物からなるエポキシ樹脂系粉体塗料が挙げられ
る。
【0018】本発明の熱硬化性粉体塗料に用いるエポキ
シ樹脂としては、例えばフェノール系化合物にグリシジ
ルエーテルを結合させたエポキシ樹脂、シクロヘキサン
等の脂肪族骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、イソシア
ヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エ
ポキシ樹脂等があげられるが、フェノール系化合物にグ
リシジルエーテルを結合させたエポキシ樹脂が好まし
い。
【0019】フェノール系化合物にグリシジルエーテル
を結合させたエポキシ樹脂におけるフェノール系化合物
としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノー
ル、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス
(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−ブチリレン−ビス(3−メチル−6−ter
t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノー
ル)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロー
ル、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、
1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフ
ルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリ
ブタジエン等のポリフェノール化合物、各種のノボラッ
ク樹脂及びこれらのフェノール系化合物のハロゲン化物
等があげられる。各種のノボラック樹脂としては、例え
ばフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブ
チルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフト
ール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹
脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジ
シクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹
脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が
あげられる。尚、フェノール系化合物のハロゲン化物に
おけるハロゲンとしては、例えば塩素、フッ素、臭素、
沃素等があげられるが、塩素、臭素が好ましく、更に好
ましくは臭素である。
【0020】上記のフェノール系化合物のハロゲン化物
にグリシジルエーテルを結合させたエポキシ樹脂として
は、例えばブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフ
ェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェ
ノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、ク
ロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等
のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したハロゲン
化エポキシ樹脂が挙げられる。
【0021】これらエポキシ樹脂は一種、又は二種以上
混合して用いても良く、好ましくは(イ)エポキシ当量
450〜4000のビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS等のビスフェノール型エポキシ樹
脂の一種又は二種以上と(ロ)エポキシ当量300〜8
00のブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノ
ールF、ブロム化ビスフェノールS等のハロゲン化ビス
フェノール型エポキシ樹脂の一種又は二種以上と(ハ)
エポキシ当量190〜220のノボラック型多官能エポ
キシ樹脂の一種または二種以上とのくみあわせであり、
より好ましくはエポキシ当量450〜4000のビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂の一種又は二種以上とエポキ
シ当量300〜800のテトラブロムビスフェノールA
型エポキシ樹脂の一種又は二種以上とエポキシ当量19
0〜220のノボラック型多官能エポキシ樹脂の一種ま
たは二種以上とのくみあわせである。この場合、テトラ
ブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂は難燃性エポキ
シ樹脂として用いられ、その使用量は通常全樹脂成分中
の5〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、更に好
ましくは12〜30重量%である。5重量%以下では難
燃性が付与されず、40重量%以上では効果が変わらず
経済的に不利である。又、本発明で使用するエポキシ樹
脂は、エポキシ樹脂全体としてのエポキシ当量が450
〜1000、好ましくは500〜900、更に好ましく
は550〜800である。450以下では保管中に粉体
塗料がブロッキングしてしまい使用に耐えないし、10
00以上ではブロッキングしないものの、例えば、物品
が電子部品の場合は、塗装時の素子の加熱温度が高くな
るため素子の品質に影響したり、塗膜外観、或いは生産
性が落ちるといった問題点、また、物品がコイル部品の
場合は、得られた粉体塗料の溶融粘度が高くなり、回転
子コイル内部に浸透しにくくなるという問題点を有して
いる。
【0022】本発明の熱硬化性粉体塗料に用いる硬化剤
(b)としては、例えばカルボン酸無水物、フェノール
系化合物、アミド類等が挙げられる。カルボン酸無水物
としては、例えばフタル酸無水物、トリメリット酸無水
物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット
酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の芳香族カル
ボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸等の脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル
酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無
水物、クロレンド酸無水物、ハイミック酸無水物等の脂
環式カルボン酸無水物等があげられるが、好ましくはト
リメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無
水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物
等の芳香族カルボン酸無水物であり、更に好ましくはベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコ
ール無水トリメリット酸である。酸無水物の使用量は通
常エポキシ樹脂のエポキシ基に対するカルボキシル基の
当量比に於いて0.2〜1.8であり、好ましくは0.
3〜1.2であり、更に好ましくは0.4〜0.9であ
る。酸無水物の使用量が0.2より小さいと耐湿性に劣
り、1.8より大きいと耐熱衝撃性が劣る傾向にある。
尚、エチレングリコール無水トリメリット酸を使用する
場合、その純度は高いものが好ましく、例えば融点が1
40℃以上のものがよい(純品の融点は175℃以上で
ある)。
【0023】次にフェノール系化合物としては、例えば
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール
S、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチ
レン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノ
ール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−
tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリレン
−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキ
シ−5−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロ
キシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデ
ン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロ
キシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフ
ェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェ
ノール化合物、各種のノボラック樹脂及びこれらのフェ
ノール系化合物のハロゲン化物等があげられる。各種の
ノボラック樹脂としては、例えばフェノール、クレゾー
ル類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オク
チルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノー
ルを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フ
ェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含
有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェ
ノールノボラック樹脂等があげられる。尚、フェノール
系化合物のハロゲン化物におけるハロゲンとしては、例
えば塩素、フッ素、臭素、沃素等があげられるが、塩
素、臭素が好ましく、更に好ましくは臭素である。ま
た、アミド類としては、ジシアンジアミド等が挙げられ
る。これら硬化剤(b)は、単独又は二種以上を混合し
て用いることができる。硬化剤(b)の配合割合は、エ
ポキシ樹脂(a)のエポキシ基に対する硬化剤の当量比
に於いて0.3〜2.0の範囲で、好ましくは0.4〜
1.5の範囲で、更に好ましくは0.5〜1.0の範囲
で用いられる。
【0024】本発明の熱硬化性粉体塗料に用いられる硬
化促進剤(c)としては、例えば各種イミダゾール類、
各種イミダゾール類と多価カルボン酸との塩類、アミド
類、ジアザ化合物及びそれらとフェノール類、前記多価
カルボン酸類、又はフォスフィン酸類との塩類、ホスフ
ィン類、フェノール類等が挙げられる。
【0025】各種イミダゾール類としては、例えば2−
メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−
ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾー
ル、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベン
ジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−
メチルイミダゾール、、1−シアノエチル−2−メチル
イミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダ
ゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾー
ル、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール
(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジ アミ
ノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチ
ル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エ
チル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−
トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミ
ダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシア
ヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸
の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌ
ル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチ
ルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル
−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フ
ェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール
等があげられる。
【0026】上記の各種イミダゾール類と多価カルボン
酸との塩類における多価カルボン酸としては、例えばフ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香
族多価カルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の脂肪族多価カ
ルボン酸があげられる。アミド類としては、例えばジシ
アンジアミドがあげられる。ジアザ化合物としては、例
えば1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセ
ン−7があげられる。ホスフィン類としては、例えばト
リフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテ
トラフェニルボレート等があげられる。フェノール類と
しては、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等
が挙げられる。
【0027】好ましい硬化促進剤(c)としては、例え
ば各種イミダゾール類、各種イミダゾール類と多価カル
ボン酸との塩類、ホスフィン類があげられる。好ましい
イミダゾール類としては、例えば2,4−ジアミノ−6
(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−ト
リアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイ
ミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4
−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾー
ル(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミ
ノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−
s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のイミダゾリ
ルエチル−s−トリアジン類、2−メチルイミダゾール
イソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾ
ールイソシアヌル酸付加物等のアルキルもしくはアリル
イミダゾールのイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0028】各種イミダゾール類と多価カルボン酸との
塩類における好ましいイミダゾール類としては、例えば
2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、
2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダ
ゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−
ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−
2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチ
ルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミ
ダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾ
ール等が挙げられる。また、好ましい多価カルボン酸と
しては、例えばテレフタル酸、トリメリット酸、ピロメ
リット酸等の芳香族多価カルボン酸があげられる。ホス
フィン類としては、例えばトリフェニルホスフィン、テ
トラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等が
あげられる。
【0029】更に好ましい硬化促進剤(c)としては、
例えば2−ウンデシルイミダゾールのテレフタル酸塩、
トリメリット酸塩又はピロメリット酸塩、2−ヘプタデ
シルイミダゾールのテレフタル酸塩、トリメリット酸塩
又はピロメリット酸塩、2−フェニル−4−メチルイミ
ダゾールのテレフタル酸塩、トリメリット酸塩又はピロ
メリット酸塩、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾー
ル、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールのテレフタ
ル酸塩、トリメリット酸塩又はピロメリット酸塩、及び
トリフェニルホスフィンがあげられる。これらの硬化促
進剤(c)の配合割合は、エポキシ樹脂100重量部に
対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05
〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部である。
【0030】本発明の熱硬化性粉体塗料に用いる無機充
填材(d)としては、例えば溶融シリカ、結晶シリカ、
シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシ
ウム、マイカ、タルク、クレー、酸化アルミニウム、酸
化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウ
ム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウム
アルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、
硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等
が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、炭酸
カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭
酸マグネシウム、マイカ、タルク、珪酸カルシウム、珪
酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウムであり、更
に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム、マイカである。これら充填剤は
二種以上を混合して用いても良い。又、その平均粒径
(50%重量平均)は0.5〜75μm好ましくは1〜
50μm、更に好ましくは2〜30μmであり、その配
合割合は前記エポキシ樹脂100重量部に対して通常3
0〜170重量部、好ましくは45〜150重量部、更
に好ましくは60〜130重量部である。又、上記無機
充填剤(d)は、カップリング剤で表面処理を施したも
のも使用できる。
【0031】本発明の粉体塗料には、目的に応じ着色
剤、カップリング剤、レベリング剤、滑剤、応力緩和剤
等を適宜添加することができる。着色剤としては特に制
限はなく、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリ
ドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペ
リレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン又はメチ
ン系の各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、酸化亜
鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオ
ン、弁柄、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラッ
ク、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等
の無機顔料が挙げられる。
【0032】カップリング剤としては、3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル) エチルトリメトキシシラン、N−(2−
アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメ
チルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエト
キシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベ
ンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン
系カップリング剤、イソプロピル( N−エチルアミノエ
チルアミノ) チタネート、イソプロピルトリイソステア
ロイルチタネート、チタニュウムジ( ジオクチルピロフ
ォスフェート) オキシアセテート、テトライソプロピル
ジ( ジオクチルフォスファイト) チタネート、ネオアル
コキシトリ(p−N−( β−アミノエチル) アミノフェニ
ル) チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−ア
セチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プ
ロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアル
コキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコ
キシトリス( ドデカノイル) ベンゼンスルフォニルジル
コネート、ネオアルコキシトリス( エチレンジアミノエ
チル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノ
フェニル) ジルコネート、アンモニュウムジルコニュウ
ムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−
メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウ
ム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられる
が好ましくはシリコン系カップリング剤、又はチタネー
ト系カップリング剤である。
【0033】レベリング剤としてはエチルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート等のアクリレート類からなる分子量4000〜12
000のオリゴマー類、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキ
シ化アビエチルアルコール、水添ひまし油、チタン系カ
ップリング剤等が挙げられる。滑剤としてはパラフィン
ワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等
の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の高
級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミ
ド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エ
チレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑
剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリ
コールモノステアレート、ペンタエリスリトール(モノ
−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高
級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロ
ール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘ
ン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のマグネシウム、カ
ルシウム、カドミウム、バリュウム、亜鉛、鉛等の金属
塩である金属石鹸類、カルナウバロウ、カンデリラロ
ウ、密ロウ、モンタンロウ等の天然ワックス類が挙げら
れる。応力緩和剤としては、イソプレンゴム、ブタジエ
ンゴム、SBR、シリコーンゴム、CTBN、エポキシ
変性ブタジエンゴム、エポキシ変性SBR等のゴム類、
ポリウレタン類、ポリエステル類、EVA等の熱可塑性
樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキ
シ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ
樹脂等が挙げられる。
【0034】本発明に使用されるエポキシ樹脂系粉体塗
料は各成分を溶融混合し、微粉砕したものである。この
粉体塗料の粒度は通常20〜150μmの範囲にある。
本発明のエポキシ樹脂系粉体塗料を調製するには、上記
のエポキシ樹脂、酸無水物、硬化促進剤、充填剤又はシ
ランカップリング剤により表面処理された充填剤、シラ
ンカップリング剤、必要に応じ難燃剤、着色剤、レベリ
ング剤等のその他の添加剤を、ヘンシェルミキサー等の
混合機を用いて乾式混合後、ニーダー、エクストルーダ
ー等により、例えば110℃以下で溶融混合処理を施し
た後、混合物を冷却固化し、微粉砕後分級し、所望の粒
度のものを採取すればよい。
【0035】本発明で使用する正電荷に帯電させる静電
塗装方法としては、例えば摩擦帯電式静電スプレー法が
挙げられる。摩擦帯電式静電スプレー法は、例えばスプ
レーガン内部をテフロンチューブ等で作成し、その内部
に粉体塗料を通してテフロンと粉体塗料との摩擦で、粉
体塗料を正電荷に帯電させ、被塗物に噴霧付着させた後
加熱硬化する方法である。
【0036】本発明で使用する負電荷に帯電させる静電
塗装方法としては、例えば静電流動槽法が挙げられる。
静電流動槽法は、例えば底面を多孔板で作成した粉体流
動槽に粉体塗料を入れ、流動させる。流動槽内又は流動
槽底部には電極が設置されており、この電極に高電圧を
印可すると、電極は被塗物に向けてコロナ放電し、粉体
流動槽内の粉体塗料を強制的に負電荷に帯電させ、被塗
物に噴霧付着させた後加熱硬化する方法である。
【0037】本発明の物品は表面が上記の本発明のエポ
キシ樹脂系粉体塗料を本発明の塗装方法により塗装され
たもの及び物品の表面又は内部に巻かれた一部である。
硬化皮膜層の厚さは0.2〜1.5mm程度が好まし
い。物品としては特に制限はなく、例えばバリスタ、セ
ラミックコンデンサ、サーミスタ、フィルムコンデンサ
スターターモーター用高速回転子等のコイル部品等の電
気・電子部品があげられる。バリスタはセラミックバリ
スタ素子の劣化防止、機械的保護を目的として本発明の
エポキシ樹脂系粉体塗料により塗装されたものであり、
印加電圧によって著しく抵抗値が変わり、電圧−電流特
性が非直線性を示す固体素子で、トランジスタ、サイリ
スタ、テレビの偏向回路のパルス抑制、電子レンジのマ
グネトロン、電力機器等のサージ(異常高電圧)からの
保護、或いは各種電子回路の安定化電源、異常電圧の抑
制、電圧変動補償のための電圧安定用として用いられ
る。
【0038】セラミックコンデンサは、ステアタイトセ
ラミック、チタンセラミック、チタン酸バリウムセラミ
ック等のセラミックを誘電体として、磁器に直接、一般
的には銀を焼き付けて電極として作られた無極性無機質
のコンデンサ素子の劣化防止、機械的保護を目的として
本発明のエポキシ樹脂系粉体塗料により塗装されたもの
であり、テレビ、ラジオ、音響機器などの民生用機器、
船舶、航空機、車両、商業用の各種通信機、測定機など
に広く利用される。
【0039】サーミスタは、Mn、Co、Ni、Cu、
Fe等の金属酸化物の複合焼結体に電極とリード線を取
り付け、素子の劣化防止、機械的保護を目的として本発
明のエポキシ樹脂系粉体塗料により塗装されたものであ
り、温度の変化に対して抵抗値がきわめて大きく変化す
る特性を活かして温度計測用センサー、コイルやトラン
ジスタなど電子回路素子の温度補償用、及び回路のラッ
シュカレント防止に用いられる。
【0040】フィルムコンデンサはポリエチレンテレフ
タレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート等のプラスチックフィルムを誘電体とし、電極に
Al、Sn等の金属箔を用いこれらを重ねて巻回して作
られた無極性・有機膜のコンデンサであり、素子の劣化
防止、機械的保護を目的として本発明のエポキシ樹脂系
粉体塗料により塗装されたものである。テレビ、ラジ
オ、音響機器等の民生用機器を初めとし、産業機器、宇
宙衛星用等幅広く使用されている。
【0041】高速回転子は、冷間圧延鋼板、電磁鋼板等
をプレス加工し、薄片を積み重ねた積層鉄芯と、その中
央部に圧入された回転軸で構成されている。積層鉄心
は、絶縁紙等で絶縁加工され、銅線を重ねて巻き付けた
回転型モーターであり、高速回転時における銅線の振動
防止、ばらけ防止等を目的として本発明のエポキシ樹脂
系によりコイル固着されたものである。スターターモー
ター、ワイパーモーター等の自動車用モーターを初めと
し、各種産業機器等幅広く使用されている。
【0042】
【実施例】次に実施例によって、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定される
ものではない。実施例、比較例に於いて「部」は重量部
を意味する。
【0043】実施例1 エポミックR−302(三井石油化学製ビスフェノール
系エポキシ樹脂、エポキシ当量620)600部、エポ
ミックR−304(三井石油化学製ビスフェノール系エ
ポキシ樹脂、エポキシ当量920)200部、ESB−
400T(住友化学製ブロム化ビスフェノール系エポキ
シ樹脂、エポキシ当量400)200部、溶融シリカ
(龍森製、RD−8)1113部、エチレングリコール
無水トリメリット酸(新日本理化製、TMEG−20
0、融点173℃)113部、1−ベンジル−2−メチ
ルイミダゾールのテレフタル酸塩(四国化成製、1B2
MZ・TPA)1部、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(信越シリコーン製、KBM403)8
部、レベリング剤(楠本化成製、PL−525)20
部、顔料化フタロシアニン顔料12部をミキサーで粉
砕、混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混合した。
得られた混練物を冷却、固化した後、粉砕し150μm
篩を通してエポキシ樹脂系粉体塗料を得た。
【0044】上記エポキシ樹脂系粉体塗料を用いて、ト
ロイボガン(ノードソン製商品名:トリボマチック自動
パウダースプレーガン)により試験用バリスタに塗装を
行った。試験用バリスタの形状はラジアルリード型で素
子部の直径は13.5mm、厚み1mmであった。バリ
スタのリード線には必要な部分にテープによるマスキン
グを施した。塗装条件は吐出量調整エア圧1kgf/cm2
霧化エア圧1kgf/cm2、ガン吐出口と被塗物間距離5c
m、塗装時間20秒として行った。塗料の付着した被塗
物を毎分50℃の昇温速度条件で赤外線ヒーターにより
165℃まで加熱して、塗膜を溶融させ、塗料が半溶融
状態の内にマスキングテープを外した。時間をおかずに
150℃に設定した熱風循環炉に入れ1時間後硬化して
ヒートサイクル試験用バリスタを得た。リード線部にお
ける塗膜厚は0.3mmから0.4mmの範囲内であっ
た。
【0045】ここでいう「昇温速度条件」とは、塗装し
ていないバリスタに熱電対をバリスタの半田の部分に接
触させておき、加熱時間と表面温度を測定することによ
り、昇温速度勾配を算出したものである。
【0046】実施例2 実施例1で用いたエポキシ樹脂系粉体塗料を用いて、同
様に試験用バリスタに塗装を行った。試験用バリスタの
形状は実施例1と同一であった。バリスタのリード線に
は必要な部分にテープによるマスキングを施した。塗装
条件は吐出量調整エア圧1kgf/cm2 、霧化エア圧1kgf/
cm2 、ガン吐出口と被塗物間距離5cm、塗装時間20
秒として行った。塗料の付着した被塗物を毎分70℃の
昇温速度条件で赤外線ヒーターにより165℃まで加熱
して、塗膜を溶融させ、塗料が半溶融状態の内にマスキ
ングテープを外した。時間をおかずに150℃に設定し
た熱風循環炉に入れ1時間後硬化してヒートサイクル試
験用バリスタを得た。リード線部における塗膜厚は0.
3mmから0.4mmの範囲内であった。
【0047】比較例1 前記実施例1で得られたエポキシ樹脂系粉体塗料を用い
て、流動浸漬塗装機PC0S(精研製)により前記実施
例1と同様に試験用バリスタに流動浸漬法による塗装を
行った。塗装条件は予熱ヒーター温度センサ230℃設
定、予熱時間60秒、ディップ時間5秒、ディップ回数
2回、ディップ間隔時間30秒、後加熱時間30秒、撹
拌エア圧1.5kgf/cm2 、ディップ時エア圧0.2kgf/
cm2 、バイブレータ強度3目盛とした。このとき1回目
ディップ時のバリスタ表面温度は155℃であった。1
50℃に設定した熱風循環炉で1時間、後硬化してヒー
トサイクル試験用バリスタを得た。リード線部における
塗膜厚は0.3mmから0.4mmの範囲内であった。
【0048】実施例1,2及び比較例1に示す塗装法で
塗装したバリスタを用いて、ヒートサイクル試験を実施
した。ヒートサイクル試験の評価方法は次の通りであ
る。即ち、実施例で示されるバリスタ各条件5個づつを
用いて−40℃〜125℃、各30分の気相式試験を実
施し、クラックが入ったバリスタの数を記録する。結果
を表1に示す。
【0049】
【表1】 表1 サイクル数 実施例1 実施例2 比較例1 (昇温50℃/分) (昇温70℃/分) (昇温90℃/分) 80 0 0 0 120 0 0 3 160 0 0 5 200 0 0 240 0 0 280 0 3 320 1 5 360 2 400 3 440 5 (注)n=5 バリスタ直径 13.5mm 厚み1mm
【0050】この表より、1分間当たりの昇温温度を低
くすると、即ち、昇温時間を遅くすると耐ヒートサイク
ル性が向上することが判る。
【0051】実施例3 エポミックR−304(三井石油化学製ビスフェノール
系エポキシ樹脂、エポキシ当量920)650部、EO
CN−104S(日本化薬製ノボラック型多官能エポキ
シ樹脂、エポキシ当量200)350部、球状シリカ
(電気化学工業製、FB−74)1294部、チタネー
ト系カップリング剤(味の素製、KR−46B)6部、
ジシアンジアミド(油化シェルエポキシ製、DICY
7)42.1部、2MZA−PW(四国化成製、2MZ
−A微粉砕グレード)20部、シリコーンパウダー(東
レダウコーニングシリコーン製、AY49−281)6
0部、シラン系カップリング剤(信越シリコーン製、K
BM303)0.9部、レベリング剤(楠本化成製、P
L−525)15部をミキサーで粉砕、混合した後、2
軸ニーダーを用いて溶融混合した。得られた混練物を冷
却、固化した後、粉砕し150μm篩を通して本発明で
使用されるエポキシ樹脂系粉体塗料を得た。
【0052】上記エポキシ樹脂系粉体塗料を用いて、ト
ロイボガン(ノードソン製商品名:トリボマチック自動
パウダースプレーガン)により60mmφ、積厚60m
mの高速回転子に塗装を行った。高速回転子のシャフト
部やコンミテーター部等の塗装不要箇所にはテープによ
るマスキングを施した。塗装方法としては、まず空間部
分が埋まるまで、コイル空間内部およびコア空間内部に
エポキシ樹脂系粉体塗料を付着させ、次いでコイル及び
コア全体に粉体塗料を付着させる二段塗装法を用いた。
塗装条件は一次塗装条件に吐出量調整エア圧2kgf/c
m2 、霧化エア圧4kgf/cm2 、ガン吐出口と被塗物間距
離5mm、塗装時間90秒の条件で、又、二次塗装条件
に吐出量調整エア圧0.5kgf/cm2 、霧化エア圧1kgf/
cm2 、ガン吐出口と被塗物間距離150mm、塗装時間
30秒の条件で行った。塗料の付着した被塗物を毎分4
5℃の昇温条件で高周波誘導加熱発信器により室温から
190℃まで加熱して、塗膜を溶融硬化させた。加熱硬
化後、5kgf/cm2 以上のエアを10分間吹き付け
強制的に冷却した。上記塗装方法で回転子コアを5本塗
装したところ、強制冷却によるクラックは生じず良好で
あった。又、該回転子コア表面から余分な硬化樹脂をコ
ア金属表面が露出する程度にバイト刃等で切削処理を施
して得られた本発明の回転子を、ヒートサイクル試験用
試験片とした。−30℃〜150℃×各2時間、サイク
ル数10の条件下でヒートサイクル試験を実施したとこ
ろ、クラックは発生せず良好であった。また、ヒートサ
イクル試験後の該回転子コアのコイル空間部を高速切断
機を用いて切断し、コイル固着材のコイル内部への含浸
性を観察したところ、コイル空間部内の全てのコイルが
固着されている状態が観察された。
【0053】実施例4 エポミックR−302(三井石油化学製ビスフェノール
型エポキシ樹脂、軟化点85℃)500部、エポミック
R−304(三井石油化学製ビスフェノール型エポキシ
樹脂、軟化点105℃)150部、EOCN−104S
(日本化薬製ノボラック型多官能エポキシ樹脂、軟化点
92℃)350部、球状シリカ(電気化学工業製、FB
−74)1294部、チタネート系カップリング剤(味
の素製、KR−46B)6部、ジシアンジアミド(油化
シェルエポキシ製、DICY7)39.1部、2MZA
−PW(四国化成製、2MZ−A微粉砕グレード)15
部、シリコーンパウダー(東レダウコーニングシリコー
ン製、AY49−281)60部、シラン系カップリン
グ剤(信越シリコーン製、KBM303)1部、レベリ
ング剤(楠本化成製、PL−525)15部をミキサー
で粉砕、混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混合し
た。得られた混練物を冷却、固化した後、粉砕し180
μm篩を通して本発明で使用されるエポキシ樹脂系粉体
塗料を得た。
【0054】上記エポキシ樹脂系粉体塗料を用いて、ト
ロイボガン(ノードソン製商品名:トリボマチック自動
パウダースプレーガン)により60mmφ、積厚60m
mの高速回転子に塗装を行った。高速回転子のシャフト
部やコンミテーター部等の塗装不要箇所にはテープによ
るマスキングを施した。塗装方法としては、まず空間部
分が埋まるまで、コイル空間内部およびコア空間内部に
エポキシ樹脂系粉体塗料を付着させ、次いでコイル及び
コア全体に粉体塗料を付着させる二段塗装法を用いた。
塗装条件は一次塗装条件に吐出量調整エア圧2kgf/c
m2 、霧化エア圧4kgf/cm2 、ガン吐出口と被塗物間距
離5mm、塗装時間90秒の条件で、又、二次塗装条件
に吐出量調整エア圧0.5kgf/cm2 、霧化エア圧1kgf/
cm2 、ガン吐出口と被塗物間距離150mm、塗装時間
30秒の条件で行った。塗料の付着した被塗物を毎分4
5℃の昇温条件で高周波誘導加熱発信器により室温から
190℃まで加熱して、塗膜を溶融硬化させた。加熱硬
化後、5kgf/cm2 以上のエアを10分間吹き付け
強制的に冷却した。上記塗装方法で回転子コアを5本塗
装したところ、強制冷却によるクラックは生じず良好で
あった。又、該回転子コア表面から余分な硬化樹脂をコ
ア金属表面が露出する程度にバイト刃等で切削処理を施
して得られた本発明の回転子を、ヒートサイクル試験用
試験片とした。−30℃〜150℃×各2時間、サイク
ル数10の条件下でヒートサイクル試験を実施したとこ
ろ、クラックは発生せず良好であった。また、ヒートサ
イクル試験後の該回転子コアのコイル空間部を高速切断
機を用いて切断し、コイル固着材の含浸性を観察したと
ころ、コイル空間部内の全てのコイルが固着されている
状態が観察された。
【0055】比較例2 エポミックR−304(三井石油化学製ビスフェノール
型エポキシ樹脂、エポキシ当量920)650部、EO
CN−104S(日本化薬製ノボラック型多官能エポキ
シ樹脂、エポキシ当量200)350部、球状シリカ
(電気化学工業製、FB−74)1294部、チタネー
ト系カップリング剤(味の素製、KR−46B)6部、
ジシアンジアミド(油化シェルエポキシ製、DICY
7)42.1部、2MZA−PW(四国化成製、2MZ
−A微粉砕グレード)20部、シリコーンパウダー(東
レダウコーニングシリコーン製、AY49−281)6
0部、シラン系カップリング剤(信越シリコーン製、K
BM303)0.9部、レベリング剤(楠本化成製、P
L−525)15部をミキサーで粉砕、混合した後、2
軸ニーダーを用いて溶融混合した。得られた混練物を冷
却、固化した後、粉砕し150μm篩を通して比較用の
エポキシ樹脂系粉体塗料を得た。
【0056】このように得られたエポキシ樹脂系粉体塗
料を素体温度が180℃に予熱した60mmφ、積厚6
0mmの高速回転子へ、流動浸漬法により塗布し、更に
180℃×10分の条件下で後硬化させた後、5kgf
/cm2 以上のエアを10分間吹き付け強制的に冷却し
た。上記塗装方法で回転子コアを5本塗装したところ、
強制冷却によるクラックは1本生じた。又、強制冷却に
よるクラックが生じなかった該回転子についてコア表面
から余分な硬化樹脂をコア金属表面が露出する程度にバ
イト刃等で切削処理を施して得られた比較用の回転子
を、ヒートサイクル試験用試験片とした。−30℃〜1
50℃×各2時間、サイクル数10の条件下でヒートサ
イクル試験を実施したところ、全試験片のオープンスロ
ット部に1〜3本のクラックが発生した。また、ヒート
サイクル試験後の該回転子コアのコイル空間部を高速切
断機を用いて切断し、コイル固着材の含浸性を観察した
ところ、コイル空間部内の全てのコイルが固着されてい
る状態が観察された。
【0057】比較例3 エポミックR−304(三井石油化学製ビスフェノール
型エポキシ樹脂、エポキシ当量920)650部、EO
CN−104S(日本化薬製ノボラック型多官能エポキ
シ樹脂、エポキシ当量200)350部、球状シリカ
(電気化学工業製、FB−74)1294部、チタネー
ト系カップリング剤(味の素製、KR−46B)6部、
ジシアンジアミド(油化シェルエポキシ製、DICY
7)42.1部、2MZA−PW(四国化成製、2MZ
−A微粉砕グレード)20部、シリコーンパウダー(東
レダウコーニングシリコーン製、AY49−281)6
0部、シラン系カップリング剤(信越シリコーン製、K
BM303)0.9部、レベリング剤(楠本化成製、P
L−525)15部をミキサーで粉砕、混合した後、2
軸ニーダーを用いて溶融混合した。得られた混練物を冷
却、固化した後、粉砕し150μm篩を通して比較用の
エポキシ樹脂系粉体塗料を得た。
【0058】上記エポキシ樹脂系粉体塗料を用いて、コ
ロナ帯電式静電塗装機(英布製、商品名:M−380E
S)により60mmφ、積厚60mmの高速回転子に塗
装を行った。高速回転子のシャフト部やコンミテーター
部等の塗装不要箇所にはテープによるマスキングを施し
た。塗装方法としては、まず空間部分が埋まるまで、コ
イル空間内部およびコア空間内部にエポキシ樹脂系粉体
塗料を付着させ、次いでコイル及びコア全体に粉体塗料
を付着させる二段塗装法を用いた。塗装条件は一次塗装
条件にエア圧2.5kgf/cm2 、印可電圧54kV、吐出開
口部5mm、粉体塗料面と被塗物間距離115mm、塗
装時間120秒の条件で、又、二次塗装条件に吐出量調
整エア圧1.0kgf/cm2 、印可電圧58kV、吐出開口部
50mm、粉体塗料面と被塗物間距離115mm、塗装
時間30秒の条件で行った。塗料の付着した被塗物を毎
分45℃の昇温条件で高周波誘導加熱発信器により室温
から190℃まで加熱して、塗膜を溶融硬化させた。加
熱硬化後、5kgf/cm2 以上のエアを10分間吹き
付け強制的に冷却した。上記塗装方法で回転子コアを5
本塗装したところ、強制冷却によるクラックは生じず良
好であった。又、該回転子コア表面から余分な硬化樹脂
をコア金属表面が露出する程度にバイト刃等で切削処理
を施して得られた回転子を、ヒートサイクル試験用試験
片とした。−30℃〜150℃×各2時間、サイクル数
10の条件下でヒートサイクル試験を実施したところ、
全試験片のオープンスロット部に1〜2本のクラックが
発生した。また、ヒートサイクル試験後の該回転子コア
のコイル空間部を高速切断機を用いて切断し、コイル固
着材の含浸性を観察したところ、コア外周側の1本目と
2本目のコイルは固着されていたが、シャフト付近のコ
イルは全く固着されていなかった。
【0059】
【発明の効果】本発明の塗装法による塗布膜は耐ヒート
サイクル性に優れ、バリスタ、セラミックコンデンサ、
サーミスタ、フィルムコンデンサ等の新たな塗装方法と
して期待される。また、例えばスターターモーター等の
高回転、高冷熱サイクルを要求される回転子コイルや発
電機やモーターにおける固定子コイル等のコイル固着材
に対しては、耐クラック性、耐ヒートサイクル性、含浸
性に優れた、コイル固着用エポキシ樹脂系組成物の塗布
膜が得られる塗装方法として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/03 C09D 5/03 H01C 7/02 H01C 7/02 H01F 41/12 H01F 41/12 B H01G 4/224 H01G 1/02 J

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静電塗装方法により物品を塗装する方法に
    おいて、物品に熱硬化性粉体塗料を付着させた後、昇温
    速度を調整しながら該塗料を溶融硬化させることを特徴
    とする物品の塗装方法
  2. 【請求項2】昇温速度を80℃/分以下に調整しながら
    熱硬化性粉体塗料を溶融硬化させることを特徴とする請
    求項1の塗装方法
  3. 【請求項3】熱硬化性粉体塗料が(a)エポキシ樹脂、
    (b)硬化剤、(c)硬化促進剤、(d)無機充填剤を
    必須成分とするエポキシ樹脂組成物である請求項1また
    は2の塗装方法
  4. 【請求項4】硬化剤(b)がカルボン酸無水物、フェノ
    ール系硬化剤又はジシアンジアミドである請求項3の塗
    装方法
  5. 【請求項5】熱硬化性粉体塗料が正電荷に荷電されてい
    る請求項1ないし4のいずれか一項の塗装方法
  6. 【請求項6】熱硬化性粉体塗料が負電荷に荷電されてい
    る請求項1ないし4のいずれか一項の塗装方法
  7. 【請求項7】物品が電子部品である請求項1ないし6の
    いずれか一項の塗装方法
  8. 【請求項8】電子部品がバリスタ、サーミスタ、セラミ
    ックコンデンサ又はフィルムコンデンサである請求項7
    の塗装方法
  9. 【請求項9】物品がコイル部品である請求項1ないし6
    のいずれか一項の塗装方法
  10. 【請求項10】コイル部品が高速回転子である請求項9
    の塗装方法
  11. 【請求項11】請求項1ないし6のいずれか一項の方法
    で塗装された物品
  12. 【請求項12】塗膜の厚さが0.2〜1.5mmである
    請求項11の物品。
  13. 【請求項13】物品が電子部品である請求項11または
    12の物品
  14. 【請求項14】電子部品がバリスタ、サーミスタ、セラ
    ミックコンデンサ又はフィルムコンデンサである請求項
    13の物品
  15. 【請求項15】物品がコイル部品である請求項11また
    は12の物品
  16. 【請求項16】コイル部品が高速回転子である請求項1
    5の物品
  17. 【請求項17】請求項16の高速回転子を有するモータ
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